JP3429749B2 - ポリオレフィン系樹脂複合発泡体からなる畳芯材およびそれを用いる薄畳 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂複合発泡体からなる畳芯材およびそれを用いる薄畳

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JP3429749B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂複合発泡体からなる畳芯材およびそれを用いて構成
される薄畳に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の住宅設計分野においては、和洋折
衷型住宅として和室と洋室との間に段差のない所謂バリ
アフリータイプの住宅が注目されている。しかし、和室
に用いる従来の畳(厚畳)は55mm程度の厚みを有し
ているため、5〜20mm程度の厚みが主流の洋室用床
材を用いる洋室と和室との間の段差をなくすためには、
和室の大引きを下げたり、洋室の床下地の嵩を上げたり
等の施工上の対策を施す必要があり、施工作業が非常に
煩雑になるという問題点がある。
【0003】上記問題点に対応するため、従来の厚畳に
代替して、最近では厚みが7〜30mm程度の薄畳が上
市されており、この薄畳は施工が容易であると共に、和
室と洋室との変換も容易に行えるという利点を有する。
【0004】このような薄畳用の畳芯材として、例え
ば、特開平10−311131号公報には、「全厚7〜
25mmの畳に用いられる畳床構成材において、該畳床
構成材は、ポリスチレン系樹脂発泡体のような合成樹脂
板状発泡体とガラス繊維強化ポリオレフィン系樹脂シー
トのような繊維強化樹脂シートとを接着一体化してなる
厚み4〜20mmのものであり、且つ、曲げ弾性率が6
000kgf/cm2以上であることを特徴とする畳床
構成材」が開示されている。
【0005】上記開示にある畳床構成材(畳芯材)は、
曲げ弾性率が高いため、畳表を縫着した際に畳表の張力
に負けず、反りが生じないという利点や、繊維強化樹脂
シートとしてガラス繊維強化樹脂シートを用いるので、
発泡体の熱伸縮が抑制され、換言すれば畳芯材の平均線
膨張率が小さく、熱伸縮による寸法変化が小さいという
利点を有している。
【0006】しかし、反面、ガラス繊維を用いるので、
切断加工時にガラス繊維が空中に浮遊し、作業者に対し
て好ましくない影響を及ぼしたり、浮遊したガラス繊維
が畳表に付着した状態で部屋内に持ち込まれ、居住者に
対しても好ましくない影響を及ぼす等の問題点がある。
【0007】また、近年重要視されている環境負荷に関
しても、ガラス繊維とポリオレフィン系樹脂およびポリ
スチレン系樹脂発泡体から成る複合体であるので、リサ
イクルや焼却が困難であり、環境負荷が大きいという問
題点がある。
【0008】これに対して、特開平11−336306
号公報には、ガラス繊維等の無機繊維を用いない密度
0.02〜0.5g/cm3 の合成樹脂発泡体と、
最大引き裂き荷重300gf以上の合成樹脂シートが積
層一体化された複合発泡体からなる畳芯材が開示されて
いる。
【0009】しかし、上記の畳芯材には、根本的に以下
のような問題がある。
【0010】・通常の合成樹脂シートの引張弾性率は5
GPa以下であるので、複合発泡体の曲げ剛性が小さ
く、畳表縫着後、畳芯材は畳表の張力に負けて、反りが
生じ易くなったり、畳が運搬時しなったりして運びにく
くなる。
【0011】・畳芯材は合成樹脂素材からなるので、熱
に対する伸縮度合いが大きく(平均線膨張率大)、寸法
安定性が悪い。
【0012】さらに、上記2つの先行技術に共通して言
えることは、合成樹脂板状発泡体としてポリスチレン系
樹脂発泡体やポリオレフィン系樹脂発泡体を用いるの
で、発泡倍率を高くすると、所望の圧縮強度を得られな
かったり、耐クリープ性や弾性回復力(変形回復力)が
不十分なため、畳を長年使用しているうちに厚みが薄く
なってくる現象、所謂“へたり現象”が生じるという問
題点もある。
【0013】また、通常、畳芯材は破壊の起きない程度
に曲げても元の平板の形に戻るため、畳を平滑性の悪い
下地の上に敷き込むと、浮きが生じたり、歩行時に薄畳
がばたついたりする。すなわち形状追従性が良くない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点に鑑み、ガラス繊維等の無機繊維を用いる
ことなく、ポリオレフィン系樹脂のみを用いて、圧縮強
度、曲げ強度、耐クリープ性、弾性回復力等の機械的物
性に優れると共に、反りやへたり現象を起こし難く、寸
法安定性に優れ、且つ、軽量で、人体や環境に対して好
ましくない影響を及ぼすことの殆どない複合発泡体から
成る畳芯材、およびこれを用いる薄畳を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
内在するセルのアスペクト比〔Dz(シート厚み方向に
平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に平
行な最大径)〕の平均値が1.1〜4.0であり、且
つ、発泡倍率が3〜20倍である、厚み4〜28mmの
ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの少なくとも片面
に、引張弾性率が5GPa以上(通常は50GPa以
下)である厚み100〜2,000μmのポリオレフィ
ン系樹脂シートが積層されてなり、曲げ弾性率0.5〜
5.0GPaを有することを特徴とする、ポリオレフィ
ン系樹脂複合発泡体からなる畳芯材である。
【0016】請求項2記載の発明は、内在するセルのア
スペクト比〔Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/
Dxy(シート幅または長さ方向に平行な最大径)〕
平均値が1.1〜4.0であり、且つ、発泡倍率が3〜
20倍である、厚み4〜28mmのポリオレフィン系樹
脂発泡体シートの少なくとも片面に、一方向に10倍以
上(通常は40倍以下)延伸された引張弾性率が5GP
a以上(通常は50GPa以下)である厚み100〜
2,000μmのポリオレフィン系樹脂シートが積層さ
れてなり、曲げ弾性率0.5〜5.0GPaを有するこ
とを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂複合発泡体から
なる畳芯材である。
【0017】請求項3記載の発明は、畳芯材として請求
項1または2記載の畳芯材を用いて構成してなる、厚み
7〜30mmの薄畳である。
【0018】始めに、本明細書で用いる用語を説明す
る。
【0019】請求項1および2の発明において、内在す
るセルのアスペクト比〔Dz(シート厚み方向に平行な
最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に平行な最
大径)〕の平均値が1.1〜4.0であり、且つ、発泡
倍率が3〜20倍である、厚み4〜28mmのポリオレ
フィン系樹脂発泡体シートを、以下「発泡体シート」と
略称する。請求項1の発明において、引張弾性率が5G
Pa以上である厚み100〜2,000μmのポリオレ
フィン系樹脂シートを、以下「高引張強度シート」と略
称する。請求項2の発明において、一方向に10倍以上
延伸された引張弾性率が5GPa以上である厚み100
〜2,000μmのポリオレフィン系樹脂シートを、以
下「延伸シート」と略記する。
【0020】まず、本発明による複合発泡体を構成する
シートの材料として用いられるポリオレフィン系樹脂に
ついて説明をする。
【0021】発泡体シートの作製に用いられるポリオレ
フィン系樹脂は、オレフィン系モノマーの単独重合体も
しくは共重合体であればよく、特に限定されるものでは
ないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチ
