JP3468628B2 - 共重合ポリエステルおよびその成形品 - Google Patents

共重合ポリエステルおよびその成形品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、共重合ポリエステ
ルおよびその製造方法、並びにその共重合ポリエステル
を用いる成形品の製造方法およびそれにより得られる成
形品に関する。より詳細には、本発明は、高い溶融粘度
を有し、しかも高剪断速度では低粘度で且つ低剪断速度
では高粘度である非ニュートン性を示し、成形時にシャ
ークスキン流動等のメルトフラクチャーが生じず、結晶
化速度が抑制され、かつゲル化物が生じないという優れ
た特性を備える共重合ポリエステルおよびその製造方
法、それからなる成形品に関するものであり、本発明の
共重合ポリエステルを用いて、押出ブロー成形やその他
の溶融成形によって成形品を製造した場合には、透明
性、外観、触感などに優れ、しかも機械的特性、耐熱
性、耐湿性、耐薬品性などに優れる高品質の成形品を円
滑に製造することができ、本発明の共重合ポリエステル
は特に押出ブロー成形で用いるのに適している。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートをはじめと
するポリエステル樹脂は、透明性、力学的特性、ガスバ
リヤー性、フレーバーバリヤー性などの種々の性質に優
れ、しかも成形品にした際にも残留モノマーや有害添加
剤の心配が少なく、衛生性および安全性に優れているこ
とから、容器などの製造に従来汎く用いられてきた塩化
ビニル樹脂に代わるものとして、ジュース、清涼飲料、
調味料、油、化粧品、洗剤、その他の製品を充填するた
めの中空容器として近年広く使用されるようになってい
る。
【0003】プラスチックから容器などの中空成形品を
製造するための代表的な成形法としては、(1)溶融可
塑化した樹脂をダイオリフィスを通して円筒状のパリソ
ンとして押出し、そのパリソンが軟化状態にある間に金
型で挟んで内部に空気などの流体を吹き込んで成形を行
う押出ブロー成形法;および(2)溶融樹脂を金型に射
出して密封パリソン(プリフォーム)を一旦成形した
後、それをブロー金型に挿入して空気などの流体を吹き
込んで成形を行う射出ブロー成形法の2者を挙げること
ができる。
【0004】上記した成形法のうちで、前者の押出ブロ
ー成形法は、後者の射出ブロー成形法に比べて、工程が
簡単で、しかも金型の作製および成形に高度な技術を必
要としないために、設備費や金型の製作費などが安くて
すみ、多品種・少量生産に適している。しかも、押出ブ
ロー成形法による場合は、細物、深物、大物、取っ手な
どを有する複雑な形状の成形品の製造も可能であるとい
う利点がある。
【0005】かかる点から、ポリエチレンテレフタレー
トやポリブチレンテレフタレートなどの汎用のポリエス
テル樹脂を用いて押出ブロー成形を行うことが従来から
も色々試みられているが、汎用のポリエステル樹脂は一
般に溶融粘度が低く、そのために押出ブロー成形を行お
うとすると、押出後のパリソンが著しくドローダウンし
て賦形することが難しい。しかも、押出後のブロー時に
結晶化が起こり易く、透明性が損なわれたり、賦形不良
が生ずるという問題がある。そして、ポリエチレンテレ
フタレートなどの汎用のポリエステル樹脂におけるその
ような溶融粘度の低さおよび結晶化が起こり易いことに
起因する前記した不都合は、大型の中空成形品の製造に
必要な長さが通常20cm以上の長いパリソンの押出し
を行う押出ブロー成形において特に顕著である。そのた
め、ポリエチレンテレフタレートなどの汎用のポリエス
テル樹脂を用いて、押出ブロー成形によって形状および
寸法が均一で、しかも透明性に優れた成形品、特に大型
の中空成形品を得ることは、事実上極めて困難である。
【0006】そこで、上記の理由から、押出ブロー成形
においては、高い溶融粘度を有していて溶融状態で押出
されたパリソンの著しいドローダウンが生じない、塩化
ビニル樹脂やポリオレフィンが従来主に用いられてき
た。しかしながら、塩化ビニル樹脂を用いて製造された
押出ブロー成形品は、可塑剤や金属系安定剤などの有害
添加物の溶出による衛生面や安全面での問題があり、し
かも使用済みの成形品を焼却すると有毒ガスを発生する
という問題があり、ヨーロッパなどを中心としてその使
用が減少する傾向にある。また、ポリエチレンなどのポ
リオレフィンを用いて押出ブロー成形を行った場合に
は、結晶に由来する白濁が成形品に生じて成形品の透明
性や外観が不良になり易いという欠点がある。
【0007】そのため、押出ブロー成形に適するポリエ
ステル樹脂に関する提案が従来から色々なされており、
そのような従来技術としては、 ジカルボン酸またはそのエステル形成成分とジオー
ル成分を反応させてポリエステルを製造する際に、ビス
フェノールAエチレンオキサイド付加物を含むジオール
成分を用いて押出ブロー成形などに使用する共重合ポリ
エステルを製造する方法(特開平5−065338号公
報); ジカルボン酸またはそのエステル形成成分とジオー
ル成分を反応させてポリエステルを製造する際に、ジオ
ール成分としてシクロヘキサンジメタノールなどを用い
て共重合ポリエステルを製造する方法(上記した特開平
5−065338号公報の比較例、特開平7−2070
03号公報など); テレフタル酸、エチレングリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノールおよび少量の多官能性分岐剤化
合物を用いて分岐ポリエステルを製造する方法(米国防
衛公報No.T954,005); テレフタル酸やそのエステル形成性誘導体などのジ
カルボン酸成分およびエチレングリコールなどのジオー
ル成分と共に、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、トリメリット酸などの汎用の多官能化合物、
および安息香酸、ステアリン酸などの連鎖停止剤を用い
て押出ブロー成形用の共重合ポリエステルを製造する方
法(特開昭54−137095号公報); テレフタル酸やそのエステル形成性誘導体などのジ
カルボン酸成分とエチレングリコールなどのジオール成
分を反応させてエステル化反応またはエステル交換反応
させて低重合体を製造した後、これにトリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸などの
汎用の多官能化合物よりなる架橋剤を反応させて重縮合
反応を行ってプレポリマーをつくり、そのプレポリマー
を固相重合させて押出ブロー成形用の共重合ポリエステ
ルを製造する方法(特開昭54−163962号公報、
特開昭55−92730号公報); テレフタル酸、イソフタル酸、ペンタエリスリトー
ル等の分岐剤およびm−アニス酸等の末端封止剤を用い
て押出ブロー成形用の共重合ポリエステルを製造する方
法(特開昭61−181823号公報);などが知られ
ている。
【0008】そして、上記およびの従来法による場
合は、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物やシ
クロヘキサンジメタノールの共重合によって共重合ポリ
エステルの融点が低下し、それによって溶融押出温度を
従来よりも低い温度に設定することができるために、押
出ブロー成形時の溶融粘度を上昇させることができる。
しかしながら、その場合でも、その溶融粘度は押出ブロ
ー成形を行うには充分に高くなく、そのため押出後のパ
リソンに著しいドローダウンが生じて、賦形することが
困難になり、押出ブロー成形を円滑に行うことができな
い。また、低温で成形を行う弊害として、ボトルなどの
押出ブロー成形品に微小な表面荒れが生じて、成形品の
外観や触感が損なわれ易い。その上、上記およびの
従来法で得られる共重合ポリエステルは、融点が低いた
めに固相重合が行えない場合が多く、固相重合が行える
場合であってもその固相重合速度が極めて遅くて重合度
が充分に増加しないために、溶融粘度の上昇が達成しに
くく、しかもその共重合ポリエステルから得られる成形
品は透明性が不良になったり、厚みむらが大きくなると
いう欠点を有する。
【0009】また、上記の従来法では、1,4−シク
ロヘキサンジメタノールを全ジオール単位に対して10
〜40モル%の高割合で共重合させているため従来法
およびと同様に非晶化または融点の低下によって低温
成形が可能であり、また多官能性分岐剤化合物による分
岐構造により従来法およびで得られる共重合ポリエ
ステルよりもポリエステルの溶融粘度が増す傾向にあ
る。しかしながら、従来法には固相重合については全
く触れられていない。そして、従来法で得られる共重
合ポリエステルはいわゆる「非晶性」のポリマーである
かまたは結晶性ではあっても融点が低すぎるために、固
相重合が不可能であるか、または固相重合が可能であっ
ても固相重合を行った場合に融点が低すぎてチップやペ
レット間の膠着が生じたり重合速度が低すぎて、分子量
を充分に高くすることができない。そのため、そこで得
られる共重合ポリエステルの溶融粘度が押出ブロー成形
を行うには充分に高くなく、その結果押出後のパリソン
の著しいドローダウンが生じて賦形が困難となり、押出
ブロー成形を円滑に行うことができない。さらに、従来
法でも、上記およびの従来技術と同様に、低温で
成形を行う弊害として、ボトルなどの押出ブロー成形品
に微小な表面荒れを生じて、成形品の外観や触感が損な
われ易い。その上、成形前に共重合ポリエステルを高温
で乾燥するとチップやペレット間の膠着が生ずるため低
温で乾燥せざるをえず、そのため真空乾燥設備等の大が
かりな乾燥装置による長時間の乾燥が必要であり、生産
性が低下する。また、非晶性ポリマーである場合には押
出機のホッパー下部でチップやペレット間の膠着が生じ
易く、押出ができなくなるという不都合を生ずる。
【0010】また、多官能化合物からなる架橋剤と安息
香酸やステアリン酸などの連鎖停止剤を併用している上
記したの従来法により得られる共重合ポリエステル
は、エチレンテレフタレート単独重合体などに比べて溶
融粘度および溶融強度が増しているが、エチレンテレフ
タレート単独重合体に比べて結晶化速度が大きく、その
ためにパリソンの押出時に球晶が生成し、得られる押出
ブロー成形品などでは白化が著しくなって、透明性に欠
けたものとなる。また、20cm以上の長いパリソンの
押し出しを行って大型の中空成形品を押出ブロー成形で
製造する際に、パリソンの下部が結晶化により固化して
しまい、ボトルなどの容器底部のピンチオフ部分が接着
不良となる。その上、上記の〜の従来法の場合と同
様に、成形品に微小な表面荒れが生じて、成形品の外観
および触感が著しく不良なものとなり易い。さらに、共
重合ポリエステルの生産性の点では、固相重合時に結晶
化度が急激に上昇するために、重合速度を増大するのに
必要な重合体中でのエチレングリコールの拡散が妨げら
れて、目的とする共重合ポリエステルを円滑に生産する
ことが困難である。また、このの従来法により得られ
る共重合ポリエステルは、結晶化度が異常に高いため
に、押出ブロー成形における押出工程で未溶融ブツが多
発し、良好な成形品の製造が困難である。そして、上記
したような種々の欠点は、大型の中空成形品を製造する
場合におけるような、樹脂押出速度の速い状態で特に顕
著に現れる。
【0011】また、上記のの従来法により得られる共
重合ポリエステルは、上記の従来法により得られる共
重合ポリエステルと同様に、エチレンテレフタレート単
独重合体に比べて結晶化速度が大きく、そのためパリソ
ンの押出時に球晶が生成して、得られる押出ブロー成形
品の白化が著しくなり透明性に欠けたものとなる。ま
た、20cm以上の長いパリソンの押出を伴う大型の中
空成形品の製造においては、パリソンの下部が結晶化に
より固化してしまって、ボトルなどの中空成形品の底部
のピンチオフ部分が接着不良となる。さらに、単官能化
合物からなる末端封止剤を使用していないことによって
共重合ポリエステルの架橋度を適正に制御できず、過架
橋状態になるために、架橋構造に由来するゲル状物が発
生して成形品にブツなどの斑点が現れて成形品の外観が
損なわれるという欠点がある。さらにこのの従来法に
よる場合も、上記の〜の従来法の場合と同様に、成
形品に微小な表面荒れが生じて、成形品の外観および触
感が著しく不良なものとなり易い。そして、このの従
来技術として挙げた上記の特開昭54−163962号
公報および特開昭55−92730号公報には、少量の
イソフタル酸やネオペンチルグリコールなどを共重合さ
せ得ることが記載されており、その場合には共重合ポリ
エステルの結晶化速度が抑制されて中空成形品を製造す
る際のパリソンの底部の早期の固化や中空成形品の白化
はある程度低減されるものの、過架橋構造に由来するゲ
ル状物の発生、成形品の表面荒れなどは依然として解消
されないままである。
【0012】また、上記従来法では、ペンタエリスリ
トール等の分岐剤およびm−アニス酸等の末端封止剤を
共重合し、さらに固相重合を行うことにより、溶融粘度
および溶融粘度の剪断感度が高く、架橋構造に由来する
ゲル物の少ない共重合ポリエステルが得られるとしてお
り、さらに2官能成分としてイソフタル酸を共重合して
いることにより共重合ポリエステルの結晶化速度が抑制
されて中空成形品を製造する際のパリソン底部の固化や
中空成形品の白化がある程度低減される傾向がある。し
かしながら、従来法の共重合ポリエステルを用いて2
0cm以上の長いパリソンの押出を伴う大型の中空成形
品を製造する際には、先に押し出されたパリソン底部に
結晶化を生じて中空成形品の底部が白化してしまうとい
う欠点がある。そして、この従来法による場合も、上
記の〜の従来法の場合と同様に、成形品に微小な表
面荒れを生じて、その外観や触感が著しく不良なものと
なり易い。特に、20cm以上の長いパリソンの押出を
伴う大型の中空成形品の製造を行う際のような、単位時
間当たりの押出量が20kg以上となる場合には、成形
品の微小な表面荒れが顕著となり、それと併せて結晶の
融解困難に伴う未融解ブツの発生が成形品に生じ易い。
【0013】しかも、上記した〜の従来法により得
られる共重合ポリエステルおよびそれから得られる成形
品はいずれも、落下衝撃強度などの機械的特性が充分に
高いとはいえない。ボトルなどの中空成形品とした場合
には、その落下衝撃高度は通常1m以上であることが必
要であるが、本発明者らが、上記〜の従来法により
得られる共重合ポリエステルを用いて押出ブロー成形に
よってボトルを製造したところ、そのいずれも落下衝撃
強度が1m未満であって実用上問題を生じた。特に、内
容積が1リットル以上のボトルでは、破壊エネルギーが
大きくなって、割れ易くなる。従来法の共重合ポリエ
ステルより得られるボトルは特に落下衝撃強度が劣って
おり、これはイソフタル酸を共重合していることにより
共重合ポリエステルの機械特性が低下したためであると
推測される。また、本発明者らは、上記した〜の従
来技術とは別に、固相重合によって高重合度化させたポ
リエチレンテレフタレートを製造することを試みたが、
固相重合速度が極めて遅く、押出ブロー成形などに適す
る充分に高い重合度および溶融粘度を有するポリエチレ
ンテレフタレートを短時間に効率よく得ることができ
ず、生産性の点で実用的でないことが判明した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、上記した種々の問題点を解決して、 (1)溶融粘度が充分に高くて、押出ブロー成形などに
用いた場合に押出したパリソンのドローダウンが生じ
ず、中空成形品に円滑に賦形することができ; (2)結晶化速度が遅く、パリソンの押出時に球晶の生
成がなく、得られる押出ブロー成形品などの成形品にお
ける白化がなくて透明性に優れており; (3)20cm以上の長いパリソンの押出を行う大型の
中空成形品の製造に際して、パリソンの下部の結晶化に
よる固化が生じず、ボトルなどの成形品の底部のピンチ
オフ部分の接着不良が生じず; (4)微小な表面荒れがなく、外観および触感に優れる
各種の成形品を得ることができ; (5)過架橋構造に由来するゲル状物の発生がなく、成
形品にブツなどの斑点が生じず、透明性に優れ、外観的
に良好な成形品を得ることができ; (6)得られる成形品が耐衝撃性に優れており;しかも (7)固相重合速度が大きく生産性に優れている; という諸特性を備えており、溶融成形性、特に押出ブロ
ー成形性に優れていて、目的とする形状および寸法を有
し、外観、触感、透明性などに優れる高品質の成形品を
高い精度で円滑に製造することのできるポリエステルを
提供することである。 そして、本発明の目的は、上記の優れた諸特性を備える
ポリエステルを短時間で生産性よく製造することのでき
る方法を提供することである。更に、本発明の目的は、
上記した優れた特性を備えるポリエステルを用いて、溶
融成形、特に押出ブロー成形を行って成形品を製造する
方法、並びにそれによる成形品を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、テレフタル酸単位およ
びエチレングリコール単位から主としてなるポリエステ
ルにおいて、該ポリエステル中に、更にテレフタル酸単
位およびエチレングリコール単位以外の脂環式または脂
肪族のジカルボン酸単位、ジオール単位およびヒドロキ
シカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の脂環式
