JP4100211B2 - 印刷ヘッドに応じて色変換テーブルを作成して行う印刷 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、印刷媒体上にドットを形成して行う印刷に関し、特に、機体ごとに形成するドットの大きさにずれがある印刷装置間の印刷結果のずれを解消する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印刷媒体上にドットを形成して画像を表現する印刷装置が使用されている。そのような印刷装置において、印刷ヘッドの製造誤差に起因する印刷結果の色調のばらつきを解消するために、色変換テーブルを印刷ヘッドの特性に応じて用意する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。なお、その他の関連文献として、特許文献2がある。
【特許文献1】
特開2001−246784号公報
【特許文献2】
特開平10−285415号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の技術においては、個々の印刷ヘッドの特性に応じた色変換テーブルを作成するために、各色のインクの吐出量を様々な値に設定したテストパッチを多数印刷して、その中から好ましいテストパッチを選択しなければならない。プリンタで使用するインク色が増えると、吐出量の組み合わせが膨大になり、印刷ヘッドの特性に応じた色変換テーブルを作成するための手間が膨大なものとなる。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、簡単な手続きによって、機体ごとに形成するドットの大きさにずれがある印刷装置間の印刷結果のずれを解消することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、画像データの色変換をするために用いる色変換テーブルを印刷ヘッドに応じて補正するための所定の補正情報を作成する。まず、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッドのそれぞれについて、一色のインクの単位面積あたりの記録量に関する少なくとも一部の範囲の階調値と、印刷結果の明度または彩度と、の関係を求める。そして、印刷ヘッドの種類ごとに設定された階調調整情報を含む補正情報を生成する。
【0006】
補正情報を生成する際には、まず、画像データを、印刷に使用するインク色を基準色として含む表色系の印刷用画像データに色変換するための色変換テーブルを準備する。そして、印刷ヘッドの種類ごとに階調調整情報を生成する。ここで、階調調整情報は、色変換テーブルによる出力である一色のインクの階調値を、対象とする印刷ヘッドに応じて補正するための情報である。そして、階調調整情報は、複数種類の印刷ヘッドのうちの一つである基準印刷ヘッドが色変換テーブルによる出力である階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度と近似する明度または彩度を、対象とする印刷ヘッドで実現できるように、出力である階調値を補正するための情報である。
【0007】
このような態様とすれば、少なくとも一色のインクに関して、階調値と、その階調値の印刷結果の明度または彩度と、の関係を求めることで印刷装置間の印刷結果のずれを解消することができる。よって、各インク色の階調値の組み合わせについて検討することなく、簡単な手続きによって、印刷ヘッド間の印刷結果のずれを解消することができる。
【0008】
なお、一色のインクを有彩色インクとする場合には、階調値と、明度または彩度と、の関係を求める際には、有彩色インクについて、階調値と彩度との関係を求めることが好ましい。そして、その場合には、調整階調値は、色変換テーブルによる出力である有彩色インクの階調値を、対象とする印刷ヘッドに応じて置き換えて補正するための階調値とすることが好ましく、さらに、以下のような階調値とすることが好ましい。すなわち、調整階調値は、基準印刷ヘッドが色変換テーブルによる出力である階調値にしたがって有彩色インクで印刷する印刷結果の彩度と近似する彩度を、対象とする印刷ヘッドで実現できる階調値とすることが好ましい。このような態様とすれば、少なくとも一色の有彩色インクについて、各印刷ヘッド間での彩度のずれを小さくすることができる。
【0009】
また、xを階調値、C*を彩度、pを正の数、qを1より小さい正の数としたときに、階調値と彩度との関係は、以下の式(1)の形の式で求めることが好ましい。
【0010】
C*=pxq ・・・(1)
【0011】
階調値に対して印刷結果の彩度がどのように変化するか、という特性は印刷ヘッドによって様々な特性が考えられる。しかし、上記のような態様とすれば、彩度と階調値の関係をパラメータが2個(パラメータpとq)の数式で記述することができる。よって、容易に補正情報を作成することができる。
【0012】
そして、有彩色インクとしては、イエロインクを選択することが好ましい。イエロインクにおいては、他の色のインクに比べてインク量のずれが彩度のずれとして現れやすい。このため、特に、イエロインクについて彩度に基づいて補正情報を作成することが好ましい。
【0013】
なお、一色のインクを無彩色インクとする場合には、階調値と、明度または彩度と、の関係を求める際には、無彩色インクについて、階調値と明度との関係を求めることが好ましい。そして、その場合には、調整階調値は、色変換テーブルによる出力である無彩色インクの階調値を、対象とする印刷ヘッドに応じて置き換えて補正するための階調値とすることが好ましく、さらに、以下のような階調値とすることが好ましい。すなわち、調整階調値は、基準印刷ヘッドが色変換テーブルによる出力である階調値にしたがって無彩色インクで印刷する印刷結果の明度と近似する明度を、対象とする印刷ヘッドで実現できる階調値とすることが好ましい。このような態様とすれば、少なくとも一色の無彩色インクについて、各印刷装置間での明度のずれを小さくすることができる
【0014】
また、xを階調値、L*を明度、aおよびbを正の数、eを自然対数の底としたときに、階調値と明度との関係は、以下の式(2)の形の式で求めることが好ましい。
【0015】
L*=ae-bx ・・・(2)
【0016】
階調値に対して印刷結果の明度がどのように変化するか、という特性は印刷ヘッドによって様々な特性が考えられる。しかし、上記のような態様とすれば、明度と階調値の関係をパラメータが1個(パラメータb)の数式で記述することができる。よって、容易に補正情報を作成することができる。
【0017】
一方、印刷ヘッドは、それぞれ特性パラメータを備えていることが好ましい。そのような印刷ヘッドの製造する際には、まず、メモリを有する印刷ヘッドを準備する。そして、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッドのそれぞれについて、一色のインクの単位面積あたりの記録量に関する少なくとも一部の範囲の階調値と、各階調値にしたがって一色のインクで印刷される印刷結果の明度または彩度と、の第1の関係を求める。一方、メモリを有する印刷ヘッドについて、一色のインクの単位面積あたりの記録量に関する少なくとも一部の範囲の階調値と、各階調値にしたがって一色のインクで印刷される印刷結果の明度または彩度と、の第2の関係を求める。
【0018】
そして、複数種類の印刷ヘッドについての第1の関係のうち、第2の関係に最も近いものを選択する。その後、選択された第1の関係を実質的に表す特性パラメータを、メモリに格納する。このような態様とすれば、階調値と、明度または彩度との関係を反映して決定された特性パラメータを、それぞれ自己のメモリ内に有している印刷ヘッドを製造することができる。
