JP3453135B1 - 銀杏加工方法 - Google Patents

銀杏加工方法

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JP3453135B1
JP3453135B1 JP2002335435A JP2002335435A JP3453135B1 JP 3453135 B1 JP3453135 B1 JP 3453135B1 JP 2002335435 A JP2002335435 A JP 2002335435A JP 2002335435 A JP2002335435 A JP 2002335435A JP 3453135 B1 JP3453135 B1 JP 3453135B1
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Abstract

【要約】 【課題】 加工中に略全ての銀杏の殻が自然に割れ、そ
の後の加熱調理時に殻や実が破裂せず、しかも風味や色
合いという銀杏の品質も低下しにくい銀杏加工方法およ
び加工銀杏を提供する。 【解決手段】 殻と実との隙間から空気を抜いた後(図
1(b))、殻と実との隙間に水を侵入させ(図1
(d))、次にこれを冷凍し(図1(f))、殻と実と
の隙間の水を凍らせて水が氷結するときの体積膨張力を
利用し、殻を内側から割るので、加工中に略全ての銀杏
の殻が自然に割れ、その後の加熱調理時に殻や実が破裂
せず、しかも冷凍品であるので風味や色合いという銀杏
の品質も低下しにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は銀杏加工方法、詳
しくは加工途中で銀杏の殻が自然に割れ、加熱調理時に
殻や実が破裂せず、しかも風味や色合いといった銀杏の
品質も低下しにくい銀杏加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例年、銀杏は9月上旬から11月下旬に
かけて、生の食材として市場に出回る。居酒屋などの飲
食店では、その秋期に限定し、銀杏料理をメニューに加
えているところが多い。生の銀杏の賞味期限は、冷蔵庫
による保存でも、殻付きや剥き実に関係なく1週間程度
である。銀杏は、殻付きの方が風味(味、香りなど)、
色合い、食感などが良い。そのことは一般的に知られて
いる。ところで、銀杏の賞味期限を長くし、年間にわた
って銀杏料理を楽しめるように、従来、水煮の銀杏が市
販されている。例えば銀杏の実を水煮し、それを缶に詰
めたり瓶に詰めたりした商品、その他、水煮の実をレト
ルトパックに密封した商品などがそれである。
【0003】また、例えば特許文献1の「鞘付の冷凍味
付枝豆およびその製造方法」などの食品に対するブラン
チング処理後の冷凍技術を応用して、銀杏の実をブラン
チング処理し、それを冷凍パックに詰めることも考えら
れる。
【0004】
【特許文献1】 特開平8−242799号公報
【0005】ブランチング処理とは、食品(ここでは銀
杏)を冷凍保存する際に施される加熱処理の一種であ
る。具体的には、銀杏の殻を剥き、その実を5〜10分
間湯通しする。こうして、銀杏の実の80〜90%が加
熱処理(ボイル)される。言い換えれば、銀杏は完全に
は熱処理されないまま冷凍される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の銀杏加工方法などによれば、水煮または冷凍用
のブランチング処理の何れであっても、銀杏の実は熱湯
で加熱処理される。そのため、水煮後の銀杏および冷凍
して解凍した銀杏は、銀杏特有の風味、色合い、食感な
どが低下していた。また、このように水煮やブランチン
グ処理された銀杏は、加熱処理時、熱湯の中に所定時間
だけ浸漬される。その結果、その実は多くの細胞壁が破
壊されていた。これにより、例えば銀杏の串焼きを作る
ため、水煮後の銀杏または冷凍して解凍した銀杏に竹串
を刺すと、銀杏に亀裂が入り、簡単に割れてしまう。よ
って、串焼き銀杏の歩留りが低下する。
【0007】そこで、銀杏を熱湯で加熱処理せず、殻が
