JP3611162B2 - 印刷処理システム、印刷処理方法および印刷処理プログラム - Google Patents
印刷処理システム、印刷処理方法および印刷処理プログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷処理システム、印刷処理方法および印刷処理プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータを利用してプリンタでカラー印刷する印刷処理システムにおいては、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷している。この場合、コンピュータの側ではカラー画像を赤緑青(RGB)の成分に色分解したRGBデータを使用し、プリンタではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の三色あるいはこれにブラック(K)を加えた四色に色分解したCMY(K)データを使用する。このため、RGBデータからCMYデータへと色変換する必要があり、色の同一性を保持しつつ色空間を変換する色変換を行っている。また、コンピュータで利用している階調数と、プリンタで利用可能な階調数とに差があることが多く、各種の手法に従って階調変換する作業も行っている。そして、これらの処理を経て印刷データとなり、プリンタへ出力されている。
【0003】
この場合、色変換や階調変換という処理を経て印刷データとなっているが、従来のものは階調変換手法については処理を選択できるものの、いったん選択したら特に変更しない限り常にその手法に従って処理が行われていた。
【0004】
一方、コンピュータで利用されるアプリケーションにおいては、当該アプリケーション内で画像データに各種の修正を施すものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の印刷処理システムにおいては、色に関しては国別に色温度を設定するなど好みの問題が大きいにも関わらず、予め定められた処理に従ってしか印刷処理を行なえず、複数の人が同じプリンタを利用する場合は全ての人に満足いく印刷物を提供することが難しいという課題があった。
【0006】
一方、アプリケーションによっては画像に修正を施すという意味で好みに応じて色合いを修正したり、修正方法を選択可能なものもあるが、必ずそのアプリケーションを使用しなければならず、通常の印刷処理に利用可能であるとはいえなかった。
【0007】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、好みによって満足度が異なる印刷物の特性に鑑みて、各人に満足を与えることが可能な印刷処理システム、印刷処理方法および印刷処理プログラムの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置と、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する印刷制御装置とからなる印刷処理システムであって、上記印刷制御装置は、上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルを保存可能な設定データ保存手段と、上記複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを紙面に印刷させる第1テストパターン印刷手段と、利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択手段と、同第1設定データ選択手段にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷手段と、同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択手段と、上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力手段とを具備する構成としてある。
【0009】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置と、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する印刷制御装置とからなる印刷処理システムを提供する。このとき、印刷制御装置に設定データ保存手段と、パターン印刷手段と、第1設定データ選択手段と、印刷データ出力手段とを備えさせる。ここで、設定データ保存手段は、上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルを保存する。このとき、パターン印刷手段では、この複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを紙面に印刷させる。そして、第1設定データ選択手段では、利用者がこの印刷された第1テストパターンから選択した所定の灰色パッチを入力し、また、第2テストパターンを印刷させる。印刷データ出力手段は、印刷用色画像データを第2設定データ選択手段にて入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを印刷装置に出力する。これによって、利用者の好みに対応した印刷物を得ることが可能になる。
【0010】
上述した第1テストパターンの一例として、請求項2にかかる発明は、上記パターン印刷手段は、上記要素色の成分データが少しずつ異なる円形の複数の灰色パッチから構成される第1テストパターンを印刷させる構成としてある。 上記のように構成した請求項2にかかる発明においては、パターン印刷手段にて各要素色の成分データが少しずつ異なる円形の複数の灰色パッチから構成される第1テストパターンを紙面上に印刷させる。
【0011】
