JP3460907B2 - ポリエステルフイルム - Google Patents
ポリエステルフイルムInfo
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Description
エステルよりなるポリエステルフイルム、該ポリエステ
ルフイルムの製造方法、該ポリエステルフイルムを用い
て二次成形を行う方法、およびそれにより得られる二次
成形品に関する。より詳細には、本発明は、透明性、耐
衝撃性、ガスバリヤー性、耐熱性、耐薬品性などの特性
に優れ、しかも延伸や深絞り成形などのような二次成形
性に優れていて、透明性や寸法精度、外観などに優れる
二次成形品を得ることのできるポリエステルフイルムお
よび該ポリエステルフイルムの製造方法に関するもので
あり、本発明のポリエステルフイルムは特に耐衝撃性に
優れていることから薄肉での使用が可能であり、そのま
まで使用したり、二次成形を行って各種の成形品や加工
品を容易に製造することができる。
するポリエステル樹脂は、透明性、力学的特性、ガスバ
リヤー性、フレーバーバリヤー性などの種々の性質に優
れ、しかも成形品にした際にも残留モノマーや有害添加
剤の心配が少なく、衛生性および安全性に優れているこ
とから、ジュース、清涼飲料、調味料、油、化粧品、洗
剤、その他の製品を充填するための中空容器として近年
広く使用されるようになっている。
汎用のポリエステルからなるフイルムは、一般にTダイ
などを用いて溶融押出成形によって製造されており、そ
の透明性、ガスバリヤー性などの特性を活かして、深絞
り、延伸、積層などの二次成形や二次加工を行って、各
種パック類、各種カップ類、カバー類、積層体などが製
造されている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの汎用のポリエステルは溶融粘度が小さく、し
かも結晶化速度が大きいため、溶融押出によってフイル
ムを製造する際に種々の問題を生じている。
いことにより、溶融押出によりフイルムを製造する際
に、ダイより押出された溶融状態の膜状物の垂れ下が
り、ロールなどによって引き取る際のいわゆるネックイ
ンと称される幅の減少、引き取り時の膜揺れ現象などを
生ずる。そして、ネックインや膜揺れ現象はポリエステ
ルフイルムの厚み斑、穴あき、切断などの主要因とな
る。また、膜揺れ現象を防止するためには引き取り速度
を低減させる必要があり、それによってポリエステルフ
イルムの生産性が低下し、しかも厚膜化の原因ともな
る。
と、溶融押出によってポリエステルフイルムを製造する
際に、ダイより押し出された溶融状態の膜状物に球晶が
速やかに生じ、フイルムの白化を引き起こし、透明性が
失われる。そして、押出されたポリエステルフイルムに
見かけ上白化が生じていない場合であっても、加熱下に
延伸や深絞り成形などのような二次成形や二次加工を施
すと、フイルム中に生成している球晶に起因する白化を
起こし易いという問題がある。また、結晶化速度の大き
いポリエチレンテレフタレートなどのような汎用のポリ
エステルからなる従来のフイルムは、脆弱で耐衝撃性に
劣っている。
斑がなくて厚さが均一であり、穴あきがなく、しかも球
晶の生成がなくて、透明性、耐衝撃性に優れ、さらにガ
スバリヤー性、耐熱性、触感などの特性にも優れる、高
品質のポリエステルフイルムを提供することである。 そして、本発明の目的は、加熱下に延伸、絞り加工、積
層などのような二次加工や二次成形を行っても、白化が
生じず、透明性、耐衝撃性、ガスバリヤー性、耐熱性、
触感などの特性に優れる二次加工品を、良好な寸法精度
で円滑に製造することのできるポリエステルフイルムを
提供することである。さらに、本発明の目的は、溶融押
出成形によってフイルムを製造する際に、ネックイン、
膜揺れ現象、膜切れなどのトラブルの発生を防止しなが
ら、目的とする厚さや寸法を有し、しかも上記した諸特
性に優れる高品質のポリエステルフイルムを、大きな引
き取り速度で、生産性よく製造することのできるポリエ
ステルフイルムの製造方法を提供することである。そし
て、本発明の目的は、上記した良好な諸特性を有するポ
リエステルフイルムを用いて、二次加工または二次成形
を行ってポリエステルの二次加工品や二次成形品を製造
する方法を提供することである。
本発明者らが検討を重ねた結果、テレフタル酸単位およ
びエチレングリコール単位から主としてなり且つ他の共
重合単位を有する共重合ポリエステルであって、該共重
合ポリエステル中に、テレフタル酸単位およびエチレン
グリコール単位以外の2官能化合物単位を特定の割合で
有し、3官能以上の多官能化合物からなる多官能化合物
単位を特定の割合で有し、しかも特定の結晶化速度と特
定の溶融粘度を有する共重合ポリエステルを用いてフイ
ルムを製造すると、厚さが均一であり、球晶の生成がな
くて透明性や耐衝撃性に優れ、しかもガスバリヤー性、
耐熱性などの特性にも優れる、高品質のポリエステルフ
イルムが得られることを見出した。さらに、本発明者ら
は、そのようなポリエステルフイルムの製造に際して、
前記した共重合ポリエステルを用いて溶融押出成形によ
ってフイルムを製造すると、上記した高い品質を有する
ポリエステルフイルムを、溶融押出時にネックインや膜
揺れ現象などを生ずることなく、大きな引き取り速度
で、生産性よく、円滑に製造できることを見出した。そ
して、本発明者らは、上記した共重合ポリエステルより
なるポリエステルフイルムを用いて、加熱下に延伸、深
絞り成形、積層などのような二次加工や二次成形を行う
と、白化が生じず、透明性、寸法精度、耐衝撃性、ガス
バリヤー性、耐熱性などに優れる二次加工品や二次成形
品を極めて円滑に製造できることを見出し、それらの知
見に基づいて本発明を完成した。
(v); (i) テレフタル酸単位およびエチレングリコール単
位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する共重合
ポリエステルである; (ii) テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位、エ
チレングリコール単位以外のジオール単位およびヒドロ
キシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の2官
能化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構造単
位の合計モル数に基づいて、2〜30モル%の割合で有
する; (iii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構造単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有す
る; (iv) 160℃における半結晶化時間が1500〜3
500秒の範囲である;並びに、 (v) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜2×105ポイ
ズであり、270℃の温度における剪断速度100ra
d/秒での溶融粘度(η2)が8×103〜2×104ポ
イズであり、且つ溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)が下記の数式を満足する;
ポリエステルフイルムである。
(v); (i) テレフタル酸単位およびエチレングリコール単
位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する共重合
ポリエステルである; (ii) テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位、エ
チレングリコール単位以外のジオール単位およびヒドロ
キシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の2官
能化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構造単
位の合計モル数に基づいて、2〜30モル%の割合で有