付いた生のまま冷凍することも考えられる。しかしなが
ら、この方法では、解凍後、殻付きの銀杏を例えばグリ
ルの炎や炭火などで炙って焼き処理した際、生の銀杏の
場合と同様に、殻や実が破裂するおそれがあった。ま
た、殻の一部分に亀裂が入らなかった際には、ハンマや
ペンチなどで殻を割らなければならない。そのため、手
間を要するとともに、この殻割り時にハンマなどで実を
押し潰すおそれもあった。また、殻付き銀杏を焼き処理
する別の方法として、解凍後、まず銀杏の殻を割ってか
ら、実を炙る方法も考えられる。しかしながら、この方
法では、炙りの最中に、実が破裂してしまうおそれがあ
る。そこで、発明者は、この現象について鋭意研究した
結果、一部の銀杏の実の中心部には空洞が存在し、この
空洞の内部空気が加熱処理中に体積膨張して、このよう
な実単独での破裂現象が発生することを突き止めた。
【0008】
【発明の目的】この発明は、加工中に略全ての銀杏の殻
が自然に割れ、その後の加熱調理時に殻や実が破裂せ
ず、しかも風味や色合いという銀杏の品質も低下しにく
い銀杏加工方法および加工銀杏を提供することを、その
目的としている。また、この発明は、加熱調理時に実が
破裂しない加工銀杏を提供することを、その目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、殻付き銀杏の殻と実との隙間から空気を抜く空気抜
き工程と、この空気抜き後、前記殻と実との隙間に水を
侵入させる水侵入工程と、水が侵入した殻付き銀杏を冷
凍し、この殻と実との隙間の水を凍らせ、水が氷結する
ときの体積膨張力により、前記殻を内側から割る冷凍工
程とを備えた銀杏加工方法である。殻と実との隙間から
空気を抜く方法は限定されない。例えば、95〜98℃
の熱湯に1〜3分間程度殻付き銀杏を浸漬する。また、
殻付き銀杏を真空室(負圧室)に収納し、多孔質の殻を
通して、殻と実との隙間から空気を吸い出してもよい。
この真空を利用した場合、空気抜きを短時間で確実に行
うことができる。しかも、例えば真空状態を維持したま
ま、次の水侵入工程として銀杏を水に浸漬すれば、あら
かじめ殻と実との隙間が負圧化されているので、その隙
間への水の侵入時間が短縮し、しかも水の侵入も確実に
なる。殻と実との隙間に、水を侵入させる方法は限定さ
れない。例えば、冷水に所定時間だけ浸漬してもよい。
殻付きの銀杏の冷凍方法は限定されない。例えば、殻付
き銀杏を−30℃前後で急速冷凍してもよい。殻付き銀
杏の保存は−18℃以下とし、この温度で殻付き銀杏ま
たはその剥き実を市場に流通させる。
【0010】請求項2に記載の発明は、前記空気抜き工
程では、殻付き銀杏を高温の水に接触させることによ
り、この殻と実との隙間から空気を抜く請求項1に記載
の銀杏加工方法である。殻付き銀杏に接触させる高温の
水は限定されない。例えば熱湯、スチームでもよい。接
触方法としては、殻付き銀杏を熱湯に浸漬したり、スチ
ーム室に収納したりする。何れの場合にも、短時間の接
触となる。具体的には1〜3分間、特に1分間前後が好
ましい。このように、高温の水との接触時間を短くする
のは、高温の水との接触により銀杏の実の細胞壁を破壊
しないためである。破壊されると、銀杏を調理する際に
型崩れしやすい。しかも、調理時間の調整がむずかしく
なり、例えば焼き処理する際、表面に部分的な焦げが発
生したり、固くなるおそれがある。
【0011】請求項3に記載の発明は、前記水侵入工程
では、前記空気抜きされた殻付き銀杏を水に浸漬する請
求項1または請求項2に記載の銀杏加工方法である。水
の温度は、例えば1〜3℃である。殻付き銀杏の水への
浸漬時間は、例えば24時間程度以上である。
【0012】請求項4に記載の発明は、前記空気抜き工
程の前に、前記殻付き銀杏を水に浸漬し、比重差により
殻付き銀杏の良品と不良品とを選別して、この不良品を
排除しておく請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項
に記載の銀杏加工方法である。不良品としては、例えば