レン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プ
ロピレンホモポリマー、プロピレンランダムポリマー、
プロピレンブロックポリマー等のポリプロピレン、ポリ
ブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プ
ロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共
重合体などが好適に用いられるが、なかでもポリエチレ
ンやポリプロピレンが特に好適に用いられる。これらの
ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
【0022】また、上記ポリオレフィン系樹脂は、ポリ
オレフィン系樹脂に対し30重量%未満の他の樹脂が添
加されているポリオレフィン系樹脂組成物であっても良
い。上記他の樹脂としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ポリスチレンやスチレン系エラストマー
等が挙げられる。これらの他の樹脂は、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0023】ポリオレフィン系樹脂に対する他の樹脂の
添加量が30重量%以上であると、軽量、耐薬品性、柔
軟性、弾性等のポリオレフィン系樹脂が有する優れた特
性が阻害されることがあり、また、発泡時に必要な溶融
粘度を確保することが困難となることがある。
【0024】さらに、上記ポリオレフィン系樹脂は、変
性用モノマーが添加されているポリオレフィン系樹脂組
成物であっても良い。上記変性用モノマーとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、ジオキシム化合
物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル
系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
ー、キノン化合物等が挙げられる。これらの変性用モノ
マーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用
されても良い。
【0025】つぎに、発泡体シートについて説明をす
る。
【0026】請求項1および2の発明で用いられるポリ
オレフィン系樹脂発泡体シートは、内在するセルのアス
ペクト比〔Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/D
xy(シート幅または長さ方向に平行な最大径)〕の平
均値が1.1〜4.0であり、発泡倍率が3〜20倍で
あることを特徴とし、その結果、圧縮弾性率が5MPa
以上と飛躍的に高められる。
【0027】請求項1および2の発明の発泡体シートを
規定するセルのアスペクト比〔Dz(シート厚み方向に
平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に平
行な最大径)〕の平均値は、1.1〜4.0、好ましく
は1.3〜2.5である。
【0028】図1(a) は発泡体シートを示す斜視図であ
り、図1(b) は図1(a) 中のA部の拡大図である。上記
アスペクト比〔Dz(シート厚み方向に平行な最大径)
/Dxy(シート幅または長さ方向に平行な最大径)〕
の平均値とは、図1に示す発泡体シート(1) 内部のセル
(3) における定方向最大径の比の個数(算術)平均値を
意味し、以下の方法で測定される。
【0029】アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値の
測定方法:発泡体シート(1) のシート厚み方向(z方向
と呼ぶ)に平行な任意の断面(2)の10倍の拡大写真を
撮り、無作為に選ばれた少なくとも50個のセル(3) の
定方向最大径を下記2方向で測定し、各アスペクト比
(Dz/Dxy)の個数(算術)平均値を算出する。
【0030】Dz:発泡体シート(1) 中のセル(3) のZ
方向に平行な最大径 Dxy:発泡体シート(1) 中のセル(3) のシート幅方向
またはシート長さ方向、即ち、z方向に垂直な面方向
(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
【0031】上記アスペクト比〔Dz(シート厚み方向
に平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に
平行な最大径)〕の平均値を1.1〜4.0(好ましく
は1.3〜2.5)とすることにより、発泡体シート
(1) 中のセル(3) は発泡体シート(1) の厚み方向に長軸
を有する紡錘形のセル(3) となる。従って、発泡体シー
ト(1) が厚み方向に圧縮力を受けた場合、圧縮力は紡錘
形のセル(3) の長軸方向に負荷されることになるので、
発泡体シート(1) は厚み方向に高い圧縮強度(圧縮弾性
率)を発現し得るものとなる。
【0032】上記アスペクト比〔Dz(シート厚み方向
に平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に
平行な最大径)〕の平均値が1.1未満であると、セル
(3)の形状がほぼ球形となって、上記紡錘形のセル(3)
に起因する圧縮強度(圧縮弾性率)向上効果が十分に得
られないので、耐クリープ性や弾性回復力が乏しくなっ
たり、へたり現象が発生して、発泡体シート(1) と後述
するポリオレフィン系樹脂延伸シートとから成る複合発
泡体を畳芯材として用いた場合、畳の歩行感が悪くな
る。逆に上記アスペクト比〔Dz(シート厚み方向に平
行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ方向に平行
な最大径)〕の平均値が4.0を超えると、発泡体シー
ト(1) の圧縮強度(圧縮弾性率)が高くなり過ぎて、振
動吸収性が低下したり、歪みに対して高い応力が必要と
なるため、このような発泡体シート(1) を畳芯材とする
畳の上を歩いたり、畳の上に座った時に痛い感触を覚え
ることになる。
【0033】また、発泡体シート(1) 内部のセル(3) の
Dxyの平均値は、特に限定されるものではないが、好
ましくは500μm以上、より好ましくは800μm以
上である。
【0034】一般的に、セル径が小さいとセル壁の厚み
が薄くなって発泡体シートが座屈を生じ易くなるため、
発泡体シート(1) 上に重量物を置いた場合、へたり現象
や凹み等が発生し易くなるが、発泡体シート(1) 内部の
セル(3) のDxyの平均値を500μm以上とすること
により、上記座屈に起因するへたり現象や凹み等の発生
を効果的に抑制することができる。
【0035】請求項1および2の発明の発明において、
発泡体シートを規定する発泡倍率は3〜20倍である。
この発泡倍率は以下の方法で測定される。
【0036】発泡倍率の測定方法;発泡体シートよりシ
ート状の試料をカッターで切り出した後、JIS K−
6767「ポリエチレンフォーム試験方法」に準拠し
て、見かけ密度を測定し、その逆数を発泡倍率とする。
【0037】発泡体シートの発泡倍率が3倍未満である
と、圧縮強度(圧縮弾性率)が高くなり過ぎたり、製品
がコスト高となって実用性が低下し、逆に発泡体シート
の発泡倍率が20倍を超えると、セル壁の厚みが薄くな
って、圧縮強度(圧縮弾性率)が不十分となる。
【0038】つぎに、発泡体シートの製法について、説
明をする。
【0039】上記のような紡錘形のセルを持つ発泡体シ
ートを製造するには、特に限定されないが、リサイクル
性、生産性の観点から以下の方法が好適に用いられる。
【0040】一般に、ポリオレフィン系樹脂組成物から
成る発泡体は、化学発泡法によって得られる発泡体と物
理発泡法によって得られる発泡体とに大別される。本発
明においては上記いずれの発泡体であっても良いが、発
泡操作の容易な化学発泡法によって得られる発泡体が好
ましい。
【0041】化学発泡法による発泡体シートは、加熱に
