JPH0822740B2 - 酸化物超電導薄膜およびその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導薄膜およびその製造方法

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JPH0822740B2
JPH0822740B2 JP1118938A JP11893889A JPH0822740B2 JP H0822740 B2 JPH0822740 B2 JP H0822740B2 JP 1118938 A JP1118938 A JP 1118938A JP 11893889 A JP11893889 A JP 11893889A JP H0822740 B2 JPH0822740 B2 JP H0822740B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、100K以上の高臨界温度が期待されるビスマ
スを含む酸化物超電導体薄膜及びその製造方法に関する
ものである。
従来の技術 高温超電導体として、A15型2元系化合物として窒化
ニオブ(NbN)やゲルマニウムニオブ(Nb3Ge)などが知
られていたが、これらの材料の超電導転移温度はたかだ
か23Kであった。一方、ペロブスカイト系化合物は、さ
らに高い転移温度が期待され、Ba−La−Cu−O系の高温
超電導体が提案された[(ジェイ・ジー・ベドノルツ
アンド ケー・エー・ミュラー,ツァイトシュリフト・
フュア・フィザーク ベー)−コンデンスト マター
(J.G.Bednorz and K.A.Muller,Zetshrift Fur Physik
B)−Condensed Matter Vol.64,189−193(1986)]。
さらに、Bi−Sr−Ca−Cu−O系の材料が100K以上の転
移温度を示すことも発見された[エイチ・マエダ、ワイ
・タナカ、エム・フクトミ アンド ティー・アサノ、
(ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィ
ジックス)(H.Maeda,Y.Tanaka,M.Fukutomi and T.Asan
o,(Japanese Journal of Applied Physics)Vol.27,L2
09−210(1988))]。この種の材料の超電導機構の詳
細は明からではないが、転移温度が室温以上に高くなる
可能性があり、高温超電導体として従来の2元系化合物
より、より有望な特性が期待される。
さらに超電導体と絶縁物とを交互に積層することによ
り、より高い超電導転移温度が従来から期待されていた
[エム・エイチ・コーエン アンド ディー・エイチ・
ダグラス,ジュニア(フィジカル・レビュー・レター
ズ)(M.H.Cohen and D.H.Douglass,Jr.,(Physical Re
view Letters)Vol.19,118−121(1967))]。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、Bi−Sr−Ca−Cu−O系の材料は、現在
の技術では主として焼結という過程でしか形成できない
ため、セラミックの粉末あるいはブロックの形状でしか
得られない。一方、この種の材料を実用化する場合、薄
膜状に加工することが強く要望されているが、従来の技
術では、良好な超電導特性を有する薄膜作製は難しいも
のであった。すなわち、Bi−Sr−Ca−Cu−O系には超電
導転移温度の異なるいくつかの相が存在することが知ら
れているが、特に転移温度が100K以上の相を薄膜の形態
で達成するのは、非常に困難とされていた。
また、従来このBi系において良好な超電導特性を示す
薄膜を形成するためには少なくとも700℃以上の熱処理
あるいは形成時の加熱が必要であり、そのため高い超電
導転移温度が期待される絶縁膜との周期的な積層構造を
得ることは極めて困難と考えられ、またこの構造を利用
した集積化デバイスを構成することもたいへん困難であ