または脂肪族の2官能化合物単位を特定の割合で含有さ
せ、且つ3官能以上の多官能化合物からなる単位と単官
能化合物から誘導される単官能化合物単位をそれぞれ特
定の割合で含有させると、それにより得られる共重合ポ
リエステルが、高剪断速度では低粘度で且つ低剪断速度
では高粘度である非ニュートン性を示し、そのためその
共重合ポリエステルを用いて各種の溶融成形を円滑に行
うことができること、特に押出ブロー成形に用いるのに
適する良好な成形性を有していて、溶融粘度が充分に高
くて、押出したパリソンのドローダウンが生じず、中空
成形品に円滑に賦形することができることを見出した。
【0016】しかも、本発明者らの開発した上記の共重
合ポリエステルは結晶化速度が遅く、押出ブロー成形な
どを行う際に、パリソンの押出時に球晶の生成がなく、
得られる押出ブロー成形品は白化がなくて透明性に優れ
ていること、さらに20cm以上の長いパリソンの押出
を伴う大型の中空成形品を製造する際に、パリソンの下
部の結晶化による固化が生じず、ボトルなどの成形品の
底部のピンチオフ部分の接着不良が生じないことも判明
した。また、本発明者らの開発した上記の共重合ポリエ
ステルは、溶融成形時に適当な溶融剪断応力を示し、そ
のためその溶融成形により得られる成形品は、表面荒れ
のない良好な外観および触感を有し、更には架橋の程度
が良好に調節されていて過架橋に伴うゲル状物の発生が
なくて透明性に優れており、しかも機械的強度に優れて
いることを見出した。また、本発明者らは、その共重合
ポリエステルは固相重合速度が大きくて、良好な生産性
で経済的に製造できることをも見出し、それらの種々の
知見に基づいて本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明は、(A) (1) テレフタル酸単位およびエチレングリコ
ール単位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する
共重合ポリエステルであって; (2) 前記の共重合ポリエステルが、他の共重合単位
として、 (i) テレフタル酸単位エチレングリコール単位
よびシクロヘキサンジメタノール単位以外の脂環式また
は脂肪族のジカルボン酸単位、ジオール単位およびヒド
ロキシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の脂
環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)を、共重合
ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、1
〜4モル%の割合で有し; (ii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有し;
そして (iii) モノカルボン酸、モノアルコールおよびそ
れらのエステル形成性誘導体の少なくとも1種の単官能
化合物から誘導される単官能化合物単位(c)を、共重
合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、
下記の数式(I);
【数5】{20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b}(I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
単位(b)の割合(モル%)c=共重合ポリエステルに
おける単官能化合物単位(c)の割合(モル%)n=多
官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の平均官
能基数]を満足する割合で有している;ことを特徴とす
る共重合ポリエステル[以下これを「共重合ポリエステ
ル(A)」ということがある]である。
【0018】そして、本発明は、 (B)(1) テレフタル酸単位およびエチレングリコ
ール単位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する
共重合ポリエステルであって; (2) 前記の共重合ポリエステルが、他の共重合単位
として、 (i) シクロヘキサンジメタノール単位単独からなる
か或いはシクロヘキサンジメタノール単位と、テレフタ
ル酸単位、エチレングリコール単位およびシクロヘキサ
ンジメタノール単位以外の脂環式または脂肪族のジカル
ボン酸単位、ジオール単位およびヒドロキシカルボン酸
単位から選ばれる少なくとも1種の脂環式または脂肪族
の2官能化合物単位からなる2官能化合物単位(a)
を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基
づいて、1〜4モル%の割合で有し; (ii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有し;
そして (iii) モノカルボン酸、モノアルコールおよびそ
れらのエステル形成性誘導体の少なくとも1種の単官能
化合物から誘導される単官能化合物単位(c)を、共重
合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、
下記の数式(I);
【数6】{20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b}(I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
単位(b)の割合(モル%)c=共重合ポリエステルに
おける単官能化合物単位(c)の割合(モル%)n=多
官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の平均官
能基数]を満足する割合で有しており;且つ、 (3) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜5×106ポ
イズであり、270℃の温度における剪断速度100r
ad/秒での溶融粘度(η2)が5×103〜5×10
5ポイズであり、且つ前記の溶融粘度(η1)および溶
融粘度(η2)が下記の数式(II);
【数7】−0.7≦(1/3)log10(η2/η1)≦−0.2(II) を満足することを特徴とする共重合ポリエステル[以下
これを「共重合ポリエステル(B)」ということがあ
る]である。
【0019】そして、本発明は、上記の共重合ポリエス
テルからなる成形品、特に押出ブロー成形品である。
【0020】本発明の共重合ポリエステル(A)および
共重合ポリエステル(B)(以下これらの共重合ポリエ
ステルを総称して「本発明の共重合ポリエステル」とい
うことがある)は、次のようにして製造することができ
。 (1)まず、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘
導体よりなるジカルボン酸成分とエチレングリコールよ
りなるジオール成分から主としてなり、しかも前記の主
たるジカルボン酸成分およびジオール成分以外に、更に
(a)脂環式または脂肪族のジカルボン酸、ヒドロキシ
カルボン酸、それらのエステル形成性誘導体およびエチ
レングリコール以外の脂環式または脂肪族のジオールか
ら選ばれる少なくとも1種の脂環式または脂肪族の2官
能化合物;(b)カルボキシル基、ヒドロキシル基およ
び/またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する
多官能化合物の少なくとも1種;並びに(c)モノカル
ボン酸、モノアルコールおよびそれらのエステル形成性
誘導体の少なくとも1種を含む反応原料であって、且つ (i) 該反応原料における前記の脂環式または脂肪族
の2官能化合物の含有量が、該脂環式または脂肪族の2
官能化合物から誘導される脂環式または脂肪族の2官能
化合物単位(a)の割合が共重合ポリエステルの全構成
単位の合計モル数に基づいて1〜4モル%の範囲になる
ような量であり; (ii) 該反応原料における前記の多官能化合物の含
有量が、該多官能化合物から誘導される多官能化合物単
位(b)の割合が共重合ポリエステルの全構成単位の合
計モル数に基づいて0.005〜1モル%になるような
量であり;そして、 (iii) 該反応原料における前記の単官能化合物の
含有量が、該単官能化合物から誘導される単官能化合物
単位(c)の割合が、共重合ポリエステルの全構成単位
の合計モル数に基づいて、下記の数式(I);
【0021】
【数8】 {20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b} (I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
単位(b)の割合(モル%)c=共重合ポリエステルに
おける単官能化合物単位(c)の割合(モル%)n=多
官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の平均官
能基数]を満足するような割合となる量である;反応原
料を、エステル化反応またはエステル交換反応させた
後、それを溶融重縮合させてポリエステルプレポリマー
を形成し;次いで、 (2)前記の工程(1)で得られるポリエステルプレポ
リマーを固相重合させる;ことにより製造することがで
きる
【0022】
【発明の実施の形態】上記した本発明について詳細に説
明する。本発明の共重合ポリエステルは、上記のよう
に、テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位か
ら主としてなり且つ他の共重合単位を有する共重合ポリ
エステルであることが必要である。本発明の共重合ポリ
エステルでは、テレフタル酸単位とエチレングリコール
単位との合計割合(モル%)は、共重合ポリエステルを
構成する全構成単位の合計モル数(すなわち100モル
%)から、後述する脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)、多官能化合物単位(b)および単官能化合
物単位(c)の割合等を差し引いた値である。一般に、本
発明の共重合ポリエステルにおけるテレフタル酸単位と
エチレングリコール単位との合計割合(モル%)は、共重
合ポリエステルを構成する全構成単位の合計モル数に対
して、約70〜98モル%であるのが好ましく、約90
〜98モル%であるのがより好ましい。共重合ポリエス
テルにおけるテレフタル酸単位とエチレングリコール単
位の合計割合が70モル%未満であると共重合ポリエス
テルが非晶性になるため固相重合による高重合度化が困
難になり、一方98モル%を超えると共重合ポリエステ
ルの結晶が融解し難くなって成形品に未溶融のブツが多
発し易くなる。
【0023】そして、本発明の共重合ポリエステルは、
テレフタル酸単位とエチレングリコール単位以外に、脂
環式または脂肪族のジカルボン酸単位、エチレングリコ
ール単位以外の脂環式または脂肪族のジオール単位およ
び脂環式または脂肪族のヒドロキシカルボン酸単位から
選ばれる少なくとも1種の脂環式または脂肪族の2官能
化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構成単位
の合計モル数に基づいて、1〜4モル%の割合で有して
いる。
【0024】本発明では、上記のように2官能化合物単
位(a)が脂環式または脂肪族の化合物から誘導される
単位であることが必要であり、2官能化合物単位(a)
が例えばイソフタル酸単位、ヒドロキシ安息香酸単位な
どのような脂環式または脂肪族以外のジカルボン酸単
位、ジオール単位またはヒドロキシカルボン酸単位であ
る場合は、ボトルなどの押出ブロー成形品に微小な表面
荒れが生じて、成形品の外観や触感が著しく損なわれ
る。特に、押出速度が20kg/時間以上である大型ボ
トルなどの成形品の製造において表面荒れが顕著とな
り、また成形品の耐衝撃強度も劣ったものとなる。
【0025】本発明の共重合ポリエステル(A)におけ
脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)として
は、テレフタル酸単位エチレングリコール単位および
シクロヘキサンジメタノール単位以外の脂環式または脂
肪族のジカルボン酸単位、ジオール単位およびヒドロキ
シカルボン酸単位であればいずれでもよいが、脂環式ま
たは脂肪族の2官能化合物単位(a)の好ましい例とし
ては、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デカリンジカ
ルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカ
ルボン酸;それらのエステル形成性誘導体;1,3−プ
ロパンジオール、テトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−ブチ
ル−2−エチル−プロパンジオールなどの脂肪族ジオー
グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシ
プロピオン酸などのヒドロキシカルボン酸(ラクトン
酸)またはそれらのエステル形成性誘導体から誘導され
る構造単位を挙げることができる。本発明の共重合ポリ
エステル(A)は、脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)として、上記した構造単位のうちの1種のみ
を有していても、または2種以上を有していてもよい。
本発明の共重合ポリエステル(B)における脂環式また
は脂肪族の2官能化合物単位(a)は、シクロヘキサン
ジメタノール単位単独からなるか或いはシクロヘキサン
ジメタノール単位と、テレフタル酸単位、エチレングリ
コール単位およびシクロヘキサンジメタノール単位以外
の脂環式または脂肪族のジカルボン酸単位、ジオール単
位およびヒドロキシカルボン酸単位から選ばれる少なく
とも1種の脂環式または脂肪族の2官能化合物単位から
なる。ここで、共重合ポリエステル(B)がシクロヘキ
サンジメタノール単位と共に有し得る、テレフタル酸単
位、エチレングリコール単位およびシクロヘキサンジメ
タノール単位以外の脂環式または脂肪族のジカルボン酸
単位、ジオール単位およびヒドロキシカルボン酸単位と
しては、共重合ポリエステル(A)における脂環式また
は脂肪族の2官能化合物単位(a)として前記で挙げた
のと同じ種類の脂環式または脂肪族の2官能化合物単位
の1種または2種以上を採用することができる。
【0026】そして、本発明の共重合ポリエステル
(A)において、脂環式または脂肪族の2官能化合物単
位(a)がシクロヘキサンジカルボン酸単位である場
、また脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
の全部または一部としてシクロヘキサンジメタノール単
位を有する本発明の共重合ポリエステル(B)の場合
は、共重合ポリエステルの製造が容易になり、しかも共
重合ポリエステルおよびそれらか得られる成形品の落下
強度を大きなものとすることができる。ここで、シクロ
ヘキサンジメタノール単位とは、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール単位、1,3−シクロヘキサンジメタノ
ール単位および1,4−シクロヘキサンジメタノール単
位からなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール単
位を意味する。また、シクロヘキサンジカルボン酸単位
とは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸単位、1,
3−シクロヘキサンジカルボン酸単位および1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる
少なくとも1種のジカルボン酸単位を意味する。本発明
における脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
としては、入手の容易さ、共重合ポリエステルおよびそ
れから得られる成形品の落下強度をさらに大きなものと
する点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位
および/または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単
位がより好ましい。
【0027】そして、本発明の共重合ポリエステルで
は、脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)の割
合[2種以上の脂環式または脂肪族の2官能化合物単位
(a)を有している場合はその合計割合]が、上記した
ように、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数
に基づいて1〜4モル%であることが必要である。脂環
式または脂肪族の2官能化合物単位(a)の割合が1モ
ル%未満であると、共重合ポリエステルの結晶化速度が
速くなり過ぎて、溶融成形時に球晶の生成に伴う白化が
生じて成形品の透明性が失われ、しかも20cm以上の
長さのパリソンの押出を伴う大型の中空成形品の製造に
おいてはパリソンの下部が結晶化によって早期に固化し
てしまってボトルなどの成形品の底部のピンチオフ部分
が接着不良となる。しかも、結晶化度が高くなり過ぎる
ことによって、溶融成形を行った際に成形品に未溶融の