より分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予めポリ
オレフィン系樹脂組成物中に分散させておき、同組成物
を一旦シート状の発泡性原反に賦形した後、加熱して上
記発泡剤より発生するガスによりポリオレフィン系樹脂
組成物を発泡させる方法で製造され得る。
【0042】上記熱分解型化学発泡剤としては、特に限
定されるものではないが、例えば、アゾジカルボンアミ
ド(ADCA)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニル
ヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニル
ヒドラジド)等が好適に用いられるが、なかでもADC
Aがより好ましい。これらの熱分解型化学発泡剤は、単
独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。
【0043】物理発泡法による発泡体シートは、高圧下
でポリオレフィン系樹脂組成物中に物理発泡剤を一旦溶
解し、同組成物を常圧下に戻したときに発生するガスに
よりポリオレフィン系樹脂組成物を発泡させる方法で製
造され得る。
【0044】上記物理発泡剤としては、特に限定される
ものではないが、例えば、水、二酸化炭素、窒素、有機
溶剤などが好適に用いられる。これらの物理発泡剤は、
単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても
良い。
【0045】発泡体シートを製造するより具体的な方法
は下記の通りである。主成分としてのポリオレフィン系
樹脂と前述した変性用モノマーや他の樹脂とを溶融混練
して得られる変性ポリオレフィン系樹脂組成物100重
量部に、上記熱分解型化学発泡剤2〜20重量部を添加
分散させ、同組成物を一旦シート状に賦形して発泡性シ
ートを作製した後、この発泡性シートを熱分解型化学発
泡剤の分解温度以上の温度まで加熱して発泡させる方法
を採ることにより、所望の発泡体シートを成形すること
ができる。
【0046】ポリオレフィン系樹脂を変性用モノマーで
変性することにより、賦形された発泡性シートは、架橋
度が低いにも拘らず、常圧で発泡し得るものとなる。
尚、ここで言う架橋度とはゲル分率を意味し、架橋度が
低いとはゲル分率が25重量%以下であることを言う。
上記ゲル分率は、試料の初期重量に対する、試料を12
0℃の熱キシレン中で24時間溶解させた後の未溶解分
(ゲル分)の乾燥重量の百分率で求められる。
【0047】上記発泡性シートは、電子線で架橋させた
架橋シートや熱分解型化学架橋剤で架橋させた架橋シー
トに比較して、架橋度(ゲル分率)が低く且つ常圧で加
熱発泡するため、発泡体のセルが上記架橋シートから得
られる発泡体のセルに比べて大きくなり、セル壁が厚く
なる。従って、圧縮強度や耐座屈性等の機械的物性に優
れる発泡体シートとなり、畳芯材として好適なものとな
る。
【0048】また、発泡体シートは、架橋度が小さいこ
とから、加熱することで再溶融が可能であり、リサイク
ル性に富むものである。このことにより、材料の再利
用、転用が可能となる。
【0049】発泡性シートの賦形方法は、特に限定され
るものではなく、押出成形法、プレス成形法、ブロー成
形法、カレンダリング成形法、射出成形法等のプラスチ
ックの成形加工で一般的に行われている成形方法のいず
れであっても良いが、なかでも例えばスクリュー押出機
より吐出されるポリオレフィン系樹脂組成物を直接シー
ト状に賦形する押出成形法が生産性に優れていることか
ら好ましい。この方法により、一定寸法幅の連続した発
泡性シートを得ることができる。
【0050】上記発泡性シートから化学発泡法によって
発泡体シートを作製する方法は、通常、熱分解型化学発
泡剤の分解温度以上の温度からポリオレフィン系樹脂の
熱分解温度未満の温度までの温度範囲で行われる。
【0051】上記発泡は連続式発泡装置を用いて行われ
ることが好ましい。連続式発泡装置を用いて発泡を行う
方法としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、加熱炉の出口側で発泡体シートを引取りながら連続
的に発泡性シートを発泡させる引取り式発泡機、ベルト
式発泡機、縦型もしくは横型発泡炉、熱風恒温槽等を用
いて発泡を行う方法や、オイルバス、メタルバス、ソル
トバス等の熱浴中で発泡を行う方法等が挙げられる。
【0052】こうして得られる発泡体シートの前記アス
ペクト比〔Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/D
xy(シート幅または長さ方向に平行な最大径)〕の平
均値を1.1〜4.0とする方法としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、発泡中の発泡性シートの
面内方向(xy方向)の発泡力を抑制し得る強度を有す
る面材を発泡前の発泡性シートの少なくとも片面に積層
する方法が好ましい。
【0053】発泡前の発泡性シートの少なくとも片面に
上記面材を積層することにより、発泡時における発泡性
シートの面内の二次元方向(xy方向)の発泡を抑制
し、厚み方向(z方向)にのみ発泡させることが可能と
なって、得られる発泡体シート内部のセルは厚み方向に
その長軸を配向した紡錘形のセルとなる。
【0054】上記面材は、発泡性シートの発泡温度以上
の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度お
よび熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得
るものであれば良く、特に限定されるものではないが、
例えば、紙、布、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維や無機
繊維から成る織布や不織布、寒冷紗、ガラス繊維、炭素
繊維、後述するポリオレフィン系樹脂延伸シート等が好
適に用いられる。また、例えばテフロン(登録商標)シ
ートのような離型性を有するシートを面材として用い、
発泡性シートを厚み方向に発泡させた後、上記離型性シ
ートを剥離して、発泡体シートを得ても良い。
【0055】ただし、ポリオレフィン系樹脂以外の材料
からなる面材を用いるときは、リサイクル性の観点よ
り、その使用量は最小限度に留めることが好ましい。
【0056】上記面材のなかでも、ポリオレフィン系樹
脂延伸シートを積層する際の投錨効果(アンカー効果)
に優れ、人体や環境に対して好ましくない影響を及ぼす
ことの殆どない不織布や寒冷紗がより好適に用いられ
る。
【0057】発泡体シートは5MPa以上の圧縮弾性率
を有することが好ましい。複合発泡体は、曲げ変形して
いくと、延伸シートの塑性変形領域に達し、発泡体シー
トが座屈して曲げ降伏点を迎えるまでの間、形状保持性
を示す。発泡体シートの曲げ座屈歪みが2%より小さい
と、複合発泡体を曲げたときに、これが延伸シートの塑
性変形領域に達する前に、発泡体シートの座屈が生じる
ので、塑性変形が不可能となる。曲げ座屈歪みは好まし
くは3%以上である。この現象を説明するため、延伸シ
ートの引張歪みと引張応力の関係のグラフ(図2)、発
泡体シートの曲げ座屈歪みと曲げ応力の関係のグラフ
(図3)、および複合発泡体の曲げ降伏歪みと曲げ応力
の関係のグラフ(図4)を示す。本発明では、発泡体シ
ートを曲げていく際に、図3に示すように、曲げ応力が
顕著に低下する点を曲げ座屈点と定義する。この曲げ座
屈点では、シートを曲げていく際の圧縮側で発泡体シー
トに座屈が生じる。曲げ座屈が生じる前に曲げ破壊を生
じるものはその曲げ破壊点を曲げ座屈点とする。また本
発明でいう「曲げ座屈歪み」とは、上記の曲げ座屈点に
おける曲げ歪みと定義する。なお、曲げ歪み量の計算
は、例えばJIS K7171に従う。
【0058】この複合発泡体の形状保持性は、これを畳
芯材として用いるときに、不陸性の調整に多大な効果を
発揮する。薄畳が敷き込まれる床面は必ずしも平坦にな