する; (iii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構造単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有す
る; (iv) 160℃における半結晶化時間が1500〜3
500秒の範囲である;並びに、 (v) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜2×105ポイ
ズであり、270℃の温度における剪断速度100ra
d/秒での溶融粘度(η2)が8×103〜2×104ポ
イズであり、且つ溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)が下記の数式を満足する;
ってポリエステルフイルムを製造する方法である。
エステルフイルムを用いて二次加工または二次成形を行
う方法、該二次加工または二次成形により得られる二次
加工品または二次成形品を包含する。
する。本発明のポリエステルフイルムは、上記したよう
に、テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位か
ら主としてなる共重合ポリエステルから形成されている
ことが必要である[上記の要件(i)]。
テレフタル酸単位とエチレングリコール単位との合計割
合(モル%)が、共重合ポリエステルを構成する全構造
単位の合計モル数に対して、約69〜98モル%である
のが好ましく、約90〜98モル%であるのがより好ま
しい。共重合ポリエステルにおけるテレフタル酸単位と
エチレングリコール単位の合計割合が69モル%未満で
あると共重合ポリエステルが非晶性になるため固相重合
による高重合度化が困難になり、一方98モル%を超え
ると共重合ポリエステルの結晶が融解し難くなってフイ
ルム中に未溶融のブツが多発し易くなる。
ルは、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位、エチ
レングリコール単位以外のジオール単位およびヒドロキ
シカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の2官能
化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構造単位
の合計モル数に基づいて、2〜30モル%の割合[2種
以上の2官能化合物単位(a)を有する場合はその合計
割合]で有することが必要である[上記の要件(i
i)]。2官能化合物単位(a)の割合が2モル%未満
であると、共重合ポリエステルの結晶化速度が速くなり
過ぎて、溶融押出成形時に球晶の生成に伴う白化が生じ
てポリエステルフイルムの透明性が失われ、外観が不良
となる。一方、2官能化合物単位(a)の割合が30モ
ル%を超えると、共重合ポリエステルの結晶性および融
点が低くなり過ぎて、固相重合が行えなくなったり、ま
たは固相重合が行える場合であってもその固相重合速度
が極端に遅くなって重合度が充分に増加しなくなる。そ
の結果、そのような共重合ポリエステルを用いて得られ
る共重合ポリエステルフイルムではその機械的強度が劣
ったものとなる。
を高くすることができ、しかも共重合ポリエステルの溶
融粘度を溶融押出成形に適したものになってフイルムを
より円滑に製造することができ、その上白化がなくて透
明性に一層優れ、さらに耐衝撃性などの機械的強度にも
一層優れるポリエステルフイルムを得ることができるな
どの点から、共重合ポリエステルにおける2官能化合物
単位(a)の割合が、共重合ポリエステルの全構造単位
の合計モル数に基づいて、2〜10モル%の範囲である
のが特に好ましい。
物単位(a)としては、例えば、イソフタル酸、フタル
酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスル
ホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、ス
ルホイソフタル酸ナトリウム、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4’−ベフェニルジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;デ
カリンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の
脂環式ジカルボン酸;ビスフェノールA、ビスフェノー
ルS、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビス
フェノールSエチレンオキシド付加物などの芳香族ジオ
ール;トリメチレングリコール、テトラメチレングリコ
ール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール
などの脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環式ジ
オール;グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロ
キシプロピオン酸、アシアチン酸、キノバ酸、ヒドロキ
シ安息香酸、マンデル酸、アトロラクチン酸などのヒド
ロキシカルボン酸;ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラ
クトン;それらのエステル形成性誘導体などの2官能化
合物から誘導される構造単位などを挙げることができ
る。本発明で用いる共重合ポリエステルは、2官能化合
物単位(a)として、上記した構造単位のうちの1種の
みを有していても、または2種以上を有していてもよ
い。
性、耐熱性、製造コストなどの点から、本発明では、共
重合ポリエステルにおける2官能化合物単位(a)が、
ビスフェノールAエチレンオキシド付加物からなる構造
単位および/または1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルからなる構造単位であるのが特に好ましい。
テルの製造中にエチレングリコール成分の2量化物であ
るジエチレングリコールが少量副生して生成する共重合
ポリエステル中にジエチレングリコール単位が含まれて
くるが、共重合ポリエステル中にジエチレングリコール
単位が多く含まれると、共重合ポリエステルのガラス転
移温度が低下して、耐熱性の低下や着色などの問題を生
じ、該共重合ポリエステルから得られるポリエステルフ
イルムの耐熱性、強度、色調が不良になるので、共重合
ポリエステル中におけるジエチレングリコール単位の割
合を極力低減させておくのがよい。前記した理由から、
共重合ポリエステル中におけるジエチレングリコール単
位の割合を共重合ポリエステルの全構造単位の合計モル
数に基づいて1.5モル%未満にしておくのが好まし
く、1.4モル%以下にしておくのがより好ましく、
1.3モル%以下にしておくのが更に好ましい。
ルは、共重合ポリエステルの全構造単位の合計モル数に
基づいて、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびそれ
らのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物か
ら誘導される多官能化合物単位(b)を、共重合ポリエ
ステルの全構造単位の合計モル数に基づいて、0.00
5〜1モル%の割合[2種以上の多官能化合物単位
(b)を有する場合はその合計割合]で有していること
が必要である[上記の要件(iii)]。
単位(b)の割合が、上記した0.005〜1モル%の
範囲から外れて、0.005モル%未満であると、溶融
粘度が充分に高くならず、適正な溶融粘性、すなわち非
ニュートン性が生じず、溶融押出成形などによってフイ
ルムを製造する際の成形性が不良となる。特に、溶融押
出成形時に押出された溶融状態にある膜状物のネックイ
ンや膜揺れが激しくなって、フイルムの閉塞や厚み斑を
生じ、厚さや幅寸法などの寸法精度に優れるポリエステ
ルフイルムを製造できなくなる。この傾向は、ポリエス
テルフイルムの引き取り速度が100m/分を上回るよ
うな高速製膜条件下において特に顕著となる。しかも、