るとされていた。
本発明は、このような従来技術の課題を解決すること
を目的とする。
課題を解決するための手段 第1の本発明の酸化物超電導薄膜は、主体成分が少な
くともビスマス(Bi)、銅(Cu),およびアルカリ土類
(II a族)を含む層状酸化物超電導薄膜と、主体成分が
少なくともビスマス(Bi)とチタン(Ti)を含む層状酸
化物薄膜が交互に積層された構造を持つことを特徴とす
る酸化物超電導薄膜である。
さらに第2の本発明の酸化物超電導薄膜の製造方法
は、基体上に、少なくともBiを含む酸化物と少なくとも
銅およびアルカリ土類(II a族)を含む酸化物とを周期
的に積層させて形成する酸化物薄膜と、少なくともBiを
含む酸化物と少なくともTiを含む酸化物を周期的に積層
させて形成する酸化物薄膜とを、さらに交互に積層させ
て得ることを特徴とする酸化物超電導薄膜の製造方法で
ある。
ここでアルカリ土類は、II a族元素のうちの少なくと
も一種あるいは二種以上の元素を示す。
作用 第1の本発明においては、安定なBi2O2酸化膜層また
はこれを主体とした層によりともに覆われた結晶構造と
なっているところの、Bi系超電導薄膜と、BiとTiとを含
む酸化物層状構造の絶縁体薄膜とが、交互に積層された
構造をとることによって、超電導膜と絶縁膜との間での
相互拡散の少ない積層が可能となり、その結果Bi系超電
導薄膜における超電導転移温度の上昇が実現されたもの
である。
さらに第2の本発明においては上記構造を達成するた
め、少なくともBiを含む酸化物と、少なくとも銅および
アルカリ土類(II a族)を含む酸化物あるいは少なくと
もTiを含む酸化物とを、周期的に積層させて分子レベル
の制御による薄膜の作製を行うことによって、再現性良
くBi系超電導薄膜と絶縁膜との積層を得るものである。
実施例 以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら
説明する。
まず、本発明者らはBi系超電導薄膜と絶縁膜との周期
的な積層構造を実現するため、Bi系超電導薄膜と種々の
絶縁膜との相互作用について検討した。
通常、Bi系超電導薄膜は600〜700℃に加熱した基体上
に蒸着して得る。蒸着後、そのままでも薄膜は超電導特
性を示すが、その後850〜950℃の熱処理を施し、超電導
特性を向上させる。
しかしながら、基体温度が高い時に絶縁膜をBi系超電
導薄膜に続いて積層したり、絶縁膜を形成後熱処理を行
った場合、超電導膜と絶縁膜との間で、元素の相互拡散
が起こり超電導特性が大きく劣化することが判明した。
相互拡散を起こさないためには、超電導膜、絶縁膜の結
晶性が優れていること、超電導膜・絶縁膜間での格子の
整合性が優れていること、絶縁膜が850〜950℃の熱処理
に対して安定であることが不可欠と考えられる。
種々の検討を行った結果、本発明者らは、少なくとも
Tiを含むBi酸化物層状構造の薄膜が絶縁膜として適して
いることを見いだした。この理由として、Tiを含むBi層
状酸化物は、Bi2O2酸化物層がTiおよび酸素等の元素か
らなる構造体を挟み込んだ層状ペロブスカイトを示すこ
とが知られており、このBi2O2層は同種の結晶構造の物
質の界面に対して高温の熱処理においても非常に安定で
あり、またBi系超電導体とBi−Ti系酸化物との格子の整
合性がきわめて優れていることが考えられる。
さらに本発明者らは、Bi系超電導薄膜とBi−Ti系酸化
物薄膜を周期的に積層した時、Bi系超電導薄膜本来の超
電導転移温度が上昇することを見いだした。
本発明者らによる第1の発明の内容を更に深く理解さ
れるために、第1図を用い具体的な実施例を示す。
(実施例1) 第1図は、本実施例で用いた二元マグネトロンスパッ
タ装置内部の概略を示す斜視図であり、11はBi−Sr−Ca
−Cu−Oターゲット、12はBi−Ti−Oターゲット、13は
シャッター、14はアパーチャー、15は基体、16は基体加
熱用ヒーターを示す。焼結体をプレス成形加工して作製
した2個のターゲット11、12を用い、第1図に示すよう