【0019】
なお、xを階調値、C*を彩度、p1およびp2を正の数、q1およびq2を1より小さい正の数としたときに、第1の関係は、階調値と彩度の関係として、以下の式(3)の形の式で求めることが好ましい。
【0020】
C*=p1xq1 ・・・(3)
【0021】
そして、第2の関係は、階調値と彩度の関係として、以下の式(4)の形の式で求めることが好ましい。
【0022】
C*=p2xq2 ・・・(4)
【0023】
一方、xを階調値、L*を明度、a1、a2、b1およびb2を正の数、eを自然対数の底としたときに、第1の関係は、階調値と明度の関係として、以下の式(5)の形の式として求めてもよい。
【0024】
L*=a1e-b1x ・・・(5)
【0025】
そして、第2の関係は、階調値と明度の関係として、以下の式(6)の形の式として求めてもよい。
【0026】
L*=a2e-b2x ・・・(6)
【0027】
なお、画像データの色変換をするために用いる色変換テーブルを印刷ヘッドに応じて補正する際には、以下のようにすることが好ましい。すなわち、まず、画像データを、印刷に使用するインク色を基準色として含む表色系の印刷用画像データに色変換するための色変換テーブルを準備する。そして、印刷ヘッドの種類ごとに設定された階調調整情報であって、色変換テーブルによる出力である一色のインクの階調値を印刷ヘッドの種類に応じて補正するための階調調整情報を含む補正情報を準備する。また、印刷ヘッドのメモリ内に格納された特性パラメータを読み出す。そして、階調調整情報と、特性パラメータと、に基づいて、色変換テーブルの出力である階調値を補正することによって補正された色変換テーブルを作成する。
【0028】
このような態様とすれば、少なくとも一色のインクに関して、階調値と、その階調値の印刷結果の明度または彩度と、の関係を求めることで印刷装置間の印刷結果のずれを解消することができる。よって、簡単な手続きによって、印刷ヘッド間の印刷結果のずれを解消することができる。
【0029】
なお、補正情報は、前述の手順に従って生成された補正情報であることが好ましい。そして、特性パラメータについても、前述の手順に従って生成された特性パラメータであることが好ましい。
【0030】
なお、本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)補正情報の作成方法、補正方法、色変換テーブルの作成方法、色変換方法、印刷データ生成方法、印刷方法、印刷制御方法、印刷ヘッドのパラメータの決定方法、印刷ヘッドの製造方法。
(2)印刷装置、印刷制御装置、印刷ヘッド、印刷データ生成装置。
(3)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラム。
(4)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録した記録媒体。
(5)上記の装置や方法を実現するためのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施形態の概要:
B.第1実施例:
B1.装置構成:
B2.色変換テーブルの作成:
C.第2実施例:
D.変形例:
【0032】
A.実施形態の概要:
図1は本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。プリンタドライバ96の色変換モジュール98は、レッド、グリーン、ブルー(RGB)の3色で表された画像データを、色変換テーブルLUT1を使って、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロの階調値で表される画像データに変換する。印刷ヘッド28が、設計値に近い標準的な大きさのドットを形成する印刷ヘッドである場合には、あらかじめ用意された標準的な色変換テーブルである基準変換テーブルLUT0がそのまま色変換テーブルLUT1とされて、色変換に使用される。一方、標準よりも小さいドットを形成する印刷ヘッドが使用される場合は、同じ明度の画像が入力されたときに、より大きい階調値を出力するように、基準変換テーブルLUT0を改変して、色変換テーブルLUT1が作成される。
【0033】
階調値xと、その階調値が与えられたときの印刷結果の明度L*の関係は、以下の式(7)の形の式で近似できる。なお、aとbは正の定数であり、eは自然対数の底である。
【0034】
L*=ae-bx ・・・ (7)
【0035】
標準よりも小さいドットを形成する印刷ヘッドの場合には、同じ階調値が与えられたときの印刷結果の明度は高くなる。標準的なドットを形成する印刷ヘッドに対して階調値x0を与えたときの印刷結果の明度をLt *とする。そして、標準よりも小さいドットを形成する印刷ヘッドがLt *と近似の明度を実現できる階調値をx1とする。このとき、基準変換テーブルLUT0の出力である階調値のうち、値がx0であるものは、すべてx1に置き換えられる。他の階調値についても、同様に、標準よりも小さいドットを形成する印刷ヘッドで同程度の明度を実現できる階調値に置き換えられる。このようにして、基準変換テーブルLUT0が補正されて、色変換テーブルLUT1が作成される。
【0036】
基準変換テーブルLUT0の出力である各階調値をどのような階調値に置き換えるかを示す情報は、あらかじめ補正テーブルATに格納されている。色変換モジュール98は、印刷ヘッド28に設けられたヘッドIDメモリ内のヘッドIDにしたがって、その印刷ヘッド28の特性にあった情報(階調調整情報)を補正テーブルATから取り出して、階調値の置き換えを行う。
【0037】
B.第1実施例:
B1.装置構成:
図1は本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれている。アプリケーションプログラム95は、これらのドライバを介して最終的にプリンタ22に転送するための、中間画像データMIDを出力する。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム95は、スキャナ12から画像を読み込み、これに対して所定の処理を行いつつビデオドライバ91を介してCRTディスプレイ21に画像を表示している。スキャナ12から供給されるデータORGは、カラー原稿から読みとられ、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなる原カラー画像データである。
【0038】
このアプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が画像データMIDをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをプリンタ22が処理可能な信号(ここではシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色についての多値化された信号)に変換している。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、色変換テーブルLUT1と、ハーフトーンモジュール99と、ディザマトリクス(図示せず)と、並べ替えモジュール100とが備えられている。