第1テストパターンの構成の一例として、請求項3にかかる発明は、上記請求項2に記載の印刷処理システムにおいて、上記第1テストパターンは、上記灰色パッチの成分データについて所定の規則性に従って少しずつ変化させてあり、上記紙面の中央の灰色パッチにおいて成分データが均等しており、同紙面の上方に向かうにつれて赤(R)成分が大きくなるとともに下方に向かうにつれて同赤成分が小さくなり、また、同紙面の左下方向に向かうにつれて緑(G)成分が大きくなるとともに右上方向に向かうにつれて同緑成分が小さくなり、また、同紙面の右方向に向かうにつれて青(B)成分が大きくなるとともに左上方向に向かうにつれて青成分が小さくなるようにように各灰色パッチが表示される構成としてある。
【0012】
上記のように構成した請求項3にかかる発明においては、第1テストパターンを灰色パッチの成分データについて所定の規則性に従って少しずつ変化させた構成とする。かかる場合、灰色パッチを配置するに際して、紙面の中央の灰色パッチにおいては成分データを均等にする。そして、紙面の上方に向かうにつれて灰色パッチの赤(R)成分を大きくするとともに下方に向かうにつれて同赤成分を小さくする。また、紙面の左下方向に向かうにつれて灰色パッチの緑(G)成分を大きくするとともに右上方向に向かうにつれて同緑成分を小さくする。さらに、同紙面の右方向に向かうにつれて灰色パッチの青(B)成分を大きくするとともに左上方向に向かうにつれて青成分を小さくする。
【0013】
また、印刷処理システムにおいて、上記パターン印刷手段は、上記第1設定データ選択手段にて選択された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させ、上記第2設定データ選択手段は、同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力するとともに、上記印刷データ出力手段は、同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで上記印刷用色画像データを変換した印刷データを上記印刷装置に出力する。
【0014】
上記のような構成においては、第2テストパターン印刷手段は、第2テストパターンとして第1テストパターンにて選択された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させた灰色パッチを印刷する。かかる場合、紙面上縦方向にその修正用ルックアップテーブルを変化させて印刷させる。そして、第2設定データ選択手段は、この第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力するとともに、印刷データ出力手段は、同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで印刷用色画像データを変換した印刷データを印刷装置に出力する。
【0015】
一方、上述したようにして、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置に対して、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する手法は、実体のある装置に限定される必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。
【0016】
このため、請求項4にかかる発明は、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置に対して、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する印刷処理方法であって、上記印刷制御装置の所定の記憶領域に保存されている上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを印刷させる第1テストパターン印刷工程と、利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択工程と、同第1設定データ選択工程にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷工程と、同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択工程と、上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力工程とを具備する構成としてある。
すなわち、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。
【0017】
ところで、このような印刷処理システムは単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。むろん、かかるソフトウェアとしてはアプリケーションレベルのものでも良いし、プリンタドライバのようなものでも良い。発明の思想の具現化例として印刷処理システムのソフトウェアとなる場合には、かかる機能をコンピュータにて実現するプログラムとしても当然に存在し、利用されるといわざるをえない。
【0018】
その一例として、請求項5にかかる発明は、カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置に対して、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する機能をコンピュータにて実現可能にする印刷処理プログラムであって、上記印刷制御装置の所定の記憶領域に保存されている上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを印刷させる第1テストパターン印刷機能と、利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択機能と、同第1設定データ選択機能にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷機能と、同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択機能と、上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力機能とを具備する構成としてある。
