JP3475999B2 - 印刷制御方法、印刷制御装置、印刷制御プログラムを記録した媒体 - Google Patents

印刷制御方法、印刷制御装置、印刷制御プログラムを記録した媒体

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JP3475999B2
JP3475999B2 JP29085998A JP29085998A JP3475999B2 JP 3475999 B2 JP3475999 B2 JP 3475999B2 JP 29085998 A JP29085998 A JP 29085998A JP 29085998 A JP29085998 A JP 29085998A JP 3475999 B2 JP3475999 B2 JP 3475999B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷制御方法に関
し、特に、色バランスを調整して印刷させる印刷制御方
法、印刷制御装置および印刷制御プログラムを記録した
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタのようなカラー
印刷装置では、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロ
ー(Y)の三色の色インク、あるいはこれにブラック
(K)を加えた四色の色インクでカラー画像を印刷す
る。これらの色インクを吐出する印刷ヘッドは全ての色
インクを吐出する一体型のものとすることも可能である
が、歩留まりが悪くなるので複数の印刷ヘッドを色ごと
に分けて使用することが多い。一体型の場合は色インク
の吐出量は全体的に多いか少ないかの誤差はあるものの
各色インク間でのバランスは保持される。しかしなが
ら、複数の印刷ヘッドを使用する場合には印刷ヘッドご
とのばらつきによって各色インク間でのバランスが崩れ
てしまう。このため、特公平6−79853号公報に示
す従来のカラー印刷装置では、印刷ヘッドを駆動する駆
動回路ごとに駆動信号を調整可能としておき、この駆動
信号を工場などで設定すれば各色インク間でのバランス
を保持可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のものに
おいては、各カラー印刷装置ごとに工場調整が必要とな
るので製造工程が増えて煩雑になるという課題がある。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、ハー
ドウェアに依存することなく印刷ヘッドに対応した色バ
ランスのずれを解消することが可能な印刷制御方法、印
刷制御装置および印刷制御プログラムを記録した媒体の
提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかる発明は、画像をドットマトリクス
状の各画素として表すとともに、各画素毎に色調を階調
表現した印刷データを入力したとき、記録媒体に対して
有彩色からなる要素色と墨色とに対応した記録材でドッ
トを付してドットマトリクス状の元画像を再現するにあ
たり、ドットを付す記録材の使用量に基準量からずれを
生じうる複数の印刷機構を備えた印刷装置に対して、上
記印刷データを出力する印刷制御方法であって、上記各
要素色の階調を上記生じうるずれの程度の範囲で徐々に
変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷させるとと
もに、同複数のパッチに基づいて無彩色のパッチを選択
させて入力することにより各要素色間の偏差を取得する
第一の有彩色偏差取得工程と、上記墨色の記録材を用い
て輝度の差が生じにくいドットパターンで所定の輝度の
第一のリファレンスパッチを印刷させるとともに、所定
のモノトーンパターンで階調を変化させた複数のパッチ
とを印刷させ、上記第一のリファレンスパッチと輝度が
一致するモノトーンパターンのパッチの階調を選択させ
て入力することにより墨色における上記基準量からの偏
差を取得する無彩色偏差取得工程と、この無彩色偏差取
得工程にて取得した偏差に基づいて上記モノトーンパタ
ーンで所定の輝度となるように第二のリファレンスパッ
チを印刷させるとともに、上記第一の有彩色偏差取得工
程にて取得した偏差に基づいて各要素色の記録材を均等
に使用しつつ上記第二のリファレンスパッチの輝度と一
致しうる範囲で輝度を変化させた複数のパッチを印刷さ
せるとともに、同複数のパッチに基づいて上記第二のリ
ファレンスパッチの輝度と一致するパッチを選択させて
入力することにより各要素色の上記基準量からの偏差を
取得する第二の有彩色偏差取得工程と、上記無彩色偏差
取得工程にて取得した墨色における偏差と上記第二の有
彩色偏差取得工程にて取得した各要素色の偏差に基づい
て適正量の記録材が付されるように上記印刷データを修
正する印刷データ修正工程とを具備する構成としてあ
る。
【0005】上記のように構成した請求項1にかかる発
明において、印刷制御方法は印刷装置に対して、画像を
ドットマトリクス状の各画素として表すとともに、色分
解した有彩色からなる要素色と墨色とにより各画素毎に
階調表現した印刷データを出力する。一方、同印刷制御
方法がこの印刷データを出力する前提とする印刷装置
は、同印刷データを入力したときに記録媒体に対して上
記要素色に対応した記録材のドットを付してドットマト
リクス状の元画像を再現している。そして、このように
ドットを付すにあたって複数の印刷機構を備え、各印刷
機構においては記録材の吐出量に要素色間でずれを生じ
うるようになっているものとする。
【0006】ここで、第一の有彩色偏差取得工程では、
上記各要素色の階調を生じうるずれの程度の範囲で徐々
に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷し、同複
数のパッチの中から無彩色のパッチを選択して入力する
ことにより、各要素色間の偏差を取得する。そして、上
記無彩色偏差取得工程では、上記墨色の記録材を用いて
輝度の差が生じにくいドットパターンで所定の輝度の第
一のリファレンスパッチを背景として印刷し、この背景
上に同墨色による所定のモノトーンパターンの階調を変
化させた複数のパッチを印刷する。そして、この複数の
パッチから上記第一のリファレンスパッチと輝度が一致
するパッチを選択して入力することにより、墨色におけ
る上記基準量からの偏差を取得することが可能になる。
さらに、第二の有彩色偏差取得工程では、この無彩色偏
差取得工程にて取得した偏差を上記基準量に反映させた
モノトーンパターンを上記第二のリファレンスパッチと
して印刷する。
【0007】ここで、上記第一の有彩色偏差取得工程に
て取得した偏差に基づいて各要素色の記録材を均等に使
用しつつ、上記第二のリファレンスパッチの輝度と一致
しうる範囲で輝度を変化させた複数のパッチを印刷す
る。そして、同複数のパッチから上記第二のリファレン
スパッチの輝度と一致するパッチを選択して入力するこ
とにより各要素色の上記基準量からの偏差を取得するこ
とができる。このように、上記無彩色偏差取得工程と第
二の有彩色偏差取得工程とにより取得した上記基準量か
らの偏差は、上記印刷制御方法が印刷装置に対して印刷
データを出力する場合に、上記印刷データ修正工程にお
いて、同印刷データに反映されることにより、各要素色
間の色バランスがとれている修正した印刷データを同印
刷装置に出力することが可能になる。
【0008】このような印刷制御方法が利用される印刷
装置は、記録媒体に対して有彩色の要素色および墨色に
対応した記録材のドットを付して元画像を再現するにあ
たり、ドットを付す記録材の使用量に要素色間でずれを
生じうる複数の印刷機構を備えていることが前提となっ
ている。すなわち、各印刷機構が使用する記録材の吐出
量がずれるがために各要素色間等の色バランスがずれる
のであり、使用する記録材の色バランスを調整するため
に印刷制御方法が利用される。このような印刷機構とし
ては、微少の色インクをピエゾ素子やバブルによって吐
出させるインクジェットプリンタであってもよく、その
場合には要素色等ごとに別々にアセンブリされた印刷ヘ
ッドが使用されることによって記録材の吐出量にずれを
生じうると言える。また、その場合には駆動回路の個体
差によっても与えられる機械的エネルギーに差が生じ得
る。さらに、別の例としてトナーを静電気で付着させる
電子写真方式のプリンタであっても良く、その場合には
個々のドラムの個体差であるとか、駆動回路、あるいは
放電ワイヤの機械的配置の差などによって記録材の使用
量に差が生じ得る。なお、印刷データについては、色分
解した有彩色の要素色および墨色の構成であってもよい
し、各画素の階調表現の表現手法などについても特に限
定されるものではない。
【0009】また、上記第一の有彩色偏差取得工程にて
無彩色のパッチを選択する場合に基準となる比較対象が
あり、この比較対象とパッチを比較しながら無彩色のパ
ッチを選択することができれば正確に無彩色のパッチを
選択することができる。そこで、上記各要素色の階調を
徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチから無彩色
のパッチを選択するのに好適な比較対象として、請求項
2にかかる発明は、請求項1に記載の印刷制御方法にお
いて、上記第一の有彩色偏差取得工程は、上記墨色の記
録材を用いて輝度の差が生じにくいドットパターンで所
定の輝度のリファレンスパッチを印刷させる構成として
ある。上記のように構成した請求項2にかかる発明にお
いては、上記各要素色の階調を徐々に変化させた複数の
組み合わせのパッチを印刷する背景に、上記墨色の記録
