JP2004339757A - 床下地材、床構造及びそれを用いた建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5MPa以上である硬質発泡体からなる床下地材、パーチクルボードまたは合板からなる床材に、上記床下地材が積層されて用いられた床構造、及び、該床構造が用いられた建物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層階住宅等における床下地材、床構造及びそれを用いた建物に関し、特に防音性が要求される住宅等に好適に用いられる床下地材、床構造及びそれを用いた建物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多層階住宅等における床構造においては、例えば、特許文献1に記載のように、柱によって支持された胴差や根太などの太い横架材の間に床ばりを支持し、その上に構造用面板からなる床下地材を取り付けた上、さらにその上面に床仕上材を貼着して仕上げてあるものが多用されていた。また、上記特許文献1においては、上記について、複数の柱の間を横架材によって連結し、四角形の平面を有する床材支持枠を形成すると共に、前記床材支持枠の上面に略四角形の切欠きを設け、その切欠きの中に構造用パネルを嵌め込んで周縁部を支持してなる木造建築における床板の支持構造が提案されている。
【0003】
しかし、上記に開示された床構造においては、床下地材などの床構造板上に床仕上材が単に貼着され積層されたものであり、その床構造における防音性は非常に乏しいものであった。したがって一般的には、上記防音性を向上するため、防音床構造として、床下地材や床仕上材の裏面などに防音性を有する樹脂発泡体や不織布などの緩衝層を積層一体化したものなどが用いられていた。
【0004】
しかし、上記防音性の優劣は緩衝層の性能で左右されるため、従来緩衝層についての改良が進められてきたが、本発明者の検討によれば、従来の緩衝層は通常5mm以上の厚みを必要とし、また、緩衝層自体が一般に柔軟性を有するため、上記のような防音床の上を歩行した際の歩行感において、いわゆる「ふかふか」する問題があった。このため、防音性と歩行感を両立することが求められていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−317562号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題点に鑑み、優れた防音性を有するとともに、「ふかふか」しない良好な歩行感を有する床下地材、床構造及びそれを用いた建物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の床下地材は、内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5MPa以上である硬質発泡体からなることを特徴とする。
請求項2記載の床構造は、パーチクルボードまたは合板からなる床材に、請求項1記載の床下地材が積層されて用いられることを特徴とする。
請求項3記載の建物は、請求項2記載の床構造が用いられたことを特徴とする。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における硬質発泡体は、内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0とされる。
【0009】
本明細書において用いられる用語「アスペクト比」は、硬質発泡体中の気泡における定方向最大径の比の個数(算術)平均値であり、シート厚み方向の直径Dzと面内方向の直径Dxyとの比Dz/Dxyとして表される。
【0010】
すなわち、図1に示すように、硬質発泡体(a)のシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意な断面(b)の10倍の拡大写真をとり、この写真中で無作為に選ばれる少なくとも50個の気泡における下記の2つの定方向最大径(Dz,Dxy)を測り、個数平均値を算出する。
【0011】
Dz:硬質発泡体中の気泡のz方向に平行な最大径
Dxy:硬質発泡体中の気泡のシート幅または長さ方向、すなわちz方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
【0012】
内在する気泡のアスペクト比が上記の範囲となることによって、本発明における硬質発泡体はその厚み方向に圧縮力を受けると、厚み方向に長い紡錘形の気泡の長軸方向に力がかかることになるので厚み方向に高い圧縮強度を示す。
【0013】
アスペクト比の平均値が1.1を下回ると、気泡がほぼ球形となり、紡錘形に起因する圧縮弾性率、圧縮強度の向上が得られず、良好な歩行感が得られにくくなる。アスペクト比の平均値が4.0を越えると、硬質発泡体が衝撃を受けたときに破壊が起こり易くなり、割れや欠けが発生しやすくなる。また、上記硬質発泡体に内在する気泡のDxyの平均値は500μm以上であることが好ましい。
【0014】
通常発泡体は、化学発泡によって得られるものと、物理発泡によって得られるものがあるが、上記硬質発泡体が熱融着により他の材料に積層される場合には、前者の方法が好ましい。
【0015】
また、硬質発泡体に用いられる材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂であることが、防音性に優れ、しかもリサイクル性や焼却廃棄性に優れる点で好ましい。
【0016】
上記において、化学発泡による発泡体は、例えば加熱により分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予めポリオレフィン系樹脂組成物に分散させておき、得られた発泡性組成物を一旦シート状の原反に賦形した後、加熱して発泡剤より発生するガスにより発泡させることで製造されうる。熱分解型化学発泡剤の代表例としては、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。化学発泡剤の添加量は樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜20重量部である。
【0017】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アイソタクチックもしくはシンジオタクチックホモポリプロピレン、ブロックプロピレン共重合体、ランダムプロピレン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいが、2種以上が組み合わされて併用されてもよい。
【0018】
上記ポリオレフィン系樹脂には、30重量%以下の範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリスチレン等の相溶性を有する熱可塑性樹脂、エラストマー等が混合されて用いられてもよい。
【0019】