発育不良の銀杏、割れた銀杏、劣化した銀杏、虫食いの
銀杏、さらには収穫から日数が経ち過ぎて実が痩せた銀
杏などが挙げられる。これらは、良品の銀杏とは異な
り、水よりも比重が小さい。そのため水面付近に浮く。
【0013】請求項5に記載の発明は、前記冷凍後の殻
付き銀杏を解凍し、その後、この殻付き銀杏を、実に焦
げ目が付かない加熱条件で焼き処理する請求項1〜請求
項4のうちのいずれか1項に記載の銀杏加工方法であ
る。銀杏の解凍は、流水または冷水により行ってもよ
い。また、室内または冷蔵庫内で自然解凍してもよい。
銀杏の実に焦げ目を付けない加熱条件は限定されない。
例えば、解凍後の殻付き銀杏を、炉内温度が常温〜15
0℃の熱処理炉に入れ、次いでヒータまたはバーナなど
により設定温度200℃まで徐々に昇温させる。加熱時
間は3分30秒〜6分間である。その後、お湯または冷
水に浸漬し、それから殻を外して1〜3℃で保存する。
または、剥き実の銀杏を市場に流通させてもよい。
【0014】請求項6に記載の発明は、焼き処理後、実
から殻を外し、この実を再び冷凍する請求項5に記載の
銀杏加工方法である。殻を外した後、例えば銀杏の実
を、−18℃以下に保持して流通させてもよい。
【0015】請求項7に記載の発明は、前記焼き処理
後、この実の表面の一部に、この実の中心部に存在する
空洞まで達した空気抜き孔を穿孔する請求項5または請
求項6に記載の銀杏加工方法である。空気抜き孔の大き
さは限定されない。例えば直径0.8〜1.5mmであ
る。空気抜き孔を形成する方法も限定されない。例え
ば、妻楊枝または竹串などを銀杏の実に突き刺す。空気
抜き孔の形成数は限定されない。少なくとも1つあれば
よい。
【0016】
【作用】請求項1に記載の銀杏加工方法によれば、殻付
き銀杏の殻と実との隙間から空気を抜き、その後、殻と
実との隙間に水を侵入させる。続いて、水が侵入した殻
付き銀杏を冷凍し、この隙間に存在する水を凍らせる。
その際、水が氷結するときの体積膨張力により、殻が内
側から割れる。これにより、加工中に銀杏の殻が自然に
割れ、その後の加熱調理時に殻や実が破裂せず、しかも
冷凍されるので、風味や色合いといった銀杏の品質も低
下しにくい。
【0017】特に、請求項2に記載の銀杏加工方法によ
れば、殻付きの銀杏に高温の水を接触させ、殻と実との
隙間から空気を抜く。このとき、高温の水の熱により殻
と実との隙間に存在する空気、および、実に含まれる空
気の運動が激しくなり、多孔質の殻をこの空気が通過す
る。それと入れ代わるように外部から水が隙間に侵入す
る。ただし、ボイルによる剥き実の細胞壁の破壊を防止
するため、水との接触時間は短く設定される場合が多い
ことから、全ての銀杏の隙間全体に水が満たされるわけ
ではない。また、このようにボイルすることで、例えば
銀杏の殺菌効果、剥き実の内部の酸化酵素を不活性化さ
せて品質低下を防止する効果、加熱による組織軟化を促
して氷結時の細胞壁の破壊を防止するなど、公知のブラ
ンチング処理と同じ効果が得られる。また、殻のままボ
イルするため、銀杏の風味を保ち、ボイル中の実の傷付
きや割れ、実への熱の伝わりを一定にすることができ
る。
【0018】請求項3に記載の銀杏加工方法によれば、
空気抜きされた殻付き銀杏を水に浸漬する。あらかじめ
空気抜きを施しているので、略全ての銀杏に対して、殻
を介して、殻と実との隙間の全域に水を侵入させること
ができる。高温の水を利用して空気抜きされた銀杏の場
合、銀杏を水に浸漬する前に、流水または冷水を使用し
て銀杏を常温まで冷却した方が好ましい。
【0019】請求項4に記載の銀杏加工方法によれば、
空気抜き工程の前に、殻付き銀杏を水に浸漬する。発育
不良の銀杏、割れた銀杏、虫食いの銀杏、さらには収穫
から日数が経ち過ぎて実が痩せた銀杏は、良品の銀杏よ
りも比重が小さく水に浮く。よってその比重差により銀
杏の良品と不良品とを選別することができる。ここで不
良品と判断された銀杏を、空気抜きされる銀杏の中から
あらかじめ排除しておく。このように、あらかじめ不良
品を除去しておくことで、この発明で処理した銀杏は、