多官能化合物単位(b)の割合が0.005モル%未満
であると、共重合ポリエステルを製造する際の固相重合
速度が遅くなって共重合ポリエステルの生産性が低下す
る。
化合物単位(b)の割合が1モル%を超えると、共重合
ポリエステル中における架橋構造部分が多くなり過ぎ
て、過架橋構造に由来するゲルが生ずるため、ポリエス
テルフイルムを製造した場合にブツの発生、白化などの
トラブルを生じて、透明性、外観、触感などが損なわれ
る。そして、ゲルを生じないように共重合ポリエステル
の重合度を低下させると分子間の絡み合いが低下して、
充分な機械的強度が得られなくなる。
を一層良好に行うことができ、ポリエステルフイルムの
白化の防止や寸法安定性の向上、機械的強度の向上、共
重合ポリエステル自体の生産性の向上などを一層円滑に
行える点から、多官能化合物単位(b)の割合が、共重
合ポリエステルの全構造単位の合計モル数に基づいて、
0.01〜0.5モル%の範囲であるのが特に好まし
い。
キシル基、ヒドロキシル基およびそれらのエステル形成
性基から選ばれる1種または2種以上の基を3個以上有
する多官能化合物から誘導される構造単位であれば特に
制限されず、多官能化合物単位(b)を誘導するための
多官能化合物は、カルボキシル基のみを3個以上有する
多官能化合物であっても、ヒドロキシル基のみを3個以
上有する多官能化合物であっても、またはカルボキシル
基とヒドロキシル基を合計で3個以上有する多官能化合
物であってもよい。
ては、トリメシン酸、トリメリット酸、1,2,3−ベ
ンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸、1,4,5,
8−ナフタレンテトラカルボン酸などの芳香族ポリカル
ボン酸;1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸な
どの脂肪族ポリカルボン酸;1,3,5−トリヒドロキ
シベンゼン、2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フ
ェニル]−2−[3’−(2−ヒドロキシエチル)−
4’−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン
などの芳香族ポリアルコール;トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、グリセリン、1,3,5−
シクロヘキサントリオールなどの脂肪族ポリアルコー
ル;4−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソ
フタル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、
2,6−ジヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、2,
4−ジヒドロキシフェニル酢酸などの芳香族ポリヒドロ
キシカルボン酸;酒石酸、リンゴ酸などの脂肪族ポリヒ
ドロキシカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体か
ら誘導される多官能化合物単位を挙げることができる。
本発明の共重合ポリエステルは、多官能化合物単位
(b)として、上記した多官能化合物単位の1種のみを
有していてもまたは2種以上を有していてもよい。
ポリエステルは、多官能化合物単位(b)としてトリメ
リット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、トリメチロ
ールプロパンおよびペンタエリスリトールから誘導され
る構造単位の1種または2種以上を有しているのが、共
重合ポリエステルの製造の容易性および製造コストの点
から好ましい。さらに、ゲル化が抑制される点からトリ
メリット酸および/またはトリメシン酸から誘導される
構造単位が特に好ましい。
ルは、160℃における半結晶化時間が1500〜35
00秒の範囲であることが必要である[上記の要件(i
v)]。半結晶化時間が1500秒未満であると、溶融押
出成形を行う際に押出されたポリエステル溶融物の固化
速度が大きくなり過ぎて、球晶の発生に伴う不透明化を
起こし、得られるポリエステルフイルムの透明性が損な
われる。しかもポリエステルフイルムを用いて深絞りや
その他の二次加工や二次成形を加熱下に行う際に、やは
り球晶が発生して、得られる二次加工品や二次成形品の
不透明化を生ずる。一方、半結晶化時間が3500秒を
超えると、共重合ポリエステルの結晶性および融点が低
くなり過ぎて、固相重合が行えなくなったり、または固
相重合が行える場合であってもその固相重合速度が極端
に遅くなって重合度が充分に増加せず、その結果得られ
るポリエステルフイルムの機械的強度が劣ったものとな
る。なお、ここでいう「160℃における半結晶化時
間」とは、溶融状態から160℃の温度まで急冷して1
60℃に保持したポリエステル試料の等温結晶化発熱量
が、総発熱量の半分になるのに要する時間を意味する。
等温結晶化発熱量は示差熱量分析計(DSC)によって
測定した値をいい、その詳細は下記の実施例の項に記載
するとおりである。
ルは、270℃の温度における剪断速度0.1rad/
秒での溶融粘度(η1)が5×104〜2×105ポイズ
であり、270℃の温度における剪断速度100rad
/秒での溶融粘度(η2)が8×103〜2×104ポイ
ズであり、且つ溶融粘度(η1)および溶融粘度(η2)
が下記の数式;
断速度0.1rad/秒での溶融粘度(η1)が5×1
04ポイズよりも低いと、押出し製膜時にネックインや
膜揺れが著しくなり、得られるポリエステルフイルムの
厚み斑や幅の縮小が大きくなって、均質で目的寸法どお
りのフイルムを得ることができなくなる。また、該溶融
粘度(η1)が2×105ポイズよりも高いと、特に10
0m/分を超えるような高速引き取り条件下で溶融押出
成形を行う場合に、膜切れが起こり易くなり、高速製膜
性が顕著に損なわれ、しかもダイスウエルが起こり易く
なって薄肉のポリエステルフイルムを得るのが困難にな
る。
度における剪断速度100rad/秒での溶融粘度(η
2)が8×103ポイズよりも低いと、押出し製膜時にネ
ックインや膜揺れが著しくなって、得られるポリエステ
ルフイルムの厚み斑や幅の縮小が大きくなる。一方、該
溶融粘度(η2)が2×104ポイズよりも高いと、押出
機に加わるトルクが高くなり過ぎたり、押出し斑やウエ
ルトラインが発生し易くなる。
og10(η2/η1)の値が、上記の数式の範囲から外
れて、−0.7未満であると押出し製膜時に膜切れを生
じ易くなって高速製膜性が損なわれる。一方、(1/
3)log10(η2/η1)の値が−0.2を超えると、
押出し製膜時にネックインや膜揺れが起こって、得られ
るポリエステルフイルムに厚み斑や幅の縮小などを生ず
る。(1/3)log10(η2/η1)の値が−0.5〜
−0.25の範囲であるのがより好ましい。なお、上記
の数式における(1/3)log10(η2/η1)の値
は、溶融粘度を縦軸とし、剪断速度を横軸とする両自然
対数グラフにおける溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)の2点を結ぶ直線の傾きとして求められる。ま
た、本明細書でいう溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)の値は、下記の実施例の項に記載した方法で測
定したときの値を言う。
するに、本発明のポリエステルフイルムは、上記した要
件(i)〜(v)のすべてを同時に満足する共重合ポリ
エステルから形成されていることが必要であり、共重合
ポリエステルにおいて要件(i)〜(v)のいずれが欠
けても目的とするポリエステルフイルムを円滑に得るこ
とができない。
粘度は、ポリエステルフイルムを製造する際の溶融成形
法の種類などに応じて変わり得るが、溶融押出成形によ
ってフイルムを製造する場合は、0.75〜1.3dl
/gの範囲内であるのが好ましく、0.8〜1.1dl
/gの範囲内であるのがより好ましく、特に共溶融押出
成形によって積層フイルムを製造する場合に前記した溶