材を用いて輝度の差が生じにくいドットパターンによる
所定の輝度のリファレンスパッチを印刷する。そして、
このリファレンスパッチと、上記パッチを対比しながら
無彩色のパッチを選択するし入力することにより、正確
な無彩色のパッチを選択することが可能になるととも
に、容易に無彩色のパッチを取得することが可能にな
る。
【0010】このように、比較対象となるリファレンス
パッチを背景にすると無彩色のパッチの選択が容易にな
る。さらに、各要素色の階調を徐々に変化させた複数の
組み合わせのパッチをその変化に対応して規則的に配置
すると、より正確な無彩色のパッチを選択することが容
易になる。そこで、請求項3にかかる発明は、請求項1
または請求項2のいずれかに記載の印刷制御方法におい
て、上記第一の有彩色偏差取得工程は、所定の階調のパ
ッチを中心に配置し、この中心から所定角度方向に各要
素色を対応させつつ、同中心から外側に向けて、同中心
になるパッチにおける各要素色の階調を徐々に変化させ
た複数の組み合わせのパッチを同変化に対応して規則的
に配置する構成としてある。
【0011】上記のように構成した請求項3にかかる発
明においては、所定の階調のパッチを中心に配置し、こ
の中心から所定角度方向に軸をとり、この軸に各要素色
を対応させる。そして、軸に対応した要素色にて上記中
心からこの軸の一方の側に向けて要素色を増加させるよ
うに階調を徐々に変化させたパッチを規則的に配置する
とともに、他方の側に向けて要素色を減少させるように
階調を徐々に変化させたパッチを規則的に配置する。こ
のように、複数のパッチを階調の変化に対応して規則的
に並べて印刷するため、人間の視覚の性質から比較作業
を感覚的に理解しやすくすることができる。また、微妙
に色バランスが変化し、無彩色のパッチを特定すること
が難しい場合もあるが、階調が徐々に変化しているもの
が隣同士に並んでいることで、この隣同士のパッチの色
バランスを比較することができ、無彩色のパッチを選択
することが容易になる。ここで、このパッチの配置は各
要素色における変化を一体に把握可能であり、比較を容
易にする観点から上述した形態を採用しているが、むろ
ん、このような形態に限定されるものではなく、各要素
色毎に徐々に階調を変化させたパッチを一列に配置する
ものであってもよく、特に、限られるものではない。ま
た、上記中心に配置する所定階調のパッチは、各要素色
に基準量にずれが生じていることがあるものの印刷デー
タ上では無彩色と判断されるものであれば良い。
【0012】上述したように、各要素色の階調を徐々に
変化させた複数の組み合わせのパッチを階調の変化に合
わせて規則的に並べて印刷すると、隣同士のパッチを比
較することにより、無彩色のパッチを選択し易くなるこ
とは明らかである。従って、この手法を上記無彩色偏差
取得工程に採用しても良い。そこで、請求項4にかかる
発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷制
御方法において、上記無彩色偏差取得工程は、階調の変
化が隣接するモノトーンパターンを並べて配置する構成
としてある。上記のように構成した請求項4にかかる発
明においては、階調値を徐々に変えたモノトーンパター
ンが並べて印刷されるので、比較作業を感覚的に理解し
やすいし、微妙に輝度が変化する場合には一致するモノ
トーンパターンを一つに特定することが難しい場合もあ
るが、階調が徐々に変化している場合には輝度のずれが
大きい他のモノトーンパターンとの相対的な位置から、
上記墨色のドットパターンである第一のリファレンスパ
ッチと輝度が一致するモノトーンパターンを特定すると
いうことがやりやすくなる。
【0013】同様に、請求項5にかかる発明は、請求項
1〜請求項4のいずれかに記載の印刷制御方法におい
て、上記第二の有彩色偏差取得工程は、階調の変化が隣
接するモノトーンパターンを並べて配置する構成として
ある。上記のように構成した請求項5にかかる発明にお
いても、階調が徐々に変化している場合に、輝度のずれ
が大きい他のモノトーンパターンとの相対的な位置か
ら、上記墨色のドットパターンである第二のリファレン
スパッチと輝度が一致するモノトーンパターンを特定す
るということがやりやすくなる。一方、各印刷機構が吐
出する記録材の重量によって輝度の差が生じにくいドッ
トパターンを利用することにより無彩色のパッチの選択
が容易になるものの、わずかにこの輝度に差が生じる
と、基準となる所定の輝度を有する墨色の無彩色のパッ
チを選択することが困難になる。
【0014】この吐出される記録材の重量に変化があっ
ても輝度の差が生じにくいドットパターンは、多種の形
態を採用することができる。そこで、より簡易に作成す
ることが可能な上記ドットパターンの一例として、請求
項6にかかる発明は、請求項1に記載の印刷制御方法に
おいて、上記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにく
いドットパターンは、所定間隔の墨色の横縞の構成とし
てある。上記のように構成した請求項6にかかる発明に
おいては、吐出される記録材の重量に変化があっても輝
度の差が生じにくいドットパターンを所定間隔の墨色の
横縞の形態にすることにより、簡易に輝度の差を生じに
くいドットパターンを作成することが可能になる。
【0015】また、第一,第二の有彩色偏差取得工程お
よび無彩色偏差取得工程では、選択した無彩色のパッチ
などを入力することにより各偏差を取得している。ここ
で、この入力する手法は適宜変更可能であり、実質的に
各要素色や墨色の階調値が分かればよいのであって必ず
しもそれぞれの階調値を直に入力する必要はない。そこ
で、請求項7にかかる発明は、請求項1〜請求項6のい
ずれかに記載の印刷制御方法において、上記第一,第二
の有彩色偏差取得工程および無彩色偏差取得工程は、階
調値に対応した所定の相対値を入力し、同相対値から上
記階調値に変換する構成としてある。上記のように構成
した請求項7にかかる発明においては、直に階調値を入
力するのではなく、適当な相対値を入力する。この相対
値は階調値に対応しているため、第一,第二の有彩色偏
差取得工程および無彩色偏差取得工程は入力された相対
値に基づいて階調値に変換する。むろん、このような相
対値は、数値に限られるものでもなく記号などであって
も構わない。また、入力は手入力のみならず、他のハー
ドウェアなどを介して入力するようにしても良い。例え
ば、上記第二の有彩色偏差取得工程、無彩色偏差取得工
程における所定のパッチを印刷した記録媒体をスキャナ
で読み込み、一致する輝度のパッチを自動的に判別する
とともに同判別結果を取得するようにしても良い。むろ
ん、このスキャナは印刷装置と別体のもので構成しても
良いし、合体されたようなものであっても良い。
【0016】また、印刷データ修正工程は、無彩色偏差
取得工程にて取得した偏差と第一,第二の有彩色偏差取
得工程にて取得した各要素色間の偏差および上記基準量
からの偏差に基づいて、色バランスのずれを解消するよ
うに、上記基準量から印刷データの階調値を修正する。
従って、色バランスにずれが生じているのであれば印刷
データをそのまま出力したとしても本来の色バランスが
得られないため、このずれを解消するように印刷データ
を修正すればよい。この場合、各要素色の階調を徐々に
変化させた複数の組み合わせのパッチの階調値ごとに、
要素色間における基準量の相対的なずれを求めておくこ
とも可能であるが、多くの階調値で相対的なずれを正確
に求めるのは煩雑である。
【0017】そこで、請求項8にかかる発明は、請求項
1〜請求項7のいずれかに記載の印刷制御方法におい
て、上記印刷データ修正工程は、上記第一,第二の有彩
色偏差取得工程にて入力されるパッチの階調値に対して
予め修正曲線のパラメータを対応付けておくとともに、
同入力された階調値に基づいて同パラメータを決定して
変換対応を特定する構成としてある。上記のように構成
した請求項8にかかる発明においては、無彩色偏差取得
工程と第二の有彩色偏差取得工程にて入力されうる階調
値に対して予め修正曲線のパラメータを対応づけてあ
り、同工程から階調値が入力されると印刷データ修正工
程は対応するパラメータを決定する。この修正曲線を採
用するのは、あるパラメータによって一律に所定の範囲
にわたって対応関係が特定し、各階調値ごとにずれを求
める必要はなくなるからである。
【0018】むろん、修正曲線を利用するといっても逐
次演算するようでは煩雑である。このため、請求項9に
かかる発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の
印刷制御方法において、上記印刷データ修正工程は、上
記変換対応となる内容の色変換テーブルを生成し、印刷
データに基づいて同色変換テーブルを参照して変換結果
を取得する構成としてある。上記のように構成した請求
項9にかかる発明においては、変換対応となる内容の色
変換テーブルを生成しておき、印刷データに基づいて同
色変換テーブルを参照して変換結果を取得することによ
り、色変換結果に修正が反映されることになる。この場
合の印刷データはあくまでも印刷装置に出力される前の
段階であればどの段階でも構わない。従って、コンピュ
ータ本体で利用される表色空間と印刷装置で利用される
色空間とが異なる場合に色変換する際であってもよい
し、かかる色変換後にハーフトーン処理を行うのであれ
ば、その段階であっても良い。
【0019】以上のように、上記第一の有彩色偏差取得
工程から無彩色における各要素色間の偏差を取得すると
ともに、第二の有彩色偏差取得工程において、上記無彩
色偏差取得工程にて取得した墨色における上記基準量か
らの偏差を考慮したモノトーンパターンで所定の輝度を