【0019】
また、このプログラムを記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。その他、供給方法として通信回線を利用して行なう場合でも本発明が利用されていることにはかわりない。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものはなく、一部を記録媒体上に記録しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷処理システムの適用例をブロック図により示しており、図2は具体的ハードウェア構成例をブロック図により示している。
【0021】
図において、画像入力装置10はカラー画像の色画像データを画像処理装置20へ入力し、同画像処理装置20は同色画像データについて内部にて各種の画像処理を行う。この画像処理には印刷処理も含まれるため、当該画像処理装置20は印刷制御装置も兼用している。印刷処理に関し、同画像処理装置20にはカラー印刷可能な印刷装置30が接続されており、同画像処理装置20は同印刷装置30に印刷データを出力する。むろん、これらの印刷制御装置(画像処理装置20)と印刷装置30にて印刷処理システムを構成し、印刷制御装置(画像処理装置20)はカラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置30が入力可能な印刷データとして出力するし、印刷装置30はカラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する。
【0022】
ここにおいて、画像入力装置10の具体例はスキャナ11やデジタルスチルカメラ12あるいはビデオカメラ14などが該当し、画像処理装置20の具体例はコンピュータ21とハードディスク22とキーボード23とCD−ROMドライブ24とフロッピーディスクドライブ25とモデム26とディスプレイ27などからなるコンピュータシステムが該当する。
【0023】
また、同コンピュータシステムには通信回線40を介して複数の印刷装置30が接続されており、各印刷装置30の具体例はカラーインクジェット方式のプリンタ31となっている。ここにおいて同プリンタ31は破線で示す他のコンピュータシステムを介して同通信回線40に接続されている。
【0024】
本実施形態においては、通信回線40を介して複数のプリンタ31を一台のコンピュータ21に接続しているが、通信回線40を介して複数のコンピュータ21が一台のプリンタ31に接続する構成とするものであっても良いし、コンピュータ21とプリンタ31とが1:1で接続される構成とするものであっても良い。
【0025】
コンピュータシステムにおけるハードディスク22には図3に示すように設定データとしての複数の修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21が記録されている。各修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21は、図4に示すように色画像データを構成するRGBデータの変換テーブルであり、各修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21は後述するようにプリンタ31に付された所定のIDに関連づけられて利用可能となっている。
【0026】
図5はカラーインクジェット方式のプリンタ31の概略構成を示しており、印字インクとしてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の四色の色インクを使用するものであり、各色ごとに印字ヘッドユニット31a1を備えている。このようにして各色ごとに印字ヘッドユニット31a1が独立しているため、各印字ヘッドユニット31a1ごとの機体差によって出力特性にバラツキが生じ、色ずれの要因ともなっている。
【0027】
図6は各印字ヘッドユニット31a1において1ショットで使用される色インクのインク重量とそのクラス分けの対応表を示している。本実施形態においては、このインク重量のクラス分けをIDと呼んでいる。図に示すように、IDの範囲は「1」〜「21」であり、中間の「11」が基準値となり、本来は1ショットで使用されるインク重量は20.0〜20.5ナノグラム(ng)の範囲であることが望まれる。プリンタ31の場合はコンピュータ21内部で利用されるRGBデータに対して上述したCMYKの色インクを利用して印字することになるが、その際に表色空間が異なるがために色変換する。従って、同じ色を保持しつつ変換するためにはCMYKが所定量だけ利用されることが前提となり、この使用量のずれは色ずれの原因となってくる。
【0028】
むろん、製造精度を上げてこのずれを小さくすることも可能であるが、印字ヘッドユニット31a1の製造歩留まりを悪化させてしまう。従って、基準値と実際のIDとのずれを画像処理装置20におけるプリンタドライバで修正することにより、ずれを解消させる。図から明らかなようにIDが小さいほどインク重量が重いので色インクをたくさん使用しており、逆にIDが大きいほど少しの色インクを使用している。従って、IDが大きい場合にはデータが表す濃度を濃いめにすればずれを打ち消すことになるし、逆にIDが小さい場合は濃度を薄めにすれずれを打ち消すことができるようになる。このようなずれを打ち消す変換テーブルが図4に示した修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21である。
【0029】
なお、図4に示す関数はよく知られているγ補正のトーンカーブであり、256階調のRGBデータを前提とすれば、γ曲線はY=255×(X/255)**γとなる入出力関係を意味しており、γ=1において入出力間で強調を行わず、γ>1において入力に対して出力が弱くなり、γ<1において入力に対して出力が強くなる。本実施形態においては、予めIDに対応して印刷結果が最もリニアになるトーンカーブのγを実験によって求めてあり、各IDに対応した修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を生成してある。むろん、強調程度を変えつつ所定の傾向に従って強調するトーンカーブとしては、γ補正に限られる必要はなく、スプライン曲線などの他の手法であっても構わない。