融粘度にするのが好ましい。共重合ポリエステルの極限
粘度が0.75dl/g未満であると、押出し製膜時に
ネックインや膜揺れが大きくなって成形不良となり易
く、しかも得られるポリエステルフイルムの機械的強度
が低くなり易い、一方、共重合ポリエステルの極限粘度
が1.3dl/gを超えると、溶融粘度が高くなり過ぎ
て、100m/分を超えるような高速製膜速度条件で
は、押出された溶融状態にあるフイルム状物が高速引取
りに耐えられなくなって膜切れを生じ易い。しかも、得
られるポリエステルフイルムに厚み斑を生じて外観の不
良を招き易く、その上溶融押出成形時にトルクが高くな
るため押出量が不均一になり易い。さらに、共重合ポリ
エステルの極限粘度が1.3dl/gを超えると溶融粘
度が高くなり過ぎて、押出しに要する時間が長くなって
生産性が低下し易い。
は、そのガラス転移温度が60℃以上であるのが好まし
く、70℃以上であるのがより好ましく、それによって
フイルムにおける残存応力の緩和に伴う収縮を円滑に防
止することができる。
は、そのカルボキシル基濃度が30μ当量/g以下であ
るのが好ましく、20μ当量/g以下であるのがより好
ましい。共重合ポリエステルのカルボキシル基濃度が3
0μ当量/gを超えると、共重合ポリエステルの分子量
低下によるポリエステルフイルムの強度低下、ポリエス
テルフイルムの着色などを生じ易くなる。
は、溶融押出成形時の製膜性、フイルムの生産性などの
点から、270℃の温度におけるメルトフローレイト
(以下「MFR」と略記することがある)が、2.0〜
7.5g/10分の範囲内であるのが好ましく、3.0〜
6.0g/10分の範囲内であるのがより好ましい。
は、冷結晶化温度が150℃以下であり、且つ冷結晶化
における結晶化熱量が20J/g以下であることが好ま
しい。共重合ポリエステルの冷結晶化温度が150℃よ
りも高い場合、または冷結晶化における結晶化熱量が2
0J/gを超える場合は、いずれも球晶の成長速度が速
くなって、得られるポリエステルフイルムに白化を生じ
て透明性が劣ったものになり易い。また、溶融押出成形
によってフイルムを製造する際に、押出されたフイルム
の固化が早期に生じて成形性が不良になり易い。溶融成
形時に球晶の生成速度を充分に遅延させて、透明性に優
れるポリエステルフイルムを良好な成形性で得るために
は、共重合ポリエステルの冷結晶化温度が140℃以下
であり、且つ冷結晶化における結晶化熱量が15J/g
以下であるのが一層好ましい。なお、ここでいう冷結晶
化温度および冷結晶化における結晶化熱量は示差熱分析
法(DSC)によって測定したときの値をいい、その詳
細は下記の実施例の項に記載するとおりである。
体;および (2)エチレングリコールから主としてなり; (3)2官能化合物単位(a)を共重合ポリエステル中
に導入するためのテレフタル酸およびエチレングリコー
ル以外の2官能化合物の少なくとも1種;及び (4)多官能化合物単位(b)を共重合ポリエステル中
に導入するための上記したカルボキシル基、ヒドロキシ
ル基および/またはそれらのエステル形成性基を3個以
上有する多官能化合物の少なくとも1種;からなる反応
原料であって、且つ 該反応原料におけるテレフタル酸およびエチレング
リコール以外の2官能化合物の含有量が、それから誘導
される2官能化合物単位(a)の割合が共重合ポリエス
テルの全構造単位の合計モル数に基づいて2〜30モル
%の範囲になるような量であり;そして、 該反応原料における前記の多官能化合物の含有量
が、該多官能化合物から誘導される多官能化合物単位
(b)の割合が共重合ポリエステルの全構造単位の合計
モル数に基づいて0.005〜1モル%になるような量
である;反応原料を、エステル化反応またはエステル交
換反応させた後、それを溶融重縮合させてポリエステル
プレポリマーを形成し;次いで 2)前記の工程1)で得られるポリエステルプレポリマ
ーを固相重合させる;ことにより、短時間で生産性よく
製造することができる。
造方法では、テレフタル酸およびエチレングリコール以
外の2官能化合物として、共重合ポリエステル中に2官
能化合物単位(a)を導入するための2官能化合物とし
て上記で例示した化合物を使用すればよく、多官能化合
物として、多官能化合物単位(b)を導入するための多
官能化合物化合物として上記で例示した化合物を使用す
ればよい。
(全ジオール成分):(全ジカルボン酸成分)のモル比
が1.1:1〜1.5:1になるようにし、且つ(多官
能化合物成分):(全ジカルボン酸成分)のモル比が
0.0001:1〜0.02:1になるようにして反応
成分を混合し、エステル化反応またはエステル交換反応
を行うのが好ましい。
反応は、通常、常圧下または絶対圧で約3kg/cm2
以下の加圧下に、230〜300℃の温度で、生成する
水またはアルコールを留去させながら行うとよい。そし
て、それに続いて、必要に応じて重縮合触媒、着色防止
剤などの添加剤を添加した後、通常、5mmHg以下の
減圧下に、200〜300℃の温度で、所望の粘度のポ
リエステルプレポリマーが得られるまで溶融重縮合を行
ってポリエステルプレポリマーを形成させる。その場合
に、ポリエステルプレポリマーの取り扱い性などの点か
ら、ポリエステルプレポリマーの極限粘度は0.40〜
0.75dl/gの範囲内であることが好ましく、また
そのMFRは15.0g/10分以上であるのが好まし
い。
媒を使用する場合は、ポリエステルの製造に通常用いら
れているものを使用することができ、例えば、酸化アン
チモンなどのアンチモン化合物;酸化ゲルマニウムなど
のゲルマニウム化合物;テトラメトキシチタン、テトラ
エトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テト
ライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの
チタン化合物;ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n
−ブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテートなどの
錫化合物などを挙げることができ、これらの触媒化合物
は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用しても
よい。重縮合触媒を用いる場合は、ジカルボン酸成分の
重量に基づいて0.002〜0.8重量%の範囲内の量
であるのが好ましい。
ば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、ト
リフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイ
ト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェ
ート、トリフェニルフォスフェートなどのリン化合物を
用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用し
てもまたは2種以上を併用してもよい。これらのリン化
合物からなる着色防止剤を使用する場合は、ジカルボン
酸成分の重量に基づいて0.001〜0.5重量%の範
囲内であるのが好ましい。また、共重合ポリエステルの
熱分解による着色を抑制するために、ジカルボン酸成分
の重量に基づいて0.001〜0.5重量%、より好まし
くは0.05〜0.3重量%のコバルト化合物、例えば酢
酸コバルトなどを添加するのがよい。
ル中にジエチレングリコール単位が多く含まれると共重
合ポリエステルのガラス転移温度が低下し、それに伴っ
て耐熱性の低下や着色などが起こり、得られるポリエス
テルフイルムの耐熱性、強度、色調などが不良なものと
なるが、上記したエステル化反応、エステル交換反応お
よび/または溶融重縮合反応を、テトラエチルアンモニ
ウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒ
ドロキシド;トリエタノールアミン、トリエチルアミン
などの有機アミンなどからなるジエチレングリコールの
副生抑制剤の存在下に行うと、共重合ポリエステル中に