ブツが生じて外観が不良となる。
【0028】一方、脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)の割合が4モル%を超えると、共重合ポリエ
ステルの結晶性および融点が低くなり過ぎて、固相重合
が行えなくなったり、または固相重合が行える場合であ
ってもその固相重合速度が極端に遅くなって重合度が充
分に増加しなくなり、それに伴って得られる共重合ポリ
エステルおよびその成形品の機械的強度が劣ったものと
なる。
【0029】共重合ポリエステル自体の生産性を高くす
ることができ、しかも共重合ポリエステルの溶融粘度が
充分に高くなって押出ブロー成形などの溶融成形を一層
良好に行うことができ、且つ白化がなくて透明性に一層
優れ、さらに機械的強度にも一層優れる成形品を得るこ
とができるなどの点から、共重合ポリエステルにおける
脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)の割合
が、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基
づいて2〜4モル%の範囲であるのが特に好ましい。
【0030】ところで、本発明の共重合ポリエステルの
製造中にエチレングリコール成分の2量化物であるジエ
チレングリコールが少量副生して生成する共重合ポリエ
ステル中にジエチレングリコール単位が少量含まれてく
るが、共重合ポリエステル中にジエチレングリコール単
位が多く含まれると、共重合ポリエステルのガラス転移
温度が低下して、耐熱性の低下や着色などの問題を生
じ、該共重合ポリエステルから得られるボトルなどの成
形品の耐熱性、強度、色調が不良になるので、共重合ポ
リエステル中におけるジエチレングリコール単位の割合
を極力低減させておくのがよい。前記した理由から、共
重合ポリエステル中におけるジエチレングリコール単位
の割合を共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数
に基づいて1.5モル%未満にしておくのが好ましく、
1.4モル%以下にしておくのがより好ましく、1.3
モル%以下にしておくのが更に好ましい。また、ポリエ
チレングリコール単位などのようなポリアルキレングリ
コール単位もジエチレングリコール単位と同様の弊害を
共重合ポリエステルにもたらすので、本発明の共重合ポ
リエステル中に含まれないようにするのがよい。したが
って、本発明の共重合ポリエステル中における上記した
脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)の1〜4
モル%の値はエーテル結合を有するジエチレングリコー
ル単位やポリアルキレングリコール単位を包含しない値
を意味する。
【0031】さらに、本発明の共重合ポリエステルは、
共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づい
て、カルボキシル基、ヒドロキシル基および/またはそ
れらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物
単位(b)を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計
モル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合[2種
以上の多官能化合物単位(b)を有する場合はその合計
割合]で有していることが必要である。
【0032】多官能化合物単位(b)としては、カルボ
キシル基、ヒドロキシル基およびそれらのエステル形成
性基から選ばれる1種または2種以上の基を3個以上有
する多官能化合物から誘導される単位であれば特に制限
されず、多官能化合物単位(b)を誘導するための多官
能化合物は、カルボキシル基のみを3個以上有する多官
能化合物であっても、ヒドロキシル基のみを3個以上有
する多官能化合物であっても、またはカルボキシル基と
ヒドロキシル基を合計で3個以上有する多官能化合物で
あってもよい。
【0033】多官能化合物単位(b)の好ましい例とし
ては、トリメシン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベ
ンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,4,5,
8−ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族ポリカル
ボン酸;1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸な
どの脂肪族ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキ
シベンゼンなどの芳香族ポリアルコール;トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン、1,
3,5−シクロヘキサントリオールなどの脂肪族ポリア
ルコール;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキ
シイソフタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、プロ
トカテク酸、没食子酸、2,4−ジヒドロキシフェニル
酢酸などの芳香族ポリヒドロキシカルボン酸;酒石酸、
リンゴ酸などの脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸;それ
らのエステル形成性誘導体から誘導される多官能化合物
単位を挙げることができる。本発明の共重合ポリエステ
ルは、多官能化合物単位(b)として、上記した多官能
化合物単位の1種のみを有していてもまたは2種以上を
有していてもよい。
【0034】上記したうちでも、本発明の共重合ポリエ
ステルは、多官能化合物単位(b)としてトリメリット
酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプ
ロパンおよびペンタエリスリトールから誘導される構造
単位の1種または2種以上を有しているのが、共重合ポ
リエステルの製造の容易性および製造コストの点から好
ましい。さらに、ゲル化が抑制される点からトリメリッ
ト酸、トリメシン酸が特に好ましい。
【0035】そして、共重合ポリエステルにおいて、多
官能化合物単位(b)の割合が、上記した0.005〜
1モル%の範囲から外れて、0.005モル%未満であ
ると、溶融粘度が充分に高くならず、適正な溶融粘性、
すなわち非ニュートン性が生じず、押出ブロー成形など
の溶融成形時の成形性が不良となる。特に、押出ブロー
成形を行う場合にパリソンのドローダウンが激しくなっ
て、パリソンの閉塞やつぶれが生じ、形状の良好な中空
成形品を製造できなくなる。しかも、多官能化合物単位
(b)の割合が0.005モル%未満であると、共重合
ポリエステルを製造する際の固相重合速度が遅くなって
共重合ポリエステルの生産性が低下する。
【0036】一方、共重合ポリエステルにおける多官能
化合物単位(b)の割合が1モル%を超えると、共重合
ポリエステル中における架橋構造部分が多くなり過ぎ
て、過架橋構造に由来するゲルが生ずるため、成形品を
製造した場合にブツの発生、白化などのトラブルを生じ
て、透明性、外観、触感などが損なわれる。そして、ゲ
ルを生じないように共重合ポリエステルの重合度を低下
させると分子間の絡み合いが低下して、充分な機械的強
度が得られなくなる。その上、多官能化合物単位(b)
の割合が1モル%を超えると、成形品を製造する際に結
晶化速度が速くなり過ぎて、球晶が生成して成形品に白
化を生じて透明性が低下し、しかも賦形が不良となり易
く、押出ブロー成形ではパリソンの結晶化によるブロー
成形性が不良となる。
【0037】溶融粘度が充分に高くなって押出ブロー成
形などの溶融成形を一層良好に行うことができ、成形品
の白化および賦形不良を円滑に防止することができ、機
械的強度に一層優れる成形品を得ることができ、しかも
共重合ポリエステル自体の生産性を一層高めることがで
きるなどの点から、多官能化合物単位(b)の割合が、
共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づい
て、0.01〜0.5モル%の範囲であるのが特に好ま
しい。
【0038】 更に、本発明の共重合ポリエステルは、
上記した脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
および多官能化合物単位(b)と共に、モノカルボン
酸、モノアルコールおよびそれらのエステル形成性誘導
体の少なくとも1種の単官能化合物から誘導される単官
能化合物単位(c)を有していることが必要である。本
発明の共重合ポリエステルでは、単官能化合物単位
(c)は、封止化合物単位として機能し、共重合ポリエ
ステルおける分子鎖末端基および/または分岐鎖末端
基の封止を行い、共重合ポリエステルにおける過度の架
橋およびゲルの発生を防止する。単官能化合物単位
(c)は、モノカルボン酸、モノアルコールおよびそれ
らのエステル形成性誘導体の少なくとも1種から誘導さ
れる単位であればいずれでもよく特に制限されない。
【0039】単官能化合物単位(c)の好ましい例とし
ては、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ
安息香酸、p−メトキシ安息香酸、o−メチル安息香
酸、m−メチル安息香酸、p−メチル安息香酸、2,3
−ジメチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,
5−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、
3,4−ジメチル安息香酸、3,5−ジメチル安息香
酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,4,6−ト
リメトキシ安息香酸、3,4,5−トリメトキシ安息香
酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、2−ビフェニル
カルボン酸、1−ナフタレン酢酸、2−ナフタレン酢酸
などの芳香族モノカルボン酸;n−オクタン酸、n−ノ
ナン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪族
モノカルボン酸;前記のモノカルボン酸のエステル形成
性誘導体;ベンジルアルコール、2,5−ジメチルベン
ジルアルコール、2−フェネチルアルコール、フェノー
ル、1−ナフトール、2−ナフトールなどの芳香族モノ
アルコール;ペンタデシルアルコール、ステアリルアル
コール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、
ポリテトラメチレングリコールモノアルキルエーテル、
オレイルアルコール、シクロドデカノールなどの脂肪族
モノアルコールなどの単官能化合物から誘導される単位
を挙げることができる。本発明の共重合ポリエステル
は、単官能化合物単位(c)として、上記した単官能化
合物単位の1種のみを有していても、または2種以上を
有していてもよい。
【0040】そのうちでも、本発明の共重合ポリエステ
ルは、単官能化合物単位(c)として、安息香酸、2,
4,6−トリメトキシ安息香酸、2−ナフトエ酸、ステ
アリン酸、ステアリルアルコールおよびポリエチレング
リコールモノアルキルエーテルから選ばれる単官能化合
物の1種または2種以上から誘導される単位を有してい
るのが、共重合ポリエステルの製造の容易性および製造
コストの点から好ましい。
【0041】そして、本発明の共重合ポリエステルは、
上記した単官能化合物単位(c)を、共重合ポリエステ
ルの全構成単位の合計モル数に基づいて、下記の数式
(I);
【0042】
【数9】 {20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b} I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
単位(b)の割合(モル%)c=共重合ポリエステルに
おける単官能化合物単位(c)の割合(モル%)n=多
官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の平均官
能基数]を満足する割合[2種以上の単官能化合物単位
(c)を有する場合はその合計割合]で有していること
が必要である。
【0043】ここで、上記の数式(I)において、多官
能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の平均官能
基数nとは、共重合ポリエステルを形成するのに用いた
全多官能化合物の官能基の平均値を表し、例えば多官能
化合物として3官能化合物のみを用いた場合はn=3で
あり、多官能化合物として3官能化合物と4官能化合物
を50:50のモル比で用いた場合はn=3×0.5+
4×0.5=3.5となり、多官能化合物として3官能
化合物と4官能化合物を20:80のモル比で用いた場
合はn=3×0.2+4×0.8=3.8となる。した
がって、限定されるものではないが、例えば、多官能化
合物単位(b)が3官能化合物から誘導される3官能単
位であって且つ共重合ポリエステルにおける多官能化合
物単位(b)の含有割合が0.1モル%の場合には、上
記の数式(I)において、n=3およびb=0.1(モ
ル%)であるから、2(モル%)≧c≧0.01(モル
%)となり、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
ル数に基づいて、単官能化合物単位(c)を0.01〜
2モル%の割合で有していることが必要となる。
【0044】共重合ポリエステルにおける単官能化合物
単位(c)の割合が、上記した数式(I)の下限値、す
なわち{0.1×(n−2)×b}(モル%)よりも少な
いと、過架橋状態になってゲルが生ずるため、成形品を
製造した際にブツ、白化などのトラブルが発生して、外
観が不良になり、透明性が失われる。一方、共重合ポリ
エステルにおける単官能化合物単位(c)の割合が、上
記した数式(I)の上限値、すなわち{20×(n−
2)×b}(モル%)よりも多いと、共重合ポリエステ
ルを製造する際の固相重合速度が遅くなって、共重合ポ
リエステルの生産性が低下する。共重合ポリエステルの
製造の容易性および製造コスト、得られる成形品の外
観、透明性などの点から、共重合ポリエステルにおける
単官能化合物単位(c)の割合が、{10×(n−2)
×b}≧c≧{0.5×(n−2)×b}の範囲である
のが好ましい。
【0045】上記の説明から充分に明らかなように、要
するに、本発明の共重合ポリエステルは、上記した
(1)および(2)の(i)〜(iii)の要件のすべて
を同時に満足する共重合ポリエステルである、すなわち
テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位から主
としてなり、しかも脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)、多官能化合物単位(b)および単官能化合
物単位(c)のすべてを有していて且つそれらの3つの
単位の割合が上記した特定の範囲にある共重合ポリエス
テルであることが必要であり、上記した(1)および
(2)の(i)〜(iii)の要件のいずれが欠けても目的
とする共重合ポリエステルを得ることができない。
【0046】本発明の共重合ポリエステルの極限粘度
は、共重合ポリエステルの溶融成形法の種類などに応じ
て変わり得るが、溶融押出を伴う溶融成形、特に押出ブ
ロー成形に用いる場合は、0.8〜1.5dl/gの範
囲内であるのが好ましく、特に得られる押出ブロー成形
品の機械的強度、外観、成形品製造時の生産性などの点
から、0.9〜1.4dl/gの範囲内であるのがより
好ましい。特に、押出ブロー成形を行う場合に、共重合
ポリエステルの極限粘度が0.8dl/g未満の場合
は、押出ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大き
くなって成形不良となり易く、更に得られる成形品の機
械的強度が低下し易い。一方、溶融押出を伴う成形、特
に押出ブロー成形を行う場合に、共重合ポリエステルの
極限粘度が1.5dl/gよりも大きい場合は、溶融粘
度が高くなり過ぎて、溶融押出時、特に押出ブロー成形
時に成形品にウエルドラインが生じ易くなり、更に得ら
れる成形品の外観が不良となり易く、しかも押出時にト
ルクが高くなるために押出量が不均一になり易いなどの
成形上の問題を生じ易くなる。また、共重合ポリエステ
ルの極限粘度が1.5dl/gよりも大きいと、所定量
の共重合ポリエステルを押し出すのに要する時間が長く
なって成形品の生産性が低下し易くなる。共重合ポリエ
ステルの極限粘度と、共重合ポリエステルの成形性やそ
れから得られる成形品の物性などとの上記した関係は、
押出ブロー成形において特に顕著に現れるが、押出ブロ
ー成形に限らず、押出成形、射出・押出ブロー成形など
の溶融押出を伴う溶融成形においてもほぼ同様の傾向が
生ずる。
【0047】また、本発明の共重合ポリエステル(A)
および(B)は、270℃の温度における剪断速度0.