備えるリファレンスパッチを背景にして、各要素色間の
上記基準量からの偏差を取得し、これらの偏差に基づい
て印刷データに修正を加えることにより印刷装置が印刷
する印刷物において十分に色バランスがとれるようにな
る。一方、さらに上記リファレンスパターンを背景にし
て上記色バランスがとれた各要素色の階調を徐々に変化
させた複数の組み合わせのパッチを印刷し、この背景と
彩度が一致するパッチを選択するとより正確な色バラン
スが取れることが分かっている。
【0020】そこで、請求項10にかかる発明は、請求
項1に記載の印刷制御方法において、上記無彩色偏差取
得工程にて取得した偏差を上記基準量に反映させたモノ
トーンパターンを背景に印刷させるとともに、上記第二
の有彩色偏差取得工程にて取得した各要素色の上記基準
量との偏差に基づいて同各要素色の階調を徐々に変化さ
せた複数の組み合わせのパッチを印刷し、同複数のパッ
チから上記背景と彩度が一致するパッチを選択させて入
力することにより各要素色間の偏差を取得する第三の有
彩色偏差取得工程を備えるとともに、上記印刷データ修
正工程は、同偏差に基づいて上記印刷データを修正する
構成としてある。
【0021】上記のように構成した請求項10にかかる
発明において、上記無彩色偏差取得工程にて取得した偏
差を上記基準量に加えたモノトーンパターンを背景に印
刷させるとともに、上記第二の有彩色偏差取得工程にて
取得した各要素色の上記基準量との偏差に基づいて同各
要素色の階調を徐々に変化させた複数の組み合わせのパ
ッチを印刷し、同複数のパッチから上記背景と彩度が一
致するパッチを選択させて入力することにより各要素色
間の偏差を取得する第三の有彩色偏差取得工程を備える
とともに、上記印刷データ修正工程は、同偏差に基づい
て上記印刷データを修正する。
【0022】この第三の有彩色偏差取得工程での各要素
色間の偏差は、その前の各工程にて十分に色バランスが
取れている状態にて取得されているため、請求項11に
かかる発明は、請求項10に記載の印刷制御方法におい
て、上記第三の有彩色偏差取得工程は、第一の有彩色偏
差取得工程における階調の変化より変化量の振りを小さ
くする構成としてある。上記のように構成した請求項1
1にかかる発明においては、上記第三の有彩色偏差取得
工程にて各要素色の階調を徐々に変化させた複数の組み
合わせのパッチを印刷する場合に、上記第一の有彩色偏
差取得工程において徐々に変化させる階調の変化量より
小さくする。すなわち、より微妙な色バランスをとるこ
とが可能になる。
【0023】また、上記第三の有彩色偏差取得工程の好
適な形態の一例として、請求項12にかかる発明は、請
求項10に記載の印刷制御方法において、上記第三の有
彩色偏差取得工程は、所定の階調のパッチを中心に配置
し、この中心から所定角度方向に各要素色を対応させつ
つ、同中心から外側に向けて、同中心になるパッチにお
ける各要素色の階調を徐々に変化させた複数の組み合わ
せのパッチを同変化に対応して規則的に配置する構成と
してある。
【0024】上記のように構成した請求項10にかかる
発明においては、上記第一,第二の有彩色偏差取得工程
および無彩色偏差取得工程により、色バランスがとれて
いる所定の階調のパッチを中心に配置し、この中心から
所定角度方向に軸をとり、この軸に各要素色を対応させ
る。そして、軸に対応した要素色にて上記中心からこの
軸の一方の側に向けて要素色を増加させるように階調を
徐々に変化させたパッチを規則的に配置するとともに、
他方の側に向けて要素色を減少させるように階調を徐々
に変化させたパッチを規則的に配置する。このように、
変化量が小さいパッチを規則的に並べて印刷するため、
人間の視覚の性質から比較作業を感覚的に理解しやすく
することができる。また、微妙に色バランスが変化し、
背景と一致する彩度のパッチを特定することが難しい場
合もあるが、階調が徐々に変化しているものが隣同士に
並んでいることで、隣同士のパッチの色バランスを比較
することができ、上記背景と彩度の一致するパッチを特
定することが容易になる。
【0025】このように、画像をドットマトリクス状の
各画素として表すとともに、各画素毎に色調を階調表現
した印刷データを入力したとき、記録媒体に対して有彩
色からなる要素色と墨色とに対応した記録材でドットを
付してドットマトリクス状の元画像を再現するにあた
り、ドットを付す記録材の使用量に基準量からずれを生
じうる複数の印刷機構を備えた印刷装置に対して、所定
の手法によりこのずれを修正するとともに、上記印刷デ
ータに修正を施した印刷データを出力する方法は実体の
ある装置において実現されるものであり、この手法を取
り入れた装置としても機能することは容易に理解でき
る。
【0026】このため、請求項13にかかる発明は、画
像をドットマトリクス状の各画素として表すとともに、
各画素毎に色調を階調表現した印刷データを入力したと
き、記録媒体に対して有彩色からなる要素色と墨色とに
対応した記録材でドットを付してドットマトリクス状の
元画像を再現するにあたり、ドットを付す記録材の使用
量に基準量からずれを生じうる複数の印刷機構を備えた
印刷装置に対して、上記印刷データを出力する印刷制御
装置であって、上記各要素色の階調を上記生じうるずれ
の程度の範囲で徐々に変化させた複数の組み合わせのパ
ッチを印刷させるとともに、同複数のパッチに基づいて
無彩色のパッチを選択させて入力することにより各要素
色間の偏差を取得する第一の有彩色偏差取得手段と、上
記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにくいドットパ
ターンで所定の輝度の第一のリファレンスパッチを印刷
させるとともに、所定のモノトーンパターンで階調を変
化させた複数のパッチとを印刷させ、上記第一のリファ
レンスパッチと輝度が一致するモノトーンパターンのパ
ッチの階調を選択させて入力することにより墨色におけ
る上記基準量からの偏差を取得する無彩色偏差取得手段
と、この無彩色偏差取得手段にて取得した偏差に基づい
て上記モノトーンパターンで所定の輝度となるように第
二のリファレンスパッチを印刷させるとともに、上記第
一の有彩色偏差取得手段にて取得した偏差に基づいて各
要素色の記録材を均等に使用しつつ上記第二のリファレ
ンスパッチの輝度と一致しうる範囲で輝度を変化させた
複数のパッチを印刷させるとともに、同複数のパッチに
基づいて上記第二のリファレンスパッチの輝度と一致す
るパッチを選択させて入力することにより各要素色の上
記基準量からの偏差を取得する第二の有彩色偏差取得手
段と、上記無彩色偏差取得手段にて取得した墨色におけ
る偏差と上記第二の有彩色偏差取得手段にて取得した各
要素色の偏差に基づいて適正量の記録材が付されるよう
に上記印刷データを修正する印刷データ修正手段とを具
備する構成としてある。すなわち、必ずしも方法に限ら
ず、その方法を取り込んだ実体のある装置においても有
効であることに相違はない。
【0027】ところで、このような画像をドットマトリ
クス状の各画素として表すとともに、各画素毎に色調を
階調表現した印刷データを入力したとき、記録媒体に対
して有彩色からなる要素色と墨色とに対応した記録材で
ドットを付してドットマトリクス状の元画像を再現する
にあたり、ドットを付す記録材の使用量に基準量からず
れを生じうる複数の印刷機構を備えた印刷装置に対し
て、所定の手法によりこのずれを修正するとともに、上
記印刷データに修正を施した印刷データを出力する方法
は、単独で存在する場合もあるし、装置に組み込まれた
状態で利用されることもあるなど、発明の思想としては
これらに限定されるものではなく、各種の態様を含むも
のである。従って、ソフトウェアであったりハードウェ
アであったりするなど、適宜変更可能である。
【0028】従って、発明の思想の具現化例として画像
をドットマトリクス状の各画素として表すとともに、各
画素毎に色調を階調表現した印刷データを入力したと
き、記録媒体に対して有彩色からなる要素色と墨色とに
対応した記録材でドットを付してドットマトリクス状の
元画像を再現するにあたり、ドットを付す記録材の使用
量に基準量からずれを生じうる複数の印刷機構を備えた
印刷装置に対して、所定の手法によりこのずれを修整
し、上記印刷データに修正を施した印刷データを出力す
る方法のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウ
ェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利
用されるといわざるをえない。
【0029】その一例として、請求項14にかかる発明
は、画像をドットマトリクス状の各画素として表すとと
もに、各画素毎に色調を階調表現した印刷データを入力
したとき、記録媒体に対して有彩色からなる要素色と墨
色とに対応した記録材でドットを付してドットマトリク
ス状の元画像を再現するにあたり、ドットを付す記録材
の使用量に基準量からずれを生じうる複数の印刷機構を
備えた印刷装置に対して、上記印刷データを出力する印
刷制御プログラムを記録した媒体であって、上記各要素
色の階調を上記生じうるずれの程度の範囲で徐々に変化
させた複数の組み合わせのパッチを印刷させるととも
に、同複数のパッチに基づいて無彩色のパッチを選択さ
せて入力することにより各要素色間の偏差を取得する第
一の有彩色偏差取得ステップと、上記墨色の記録材を用
いて輝度の差が生じにくいドットパターンで所定の輝度
の第一のリファレンスパッチを印刷させるとともに、所
定のモノトーンパターンで階調を変化させた複数のパッ
チとを印刷させ、上記第一のリファレンスパッチと輝度
が一致するモノトーンパターンのパッチの階調を選択さ