【0039】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データMIDの解像度、即ち単位長さ当たりの画素数をプリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データはまだRGBの3色からなる画像情報である。色変換モジュール98は色変換テーブルLUT1を参照しつつ、画像データを、各画素ごとにプリンタ22が使用するシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色の階調値で表された画像データに変換する。こうして色変換されたデータは例えば0〜255の256階調で各色の濃淡の階調を有している。
【0040】
ハーフトーンモジュール99は、ドットを分散して形成することによりプリンタ22でかかる階調値を表現するためのハーフトーン処理を、ディザマトリクス(図示せず)を使用して実行する。こうして処理された画像データは、並べ替えモジュール100によりプリンタ22に転送すべきデータ順に並べ替えられて、最終的な印刷画像データFNLとして出力される。
【0041】
次に、図2によりプリンタ22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンタ22は、紙送りモータ23によって用紙Pを搬送する機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ31を用紙Pの搬送方向と垂直な方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印刷ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ23,キャリッジモータ24,印刷ヘッド28および操作パネル32を制御する制御回路40とから構成されている。なお、本明細書においては、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ22のみをさすが、広義にはコンピュータ90とプリンタ22とを含む印刷システム全体を表す。
【0042】
キャリッジ31を用紙Pの搬送方向と垂直な方向に往復動させる機構は、印刷用紙Pの搬送方向と垂直な方向に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジ31とキャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサ39等から構成されている。
【0043】
なお、このキャリッジ31には、黒インク(K)用のカートリッジ71とシアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y)の3色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。
【0044】
キャリッジ31の下部の印刷ヘッド28には計4個のインク吐出用ヘッド61、62、64、66が形成されており、キャリッジ31の底部には、この各色用ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管67が立設されている。キャリッジ31にブラックインク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管67が挿入され、各インクカートリッジから吐出用ヘッド61、62、64、66へのインクの供給が可能となる。
【0045】
印刷ヘッド28にはヘッドIDメモリ202が設けられている。このヘッドIDメモリには、印刷ヘッド28のヘッドIDが格納されている。ヘッドIDは、それぞれの印刷ヘッドの特性に応じて定められている。より具体的には、ヘッドIDは、印刷ヘッド28に0〜255までの各階調値を与えられたとき、その印刷ヘッド28による印刷結果の画像が有する明度や彩度に応じて、決定される。ヘッドIDの内容については後述する。ヘッドIDメモリ202内に格納されているヘッドIDは、制御回路40よって読み出され、コンピュータ90に伝えられる。
【0046】
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ22は、紙送りモータ23により用紙Pを搬送しつつ(以下、副走査という)、キャリッジ31をキャリッジモータ24により往復動させ(以下、主走査という)、同時に印刷ヘッド28の各色のヘッド61、62、64、66のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0047】
B2.色変換テーブルの作成:
(1)印刷ヘッドに応じた色変換テーブルの作成:
第1実施例においては、プリンタ22がコンピュータ90接続されると、プリンタドライバ96が、そのプリンタ22の印刷ヘッド28に応じた色変換テーブルLUT1を作成する(図1参照)。その結果、各印刷ヘッドのインク滴の吐出特性に応じた色変換テーブルLUT1が作成される。そして、印刷の際には、色変換モジュール98が、印刷ヘッドの特性に応じて作成された色変換テーブルLUT1を参照して色変換を行う。このため、製造誤差などのために互いにインク滴の吐出特性が少しづつ異なる印刷ヘッドがそれぞれ取り付けられた複数のプリンタにおいても、各印刷ヘッドの特性に左右されない、均質な印刷結果を得ることができる。
【0048】
プリンタドライバ96は、図1に示すように、変換テーブル生成モジュール101と、基準変換テーブルLUT0と、補正テーブルATと、を有している。この変換テーブル生成モジュール101が、プリンタ22の印刷ヘッド28に応じた色変換テーブルLUT1を作成する。その際、変換テーブル生成モジュール101は、基準変換テーブルLUT0と、補正テーブルATと、印刷ヘッド28のヘッドIDと、を参照する。
【0049】
基準変換テーブルLUT0と、補正テーブルATとは、プリンタドライバ96にあらかじめ組み込まれている。ヘッドIDは、プリンタ22がコンピュータ90接続されると、ヘッドIDメモリ202からプリンタ22の制御回路40を介して読み出される。以下、まず補正テーブルATの作成方法について説明し、ついで、個々の印刷ヘッドのヘッドIDメモリ202に格納するヘッドIDの決定方法について説明し、その後、印刷ヘッド28のヘッドIDの読み出し工程を含む色変換テーブルLUT1の作成方法について説明する。
【0050】
(2)補正テーブルの作成:
補正テーブルATは、プリンタドライバ96にあらかじめ組み込まれている。すなわち、補正テーブルATは、プリンタドライバ96が作成される段階で作成され、プリンタドライバ96にデータとして組み込まれる。
【0051】
図3は、補正テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。ここでは、ブラックインクの場合を例に説明する。補正テーブルATを作成する際には、まず、ステップS2で、基準となるプリンタ(以下「基準機」と表記する。)を使って、ブラックインクについて0〜255までのすべての階調値の濃さで、印刷用紙上にテストパッチを印刷する。その際、ピエゾ素子PEを駆動するためのベース電圧の値は、所定の基準電圧とする。
【0052】
なお、「基準となるプリンタ」は、プリンタドライバ96が制御対象とするプリンタと同型のプリンタであれば任意のプリンタでよいが、製造誤差の少ないプリンタであることが好ましい。また、「基準電圧」は、プリンタドライバ96が対象とするプリンタの印刷ヘッドのピエゾ素子PEを駆動できる任意の電圧値でよい。ただし、「基準電圧」は、プリンタドライバが制御対象とするプリンタと同型のプリンタが、ピエゾ素子PEを駆動するためのベース電圧として、高い確率で発生させる電圧値であることが好ましい。すなわち、「基準電圧」は、プリンタドライバ96が制御対象とするプリンタと同型のプリンタ間で、ピエゾ素子PEを駆動するためのベース電圧として標準的である電圧値であることが好ましい。