【0030】
また、印字ヘッドユニット31a1にはこのようなクラス分けのIDを記憶するPROMが備えられており、この印字ヘッドユニット31a1を制御する印字ヘッドコントローラ31bには各印字ヘッドユニット31a1を駆動する印字ヘッド駆動部31b1とともに上記PROMエリアへの書き込みと読み出しを行うためのPROMインターフェイス31b2が備えられている。
【0031】
また、このようなPROMエリアは必ずしも印字ヘッドユニット31a1に備えなければならないわけではなく、少なくともプリンタ31内に装着してあればよく、図5の二点鎖線に示すように印字ヘッド31aとは別個に備えても良い。
ただし、印字ヘッドユニット31a1に備えられている場合には少なくとも当該印字ヘッドユニット31a1を組み上げた状態で検査して吐出量を計測したデータを保持できるというメリットがある。特に、印字ヘッドと色インクタンクとが一体的に形成されるようなものにおいては、かかるカートリッジごとにデータを記録するようにしてもよい。
【0032】
さらに、このようなデータを記録するという意味ではディップスイッチのようなものを備えてプリンタコントローラ31eに接続し、計測時に作業者が同ディップスイッチを設定するようにしても良い。このようにすれば同プリンタコントローラ31eを介して同ディップスイッチの設定内容を読みとることができ、同データを偏差として入力できるからである。
【0033】
ここで、このような印字ヘッド31aのPROMエリアへの上記IDの書き込みについて説明する。この書き込みの手順は、図7に示す工場設定の手順書に示している。同図に示すように、最初の手順S11では色インク吐出量を計測し、次の手順S12にて計測したインク重量に相当するIDをPROMに書き込む。
計測時には所定のショット数で吐出されるインク重量を計測し、ショット数で除算して求める。
【0034】
一方、このようにインク重量を直に計測するものであっても良いが、所定数のショットで印字したパッチの濃度を計測し、同濃度からインク重量を換算することも可能である。この場合、印字ヘッド31aを組み付けた状態で全ての印字ヘッドユニット31a1にシアン色インクを供給し、所定の用紙に25%といった適当な密度で図8に示すようにベタのパッチを印刷させ、その濃度を濃度計で測定する。むろん、図に示す四つのパッチは四つの印字ヘッドユニット31a1のそれぞれだけで印字する。全ての印字ノズルが同じシアン色インクを吐出するようにしているため、測定される濃度は印字ノズルごとの吐出量に概ね比例する。
この結果、図9に示すように各ノズルが25%の基準で印字するようにしているにもかかわらず、計測された濃度にはバラツキが生じる。この例で言えば、マゼンタとイエローに使用することになる印字ヘッドユニット31a1の吐出量がやや少なく(23%)、シアンに使用することになる印字ヘッドユニット31a1の吐出量がやや多く(27%)なっており、ブラックに使用することになる印字ヘッドユニット31a1の吐出量が基準値と一致している(25%)。
【0035】
一方、予めインク重量を精密計測しておいた印字ヘッドユニット31a1を使用して同様のパッチを印字させ、その場合の濃度も計測しておく。そして、これらの濃度が一致するインク重量をもって被計測対象の印字ヘッドユニット31a1のIDとする。
【0036】
プリンタ31にはこの印字ヘッド31aと印字ヘッドコントローラ31bの他、印字ヘッド31aを桁方向に移動させる印字ヘッド桁移動モータ31cと、印字用紙を行方向に送る紙送りモータ31dと、これらの印字ヘッドコントローラ31bと印字ヘッド桁移動モータ31cと紙送りモータ31dにおける外部機器とのインターフェイスにあたるプリンタコントローラ31eとから構成されている。
【0037】
本実施形態においては、四色の色インクのそれぞれに印字ヘッドユニット31a1を割り当てているが、二列の印字ノズルを有する三つの印字ヘッドユニットで構成することもできるし、シアンとマゼンタとに濃淡の二色のインクを割り当てて六色の色インクを使用したりすることもできる。この場合、各印字ヘッドユニットにおける二列のノズル間の製造誤差は比較的小さく、ほぼ無視できるが、印字ヘッドユニット毎の誤差が無視できない場合が多い。また、本実施形態においては、インクジェット方式のカラープリンタ31について説明したが、色インクを吐出させるためにはピエゾ素子によるマイクロポンプ機構を採用しても良いし、インク吐出孔の内側壁面に備えられたヒータによって気泡を発生させ、その膨張圧力でインクを吐出させるようなものであっても構わない。むろん、これら以外の方法で色インクを吐出させるものであっても良いし、あるいは、色インクを吐出させるのではなく、ヒータによってインクリボンに付着した色インクを溶融させて転写する熱転写タイプの印字ヘッドなどについても適用可能である。ただし、この場合はインクリボンごとに印字ヘッドが異なっており、各印字ヘッドごとに機体差が生じているようなものに適用される。
【0038】
このように印字ヘッドユニット31a1のPROMに記録されたIDは、コンピュータ21の側において読み込まれるが、かかる読み込みはオペレーティングシステム(OS)に組み込まれたLANドライバ(LANDRV)を介して行われる。すなわち、同LANドライバは通信回線40を介して上記プリンタ31と通信可能となっており、印刷データの出力のみならず、上述したような色インクの吐出量であるIDを読み出し可能となっている。さらに、このLANドライバを介して同データの読み出しを要求するのはプリンタドライバ(PRTDRV)であり、このプリンタドライバはアプリケーションから出力される印刷用色画像データを入力し、上記プリンタ31が入力可能な印刷データとして出力する。
【0039】
プリンタドライバはアプリケーションから印刷処理が実行されたときに起動され、図10に示すフローチャートに従って印刷データを生成する。
【0040】