に配置させた。すなわち、MgO(100)基体15に焦点を結
ぶように各ターゲットが約30゜傾いて設置されている。
ターゲットの前方には回転するシャッター13があり、そ
の中に設けらたアパーチャー14の回転をパルスモーター
で制御することにより、Bi−Sr−Ca−Cu−O→Bi−Ti−
O→Bi−Sr−Ca−Cu−O→Bi−Ti−O→Bi−Sr−Ca−Cu
−Oのサイクルでスパッタ蒸着が行なうことができる。
Bi−Sr−Ca−Cu−O膜、Bi−Ti−O膜の積層の様子を概
念的に第2図に示す。第2図において、21はBi−Sr−Ca
−Cu−O膜、22はBi−Ti−O膜を示す。ターゲット11、
12への入力電力、Bi−Sr−Ca−Cu−OおよびBi−Ti−O
のスパッタ時間を制御することにより、基体15上に蒸着
するBi−Sr−Ca−Cu−O膜21、Bi−Sn−Ca−Cn−O膜22
の膜厚を変えることができる。
基体15をヒーター16で約700℃に加熱し、アルゴン・
酸素(1:1)混合雰囲気0.5Paのガス中で各ターゲットの
スパッタリングを行なった。薄膜作製後は酸素雰囲気中
において、850℃の熱処理を5時間施した。本実施例で
は、各ターゲットのスタッパ電力を、Bi−Sr−Ca−Cu−
O:150 W,Bi−Ti−O:100 Wとし、ターゲット11、12のス
パッタ時間を製作した。Bi−Sr−Ca−Cu−O膜21の元素
の組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3、Bi−Ti−O膜22の
元素の組成比率がBi:Ti=4:3になるよう、ターゲット1
1、12の元素の組成比率を調整した。Bi−Sr−Ca−Cu−
O膜21をBi−Ti−O膜22と積層せずに基体15上に形成し
た場合、すなわちBi−Sr−Ca−Cu−O膜21そのものの特
性は、115Kで超電導転移を起こし、97Kで抵抗がゼロに
なるものであった。さらに本発明者らによると、結晶性
を維持したまま、薄くできる膜厚の限界はBi−Ti−O膜
22については約200Aであった。絶縁膜はできるだけ薄い
方が好ましいので、薄膜200のBi−Ti−O膜22に対し
て、Bi−Sr−Ca−Cu−O膜21の膜厚を変え第2図に示す
ような(Bi−Sr−Ca−Cu−O膜→Bi−Ti−O膜)の積層
構造を20周期作製した。そのときの超電導薄膜の抵抗の
温度特性を第3図に示す。第3図において、Bi−Sr−Ca
−Cu−O膜21の膜厚が100A、300A、500Aのときのを特性
をそれぞれ、特性31、32、33に示す。特性31においては
ゼロ抵抗温度が約30KとBi−Sr−Ca−Cu−O膜21の特性
が劣化することがわかった。この理由として、Bi−Sr−
Ca−Cu−O膜21とBi−Ti−O膜22との間で元素の相互拡
散による膜21、22の結晶性の破壊が考えられる。さらに
特性33においては、Bi−Ti−O膜22との周期的な積層な
しに基体15上につけたときのBi−Sr−Ca−Cu−O膜21本
来の超電導特性とほとんど同じであり、絶縁膜Bi−Ti−
O膜22との積層効果は確認されなかった。しかしなが
ら、本発明者らは特性32において、超電導転移温度、ゼ
ロ抵抗温度がともに約5K上昇することを見いだした。こ
の効果の詳細な理由については未だ不明であるが、Bi−
Sr−Ca−Cu−O膜21とBi−Ti−O膜22との積層界面での
元素の相互拡散の影響が少なく、かつ薄いBi−Ti−O膜
22を介して複数のBi−Sr−Ca−Cu−O膜21を積層するこ
とによりBi−Sr−Ca−Cu−O膜21において超電導機構に
なんらかの変化が引き起こされたことが考えられる。
なお、超電導転移温度が上昇する効果は、Bi−Sr−Ca
−Cu−O膜21の膜厚が200〜400Aの範囲で有効であるこ
とを、本発明者らは確認した。
なお、本発明者らはターゲット11、もしくは12に鉛
(Pb)を添加してスパッタしたとき、基体15の温度が上
記実施例よりも約100℃低くても、上記実施例と同等な
結果が得られることを見いだした。