せて入力することにより墨色における上記基準量からの
偏差を取得する無彩色偏差取得ステップと、この無彩色
偏差取得ステップにて取得した偏差に基づいて上記モノ
トーンパターンで所定の輝度となるように第二のリファ
レンスパッチを印刷させるとともに、上記第一の有彩色
偏差取得ステップにて取得した偏差に基づいて各要素色
の記録材を均等に使用しつつ上記第二のリファレンスパ
ッチの輝度と一致しうる範囲で輝度を変化させた複数の
パッチを印刷させるとともに、同複数のパッチに基づい
て上記第二のリファレンスパッチの輝度と一致するパッ
チを選択させて入力することにより各要素色の上記基準
量からの偏差を取得する第二の有彩色偏差取得ステップ
と、上記無彩色偏差取得ステップにて取得した墨色にお
ける偏差と上記第二の有彩色偏差取得ステップにて取得
した各要素色の偏差に基づいて適正量の記録材が付され
るように上記印刷データを修正する印刷データ修正ステ
ップとを具備する構成としてある。
【0030】むろん、その記録媒体は、磁気記録媒体で
あってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後
開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考え
ることができる。また、一次複製品、二次複製品などの
複製段階については全く問う余地無く同等である。その
他、供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも
本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、
一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実
現されている場合においても発明の思想において全く異
なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて
必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとして
あってもよい。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、各要素色
の階調を徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチか
ら無彩色のパッチを取得することにより各要素色間の偏
差を取得するとともに、この取得した無彩色のパッチの
輝度を徐々に変化させたパッチと輝度を調整した墨色の
パッチとを比較して印刷データの基準量からの偏差を取
得し、この基準量からの偏差に応じて同基準量を修正す
ることにより色バランスのとれた調整を実施することが
可能な印刷制御方法を提供することができる。また、請
求項2にかかる発明によれば、第一の有彩色偏差取得工
程にてより容易に無彩色のパッチを選択することが可能
になる。さらに、請求項3にかかる発明によれば、第一
の有彩色偏差取得工程にてさらに容易に無彩色のパッチ
を選択することが可能になる。さらに、請求項4にかか
る発明によれば、無彩色偏差取得工程にてより容易に無
彩色のパッチを選択することが可能になる。さらに、請
求項5にかかる発明によれば、第二の有彩色偏差取得工
程にてより容易に輝度の一致するパッチを選択すること
が可能になる。
【0032】さらに、請求項6にかかる発明によれば、
簡易な方法によって輝度の差が生じにくい形態を実現す
ることが可能になる。さらに、請求項7にかかる発明に
よれば、階調値以外の入力が可能であるので操作性が良
好となる。さらに、請求項8にかかる発明によれば、一
部の階調値での判断だけで広範囲の階調値にわたって印
刷データを修正でき操作性が良好となる。さらに、請求
項9にかかる発明によれば、テーブルを参照して印刷デ
ータを修正するので、参照作業だけで容易に変換でき処
理速度の向上を図れる。さらに、請求項10にかかる発
明によれば、さらに正確な偏差を取得することが可能に
なる。さらに、請求項11にかかる発明によれば、微妙
な偏差を取得することが可能になる。
【0033】さらに、請求項12にかかる発明によれ
ば、第三の有彩色偏差取得工程にてより容易に輝度の一
致するパッチを選択することが可能になる。さらに、請
求項13にかかる発明によれば、各要素色の階調を徐々
に変化させた複数の組み合わせのパッチから無彩色のパ
ッチを取得することにより各要素色間の偏差を取得する
とともに、この取得した無彩色のパッチの輝度を徐々に
変化させたパッチと輝度を調整した墨色のパッチとを比
較して印刷データの基準量からの偏差を取得し、この基
準量からの偏差に応じて同基準量を修正することにより
色バランスのとれた調整を実施することが可能な印刷制
御装置を提供することができる。さらに、請求項14に
かかる発明によれば、各要素色の階調を徐々に変化させ
た複数の組み合わせのパッチから無彩色のパッチを取得
することにより各要素色間の偏差を取得するとともに、
この取得した無彩色のパッチの輝度を徐々に変化させた
パッチと輝度を調整した墨色のパッチとを比較して印刷
データの基準量からの偏差を取得し、この基準量からの
偏差に応じて同基準量を修正することにより色バランス
のとれた調整を実施することが可能な印刷制御プログラ
ムを記録した媒体を提供することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面にもとづいて本発明の
実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態にか
かる印刷制御方法を適用した画像処理システムをブロッ
ク図により示しており、図2は具体的ハードウェア構成
例をブロック図により示している。図において、画像入
力装置10はカラー画像の色画像データを画像処理装置
20へ入力し、同画像処理装置20は同色画像データに
ついて画像処理する。そして、同画像処理装置20は接
続されているカラー画像出力装置30に画像出力データ
として出力する。ここにおいて、色画像データはカラー
画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に
強弱を表したものであり、有彩色であって所定の比で混
合したときには灰色に代表される無彩色と黒色とからな
る。
【0035】ここにおいて、画像入力装置10の具体例
はスキャナ11やデジタルスチルカメラ12あるいはビ
デオカメラ14などが該当し、画像処理装置20の具体
例はコンピュータ21とハードディスク22とキーボー
ド23とCD−ROMドライブ24とフロッピーディス
クドライブ25とモデム26などからなるコンピュータ
システムが該当し、カラー画像出力装置30の具体例は
プリンタ31やディスプレイ32等が該当する。ただ
し、本実施形態においては、これらのカラー画像出力装
置30のうちプリンタ31について特に詳細に説明して
いく。なお、モデム26については公衆通信回線に接続
され、外部のネットワークに同公衆通信回線を介して接
続し、ソフトウェアやデータをダウンロードして導入可
能となっている。
【0036】図3はカラーインクジェット方式のプリン
タ31の概略構成を示しており、印字インクとしてシア
ン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック
(K)の四色の色インクを使用するものであり、各色ご
とに印字ヘッドユニット31a1を備えている。このよ
うにして各色ごとに印字ヘッドユニット31a1が独立
しているため、各印字ヘッドユニット31a1ごとの機
体差によって出力特性にバラツキが生じ、色バランスが
崩れる要因ともなっている。
【0037】図4は各印字ヘッドユニット31a1にお
いて1ショットで使用される色インクのインク重量とそ
のIDによるクラス分けの対応表を示している。以下、
単にIDと呼ぶときには、各CMYに対応するIDのイ
ンク重量を指す。図に示すように、IDの範囲は「1」
〜「21」であり、中間の「11」が基準値となってい
る。かかる場合は、1ショットで使用されるインク重量
の基準量は、20.0〜20.5ナノグラム(ng)の
範囲であることが望まれる。なぜなら、プリンタ31の
場合はコンピュータ21内部で利用されるRGBデータ
に対して上述したCMYKの色インクを利用して印字す
ることになるが、その際に表色空間が異なるために色変
換を実行している。従って、同じ色を保持しつつ変換す
るためには、CMYKの印字ヘッドユニット31a1に
て1ショットに使用されるインク重量が一定の所定量で
あることを前提としており、この使用量が異なると上述
した出力特性のバラツキとなり色バランスが崩れる。
【0038】むろん、この使用量の差異を小さくするこ
とも可能であるが、印字ヘッドユニット31a1の製造
歩留まりを悪化させてしまうこととなる。従って、上記
基準量と実際に特定されるIDにおけるインク重量との
ずれを画像処理装置20の印刷データ修正手段がデータ
の状態で修正することにより、色バランスを向上させる
ことが可能になる。図から明らかなようにIDが小さい
ほどインク重量が重いので色インクをたくさん使用して
おり、逆にIDが大きいほど少しの色インクを使用して
いる。従って、IDが大きい場合にはデータが表す濃度
を濃いめにすれば、色バランスのずれを修正することに
なるし、逆にIDが小さい場合は濃度を薄めにすれば、
色バランスを修正することができるようになる。故に、
予め、IDに対応して図5に示すように入力データと出
力データとの間で変換される関数を用意しておき、この
関数に従ってデータの変換を行えば色バランスをとるこ
とができる。なお、図5に示す関数はよく知られている