起動されると、先ず、ステップS110にて印刷先となるプリンタ31が特定される。通常、先の印刷時に使用したプリンタ31が設定されるが、必要に応じて設定を変更していずれかのプリンタ31を特定すればよい。
【0041】
印刷するプリンタ31が特定されたらステップS120では同プリンタ31からIDを読み込む。このプリンタ31からのIDの読み込みは上述したようにLANドライバを使用して通信回線40を介して行われる。そして、IDが読み込まれたらハードディスク22内に同IDと対応して記録されている修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を読み込む。
【0042】
この修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21は各印字ヘッドユニット31a1におけるインク吐出量の偏差に対応して形成された変換テーブルであり、設定データといえる。従って、プリンタ31から読み込まれたIDによって複数の設定データのうちのいずれかが選択され、コンピュータ21に読み込まれたことになる。従って、かかる処理が設定データ選択手段を構成することになる。なお、この例では各印字ヘッドユニット31a1のIDに対応した修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を選択しているが、プリンタ31をこのIDの組み合わせなどによって識別可能としておき、図3に示す設定データをこのIDの組み合わせに対して修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を関連づけて保存するようにすることもできる。このようにすれば、プリンタ31を特定することによってそれに対応した設定を自動的に適用することができるようになる。
【0043】
読み込まれた修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を利用するには、印刷用色画像データを構成するRGBデータを同修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21で変換し、変換値を利用してさらに色変換することも可能である。しかしながら、ステップS140にてこのような変換テーブルを利用して色変換用ルックアップテーブルを書き換えることにより、ステップS150にて同色変換ルックアップテーブルを参照すれば印字ヘッドユニット31a1の機体差を解消しつつRGBデータをCMYKデータへと一度に変換可能となる。
【0044】
この後、通常のプリンタドライバと同様にステップS160にて256階調から2階調へと階調変換し、ステップS170にて印刷データをプリンタ31に出力する。この場合、プリンタ31では機体差によって印刷データが示すとおりの色再現ができないものの、この印刷データはプリンタ31の機体差を打ち消すように予め変換されているものであるから、打ち出された印刷物は色再現性の良いものとなっている。
【0045】
このプリンタドライバの場合、複数の設定データの中からいずれかの設定データを選択するとはいうものの、機体差を解消することを目的としているので、プリンタ31に書き込まれたIDに対応した一定の印刷結果が得られるに過ぎない。しかしながら、利用する修正用ルックアップテーブルをユーザーが選択できるようにすればユーザーの好みを反映した設定データを選択できることになる。
【0046】
図11はこのようなユーザーの好みを反映させるための設定データ処理に対応したフローチャートを示している。ユーザーの好みに対応する一例として、グレイを基準とする色ずれを各人の好みに対応させる処理を示している。むろん、このようなグレイ合わせ以外の色合わせに関する設定データの処理とすることもできる。
【0047】
この設定データ処理が起動された直後、ステップS210ではメニュー表示を行って処理を選択させる。すなわち、「終了」か、「グレイ合わせ」か、「設定読込」のいずれかを選択させる。ユーザーが「終了」を選択すればステップS220を経て当該設定データ処理を終了するし、「グレイ合わせ」を選択すればステップS230を経てステップS240にてLUT設定処理を実行する。
【0048】
以下、このLUT設定処理について詳述する。ステップS310では第一段階のテストパターンであるカスタムAパターンを印刷させる。カスタムAパターンを図13および図14に示しており、成分データが少しずつ異なる円形の複数の灰色パッチから構成されている。また、図13は256階調のRGBデータで成分データを表示しており、図14はCMYKデータの%表示で成分データを表示しており、図15はそれを一覧で示している。
【0049】
それぞれの灰色パッチの成分データについては所定の規則性に従って少しずつ変化させてあり、中央の灰色パッチにおいて成分データが均等しており、紙面上方に向かうにつれて赤(R)成分が大きくなるとともに下方に向かうにつれて同赤成分が小さくなり、また、紙面左下方向に向かうにつれて緑(G)成分が大きくなるとともに右上方向に向かうにつれて同緑成分が小さくなり、また、紙面右下方向に向かうにつれて青(B)成分が大きくなるとともに左上方向に向かうにつれて同青成分が小さくなる。すなわち、上方から下方に向かうに方向に要素色たる赤成分の座標軸を設定するとともに、左斜め下方から右斜め上方に向かうに方向に要素色たる緑成分の座標軸を設定するとともに、右斜め下方から左斜め上方に向かうに方向に要素色たる青成分の座標軸を設定し、これらの座標軸によって定まる座標に比例して各成分データが増減している。
【0050】
従って、このカスタムAパターン内において全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組が表示されることになる。むろん、この成分データ通りに色インクが吐出されれば中央のA1の灰色パッチが無彩色に見え、その周縁では要素色のバランスが崩れていずれかの要素色の影響が表れた灰色となるはずである。また、中央から離れるに従ってバランスのずれの量も大きくなっている。
【0051】