上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、余り大き過ぎても、又、反対に小さ過ぎても発泡安定性を低下させるものであるので、好ましくは、JIS K 7210に準拠して測定された値で、0.1〜20g/10分である。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂は、必要に応じて架橋されたものであってもよい。架橋の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、電子線等の電離性放射線を照射する電子線架橋法、有機過酸化物等を用いた化学架橋法、又は、シラン変性樹脂を用いたシラン架橋法等が挙げられる。
【0021】
上記ポリオレフィン系樹脂の架橋の度合いは、余り高過ぎると、発泡倍率が低下すると共に、熱成形性が低下し、余り低過ぎると、熱安定性が低下し、且つ、発泡時のセル(気泡壁)が破泡し、均一な気泡が得られなくなることがあるので、架橋の指標となるゲル分率は、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である。
【0022】
尚、本発明において、上記ゲル分率とは、ポリオレフィン系樹脂発泡体を、120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前のポリオレフィン系樹脂発泡体重量に対する百分率(重量)である。
【0023】
硬質発泡体を得る製造方法は特に限定されないが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂および変性用モノマーを溶融混和して変性ポリオレフィンを得、変性ポリオレフィンに熱分解型化学発泡剤を分散させ、得られた発泡性樹脂組成物を一旦シート状の原反に賦形した後、得られた発泡性シートを熱分解型化学発泡剤の分解温度以上に加熱して化学発泡させる方法である。
【0024】
本発明方法で用いる変性用モノマーは、ラジカル反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物である。上記官能基としてはオキシム基、マレイミド基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が例示される。変性用モノマーは、好ましくは、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマーである。また、変性用モノマーはキノン化合物のような、分子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物であってもよい。
【0025】
上記のような樹脂変性方法をとることで、成形された発泡性シート原反架橋度が低いにも拘らず、これを常圧で発泡させることが可能となる。
【0026】
シート状発泡性原反の賦形方法としては、押出成型の他、プレス成型、ブロー成型、カレンダリング成型、射出成型など、プラスチックの成型加工で一般的に行われる方法が適用可能であるが、スクリュ押出機より吐出する発泡性樹脂組成物を直後賦形する方法が生産性の観点から好ましい。この方法では、一定寸法幅の連続原反シートを得ることができる。
【0027】
シート状原反の化学発泡は、通常、熱分解型化学発泡剤の分解温度以上、熱可塑性樹脂の熱分解温度以下の温度範囲で行われる。特に連続式発泡装置としては、加熱炉の出口側で発泡体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡機の他、ベルト式発泡機、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽など、あるいは熱浴中で発泡を行うオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどが使用される。
【0028】
上述の紡錘形気泡からなる硬質発泡体、すなわち、気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0である発泡体を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、発泡中の原反の面内方向(xy方向)の発泡力を抑制し得る強度を有する面材を発泡前の原反の少なくとも片面に積層する方法が好ましい。
【0029】
発泡前の原反の少なくとも片面に上記面材を積層することにより、発泡時における原反の面内の二次元方向(xy方向)の発泡を抑制し、厚み方向(z方向)にのみ発泡させることが可能となって、得られる発泡体シート内部の気泡は厚み方向にその長軸を配向した紡錘形の気泡となる。
【0030】
上記面材は、原反の発泡温度以上の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度および熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、紙、布、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維や無機繊維から成る織布や不織布、寒冷紗、ガラス繊維、炭素繊維、等が好適に用いられる。また、例えばテフロン(登録商標)シートのような離型性を有するシートを面材として用い、原反を厚み方向に発泡させた後、上記離型性シートを剥離して、発泡体シートを得ても良い。
【0031】
ただし、ポリオレフィン系樹脂以外の材料からなる面材を用いるときは、リサイクル性の観点より、その使用量は最小限度に留めることが好ましい。
【0032】
上記面材のなかでも、積層する際の投錨効果(アンカー効果)に優れ、人体や環境に対して悪い影響を及ぼすことの殆どないポリエチレンテレフタレート製の不織布がより好適に用いられる。
【0033】
本発明において、上記硬質発泡体は、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5Mpa以上とされる。発泡倍率が3未満の場合には十分な気泡の長軸と短軸の比が得られず、所望強度が得られことがあり、20を超える場合は個々の気泡における気泡壁が薄くなって、十分な圧縮強度を発現し得ないことがある。
【0034】
また、圧縮弾性率が5Mpa未満の場合は床下地材としての十分な剛性が得られないことがある。圧縮弾性率の上限は特に認められないが、50Mpaを超える場合は脆くなって、施工時などに欠けや割れが起こりやすくなることがあるので注意を要する。
【0035】
本発明の床下地材は、上記硬質発泡体からなるものであれば特に限定されず、上記発泡体が単体で用いられたものであってもよいし、例えば他の硬質板状体と積層されるなどの方法で組み合わせて用いられたものであってもよい。
【0036】
上記硬質板状体としては、特に限定されず、例えば、以下の(ア)〜(オ)に示すようなものが挙げられる。
(ア)単板(単一材料のむく板)
(イ)合板など[ベニヤ、パーチクルボード、繊維板(ファイバーボードともいう:MDFなど)など従来から床材として使われているもの]
