JP2009152175A - 超伝導体並びに超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法及びその測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両側に入、出力電極対11、12をそれぞれ備えた平板状の圧電体13に隙間48を設けて超伝導体14を配置し、入力電極対11に印加した入力電圧により発生した弾性表面波を出力電極対12に向けて移動させながら弾性表面波に伴う交流電界を超伝導体14に印加して、出力電極対12で検出した出力電圧値と入力電圧中の弾性表面波の周波数に対応する入力電圧成分値との比の値から求める超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法であって、入力電圧をパルス電圧とし、出力電圧値及び入力電圧成分値を出力電極対12で測定された出力電圧及び入力電圧の各高速フーリエ変換から求め、弾性表面波の周波数を交流電界が超伝導体14の表面で反射され内部に侵入しない範囲に設定する。
【選択図】図3
Description
ここで、図1(A)は本発明の一実施の形態に係る超伝導体表面抵抗率の非接触測定装置の説明図、(B)は非接触測定装置の信号処理手段のブロック図、図2(A)は同超伝導体表面抵抗率の非接触測定装置の弾性表面波発生手段の動作説明図、(B)は弾性表面波発生手段の入力電極対の平面図、図3(A)、(B)は本発明の一実施の形態に係る超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法の説明図、図4(A)、(B)は同超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法における抵抗率の測定方法の説明図、図5は本発明の第1の実施の形態に係る超伝導体の説明図、図6は本発明の第2の実施の形態に係る超伝導体の説明図、図7は本発明の第3の実施の形態に係る超伝導体の説明図、図8は本発明の第4の実施の形態に係る超伝導体の説明図である。
図3(A)、(B)に示すように、YBa2Cu3O7薄膜14は、例えば、酸化マグネシウムの基板46上に形成されており、YBa2Cu3O7薄膜14は基板46を介して測定容器18内に設けられた試料ステージ44に載置する。
[実施例1]
酸化マグネシウムの基板上に形成した厚さ0.4μmのYBa2Cu3O7薄膜を試料とした。そして、測定容器内に設けられた試料ステージに基板を介してYBa2Cu3O7薄膜を載置し、50MHzの周波数の弾性表面波の励振及び受信が可能なように形成した入力電極対及び出力電極対を備えた幅10mm、長さ30mm、厚さ0.5mmのLiNbO3板に対して、5μm隙間を設けて基板上に形成されたYBa2Cu3O7薄膜を対向配置した。次いで、測定容器内を真空にして、20〜400Kの温度範囲で1Kの温度間隔で温度を上げながらYBa2Cu3O7薄膜の表面抵抗率を測定しその昇温過程での温度特性を求めた。その結果を、図9に示す。図9から、YBa2Cu3O7薄膜の表面抵抗率は300K付近の温度から徐々に減少し、200K付近で最小値を示し、低温になるにつれて上昇し150K以下では一定値となった。
実施例1で使用したのと同様のYBa2Cu3O7薄膜に対して、その表面に酸素を吸着させた後、実施例1と同様の方法で表面抵抗率を測定しその温度特性を求めた。その結果を、図10に示す。酸素を吸着させることにより、300K付近におけるYBa2Cu3O7薄膜の表面抵抗率の減少が顕著になると共に、150K以下で一定となる表面抵抗率の値が低下した。これは、YBa2Cu3O7薄膜の表面に存在する酸素欠陥が、酸素の吸着により回復した効果と考えられる。
実施例2で使用したYBa2Cu3O7薄膜を水素雰囲気中に曝した後、実施例1と同様の方法で表面抵抗率を測定しその温度特性を求めた。その結果を、図11に示す。
また、実施例1で使用したのと同様のYBa2Cu3O7薄膜に対して、真空状態で表面抵抗率の温度特性を測定し、次いで、測定容器内に酸素ガスを注入してYBa2Cu3O7薄膜の表面に酸素を吸着させた状態で表面抵抗率の温度特性を測定し、更に、測定容器内を水素ガスで置換しYBa2Cu3O7薄膜を水素雰囲気中に曝した後に表面抵抗率の温度特性を測定した。その結果を、図12に示す。
図11、図12に示すように、水素雰囲気にYBa2Cu3O7薄膜を曝すと酸素吸着前の状態に部分的に回復するが、YBa2Cu3O7薄膜の表面抵抗率の減少が顕著になる温度域は、酸素を吸着させた場合と大きな変化はみられなかった。従って、酸素欠陥を一度回復すると、回復の効果は持続するものと解される。
実施例1で使用したのと同様のYBa2Cu3O7薄膜に対して、実施例1と同様の方法で表面抵抗率を測定しその昇温過程及び降温過程での温度特性を比較した。その結果を、図13に示す。図13に示すように、降温過程では、3段階に渡って不連続な表面抵抗率の低下が観察された。各不連続は、表面超伝導の核形成、核成長、及び核合体の発生にそれぞれ対応していると解される。
実施例1で使用したのと同様のYBa2Cu3O7薄膜を測定容器の試料ステージに基板を介して載置し、真空中に96、120、及び172時間保持した後、実施例1と同様の方法で表面抵抗率を測定しその昇温過程での温度特性を比較した。その結果を、図14に示す。真空中での保持時間が長いほどYBa2Cu3O7薄膜の表面吸着ガス量は減少するので、図14に示す温度特性の違いは、表面超伝導状態がYBa2Cu3O7薄膜の表面に吸着しているガス量の影響を受けることを示している。