しかしながら、印字ヘッドユニット31a1におけるインク使用量に偏りがある場合には基準値通りの色インクが吐出されないし、また、各人の好みによっては、必ずしもA1の灰色パッチではなくて他の灰色パッチにおいてバランスするように見えることになる。その関係を逆算した対応関係を図16に示している。
例えば、A1が無彩色に見えるのであればシアンの色インクの使用量のIDは「11」となり、マゼンタの色インクの使用量のIDは「11」となり、イエローの色インクの使用量のIDは「11」となるのでまさしく均衡していることになる。しかし、C4が無彩色に見えるのであればシアンの色インクの使用量のIDは「11」となり、マゼンタの色インクの使用量のIDは「15」となり、イエローの色インクの使用量のIDは「7」となっていることが分かる。すなわち、イエロー、シアン、マゼンタの順で吐出するインク重量が少しずつ小さくなっており、各要素色間の強弱の偏差が分かる。
【0052】
なお、図13および図14に示すカスタムAパターンではそれぞれの灰色パッチについてはCMYの各要素色で印刷するものの、用紙の下部には切取線とともに黒色インクだけで階調値「128」に対するリファレンスパッチを印刷している。灰色パッチがたくさん並ぶと、無彩色であるか否かの判断を付けにくくなる場合がある。特に、紙色や照明の加減によっては分かりにくくなる可能性がある。しかしながら、黒色インクだけで印刷されたリファレンスパッチがあればこれと対比することによって無彩色の基準が確認できるので、灰色パッチの中から無彩色を選択する際の正確度が向上する。
【0053】
カスタムAパターンで灰色パッチを選択した場合、その強弱の程度も分かった感じもするが、ここで判断された強弱の偏差はあくまでも階調値であれば「128」近辺での偏差に過ぎず、全階調にわたってシアン、マゼンタ、イエローのIDが「11」、「15」、「7」とするのが最適であるとは限らない。
【0054】
従って、ステップS320にてユーザーはカスタムAパターンの中から無彩色と思われる灰色パッチを選択してキーボード23からコンピュータ21に対して入力すると、同コンピュータ21は次のステップS330にて修正用ルックアップテーブルの候補を選択し、ステップS340にて図17に示すカスタムBパターンを印刷する。カスタムBパターンは紙面上横方向に一つの修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させた灰色パッチを印刷しつつ、紙面上縦方向にその修正用ルックアップテーブルを変化させ、最終的には紙面上に27のグラデーション風のグレイスケールパターンを印刷して構成されている。
【0055】
カスタムAパターンにおいてA1を無彩色として選んだ場合であっても成分データが「128」の近辺においてたまたまバランスが取れただけであり、他の階調値ではわずかにリニアでないこともある。従って、カスタムAパターンで選択された各要素色のIDについて前後プラスマイナス「1」の範囲で三つのIDを候補とし、それぞれを組み合わせた合計27個の修正用ルックアップテーブルを利用して図17に示す成分データを修正し、カスタムBパターンを印刷する。
【0056】
図18はカスタムAパターンにおいてA1を無彩色として選んだ場合であり、完全に理想通りであれば14番目のグレイスケールパターンが全階調にわたって無彩色に見えるはずである。しかしながら、他の階調値のバランスからすると他のグレイスケールパターンの方が全体的に無彩色に見えることもあり得る。また、図19はカスタムAパターンにおいてC4を無彩色として選んだ場合であり、先に得られたIDを基準に27個のグレイスケールパターンの中から全階調にわたって無彩色に見えるものを選択すればよい。
【0057】
ステップS350にて選択結果をキーボード23からコンピュータ21に入力すると、最終的に選択されたIDに従って修正用のルックアップテーブルも決定され、ステップS360ではプリンタドライバが色変換に使用する色変換用ルックアップテーブルに組み込むべく同プリンタドライバに設定する。
【0058】
以上のようにしてルックアップテーブルを設定したらLUT設定処理を終了し、ステップS250にてかかる設定を保存するか否かを選択する。この保存は同様にして設定を変えた後で再度同じ設定を利用する必要がある場合の便宜のためであり、再利用したいときにはステップS260にて保存する。むろん保存先はハードディスク22を利用するし、かかる処理が設定データ保存手段を構成する。このようにして既に保存された設定がある場合には、ステップS210のメニュー選択時に「設定読込」を選択することにより、ステップS220,S230を経てステップS270の設定読込処理を実行し、ハードディスク22に保存されている設定を読み込んで表示するとともに、ステップS280ではいずれかの設定を選択する。むろん設定を選択することにより上述したのと同様にして色変換テーブルを書き換えることになる。
【0059】
この例では色ずれという観点で修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を利用しているが、むろん、別の観点での設定データとして利用しても構わない。そして、各人がそれらを保存でき、いつでも利用できる環境とすることによって各人の好みに対応することができるようになる。
【0060】
ところで、上述したグレイ合わせは印刷用紙が白でない場合にも無彩色であるグレイの印刷データでグレイを印刷させることができるようになる。この意味で機体差を打ち消す意味でのグレイ合わせであるとか、紙色に対応させる意味でのグレイ合わせというものについては、画一的であり、そのような修正を行なう設定データは必須のものと分類できる。一方、好みについては本来のグレイから一定の関係でずれたものをグレイと感じることになるだろうし、本来のグレイからのずれを表す設定データが有れば、グレイのバランスが取れている印刷環境においてその設定データを利用して各人の好みのグレイを再現できるようになる。従って、図20に示すように色変換の処理の際に必須の設定データと任意の設定データとを重畳して適用することも可能である。この場合、重畳させうる設定データについてはRGBデータでの変換と決めておけば複数の設定変換テーブルをシーケンシャルに適用可能となる。同図においてはステップS410の必須設定データによる色変換によって(R,G,B)データを(R',G',B')データに変換し、ステップS420の任意設定データによる色変換によって(R',G',B')データを(R”,G”,B”)データに変換し、ステップS430の座標系を変換する色変換によって(R”,G”,B”)データを(C,M,Y,K)データに変換している。むろん、色変換用ルックアップテーブルを書き換えて一度の変換で済ませるようにしても良い。