γ補正のトーンカーブであり、256階調のRGBデー
タを前提とすれば、γ曲線はY=255×(X/25
5)**γとなる入出力関係を意味しており、γ=1に
おいて入出力間で修正を行わず、γ>1において入力に
対して出力が弱くなり、γ<1において入力に対して出
力が強くなる。
【0039】本実施形態においては、予めIDに対応し
て印刷結果が最もリニアになるトーンカーブのγ値を実
験によって求めてあり、各IDに対応したルックアップ
テーブルLUT1〜LUT21を生成してある。むろ
ん、修正の程度を変えつつ所定の傾向に従って修正する
トーンカーブとしては、γ補正に限られる必要はなく、
スプライン曲線などの他の手法であっても構わない。
【0040】プリンタ31の構成に戻ると、四つの印字
ヘッドユニット31a1からなる印字ヘッド31aの
他、この印字ヘッド31aを制御する印字ヘッドコント
ローラ31bと、当該印字ヘッド31aを桁方向に移動
させる印字ヘッド桁移動モータ31cと、印字用紙を行
方向に送る紙送りモータ31dと、これらの印字ヘッド
コントローラ31bと印字ヘッド桁移動モータ31cと
紙送りモータ31dにおける外部機器とのインターフェ
イスにあたるプリンタコントローラ31eとから構成さ
れている。
【0041】本実施形態においては、四色の色インクの
それぞれに印字ヘッドユニット31a1を割り当ててい
るが、図6に示すように二列の印字ノズルを有する三つ
の印字ヘッドユニット31a2にて構成することもでき
る。この印字ヘッドユニット31a2では供給する色イ
ンクを印字ノズルの列単位で変えることができ、この場
合は図示左方の印字ヘッドユニット31a2については
二列とも黒色インク(K)を供給し、図示右方の印字ヘ
ッドユニット31a2については左列にマゼンタ色イン
ク(M)を供給するとともに右列にイエロー色インク
(Y)を供給し、図示真ん中の印字ヘッドユニット31
a2については左列にシアン色インク(C)を供給する
とともに右列は不使用としている。
【0042】ここにおいて、各印字ヘッドユニット31
a2の左列と右列との製造誤差は比較的小さく、ほぼ無
視できる。従って、マゼンタとイエローの色インクの使
用量に偏りは見られないものの、シアンの色インクとの
間で同様の偏りが生じる可能性がある。また、同じ印字
ヘッドユニット31a2を利用して図7に示すような六
色の色インクを使用するような構成としても良い。この
場合、シアンとマゼンタについては濃色インク(C,
M)と淡色インク(c,m)とを使用するものとし、さ
らにイエローとブラックとを使用して合計六色となって
いる。
【0043】本実施形態においては、インクジェット方
式のカラープリンタ31について説明したが、色インク
を吐出させるためにはピエゾ素子によるマイクロポンプ
機構を採用しても良いし、インク吐出孔の内側壁面に備
えられたヒータによって気泡を発生させ、その膨張圧力
でインクを吐出させるようなものであっても構わない。
むろん、これら以外の方法で色インクを吐出させるもの
であっても良いし、あるいは、色インクを吐出させるの
ではなく、ヒータによってインクリボンに付着した色イ
ンクを溶融させて転写する熱転写タイプの印字ヘッドな
どについても適用可能である。ただし、この場合はイン
クリボンごとに印字ヘッドが異なっており、各印字ヘッ
ドごとに機体差が生じているようなものに適用される。
【0044】また、本実施形態においては、カラー画像
出力装置30としてカラー印刷可能なプリンタ31を使
用しているが、図8に示すディスプレイ32であると
か、図9に示すカラーファクシミリ機33や、図10に
示すカラーコピー機34などに適用可能である。この場
合、ディスプレイ32についてはRGBの各陰極線の出
力特性に偏差が生じることがあるし、カラーファクシミ
リ機33やカラーコピー機34などにおいてはプリンタ
31と同様に色インクやトナーなどの使用量に偏差が生
じることがある。さらに、本実施形態においては、プリ
ンタ31に対して色画像データを修正するコンピュータ
システムを使用しているが、図11に示すようにカラー
プリンタ35内にかかる色修正システムを内蔵し、ネッ
トワークなどから供給される色画像データを直に入力し
て印字するような構成も可能である。
【0045】一方、画像処理装置20を構成するコンピ
ュータ21は、図12に示すような色バランスのずれを
判断してプリンタドライバのルックアップテーブルを変
更する色バランス調整プログラムをハードディスク22
に備えており、必要時に実行可能となっている。この色
バランス調整プログラムでは、後述するテストパターン
を印刷するステップS110,S130,S160,S
190と、ユーザーたる作業者が要素色の影響のない無
彩色を選択するステップS120,S200と、背景と
輝度が一致するテストパターンを選択するS140,S
170と、選択結果に応じた所定のルックアップテーブ
ルを利用するステップS150,S180と、選択結果
に従ってプリンタドライバの設定を行うステップS20
5とを備えている。
【0046】以下、これらについて詳述する。ステップ
S110では第一段階のテストパターンであるカスタム
Aパターンを印刷させる。ここで、図13はカスタムA
パターンを示しており、CMYの成分データが少しずつ
異なる円形の複数の灰色パッチ「A1」〜「D18」から構
成されている。また、同図13はCMYKデータの%表
示で成分データを表示しており、図14はそれを一覧で
示している。それぞれの灰色パッチのCMYの成分デー
タについては所定の規則性に従って少しずつ変化させて
あり、中央の灰色パッチにおいて成分データが均等して
おり、紙面上方に向かうにつれて赤(R)成分が大きく
なるとともに下方に向かうにつれて同赤成分が小さくな
り、また、紙面左下方向に向かうにつれて緑(G)成分
が大きくなるとともに右上方向に向かうにつれて同緑成
分が小さくなり、また、紙面右下方向に向かうにつれて
青(B)成分が大きくなるとともに左上方向に向かうに
つれて同青成分が小さくなっている。
【0047】すなわち、上方から下方に向かう方向に要
素色たる赤成分の座標軸を設定するとともに、左斜め下
方から右斜め上方に向かう方向に要素色たる緑成分の座
標軸を設定するとともに、右斜め下方から左斜め上方に
向かう方向に要素色たる青成分の座標軸を設定し、これ
らの座標軸によって定まる座標に比例して各成分データ
が増減している。従って、このカスタムAパターン内に
おいて全ての要素色の色バランスを一定の範囲内で変化
させた全ての組が表示されることになる。むろん、この
CMYの成分データ通りに色インクが吐出されれば中央
のA1の灰色パッチが無彩色に見え、中央から離れるに
従って色バランスのずれの量も大きくなっている。従っ
て、その周縁では要素色の色バランスが崩れて、いずれ
かの要素色の影響が表れた灰色となるはずである。
【0048】しかしながら、印字ヘッドユニット31a
1におけるインクの使用量に偏りがある場合には、予定
通りの色インクが吐出されないため、A1の灰色パッチ
ではなく、他の灰色パッチにおいて色バランスが正常に
なる、すなわち、無彩色のパッチとなる。その関係を逆
算した対応関係を図15に示している。例えば、A1が
無彩色に見えるのであれば、シアンの色インクの使用量
のIDは「11」となり、マゼンタの色インクの使用量
のIDは「11」となり、イエローの色インクの使用量
のIDは「11」となるのでまさしく各要素色の使用量
が均衡していることになるが、C4が無彩色に見えるの
であれば、シアンの色インクの使用量のIDは「11」
となり、マゼンタの色インクの使用量のIDは「15」
となり、イエローの色インクの使用量のIDは「7」と
なっていることが分かる。すなわち、イエロー、シア
ン、マゼンタの順で吐出するインク重量が少しずつ小さ
くなっており、各要素色間の実際の吐出量における強弱
の偏差が分かる。そして、ステップS120にてユーザ
ーは、カスタムAパターンの中から無彩色と思われる灰
色パッチを選択してキーボード23からコンピュータ2
1に対して入力する。
【0049】なお、灰色パッチは中央のA1と、その一
回り外のB1〜B6と、さらに一回り外のC1〜C12
と、最外周のD1〜D16とから構成されているが、ハ
ードウェアのチェックでは必ずC1〜C12よりも外側
にずれないようにしている。それにもかかわらずD1〜
D16を印字するのは、無彩色を選択する際に一定の傾
向で成分データがずれる複数の灰色パッチにおいて両側
の灰色パッチと比較することによって正確に判断できる
事実に鑑み、必ず両側に灰色パッチが存在するようにす
るためである。本実施形態において、図13に示すカス
タムAパターンの背景は、印刷される用紙そのものの白
色であって、この白色を背景にしてそれぞれの灰色パッ
チをCMYの各要素色で印刷する構成を採用している。
しかし、灰色パッチがたくさん並ぶと、無彩色であるか
否かの判断を付けにくくなる場合があり、特に、紙色や
照明の加減によっては分かりにくくなる可能性がある。
従って、この灰色パッチの背景に黒色インクにより所定
の輝度を有するとともに輝度の差が生じにくい横縞パタ
ーンにて印刷されたリファレンスパッチを印刷し、この
背景と灰色パッチを対比することによって基準の背景と
対比しつつ無彩色の確認させてもよく、かかる場合は灰
色パッチの中から無彩色のパッチを選択する際の正確度
を向上させることが可能である。
【0050】本実施形態においては、所定の輝度を有す
るとともに輝度の差が生じにくい形態として、黒色イン
クによる所定の間隔を備える横縞パターンの構成を採用
しているが、むろん、この構成に限定されるものではな
く、別のパターンであってもよい。例えば、所定の規則
に従って所定の大きさの黒色インクによる十字形を散り