【0053】
図4は、図3のステップS2で印刷用紙P上に印刷されたテストパッチTkを示す平面図である。図4にはすべてを示してはいないが、図3のステップS2では、各階調値に対応する256個のテストパッチTkが複数枚の印刷用紙P上に形成される。図において、テストパッチTkの輪郭を表す四角形の中に記載された数字は、それぞれのテストパッチTkが対応する階調値である。実際には、これらの数字は印刷されない。
【0054】
図3のステップS4では、基準電圧のもとで印刷された各テストパッチTkの明度を測定する。各テストパッチTkの明度は、濃度計によって計測することができる。
【0055】
ステップS6では、ピエゾ素子PEを駆動するベース電圧の値を、例えば基準電圧よりも5%低くして、ステップS2と同様に印刷用紙上に256個のテストパッチを印刷する。そして、ステップS8では、ステップS4と同様に、印刷されたテストパッチの明度を測定する。
【0056】
なお、図3において破線で囲ったステップS6、S8の各手順は、基準電圧より20%低い電圧から20%高い電圧まで5%づつベース電圧の値を変えて、それぞれ行われる。その結果、それぞれのベース電圧についてステップS8までの手順を終えた時点では、基準電圧の場合(ステップS4参照)も含めて、9種のベース電圧についての、各階調値と明度との測定値が得られる。なお、ベース電圧の値を変える範囲(ここでは−20%〜+20%)は、通常の製造誤差によって生じるベース電圧の変動の範囲を超える範囲とすることが好ましい。
【0057】
ステップS10では、ステップS4およびS8で得られた各階調値0〜255に対応するテストパッチの明度から、それぞれのベース電圧について、階調値と明度の関係をもっともよく表す近似式を求める。階調値xkとテストパッチの明度との関係を表す近似式は、以下の形の式として求められる。ここで、akとbkは正の定数であり、eは自然対数の底である。
【0058】
【数1】
【0059】
akは、階調値が0であるとき、すなわち、何も印刷しないときの明度であるから、印刷媒体の明度である。よって、印刷ヘッド間の色調の調整においては、一定値と考えてよい。すなわち、ステップS10では、式(2)が、測定で得られた階調値と明度の関係をもっともよく表すことになるようなbkを求めることになる。たとえば、式(2)の形の式について、測定で得られた階調値と明度のデータを使って重回帰分析を行うことで、各ベース電圧についてのbkを決定することができる。
【0060】
図5は、ブラックの各階調値xk(0〜255)と、それらの階調値に対応するテストパッチの明度と、の関係を表す近似式のグラフである。図5においては、基準電圧の下での階調値と明度の関係をもっともよく表す近似式の曲線をグラフGV0で表す。また、基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と明度の関係をもっともよく表す近似式の曲線をグラフGV1で表し、基準電圧よりも5%高いベース電圧の下での階調値と明度の関係をもっともよく表す近似式の曲線をグラフGV2で表す。図5に示したそれらの近似式においては、それぞれの式中の定数bkを、区別のためにbk0、bk1、bk2としている。他のベース電圧に対応する近似曲線の表示は省略する。
【0061】
ピエゾ素子PEを駆動するベース電圧が低い場合は、同じ階調値を与えられたときに吐出されるインク滴の量が少なくなるので、明度は高くなる。よって、グラフGV1は、グラフGV0よりも上側にある。逆に、ピエゾ素子PEを駆動するベース電圧が高い場合は、同じ階調値を与えられたときに吐出されるインク滴の量が多くなるので、明度は低くなる。よって、グラフGV2は、グラフGV0よりも下側にある。
【0062】
図3のステップS12では、基準電圧における各階調のテストパッチ(図4参照)の明度に近似の明度を実現するような、各ベース電圧における階調値が求められる。たとえば、図5の例において、基準電圧において階調値xk0のときのテストパッチの明度がLkt *であったとする。ベース電圧が基準電圧よりも5%低いときに印刷結果においてこの明度を実現することができるのは、一点鎖線で示したグラフGV1より、階調値xk1のときであることが分かる。ただし、各階調値は0〜255までの整数をとるので、階調値xk1は、実際には、0〜255の各整数うち、近似式の曲線から得られた値に最も近い値とされる。
【0063】
このようにして決定された階調値xk1が、ベース電圧が基準電圧よりも5%低い状態の印刷ヘッドに対して供給され、印刷が行われると、明度Lkt *に近い明度の印刷が行われる。ここで、ある階調値xにおいて実現される明度が所定の明度Lkt *に「近い」または「近似である」とは、同じ印刷ヘッド、同じベース電圧下で、階調値x以外の他の階調値で実現される明度よりも、階調値xにおいて実現される明度が、Lkt *に近いことを意味する。したがって、ある階調値xにおいて実現される明度が所定の明度Lkt *と同一である場合も含まれる。彩度についての「近い」または「近似である」という表現も同様である。
【0064】
以上のようにして、基準電圧における各階調のテストパッチ(図4参照)の明度に近似の明度を実現する階調値が、各ベース電圧について求められる。このようにして得られた、各ベース電圧ごとの階調値の集合を、「階調調整データ」と呼ぶ。ステップS12では、このようにして得られた階調調整データをそれぞれのベース電圧と対応づけて補正テーブルATを作成する。ステップS12の後、処理は終了する。
【0065】
図6は、図3の手順で得られた補正テーブルATの一例を示す表である。左端の一列には、各ベース電圧に対して割り当てられた30〜70のヘッドIDと、それぞれのヘッドIDに対応するベース電圧の、基準電圧からの変位が示されている。ヘッドID50は、ベース電圧が基準電圧である場合に割り当てられている。各行の数値は、それぞれベース電圧について図3のステップS12で得られた階調値である。すなわち、各行の数値は、それぞれのベース電圧のもとで、ベース電圧が基準電圧であるときに0〜255の各階調値で実現される明度に相当する明度を実現するための、階調値である。
【0066】
なお、本明細書において、ある階調値xにおいてある明度L*を「実現できる」とは、その階調値xを与えられたときの印刷結果の明度が、L*となることをいう。同様に、ある階調値xにおいてある彩度C*を「実現できる」とは、その階調値xを与えられたときの印刷結果の彩度が、C*となることをいう。
【0067】
たとえば、図6の補正テーブルにおいて、ベース電圧が基準電圧であるとき(ヘッドIDは50)に階調値253で実現される明度に近似の明度を実現できる階調値は、ベース電圧が基準電圧マイナス5%であるとき(ヘッドIDは45)には254である。そして、ベース電圧が基準電圧プラス5%であるとき(ヘッドIDは55)には、252である。なお、図6には、参考までにxk0、xk1、xk2も示している。
【0068】
補正テーブルについて説明する。ここでは、「基準印刷ヘッド」に対して、「同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッド」のモデルを複数想定した。なお、ここでは、ベース電圧が基準電圧である状態(ヘッドIDが50)が、「基準印刷ヘッド」に相当する。そして、ベース電圧が基準電圧以外である状態(ヘッドIDが50以外の値)が、「同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッド」に相当する。また、それらの印刷ヘッドのモデルにおいて、基準印刷ヘッドの階調値に対応する(近い明度を実現する)階調値の値が何であるかを調べ、それを階調調整データとした。