おけるジエチレングリコール単位の割合を低減させるこ
とができるので好ましい。
られたポリエステルプレポリマーをダイス状、円柱状な
どの任意の形状のチップやペレットとし、それを通常1
90℃以下の温度で予備乾燥した後、その極限粘度、M
FRなどが所望の値になるまで固相重合を行って、目的
とする共重合ポリエステルを形成させる。固相重合は真
空下、減圧下または窒素ガスなどの不活性ガス中で行う
のが好ましい。また、ポリエステルプレポリマーのチッ
プやペレット同士が膠着しないように、転動法、気体流
動床法などの適当な方法でチップやペレットを流動させ
ながら固相重合を行うのが好ましい。固相重合は通常1
80〜240℃の範囲内の温度で行うのが好ましく、1
90〜230℃の範囲内の温度で行うのがより好まし
い。更に、固相重合の温度は、チップやペレット間の膠
着を防止する観点から、前記した範囲内の温度であっ
て、しかも製造を目的としている共重合ポリエステル
(最終的に得られる共重合ポリエステル)の融点より1
5℃以上低い温度、好ましくは20℃以上低い温度とす
るとよい。また、固相重合の重合時間は通常約5〜40
時間の範囲とするのが生産性などの点から好ましい。そ
して、上記した一連の工程を行うことによって、本発明
に用いる共重合ポリエステルを短時間に生産性よく製造
することができる。
合ポリエステルには、他の熱可塑性樹脂、ポリエステル
系樹脂に対して従来から使用されている各種の添加剤、
例えば染料や顔料などの着色剤、紫外線吸収剤などの安
定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、潤滑剤、可塑
剤、無機充填剤などを含有していてもよい。
明のポリエステルフイルムを製造するに当たっては、溶
融押出成形法、溶融カレンダー法、溶融流延法などの溶
融製膜法のいずれもが使用できるが、溶融押出成形法が
好ましく用いられる。溶融押出成形を行うに当たって
は、Tダイより平坦なフイルム状に押出すTダイ法、環
状ダイから内部に空気を吹き込みながら押出すインフレ
ーション法のいずれもが採用でき、特にTダイ法が好ま
しく用いられる。
ってポリエステルフイルムを溶融押出成形する場合は、
一般に、共重合ポリエステルを押出機中で樹脂の融点よ
り約10〜70℃程度高い温度(通常約260〜290
℃)に加熱して溶融混練した後、同様の温度でTダイよ
り押出し、冷却ロール、引取機、巻取機などを経て製造
する。Tダイとしては、従来から既知のTダイのいずれ
もが使用でき、例えばマニホールド型、フィッシュテー
ル型、コートハンガー型などを挙げることができる。押
出成形機のTダイからの共重合ポリエステルの押出量を
通常5〜100kg/時間程度にし、冷却ロールの表面
温度を20〜60℃程度にし、また引き取り速度を1〜
150m/分にしておくと、ネックイン、膜揺れ、膜切
れなどを生ずることなく、透明性に優れ、厚さ斑や幅の
縮小がなく、耐衝撃性などの機械的強度、ガスバリヤー
性、耐熱性、耐薬品性、二次加工性などに優れるポリエ
ステルフイルムを円滑に得ることができるので好まし
い。
ステルフイルムを溶融押出成形する場合は、一般に、共
重合ポリエステルを押出機中で樹脂の融点より約10〜
70℃程度高い温度に加熱して溶融混練した後、同様の
温度で環状ダイより内部に空気を吹き込みながら筒状に
押出し、気体や液体を用いて筒状体の外側および/また
は内側から冷却した後、ガイド板などにより筒状フイル
ムを偏平に折り畳んで引き取り、次いで巻き取ることに
よって製造することができる。インフレーション法を行
うに当たっては、押出成形機の向き方に応じて、上向方
式、水平方式、下向方式などのいずれもが使用できる
が、上向方式が好ましく採用される。環状ダイからの共
重合ポリエステルの押出量を通常5〜100kg/時間
程度にし、冷却空気や冷却液体の温度を20〜60℃程
度にし、また引き取り速度を1〜50m/分にしてイン
フレーション法によってポリエステルフイルムを製造す
ると、ネックイン、膜揺れ、膜切れなどを生ずることな
く、透明性に優れ、厚さ斑がなく、幅寸法精度に優れ、
耐衝撃性などの機械的強度、ガスバリヤー性、耐熱性、
耐薬品性、二次加工性などに優れるポリエステルフイル
ムを円滑に得ることができるので好ましい。
に制限されず、用途などに応じて適宜変えることができ
る。一般に、ポリエステルフイルムの厚さを約2mm以
下、好ましくは1μm〜1mm程度にしておくのが、フ
イルムの製造の容易性、得られるポリエステルフイルム
の物性、二次加工や二次成形の容易性などの点から好ま
しい。ポリエステルフイルムの幅は特に制限されず、適
宜変えることができるが、Tダイ法による場合は幅が約
30〜200cm程度、インフレーション法による場合
は偏平に折り畳んだ状態での幅が約50〜150cm程
度になるようにして溶融押出成形を行うのが、押出成形
性、フイルムの取り扱い性、得られるフイルムの物性な
どの点から好ましい。
延伸フイルムであってもまたは延伸フイルムであっても
よい。延伸フイルムの場合は、溶融押出成形と同時に延
伸を行っても、または一旦製造されたフイルムを延伸
(二次加工)してもよい。溶融押出成形と同時に延伸フ
イルムを製造する場合は、通常インフレーション法によ
って環状ダイから筒状フイルムを溶融押出し、溶融状態
にある筒状フイルムを縦横両方に同時に延伸することに
よって行う。また、一旦ポリエステルフイルムを製造し
た後に延伸を行う場合は、フラットなポリエステルフイ
ルムを縦横同時に二軸延伸するか、縦方向(横方向)と
横方向(縦方向)に逐次に二軸延伸するか、或いは場合
によっては縦方向または横方向の一方向のみに一延伸す
ることができる。その際の延伸倍率は、延伸ポリエステ
ルフイルムの用途、ポリエステルフイルムに要求される
物性などに応じて決めることができる。
ステルフイルムは、必要に応じて他の基材と積層して積
層体としてもよく、その場合に積層はポリエステルフイ
ルムの製造と同時に行っても、或いは未延伸または延伸
ポリエステルフイルムを一旦製造した後に他の基材と熱
融着、接着剤による接着、溶剤による接着などを行って
積層するようにしてもよい。その際の他の基材として
は、上記の要件(i)〜(v)を備える共重合ポリエス
テル以外のポリエステルのフイルム、ポリエチレンやポ
リプロピレンなどのポリオレフィンのフイルム、ポリア
ミドフイルム、塩化ビニル系重合体フイルム、金属箔、
布帛、紙どを挙げることができる。
テルフイルム、それらと他の基材との積層体は、加熱下
に二次加工または二次成形して、各種パック類、各種カ
ップ類、採光ドームや窓、機械やその他のカバー類など
の二次加工品や二次成形品にすることができる。その際
の二次加工法または二次成形法としては、型を用いる方
法としては、例えば、真空成形法、吹込成形法、ドレイ
プ成形法、真空スナップバック成形法、加圧スナップバ
ック成形法、プラグアシスト成形、プラグアシスト吹込
成形法、プラグ成形法、加圧成形法などを挙げることが
でき、また型を用いない二次加工法や二次成形法として
はフリーブロー成形などを挙げることができる。前記し
た二次加工法や二次成形法のうちでも、特に真空成形法
が適しており、それによって例えば深さが30cm以上
もある深絞りの製品でも、フイルムの破損などを生ずる
ことなく円滑に製造することができる。
記した二次加工法や二次成形法を使用して二次加工品ま
たは二次成形品を製造するに当たっては、一般に、ポリ
エステルフイルムを100〜200℃の温度に加熱して
加工または成形を行うのが望ましい。そして、上記した
二次加工法または二次成形法のいずれによる場合でも、
本発明のポリエステルフイルムを用いることによって、
透明性、形態安定性、寸法精度、ガスバリヤー性、耐衝
撃性などの機械的特性に優れる、二次加工品または二次
成形品を円滑に得ることができる。
的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の例において、ポリエステル(共重合ポリエス
テルまたは単独重合ポリエステル)の各構造単位の含有
率およびポリエステルの物性の測定、ポリエステルフイ
ルム製造時の耐ネックイン性および耐膜揺れ性の評価、
ポリエステルフイルムの透明性および厚み斑の評価、ポ