冷凍工程でより100%に近い割合で殻を割ることがで
きる。その結果、選別しない場合よりも、加工銀杏の歩
留りを高めることができる。
【0020】請求項5に記載の銀杏加工方法によれば、
殻付き銀杏を解凍した後、実に焦げ目が付かない加熱条
件でこの殻付き銀杏を焼き処理する。解凍直後の銀杏に
は、通常、その殻の内面および実の表面に多少の水分が
残っている。そのため、焼き処理時、実を均一に加熱処
理することができる。すなわち、銀杏の細胞を膨張さ
せ、適度な硬さや弾性力を与えることができる。しか
も、焼き処理による焼きムラや焦げまたは実そのものの
破損、割れなどを防ぐことができる。
【0021】請求項6に記載の銀杏加工方法によれば、
焼き処理後、実から殻を外し、この実を再び冷凍する。
焼き処理を施すことで殻の割れは増大する。そのため、
殻剥き時に殻が剥きやすい。
【0022】請求項7に記載の銀杏加工方法によれば、
前記焼き処理後、実の表面の一部に、実の中心部に存在
する空洞まで達した空気抜き孔を穿孔する。これによ
り、銀杏の焼き処理時、実の中心部に存在する空洞の内
部空気が体積膨張しても、この内部空気は空気抜き孔を
通過して外部に排出される。その結果、この焼き処理に
伴う実の破裂を防ぐことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
参照して説明する。図1は、この発明の一実施例に係る
銀杏加工方法を示すフローシートである。図1に示すよ
うに、この実施例にあっては、原料選別、空気抜き、冷
却、水侵入、水切り、冷凍、解凍、水切り、焼き処理、
殻剥き、選別、串刺し、冷凍(保存)、包装・箱詰め・
検査、出荷の各工程を経て、加工銀杏が製造されて市場
に出回る。以下、各工程を詳細に説明する。まず、原料
入荷後、殻付きの銀杏を水に浸漬し、比重差により良品
と不良品とを選別する(図1(a))。発育不良の銀
杏、割れた銀杏、劣化した銀杏、虫食いの銀杏、その
他、収穫から日数が経ち過ぎて実が痩せた銀杏などは、
良品の銀杏よりも比重が小さい。そのため、水の中に投
入すると、水面付近まで浮き上がる。その後、この不良
品の銀杏を掬い取る。実が詰まった良品の銀杏は、比重
が水より重く、水面下深く沈んでしまう。
【0024】次に、良品の銀杏に対して、殻と実との隙
間から空気を抜く(図1(b))。具体的には、殻付き
の銀杏を95〜98℃の熱湯に1分間浸漬する。殻付き
のままボイルするので、銀杏の風味を保ち、ボイル中に
発生する実の傷、割れを防ぎ、実への熱の伝わりを均一
にすることができる。銀杏の浸漬時間が短いので、実の
細胞壁を破壊しにくい。この細胞壁が破壊されると、出
荷先で銀杏を調理する際に型崩れしやすい。しかも、加
熱調理するときに調理時間の設定がむずかしく、例えば
炙り焼きする際、表面に部分的な焦げが発生したり、固
くなるおそれがある。この空気抜き工程でも、殻と実と
の隙間に水が侵入してくる。ただし、隙間の全域が水で
満たされる銀杏は、全体の80〜90%である。したが
って、仮に、次の水侵入工程を省き、このまま殻付き銀
杏を冷凍すると、10〜20%の銀杏において、冷凍に
より殻が割れないという不具合が生じる。次いで、空気
抜きされた殻付きの銀杏を常温近くまで冷やす(図1
(c))。冷却方法としては、流水に晒したり、冷水に
漬ける。
【0025】その後、殻と実とのあいだの隙間に水を侵
入させる(図1(d))。すなわち、1〜3℃の冷水に
24時間以上浸漬する。あらかじめ銀杏は殻付きのまま
熱湯に漬けられて空気抜きが施される。これにより、ボ
イルによって殻の中の実が組織軟化し、続いて冷水に漬
けることで水分が殻と実との隙間に侵入する。その結
果、略100%に近い銀杏において、殻と実との隙間の
全域に水を侵入させることができる。続いて、ボイルさ
れた殻付き銀杏を水切りする(図1(e))。ここでの
水切りは容易なものでよい。水分を取りすぎると、凍結
時に殻が割れた部分から露出した実の一部分が乾燥し、
劣化しやすくなるからである。
【0026】次に、水切りされた殻付き銀杏を−30℃
前後で急速冷凍する(図1(f))。これにより、殻と