【0069】
ここでは、一つの印刷ヘッドについて、ピエゾ素子PEを駆動するためのベース電圧を様々に変えて、「同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッド」のモデルを作りだした。すなわち、ハードウェアとしては同じ印刷ヘッドであっても、駆動電圧などの制御方法が異なれば、「複数種類の印刷ヘッド」に該当する。
【0070】
しかし、補正テーブルが含む階調調整データは、他の方法で用意された「同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッド」によって作成されてもよい。たとえば、機械的な製造誤差のために、同じベース電圧および階調値を与えられたときに吐出するインク滴の量が異なる複数の印刷ヘッドを用意して、それらについて階調調整データを作成してもよい。
【0071】
(3)ヘッドIDの決定:
ヘッドIDは、印刷ヘッド28のヘッドIDメモリ202にあらかじめ格納されている。すなわち、ヘッドIDは、印刷ヘッドが製造される段階で決定され、ヘッドIDメモリ202に格納される。
【0072】
図7は、ヘッドIDを決定して印刷ヘッド28のヘッドIDメモリ202格納する手順を示すフローチャートである。ここでは、やはりブラックインクの場合を例に説明する。ステップS22では、まず、ヘッドIDを決定する印刷ヘッド(以下「対象ヘッド」と表記する。)を準備する。そして、ステップS24で、対象ヘッドを使って、ブラックインクについて0〜255までの階調値のうちのいくつかの階調値で、印刷用紙上にテストパッチを印刷する。たとえば、16個の階調値でテストパッチを印刷してもよい。なお、その際にピエゾ素子PEに供給されるベース電圧は、通常の製造誤差の範囲内の電圧であるものとする。
【0073】
ステップS26では、印刷された各テストパッチの明度を測定する。そして、ステップS28では、各テストパッチが対応する階調値と、各テストパッチについて測定した明度と、の関係を表す近似式を求める。その近似式は式(2)と同じ形とする。
【0074】
図8は、図3のステップS10で求めた各ベース電圧における明度の近似式のグラフと、ステップS28で得た対象ヘッドにおける明度の近似式のグラフと、の関係を示す図である。図7のステップS30では、図3のステップS10で求めた9本の近似曲線(図8において破線で示す。)のうち、ステップS28で得た近似式の曲線GVtに最も近い近似曲線を選択する。図8の例では、ステップS28で得た近似式の曲線GVtに最も近いグラフは、グラフGV2である。よって、この場合は、グラフGV2を表す近似式、すなわち、ベース電圧が基準電圧よりも5%だけ高い状態に対応する近似式が選択される。なお、図8は、イメージを表した図であり、実際の測定結果を表すものではない。
【0075】
より具体的には、ステップS30では、たとえば、以下のようにして近似式を選択してもよい。すなわち、ステップS26で得た近似式のbk(以下、「bkt」と表記する)と、図3のステップS10の9個の近似式のbkとを比較して、ステップS10の9個の近似式のうち、bkの値が最もbktに近い近似式を、選択することとしてもよい。
【0076】
図3のステップS10の各近似式は、それぞれ異なるベース電圧に対応している。そして、各ベース電圧には異なるヘッドIDが割り当てられている(図6参照)。図7のステップS32では、ステップS30で選択した近似式に対応するベース電圧に割り当てられたヘッドIDを、対象ヘッドのヘッドIDとして決定する。たとえば、図3のステップS10で得られた9個の近似式のうち、ベース電圧が基準電圧よりも5%だけ高い状態に対応する近似式(図5のグラフGV2の近似式である)が、ステップS30で選択された場合には、ステップS32では、ヘッドID「55」が、対象ヘッドのヘッドIDとして選択される(図6のヘッドID「55」の行参照)。
【0077】
その後、ステップS32で決定されたヘッドIDは、ステップS34で、対象ヘッドのヘッドIDメモリ202に格納される。
【0078】
このようにしてヘッドIDを決定することで、それぞれの印刷ヘッド28のインクの吐出特性を表すヘッドIDを、それぞれの印刷ヘッドのヘッドIDメモリ202に格納することができる。
また、それぞれの特性は、ステップS10において補正テーブルを生成する際に近似式の形で特定されているので、ヘッドIDを決定する際には、全ての階調値について明度や彩度を調べる必要はなく、いくつかの階調値について明度や彩度を調べるだけでよい。よって、簡単な手続きでヘッドIDを決定することができる。
【0079】
(4)色変換テーブルの作成:
プリンタ22がコンピュータ90接続されると、プリンタドライバ96は、そのプリンタ22の印刷ヘッド28に応じた色変換テーブルLUT1を作成する。すなわち、色変換テーブルLUT1は、プリンタ22がコンピュータ90接続されたときに作成される。
【0080】
図9は、色変換テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。プリンタ22がコンピュータ90接続されると、プリンタドライバ96の変換テーブル生成モジュール101(図1参照)は、まず、ステップS42で、ヘッドIDメモリ202からプリンタ22の制御回路40を介してヘッドIDを読み出す。そして、ステップS44では、ステップS42で読み出したヘッドIDに対応する階調調整データ(図6の補正テーブルにおいて、横一列分の階調値のデータ。)を、補正テーブルATから読み込む。たとえば、読み込んだヘッドIDが「55」である場合には、図6の補正テーブルからヘッドIDが「55」の行の階調値を読み込む。
【0081】
そして、ステップS46では、基準変換テーブルLUT0の出力である0〜255の各階調値を、それぞれ階調調整データの対応する階調値で置き換える。基準変換テーブルLUT0は、ヘッドIDが50である印刷ヘッドを想定して作られている、色変換用のテーブルである(図1参照)。たとえば、ある画素についての色の情報である、RGB(レッド、グリーン、ブルー)のそれぞれの階調値が与えられたときの、基準変換テーブルLUT0の出力を考える。その出力は、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラックそれぞれについての階調値である。このときのブラックの階調値が「253」であったとする。ステップS42で読み込んだヘッドIDが「55」であったとすると、変換テーブル生成モジュール101は、その階調値を対応する階調値である「252」に置き換える(図6参照)。図6から分かるように、基準状態(ヘッドIDが50)の階調「253」に対応する階調値は、ヘッドIDが55の欄では「252」だからである。同様に、基準変換テーブルLUT0のブラックについての出力の階調値253は、すべて252に置き換えられる。そして、0〜255までの他の階調値についても、同様に、ヘッドID「55」の階調調整データの対応する階調値に置き換えられる。
【0082】
このようにして、基準変換テーブルLUT0の出力である階調値を、階調調整データに基づいて置き換えることで、変換テーブル生成モジュール101は、色変換テーブルLUT1を作成する。ただし、読み込んだヘッドIDが「50」である場合には、階調値の置き換えは行われない。
【0083】
以上のようにして、色変換テーブルLUT1を作成することで、変換テーブル生成モジュール101は、個々の印刷ヘッドのインク滴の吐出特性を反映した色変換テーブルLUT1を作成することができる。