1rad/秒での溶融粘度(η)が5×10〜5×
10ポイズであるのが好ましく、特に本発明の共重合
ポリエステル(B)は270℃の温度における剪断速度
0.1rad/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜
5×106ポイズであるという要件を必須にしている。
共重合ポリエステルの溶融粘度(η)が前記の条件を
満足するものである場合は、押出ブロー成形などの溶融
成形を行う際に、カールバックが特に起こりにくくなっ
て、成形不良の発生をほとんど完全に防ぐことができ、
しかも溶融押出時におけるメルトフラクチャー(溶融破
壊)やダイスウエル(dieswell)の現象が顕著
に抑制されて、外観や力学的特性などに特に優れた成形
品を得ることができる。
【0048】また、本発明の共重合ポリエステル(A)
および(B)は、270℃の温度における剪断速度10
0rad/秒での溶融粘度(η)が5×10〜5×
10ポイズであるのが好ましく、特に本発明の共重合
ポリエステル(B)は270℃の温度における剪断速度
100rad/秒での溶融粘度(η2)が5×103〜
5×105ポイズであるという要件を必須にしている。
共重合ポリエステルの溶融粘度(η)が前記の条件を
満足するものである場合は、押出ブロー成形などの溶融
成形を行う際に、パリソンなどの軟化状態にある押出物
のドローダウンや垂れ下がりによる変形などが円滑に防
止でき、生産性が高くなり、しかも共重合ポリエステル
の熱分解、押出時の押出ムラやウエルドラインの発生な
どを円滑に防止することができる。
【0049】そして、本発明の共重合ポリエステル
(A)および(B)は、上記した270℃の温度おける
剪断速度0.1rad/秒での溶融粘度(η)の要件
および270℃の温度における剪断速度100rad/
秒での溶融粘度(η)の要件と共に、該溶融粘度(η
)および溶融粘度(η)が、下記の数式(II);
【0050】
【数10】 −0.7≦(1/3)log10(η/η)≦−0.2 (II) を満足するものであるのが一層好ましく、特に本発明の
共重合ポリエステル(B)は前記の数式(II)を満足
することを必須にしている。本発明の共重合ポリエステ
ルが上記の数式(II)を満足する場合には適度な非
ニュートン性を発揮して、高剪断速度において適度に低
い溶融粘度を示すとともに、低剪断速度において適度に
高い溶融粘度を示すことから、特に押出ブロー成形や射
出・押出ブロー成形などを行う場合に、パリソンの形成
性が極めて良好となる。
【0051】パリソンの形成性をより良好なものとする
点からは、上記した数式(II)における(1/3)lo
10(η2/η1)の値が、−0.60〜−0.25の範
囲内であるのが一層好ましい。なお、上記の数式(II)
において、(1/3)log10(η2/η1)は、溶融粘度
を縦軸とし、剪断速度を横軸とする両自然対数グラフに
おける溶融粘度(η1)および溶融粘度(η2)の2点を
結ぶ直線の傾きとして求められる。なお、本明細書でい
う溶融粘度(η1)および溶融粘度(η2)の値は、下記
の実施例の項に記載した方法で測定したときの値を言
う。
【0052】更に、本発明の共重合ポリエステルは、2
70℃の温度におけるシャークスキン臨界剪断応力(σ
ss)が1×106dyne/cm2以上であり、且つ27
0℃の温度における剪断速度100rad/秒での剪断
応力(σ100)が前記のシャークスキン臨界剪断応力
(σss)の値以下であるのが好ましい。本発明者ら
は、溶融成形時の共重合ポリエステルの剪断応力も、得
られる成形品の上記した表面荒れと密接な関係があるこ
とを見出したのであり、共重合ポリエステルの270℃
でのシャークスキン臨界剪断応力(σss)が1×106
dyne/cm2以上で且つ270℃での剪断速度10
0rad/秒での剪断応力(σ100)がシャークスキン
臨界剪断応力(σss)の値以下であると、押出ブロー
成形などの溶融成形を行う際に、表面荒れの現象が顕著
に抑制されて透明性をはじめとする外観や触感などに特
に優れる成形品を得ることができる。その理由として
は、前記のような剪断応力を有する共重合ポリエステル
では、共重合ポリエステル溶融体と押出機のダイとの間
で弾性的な法線応力の著しい解放が抑えられることによ
るものと推定される。なお、ここでいう共重合ポリエス
テルのシャークスキン臨界剪断応力(σss)および剪断
速度100rad/秒での剪断応力(σ100)とは、キ
ャピログラフによって、キャピラリーノズルを用いてス
トランド状に押出したときの剪断応力をいい、その詳細
は以下の実施例の項に記載するとおりである。
【0053】また、本発明の共重合ポリエステルは、そ
のガラス転移温度が60℃以上であるのが好ましく、押
出ブロー成形やその他の溶融成形によって得られる成形
品の収縮を防止する点からは、ガラス転移温度が70℃
以上であるのがより好ましい。共重合ポリエステルのガ
ラス転移温度が60℃未満の場合は、成形品、特に押出
ブロー成形品を金型から取り出した後に、成形品に残存
応力の緩和に伴う収縮を生じて成形品の外観を損なうこ
とがある。
【0054】更に、本発明の共重合ポリエステルは、押
出ブロー成形などの溶融成形時の成形性、得られる成形
品の均一性、成形時の生産性などの点から、270℃の
温度におけるメルトフローレイト(以下「MFR」と略
記することがある)が、0.3〜7.5g/10分の範
囲内であるのが好ましく、0.5〜5g/10分の範囲
内であるのがより好ましい。
【0055】また、本発明の共重合ポリエステルは、結
晶化度が20〜40%であることが好ましい。共重合ポ
リエステルの結晶化度が20%未満であると、固相重合
時にペレットやチップ間の膠着が生じ易くなって、固相
重合が円滑に行われにくくなり、生産性の低下を招き易
くなり、しかも成形時に共重合ポリエステルのペレット
やチップ間にブロックキングが生じて成形が円滑に行わ
れにくくなる。一方、共重合ポリエステルの結晶化度が
40%を超えると、ペレットやチップなど溶融性が不良
になって、成形時に樹脂鳴き(ペレットやチップ間の摩
擦による音の発生)、トルク上昇に伴う成形機への負担
などが生じて、成形が円滑に行われにくくなり、しかも
成形品に未溶融のブツが生じて、透明性、外観、触感な
どの不良を招き易い。固相重合を円滑に行って共重合ポ
リエステルの生産性を高めることができ、且つ溶融成形
を円滑に行って品質の良好な成形品を得るためには、共
重合ポリエステルの結晶化度が25〜35%の範囲であ
るのが一層好ましい。
【0056】更に、本発明の共重合ポリエステルは、冷
結晶化温度が150℃以下であり、且つ冷結晶化におけ
る結晶化熱量が20J/g以下であることが好ましい。
共重合ポリエステルの冷結晶化温度が150℃よりも高
い場合、または冷結晶化における結晶化熱量が20J/
gを超える場合は、いずれも球晶の成長速度が速くなっ
て、得られる成形品に白化を生じて透明性が劣ったもの
になり易い。また、押出ブロー成形を行う場合は、パリ
ソンの固化が早期に生じて、賦形が困難になり易い。溶
融成形時に球晶の生成速度を充分に遅延させて、透明性
に優れる成形品を良好な賦形性で得るためには、共重合
ポリエステルの冷結晶化温度が140℃以下であり、且
つ冷結晶化における結晶化熱量が15J/g以下である
のが一層好ましい。なお、ここでいう冷結晶化温度およ
び冷結晶化における結晶化熱量は示差熱分析法(DS
C)によって測定したときの値をいい、その詳細は下記
の実施例の項に記載したとおりである。
【0057】本発明の共重合ポリエステルは、上記した
ように、 (1)(i)テレフタル酸またはそのエステル形成性誘
導体; (ii)エチレングリコール; (iii)脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
を共重合ポリエステル中に導入するための上記した脂環
式または脂肪族のジカルボン酸、ヒドロキシカルボン
酸、それらのエステル形成性誘導体およびエチレングリ
コール以外の脂環式または脂肪族のジオールから選ばれ
る少なくとも1種からなる脂環式または脂肪族の2官能
化合物; (iv)多官能化合物単位(b)を共重合ポリエステル中
に導入するための上記したカルボキシル基、ヒドロキシ
ル基および/またはそれらのエステル形成性基を3個以
上有する多官能化合物の少なくとも1種;並びに (v)単官能化合物単位(c)を共重合ポリエステル中
に導入するための上記したモノカルボン酸、モノアルコ
ールおよびそれらのエステル形成性誘導体の少なくとも
1種からなる単官能化合物;からなる反応原料であっ
て、且つ 該反応原料における前記の脂環式または脂肪族の2
官能化合物の含有量が、該2官能化合物から誘導される
脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)の割合が
共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づい
て1〜4モル%の範囲になるような量であり; 該反応原料における前記の多官能化合物の含有量
が、該多官能化合物から誘導される多官能化合物単位
(b)の割合が共重合ポリエステルの全構成単位の合計
モル数に基づいて0.005〜1モル%になるような量
であり;そして、 該反応原料における前記の単官能化合物の含有量
が、該単官能化合物から誘導される単官能化合物単位の
割合が、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数
に基づいて、上記の数式(I)を満足するような割合と
なる量である反応原料を、エステル化反応またはエステ
ル交換反応させた後、それを溶融重縮合させてポリエス
テルプレポリマーを形成し;次いで (2)前記の工程(1)で得られるポリエステルプレポリ
マーを固相重合させる;ことにより、短時間で生産性よ
く製造することができる。
【0058】そして、上記の共重合ポリエステルの製造
方法では、脂環式または脂肪族の2官能化合物、多官能
化合物および単官能化合物として、共重合ポリエステル
中に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)を導
入するための脂環式または脂肪族の2官能化合物、多官
能化合物単位(b)を導入するための多官能化合物およ
び単官能化合物単位(c)を導入するための単官能化合
物として、本発明の共重合ポリエステルに関して上記で
例示したそれぞれの化合物を使用することができる。
【0059】そして、共重合ポリエステルの製造に当た
っては、(全ジオール成分):(全ジカルボン酸成分)
のモル比が1.1:1〜1.5:1になるようにし、
(多官能化合物成分):(全ジカルボン酸成分)のモル
比が0.0001:1〜0.02:1になるようにし、
且つ(単官能化合物成分):(多官能化合物成分)のモ
ル比が、{0.1×(n−1)}:1〜{20×(n−
1)}:1(nは上記と同じ)にして反応成分を混合し
て、エステル化反応またはエステル交換反応を行うのが
好ましい。
【0060】上記のエステル化反応またはエステル交換
反応は、通常、常圧下または絶対圧で約3kg/cm2
以下の加圧下に、230〜300℃の温度で、生成する
水またはアルコールを留去させながら行うとよい。そし
て、それに続いて、必要に応じて重縮合触媒、着色防止
剤などの添加剤を添加した後、通常、5mmHg以下の
減圧下に、200〜300℃の温度で、所望の粘度のポ
リエステルプレポリマーが得られるまで溶融重縮合を行
ってポリエステルプレポリマーを形成させる。その場合
に、ポリエステルプレポリマーの取り扱い性などの点か
ら、ポリエステルプレポリマーの極限粘度は0.40〜
0.75dl/gの範囲内であることが好ましく、また
そのMFRは15.0g/10分以上であるのが好まし
い。
【0061】上記した溶融重縮合反応において重縮合触
媒を使用する場合は、ポリエステルの製造に通常用いら
れているものを使用することができ、例えば、酸化アン
チモンなどのアンチモン化合物;酸化ゲルマニウムなど
のゲルマニウム化合物;テトラメトキシチタン、テトラ
エトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テト
ライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの
チタン化合物;ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n
−ブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートなどの
錫化合物などを挙げることができ、これらの触媒化合物
は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用しても
よい。重縮合触媒を用いる場合は、ジカルボン酸成分の
重量に基づいて0.002〜0.8重量%の範囲内の量
であるのが好ましい。
【0062】また、着色防止剤を使用する場合は、例え
ば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、ト
リフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイ
ト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェ
ート、トリフェニルフォスフェートなどのリン化合物を
用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用し
てもまたは2種以上を併用してもよい。上記したリン化
合物からなる着色防止剤を使用する場合は、ジカルボン
酸成分の重量に基づいて0.001〜0.5重量%の範
囲内であるのが好ましい。また、共重合ポリエステルの
熱分解による着色を抑制するために、ジカルボン酸成分
の重量に基づいて0.001〜0.5重量%、より好ま
しくは0.05〜0.3重量%のコバルト化合物、例え
ば酢酸コバルトなどを添加するのがよい。
【0063】更に、上記したように、共重合ポリエステ
ル中にジエチレングリコール単位が多く含まれると共重
合ポリエステルのガラス転移温度が低下し、それに伴っ
て耐熱性の低下や着色などが起こり、それから得られる
ボトルなどの成形品の耐熱性、強度、色調などが不良な
ものとなるが、上記したエステル化反応、エステル交換