ばめた千鳥パターンであってもよい。すなわち、肉眼で
認識可能な所定のパターンを所定の面積比によって構成
することにより、輝度のバラツキを発生しないようにし
た形態であればよい。
【0051】一方、CMYKの四色を利用するカラープ
リンタの場合、カラーモードでは黒色の成分をコンピュ
ータ21の側で制御できない場合が多い。しかしなが
ら、印刷モードによっては黒色を入れないであるとか、
白黒で印刷するといったモードの選択が可能である場合
があり、図13に示すカスタムAパターンにおいても灰
色パッチの部分では黒色を入れないで要素色だけで印刷
し、上記リファレンスパッチの部分を白黒モードとして
黒色インクだけで印刷する。従って、カスタムAパター
ンを印刷し、その中から要素色の影響を受けない無彩色
のパッチを選択させることによって各要素色間の成分デ
ータの偏差が判明できるようにするものであるから、か
かるパターンが各要素色間の階調を徐々に変化させた複
数のパッチであるとともに、かかるパターンを印刷する
処理と、各要素色の影響が表れていない無彩色のパッチ
を選択して入力しつつ、各要素色間の偏差を取得する処
理が第一の有彩色偏差取得手段を構成する。
【0052】次に、ステップS130では第二段階のテ
ストパターンであるカスタムBパーンを印刷させる。こ
のテストパターンでは、第一の有彩色偏差取得手段にて
取得した無彩色の灰色パッチにおける各要素色の合計輝
度を取得するための基準輝度を黒色インクによるパッチ
にて取得する。図17はこのカスタムBパターンを示し
ており、背景全面に印刷された黒色インクを使用した輝
度の差が生じにくい横縞パターンで所定の輝度を有する
リファレンスパッチと、この背景上に印刷された黒色イ
ンクの成分データについて濃度が少しずつ異なるモノト
ーンパターンであって短冊形をした複数の黒色パッチ
「1」〜「11」とから構成されている。それぞれの黒色パ
ッチ「1」〜「11」の濃度データについては所定の規則性
に従って少しずつ変化させてあり、中央の黒色パッチ
「6」において濃度データを均等にしており、紙面上方に
向かうにつれて濃度が薄くなるとともに下方に向かうに
つれて同濃度が濃くなっている。
【0053】そして、ステップS140にてユーザー
は、カスタムBパターンの中から背景と輝度が一致する
黒色パッチを選択してキーボード23からコンピュータ
21に対して入力する。従って、カスタムBパターンを
印刷し、その黒色パッチ「1」〜「11」の中から背景と輝
度が一致するものを選択させることによって上記第一の
有彩色偏差取得手段における無彩色の上記合計輝度を取
得する基準輝度を決定するものであるから、かかるリフ
ァレンスパッチおよび黒色パッチを印刷する処理と、こ
のリファレンスパッチと輝度が一致する黒色パッチを選
択して入力しつつ黒色インクの基準量からの偏差を取得
する処理が無彩色偏差取得手段を構成する。
【0054】ところで、上述したカスタムAパターンで
無彩色と感じられる灰色パッチを選択した場合、その強
弱の程度も分かった感じもするが、その灰色パッチの輝
度が最適であるとは限られない。従って、同コンピュー
タ21は次のステップS150にて、ステップS120
およびS140における入力に対応した修正用ルックア
ップテーブルを選択し、ステップS160にて第三段階
のテストパターンである図18に示すカスタムCパター
ンを印刷する。このカスタムCパターンは、背景全面に
印刷されたステップS140にて決定した黒色インクに
よる所定の輝度を有するモノトーンパターンのリファレ
ンスパッチと、この背景上に印刷された上記第一の有彩
色偏差取得手段にて取得したCMYの成分データについ
て濃度が少しずつ異なる短冊形をした複数の灰色パッチ
「1」〜「11」とから構成されている。
【0055】それぞれの灰色パッチ「1」〜「11」の濃度
データについては所定の規則性に従って少しずつ変化さ
せてあり、中央の灰色パッチ「6」において濃度データを
均等にしており、紙面上方に向かうにつれて濃度が薄く
なるとともに下方に向かうにつれて同濃度が濃くなって
いる。ここで、ステップS170にてユーザーは、カス
タムCパターンの中から背景と輝度が一致する灰色パッ
チを選択してキーボード23からコンピュータ21に対
して入力する。従って、カスタムCパターンを印刷する
ことにより、その灰色パッチ「1」〜「11」の中から背景
と輝度が一致するものを選択させることによって、上記
第一の有彩色偏差取得手段で選択された無彩色の灰色パ
ッチの各要素色の正確な合計輝度を取得するものである
から、かかるリファレンスパッチおよび灰色パッチを印
刷する処理と、このリファレンスパッチと輝度が一致す
る灰色パッチを選択して入力しつつ各要素色の基準量か
らの偏差を取得する処理が第二の有彩色偏差取得手段を
構成する。
【0056】そして、最後により正確な色バランスの取
得を行うために同コンピュータ21は次のステップS1
80にてステップS120,S140およびS170に
おける入力に対応した修正用ルックアップテーブルを選
択し、ステップS190にて第四段階のテストパターン
である図示しないカスタムDパターンを印刷させる。こ
のカスタムDパターンは、形態をカスタムAパターンと
同一としカスタムBパターンで選択した所定の輝度を有
する黒色パッチを背景に印刷するとともに、カスタムC
パターンにて選択した灰色パッチの成分データを中央の
灰色パッチ「A1」に配置し、CMYの成分データが少し
ずつ異なる円形の複数の灰色パッチ「A2」〜「D18」を
印刷する。ここで、それぞれの灰色パッチ「A1」〜「D
18」のCMYの成分データについては所定の規則性に
従って少しずつ変化させ、紙面上方に向かうにつれて赤
(R)成分が大きくなるとともに下方に向かうにつれて
同赤成分が小さくなり、また、紙面左下方向に向かうに
つれて緑(G)成分が大きくなるとともに右上方向に向
かうにつれて同緑成分が小さくなり、また、紙面右下方
向に向かうにつれて青(B)成分が大きくなるとともに
左上方向に向かうにつれて同青成分が小さくなってい
る。
【0057】すなわち、上方から下方に向かうに方向に
要素色たる赤成分の座標軸を設定するとともに、左斜め
下方から右斜め上方に向かうに方向に要素色たる緑成分
の座標軸を設定するとともに、右斜め下方から左斜め上
方に向かうに方向に要素色たる青成分の座標軸を設定
し、これらの座標軸によって定まる座標に比例して各成
分データが増減している。従って、このカスタムDパタ
ーン内において全ての要素色の色バランスを一定の範囲
内で変化させた全ての組が表示されることになる。かか
る場合、カスタムAパターンにおける無彩色の灰色パッ
チの選択により無彩色の度合いはかなり絞り込まれてい
る。従って、さらにより無彩色の灰色パッチを選択する
ために、CMYの成分データの規則性のある変化はカス
タムAパターンより変化量が小さいことはいうまでもな
い。そして、ステップS200にてユーザーは、カスタ
ムDパターンの中から無彩色と思われる灰色パッチを選
択してキーボード23からコンピュータ21に対して入
力する。
【0058】すると、ステップS205において最終的
に選択された灰色パッチに該当するCMYのIDに従っ
て修正用ルックアップテーブルが決定され、プリンタド
ライバが色変換に使用する色変換用ルックアップテーブ
ルに組み込むべく同プリンタドライバに設定する。ここ
で、図16はプリンタドライバのフローチャートを示し
ている。最初に、ラスタライズされた印刷データを入力
したら、ステップS210にてRGBデータからCMY
Kデータへと色変換する。このときに各成分毎に修正用
ルックアップテーブルを参照し、修正してから本来の色
変換用ルックアップテーブルを参照しても構わないが、
予め色変換用ルックアップテーブルの中身を修正用ルッ
クアップテーブルの内容で書き換えておけば、色変換用
ルックアップテーブルを参照するだけで修正と色変換と
が実行されることになる。
【0059】すなわち、修正用ルックアップテーブルを
参照してから色変換用ルックアップテーブルを参照する
場合であっても、また、書き換えた色変換用ルックアッ
プテーブルを参照する場合であっても、ステップS21
0の色変換を実施することにより、色画像データは色の
同一性を失って変換されることになる。しかし、このよ
うに色の同一性を失っているにもかかわらず、そのデー
タに従って印字ヘッドユニット31a1にて色インクが
吐出された場合にはインク使用量の偏差によって元の色
を再現することができるようになる。すなわち、かかる
色変換こそが本実施形態において印刷データ修正手段を
構成する。そして、色変換が行われたらステップS22
0にて256階調から二階調へと二値化し、ステップS
230にて印刷することになる。
【0060】なお、上述した色バランス調整プログラム
やプリンタドライバなどはインストールプログラムとと
もにフロッピーディスクやCD−ROMなどのプログラ
ム記録媒体に記録されて頒布され、コンピュータ21に
プリンタ31を接続した後、同フロッピーディスクをフ
ロッピーディスクドライブ25にセットしたり、CD−
ROMをCD−ROMドライブ24にセットしてインス
トールされる。すなわち、セットアップ後、インストー
ルプログラムはアプリケーションとして実行され、プリ
ンタドライバや色変換ルックアップテーブルなどをハー
ドディスク22上に展開することになる。むろん、イン
ストールはかかるフロッピーディスクやCD−ROMな
どの具体的な媒体に限らず、モデム26を介して公衆通
信回線などを介してインストールすることも可能であ
る。
【0061】次に、上記構成からなる本実施形態の動作
を説明する。最初にプリンタを設置するときや、ユーザ
ーが色バランスのずれに気づいたような場合、所定の操