リエステルフイルムの面衝撃強度およびガスバリヤー性
の測定、並びにポリエステルフイルムの深絞り成形性の
評価は、次のようにして行った。
含有率:ポリエステルをメタノリシスし、高速液体クロ
マトグラフィーを用いて構成成分を分離し、得られた各
成分について赤外線吸収スペクトル(IR)による定量
分析を行って各構造単位の含有率を求めた。また、重水
素トリフルオロ酢酸を溶媒としたポリエステルの1H−
NMRスペクトルにより確認した。
ルとテトラクロルエタンの等重量混合溶媒中、30℃
で、ウベローデ型粘度計(林製作所製「HRK−3
型」)を用いて測定した。
T):示差熱分析法(DSC)により、熱分析システム
(メトラー社製「メトラーTA3000」)を用いて、
280℃で溶融したポリエステルを160℃の温度まで
100℃/分の降温速度で急冷した後、160℃の温度
にそのまま保持して等温結晶化を進行させ、その間の測
定により得られた熱量対時間の曲線グラフから、等温結
晶化発熱ピークの面積が半分値に到達した時間を測定
し、160℃での半結晶化時間(秒)を求めた。
びη2):メカニカルスペクトロメーター(レオメトリ
ックス社製「RMS−800」)により、パラレルプレ
ートを用いて、ポリエステルの270℃の温度における
剪断速度0.1rad/秒での溶融粘度(η1)(ポイ
ズ)、およびポリエステルの270℃の温度における剪
断速度100rad/秒での溶融粘度(η2)(ポイズ)
をそれぞれ動的に測定した(但し参考例7は共重合ポリ
エステルが非晶状であったため210℃で測定した)。
メルトフローレイト(MFR):メルトインデクサーL
244(宝工業株式会社製)を用いて測定した。具体的
には、プレポリマーまたはポリエステル(最終生成物)
のチップを、内径9.55mm、長さ162mmのシリ
ンダーに充填し、270℃で溶融した後(但し参考例7
は共重合ポリエステルが非晶性であったため210℃で
溶融)、溶融したプレポリマーまたはポリエステルに対
して、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャ
ーによって均等に荷重をかけ、シリンダーの中央に設け
た径2.1mmのオリフィスより押出されたプレポリマ
ーまたはポリエステルの流出速度(g/10分)を測定
し、これをメルトフローレイト(MFR)とした。
g)および融点(Tm):JIS K7121に準じ
て、示差熱分析法(DSC)により、熱分析システム
「メトラーTA3000」(メトラー社製)を用いて、
昇温速度10℃/分の条件で測定した。
および冷結晶化熱量(△Hcc):JIS K7121に準
じて、示差熱分析法(DSC)により、熱分析システム
「メトラーTA3000」(メトラー社製)を用いて、
Tm+40℃の温度に試料を5分間保持した後、降温速
度5℃/分の条件で測定した。
濃度(CEG):0.2gのポリエステルを215℃に
加熱したベンジルアルコール10mlに溶解し、溶解液
にクロロホルム10mlを加え、ベンジルアルコール性
苛性ソーダを用いて滴定して末端カルボキシル基濃度を
求めた。
ルムの耐ネックイン性:溶融押出成形装置(東洋精機株
式会社製「ラボプラストミル/D2025型」)を用い
て、ポリエステルを270℃の温度でTダイより溶融押
出し(Tダイのリップの間隙500μm、幅300m
m)(但し参考例で得た共重合ポリエステルは非晶性で
あったため210℃で溶融押出)、Tダイより押出され
た溶融膜を表面温度が40℃の冷却ロールで冷却し、引
き取り速度100m/分にロールにより引き取った後、
ロールに巻取ってポリエステルフイルムを製造した。そ
の際に、Tダイから押出された直後の溶融膜の幅(W
d)とロールに巻き取られたポリエステルフイルムの幅
(Wf)をそれぞれ測定し、その比率{(Wf/Wd)
×100(%)}を求めて、耐ネックイン性の評価を行
った。前記の比率が100%に近いほどネックイン(幅
の減少)が生じておらず、耐ネックイン性が良好である
ことを示す。
膜揺れ性:上記(9)におけるのと同条件下にポリエス
テルフイルムを製造し、製膜開始から10分経って製膜
性が安定した段階で、100m/分の引き取り速度にお
ける膜揺れの回数を目視にて10分間測定し、1分間当
たりの膜揺れ回数(M)を求めた。
ネックイン性および耐膜揺れ性の総合評価:上記(9)
で得られた耐ネックイン性および上記(10)で得られ
た耐膜揺れ性の結果から、下記の表1に示す評価基準に
したがって、ポリエステルフイルム製造時の耐ネックイ
ン性および耐膜揺れ性の総合評価を行った。
(ヘイズ値):上記(9)におけるのと同条件下にポリ
エステルフイルムを製造し、それにより得られたポリエ
ステルフイルムについてASTM D1003に準じ
て、ポイック積分球式光線透過率・全光線反射率計(日
本精密光学株式会社製「SEP−HS・30D−R
型」)を用いて任意の10箇所におけるヘイズ値を測定
し、その平均値を採ってポリエステルフイルムのヘイズ
値とした。ヘイズ値が8を超えると、球晶生成による白
化のため透明性が不良となる。ヘイズ値が4以下である
ことが透明性の点から好ましい。
上記(9)におけるのと同条件下にポリエステルフイル
ムを製造し、それにより得られたポリエステルフイルム
について、押出し方向の一直線上で5cmの間隔で、押
出し方向と垂直の方向(フイルムの厚さ方向)の厚さを
10箇所測定し、10カ所の測定値のうちの最大厚と最
小厚の差(μm)を求めて、これを厚み斑とした。
評価:上記(12)で得られたポリエステルフイルムの
ヘイズ値および上記(13)で得られたポリエステルフ
イルムの厚み斑の値から、下記の表2に示す評価基準に
したがってポリエステルフイルムの外観総合評価を行っ
た。
度:上記(9)におけるのと同条件下にポリエステルフ
イルムを製造し、それにより得られたポリエステルフイ
ルムについて、その面衝撃強度をフイルムインパクトテ
スター(1インチ衝撃錘)(東洋精機株式会社製)を用
いて測定した。
ヤー性:上記(9)におけるのと同条件下にポリエステ
ルフイルムを製造し、それにより得られたポリエステル
フイルムについて、ガス透過率測定装置(MODERN
CONTOROLS社製「OXZ−TRAN10/50
A」)を使用して、温度20℃、相対湿度65%の条件
下で酸素透過係数(PO2)(単位;m1・20μm/
m2・day・atom)を測定してガスバリヤー性の
指標とした。
値):上記(9)におけるのと同条件下にポリエステル
フイルムを製造し、それにより得られたポリエステルフ
イルムを150℃に加熱して、汎用の真空成形方式の深
絞り成形機(型キャビティ=開口部直径50mm、底部
直径50mm、深さ70mmの有底円筒形)を使用し
て、厚み約20μmのカップを製造し、得られたカップ
の底部を切り取り、ASTM D1003に準じて、ポ
イック積分球式光線透過率・全光線反射率計(日本精密
光学株式会社製「SEP−HS・30D−R型」)を用
いてヘイズ値を測定した。
(17)で得られたカップ底部のヘイズ値の値およびカ
ップの品質から、下記の表3に示す評価基準にしたがっ
て深絞り成形性の総合評価を行った。
造] (1) テレフタル酸100.00重量部、エチレング
リコール48.73重量部、2,2−ビス[4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン6.25重量
部および無水トリメリット酸0.116重量部からなる
スラリーをつくり、これに二酸化ゲルマニウム0.02
0重量部、亜リン酸0.015重量部、酢酸コバルト
0.015重量部およびテトラエチルアンモニウムヒド
ロキシド0.015重量部を加えた。このスラリーを加
圧下(絶対圧2.5Kg/cm2)で250℃の温度に
加熱して、エステル化率が95%になるまでエステル化
反応を行って低重合体を製造した。続いて、1mmHg
の減圧下に、270℃の温度で前記の低重合体を溶融重
縮合させて、極限粘度0.70dl/gの共重合ポリエ
ステルのプレポリマーを生成させ、これをノズルからス
トランド状に押出して切断し、円柱状チップ(直径約
2.5mm、長さ約3.5mm)にした。このプレポリ
マーの270℃におけるメルトフローレイト(MFR)