反応および/または溶融重縮合反応を、テトラエチルア
ンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニ
ウムヒドロキシド;トリエタノールアミン、トリエチル
アミンなどの有機アミンなどからなるジエチレングリコ
ールの副生抑制剤の存在下に行うと、共重合ポリエステ
ル中におけるジエチレングリコール単位の割合を低減さ
せることができるので好ましい。
【0064】次いで、上記した溶融重縮合反応により得
られたポリエステルプレポリマーをダイス状、円柱状な
どの任意の形状のチップやペレットとし、それを通常1
90℃以下の温度で予備乾燥した後、その極限粘度、M
FRなどが所望の値になるまで固相重合を行って、目的
とする共重合ポリエステルを形成させる。固相重合は、
真空下、減圧下または窒素ガスなどの不活性ガス中で行
うのが好ましい。また、ポリエステルプレポリマーのチ
ップやペレット同士が膠着しないように、転動法、気体
流動床法などの適当な方法でチップやペレットを流動さ
せながら固相重合を行うのが好ましい。固相重合は通常
180〜240℃の範囲内の温度で行うのが好ましく、
190〜230℃の範囲内の温度で行うのがより好まし
い。更に、固相重合の温度は、チップやペレット間の膠
着を防止する観点から、前記した範囲内の温度であっ
て、しかも製造を目的としている共重合ポリエステル
(最終的に得られる共重合ポリエステル)の融点よりも
15℃以上低い温度、好ましくは20℃以上低い温度と
するとよい。また、固相重合の重合時間は通常約5〜4
0時間の範囲とするのが生産性などの点から好ましい。
そして、上記した一連の工程を行うことによって、本発
明の共重合ポリエステルを短時間に生産性よく製造する
ことができる。
【0065】本発明の共重合ポリエステルは、溶融成形
性、透明性、耐熱性、力学的特性などに優れているの
で、押出ブロー成形法、射出・押出ブロー成形法、押出
成形法、射出成形法、その他の溶融成形法によって各種
の成形品に成形することができる。そのうちでも、本発
明の共重合ポリエステルは、溶融押出工程を伴う成形に
用いるのに適しており、押出ブロー成形に用いるのに特
に適している。そして、本発明の共重合ポリエステルを
用いて溶融成形、特に溶融押出を伴う押出ブロー成形、
射出・押出ブロー成形、押出成形などを行った場合に
は、押出後の変形などを生ずることなく良好な生産性で
製造することができ、それによって得られる成形品は、
寸法精度、透明性、機械的特性、耐熱性、耐湿性、耐薬
品性などの諸特性に優れている。特に、本発明の共重合
ポリエステルを用いて押出ブロー成形を行った場合に
は、押出されたパリソンのドローダウン性が良好であっ
て、パリソンのドローダウン時間が適当な範囲に保た
れ、パリソンの直径が均一になり、ブロー成形性が良好
であり、成形時のトラブルを生ずることなく、歪みや変
形のない良好な形状および寸法精度を有する中空成形品
を円滑に生産性よく製造することができる。そして、そ
れによって得られた押出ブロー成形品などの成形品は、
ブツの発生や白化がなくて、透明性、外観、触感に優れ
ており、ピンチオフ時の底部の接着不良がなく、しかも
機械的特性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性などの諸特性に
も優れている。
【0066】本発明の共重合ポリエステルを用いて溶融
成形を行うに当たっては、熱可塑性樹脂に対して従来か
ら知られているそれぞれの溶融成形法、例えば押出ブロ
ー成形法、射出・押出ブロー成形法、押出成形法、射出
成形法にしたがって行えばよく、特にその具体的な成形
内容などは制限されない。特に、本発明の共重合ポリエ
ステルを用いて押出ブロー成形を行う場合は、押出ブロ
ー成形法の種類などは特に制限されず、従来既知の押出
ブロー成形法と同様に、例えば本発明の共重合ポリエス
テルを溶融押出成形して円筒状のパリソンを形成し、こ
のパリソンを軟化状態にある間にブロー用金型に挿入
し、空気などの気体を吹き込んでパリソンを金型キャビ
ィティの形状に沿った所定の中空形状に膨張させる方法
によって行うことができる。そして、前記した方法で押
出ブロー成形を行う場合は、成形性などの点から、その
溶融押出温度を、(共重合ポリエステルの融点+10
℃)〜(共重合ポリエステルの融点+70℃)の範囲内
の温度にするのが好ましく、(共重合ポリエステルの融
点+10℃)〜(共重合ポリエステルの融点+40℃)
の範囲内の温度にするのがより好ましい。
【0067】また、本発明の成形品の形状、構造なども
特に制限されず、それぞれの用途などに応じて、例え
ば、中空成形品、管状体、板、シート、フイルム、棒状
体、型物などの任意の形状や構造とすることができ、し
かもその寸法なども何ら制限されない。そのうちでも、
本発明は、押出ブロー成形による中空成形品を製造する
のに特に適している。
【0068】更に、本発明の共重合ポリエステルから得
られる成形品は、本発明の共重合ポリエステル単独で形
成されていても、他のプラスチック、金属、繊維、布帛
などの他の材料との積層体の形態になっていても、また
は本発明の共重合ポリエステルと前記した他の材料との
積層構造以外の形態の成形品であってもよく、何ら制限
されない。特に、本発明の成形品が押出ブロー成形品で
ある場合は、例えば、本発明の共重合ポリエステルのみ
からなる単層中空成形品(中空容器など)、本発明の共
重合ポリエステルとポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン/ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)などの他のプラスチックとの多層
中空成形品であることができ、より具体的には、例えば
PET層/共重合ポリエステル層/PET層からなる3
層ボトル、PET層/共重合ポリエステル層/PET層
/共重合ポリエステル層/PET層からなる5層ボトル
などを挙げることができる。しかしながら、本発明の成
形品は勿論前記のものに何ら限定されない。
【0069】また、必要に応じて、本発明の共重合ポリ
エステルには、他の熱可塑性樹脂、ポリエステル系樹脂
に対して従来から使用されている各種の添加剤、例えば
染料や顔料などの着色剤、紫外線吸収剤などの安定剤、
帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、潤滑剤、可塑剤、無機
充填剤などを配合してもよい。
【0070】
【実施例】以下に本発明を実施例などの例によって具体
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例において、ポリエステル(共重合ポリエス
テルまたは単独重合ポリエステル)の各構造単位の含有
率およびポリエステルの物性の測定、並びにポリエステ
ルの押出ブロー成形時のパリソンのドローダウン性およ
びブロー成形性の評価、押出ブロー成形によって得られ
た成形品(ボトル)の透明性およびゲル物発生率の評
価、並びに成形品(ボトル)の落下破壊高さの測定およ
び落下強度評価は、次のようにして行った。
【0071】(1)ポリエステルにおける各構造単位の
含有率:ポリエステルをメタノリシスし、高速液体クロ
マトグラフィーを用いて構成成分を分離し、得られた各
成分について赤外線吸収スペクトル(IR)による定量
分析を行って各構造単位の含有率を求めた。また、重水
素トリフルオロ酢酸を溶媒としたポリエステルの1H−
NMRスペクトルにより確認した。
【0072】(2)ポリエステルの極限粘度:フェノー
ルとテトラクロルエタンの等重量混合溶媒中、30℃
で、ウデローデ型粘度計(林製作所製「HRK−3
型」)を用いて測定した。
【0073】(3)プレポリマーおよびポリエステルの
メルトフローレイト(MFR):メルトインデクサーL
244(宝工業株式会社製)を用いて測定した。具体的
には、プレポリマーまたはポリエステル(最終生成物)
のチップを、内径9.55mm、長さ162mmのシリ
ンダーに充填し、270℃で溶融した後(但し比較例8
と11は共重合ポリエステルが非晶性であったため21
0℃で溶融)、溶融したプレポリマーまたはポリエステ
ルに対して、重さ2160g、直径9.48mmのプラ
ンジャーによって均等に荷重をかけ、シリンダーの中央
に設けた径2.1mmのオリフィスより押出されたプレ
ポリマーまたはポリエステルの流出速度(g/10分)
を測定し、これをメルトフローレイト(MFR)とし
た。
【0074】(4)ポリエステルの溶融粘度(η1およ
びη2):メカニカルスペクトロメーター(レオメトリ
ックス社製「RMS−800」)により、パラレルプレ
ートを用いて、ポリエステルの270℃の温度における
剪断速度0.1rad/秒での溶融粘度(η1)(ポイ
ズ)、およびポリエステルの270℃の温度における剪
断速度100rad/秒での溶融粘度(η2)(ポイズ)
をそれぞれ動的に測定した(但し比較例8と11は共重
合ポリエステルが非晶状であったため210℃で測定し
た)。
【0075】(5)ポリエステルのシャークスキン臨界
剪断応力(σss)と剪断応力(σ100):キャピログラフ
(東洋精機製)により、直径2mm×長さ10mmのキ
ャピラリーノズルを用いて、270℃の温度において剪
断速度を変化させてポリエステルをストランド状に押し
出した。ストランドの表面が粗面化した時点(十点平均
表面粗さで1.5μmRz以上になった時点)における
剪断応力を求め、これをシャークスキン(サメ肌)臨界
剪断応力(σss)(dyne/cm2)とした。 また、同じ装置を用いて、ポリエステルの270℃の温
度における剪断速度100rad/秒での剪断速度(σ
100)(dyne/cm2)を測定した(但し比較例8と
11は共重合ポリエステルが非晶状であったため210
℃で測定した)。
【0076】(6)ポリエステルの結晶化度(χc):
ポリエステルの密度(d)(25℃)を測定し、完全非
晶のPET(ポリエチレンテレフタレート)の密度(d
a)を1.335とし、また完全結晶化PET(ポリエ
チレンテレフタレート)の密度(dc)を1.501と
して、下記の数式(III)から、ポリエステルの結晶化
度(χc)を求めた。
【0077】
【数11】 χc(%)=[{dc×(d−da)}/{d×(dc−da)}]×100
(I II)
【0078】(7)ポリエステルのガラス転移温度(T
g)および融点(Tm):JIS K7121に準じ
て、示差熱分析法(DSC)により、熱分析システム
「メトラーTA3000」(メトラー社製)を用いて、
昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0079】(8)ポリエステルの冷結晶化温度(Tcc)
および冷結晶化熱量(△Hcc):JIS K7121に準
じて、示差熱分析法(DSC)により、熱分析システム
「メトラーTA3000」(メトラー社製)を用いて、
Tm+40℃の温度に試料を5分間保持した後、降温速
度5℃/分の条件で測定した。
【0080】(9)押出ブロー成形時のパリソンのドロ
ーダウン性: (i)パリソンのドローダウン時間(秒):株式会社プ
ラコー製の押出ブロー成形装置(中空成形機「BM−3
04・J2型機」)を用いて、270℃の押出温度で環
状オリフィスより押出速度25kg/時で押出して円筒
形パリソンを形成し(但し比較例8と11は共重合ポリ
エステルが非晶状であったため210℃の押出温度で成
形)、円筒形パリソンが軟化状態にあるうちにブロー成
形金型で挟むことによって切断と底部形成を行い、これ
をブロー成形して、容量1800ml、重量80gの清
涼飲料用のボトルを製造した。ここで用いた上記の押出
ブロー成形装置は、パリソンが35cmドローダウンし
た時点で金型に挟みとってブローするようになってお
り、そのため、35cmドローダウンするのに要する時
間(秒)をドローダウン時間として測定した。なお、こ
こで用いた押出ブロー成形装置による場合は、ドローダ
ウン時間が10〜25秒の範囲である場合に成形性が良
好となる。ドローダウン時間が10秒未満の場合はドロ
ーダウンが激しく、パリソン形状が不均一となってブロ
ー後に厚みむらの大きい不良品が生じたり、ブロー金型
中への挿入不能、パリソン中空部における閉塞などが発
生する。また、ドローダウン時間が25秒を超えると、
成形品(ボトル)の生産性が低くなり、またポリエステ
ルの溶融粘度が高すぎるために均一にブローすることが
できなくなり、更にボトルのピンチオフ部分における不
接着、ウエルドラインの発生、トルク上昇による成形装
置の破損などが生じ易くなる。
【0081】(ii)パリソンの最大直径(外径)と最小
直径(外径)との差:上記の押出ブロー成形装置を用い
て270℃の押出温度で円筒形パリソンを押出し(但し
比較例8と11は共重合ポリエステルが非晶状であった
ため210℃の押出温度で成形)、パリソンが35cm
に達した時点でパリソンの最大直径(外径)と最小直径
(外径)を測定し、それらの差を求めた。ここで用いた
上記の押出ブロー成形装置の押出ノズルの環状ダイの直
径は3.5cmであるが、押出されたパリソンは自重に
よるドローダウンで、ダイから離れるにしたがって直径
が細まる傾向がある。パリソンの最大直径と最小直径の
差が1cm以下であれば、通常押出ブロー成形を円滑に
行うことができる。これに対して、パリソンの最大直径
と最小直径の差が1cmを超えると、ブロー後に厚みむ
らを生じて、不良品が発生したり、更に著しい場合はパ
リソンが閉塞してブロー不能となる。
【0082】(iii)パリソンのドローダウン性の総合
評価:パリソンのドローダウン時間、パリソンの最大直
径と最小直径との差、およびボトルの生産性の多少の観
点から、下記の表1に示す評価基準にしたがってドロー
ダウン性の総合評価を行った。その際に、ボトルの生産
性については、コスト面から1時間当たり120本以上
のボトルが生産でき、成形不良が100本中10本未満
である場合を、生産性が良好であるとした。なお、ここ
における成形不良とは、押出されたパリソンのドローダ
ウンによるブロー金型中への挿入不能、パリソンの中空
部における閉塞、高粘度によるピンチオフ部分の不接着
および不均一ブローに起因するボトル形状の変形や破壊
のトラブルのうちの少なくとも一つが生じた場合をい
う。
【0083】