【0061】
また、この場合に任意設定データだけを選択するようにしておき、必須設定データについては自動的に読み込まれて適用されるようにしても良い。さらに、設定データを機能的に分解するとともに所定の要素毎に必須の関係があるもの同士を分類しておき、片方が選択されたときには他方の設定データも読み込まれるようにしても良い。
【0062】
ところで、一台のプリンタ31を複数台のコンピュータ21から利用する場合にも複数の設定データを利用することによって簡便性が向上する。この場合、通信回線40にはプリンタサーバとしてのコンピュータ21を接続するとともに、同コンピュータ21にプリンタ31を接続し、かつ、同コンピュータ21のハードディスク22には図21に示す設定データテーブルを記録する。この設定データテーブルは各コンピュータ21に割り当てられている端末ナンバーと各コンピュータ21で設定した設定データのナンバーとを記録するものであり、図22に示す各コンピュータ21における端末処理によって設定される。同端末処理は、設定データの登録と、印刷データの送出とを行なうものであり、ステップS510にて対象となるプリンタを特定し、ステップS520でいずれの処理を行うかで分岐する。設定データを変更する場合には上述したのと同様にしてステップS530では設定データを選択してからステップS540にて設定データをプリンタサーバであるコンピュータ21に送出する。
【0063】
一方、プリンタサーバのコンピュータ21の側では図23に示すプリンタサーバ処理を実行しており、いずれかのコンピュータ21からデータが送出されるとステップS610にて端末ナンバーを取得し、ついでステップS615にて送出されてきたデータが印刷データであるか判断する。設定データの変更であれば、印刷データではないのでステップS620にてその設定データを受け取り、ステップS625にてその設定データと端末ナンバーとを関連づけ、図21に示す設定データテーブルに記録する。
【0064】
かかる関連づけがなされている状況で、コンピュータ21が印刷処理を行う場合、ステップS510にてプリンタを特定した後、ステップS550にてプリンタサーバに印刷データを送出する。すると、プリンタサーバのコンピュータ21では、ステップS610にて端末ナンバーを取得してからステップS615を経てステップS630にて印刷データを受け取り、ステップS635にてその端末ナンバーに対応した設定データを読み込む。この場合、上述したのと同様に修正用の修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21の参照番号を利用しているのであればステップS640にて上述したのと同様にして色変換ルックアップテーブルを書き換える。この後、ステップS645にて同色変換ルックアップテーブルを利用して色変換し、ステップS650にて二値化し、ステップS655にて印刷する。
【0065】
この場合、プリンタサーバとなるコンピュータ21とプリンタ31とを全体として印刷装置として考えると、複数の設定データが保存されているとともに、印刷を要求する側を識別して自動的に同印刷要求者の設定した設定データを適用することになり、利便性が向上する。
【0066】
なお、このようなプリンタドライバなどはインストールプログラムとともにCD−ROMなどのプログラム記録媒体に記録されて頒布され、コンピュータ21にプリンタ31を接続した後、同CD−ROMをCD−ROMドライブ24にセットしてインストールされる。すなわち、セット後、インストールプログラムはアプリケーションとして実行され、プリンタドライバや色変換ルックアップテーブルなどをハードディスク22上に展開することになる。
【0067】
このように、複数の設定データとしての修正用ルックアップテーブルLUT1〜LUT21を利用してプリンタ31における印字ヘッドユニット31a1の偏差を修正できるようにしておいたり、あるいは、各人の好みに応じた設定を保存しておいて、印刷時に選択できるようにしておくことにより、色という本質的に好みの影響を受けやすい品質について広く満足のいく印刷結果を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷処理システムのブロック図である。
【図2】同印刷処理システムの具体的ハードウェア・ソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】複数の設定データ記録されるハードディスクの内容を示す図である。
【図4】設定データである修正用ルックアップテーブルの入出力関係を示す図である。
【図5】プリンタの概略ブロック図である。
【図6】インク重量とクラス分けの対応を示す図である。
【図7】印字ヘッドに偏差を書き込む工場設定の手順書である。
【図8】濃度計にて計測するパッチを示す図である。
【図9】濃度計にて計測した結果を示す図である。
【図10】プリンタドライバのフローチャートである。
【図11】設定データ処理のフローチャートである。
【図12】LUT設定処理のフローチャートである。
【図13】カスタムAパターンをRGBデータの成分データで示す図である。
【図14】カスタムAパターンをCMYKモードの成分データで示す図である。
【図15】カスタムAパターンの成分データの対応関係を示す図である。
【図16】カスタムAパターンで選択される灰色パッチに対応するIDを示す図である。
【図17】カスタムBパターンを構成するグレイスケールパターンを示す図である。
【図18】カスタムAパターンでA1の灰色パッチを選択した場合の修正用ルックアップテーブルの組み合わせを示す図である。