作手順に従って図12に示す色バランス調整のプログラ
ムを実行する。すると、コンピュータ21はステップS
110にてプリンタ31に対して図14に示す成分デー
タを出力してカスタムAパターンを印刷させる。ユーザ
ーはそれぞれの灰色パッチを見て要素色の影響のないも
の、すなわち無彩色に見える灰色パッチを選択し、ステ
ップS120にてコンピュータ21に入力する。このと
き、カスタムAパターンにおいては灰色パッチの並びと
成分データの変化の度合いに規則性があるため、二つ並
んだいずれかが無彩色に近いか分かりにくい場合にはそ
の並び方向の直線上にある離れた二つの灰色パッチを比
較して中間を選択するといったことも可能である。
【0062】そして、このカスタムAパターンにて選択
された無彩色の灰色パッチの輝度を調整する前段階とし
て、基準となる黒色インクの輝度の調整を行う。このと
き、コンピュータ21はステップS130にてプリンタ
31に対して図17に示す黒色インクによる所定間隔の
横縞パターンのリファレンスパッチと同黒色インクの濃
度データを規則的に変化させた黒色パッチとを出力して
カスタムBパターンを印刷させる。ユーザーはそれぞれ
の黒色パッチを見てリファレンスパッチと輝度が一致す
る黒色パッチを選択し、ステップS140にてコンピュ
ータ21に入力する。ユーザーがカスタムAパターンか
ら無彩色の灰色パッチを選択して入力するとともに、カ
スタムBパターンから輝度の一致する黒色パッチを選択
して入力したら、コンピュータ21はステップS150
にて入力された灰色パッチの記号に基づいて無彩色とな
った各要素色のIDを判断し、このIDから修正用ルッ
クアップテーブルを決定するとともに、ステップS16
0ではその修正用ルックアップテーブルを使用して、図
18に示す背景にカスタムBパターンで選択された黒色
インクによるモノトーンパターンで所定の輝度を有する
リファレンスパッチが背景に印刷され、複数の所定の灰
色パッチを備えるカスタムCパターンを印刷させる。
【0063】カスタムAパターンではCMYについて階
調値として「128」の場合での色バランスだけしか判
断できなかったが、このカスタムCパターンにおいて
は、色バランスがとれている各要素色の合計輝度を修正
することができる。この選択結果はステップS170に
て入力し、より正確な色バランスを取得するためにコン
ピュータ21は、ステップS170にて入力された灰色
パッチに基づいて輝度の適合した各要素色のIDを判断
し、このIDから修正用ルックアップテーブルを決定す
るとともに、ステップS180ではその修正用ルックア
ップテーブルを使用して、背景にカスタムBパターンで
選択された黒色インクによるモノトーンパターンで所定
の輝度を有するリファレンスパッチが背景に印刷され、
複数の所定の灰色パッチを備えるカスタムDパターンを
印刷させる。そして、ユーザーはそれぞれの灰色パッチ
を見て要素色の影響のないもの、すなわち無彩色に見え
る灰色パッチを選択し、ステップS200にてコンピュ
ータ21に入力する。
【0064】このとき、カスタムDパターンは、灰色パ
ッチの並びと成分データの変化の度合いに規則性がある
とともに、この変化の度合いがカスタムAパターンより
小さくなっているため、カスタムAパターンにて選択し
た無彩色の灰色パッチより、より無彩色に近い灰色パッ
チを選択することが可能になる。このステップS200
の入力によって、総合的に最も色バランスのとれた修正
用ルックアップテーブルを選択することになる。そし
て、コンピュータ21はステップS205にてプリンタ
ドライバに同修正用ルックアップテーブルを設定する。
従って、プリンタドライバに修正用ルックアップテーブ
ルが設定されれば、画像データを印刷する時に図21に
示すステップS210にて色変換するとプリンタ31に
おける出力特性の偏差を打ち消すように色変換されるこ
とになるため、ステップS220にて二値化してからス
テップS230にて印刷すると、本来のものに忠実に色
が再現されるようになる。
【0065】このように、印刷紙面上で要素色に対応す
る基準軸を設定しつつ各基準軸の座標に応じた成分デー
タを有する灰色パッチを印刷することにより、その中か
ら無彩色と思われるものを選択すれば、その灰色パッチ
の成分データに基づいて各印字ヘッドユニット31a1
ごとの出力特性の偏差を逆算できる。そして、要素色間
の偏差の傾向を取得するとともに、所定の輝度を備える
黒色インクを背景にしてこの選択した灰色パッチの濃度
を変化させた複数の灰色パッチを印刷し、背景と輝度が
一致する灰色パッチを選択することにより、各要素色の
基準量からの偏差を取得することが可能になるととも
に、これらの結果に基づいて偏差を打ち消すように画像
データを修正すれば元の色に忠実な色を再現することが
可能となる。また、印字ヘッドユニット31a1の機体
差による出力特性のバラツキを吸収することができるだ
けでなく、異なる機種においてそれぞれ第一段階から第
四段階までの工程を実施することにより、異機種間の出
力特性のバラツキも吸収することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷制御方法を適
用した画像処理システムのブロック図である。
【図2】同画像処理システムの具体的ハードウェア構成
例を示すブロック図である。
【図3】同画像処理システムで色ずれを判断することに
なるカラー画像出力装置としてのプリンタの概略ブロッ
ク図である。
【図4】同プリンタにて吐出する色インクのインク重量
とそのクラス分けの対応を示す図である。
【図5】クラス分けに対応した修正用ルックアップテー
ブルでの入出力の対応関係を示す図である。
【図6】プリンタの変形例を示す概略ブロック図であ
る。
【図7】プリンタの変形例を示す概略ブロック図であ
る。
【図8】他のカラー画像出力装置としてディスプレイを
示す図である。
【図9】他のカラー画像出力装置としてカラーファクシ
ミリを示す図である。
【図10】他のカラー画像出力装置としてカラーコピー
機を示す図である。
【図11】他のカラー画像出力装置としてネットワーク
などに接続可能なカラー印刷装置を示す図である。
【図12】色バランス調整プログラムのフローチャート
である。
【図13】カスタムAパターンをCMYKモードの成分
データで示す図である。
【図14】カスタムAパターンの成分データの対応関係
を示す図である。
【図15】カスタムAパターンで選択される灰色パッチ
に対応するIDを示す図である。
【図16】プリンタドライバのフローチャートである。
【図17】カスタムBパターンを示す図である。
【図18】カスタムCパターンを示す図である。
【符号の説明】
10…画像入力装置 20…画像処理装置 21…コンピュータ 22…ハードディスク 23…キーボード 24…CD−ROMドライブ 30…カラー画像出力装置 31…プリンタ 32…ディスプレイ 33…カラーファクシミリ機 34…カラーコピー機 35…カラープリンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/21 B41J 2/205 H04N 1/46 H04N 1/60

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像をドットマトリクス状の各画素とし
    て表すとともに、各画素毎に色調を階調表現した印刷デ
    ータを入力したとき、記録媒体に対して有彩色からなる
    要素色と墨色とに対応した記録材でドットを付してドッ
    トマトリクス状の元画像を再現するにあたり、ドットを
    付す記録材の使用量に基準量からずれを生じうる複数の
    印刷機構を備えた印刷装置に対して、上記印刷データを
    出力する印刷制御方法であって、 上記各要素色の階調を上記生じうるずれの程度の範囲で
    徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷させ
    るとともに、同複数のパッチに基づいて無彩色のパッチ
    を選択させて入力することにより各要素色間の偏差を取
    得する第一の有彩色偏差取得工程と、 上記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにくいドット
    パターンで所定の輝度の第一のリファレンスパッチを印
    刷させるとともに、所定のモノトーンパターンで階調を
    変化させた複数のパッチとを印刷させ、上記第一のリフ
    ァレンスパッチと輝度が一致するモノトーンパターンの
    パッチの階調を選択させて入力することにより墨色にお
    ける上記基準量からの偏差を取得する無彩色偏差取得工
    程と、 この無彩色偏差取得工程にて取得した偏差に基づいて上
    記モノトーンパターンで所定の輝度となるように第二の
    リファレンスパッチを印刷させるとともに、上記第一の
    有彩色偏差取得工程にて取得した偏差に基づいて各要素
    色の記録材を均等に使用しつつ上記第二のリファレンス
    パッチの輝度と一致しうる範囲で輝度を変化させた複数
    のパッチを印刷させるとともに、同複数のパッチに基づ
    いて上記第二のリファレンスパッチの輝度と一致するパ
    ッチを選択させて入力することにより各要素色の上記基
    準量からの偏差を取得する第二の有彩色偏差取得工程
    と、 上記無彩色偏差取得工程にて取得した墨色における偏差
    と上記第二の有彩色偏差取得工程にて取得した各要素色
    の偏差に基づいて適正量の記録材が付されるように上記
    印刷データを修正する印刷データ修正工程とを具備する
    ことを特徴とする印刷制御方法。