【0084】
また、第1実施例では、ヘッドのインク滴の吐出特性のずれに起因する各印刷装置間の色調のずれを解消するために、各インクごとに独立に階調値を置き換えている。よって、補正テーブルを作成するために、各インクの吐出量を変えた膨大な組み合わせのテストパターンを印刷する必要がない。すなわち、各インクごとに異なる階調値でテストパターンを印刷するだけで、補正テーブルを作成することができる。
【0085】
なお、ここでは、ブラックインクの場合を例にして説明したが、他のインク色についても同様の手順で色変換テーブルLUT1が作成することができる。すなわち、ヘッドIDを各インク色について設け、変換テーブル生成モジュール101が、各インク色についてのヘッドIDに基づいて、基準変換テーブルLUT0の出力階調値の改変を行って、色変換テーブルLUT1を作成することができる。
【0086】
C.第2実施例:
第1実施例では、ブラックの階調値について、階調値と明度の関係に基づいて階調値の補正(置き換え)を行って、色変換テーブルLUT1を作成する例を説明した(図5参照)。第2実施例では、イエロの階調値について、階調値と彩度の関係に基づいて階調値の補正を行って、色変換テーブルLUT1を作成する例について説明する。第2実施例のプリンタのハードウェア構成は、第1実施例と同じである。
【0087】
図10は、第2実施例において補正テーブルを作成する手順を示すフローチャートである。第2実施例においても、図3に示した第1実施例の手順と類似の手順で、補正テーブルが作成される。図10において図3と同じ符号が付されているステップでは、図3の同じ符号が付されているステップと同じ処理が行われる。ただし、図3のフローチャートではブラックインクを対象に各処理が行われたが、図10のフローチャートではイエロインクを対象に各処理が行われる。
【0088】
ステップS2では、図3の手順と同様に、0〜255までのすべての階調値の濃さで、印刷用紙上にテストパッチを印刷する。そして、ステップS5では、印刷された各テストパッチの彩度を測定する。各テストパッチの彩度は、測色計によって計測することができる。
【0089】
ステップS6では、ピエゾ素子PEを駆動するベース電圧の値を変えて、ステップS2と同様に印刷用紙上に各階調値に対応するテストパッチを印刷する。そして、ステップS9では、ステップS5と同様に、印刷されたテストパッチの彩度を測定する。図10において破線で囲ったステップS6、S9の各手順は、基準電圧より20%低い電圧から20%高い電圧まで5%づつベース電圧の値を変えて、それぞれ行われる。
【0090】
ステップS10では、各ベース電圧について、階調値と彩度との関係についての近似式が求められる。階調値xyとテストパッチの彩度との関係を表す近似曲線は、以下の形の式として求められる。ここで、C*は彩度であり、pyは正の定数であり、qyは1より小さい正の定数である。
【0091】
【数2】
【0092】
図11は、イエロの各階調値xk(0〜255)と、それらの階調値に対応するテストパッチの彩度と、の関係を表す近似式のグラフである。図11においては、基準電圧の下での階調値と彩度の関係をもっともよく表す近似曲線をグラフGC0で表している。また、基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と明度の関係をもっともよく表す近似曲線をグラフGC1で表し、基準電圧よりも5%高いベース電圧の下での階調値と明度の関係をもっともよく表す近似曲線をグラフGC2で表している。図11に示したそれらの近似式においては、それぞれの式中の定数py、qyを、区別のためにpy0、py1、py2、qy0、qy1、qy2としている。他のベース電圧に対応する近似曲線の表示は省略する。
【0093】
図10のステップS13では、基準電圧における各階調のテストパッチの彩度に近い彩度を実現するような、各ベース電圧における階調値が求められる。たとえば、図11の例では、基準電圧において階調値xy0のときのテストパッチの明度がLyt *であったとする。ベース電圧が基準電圧よりも5%低いときにこの明度を実現することができるのは、一点鎖線で示した近似曲線GC1より、階調値xk1のときである。ただし、階調値xy1は、0〜255の各整数うち、近似曲線から得られた値に最も近い値とされる。ステップS13の後、処理は終了する。
【0094】
以上のような手順で、図6と同様の補正テーブルが、彩度に基づいて作成される。
【0095】
第2実施例においては、各印刷ヘッドのヘッドIDは、図7に示した第1実施例における手続きと同様にして決定される。ただし、ステップS30では、図10のフローチャートのステップS10で求めた、彩度に関する近似曲線の中から、もっとも測定結果に近い近似曲線が選ばれる。他の手続きは、第1実施例の手続きと同じである。また、第2実施例では、色変換テーブルは、第1実施例と同じ手順(図9参照)で作成される。
【0096】
第2実施例では、ヘッドのインク滴の吐出特性のずれのために印刷結果の彩度に現れるずれを解消するように、色変換テーブルを作成している。よって、製造誤差のためにヘッドのインク滴の吐出特性が異なる複数の印刷装置においても、均質な印刷結果を得ることができる。
【0097】
なお、ここでは、イエロを例にして説明したが、他のインク色についても同様の手順で色変換テーブルLUT1が作成することができる。ただし、ブラックなどの無彩色インクは彩度を有さないため、無彩色インクには第2実施例の手法を適用することはできない。
【0098】
なお、イエロについては、印刷ヘッドごとのインク滴の吐出特性のずれが明度の変化に影響しにくく、彩度の変化に影響しやすい。このため、複数のインク色のうち特にイエロについては、階調値と彩度の関係に基づいて階調値の補正を行って、色変換テーブルLUT1を作成することが特に好ましい。一方、ブラックなどの無彩色インクについては、彩度を有さないため、第1実施例で説明したように、階調値と明度の関係に基づいて階調値の補正を行って、色変換テーブルLUT1を作成することが好ましい。
【0099】
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0100】
上記各実施例では、補正テーブル作成の際には、0〜255のすべての階調について、テストパッチを形成し、明度または彩度を測定していた。しかし、補正テーブル作成の際、および各印刷ヘッドのヘッドIDを決定する際には、必ずしもすべての階調についてテストパッチを形成し、明度または彩度を測定しなくともよい。すなわち、代表的ないくつかの階調についてテストパッチを形成し、明度または彩度を測定して、近似曲線を求めることとしてもよい。
【0101】
また、各印刷ヘッドのヘッドIDを決定する際には、16個の階調について、テストパッチを形成し、明度または彩度を測定していた。しかし、15個以下の階調について、テストパッチを形成し、明度または彩度を測定してもよい。
【0102】
また、近似曲線を求める際にも、階調値がとり得るすべての値の範囲について近似曲線を求める必要はなく、一部の範囲の階調についてのみ近似曲線を求めることとしてもよい。ただし、明度または彩度のずれが目立つ中間領域の階調について、近似曲線を求めて、階調値の補正を行うことが好ましい。ここで、「中間領域の階調」とは、印刷媒体上においてインクが記録されている面積が20%〜80%の領域である。
【0103】