【表1】 パリソンのドローダウン性の総合評価基準 ○:下記の条件のすべてを満足する場合 (イ)ドローダウン時間が15秒以上25秒以下の範囲内である。 (ロ)パリソンの最大直径と最小直径との差が1cm以下である。 (ハ)ボトルの生産量が1時間当たり120本以上であり、成形 不良のボトルの割合が100本中10本未満である。 △:下記の条件のいずれかに当てはまる場合 (イ)ドローダウン時間が10秒以上15秒未満、または25秒を 超え60秒以下の範囲内である。 (ロ)パリソンの最大直径と最小直径との差が1cmを超え2cm 以下の範囲内である。 (ハ)ボトルの生産量が1時間当たり60本以上120本未満であり、 成形不良のボトルの割合が100本中10本以上30本未満で ある。 ×:下記の条件のいずれかに当てはまる場合 (イ)ドローダウン時間が10秒未満、または60秒を超える。 (ロ)パリソンの最大直径と最小直径との差が2cmを超える。 (ハ)ボトルの生産量が1時間当たり60本未満であり、成形不良の ボトルの割合が100本中30本以上である。
【0084】(10)押出ブロー成形時のブロー成形
性: (i)ボトルの平均壁厚:成形により得られたボトル胴
部の上部から下部にかけて等間隔で10分割し、さらに
その各々をボトルの円周方向に等間隔に4分割して、合
計40箇所において壁厚を測定し、平均壁厚を算出し
た。平均壁厚は、外観、触感、ボトル強度の点から、
0.3mm以上0.7mm以下の範囲であるのが好まし
い。 (ii)ボトルの厚みむら:上記(i)の測定で得られた
ボトル胴部の壁厚における最大厚みと最小厚みとの差
(mm)を求めて評価した。厚みむらが0.3mm未満
であることが好ましく、それ以上になると極薄部分およ
び/または破損部が発生して外観および/または触感が
不良になる。 (iii)ブロー成形性の総合評価:下記の表2に示す評
価基準にしたがって、ブロー成形性の総合評価を行っ
た。
【0085】
【表2】 ブロー成形性の総合評価基準 ○:平均壁厚が0.3mm以上0.7mm以下の範囲内であり、且つ 厚みむらが0.3mm未満である。 ×:平均壁厚が0.3mm未満または0.7mmを超えるか、または 厚みむらが0.3mm以上である。
【0086】(11)ボトルの透明性: (i)ヘイズ値(曇価):ボトル胴部を上部、中部およ
び下部にわたって6分割し、更に円周上に4分割した合
計24箇所についてASTM D1003に準じて、ポ
イック積分球式光線透過率・全光線反射率計(日本精密
光学株式会社製「SEP−HS・30D−R型」)を用
いて各箇所におけるヘイズ値を測定し、その平均値を採
ってボトルのヘイズ値(曇価)とした。ヘイズ値が8を
超えると、球晶生成による白化のため、またはゲル状ブ
ツによる光散乱のために透明性が不良となる。ヘイズ値
が4以下であることが透明性の点から好ましい。 (ii)b値:ボトル胴部を1cm2(1cm×1cmの
正方形の片)に細断し、色差計(スガ試験機株式会社製
「SM−4型」)を用いて反射法により測定した。b値
が8を超えるとボトルの色調に黄色味が強くなり、外観
が不良になる。b値が4以下であることが色調上好まし
い。 (iii)ボトルの透明性の総合評価:下記の表3に示す
評価基準にしたがってボトルの透明性の総合評価を行っ
た。
【0087】
【表3】 ボトルの透明性の総合評価基準 ○:ヘイズ値が4以下で且つb値が4以下である。 △:ヘイズ値が4を超え8以下の範囲内であるか、またはb値が 4を超え8以下である。 ×:ヘイズ値が8を超えるか、またはb値が8を超える。
【0088】(12)ボトルのゲル物発生率:ボトル胴
部のポリエステルを1gの重量で切り取り、それをヘキ
サフルオロイソプロパノール10ml中に温度30℃で
5時間保って溶解させた後、不溶ゲル物を4Gグラスフ
ィルターで濾過した。ゲル物を温度100℃で60分間
加熱して乾燥した後、その重量を測定して、切り取った
ポリエステル試料(1g)に対する重量パーセントを求
めてゲル物発生率とし、下記の表4に示した評価基準に
したがってボトルのゲル物発生率の評価を行った。
【0089】
【表4】 ボトルのゲル物発生率の評価基準 ○:ゲル物発生率が2.5%以下である。 △:ゲル物発生率が2.5%を超え5%以下である。 ×:ゲル物発生率が5%を超える。
【0090】(13)ボトルの落下衝撃強度:成形で得
られたボトル10本のそれぞれに空隙が残らないように
して水をいっぱいに充填して蓋をし、それを各々1本ご
とに最初に50cmの高さから自然落下させ、ボトルの
破壊が生じない場合は落下高さを10cmずつ増して同
様にして自然落下させ、その操作を順次繰り返して、ボ
トルが破壊した高さを求め、10本のボトルの破壊時の
高さの平均値を採って落下破壊高さとした。また下記の
表5に示した評価基準にしたがってボトルの落下衝撃強
度の評価を行った。
【0091】
【表5】 ボトルの落下衝撃強度の評価基準 ◎:ボトル落下破壊高さが120cm以上である。 ○:ボトル落下破壊高さが100cm以上120cm未満である。 ×:ボトル落下破壊高さが100cm未満である。
【0092】《実施例 1》 (1) テレフタル酸100.00重量部、エチレング
リコール48.73重量部、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール4.34重量部、無水トリメリット酸0.1
16重量部および2−ナフトエ酸0.104重量部から
なるスラリーをつくり、これに二酸化ゲルマニウム0.
020重量部、亜リン酸0.015重量部、酢酸コバル
ト0.015重量部およびテトラエチルアンモニウムヒ
ドロキシド0.015重量部を加えた。このスラリーを
加圧下(絶対圧2.5Kg/cm2)で250℃の温度
に加熱して、エステル化率が95%になるまでエステル
化反応を行って低重合体を製造した。続いて、1mmH
gの減圧下に、270℃の温度で前記の低重合体を溶融
重縮合させて、極限粘度0.70dl/gの共重合ポリ
エステルのプレポリマーを生成させ、これをノズルから
ストランド状に押出して切断し、円柱状チップ(直径約
2.5mm、長さ約3.5mm)にした。このプレポリ
マーの270℃におけるメルトフローレイト(MFR)
は30g/10分であった。 (2) 次いで、上記で得られた共重合ポリエステルの
プレポリマーのチップを150℃で5時間予備乾燥した
後、0.1mmHgの減圧下に、210℃で固相重合を
29時間行って、高分子量化された共重合ポリエステル
を得た。
【0093】(3) 上記(2)で得られた共重合ポリ
エステルの各構造単位の含有率を上記した方法で測定し
たところ、共重合ポリエステルにおけるテレフタル酸単
位、エチレングリコール単位、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール単位、トリメリット酸単位、ナフトエ酸単
位およびジエチレングリコール単位の含有率は下記の表
7に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られた共重合ポリエステ
ルの物性を上記した方法で測定したところ、下記の表7
に示すように、極限粘度は1.12dl/g、270℃
の温度におけるMFRは1.5g/10分、270℃の
温度における剪断速度0.1rad/秒での溶融粘度
(η1)は1.29×105ポイズ、剪断速度100ra
d/秒での溶融粘度(η2)は1.39×104ポイズで
あり、したがって(1/3)log10(η2/η1)の値
は−0.32であった。更に、上記(2)で得られた共
重合ポリエステルの270℃におけるシャークスキン臨
界剪断応力(σss)は6.7×106dyne/cm2
剪断速度100rad/秒での剪断応力(σ100)は
3.1×106dyne/cm2であった。また、上記
(2)で得られた共重合ポリエステルの結晶化度(χ
c)、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、冷結晶
化度(Tcc)および冷結晶化熱量(△Hcc)を上記した
方法で測定したところ、下記の表7に示すように、それ
ぞれ31%、78℃、238℃、128℃および9J/
gであった。
【0094】(5) 上記(2)で得られた共重合ポリ
エステルを用いて、押出ブロー成形装置(株式会社プラ
コー製の中空成形機「BM−304・J2型」)を用い
て上記した方法で押出ブロー成形を行って、容量180
0ml、設定重量80gのボトルを製造し、その際のパ
リソンのドローダウン性、ブロー成形性、得られたボト
ルの透明性、ゲル物発生率、落下破壊高さおよび落下衝
撃強度を上記した方法で測定または評価したところ、下
記の表13に示すとおりであった。
【0095】《実施例2〜4》テレフタル酸およびエチ
レングリコールを下記の表7に示す割合で使用し、これ
に更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)用
の脂環式または脂肪族の2官能化合物として1,4−シ
クロヘキサンジメタノールを、多官能化合物単位(b)
用の多官能化合物として無水トリメリット酸を、および
単官能化合物単位(c)用の単官能化合物として2−ナ
フトエ酸または2,4,6−トリメトキシ安息香酸を表
7に示した割合で用いて、実施例1と同様にしてエステ
ル化反応および溶融重縮合反応を行って共重合ポリエス
テルのプレポリマーチップを製造した後、下記の表7に
示す温度および時間で固相重合を行って、共重合ポリエ
ステルをそれぞれ製造した。得られた共重合ポリエステ
ルにおける各構造単位の含有量、および共重合ポリエス
テルの物性を実施例1と同様にして調べたところ下記の
表7に示すとおりであった。また、この実施例2〜4の
それぞれで得られた共重合ポリエステルを用いて実施例
1と同様にして押出ブロー成形を行ってボトルを製造
し、その際のパリソンのドローダウン性、ブロー成形性
および得られたボトルの透明性、ゲル物発生率、落下破
壊高さおよび落下衝撃強度を上記した方法で測定または
評価したところ、下記の表13に示すとおりであった。
【0096】《実施例5〜8》テレフタル酸およびエチ
レングリコールを下記の表8に示す割合で使用し、これ
に更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)用
の脂環式または脂肪族の2官能化合物として1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−プロパンジオール
または2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ
ールを、多官能化合物単位(b)用の多官能化合物とし
てトリメチロールプロパンまたは無水トリメリット酸
を、および単官能化合物単位(c)用の単官能化合物と
してステアリン酸、2−ナフトエ酸、ポリエチレングリ
コールモノメチルエーテルまたはステアリルアルコール
を下記の表8に示した割合で用いて、実施例1と同様に
してエステル化反応および溶融重縮合反応を行って共重
合ポリエステルのプレポリマーチップを製造した後、下
記の表8に示す温度および時間で固相重合を行って、共
重合ポリエステルをそれぞれ製造した。得られた共重合
ポリエステルにおける各構造単位の含有量、および共重
合ポリエステルの物性を実施例1と同様にして調べたと
ころ下記の表8に示すとおりであった。また、この実施
例5〜8のそれぞれで得られた共重合ポリエステルを用
いて実施例1と同様にして押出ブロー成形を行ってボト
ルを製造し、その際のパリソンのドローダウン性、ブロ
ー成形性および得られたボトルの透明性、ゲル物発生
率、落下破壊高さおよび落下衝撃強度を上記した方法で
測定または評価したところ、下記の表13に示すとおり
であった。
【0097】《実施例9〜10》テレフタル酸およびエ
チレングリコールを下記の表9に示す割合で使用し、こ
れに更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
用の脂環式または脂肪族の2官能化合物として1,4−
シクロヘキサンジメタノールを、多官能化合物単位
(b)用の多官能化合物としてペンタエリスリトールま
たはトリメチロールプロパンを、および単官能化合物単
位(c)用の単官能化合物としてm−アニス酸または安
息香酸を下記の表9に示した割合で用いて、実施例1と
同様にしてエステル化反応および溶融重縮合反応を行っ
て共重合ポリエステルのプレポリマーチップを製造した
後、下記の表9に示す温度および時間で固相重合を行っ
て、共重合ポリエステルをそれぞれ製造した。得られた
共重合ポリエステルにおける各構造単位の含有量、およ
び共重合ポリエステルの物性を実施例1と同様にして調
べたところ下記の表9に示すとおりであった。また、こ
の実施例9および10のそれぞれで得られた共重合ポリ
エステルを用いて実施例1と同様にして押出ブロー成形
を行ってボトルを製造し、その際のパリソンのドローダ
ウン性、ブロー成形性および得られたボトルの透明性、
ゲル物発生率、落下破壊高さおよび落下衝撃強度を上記
した方法で測定または評価したところ、下記の表13に
示すとおりであった。
【0098】《比較例1〜4》テレフタル酸およびエチ
レングリコールを下記の表10に示す割合で使用し、こ
れに更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
用の脂環式または脂肪族の2官能化合物としてネオペン
チルグリコールを加えるか又は加えずにまたは2官能化
合物単位(a)としてイソフタル酸を加えて、また多官
能化合物単位(b)用の多官能化合物としてトリメチロ
ールプロパン、無水トリメリット酸またはペンタエリス
リトールを用い、そして単官能化合物単位(c)用の単
官能化合物として安息香酸またはm−アニス酸を用いる
か或いは用いずに、実施例1と同様にしてエステル化反
応および溶融重縮合反応を行って共重合ポリエステルの
プレポリマーチップを製造した後、下記の表10に示す
温度および時間で固相重合を行って、共重合ポリエステ
ルをそれぞれ製造した。得られた共重合ポリエステルに
おける各構造単位の含有量、および共重合ポリエステル
の物性を実施例1と同様にして調べたところ下記の表1
0に示すとおりであった。また、この比較例1〜4のそ
れぞれで得られた共重合ポリエステルを用いて実施例1
と同様にして押出ブロー成形を行ってボトルを製造し、
その際のパリソンのドローダウン性、ブロー成形性およ
び得られたボトルの透明性、ゲル物発生率、落下破壊高
さおよび落下衝撃強度を上記した方法で測定または評価
したところ、下記の表13に示すとおりであった。