実との隙間に存在する水が氷結し、このときの水の体積
膨張力により、略全ての銀杏の殻が自然に内側から押し
割られる。その際、あらかじめ空気抜き工程でのボイル
により、銀杏の実に組織軟化が施されている。これによ
り、冷凍に伴う実の細胞破壊(品質低下)を防ぐことが
できる。得られた殻付きの冷凍銀杏は、例えば1〜2k
gずつ袋または容器に密封し、保存したり、食材として
流通させてもよい。このように銀杏を密封するのは、外
気との接触による実の乾燥および劣化を防ぐためであ
る。
【0027】図1(g)に示す解凍時には、凍った殻付
き銀杏を冷水に漬けて解凍する。または、流水に晒して
解凍する。冷凍銀杏は、氷結したまま調理が可能である
が、食感に少し違いが生じる。よって、このように自然
解凍してから調理(例えば炙り焼き)した方が好まし
い。自然解凍すれば、生の銀杏と略同じ時間またはそれ
より若干早く調理できる。解凍後、殻付き銀杏を水切り
する(図1(g))。ここでの水切りは、図1(e)の
水切り時よりもしっかりと施す。これは、次の銀杏の焼
き処理に影響をおよぼすためである。焼き処理工程で
は、殻付きの銀杏を実に焦げ目が付かない加熱条件で、
徐々に温度を高めながらオーブンで焼き処理する(図1
(i))。設定温度は200℃である。ここで、実際に
熱処理試験を行った結果を報告する。試験例1は焼き処
理開始時のオーブンの室内温度が30℃、試験例2は1
50℃である。このときの加熱時間とオーブンの室内温
度との関係を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1から明らかなように、初期の室内温度
が30℃の場合には、室内温度が200℃に達するまで
5分かかった。これに対して、初期の室内温度が150
℃の場合、3分30秒という短時間で設定温度まで達し
た。何れの場合でも、銀杏の焼き具合は良好であった。
解凍直後の銀杏には、その殻の内面および実の表面に多
少の水分が付着している。そのため、焼き処理時、殻の
中で銀杏を均一に加熱処理することができる。すなわ
ち、銀杏の実はあらかじめ組織軟化されている。そのた
め、焼き処理時には細胞が組織破壊を起こさず膨張す
る。よって、剥き実に適度な硬さや弾性力を与えること
ができる。しかも、剥き実は殻に包まれた状態で焼かれ
る。そのため、焼きムラや焦げ、焼き処理中の剥き実の
破損、割れなどを防ぐことができる。
【0030】焼き処理後、殻を剥く(図1(j))。冷
凍時に生じた殻の割れは焼き処理により大きくなってい
る。そのため、殻剥き時に殻が剥きやすい。得られた剥
き実からしぶ皮を剥がすかは任意である。次に、大きさ
の規格などを基準にし、剥き実を選別する(図1
(k))。その後、剥き実に竹串を刺し、串刺し銀杏の
下ごしらえをする(図1(l))。次いで、この串刺し
された銀杏を−18℃以下で再び冷凍し、この温度を保
持して各種の検査を行った後、包装、箱詰めして出荷す
る(図1(n),図1(o))。
【0031】このように、殻と実との隙間から空気を抜
き、その後、この隙間に水を侵入させて冷凍し、前記隙
間の水を凍らせることで水が氷結するときの体積膨張力
により殻を割るようにしたので、加工中に略全ての銀杏
の殻が自然に割れる。しかも、その後の加熱調理時に殻
や実が破裂せず、さらに冷凍品であるので風味や色合い
といった銀杏の品質も低下しにくい。また、殻付きの銀
杏に高温の水を接触させ、殻と実との隙間から空気を抜
くので、簡単な作業で空気抜きを行うことができる。さ
らに、空気抜きされた銀杏を水に浸漬するので、殻を通
して、殻と実との隙間の略全域に水を侵入させることが
できる。次に、空気抜き工程の前に、殻付きの銀杏を水
に浸漬し、その比重差により良品と不良品とを選別する
ので、最終的に得られる加工銀杏の歩留りを高めること
ができる。
【0032】それから、解凍後の銀杏を殻付きのまま焼
き処理するので、実に焦げ目を付けずに均一に焼き処理
することができる。しかも、焼きムラや焦げ、または実
の破損、割れなどを防ぐことができる。また、焼き処理
時に殻の割れが増大するので、続く殻剥き時に殻が剥き