なお、明度の近似式を求める場合には、階調値0のときの明度(図5および式(2)の例においてak)を測定するほか、一つ以上の階調値について、テストパッチを作成し、明度を測定することが好ましい。式(2)中に一つのパラメータbkを有するからである。これに対して、そして、彩度の近似式を求める場合には0以外の二つ以上の階調値について、テストパッチを作成し、明度を測定することが好ましい。式(2)中に二つのパラメータpyとqyを含むからである。
【0104】
なお、特に、各印刷ヘッドのヘッドIDを決定する際には、補正テーブルを作成するときよりも少ない数の階調値についてテストパッチを作成し、明度または彩度を測定する態様とすることが好ましい。補正テーブルは、一度作成すればすべての同型のプリンタについて適用することができるが、ヘッドIDは、印刷ヘッドを製造するたびに決定する必要がある。このため、印刷ヘッドのヘッドIDを決定する際にテストパッチを作成する階調値の数を減らすことで、印刷ヘッドの製造に要する手間を全体として少なくすることができる。
【0105】
上記実施例では、対象ヘッドのヘッドIDを決定する際には、対象ヘッドの階調値に対する明度の近似式を求め(図7のステップS28参照)、各ヘッドIDに対応する近似式の中から最も近いものを選んでいた(ステップS30参照)。その際には、近似式である式(8)のパラメータbの値が最も近いものを選択していた。しかし、各ヘッドIDに対応する近似式の中から一つを選択する際には、明度の測定値を直接使って選択してもよい。すなわち、各階調値における明度の測定値と、それぞれの近似式に各階調値を代入したときの明度の計算値とのずれを、たとえば最小自乗法で評価して、もっとも測定値の明度に近い近似式を選択してもよい。
【0106】
また、彩度についても、図7のステップS28のように、まず、対象ヘッドの階調値と彩度についての近似式を求め、各ヘッドIDに対応する階調値と彩度との関係の近似式と、パラメータを比較して、それらの中から最も近いものを選んでもよい。そして、彩度の測定値を直接使用して、各ヘッドIDに対応する階調値と彩度との関係の近似式の中から最も近いものを選択してもよい。
【0107】
また、第1実施例では、ブラックインクについて明度に基づいて色変換テーブルの生成を行う場合について説明し、第2実施例では、イエロインクについて彩度に基づいて色変換テーブルの生成を行う場合について説明した。このような階調値の置き換えによる色変換テーブルの生成は、同じプリンタの同じ色変換テーブルについて同時に行うこともできる。すなわち、一つのプリンタにおいて、有彩色については彩度に基づいて色変換テーブルの補正を行い、無彩色については明度に基づいて色変換テーブルの補正を行うことができる。そのような態様とすれば、インク色の特性に応じた階調値の補正を行うことができ、より好ましい。
【0108】
そして、上記各実施例では、シアンインクおよびマゼンタインクの色変換テーブルの補正については説明しなかったが、ブラック、イエロ以外のインクについても、同様に明度または彩度に基づいて色変換テーブルの補正を行うことができる。すなわち、有彩色についても明度に基づいて色変換テーブルの補正を行うことができる。
【0109】
上記実施例では、ピエゾ素子を駆動するためのベース電圧を変化させて、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッドを設けていた。しかし、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度が互いに異なるような、階調値と明度または彩度との関係を、最初から数式によって求めてもよい。
【0110】
たとえば、式(1)において、pとqの値を様々に変えた複数の数式を設けて、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の彩度が互いに異なるような、階調値と明度または彩度との関係を定めてもよい。そして、式(2)において、bの値を様々に変えた複数の数式を設けて、同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度が互いに異なるような、階調値と明度または彩度との関係を定めてもよい。
【0111】
また、上記各実施例では、それぞれ明細書中で例示した式(1)〜(3)の形で、階調値と明度の関係、および階調値と彩度の関係が求められていた。しかし、それらの関係は、他の形で求められてもよい。ただし、階調値と明度の関係については、階調値から明度が一義的に定められ、明度から階調値が一義的に定められる関係を求めることが好ましい。そして、階調値と彩度の関係については、階調値から彩度が一義的に定められ、彩度から階調値が一義的に定められる関係を求めることが好ましい。
【0112】
上記実施例では、図7のステップS28で、対象ヘッドの階調値と明度の関係の近似式(近似曲線)を求めた。そして、ステップS30で、補正テーブル作成の際に計算された近似式のうち、最も対象ヘッドの傾向に近いものが選択された。しかし、対象ヘッドの階調値と明度の関係の近似式を求めないで、ステップS30で、階調値と明度の測定値をグラフ上にプロットして、それらの各点Psから直接、対象ヘッドの階調値と明度の関係に最も近い近似式を選択してもよい。
【0113】
さらに、上記各実施例では、基準の色変換テーブルである基準変換テーブルLUT0の出力を補正するための情報は、補正テーブルATとして持っていた。しかし、色変換テーブルの出力を補正するための補正情報は、他の形で持つこととしてもよい。たとえば、補正情報を表ではなく数式で持つこととしてもよい。たとえば、以下の式(10)を補正情報として持ち、式(10)で基準変換テーブルLUT0の出力である階調値x0をx1に補正して、色変換テーブルLUT1を作成することとしてもよい。
【0114】
【数3】
【0115】
ここで、bk0は基準となる印刷ヘッドにおける式(8)のbkであり、bk1は、対象ヘッドにおける式(8)のbkである。この式(10)は、明度Lk *が互いに等しくなるという条件の下で、式(8)から得られる。式(10)で色変換テーブルの補正を行えば、プリンタ間での明度のずれの少ない印刷を行うことができる。また、補正のためにあらかじめ用意しておく情報の量が、表の場合に比べて少なくできる。
【0116】
また、以下の式(11)を補正情報として持ち、式(11)で基準変換テーブルLUT0の出力である階調値x0をx1に補正して、色変換テーブルLUT1を作成することとしてもよい。ここで、py0は、基準電圧の場合の式(9)のpyであり、py1は、対象ヘッドにおける式(9)のpyである。また、qy0は、基準電圧の場合の式(9)のqyであり、qy1は、対象ヘッドにおける式(9)のqyである。この式(11)は、彩度Cy *が等しくなるような条件の下で、式(8)から得られる。
【0117】
【数4】
【0118】
式(11)で変換を行えば、プリンタ間での明度のずれの少ない印刷を行うことができる。また、補正のためにあらかじめ用意しておく情報の量が、表の場合に比べて少なくできる。
【0119】
なお、上記各実施例では、ピエゾ素子PEを用いてインクを吐出することによってドットを形成するヘッドの例について説明しているが、ドットを形成するための素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出して、印刷媒体上にドットを形成するタイプの素子を、ドットを形成するための要素として備えたプリンタに、本発明を適用することも可能である。また、インクリボンを使用してドットを形成するドットインパクトプリンタに対して本発明を適用することもできる。すなわち、本発明を適用するプリンタは、ドットを形成することによって画像を印刷するものであれば、どのようなものであってもよい。