っていないことが多く、芯材が形状対応力のない素材で
できていると、畳の端や真ん中の部分が浮いたりして、
歩行時にばたついたり、音が生じたり、外観上悪くな
る。本発明の芯材は、形状保持性を示すので、畳敷き込
み現場でその床面の形状に合わせて、畳に適宜曲げ変形
を与え、畳をなだらかに床面に沿わせることが可能とな
る。つまり形状対応力が優れている。
【0059】つぎに、高引張強度シートについて説明を
する。
【0060】請求項1の複合発泡体において、発泡体シ
ートに積層される高引張強度シートは、1方向の引張弾
性率が5GPa以上であることを特徴とする。引張弾性
率はJIS K 7127に基づいて測定された数値で
ある。
【0061】引張弾性率が5GPaより小さいと、目的
の複合発泡体の曲げ剛性が向上しない。引張弾性率は好
ましくは50GPa以下である。引張弾性率が50GP
aを超えると、複合発泡体の曲げ剛性が大きくなりす
ぎ、畳表の縫着の際、複合発泡体を撓ませるのが困難に
なる。
【0062】ポリオレフィン系樹脂素材を用いて、引張
弾性率が大きいシートを得る方法としては、特に限定さ
れないが、延伸成形が好ましい。延伸方向も特に限定さ
れないが、引張弾性率の大幅な向上を得るには、一方向
への延伸が特に好ましい。
【0063】つぎに、延伸シートについて、説明をす
る。
【0064】請求項2の発明で用いられる延伸シートの
作製に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、特に
限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等
のポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン
ランダムポリマー、プロピレンブロックポリマー等のポ
リプロピレン等が挙げられ、なかでも、延伸後の弾性率
を考慮すると、理論弾性率の高いポリエチレンがより好
適に用いられ、結晶性の高い高密度ポリエチレンが最も
好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、
単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても
良い。
【0065】延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂
の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、
10万〜50万であることが好ましい。ポリオレフィン
系樹脂の重量平均分子量が10万未満であると、ポリオ
レフィン系樹脂自体が脆くなるため、延伸性が損なわれ
ることがあり、逆にポリオレフィン系樹脂の重量平均分
子量が50万を超えると、延伸性が悪くなって、延伸シ
ートの成形が困難となったり、高倍率の延伸が困難とな
ることがある。
【0066】上記重量平均分子量の測定方法としては、
加温した例えばo−ジクロルベンゼンのような有機溶剤
にポリオレフィン系樹脂を溶解した後、カラムに注入
し、溶出時間を測定する所謂ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー法(高温GPC法)が一般的であり、上
記重量平均分子量もo−ジクロルベンゼンを有機溶剤と
して用いた上記高温GPC法により測定した値である。
【0067】延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂
のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されるも
のではないが、0.1〜20g/10分であることが好
ましい。ポリオレフィン系樹脂のMFRが0.1g/1
0分未満であるか、20g/10分を超えると、高倍率
の延伸が困難となることがある。尚、上記MFRは、J
IS K−7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験
方法」に準拠して測定される。
【0068】延伸シート作製用のポリオレフィン系樹脂
としては、重量平均分子量が10万〜50万であり、且
つ、MFRが0.1〜20g/10分である高密度ポリ
エチレンが特に好適に用いられる。
【0069】また、延伸シート内部には、本発明の課題
達成を阻害しない範囲で必要に応じて、主成分であるポ
リオレフィン系樹脂以外に、架橋助剤や光ラジカル重合
開始剤等が添加されていても良い。
【0070】架橋助剤としては、例えば、トリアリルシ
アヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ジアリルフタレート等の多官能モノマーが挙げら
れ、また、光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベ
ンゾフェノン、チオキサントン、アセトフェノンなどが
挙げられる。これらの架橋助剤や光ラジカル重合開始剤
は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用され
ても良い。
【0071】上記架橋助剤や光ラジカル重合開始剤の添
加量は、特に限定されるものではないが、ポリオレフィ
ン系樹脂100重量部に対し、架橋助剤や光ラジカル重
合開始剤1〜2重量部であることが好ましい。ポリオレ
フィン系樹脂100重量部に対する架橋助剤や光ラジカ
ル重合開始剤の添加量が1重量部未満であると、ポリオ
レフィン系樹脂の架橋や光ラジカル重合が速やかに進行
しないことがあり、逆にポリオレフィン系樹脂100重
量部に対する架橋助剤や光ラジカル重合開始剤の添加量
が2重量部を超えると、高倍率の延伸が困難となること
がある。
【0072】延伸シートの作製方法は、特に限定される
ものではなく、例えば、主成分としてのポリオレフィン
系樹脂と必要に応じて添加される上記架橋助剤や光ラジ
カル重合開始剤とから成るポリオレフィン系樹脂組成物
を押出機等により溶融混練して可塑化させた後、溶融物
をTダイを通してシート状に押出し、冷却して、ポリオ
レフィン系樹脂の延伸前シート(延伸原反)を先ず作製
する。
【0073】上記延伸前シートの厚みは、特に限定され
るものではないが、0.5〜10mmであることが好ま
しい。延伸前シートの厚みが0.5mm未満であると、
これに延伸処理を施して得られる延伸シートの厚みが薄
くなり過ぎて、強度が不十分となり、取扱い性が損なわ
れることがあり、逆に延伸前シートの厚みが10mmを
超えると、延伸処理が困難となることがある。
【0074】次いで、上記延伸前シートに延伸処理を施
すことにより延伸シートが作製される。
【0075】上記延伸処理を施す際の延伸倍率は、延伸
シートの引張弾性率が5GPa以上となるように設定す
ればよく、一方向に10倍以上、好ましくは10〜40
倍、より好ましくは20〜40倍である。上記延伸倍率
が10倍未満であると、ポリオレフィン系樹脂の種類の
如何に拘わらず、延伸シートの引張弾性率が5GPaと
ならなかったり、後述する平均線膨張率が小さくならな
かったりして、目的の複合発泡体において、所望の曲げ
剛性、寸法安定性が得られない。逆に延伸倍率が40倍
を超えると、延伸の制御が困難となることがある。
【0076】また、延伸処理を施す際の延伸温度は、特
に限定されるものではないが、85〜120℃であるこ
とが好ましい。上記延伸温度が85℃未満であると、延
伸シートが白化し易くなったり、高倍率の延伸が困難と
なることがあり、逆に延伸温度が120℃を超えると、
延伸前シートが切れ易くなったり、高倍率の延伸が困難
となることがある。
【0077】延伸方法についても、特に限定されるもの
ではなく、通常の一軸延伸方法で良いが、特にロール延
伸方法が好適に採用される。
【0078】上記ロール延伸方法とは、速度の異なる二
対の延伸ロール間に延伸前シートを挟み、延伸前シート
を加熱しながら引っ張る方法であり、一軸延伸方向のみ
に強く分子配向させることができる。この場合、二対の