は20g/10分であった。 (2) 次いで、上記(1)で得られた共重合ポリエス
テルのプレポリマーのチップを150℃で5時間予備乾
燥した後、転動式真空固相重合装置を用いて、0.1m
mHgの減圧下に200℃で固相重合を25時間行っ
て、高分子量化された共重合ポリエステルを得た。
エステルの各構造単位の含有率を上記した方法で測定し
たところ、共重合ポリエステルにおけるテレフタル酸単
位、エチレングリコール単位、2,2−ビス[4−(2
−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン単位、トリ
メリット酸単位、およびジエチレングリコール単位の含
有率は下記の表5に示すとおりであった。 (4) また、上記(2)で得られた共重合ポリエステ
ルの物性を上記した方法で測定したところ、下記の表5
に示すように、極限粘度は0.91dl/g、270℃
の温度におけるMFRは4.1g/10分、HTは16
00秒、270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)は8.51×104ポイズ、剪
断速度100rad/秒での溶融粘度(η2)は9.8
2×103ポイズであり、したがって(1/3)log
10(η2/η1)の値は−0.31であった。更に、上記
(2)で得られた共重合ポリエステルのガラス転移温度
(Tg)、融点(Tm)、冷結晶化度(Tcc)および冷
結晶化熱量(△Hcc)を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表5に示すように、それぞれ79℃、225
℃、135℃および9J/gであった。
製造] テレフタル酸およびエチレングリコールを下記の表5に
示す割合で使用し、これに下記の表5に示す2官能化合
物単位(a)用の2官能化合物および多官能化合物単位
(b)用の多官能化合物を表5に示す割合で用いて、参
考例1と同様にしてエステル化反応および溶融重縮合反
応を行って共重合ポリエステルのプレポリマーチップを
製造した後、下記の表5に示す温度および時間で固相重
合を行って、共重合ポリエステルをそれぞれ製造した。
得られた共重合ポリエステルにおける各構造単位の含有
量、および共重合ポリエステルの物性を実施例1と同様
にして調べたところ下記の表5に示すとおりであった。
重合ポリエステルの製造] テレフタル酸およびエチレングリコールを下記の表6に
示す割合で使用し、これに更に下記の表6に示す2官能
化合物および多官能化合物を使用しまたは使用せずに、
参考例1と同様にしてエステル化反応および溶融重縮合
反応を行って共重合ポリエステルのプレポリマーチップ
を製造した後、下記の表6に示す温度および時間で固相
重合を行って、ポリエステルまたは共重合ポリエステル
をそれぞれ製造した。得られたポリエステルまたは共重
合ポリエステルにおける各構造単位の含有量、および共
重合ポリエステルの物性を参考例1と同様にして調べた
ところ下記の表6に示すとおりであった。
よびカップの製造] (1) 溶融押出成形装置(東洋精機株式会社製「ラボ
プラストミル/2025型」)を用いて、ポリエステル
を270℃の温度でTダイより溶融押出し(Tダイのリ
ップの間隙500μm、幅300mm)、Tダイより押
出された溶融膜を表面温度が40℃の冷却ロールで冷却
し、引き取り速度100m/分にロールにより引き取っ
た後、ロールに巻取って厚さが約50μmのポリエステ
ルフイルムを製造して、押出製膜時の耐ネックイン性、
耐膜揺れ性、およびそれらの総合評価を上記した方法で
行った。 (2) また、上記(1)で得られたポリエステルフイ
ルムについて、透明性(ヘイズ値)、厚み斑、外観総合
評価、面衝撃強度およびガスバリヤー性を上記した方法
で測定または評価したところ、下記の表7に示すとおり
であった。 (3) 上記(1)で得られたポリエステルフイルムを
150℃に加熱して、汎用の真空成形方式の深絞り成形
機(型キャビティ=開口部直径50mm、底部直径50
mm、深さ70mmの有底円筒形)を使用して、厚み約
20μmのカップを製造し、得られたカップについて、
その透明性(ヘイズ値)の測定および深絞り成形性の評
価を上記した方法で行ったところ、下記の表7に示すと
おりであった。
およびカップの製造] 共重合ポリエステルとして、参考例2〜4で得られたも
のを用いた以外は実施例1と同様にしてポリエステルフ
イルムを製造し、各実施例における押出製膜時の耐ネッ
クイン性、耐膜揺れ性およびそれらの総合評価、それぞ
れの実施例で得られたポリエステルフイルムの透明性
(ヘイズ値)、厚み斑、外観総合評価、面衝撃強度およ
びガスバリヤー性の測定または評価を実施例1と同様に
して行ったところ、下記の表7に示すとおりであった。
ポリエステルまたは共重合ポリエステルを用いた以外は
実施例1と同様にしてポリエステルフイルムを製造し
た。ただし、参考例7で得られた共重合ポリエステルは
非晶性であったので、この共重合ポリエステルを用いた
比較例3では210℃で溶融押出成形を行った。そし
て、各比較例における押出製膜時の耐ネックイン性、耐
膜揺れ性およびそれらの総合評価、それぞれの比較例で
得られたポリエステルフイルムの透明性(ヘイズ値)、
厚み斑、外観総合評価、面衝撃強度およびガスバリヤー
性の測定または評価を実施例1と同様にして行ったとこ
ろ、下記の表7に示すとおりであった。
略号で示しているが、略号の内容は下記の表4に示すと
おりである。
とエチレングリコール単位から主としてなる共重合ポリ
エステルであって、しかも共重合ポリエステルの全構造
単位の合計モル数に基づいて、テレフタル酸単位および
エチレングリコール単位以外の2官能化合物単位(a)
を2〜30モル%の範囲で有し、多官能化合物単位
(b)を0.005〜1モル%の範囲で有し、示差分析
計で測定した160℃における半結晶化時間が1500
〜3500秒の範囲にあり、しかも270℃の温度にお
ける剪断速度0.1rad/秒での溶融粘度(η1)が
5×104〜2×105ポイズの範囲で且つ270℃の温
度における剪断速度100rad/秒での溶融粘度(η
2)が8×103〜2×104ポイズの範囲であり、(1
/3)log10(η2/η1)の値が上記の数式を満足
しており、したがって上記の要件(i)〜(v)のすべ
てを満たしている参考例1〜4の共重合ポリエステルを
用いてフイルムを製造している実施例1〜4では、良好
な耐ネックイン性、耐膜揺れ性でポリエステルフイルム
を円滑に製造することができ、しかもそれにより得られ
たポリエステルフイルムは、ヘイズ値が小さくて透明性
に優れ、厚み斑が小さく、面衝撃強度が大きくて耐衝撃
性に優れ、ガスバリヤー性にも優れていて、極めて高い
品質を有していることがわかる。さらに、表7における
実施例1〜4の結果から、実施例1〜4で得られるその
ような高品質のポリエステルフイルムを用いて深絞り成
形などの二次加工を行うと、透明性および形態性、寸法
精度などに優れる高品質の二次加工品が円滑に得られる
ことがわかる。
ら、上記の要件(i)、(ii)および(iv)を備えてい
るが、多官能化合物単位(b)を有していないため要件
(iii)を満たしておらず、しかも溶融粘度(η1)およ
び溶融粘度(η2)の値並びに(1/3)log10(η2
/η1)が上記の数式の範囲から外れていて要件
(v)を満たしていない参考例5の共重合ポリエステル
を用いてポリエステルフイルムを製造している比較例1
による場合は、押出製膜時のネックインおよび膜揺れが
大きくて、溶融押出成形が劣っており、しかも得られる
ポリエステルフイルムはそのヘイズ値が6で透明性に劣
り、厚み斑も大きくて、フイルムの品質が低いことがわ
かる。そして、そのような低品質の比較例1のポリエス
テルフイルムを用いて深絞り成形のような二次加工を行
っても、良好な二次加工品が得られないことがわかる。
要件(i)、(iii)および(v)を満たしているが、
テレフタル酸単位およびエチレングリコール単位以外の
2官能化合物単位(a)を有しておらず上記の要件(i
i)を満たしておらず、半結晶化時間が200秒であっ
て上記の要件(iv)をも満たしていない参考例6の共重
合ポリエステルを用いてポリエステルフイルムを製造し