【0099】《比較例5〜8》テレフタル酸およびエチ
レングリコールを下記の表11に示す割合で使用し、こ
れに更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)
用の2官能化合物として1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールを用い、また多官能化合物単位(b)用の多官能
化合物として無水トリメリット酸またはトリメチロール
プロパンを用い、そして単官能化合物単位(c)用の単
官能化合物として2−ナフトエ酸または安息香酸を用い
て、実施例1と同様にしてエステル化反応および溶融重
縮合反応を行って共重合ポリエステルのプレポリマーチ
ップを製造した後、下記の表11に示す温度および時間
で固相重合を行って、共重合ポリエステルをそれぞれ製
造した(但し比較例8では共重合ポリエステルのプレポ
リマーチップが非晶性であったため固相重合を行わず下
記の押出ブロー成形にそのまま使用した)。得られた共
重合ポリエステルにおける各構造単位の含有量、および
共重合ポリエステルの物性を実施例1と同様にして調べ
たところ下記の表11に示すとおりであった(但し上記
したように比較例8については210℃で測定を行っ
た)。また、この比較例5〜8のそれぞれで得られた共
重合ポリエステルを用いて実施例1と同様にして押出ブ
ロー成形を行ってボトルを製造し、その際のパリソンの
ドローダウン性、ブロー成形性および得られたボトルの
透明性、ゲル物発生率、落下破壊高さおよび落下衝撃強
度を上記した方法で測定または評価したところ、下記の
表13に示すとおりであった(但し上記したように比較
例8については210℃で押出ブロー成形を行った)。
【0100】《比較例9〜11》テレフタル酸とエチレ
ングリコールを下記の表12に示す割合で使用し、これ
に更に脂環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)用
の脂環式または脂肪族の2官能化合物として1,4−シ
クロヘキサンジメタノールを用いるか又は用いずに、或
いは脂環式または脂肪族でない芳香族ジオールであるビ
スフェノールAエチレンオキサイド付加物(ビスフェノ
ールAの1モルに対してエチレンオキサイドを2モル付
加したもの)を用い、そして多官能化合物単位(b)お
よび単官能化合物単位(c)用の化合物をいずれも用い
ずに、実施例1と同様にしてエステル化反応および溶融
重縮合反応を行って共重合ポリエステルまたはポリエチ
レンテレフタレートのプレポリマーチップを製造し、下
記の表12に示す温度および時間で固相重合を行って共
重合ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレートを
製造した(但し比較例11の共重合ポリエステルのプレ
ポリマーは非晶性であったため固相重合を行わずにその
まま用いて以下の押出ブロー成形を行った)。得られた
それらのポリエステルにおける各構造単位の含有量およ
び物性を実施例1と同様にして調べたところ下記の表1
2に示すとおりであった(但し上記したように比較例1
1については210℃で測定した)。また、この比較例
9〜11のそれぞれで得られたポリエステルを用いて実
施例1と同様にして押出ブロー成形を行ってボトルを製
造し、その際のパリソンのドローダウン性、ブロー成形
性および得られたボトルの透明性、ゲル物発生率、落下
破壊高さおよび落下衝撃強度を上記した方法で測定また
は評価したところ、下記の表13に示すとおりであった
(但し上記したように比較例11については210℃で
押出ブロー成形を行った)。
【0101】なお、下記の表7〜表12では化合物を略
号で示しているが、略号の内容は下記の表6に示すとお
りである。
【0102】
【表6】 略 号 : 化 合 物 TPA :テレフタル酸 EG :エチレングリコール DEG :ジエチレングリコール PD :1,3−プロパンジオール BEPD :2−ブチル−2−エチル−プロパンジオール CHDM :1,4−シクロヘキサンジメタノール CHDC :1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 IPA :イソフタル酸 EOBPA:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(ビスフェノールA 1モルに対してエチレンオキサイド2モル付加) NPG :ネオペンチルグリコール TMA :無水トリメリット酸 TMP :トリメチロールプロパン PENTA:ペンタエリスリトール NA :2−ナフトエ酸 TMOBA:2,4,6−トリメトキシ安息香酸 STOH :ステアリルアルコール STA :ステアリン酸 APEG :ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量1000) BA :安息香酸 AA :m−アニス酸
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】
【0105】
【表9】
【0106】
【表10】
【0107】
【表11】
【0108】
【表12】
【0109】
【表13】
【0110】上記の表7〜9および表13の結果から、
テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から主とし
てなり、しかも共重合ポリエステルの全構成単位の合計
モル数に基づいて、脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)を1〜4モル%の範囲で有し且つ多官能化合
物単位(b)を0.005〜1モル%の範囲で有し、そ
して単官能化合物単位(c)を上記の数式(I)を満足
する範囲で有している共重合ポリエステルを製造してい
る実施例1〜10の場合は、30時間以内の短い固相重
合時間で押出ブロー成形などの溶融成形に適する極限粘
度を有する共重合ポリエステルを円滑に製造できること
がわかる。しかも、実施例1〜10で得られる共重合ポ
リエステルを用いて押出ブロー成形によってボトルを製
造した際に、押出されたパリソンのドローダウン時間が
16〜24秒の適正な範囲であり、パリソンの最大直径
と最小直径との差が0.5cm以下であり、ボトルの生
産量が1時間当たり120本以上であって、且つ成形不
良のボトルの割合が100本中10本未満であって、パ
リソンのドローダウン性に優れていること、そして得ら
れるボトルの平均壁厚が0.3mm以上0.7mm以下
の範囲内であり、厚みむらが0.3mm未満であって、
ブロー成形性に優れていることがわかる。その上、実施
例1〜10で得られたボトルは、そのヘイズ値が4以下
で、b値が2未満であって透明性および表面美麗性に優
れ、ゲル物の発生率が2.5%以下でゲル物の発生が極
めて少なく、その上落下破壊高さが100cm以上で高
い落下衝撃強度を有していることがわかる。
【0111】これに対して、上記の表10および表13
の結果から、テレフタル酸単位とエチレングリコール単
位から主としてなるが、脂環式または脂肪族の2官能化
合物単位(a)を有しておらず、多官能化合物単位
(b)のみ、または多官能化合物単位(b)と単官能化
合物単位(c)だけを有する共重合ポリエステルを製造
している比較例1および比較例2の場合は、固相重合が
40時間以上であって、重合に長い時間を要し、生産性
に劣ることがわかる。しかも、これらの比較例で得られ
る共重合ポリエステルを用いて押出ブロー成形によって
ボトルを製造した場合には、ボトルの厚みむらが0.3
mm以上であってブロー成形性に劣っていること、また
得られるボトルはそのヘイズ値が10以上で透明性が不
良であること、更にゲル物の発生率が2.5%を超えて
おり(比較例2)、外観や触感が不良であること、さら
に落下破壊高さが50cmであって落下衝撃強度が小さ
いことがわかる。
【0112】また、上記の表10および表13の結果か
ら、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から主
としてなり、且つ脂環式または脂肪族の2官能化合物単
位(a)および多官能化合物単位(b)を有している
が、単官能化合物単位(c)を有していない比較例3の
共重合ポリエステルは、押出ブロー成形によってボトル
を製造した際に、押出されたパリソンのドローダウン時
間が14秒と小さく、パリソンのドローダウン性に劣っ
ており、押出ブロー成形によってボトルを製造した際に
ボトルの厚みむらが0.3mm以上であってブロー成形
性に劣っていること、しかも得られるボトルはブツの発
生および表面荒れにより、そのヘイズ値が5.7で透明
性に劣っており、ゲル物の発生率が2.5%を超えてお
り、しかも落下破壊高さが80cmであって落下衝撃強
度が小さくて、低品質であることがわかる。そして、比
較例3の場合はその固相重合に38時間もかかり、生産
性が低いことがわかる。
【0113】また、上記の表10および表13の結果か
ら、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から主
としてなり、且つ2官能化合物単位、多官能化合物単位
(b)および単官能化合物単位(c)を有しているが、
2官能化合物単位が脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)でない比較例4の共重合ポリエステルは、押
出ブロー成形によってボトルを製造した際のボトルの厚
みむらが0.45mmであってブロー成形性に劣ってお
り、しかも得られるボトルは表面の微小な荒れが著し
く、そのためヘイズ値が8.5で透明性に劣っており、
また触感にも劣るものであった。その上、比較例4の共
重合ポリエステルを用いて得られたボトルでは落下破壊
高さが50cmであって落下衝撃強度が小さく、低品質
であることがわかる。
【0114】そして、上記の表11および表13の結果
から、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から
主としてなり、且つ脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)、多官能化合物単位(b)および単官能化合
物単位(c)を有しているが、脂環式または脂肪族の2
官能化合物単位(a)または多官能化合物単位(b)の
割合が、本発明の範囲から外れている比較例5〜比較例
7の共重合ポリエステルは、パリソンのドローダウン性
に劣っており、押出ブロー成形によってボトルを製造し
た際にボトルの厚みむらが0.3mm以上であってブロ
ー成形性に劣っており、得られるボトルは、そのヘイズ
値が5以上で透明性に劣っており、しかも落下破壊高さ
が50〜70cmであって落下衝撃強度が小さくて、低
品質であることがわかる。また、比較例5および比較例
7の場合はその固相重合にそれぞれ63時間および52
時間もかかり、生産性が極めて低いことがわかる。
【0115】さらに、上記の表11および表13の結果
から、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から
主としてなり、且つ脂環式または脂肪族の2官能化合物
単位(a)、多官能化合物単位(b)および単官能化合
物単位(c)を有しているが、脂環式または脂肪族の2
官能化合物単位(a)の割合が共重合ポリエステルの全
構成単位の合計モル数に基づいて4モル%を超える比較
例8の共重合ポリエステルは、非晶性であったため固相
重合により重合度を高めることができず、270℃の温
度で高い溶融粘度が得られず押出ブロー成形ができなか
ったこと、そのため、成形が辛うじて可能であった21
0℃の温度において押出ブロー成形を行ったが、パリソ
ンのドローダウン性に劣っており、押出ブロー成形によ
ってボトルを製造した際にボトルの厚みむらが0.40
mmであってブロー成形性に劣っていたことがわかる。
しかも、比較例8で得られるボトルは、低温で成形を行
ったことにより表面の微小な荒れが著しく、そのためヘ
イズ値が10.3で透明性に劣っており、また触感的に
も劣るものであり、その上落下破壊高さが50cmであ
って落下衝撃強度が小さくて低品質であったことがわか
る。
【0116】また、上記の表12および表13の結果か
ら、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から主
としてなり且つ脂環式または脂肪族の2官能化合物単位
(a)を有しているが、多官能化合物単位(b)と単官
能化合物単位(c)を有していない比較例9の共重合ポ
リエステルは、パリソンのドローダウン性に劣ってお
り、押出ブロー成形によってボトルを製造した際にボト
ルの厚みむらが0.5mmであってブロー成形性に劣っ
ており、得られるボトルは、そのヘイズ値が4.1で透
明性にやや劣っており、しかも落下破壊高さが50cm
であって落下衝撃強度が小さくて、低品質であることが
わかる。また、この比較例9の場合はその固相重合に7
2時間もかかり、生産性が極めて低いことがわかる。
【0117】そして、上記の表12および表13の結果
から、テレフタル酸とエチレングリコールのみを用いて
製造されたポリエステルであって、脂環式または脂肪族
の2官能化合物単位(a)を有しておらず、さらに多官
能化合物単位(b)および単官能化合物単位(c)を何
ら有していない比較例10のポリエステル(なお比較例
10のポリエステルは上記した望ましくない共重合単位
であるジエチレングリコール単位を1.30モル%有し
ている)は、パリソンのドローダウン時間が5秒以下で
あり、しかもパリソンの最大直径と最小直径との差が
3.0cm以上であって、パリソンのドローダウン性に
著しく劣っており、事実上は押出ブロー成形が困難であ
ることがわかる。また、比較例10の場合はその固相重
合に67時間もかかり、生産性が極めて低いことがわか
る。
【0118】また、上記の表12および表13の結果か
ら、テレフタル酸単位とエチレングリコール単位から主
としてなり、2官能化合物単位として、脂環式または脂
肪族の2官能化合物単位(a)を有しておらず、芳香族
ジオール単位であるビスフェノールAエチレンオキサイ
ド基付加物を共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
ル数に基づいて15.13モル%という多割合で含み、