延伸ロールの速度比が延伸倍率となる。
【0079】延伸前シートの厚みが比較的厚い場合、ロ
ール延伸方法のみでは円滑な延伸を行うのが困難となる
ことがあるが、このような場合には、ロール延伸に先立
ってロール圧延処理を施してもよい。
【0080】上記ロール圧延処理は、一対の反対方向に
回転する圧延ロール間に該圧延ロール間の間隔より厚い
延伸前シートを挿入し、延伸前シートの厚みを減少させ
ると共に長さ方向に伸長させることにより行われる。上
記ロール圧延処理が施された延伸前シートは、予め一軸
方向に配向処理されているので、次工程のロール延伸に
より、一軸方向に円滑に延伸される。
【0081】上記延伸工程において、延伸温度を好まし
い範囲(85〜120℃)とするためには、延伸前シー
トの予熱温度、延伸ロールの温度、雰囲気温度等を適宜
調節すれば良い。
【0082】こうして得られる延伸シートに対して、耐
熱性を高めるために或いは最終的に得られる複合発泡体
の耐熱性や耐クリープ性を高めるために、架橋処理を施
しても良い。
【0083】上記架橋処理は、特に限定されるものでは
ないが、例えば、電子線照射や紫外線照射によって行い
得る。
【0084】電子線照射により架橋処理を行う場合の電
子線照射量は、延伸シートの組成や厚み等を考慮して適
宜設定すれば良く、特に限定されるものではないが、一
般的には1〜20Mradであることが好ましく、より
好ましくは3〜10Mradである。また、電子線照射
による架橋処理の場合、前記架橋助剤を予め延伸シート
内部に添加しておくことにより、円滑な架橋を行うこと
ができる。
【0085】紫外線照射により架橋処理を行う場合の紫
外線照射量は、延伸シートの組成や厚み等を考慮して適
宜設定すれば良く、特に限定されるものではないが、一
般的には50〜800mW/cm2 であることが好ま
しく、より好ましくは100〜500mW/cm2
ある。また、紫外線照射による架橋処理の場合、前記光
ラジカル重合開始剤や架橋助剤を予め延伸シート内部に
添加しておくことにより、円滑な架橋を行うことができ
る。
【0086】延伸シートの架橋の程度は、特に限定され
るものではないが、前記ゲル分率が50〜90重量%程
度であることが好ましい。
【0087】延伸シートは10倍以上に延伸されている
ため、温度変化に対する熱伸縮の度合いが通常の合成樹
脂シートと比較して格段に小さい。この熱伸縮を度合い
を示す数値として、平均線膨脹率がある。
【0088】請求項2で用いられる一方向に10倍以上
延伸されたポリオレフィン系樹脂延伸シートは、平均線
膨張率5×10-5/℃以下、好ましくは3×10-5/℃
以下、より好ましくは−2×10-5〜2×10-5/℃の
ものである。
【0089】平均線膨張率は、物体の寸法が温度によっ
て膨張していく割合を示す尺度である。平均線膨張率を
測定するには、TMA(機械分析)により、昇温中の物
体の寸法を順次精密に測定していく方法があるが、延伸
シートの5℃および80℃における寸法を測定し、その
差から平均線膨張率を算出することもできる。
【0090】一般に、ポリオレフィン系樹脂製の物体の
平均線膨張率は5×10-5/℃より大きいが、延伸処理
を施すことにより、平均線膨張率が5×10-5/℃以下
の延伸シートを得ることができる。また、この延伸シー
トは、延伸倍率を大きくするほど平均線膨張率が低いも
のとなる。
【0091】発泡体シートは、それ単独ではポリオレフ
ィン系樹脂シートの平均線膨張率が凡そ5×10-5〜1
5×10-5/℃であって、熱伸縮による寸法変化が大き
いという問題点を有するが、その少なくとも片面に上記
平均線膨張率が5×10-5/℃以下の延伸シートを積層
することにより、平均線膨張率が小さく、熱伸縮による
寸法変化を起こし難い複合発泡体を得ることができる。
【0092】また、上記延伸シートでは、平均線膨張率
を5×10-5/℃以下とするために延伸倍率を大きくす
るので、延伸方向の引張強度(引張弾性率)も大きくな
り、上記発泡体シートの少なくとも片面に上記延伸シー
トが積層されて成る複合発泡体の曲げ強度(曲げ弾性
率)が飛躍的に向上し、相乗効果が生じる。
【0093】延伸シートの厚みは、好ましくは50〜
2,000μm、より好ましくは100〜1,000μ
mである。この厚みが50μm未満であると、局所荷重
により畳が凹み易くなる上に、所望の曲げ剛性が得られ
ない。この厚みが2,000μmを越えると、畳床材お
よび畳表縫着時に針の抜け、通りが悪くなる。
【0094】なお、延伸シートでは、延伸された方向の
耐引き裂き性が弱くなるため、発泡体シートの表面に積
層するときは、直交積層等、2方向以上に積層すること
が好ましい。
【0095】つぎに、上記発泡体シートに、上記高引張
強度シートまたは延伸シートを積層する方法について、
説明をする。
【0096】発泡体シートの少なくとも片面に、上記高
引張強度シートまたは延伸シートを積層して複合発泡体
を得る方法は、特に限定されるものではなく、例えば、
加熱による熱融着法であっても良いし、粘接着剤を用い
た粘接着法であっても良いが、生産性に優れる熱融着法
を採用することが好ましい。
【0097】熱融着法による複合発泡体の製造方法は、
特に限定されるものではないが、例えば前記発泡性シー
トの発泡を化学発泡法で行う場合、下記二方法に大別さ
れる。
【0098】〔I法〕 発泡性シートの少なくとも片面
に、発泡性シートの面内方向(xy方向)の発泡を抑制
し得る強度を有する前記面材を積層し、発泡性シートを
加熱発泡させた後に、得られた発泡体シートの少なくと
も片面に延伸シートを熱融着法により積層して複合発泡
体とする。
【0099】〔II法〕 発泡性シートの少なくとも片面
に、延伸シートを熱融着法により積層した後に、発泡性
シートを加熱発泡させて複合発泡体とする。
【0100】上記製造方法において、発泡性シートが加
熱発泡する温度で延伸シートに熱変形が生じなければ、
II法を採用し得るが、発泡性シートの発泡温度は通常1
80〜250℃程度と高いので、延伸シートが熱変形し
がちである。従って、II法よりもI法を採用する方が好
ましい。
【0101】上記I法において、発泡体シートに延伸シ
ートを熱融着させる際、発泡体シート表面もしくは延伸
シート表面に表面処理やプライマー塗工を施しても良
い。また、発泡体シートと延伸シートとの間に、延伸シ
ートが熱変形する温度以下の融点を有するポリオレフィ
ン系樹脂フィルム等を介在させて、熱融着を行っても良
い。
【0102】発泡体シートに対する延伸シートの積層方
向は、特に限定されるものではないが、延伸シートは延
伸された方向の機械的物性が特に向上しているので、複
合発泡体の用途や所望の機械的物性等に応じて上記利点
を生かすべく、一方向に積層されても良いし、二方向以
上(直交または直交以外の任意の角度)に積層されても
良い。
【0103】また、発泡体シートと延伸シートとの積層
枚数や複合発泡体の厚みも、複合発泡体の用途や所望の
機械的物性等に応じて、適宜設定されれば良い。
【0104】さらに、上記延伸シート以外のシート、各
種ヤーンからなるシート、上記発泡体シート以外の発泡
体シート、板等も、寸法安定性、応力分散性、耐衝撃
性、吸放湿性、クッション性等の改善の目的で、同時に
上記延伸シートに積層されていても良い。
【0105】熱融着の加熱条件や加圧条件は、使用する
延伸シートの種類によっても異なるため一義的には定め
られないが、一般的には、延伸シートの主成分として用
いられているポリオレフィン系樹脂の融点未満の加熱温
度で、0.01〜0.5MPa程度の加圧下で熱融着を
行うことが好ましい。
【0106】熱融着時の加熱温度が延伸シートの主成分
として用いられているポリオレフィン系樹脂の融点以上
であると、延伸シートの熱伸縮等により複合発泡体の形
状や平均線膨張率が損なわれることがある。また、熱融
着時の加圧圧力が上記範囲外であると、複合発泡体の形
状が損なわれることがある。
【0107】本発明の複合発泡体を構成する高引張強度
シートまたは延伸シートは、曲げ弾性率が0.5〜5.