ている比較例2の場合は、溶融押出成形時の結晶化が抑
制されていないために、得られるポリエステルフイルム
のヘイズ値が9で透明性に劣り、フイルムの面衝撃強度
が小さくて耐衝撃性に劣っていることがわかる。そし
て、そのような低品質の比較例2のポリエステルフイル
ムを用いて深絞り成形のような二次加工を行っても、透
明性に劣る不良な二次加工品しか得られないことがわか
る。
の要件(i)および(ii)を満たしているが、多官能化
合物単位(b)を有しておらず上記の要件(iii)を満
たしておらず、半結晶化時間が実質的に測定不能で上記
の(iv)を満たしておらず、しかも溶融粘度(η1)お
よび溶融粘度(η2)が本発明で規定する上記の範囲か
ら外れていて上記の要件(v)をも満たしていない参考
例7の共重合ポリエステルを用いてポリエステルフイル
ムを製造している比較例3による場合は、押出製膜時の
膜揺れが大きくて得られるポリエステルフイルムの厚み
斑が大きいこと、しかもそのポリエステルフイルムは面
衝撃強度が小さくで耐衝撃性に劣っていること、ポリエ
ステル樹脂本体の結晶化度を失っているためにポリエス
テルフイルムのガスバリヤー性が著しく劣っていること
がわかる。そして、そのような低品質の比較例3のポリ
エステルフイルムを用いて深絞り成形のような二次加工
を行っても、良好な二次加工品が得られないことがわか
る。
フタル酸単位およびエチレングリコール単位以外の2官
能化合物単位(a)と多官能化合物単位(b)を有して
いないため上記の要件(ii)および(iii)を満たして
おらず、しかも半結晶化時間が210秒であって上記の
要件(iv)を満たしておらず、さらに溶融粘度(η2)
が本発明で規定する範囲から外れ且つ(1/3)log
10(η2/η1)の値が上記の数式から外れていて要件
(v)を満たしていない参考例4のポリエステルを用い
てポリエステルフイルムを製造している比較例4による
場合は、押出製膜時のネックインと膜揺れが著しくて、
ポリエステルフイルムの厚み斑が大きいこと、しかもそ
のポリエステルフイルムはヘイズ値が大きくて透明性に
劣っていること、面衝撃強度が小さくで耐衝撃性にも劣
っていることがわかる。そして、そのような低品質の比
較例4のポリエステルフイルムを用いて深絞り成形のよ
うな二次加工を行っても、良好な二次加工が得られない
ことがわかる。
合ポリエステルを用いて形成されている本発明のポリエ
ステルフイルムは、厚み斑がなくて且つ透明性に優れて
いるために外観が良好であり、しかも耐衝撃性、ガスバ
リヤー性、耐熱性、耐薬品性、触感などの特性にも優れ
ていて、極めて高い品質を有している。そして、上記の
要件(i)〜(v)を満たす共重合ポリエステルを用い
て溶融押出成形によってポリエステルフイルムを製造す
る本発明の方法による場合は、押出製膜時のネックイン
や膜揺れを防止しながら、高い引き取り速度で、上記し
た優れた諸特性を備えるポリエステルフイルムを、高い
生産性で円滑に製造することができ、その結果得られる
ポリエステルフイルムは厚み斑、幅寸法の縮小などが極
めて小さい。更に上記した優れた諸特性を有する本発明
のポリエステルフイルムは、その特性を活かして延伸、
深絞り成形、その他の二次加工や二次成形を行って、パ
ック類、カップ類、カバー類、積層体を初めとして種々
の製品にすることができ、それにより得られる二次加工
品や二次成形品は、透明性、製品外観、寸法精度、耐衝
撃性、ガスバリヤー性、耐熱性、耐薬品性等の諸特性に
おいて優れている。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記の要件(i)〜(v); (i) テレフタル酸単位およびエチレングリコール単
位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する共重合
ポリエステルである; (ii) テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位、エ
チレングリコール単位以外のジオール単位およびヒドロ
キシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の2官
能化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構造単
位の合計モル数に基づいて、2〜30モル%の割合で有
する; (iii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構造単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有す
る; (iv) 160℃における半結晶化時間が1500〜3
500秒の範囲である;並びに、 (v) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜2×105ポイ
ズであり、270℃の温度における剪断速度100ra
d/秒での溶融粘度(η2)が8×103〜2×104ポ
イズであり、且つ溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)が下記の数式を満足する; 【数1】 −0.7≦(1/3)log10(η2/η1)≦−0.2 を有する共重合ポリエステルよりなることを特徴とする
ポリエステルフイルム。 - 【請求項2】 共重合ポリエステル中の2官能化合物単
位(a)が、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加
物から誘導される構造単位である請求項1のポリエステ
ルフイルム。 - 【請求項3】 共重合ポリエステル中の2官能化合物単
位(a)が、1,4−シクロヘキサンジメタノールから
誘導される構造単位である請求項1のポリエステルフイ
ルム。 - 【請求項4】 共重合ポリエステル中の多官能化合物単
位(b)が、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロ
メリット酸から選ばれる少なくとも1種の多官能化合物
から誘導される構造単位である請求項1〜3のいずれか
1項のポリエステルフイルム。 - 【請求項5】 下記の要件(i)〜(v); (i) テレフタル酸単位およびエチレングリコール単
位から主としてなり且つ他の共重合単位を有する共重合
ポリエステルである; (ii) テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位、エ
チレングリコール単位以外のジオール単位およびヒドロ
キシカルボン酸単位から選ばれる少なくとも1種の2官
能化合物単位(a)を、共重合ポリエステルの全構造単
位の合計モル数に基づいて、2〜30モル%の割合で有
する; (iii) カルボキシル基、ヒドロキシル基および/ま
たはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能
化合物の少なくとも1種から誘導される多官能化合物単
位(b)を、共重合ポリエステルの全構造単位の合計モ
ル数に基づいて、0.005〜1モル%の割合で有す
る; (iv) 160℃における半結晶化時間が1500〜3
500秒の範囲である;並びに、 (v) 270℃の温度における剪断速度0.1rad
/秒での溶融粘度(η1)が5×104〜2×105ポイ
ズであり、270℃の温度における剪断速度100ra
d/秒での溶融粘度(η2)が8×103〜2×104ポ
イズであり、且つ溶融粘度(η1)および溶融粘度
(η2)が下記の数式を満足する; 【数2】 −0.7≦(1/3)log10(η2/η1)≦−0.2 を有する共重合ポリエステルを用いて溶融押出成形を行
ってポリエステルフイルムを製造する方法。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項のポリエス
テルフイルムを用いて二次加工または二次成形を行う方
法。 - 【請求項7】 請求項6の方法により得られる二次加工
品または二次成形品。
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