なお、本発明者らはBi−Ti−O膜22の代わりに、Bi−
Ti−Nb−O,Bi−Ti−Ta−O,Bi−Ti−Ca−O,Bi−Ti−Sr−
O,Bi−Ti−Ba−O,Bi−Ti−Na−O,Bi−Ti−K−O膜を用
いたときも第1の発明が有効であることを確認した。
さらに本発明者らは、Biの酸化物と、Sr、Ca、Cuの酸
化物を異なる蒸発源から真空中で別々に蒸発させ、基体
上にBi−O→Sr−Cu−O→Ca−Cu−O→Sr−Cu−O→Bi
−Oの順で周期的に積層させた場合、さらにBiの酸化物
と、Tiの酸化物を異なる蒸発源から真空中で別々に蒸発
させ、Bi−O→Ti−O→Bi−Oの順で周期的に積層させ
た場合、(実施例1)に示した積層構造作製方法より極
めて制御性良く、安定した膜質の、しかも膜表面が極め
て平坦なBi−Sr−Ca−Cu−O超電導薄膜およびBi−Ti−
O絶縁膜が得られることを見いだした。
さらに本発明者らは、Bi−O、Sr−Cu−O、Ca−Cu−
O、Ti−Oを別々の蒸発源から蒸発させ、Bi−Sr−Ca−
Cu−O超電導薄膜とBi−Ti−O絶縁膜を周期的に積層し
た時、極めて制御性良くm(Bi−Sr−Ca−Cu−O)・n
(Bi−Ti−O)の周期構造を持つ薄膜を形成できること
を見いだした。ここでm,nは正の整数を示す。さらに、
このm(Bi−Sr−Ca−Cu−O)・n(Bi−Ti−O)薄膜
は、(実施例1)に示したBi−Sr−Ca−Cu−Oを同時に
蒸着して得る超電導薄膜と、Bi−Ti−Oを同時に蒸着し
て得る酸化物絶縁膜とを周期的に積層して得た薄膜に比
べて、はるかに結晶性が優れ、超電導転移温度、臨界電
流密度等の特性に勝っていることも併せて見いだした。
さらに本発明者らは、上記の方法で作製したBi−Sr−Ca
−Cu−O超電導薄膜とBi−Ti−O絶縁膜はともに薄膜表
面が極めて平坦であることを見いだした。
これらのことは第4図に示す積層の概念を示す図を用
いて説明することができる。すなわち、それぞれ層状構
造を構成する異なる元素を別々に順次積層していくこと
により、基体表面に対し平行な面内だけで積層された蒸
着元素が動くだけで、基体表面に対し垂直方向への元素
の移動がないことによるものと考えられる。さらに、Bi
とTiを含む酸化物層状ペロブスカイト構造の結晶のa軸
の長さは、Bi−Sr−Ca−Cu−Oのそれとほぼ等しく、連
続的にエピタキシャル成長が可能であることによるもの
と考えられる。
さらに意外にも、良好な超電導特性を得るに必要な基
体の温度、熱処理温度も、従来より低いことを見いだし
た。
Bi−O,Sr−Cu−O,Ca−Cu−O,Ti−Oを周期的に積層さ
せる方法としては、いくつか考えられる。一般に、MBE
装置あるいは多元のEB蒸着装置で蒸発源の前を開閉シャ
ッターで制御したり、気相成長法で作製する際にガスの
種類を切り替えたりすることにより、周期的積層を達成
することができる。しかしこの種の非常に薄い層の積層
には従来スパッタリング蒸着は不向きとされていた。こ
の理由は、成膜中のガス圧の高さに起因する不純物の混
入およびエネルギーの高い粒子によるダメージと考えら
れている。しかしながら、本発明者らは、このBi系酸化
物超電導体に対してスパッタリングにより異なる薄い層
の積層を行なったところ、意外にも良好な積層膜作製が
可能なことを発見した。スパッタ中の高い酸素ガス圧お
よびスパッタ放電が、Bi系の100K以上の臨界温度を持つ
相の形成、およびBi−Ti−O絶縁膜の形成に都合かよい
ためではなかろうかと考えられる。
スパッタ蒸着で異なる物質を積層させる方法として
は、組成分布を設けた1ケのスパッタリングターゲット
の放電位置を周期的に制御するという方法があるが、組
成の異なる複数個のターゲットのスパッタリングという
方法を用いると比較的簡単に達成することができる。こ
の場合、複数個のターゲットの各々のスパッタ量を周期
的に制御したり、あるいはターゲットの前にシャッター
を設けて周期的に開閉したりして、周期的積層膜を作製
することができる。また基板を周期的運動させて各々タ