0GPaであるものである。曲げ弾性率が0.5GPa
より小さいと、畳表縫着時、畳が畳表の張力に負けて反
る。また、運搬時に畳がしなるために、運びにくい。曲
げ弾性率が5.0GPaより大きいと、畳表縫着時、芯
材を撓ませにくいため、畳表がピンと張れない。
【0108】請求項1または2の発明による畳芯材は、
以上説明したような複合発泡体から成る。
【0109】請求項3の発明による薄畳は、畳芯材とし
て請求項1または2記載の畳芯材を用いて構成してな
る、厚み7〜30mm、好ましくは10〜25mmのも
のである。本発明の畳芯材を用いて薄畳とするには、具
体的には、畳芯材の上下面に上面材と下面材を配置し、
最下面に裏打ち材を必要に応じて配置し、これらを固定
化して畳床材とした後、最上面に畳表を固定化する。ま
た、場合によっては、本発明の畳芯材に直接畳表を固定
化してもよい。
【0110】以下に、上面材、下面材、裏打ち材、畳表
について説明をする。
【0111】上面材、下面材、裏打ち材:畳芯材に積層
し畳床材を構成する部材で、畳としての機能を向上させ
るために用いられる。その機能を以下に例示するが、こ
れらに限定されるものではない。
【0112】 ・クッション性(座り心地、寝心地、歩行感の向上) ・難燃、不燃性(耐火、防火) ・吸放湿性(部屋の湿気の吸着脱離、調湿) ・吸着性(VOC(揮発性有機化合物)等の有害物質の
吸着、部屋の脱臭) ・遮音、制振性 ・防虫、防カビ性 ・厚み調整(畳表を裏面に回り込ませた部分(框部)で
畳裏面全体と段差が生じないように、予め切り込みを入
れて使用する目的で積層するものや、所望の薄畳厚みに
するために積層するもの) ・防水性 ・断熱性 ・熱伝導性(特に床暖房畳等において) ・不陸性(微小な床凹凸の吸収) ・傷付き防止、保護 ・局所荷重の分散 ・透水、ガス透過 ・滑り止め
【0113】上記の機能を与えるため、上面材、下面
材、裏打ち材を必要に応じて的確な場所に配置する。一
つの材料に2つ以上の機能を付与させることも可能であ
り、設計指針に応じて適宜決定される。これらはいずれ
も形状は特に限定されないが、シート状であることが望
ましい。以下に材料を例示するが、以下のものに限定は
されない。厚みも特に限定されないが、上面材、下面材
では好ましくは0.5〜5mm、裏打ち材では好ましく
は0.1〜1mmである。
【0114】・木質繊維板(ハードボード、インシュレ
ーションボード、MDF(中密度木質繊維板)、合板
(ベニヤ)等) ・合成樹脂シート、合成樹脂発泡体(無架橋ポリオレフ
ィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、架橋ポリオ
レフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリウ
レタン、ポリスチレン、エラストマー等) ・織布(クロス等)、不織布、寒冷紗(ニードルパン
チ、フェルト、スパンボンド等。素材は合成樹脂(ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリアミド等)、天然繊維(麻、絹、綿等)、ガラ
スウール、ロックウール、セラミックウール、ヤシ繊維
等) ・紙シート(厚紙(例えばMFシート(丸三製紙))、
和紙、ダンボール、再生紙等) ・構造体シート(ハニカム、プラスチックダンボール
等) ・金属板(アルミニウム、鉄、ステンレス製のシート、
箔、網等) ・裏打ちシート(ポリオレフィンクロス、割布、組布等
またはこれらに紙をラミネートしたもの) ・難燃・不燃シート(不燃性フェルト(ロックウール、
セラミックウール、ガラスウール等をフェルト状に成形
したもの)、耐炎繊維不織布(活性炭や特殊アクリル樹
脂を焼成した繊維)等) ・防虫、防黴シート(ヒノキチオール配合シート) ・吸着、脱臭シート(活性炭、木炭、ゼオライト混合シ
ート) ・吸放湿シート ・無機材ボード(ケイ酸カルシウム等)
【0115】上記上面材、下面材、裏打ち材は、本発明
の畳芯材に必要に応じて固定化される。固定化の方法は
特に限定されない。糸による縫着、接着剤による接着、
粘着テープ等による固定等が挙げられる。
【0116】畳表:イグサ、ポリオレフィン、和紙等の
原料より作られる。これらの原料は目的に応じて適宜選
択される。畳表の固定方法も特に限定されない。糸によ
る縫着、ホッチキスによるタッカー止め、接着剤による
接着、粘着テープ等による固定等が挙げられる。
【0117】
【作用】本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡体シー
トでは、内在するセルのアスペクト比〔Dz(シート厚
み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅または長さ
方向に平行な最大径)〕の平均値は1.1〜4.0の範
囲であり、且つ、発泡倍率は3〜20倍の範囲にある。
即ち、この発泡体シートは、厚み方向に配向した紡錘形
の形状を有するセルを内包しており、且つ、特定の発泡
倍率を有しているので、軽量でありながら優れた圧縮強
度、圧縮弾性率、曲げ方向の柔軟性、耐クリープ性、弾
性回復力等の機械的物性を発現する。また、この発泡体
シートと高引張強度シートまたは延伸シートとからなる
複合発泡体は、優れた圧縮強度、曲げ強度、耐クリープ
性、弾性回復力等の機械的物性を発現する。従って、こ
れは反りやへたり現象を起こし難く、且つ、軽量でもあ
る。
【0118】また、請求項1の発明の複合発泡体を構成
するポリオレフィン系樹脂製の高引張強度シートは、5
GPa以上の引張弾性率を有するので、このシートと発
泡体シートからなる複合発泡体は、優れた曲げ特性を発
現する。
【0119】請求項2の発明の複合発泡体を構成するポ
リオレフィン系樹脂製の延伸シートは、引張弾性率を5
GPa以上にするために同シートを10倍以上に延伸す
るので、平均線膨張率が低く、このシートと発泡体シー
トからなる複合発泡体は優れた寸法安定性を発現する。
【0120】また、該延伸シートは、10倍以上に延伸
されているため、その延伸方向の引張弾性率は飛躍的に
向上する。またこれは通常の合成樹脂シートと異なり、
温度変化に対する熱伸縮がほとんどない。
【0121】上記発泡体シートに延伸シートを積層させ
てなる請求項2の発明の複合発泡体は下記のような作用
を発現する。
【0122】・両シートともポリオレフィン系樹脂を素
材とするので、木質材料や、無機繊維複合プラスチック
等と比較し、環境負荷が少なく、リサイクル性に富む。
【0123】・延伸シートは高引張剛性を有するため、
曲げによる表面伸縮補強の役割をし、また発泡体シート
は軽量でありながら高圧縮剛性を有するため、曲げによ
る応力伝搬の役割を果たし、結果として複合発泡体は軽
量で圧縮剛性、曲げ剛性に富む、高強度複合体となる。
【0124】・延伸シートの熱伸縮は非常に小さいた
め、これを発泡体シートの表面に積層することで、発泡
体シートの熱伸縮を抑制し、寸法安定性が高くなる。
【0125】・発泡体シートの曲げ座屈歪みが大きくな
れば、曲げ応力を受けた際、発泡体シートが座屈して複
合発泡体が曲げ降伏を起こす前に、延伸シートが塑性変
形を起こす。このため、複合発泡体は優れた形状保持性
を有する。
【0126】さらに、本発明の複合発泡体は、ガラス繊
維を用いないので、人体や環境に対して好ましくない影
響を及ぼすことが殆どない。
【0127】本発明による畳芯材は、このような複合発
泡体から成るので、上記優れた諸性能を具備するもので
ある。
【0128】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0129】(実施例1) 1.ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの作製 (1)変性ポリオレフィン系樹脂の調製 変性ポリオレフィン系樹脂を調製するために、同方向回
転2軸スクリュー押出機(型式「BT40型」、プラス
チック工学研究所社製)を用いた。この押出機は、セル
フワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは3
5、D(直径)は39mmである。シリンダーバレルは
押出機の上流から下流側にかけて第6バレルに区分さ
れ、成形ダイは3穴ストランドダイであり、第4バレル
には揮発分を回収するための真空ベントが設置されてい
る。以下の操作においては、第1バレルの温度を180
℃、第2バレルから第6バレルの温度および3穴ストラ
ンドダイの温度を220℃に設定し、スクリュー回転数
を150rpmに設定した。
【0130】上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後
端に備えられたホッパーから、ポリオレフィン系樹脂と
してランダムポリマー型のポリプロピレン樹脂(商品名
「EX6」、MFR1.8g/10分、密度0.9g/
cm3 、日本ポリケム社製)を10kg/時間の供給
量で押出機内に投入した。次に、第3バレルから、ジビ
ニルベンゼン(変性用モノマー)および2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3
(有機過酸化物)の混合物を押出機内に注入し、これら
を均一に溶融混練して、変性ポリプロピレン樹脂を調製
した。次いで、この変性ポリプロピレン樹脂を3穴スト
ランドダイから吐出した後、水冷し、ペレタイザーで切
断して、変性ポリプロピレン樹脂のペレットを得た。変
性用モノマーおよび有機過酸化物の注入量は、ポリプロ
ピレン樹脂100重量部に対し、変性用モノマー0.5
重量部および有機過酸化物0.1重量部であった。ま
た、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空
吸引した。
【0131】(2)発泡性シートの作製 上記で得られた変性ポリプロピレン樹脂に未変性ポリプ
ロピレン樹脂および発泡剤を添加するために、同方向回
転2軸スクリュー押出機(型式「TEX−44型」、日
本製鋼所社製)を用いた。この押出機は、セルフワイピ
ング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、D
(直径)は47mmである。シリンダーバレルは押出機
の上流から下流側にかけて第1バレルから第12バレル
に区分され、第12バレルの先端部には成形ダイとして
Tダイが設定されている。また、発泡剤を供給するため
に、第6バレルにはサイドフィーダーが設置されてお
り、第11バレルには揮発分を回収するための真空ベン
トが設置されている。以下の操作においては、第1バレ
ルを常時冷却し、第1ゾーン(第2バレルから第4バレ
ル)の温度を150℃、第2ゾーン(第5バレルから第
8バレル)の温度を170℃、第3ゾーン(第9バレル
から第12バレル)の温度を180℃、第4ゾーン(T
ダイおよびアダプター部)の温度を160℃に設定し、
スクリュー回転数を40rpmに設定した。
【0132】上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後
端に備えられたホッパーから、前工程(1)で得られた
ペレット状の変性ポリプロピレン樹脂および未変性のホ
モポリマー型のポリプロピレン樹脂(商品名「FY
4」、MFR5.0g/10分、密度0.9g/cm3
、日本ポリケム社製)を、それぞれ10kg/時間
(合計20kg/時間)の供給量で押出機内に投入した。
また、第6バレルに設けられたサイドフィーダーから、
発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を1.