例えば、4フッ化エチレン樹脂膜と4フッ化エチレン樹脂膜の表面上に設けたYBa2Cu3O7薄膜を有する積層膜をジグザグ状に折り畳んで長尺の棒状又は線状とすることもできる。
超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法では、圧電体としてLiNbO3を使用したが、BaTiO3等の他の材質のものも使用できる。また、超伝導体としてYBa2Cu3O7を使用したが、他の材質の超伝導体についても本測定方法は適用可能である。
更に、超伝導体の幅方向の両側に超伝導体の長手方向に沿って配置する絶縁膜の厚みを一定にしたが、絶縁膜の厚みを弾性表面波1波長以下の範囲、例えば、0.1〜100μmの範囲で変化させて圧電体と超伝導体との間の隙間の厚みを変えて測定を行うこともできる。隙間の厚みを変えることで、交流電界の超伝導体内への侵入距離を調整することができ、超伝導体の表面からの深さ方向に対する抵抗率の変化を測定することができる。これによって、超伝導体表面抵抗率の表面からの深さ方向依存性を求めることができる。
Claims (10)
- 誘電体薄膜の表面上に超伝導体薄膜が形成されたシートが複数積層されて積層体となっていることを特徴とする超伝導体。
- 誘電体薄膜と該誘電体薄膜の表面上に設けた超伝導体薄膜を有する積層膜が巻かれて又はジグザグ状に折り畳まれて長尺となっていることを特徴とする超伝導体。
- 軸方向に沿って直線状に又はらせん状に溝部を備えた誘電体棒の表面に超伝導体薄膜が形成されて棒状となっていることを特徴とする超伝導体。
- 誘電体の管内に超伝導体微細粒子が充填されて長尺となっていることを特徴とする超伝導体。
- 両側にそれぞれ入力電極対及び出力電極対を備え水平に配置された平板状の圧電体の表面で該入力電極対及び該出力電極対の間の領域に対して隙間を設けて一定温度に保持した平板状の超伝導体を平行に配置し、前記入力電極対に印加した入力電圧により発生した弾性表面波を前記出力電極対に向けて移動させながら該弾性表面波に伴う交流電界を前記圧電体に対向する前記超伝導体の表面側から印加して、前記出力電極対で検出した前記弾性表面波による出力電圧値と前記入力電圧中の前記弾性表面波の周波数に対応する入力電圧成分値との比の値を求めて前記超伝導体の表面抵抗率を測定することを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法。
- 請求項5記載の超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法において、前記入力電圧をパルス電圧とし、前記出力電圧値及び前記入力電圧成分値を前記出力電極対で測定された出力電圧及び前記入力電圧のそれぞれの高速フーリエ変換から求め、前記弾性表面波の周波数を前記交流電界が前記超伝導体の表面で反射されて内部に侵入しない範囲の値に設定することを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法。
- 請求項5及び6のいずれか1記載の超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法において、前記圧電体の表面と前記超伝導体との間に設けられる前記隙間は、前記弾性表面波の波長の1/2以下であることを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法。
- 請求項5及び6のいずれか1記載の超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法において、前記圧電体の表面と前記超伝導体との間に設けられる前記隙間の厚みを、前記弾性表面波の1波長以下の範囲で変化させることを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定方法。
- 両側にそれぞれ入力電極対及び出力電極対が設けられて水平に配置された平板状の圧電体を備え、前記入力電極対に印加した入力電圧により発生した弾性表面波を前記出力電極対に向けて移動させながら、前記圧電体の表面で該入力電極対及び該出力電極対の間の領域に対して隙間を設けて平行に配置した平板状の超伝導体の該圧電体に対向する表面側に該弾性表面波に伴って生じ該超伝導体の表面で反射されて内部に侵入しない周波数を有する交流電界を印加する弾性表面波発生手段を有することを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定装置。
- 請求項9記載の超伝導体表面抵抗率の非接触測定装置において、前記弾性表面波発生手段の前記圧電体に設けられた前記入力電極対に入力電圧を印加する高周波パルス発生手段と、前記弾性表面波発生手段の前記出力電極対で測定された出力電圧及び前記入力電極対に印加された前記入力電圧をそれぞれ高速フーリエ変換して出力電圧値及び該入力電圧中の該弾性表面波の周波数に対応する入力電圧成分値をそれぞれ求め、該出力電圧値及び該入力電圧成分値との比の値から前記超伝導体の表面抵抗率を算出する信号処理手段と、前記超伝導体及び前記弾性表面波発生手段を収納する測定容器と、前記測定容器内の前記超伝導体を冷却する冷却機を備えて該超伝導体の温度を制御する温度制御手段とを有することを特徴とする超伝導体表面抵抗率の非接触測定装置。
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