そして多官能化合物単位(b)および単官能化合物単位
(c)を有していない比較例11の共重合ポリエステル
は、非晶性であったため固相重合により重合度を高める
ことができず、270℃の温度での溶融粘度が極めて低
くて押出ブロー成形を行えなかったこと、そのため成形
が辛うじて可能であった210℃の温度で押出ブロー成
形を行ったが、パリソンのドローダウン性に劣ってお
り、押出ブロー成形によってボトルを製造した際のボト
ルの厚みむらが0.45mmであってブロー成形性に劣
っていることがわかる。その上、比較例11の共重合ポ
リエステルを用いて得られたボトルは、低温で成形を行
ったことにより表面の微小な荒れが著しく、そのためヘ
イズ値が9.5で透明性に劣っており、また触感的にも
劣っていること、さらに落下破壊高さが50cmであっ
て落下衝撃強度が小さく、低品質であることがわかる。
【0119】《実施例11〜12および比較例12〜1
3》テレフタル酸とエチレングリコールを下記の表14
に示す割合で使用し、これに更に脂環式または脂肪族の
2官能化合物単位(a)用の脂環式または脂肪族の2官
能化合物として1,4−シクロヘキサンジメタノールを
用い、また多官能化合物単位(b)用の多官能化合物と
して無水トリメリット酸を用い、そして単官能化合物単
位(c)用の単官能化合物として安息香酸を用いて、実
施例1と同様にしてエステル化反応および溶融重縮合反
応を行って共重合ポリエステルのプレポリマーチップを
製造した後、下記の表14に示す温度および時間で固相
重合を行って、共重合ポリエステルをそれぞれ製造し
た。得られたポリエステルにおける各構造単位の含有
量、および共重合ポリエステルの物性を実施例1と同様
にして調べたところ下記の表14に示すとおりであっ
た。また、この実施例11〜12および比較例12〜1
3のそれぞれで得られた共重合ポリエステルを用いて実
施例1と同様にして押出ブロー成形を行ってボトルを製
造し、その際のパリソンのドローダウン性、ブロー成形
性および得られたボトルの透明性、ゲル物発生率、落下
破壊高さおよび落下衝撃強度を上記した方法で測定また
は評価したところ、下記の表15に示すとおりであっ
た。ただし、比較例12の共重合ポリエステルを押出ブ
ロー成形に供した場合には、パリソンが形成できなかっ
たため、ドローダウン時間以外の測定はできなかった。
なお、下記の表14では化合物を略号で示しているが、
略号の内容は上記の表6に示すとおりである。
【0120】
【表14】
【0121】
【表15】
【0122】上記の表14および表15の結果から、テ
レフタル酸単位とエチレングリコール単位から主として
なり、しかも共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
ル数に基づいて、脂環式または脂肪族の2官能化合物単
位(a)を1〜4モル%の範囲で有し且つ多官能化合物
単位(b)を0.005〜1モル%の範囲で有し、そし
て単官能化合物単位(c)を上記の数式(I)を満足す
る範囲で有している共重合ポリエステルを製造している
実施例11〜12の場合は、実施例1〜10の場合と同
様に、30時間以内の短い固相重合時間で押出ブロー成
形などの溶融成形に適する極限粘度を有する共重合ポリ
エステルを円滑に製造できることがわかる。しかも、実
施例11〜12で得られた共重合ポリエステルを用いて
押出ブロー成形によってボトルを製造した際には、実施
例1〜10の場合と同様に、ドローダウン性およびブロ
ー成形性に優れ、さらに得られたボトルは、透明性およ
び表面美麗性に優れ、ゲル物の発生が極めて少なく且つ
高い落下衝撃強度を有していることがわかる。
【0123】これに対して、テレフタル酸単位とエチレ
ングリコール単位から主としてなり、しかも共重合ポリ
エステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、脂環式
または脂肪族の2官能化合物単位(a)を1〜4モル%
の範囲で有し且つ多官能化合物単位(b)を0.005
〜1モル%の範囲で有し、そして単官能化合物単位
(c)を有していても、単官能化合物単位(c)の割合
が上記の数式(I)の範囲よりも多い比較例12の共重
合ポリエステルは、溶融重合および固相重合により充分
に重合度を高めることができず、低粘度であった。この
ため、この共重合ポリエステルを押出ブロー成形に供し
ても、パリソンを形成することができず、成形品を得る
ことができなかった。
【0124】また、テレフタル酸単位とエチレングリコ
ール単位から主としてなり、しかも共重合ポリエステル
の全構成単位の合計モル数に基づいて、脂環式または脂
肪族の2官能化合物単位(a)を1〜4モル%の範囲で
有し且つ多官能化合物単位(b)を0.005〜1モル
%の範囲で有し、そして単官能化合物単位(c)を有し
ていても、単官能化合物単位(c)の割合が上記の数式
(I)の範囲よりも少ない比較例13の共重合ポリエス
テルは、これを押出ブロー成形に供した場合に、押出む
らが激しく、パリソン形成性に劣り、ボトルを製造した
際に、ボトルの厚みむらが0.3mm以上であってブロ
ー成形性に劣り、しかも得られるボトルは、そのヘイズ
値が5以上で透明性に劣っており、ゲル物によるブツの
発生が顕著であり、その上落下破壊高さが80cmであ
って落下衝撃強度が小さく、低品質であることがわか
る。
【0125】
【発明の効果】本発明の共重合ポリエステルは、高い溶
融粘度を有し、しかも高剪断速度では低粘度で且つ低剪
断速度では高粘度である非ニュートン性を示し、成形時
にシャークスキン流動等のメルトフラクチャーが生じ
ず、結晶化速度が抑制され、かつゲル化物が生じないと
いう優れた特性を備えているので、溶融成形に極めて優
れており、本発明の共重合ポリエステルを用いて押出ブ
ロー成形、射出・押出ブロー成形、押出成形、射出成形
などの溶融成形を行った場合には、白化やゲル物の発生
がなくて、透明性、表面状態、外観、触感などの特性に
優れ、しかも機械的特性、寸法精度、耐熱性、耐湿性、
耐薬品性などの諸特性にも優れる高品質の成形品を、極
めて円滑に製造することができる。
【0126】そして、本発明の共重合ポリエステルは、
上記した溶融成形のうちでも、溶融押出工程を伴う溶融
成形、特に押出ブロー成形で用いるのに適する高い溶融
粘度および良好な溶融粘度適性を有しており、そのた
め、本発明の共重合ポリエステルを用いて押出ブロー成
形を行った場合には、押出されたパリソンのドローダウ
ン性が良好であって、パリソンのドローダウン時間が適
当な範囲に保たれ、パリソンの直径が均一になり、しか
もブロー成形性が良好であり、成形時のトラブルを生ず
ることなく、歪みや変形のない、良好な形状および寸法
精度を有する中空成形品を円滑に生産性よく製造するこ
とができ、長さが20cm以上の長いパリソンの押出を
伴う大型中空成形品の押出ブロー成形にも極めて好適に
使用することができる。また、本発明の共重合ポリエス
テルの製造方法による場合は、上記した優れた特性を備
えた本発明の共重合ポリエステルを、短い時間、特に短
縮された固相重合時間で、生産性よく、経済的に製造す
ることができる。
【表7】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−207003(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 WPI/L(QUESTEL)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) テレフタル酸単位およびエチレ
    ングリコール単位から主としてなり且つ他の共重合単位
    を有する共重合ポリエステルであって; (2) 前記の共重合ポリエステルが、他の共重合単位
    として、 (i) テレフタル酸単位エチレングリコール単位
    よびシクロヘキサンジメタノール単位以外の脂環式また
    は脂肪族のジカルボン酸単位、ジオール単位およびヒド
    ロキシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の脂
    環式または脂肪族の2官能化合物単位(a)を、共重合
    ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、1
    〜4モル%の割合で有し; (ii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
    たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
    化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
    位(b)を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
    ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有し;
    そして (iii) モノカルボン酸、モノアルコールおよびそ
    れらのエステル形成性誘導体の少なくとも1種の単官能
    化合物から誘導される単官能化合物単位(c)を、共重
    合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、
    下記の数式(I); 【数1】 {20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b} (I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
    単位(b)の割合(モル%) c=共重合ポリエステルにおける単官能化合物単位
    (c)の割合(モル%) n=多官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の
    平均官能基数] を満足する割合で有している; ことを特徴とする共重合ポリエステル。
  2. 【請求項2】 270℃の温度における剪断速度0.1
    rad/秒での溶融粘度(η)が5×10〜5×1
    ポイズであり、270℃の温度における剪断速度1
    00rad/秒での溶融粘度(η)が5×10〜5
    ×10ポイズであり、且つ前記の溶融粘度(η)お
    よび溶融粘度(η)が下記の数式(II); 【数2】 −0.7≦(1/3)log10(η/η)≦−0.2 (II) を満足する請求項1の共重合ポリエステル。
  3. 【請求項3】 脂環式または脂肪族の2官能化合物単位
    (a)が、シクロヘキサンジカルボン酸単位である請求
    項1または2の共重合ポリエステル
  4. 【請求項4】 (1) テレフタル酸単位およびエチレ
    ングリコール単位から主としてなり且つ他の共重合単位
    を有する共重合ポリエステルであって(2) 前記の共重合ポリエステルが、他の共重合単位
    として(i) シクロヘキサンジメタノール単位単独からなる
    か或いはシクロヘキサンジメタノール単位と、テレフタ
    ル酸単位、エチレングリコール単位およびシクロヘキサ
    ンジメタノール単位以外の脂環式または脂肪族のジカル
    ボン酸単位、ジオール単位およびヒドロキシカルボン酸
    単位から選ばれる少なくとも1種の脂環式または脂肪族
    の2官能化合物単位からなる2官能化合物単位(a)
    を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基
    づいて、1〜4モル%の割合で有し(ii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
    たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
    化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
    位(b)を、共重合ポリエステルの全構成単位の合計モ
    ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有し;
    そして (iii) モノカルボン酸、モノアルコールおよびそ
    れらのエステル形成性誘導体の少なくとも1種の単官能
    化合物から誘導される単官能化合物単位(c)を、共重
    合ポリエステルの全構成単位の合計モル数に基づいて、
    下記の数式(I) ; 【数3】{20×(n−2)×b}≧c≧{0.1×(n−2)×b}(I) [式中、b=共重合ポリエステルにおける多官能化合物
    単位(b)の割合(モル%) c=共重合ポリエステルにおける単官能化合物単位
    (c)の割合(モル%) n=多官能化合物単位(b)を誘導する多官能化合物の
    平均官能基数] を満足する割合で有しており;且つ(3) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
    /秒での溶融粘度(η1)が5×104〜5×106ポ
    イズであり、270℃の温度における剪断速度100r
    ad/秒での溶融粘度(η2)が5×103〜5×10
    5ポイズであり、且つ前記の溶融粘度(η1)および溶
    融粘度(η2)が下記の数式(II) ; 【数4】−0.7≦(1/3)log10(η2/η1)≦−0.2(II) を満足することを特徴とする共重合ポリエステル
  5. 【請求項5】 極限粘度が0.8〜1.5dl/gであ
    る請求項1〜4のいずれか1項の共重合ポリエステル。
  6. 【請求項6】 270℃の温度におけるシャークスキン
    臨界剪断応力(σss)が1×10dyne/cm
    以上であり、且つ270℃の温度における剪断速度10
    0rad/秒での剪断応力(σ100)がシャークスキ
    ン臨界剪断応力(σss)以下である請求項1〜5のい
    ずれか1項の共重合ポリエステル。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項の共重合ポ
    リエステルからなる成形品。
  8. 【請求項8】 押出ブロー成形品である請求項7の成形
    品。
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