やすくなる。さらには、この剥き実の一部に、内部の空
洞まで達する空気抜き孔を穿孔してもよい。これによ
り、炙り焼きなどの調理中に実が破裂しにくい。すなわ
ち、焼き処理時に、実の中心部に存在する空洞の内部空
気が体積膨張しても、この内部空気は空気抜き孔を通過
して外部に排出される。そのため、実の破裂を防ぐこと
ができる。
【0033】
【発明の効果】請求項1に記載の銀杏加工方法によれ
ば、殻付き銀杏の殻と実との隙間から空気を抜いた後、
殻と実との隙間に水を侵入させ、次にこれを冷凍し、殻
と実との隙間の水を凍らせて水が氷結するときの体積膨
張力を利用し、殻を内側から割るので、加工中に略全て
の銀杏の殻が自然に割れ、その後の加熱調理時に殻や実
が破裂せず、しかも冷凍品であるので風味や色合いとい
う銀杏の品質も低下しにくい。
【0034】特に、請求項2に記載の銀杏加工方法によ
れば、殻付きの銀杏に高温の水を接触させ、殻と実との
隙間から空気を抜くので、簡単な作業で空気抜きを行う
ことができる。
【0035】請求項3に記載の銀杏加工方法によれば、
空気抜きされた銀杏を水に浸漬するので、殻を通して、
殻と実との隙間の略全域に水を侵入させることができ
る。
【0036】請求項4に記載の銀杏加工方法によれば、
空気抜き工程の前に、殻付きの銀杏を水に浸漬し、その
比重差により良品と不良品とを選別するので、最終的に
得られる加工銀杏の歩留りを高めることができる。
【0037】請求項5に記載の銀杏加工方法によれば、
解凍後の銀杏を殻付きのまま焼き処理するので、実に焦
げ目を付けずに均一に焼き処理することができる。しか
も、焼きムラや焦げ、または実の破損、割れなどを防ぐ
ことができる。
【0038】請求項6に記載の銀杏加工方法によれば、
焼き処理を施すことで殻の割れが増大するので、続く殻
剥き時に殻を剥きやすい。
【0039】請求項7に記載の銀杏加工方法によれば
焼き処理後、剥き実の一部に、内部の空洞まで達した空
気抜き孔を穿孔するので、剥き実の焼き処理時に、実の
破裂を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る銀杏加工方法を示す
フローシートである。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 殻付き銀杏の殻と実との隙間から空気を
    抜く空気抜き工程と、この空気抜き工程の後、 前記殻付き銀杏の殻と実との隙
    間に水を侵入させる水侵入工程と、 水が侵入した殻付き銀杏を冷凍し、この殻と実との隙間
    の水を凍らせ、水が氷結するときの体積膨張力により、
    前記殻を内側から割る冷凍工程とを備えた銀杏加工方
    法。
  2. 【請求項2】 前記空気抜き工程では、殻付き銀杏を高
    温の水に接触させることにより、この殻と実との隙間か
    空気を抜く請求項1に記載の銀杏加工方法。
  3. 【請求項3】 前記水侵入工程では、前記空気抜きされ
    た殻付き銀杏を水に浸漬する請求項1または請求項2に
    記載の銀杏加工方法。
  4. 【請求項4】 前記空気抜き工程の前に、前記殻付き銀
    杏を水に浸漬し、比重差により銀杏の良品と不良品とを
    選別して、この不良品を排除しておく請求項1〜請求項
    3のうちのいずれか1項に記載の銀杏加工方法。
  5. 【請求項5】 前記冷凍後の殻付き銀杏を解凍し、その
    後、この殻付き銀杏を、実に焦げ目が付かない加熱条件
    で焼き処理する請求項1〜請求項4のうちのいずれか1
    項に記載の銀杏加工方法。
  6. 【請求項6】 この焼き処理後、実から殻を外し、この
    実を再び冷凍する請求項5に記載の銀杏加工方法。
  7. 【請求項7】 前記焼き処理後、その実の表面の一部
    に、この実の中心部に存在する空洞まで達した空気抜き
    孔を穿孔する請求項5または請求項6に記載の銀杏加工
    方法。
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