ーゲットの上を移動させる方法でも作製が可能である。
レーザースパッタあるいはイオンビームスパッタを用い
た場合には、複数個のターゲットを周期運動させてビー
ムの照射するターゲットを周期的に変えれば、周期的積
層膜が実現される。このように複数個のターゲットを用
いたスパッタリングにより比較的簡単にBi系酸化物の周
期的積層が作製可能となる。
以下本発明者らによる第2の発明の内容をさらに理解
するために、具体的な実施例を示す。
(実施例2) 第5図に本実施例で用いた4元マグネトロンスパッタ
装置の概略図を示す。第5図において、51はBiターゲッ
ト、52はSrCu合金ターゲット、53はCaCu合金ターゲッ
ト、54はTiターゲット、55はシャッター、56はスリッ
ト、57は基体、58は基体加熱用ヒーターを示す。計4個
のターゲット51、52、53、54は第2図に示すように配置
させた。即ち、MgO(100)基体57に焦点を結ぶように各
ターゲットが約30゜傾いて設置されている。ターゲット
の前方には回転するシャッター55があり、パルスモータ
で駆動することによりその中に設けられたスリット56の
回転が制御され、各ターゲットのサイクル及びスパッタ
時間を設定することができる。基体57をヒーター58で約
600℃に加熱し、アルゴン・酸素(5:1)混合雰囲気3Pa
のガス中で各ターゲットのスパッタリングを行なった。
各ターゲットのスパッタ電流を、Bi30 mA,SrCu:80 mA,C
aCu:300 mA,Ti:400 mAにして実験を行った。Bi→SrCu→
CaCu→Biのサイクルでスパッタし、Bi−Sr−Ca−Cu−O
膜の元素の組成比率がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3となるよう
に各ターゲットのスパータ時間を調整し、上記サイクル
を20周期行った結果、100K以上の臨界温度を持つ相を作
製することができた。このままの状態でもこのBi−Sr−
Ca−Cu−O薄膜は100K以上の超電導転移を示したが、さ
らに酸素中で650℃、1時間の熱処理を行なうと非常に
再現性がよくなり、超電導転移温度は120K、抵抗がゼロ
になる温度は100Kになった。超電導転移温度が100Kを越
す相は金属元素がBi−Sr−Cu−Ca−Cu−Ca−Cu−Sr−Bi
の順序で並んだ酸化物の層から成り立っているとも言わ
れており、本発明の製造方法がこの構造を作るのに非常
に役だっているのではないかと考えられる。また、同様
にBi→Ti→BiのサイクルでBi−Ti−O膜の元素の組成比
がBi:Ti=4:3となるように各ターゲットのスパッタ時間
を調整し、上記サイクルを4サイクルまで少なくして、
Bi−Ti−O膜の膜厚を薄くしても、極めて結晶性に優れ
たBi−Ti−O膜が得られた。
さらに本発明者らはm×(Bi→SrCu→CaCu→SrCu→B
i)→n×(Bi→Ti→Bi)のサイクルで各ターゲットを
スパッタし、m(Bi−Sr−Ca−Cu−O)・n(Bi−Ti−
O)薄膜を基体57上に作製した。ここでm,nは正の整数
を示す。本発明者らはn=4のとき、mを変化させて周
期的に積層して得た膜の超電導特性を調べた。第6図に
m=2、6、16のときに得た膜の抵抗の温度変化をそれ
ぞれ特性61、62、63に示す。第6図において、m=6の
とき、最も高い超電導転移温度およびゼロ抵抗温度、す
なわち特性62が得られた。特性62の超電導転移温度、ゼ
ロ抵抗温度はBi−Sr−Ca−Cu−O膜本来のそれらの値よ
りも約8K高いものであった。この効果の詳細な理由につ
いては未だ不明であるが、本実施例に示した方法でBi−
Sr−Ca−Cu−O膜とBi−Ti−O膜とを周期的に積層する
ことによって、Bi−Sr−Ca−Cu−O膜とBi−Ti−O膜が
互いにBi2O2層を介してエピタキシャル成長しているこ
とにより積層界面での元素の相互拡散の影響がなく、か
つ結晶性に優れた薄いBi−Ti−O膜を介して同じく結晶
性に優れたBi−Sr−Ca−Cu−O膜を積層することにより