  2. 【請求項2】 上記請求項1に記載の印刷制御方法にお
    いて、 上記第一の有彩色偏差取得工程は、上記墨色の記録材を
    用いて輝度の差が生じにくいドットパターンで所定の輝
    度のリファレンスパッチを印刷させることを特徴とする
    印刷制御方法。
  3. 【請求項3】 上記請求項1または請求項2のいずれか
    に記載の印刷制御方法において、 上記第一の有彩色偏差取得工程は、所定の階調のパッチ
    を中心に配置し、この中心から所定角度方向に各要素色
    を対応させつつ、同中心から外側に向けて、同中心にな
    るパッチにおける各要素色の階調を徐々に変化させた複
    数の組み合わせのパッチを同変化に対応して規則的に配
    置することを特徴とする印刷制御方法。
  4. 【請求項4】 上記請求項1〜請求項3のいずれかに記
    載の印刷制御方法において、 上記無彩色偏差取得工程は、階調の変化が隣接するモノ
    トーンパターンを並べて配置することを特徴とする印刷
    制御方法。
  5. 【請求項5】 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の印刷制御方法において、 上記第二の有彩色偏差取得工程は、階調の変化が隣接す
    るモノトーンパターンを並べて配置することを特徴とす
    る印刷制御方法。
  6. 【請求項6】 上記請求項1に記載の印刷制御方法にお
    いて、 上記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにくいドット
    パターンは、所定間隔の墨色の横縞であることを特徴と
    する印刷制御方法。
  7. 【請求項7】 上記請求項1〜請求項6のいずれかに記
    載の印刷制御方法において、 上記第一,第二の有彩色偏差取得工程および無彩色偏差
    取得工程は、階調値に対応した所定の相対値を入力し、
    同相対値から上記階調値に変換することを特徴とする印
    刷制御方法。
  8. 【請求項8】 上記請求項1〜請求項7のいずれかに記
    載の印刷制御方法において、 上記印刷データ修正工程は、上記第一,第二の有彩色偏
    差取得工程にて入力されるパッチの階調値に対して、予
    め修正曲線のパラメータを対応付けておくとともに、同
    入力された階調値に基づいて同パラメータを決定して変
    換対応を特定することを特徴とする印刷制御方法。
  9. 【請求項9】 上記請求項1〜請求項8のいずれかに記
    載の印刷制御方法において、 上記印刷データ修正工程は、上記変換対応となる内容の
    色変換テーブルを生成し、印刷データに基づいて同色変
    換テーブルを参照して変換結果を取得することを特徴と
    する印刷制御方法。
  10. 【請求項10】 上記請求項1に記載の印刷制御方法に
    おいて、 上記無彩色偏差取得工程にて取得した偏差を上記基準量
    に加えたモノトーンパターンを背景に印刷させるととも
    に、上記第二の有彩色偏差取得工程にて取得した各要素
    色の上記基準量との偏差に基づいて同各要素色の階調を
    徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷し、
    同複数のパッチから上記背景と彩度が一致するパッチを
    選択させて入力することにより各要素色間の偏差を取得
    する第三の有彩色偏差取得工程を備えるとともに、上記
    印刷データ修正工程は、同偏差に基づいて上記印刷デー
    タを修正することを特徴とする印刷制御方法。
  11. 【請求項11】 上記請求項10に記載の印刷制御方法
    において、 上記第三の有彩色偏差取得工程は、各要素色の階調を徐
    々に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷する場
    合に、上記第一の有彩色偏差取得工程において各要素色
    の階調を徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチを
    印刷する場合より徐々に変化させる階調の変化量を小さ
    くすることを特徴とする印刷制御方法。
  12. 【請求項12】 上記請求項10に記載の印刷制御方法
    において、 上記第三の有彩色偏差取得工程は、所定の階調のパッチ
    を中心に配置し、所定角度方向に各要素色を対応させつ
    つ、同中心から外側に向けて、同中心になるパッチにお
    ける各要素色の階調を徐々に変化させた複数の組み合わ
    せのパッチを配置することを特徴とする印刷制御方法。
  13. 【請求項13】 画像をドットマトリクス状の各画素と
    して表すとともに、各画素毎に色調を階調表現した印刷
    データを入力したとき、記録媒体に対して有彩色からな
    る要素色と墨色とに対応した記録材でドットを付してド
    ットマトリクス状の元画像を再現するにあたり、ドット
    を付す記録材の使用量に基準量からずれを生じうる複数
    の印刷機構を備えた印刷装置に対して、上記印刷データ
    を出力する印刷制御装置であって、 上記各要素色の階調を上記生じうるずれの程度の範囲で
    徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷させ
    るとともに、同複数のパッチに基づいて無彩色のパッチ
    を選択させて入力することにより各要素色間の偏差を取
    得する第一の有彩色偏差取得手段と、 上記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにくいドット
    パターンで所定の輝度の第一のリファレンスパッチを印
    刷させるとともに、所定のモノトーンパターンで階調を
    変化させた複数のパッチとを印刷させ、上記第一のリフ
    ァレンスパッチと輝度が一致するモノトーンパターンの
    パッチの階調を選択させて入力することにより墨色にお
    ける上記基準量からの偏差を取得する無彩色偏差取得手
    段と、 この無彩色偏差取得手段にて取得した偏差に基づいて上
    記モノトーンパターンで所定の輝度となるように第二の
    リファレンスパッチを印刷させるとともに、上記第一の
    有彩色偏差取得手段にて取得した偏差に基づいて各要素
    色の記録材を均等に使用しつつ上記第二のリファレンス
    パッチの輝度と一致しうる範囲で輝度を変化させた複数
    のパッチを印刷させるとともに、同複数のパッチに基づ
    いて上記第二のリファレンスパッチの輝度と一致するパ
    ッチを選択させて入力することにより各要素色の上記基
    準量からの偏差を取得する第二の有彩色偏差取得手段
    と、 上記無彩色偏差取得手段にて取得した墨色における偏差
    と上記第二の有彩色偏差取得手段にて取得した各要素色
    の偏差に基づいて適正量の記録材が付されるように上記
    印刷データを修正する印刷データ修正手段とを具備する
    印刷制御装置。
  14. 【請求項14】 画像をドットマトリクス状の各画素と
    して表すとともに、各画素毎に色調を階調表現した印刷
    データを入力したとき、記録媒体に対して有彩色からな
    る要素色と墨色とに対応した記録材でドットを付してド
    ットマトリクス状の元画像を再現するにあたり、ドット
    を付す記録材の使用量に基準量からずれを生じうる複数
    の印刷機構を備えた印刷装置に対して、上記印刷データ
    を出力する印刷制御プログラムを記録した媒体であっ
    て、 上記各要素色の階調を上記生じうるずれの程度の範囲で
    徐々に変化させた複数の組み合わせのパッチを印刷させ
    るとともに、同複数のパッチに基づいて無彩色のパッチ
    を選択させて入力することにより各要素色間の偏差を取
    得する第一の有彩色偏差取得ステップと、 上記墨色の記録材を用いて輝度の差が生じにくいドット
    パターンで所定の輝度の第一のリファレンスパッチを印
    刷させるとともに、所定のモノトーンパターンで階調を
    変化させた複数のパッチとを印刷させ、上記第一のリフ
    ァレンスパッチと輝度が一致するモノトーンパターンの
    パッチの階調を選択させて入力することにより墨色にお
    ける上記基準量からの偏差を取得する無彩色偏差取得ス
    テップと、 この無彩色偏差取得ステップにて取得した偏差に基づい
    て上記モノトーンパターンで所定の輝度となるように第
    二のリファレンスパッチを印刷させるとともに、上記第
    一の有彩色偏差取得ステップにて取得した偏差に基づい
    て各要素色の記録材を均等に使用しつつ上記第二のリフ
    ァレンスパッチの輝度と一致しうる範囲で輝度を変化さ
    せた複数のパッチを印刷させるとともに、同複数のパッ
    チに基づいて上記第二のリファレンスパッチの輝度と一
    致するパッチを選択させて入力することにより各要素色
    の上記基準量からの偏差を取得する第二の有彩色偏差取
    得ステップと、 上記無彩色偏差取得ステップにて取得した墨色における
    偏差と上記第二の有彩色偏差取得ステップにて取得した
    各要素色の偏差に基づいて適正量の記録材が付されるよ
    うに上記印刷データを修正する印刷データ修正ステップ
    とを具備することを特徴とする印刷制御プログラムを記
    録した媒体。
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