0kg/時間の速度で供給量で押出機内に投入し、これ
らを均一に溶融混練して、発泡性ポリプロピレン樹脂組
成物を調製した。次いで、この樹脂組成物をTダイから
押し出し、幅1100mm、厚み0.7mmの発泡性シ
ートを作製した。
【0133】(3)発泡性シートの作製 上記で得られた発泡性シートの両面に、面材としてポリ
エチレンテレフタレート製の不織布(商品名「スパンボ
ンドエクーレ6301A」、坪量30g/m2、東洋紡
績社製)を重ね、プレス成形機を用いて、180℃の加
熱加圧条件で積層して、2m×1mの面材付き発泡性シ
ートを得た。
【0134】(4)発泡 次いで、上記面材付き発泡性シートを、230℃の加熱
炉中で約10分間加熱して、発泡させ、厚み7mmの面
材付き発泡体シートを作製した。
【0135】(5)発泡体シートの特性測定 上記面材付き発泡性シートの特性{セルのアスペクト
比(Dz/Dxy)の平均値、発泡倍率}を以下の方
法で測定した。その結果を表1に示す。
【0136】セルのアスペクト比(Dz/Dxy)の
平均値 発泡体シートを厚み方向(z方向)にカットし、断面の
中央部を光学顕微鏡で観察しながら15倍の拡大写真を
撮った。次いで、写真に写った全てのセルのDzとDx
yをノギスで測定した後、セル毎のDz/Dxyを算出
し、セル100個分のDz/Dxyの個数平均を算出し
て、アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値とした。但
し、実際のDzが0.05mm以下および10mm以上
のセルは除外した。
【0137】発泡倍率 発泡体シートよりシート状の試料をカッターで切り出し
た後、JIS K−6767に準拠して、見掛け密度を
測定し、その逆数を発泡倍率(倍)とした。
【0138】圧縮弾性率 JIS K 7203に基づき、試験速度1mm/mi
nで測定をし、圧縮弾性率を算出した。
【0139】曲げ座屈歪み JIS K 7171に基づき、試験速度5mm/mi
n、スパン間180mmで測定をした。曲げ応力が急激
に下がり、サンプルが曲げ座屈を生じる点を曲げ座屈点
とし、そのときの歪みを曲げ座屈歪みとした。
【0140】2.ポリオレフィン系樹脂延伸シートの作
製 (1)延伸前シートの作製 高密度ポリエチレン樹脂(商品名「HY540」、重量
平均分子量30万、MFR1.0g/10分、融点13
3℃、三菱化学社製)100重量部に対し、ベンゾフェ
ノン(光ラジカル重合開始剤)1重量部を添加して、D
(直径)30mmの二軸押出機にて樹脂温度200℃で
溶融混練し、Tダイからシート状に押し出した後、冷却
ロールで冷却し、幅100mm、厚み1.0mmの延伸
前シートを作製した。
【0141】(2)延伸シートの作製 表面温度100℃に設定された6インチロール(小平製
作所社製)を用いて、上記で得られた延伸前シートを圧
延倍率8倍にロール圧延した後、得られた圧延シートを
繰り出し速度2m/分のロールで繰り出し、雰囲気温度
が85℃に設定された加熱炉を通して、引き取り速度8
m/分のロールで引き取り、4倍にロール延伸し、巻き
取った。次いで、得られた延伸シートの両面に高圧水銀
灯で紫外線を5秒間照射して架橋処理を施した後、無張
力下にて130℃で1分間の緩和処理を施して、幅50
mm、厚み0.2mmの透明な延伸シートを作製した。
【0142】上記延伸シートの総延伸倍率は約30倍で
あった。上記延伸シートの融点{DSC(示差走査熱量
計)におけるピーク温度}は133℃であり、JIS
K−7113「プラスチックの引張試験方法」に準拠し
て測定した引張弾性率は15000MPaであった。
【0143】(3)延伸シートの特性測定 上記で得られた延伸シートの特性(平均線膨張率)を
以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0144】平均線膨張率 延伸シートより切り出されたシート状の試料に約150
mm間隔の標線を記入した後、5℃の恒温槽中に1時間
放置し、標線間距離を5℃で測定した。次いで、試料を
80℃の恒温槽中に1時間放置した後、標線間距離を8
0℃で測定した。この操作を3回繰り返し、2回目と3
回目の5℃および80℃の各標線間距離の平均値を求
め、下式により平均線膨張率を算出した。
【0145】
【数1】
【0146】3.複合発泡体の製造 (1)積層および熱融着 図5は実施例1で製造した複合発泡体の構成を示す斜視
図である。同図に示すように、1.で得られたポリオレ
フィン系樹脂発泡体シート(1) の両面に、先に得られた
低密度ポリエチレン樹脂フィルム(商品名「UF23
0」、厚み30μm、三菱化学社製)(4) 、および上記
ポリオレフィン系樹脂延伸シート(5) をこの順に3種5
層の構成で配置し、プレス成形機を用いて、温度125
℃、圧力98kPa(1kgf/cm2 )、時間2分
間の条件でプレス成形を行った後、水冷プレス(圧力9
8kPa)で冷却し、複合発泡体を製造した。
【0147】(2)複合発泡体の性能評価 上記で得られた複合発泡体の性能(5%圧縮強度、
曲げ弾性率、平均線膨張率、切断加工性)を以下の
方法で評価した。その結果を表1に示す。
【0148】5%圧縮強度 JIS K−7220「硬質発泡プラスチックの圧縮試
験方法」に準拠して、試験速度1mm/分で圧縮試験を
行い、歪み5%における圧縮強度(MPa)を測定し
た。
【0149】曲げ弾性率 JIS K−7203「硬質発泡プラスチックの曲げ試
験方法」に準拠して、試験速度5mm/分、スパン距離
180mmで曲げ試験を行い、曲げ弾性率(MPa)を
測定した。尚、測定は図5に示すMD方向およびTD方
向のそれぞれについて行った。
【0150】平均線膨張率 前記延伸シートの場合と同様の方法で平均線膨張率(1
/℃)を測定した。尚、測定は図5に示すMD方向およ
びTD方向のそれぞれについて行った。
【0151】切断加工性 竪型万能帯ノコ盤(型式「L型」、ラクソー社製)を用
いて、複合発泡体を任意に切断し、微粉や粉塵等の発生
の有無を目視で観察し、下記判定基準により切断加工性
を評価した。
【0152】[判定基準] ○・・・・微粉や粉塵等の発生は認められなかった ×・・・・微粉や粉塵等が発生し、飛散して、顔や手等の肌
の露出部を刺激した
【0153】畳加工性 得られた複合発泡体の上下面に架橋ポリエチレン発泡体
(積水化学工業社製、「ソフトロン#2002」)を配
置し、縫着一体化を行った。その後、イ草畳表を緊張状
態で逢着し、加工性および仕上がりを評価した。
【0154】撓み試験 畳加工性試験で得られた薄畳に対して、JIS A
5914に記載の撓み試験を実施した。荷重を取り除い
た後、残留撓みも評価した。
【0155】(実施例2)図6は実施例2で製造した複
合発泡体の構成を示す斜視図である。複合発泡体の製造
において、先に得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シ
ート(1) の両面に、図6に示すように、低密度ポリエチ
レンフィルム(厚み30μm、三菱化学社製、UF23
0)(4) を、その上に上記ポリオレフィン系樹脂延伸シ
ート(5) を、またその上に上記低密度ポリエチレンフィ
ルム(6) を、さらにその上に上記ポリオレフィン系樹脂
延伸シート(7) をそれぞれ配し、3種9層の構成で配置
した。ハンドプレス成形機を用いて、温度125℃、圧
力98kPa(1kgf/cm2 )にて2分間プレス
成形を行い、その後水冷プレス(圧力98kPa)で水
冷を行い、複合発泡体を得た。