Bi−Sr−Ca−Cu−O膜において超電導機構になんらかの
変化が引き起こされたことが考えられる。
なお、超電導転移温度が上昇する効果は、Bi→SrCu→
CaCu→Biのサイクルが4〜10の範囲で有効であること
を、本発明者らは確認した。
なお、本発明者らはターゲット51、もしくは54に鉛
(Pb)を添加してスパッタしたとき、基体57の温度が上
記実施例よりも約100℃低くても、上記実施例と同等な
結果が得られることを見いだした。
なお、本発明者らはBi−Ti−O膜の代わりに、Bi−Ti
−Nb−O,Bi−Ti−Ta−O,Bi−Ti−Ca−O,Bi−Ti−Sr−O,
Bi−Ti−Ba−O,Bi−Ti−Na−O,Bi−Ti−K−O膜を用い
たときも第2の発明が有効であることを確認した。
発明の効果 以上のように第1の本発明の酸化物超電導薄膜は、Bi
系酸化物超電導薄膜の超電導転移温度を上昇させる構造
を提供するものであり、第2の本発明の酸化物超電導薄
膜の製造方法は第1の発明をより効果的に実現し、デバ
イス等の応用には必須の低温でのプロセス確立したもの
であり、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1の本発明の一実施例における酸化物超電導
薄膜の製造装置の概略を示す斜視図、第2図は同薄膜の
構造を示す断面図、第3図は第1図の装置により得た薄
膜における抵抗の温度特性を示すグラフ、第4図は第2
の本発明の薄膜の構造の概念を示す断面図、第5図は第
2の本発明の一実施例における薄膜の製造装置の概略的
斜視図、第6図は第5図の装置により得た薄膜における
抵抗の温度特性を示すグラフである。 11、12、51、52、53、54……スパッタリングターゲッ
ト、13、55……シャッター、14……アパーチャー、56…
…スリット、15、57……MgO基体、16、58……ヒータ
ー、21……Bi−Sr−Ca−Cu−O膜、22……Bi−Ti−O
膜、31、32、33、61、62、63……薄膜の抵抗の温度特
性。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主体成分が少なくともビスマス(Bi)、銅
    (Cu),およびアルカリ土類(II a族)を含む層状酸化
    物超電導薄膜と、主体成分が少なくともビスマス(Bi)
    とチタン(Ti)を含む層状酸化物薄膜が交互に積層され
    たこと(ここでアルカリ土類は,II a族元素のうちの少
    なくとも一種あるいは二種以上の元素を示す。)を特徴
    とする酸化物超電導薄膜。
  2. 【請求項2】基体上に、少なくともビスマス(Bi)を含
    む酸化物と少なくとも銅およびアルカリ土類(II a族)
    を含む酸化物とを周期的に積層させて形成する酸化物薄
    膜と、少なくともビスマス(Bi)を含む酸化物と少なく
    ともチタン(Ti)を含む酸化物を周期的に積層させて形
    成する酸化物薄膜とを、交互に積層させる(ここでアル
    カリ土類は、II a族元素のうちの少なくとも一種あるい
    は二種以上の元素を示す。)ことを特徴とする酸化物超
    電導薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】積層物質の蒸発を少なくとも二種以上の蒸
    発源で行うことを特徴とする請求項2記載の酸化物超電
    導薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】積層物質の蒸発をスパッタリングで行なう
    ことを特徴とする請求項2記載の酸化物超電導薄膜の製
    造方法。
JP1118938A 1989-05-12 1989-05-12 酸化物超電導薄膜およびその製造方法 Expired - Lifetime JPH0822740B2 (ja)

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