【図19】カスタムAパターンでC4の灰色パッチを選択した場合の修正用ルックアップテーブルの組み合わせを示す図である。
【図20】色変換の他の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】プリンタサーバに保存される設定データテーブルの内容を示す図である。
【図22】プリンタサーバに対する端末処理のフローチャートである。
【図23】プリンタサーバのフローチャートである。
【符号の説明】
10…画像入力装置
11…スキャナ
12…デジタルスチルカメラ
14…ビデオカメラ
20…画像処理装置
21…コンピュータ
22…ハードディスク
23…キーボード
24…CD−ROMドライブ
25…ディスプレイ
30…印刷装置
31…プリンタ
31a…印字ヘッド
31a1…印字ヘッドユニット
31b…印字ヘッドコントローラ
31b1…印字ヘッド駆動部
31b2…PROMインターフェイス
31c…印字ヘッド桁移動モータ
31d…紙送りモータ
31e…プリンタコントローラ
40…通信回線
Claims (5)
- カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置と、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する印刷制御装置とからなる印刷処理システムであって、
上記印刷制御装置は、
上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルを保存可能な設定データ保存手段と、
上記複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを紙面に印刷させる第1テストパターン印刷手段と、
利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択手段と、
同第1設定データ選択手段にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷手段と、
同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択手段と、
上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力手段とを具備することを特徴とする印刷処理システム。 - 上記パターン印刷手段は、上記要素色の成分データが少しずつ異なる円形の複数の灰色パッチから構成される第1テストパターンを印刷させることを特徴とする上記請求項1に記載の印刷処理システム。
- 上記第1テストパターンは、上記灰色パッチの成分データについて所定の規則性に従って少しずつ変化させてあり、上記紙面の中央の灰色パッチにおいて成分データが均等しており、同紙面の上方に向かうにつれて赤(R)成分が大きくなるとともに下方に向かうにつれて同赤成分が小さくなり、また、同紙面の左下方向に向かうにつれて緑(G)成分が大きくなるとともに右上方向に向かうにつれて同緑成分が小さくなり、また、同紙面の右方向に向かうにつれて青(B)成分が大きくなるとともに左上方向に向かうにつれて青成分が小さくなるようにように各灰色パッチが表示されることを特徴とする上記請求項2に記載の印刷処理システム。
- カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置に対して、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する印刷処理方法であって、
上記印刷制御装置の所定の記憶領域に保存されている上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを印刷させる第1テストパターン印刷工程と、
利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択工程と、
同第1設定データ選択工程にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷工程と、
同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択工程と、
上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力工程とを具備することを特徴とする印刷処理方法。 - カラー画像を色分解した要素色の記録材をドットマトリクス状に媒体上に発色させてカラー画像を印刷する印刷装置に対して、カラー画像を所定の要素色ごとに色分解しつつその要素色毎に強弱を表した印刷用色画像データに基づいて上記印刷装置が入力可能な印刷データとして出力する機能をコンピュータにて実現可能にする印刷処理プログラムであって、
上記印刷制御装置の所定の記憶領域に保存されている上記印刷装置における色合わせに関する複数の修正用ルックアップテーブルに基づいて、全ての要素色のバランスを一定の範囲内で変化させた全ての組の灰色パッチを表示する第1テストパターンを印刷させる第1テストパターン印刷機能と、
利用者による上記印刷された第1テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第1設定データ選択機能と、
同第1設定データ選択機能にて選択された灰色パッチに基づいて、上記複数の修正用ルックアップテーブルから候補を選択し、当該修正用ルックアップテーブルに従って成分データを変化させたグレイスケールパターンであって、修正用ルックアップテーブルを変化させて得られる第2テストパターンを印刷させる第2テストパターン印刷機能と、
同第2テストパターンにおける所定の灰色パッチの選択を入力する第2設定データ選択機能と、
上記印刷用色画像データを同入力された灰色パッチに対応する修正用ルックアップテーブルで変換した印刷データを上記印刷装置に出力する印刷データ出力機能とを具備することを特徴とする印刷処理プログラム。
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