【0156】(比較例1)複合発泡体の製造において、
実施例1で作製したポリオレフィン系樹脂発泡体シート
を使用することなく、その代わりに、ポリプロピレン樹
脂発泡体(商品名「ソフトロンSP#1004」、発泡
倍率10倍、厚み4mm、積水化学工業社製、および
「ソフトロンSP#1003」、発泡倍率10倍、厚み
3mm)を表面加熱し、2枚を圧着積層させて得られた
厚み7mmの発泡体を使用したこと以外は、実施例1の
場合と同様にして、3種5層構成の複合発泡体を製造し
た。また、上記ポリプロピレン樹脂発泡体の特性{セ
ルのアスペクト比(Dz/Dxy)の平均値、発泡倍
率}を実施例1の場合と同様にして測定した。その結果
を表1に示す。
【0157】(比較例2)実施例1のポリオレフィン系
樹脂発泡体シートの代わりに、同発泡体シートににガラ
ス強化繊維ポリプロピレンシート(三井化学「プレグロ
ンシート」)を積層一体化させてなる複合発泡体を用い
たこと以外は、実施例1の場合と同様に操作および測定
をした。その結果を表1に示す。
【0158】(比較例3)実施例1のポリオレフィン系
樹脂発泡体シートの代わりに、同発泡体シートに押出成
形ポリプロピレンシート(厚み0.2mm)を積層一体
化させてなる複合発泡体を用いたこと以外は、実施例1
の場合と同様に操作および測定をした。その結果を表1
に示す。
【0159】(比較例4)市販の薄畳(商品名「バリア
フリー畳」、三井化学社製)から、畳芯材(ガラス繊維
強化面材とポリスチレン樹脂発泡体との積層体)を抜き
出した。また、上記畳芯材を構成するポリスチレン樹脂
発泡体の特性(発泡倍率)を実施例1の場合と同様に
して測定した。その結果を表1に示す。
【0160】実施例2および比較例1で得られた複合発
泡体、および、比較例2で得られた畳芯材の性能(5
%圧縮強度、曲げ弾性率、平均線膨張率、切断加
工性)を実施例1の場合と同様にして評価した。その結
果を表1に示す。
【0161】但し、実施例2で得られた複合発泡体およ
び比較例2で得られた畳芯材は、方向性がなかったの
で、曲げ弾性率と平均線膨張率の評価は一方向のみ
について行った。
【0162】
【表1】
【0163】表1から明らかなように、本発明による実
施例1および実施例2の複合発泡体では、5%圧縮強度
および曲げ弾性率が高かった。これは、機械的物性に優
れ、反りやへたり現象を起こし難いことを示している。
また、実施例1および実施例2の複合発泡体では、平均
線膨張率が小さかった。これは寸法安定性に優れている
ことを示している。さらに、実施例1および実施例2の
複合発泡体では、切断加工性に優れ、微粉や粉塵等の発
生がなかったので、人体や環境に対して優しい。
【0164】また、撓み試験後に残留歪みが残ることか
ら、形状保持性を有していることが確認でき、畳芯材と
しての不陸性が大きく向上する。
【0165】これに対し、内在するセルのアスペクト比
〔Dz(シート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シ
ート幅または長さ方向に平行な最大径)〕の平均値が
1.1未満(1.0)であったポリプロピレン樹脂発泡
体を使用した比較例1の複合発泡体では、5%圧縮強度
および曲げ弾性率が低かった。これは、機械的物性が劣
り、反りやへたり現象を起こし易いことを示している。
【0166】また、市販の薄畳から畳芯材を抜き出した
比較例4の複合発泡体では、5%圧縮強度および曲げ弾
性率が低く、平均線膨張率が大きかった。これは、機械
的物性が劣り、反りやへたり現象を起こし易く、且つ、
寸法安定性も悪いことを示している。さらに、ガラス繊
維を使用している比較例2、4の複合発泡体では、切断
加工性が悪く、切断加工時にガラス繊維の微粉や粉塵等
が発生し、浮遊した。これは、人体や環境に対して好ま
しくない影響を及ぼすものであった。
【0167】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、圧
縮強度、曲げ強度、耐クリープ性、弾性回復力等の機械
的物性に優れるので、長期間使用された場合でも反りや
へたり現象を起こし難いと共に、寸法安定性に優れ、且
つ、軽量で、人体や環境に対して好ましくない影響を及
ぼすことも殆どない複合発泡体からなる畳芯材を提供す
ることができ、これは特に薄畳用の畳芯材として好適に
用いられる。
【0168】さらに、本発明による畳芯材は、ある一定
以上の曲げ歪みを与えると、塑性変形を生じ、形状保持
するので、平坦でない下地面に対しても、形状追従させ
ることが可能であり、不陸性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) は発泡体シートを示す斜視図であり、
図1(b) は図1(a) 中のA部の拡大図である。
【図2】図2は延伸シートの引張歪みと引張応力の関係
のグラフである。
【図3】図3は発泡体シートの圧縮歪みと曲げ応力の関
係のグラフである。
【図4】図4は複合発泡体の曲げ歪みと曲げ応力の関係
のグラフである。
【図5】図5は3種5層の積層品を示す分解斜視図であ
る。
【図6】図5は3種9層の積層品を示す分解斜視図であ
る。
【符号の説明】
(1) :ポリオレフィン系樹脂発泡体シート (2) :断面 (3) :セル (4) (6) :低密度ポリエチレン樹脂フィルム (5) (7) :ポリオレフィン系樹脂延伸シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平5−14379(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 15/02 102

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内在するセルのアスペクト比〔Dz(シ
    ート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅また
    は長さ方向に平行な最大径)〕の平均値が1.1〜4.
    0であり、且つ、発泡倍率が3〜20倍である、厚み4
    〜28mmのポリオレフィン系樹脂発泡体シートの少な
    くとも片面に、引張弾性率が5GPa以上である厚み1
    00〜2,000μmのポリオレフィン系樹脂シートが
    積層されてなり、曲げ弾性率0.5〜5.0GPaを有
    することを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂複合発泡
    体からなる畳芯材。
  2. 【請求項2】 内在するセルのアスペクト比〔Dz(シ
    ート厚み方向に平行な最大径)/Dxy(シート幅また
    は長さ方向に平行な最大径)〕の平均値が1.1〜4.
    0であり、且つ、発泡倍率が3〜20倍である、厚み4
    〜28mmのポリオレフィン系樹脂発泡体シートの少な
    くとも片面に、一方向に10倍以上延伸された引張弾性
    率が5GPa以上である厚み100〜2,000μmの
    ポリオレフィン系樹脂シートが積層されてなり、曲げ弾
    性率0.5〜5.0GPaを有することを特徴とする、
    ポリオレフィン系樹脂複合発泡体からなる畳芯材。
  3. 【請求項3】 畳芯材として請求項1または2記載の畳
    芯材を用いて構成してなる、厚み7〜30mmの薄畳。
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