【0120】
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したような色変換モジュールによるデータ変換をプリンタのハードウェア回路側で行うこととしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本印刷装置のソフトウェアの構成を示すブロック図。
【図2】 プリンタ22の概略構成を示す説明図。
【図3】 補正テーブルを作成する手順を示すフローチャート。
【図4】 印刷用紙P上に印刷されたテストパッチTkを示す平面図。
【図5】 ブラックの各階調値xk(0〜255)と、それらの階調値に対応するテストパッチの明度と、の関係を表す近似式のグラフ。
【図6】 図3の手順で得られた補正テーブルATの一例を示す表。
【図7】 ヘッドIDを決定して印刷ヘッド28のヘッドIDメモリ202格納する手順を示すフローチャート。
【図8】 図3のステップS10で求めた各ベース電圧における明度の近似式のグラフと、ステップS28で得た対象ヘッドにおける明度の近似式のグラフと、の関係を示す図。
【図9】 色変換テーブルを作成する手順を示すフローチャート。
【図10】 第2実施例において補正テーブルを作成する手順を示すフローチャート。
【図11】 イエロの各階調値xk(0〜255)に対応するテストパッチの明度をプロットして得た近似曲線を表すグラフ。
【符号の説明】
12…スキャナ
21…CRTディスプレイ
22…プリンタ
23…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
28…印刷ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサ
40…制御回路
61,62,64,66…インク吐出用ヘッド
71…ブラックインク用カートリッジ
72…カラーインク用カートリッジ
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…並べ替えモジュール
101…変換テーブル生成モジュール
202…ヘッドIDメモリ
AT…補正テーブル
FNL…印刷画像データ
GC0…基準電圧の下での階調値と彩度の関係の近似曲線のグラフ
GC1…基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と彩度の関係の近似曲線のグラフ
GC2…基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と彩度の関係の近似曲線のグラフ
GV0…基準電圧の下での階調値と明度の関係の近似曲線のグラフ
GV1…基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と明度の関係の近似曲線のグラフ
GV2…基準電圧よりも5%低いベース電圧の下での階調値と明度の関係の近似曲線のグラフ
GVt…対象ヘッドにおける階調値と明度の関係の近似曲線のグラフ
Lkt…明度
L…印刷結果の明度
Lk *…ブラックインクで印刷された印刷結果の明度
Lkt *…基準電圧の下で階調値x0が与えられたときに、ブラックインクで印刷された印刷結果の明度
LUT0…基準変換テーブル
LUT1…色変換テーブル
p,p1,p2,py…正の定数
q,q1,q2,qy…1より小さい正の定数
MID…中間画像データ
ORG…原カラー画像データ
P…印刷用紙
PE…ピエゾ素子
Ps…対象ヘッドにおける階調値と明度の測定値を表す点
Tk…テストパッチ
Claims (3)
- 画像データの色変換をするために用いる色変換テーブルを印刷ヘッドに応じて補正するための補正情報を作成する方法であって、
(a)同じ階調値にしたがって一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度が互いに異なる複数種類の印刷ヘッドのそれぞれについて、前記一色のインクの単位面積あたりの記録量に関する少なくとも一部の範囲の階調値と、印刷結果の明度または彩度と、の関係を求める工程と、
(b)前記複数種類の印刷ヘッドのそれぞれについて得られた前記階調値と明度または彩度との関係に基づいて、前記印刷ヘッドにおいて使用される複数のインク色について階調調整情報を求めることにより、補正情報を生成する工程と、を含み、
前記工程 (a) は、
(a1)画像データを、印刷に使用するインク色を基準色として含む表色系の印刷用画像データに色変換するための色変換テーブルを準備する工程を含み、
前記工程 (b) は、
(b1)前記補正情報に含まれ前記各種類の印刷ヘッドに対応づけられた前記階調調整情報であって、前記色変換テーブルの出力である前記一色のインクの基準階調値を、前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドに応じて補正するための前記階調調整情報を生成する工程を含み、
前記工程(a)は、さらに、
(a2)前記複数種類の印刷ヘッドのうちの一つである基準印刷ヘッドが前記色変換テーブルの出力である前記基準階調値にしたがって前記一色のインクで印刷する印刷結果の明度または彩度を測定する工程を含み、
前記工程(b1)は、
(b2)前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドによる印刷において使用するための補正階調値であって、前記測定された明度または彩度と近似する明度または彩度を前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドを使用して前記一色のインクで実現できる補正階調値を、前記工程 (a) で求めた前記関係のうち、前記基準印刷ヘッドについての前記関係と、前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドについての前記関係と、に基づいて決定する工程と、
(b3)前記基準階調値と前記補正階調値とに基づいて、前記基準階調値を前記補正階調値に補正するための前記階調調整情報を生成する工程と、を含み、
前記複数のインク色のうちの有彩色インクについては、
前記工程(a2)において、前記一色のインクとしての前記有彩色インクで印刷する印刷結果の彩度を測定し、
前記工程(b2)において、前記測定された彩度と近似する彩度を、前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドを使用して前記有彩色インクで実現できる補正階調値を決定し、
前記複数のインク色のうちの無彩色インクについては、
前記工程(a2)において、前記一色のインクとしての前記無彩色インクで印刷する印刷結果の明度を測定し、
前記工程(b2)において、前記測定された明度と近似する明度を、前記階調調整情報が対応づけられる印刷ヘッドを使用して前記無彩色インクで実現できる補正階調値を決定する、補正情報の作成方法。 - 請求項1記載の補正情報の作成方法であって、
有彩色インクについては、xを前記階調値、C*を前記彩度、pを正の数、qを1より小さい正の数としたときに、前記工程(a)において、
前記階調値と前記彩度との関係を、
C*=pxq
の形の式で求める、補正情報の作成方法。 - 請求項1記載の補正情報の作成方法であって、
無彩色インクについては、xを前記階調値、L*を前記明度、aおよびbを正の数、eを自然対数の底としたときに、前記工程(a)において、
前記階調値と前記明度との関係を、
L*=ae-bx
の形の式で求める、補正情報の作成方法。
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