(ウ)合成樹脂板[ポリエチレン樹脂板(超高分子量ポリエチレン板が望ましい)、ポリプロピレン樹脂板、塩化ビニル樹脂板など]
(エ)繊維強化合成樹脂板(ガラス繊維などで繊維強化された、ポリエステル樹脂板、エポキシ樹脂板、硬質ポリウレタン樹脂板など)
(オ)無機質板(磁器タイル、石板など)
【0037】
上記硬質発泡体及び硬質板状体は多層構造に積層されたものであってもよく、また、本発明の効果を損なわない限り部分的に組み合わせて用いられたものであってもよい。
【0038】
本発明の床構造は、パーチクルボードまたは合板からなる床材に、上記の床下地材が積層されて用いられることを特徴とするものである。上記積層方法としては、特に限定されず、例えば、パーチクルボードまたは合板が予め床材として施工された床面上に、上記床下地材が全面もしくは部分的に積層されて用いられてもよいし、パーチクルボードまたは合板からなる床材が施工される前に、全面もしくは部分的に上記床下地材が予め積層されて用いられてもよい。
【0039】
本発明の建物は、上記床構造が用いられたものであれば特に限定されるものではなく、一般の戸建て住宅や集合住宅などの多層階住宅等に好適に用いられるが、特に多層階に限られて用いられるものではなく、1階の床構造に用いられたものであってもよい。
【0040】
(作用)
本発明によれば、内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5MPa以上である硬質発泡体からなることを特徴とするので、優れた防音性を有するとともに、上記発泡体はその厚み方向に圧縮力を受けると、厚み方向に長い紡錘形の気泡の長軸方向に力がかかることになるので厚み方向に高い圧縮強度を示し、「ふかふか」しない良好な歩行感を有するものとなる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するために、以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
1.ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの作製
(1)変性ポリオレフィン系樹脂の調製
変性ポリオレフィン系樹脂を調製するために、同方向回転2軸スクリュー押出機(プラスチック工学研究所社製、型式「BT40型」)を用いた。この押出機は、セルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、D(直径)は39mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側にかけて第6バレルに区分され、成形ダイは3穴ストランドダイであり、第4バレルには揮発分を回収するための真空ベントが設置されている。以下の操作においては、第1バレルの温度を180℃、第2バレルから第6バレルの温度および3穴ストランドダイの温度を220℃に設定し、スクリュー回転数を150rpmに設定した。
【0042】
上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後端に備えられたホッパーから、ポリオレフィン系樹脂としてランダムポリマー型のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「EX6」、MFR1.8g/10分、密度0.9g/cm3、)を10kg/時間の供給量で押出機内に投入した。次に、第3バレルから、ジビニルベンゼン(変性用モノマー)および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(有機過酸化物)の混合物を押出機内に注入し、これらを均一に溶融混練して、変性ポリプロピレン樹脂を調製した。
【0043】
次いで、この変性ポリプロピレン樹脂を3穴ストランドダイから吐出した後、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性ポリプロピレン樹脂のペレットを得た。変性用モノマーおよび有機過酸化物の注入量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、変性用モノマー0.5重量部および有機過酸化物0.1重量部であった。また、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空吸引した。
【0044】
(2)発泡性シートの作製
上記で得られた変性ポリプロピレン樹脂に未変性ポリプロピレン樹脂および発泡剤を添加するために、同方向回転2軸スクリュー押出機(日本製鋼所社製、型式「TEX−44型」)を用いた。この押出機は、セルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、D(直径)は47mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側にかけて第1バレルから第12バレルに区分され、第12バレルの先端部には成形ダイとしてTダイが設定されている。また、発泡剤を供給するために、第6バレルにはサイドフィーダーが設置されており、第11バレルには揮発分を回収するための真空ベントが設置されている。以下の操作においては、第1バレルを常時冷却し、第1ゾーン(第2バレルから第4バレル)の温度を150℃、第2ゾーン(第5バレルから第8バレル)の温度を170℃、第3ゾーン(第9バレルから第12バレル)の温度を180℃、第4ゾーン(Tダイおよびアダプター部)の温度を160℃に設定し、スクリュー回転数を40rpmに設定した。
【0045】
上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後端に備えられたホッパーから、前工程(1)で得られたペレット状の変性ポリプロピレン樹脂、および未変性のホモポリマー型のポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「FY4」、MFR5.0g/10分、密度0.9g/cm3)を、それぞれ10kg/時間(合計20kg/時間)の供給量で押出機内に投入した。また、第6バレルに設けられたサイドフィーダーから、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を1.0kg/時間の速度で供給量で押出機内に投入し、これらを均一に溶融混練して、発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を調製した。次いで、この樹脂組成物をTダイから押し出し、幅1100mm、厚み0.7mmの発泡性シートを作製した。
【0046】
(3)面材付き発泡性シートの作製
上記で得られた発泡性シートの両面に、面材としてポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、商品名「スパンボンドエクーレ6301A」、坪量30g/m2)を重ね、プレス成形機を用いて、180℃の加熱加圧条件で積層して、2m×1mの面材付き発泡性シートを得た。
【0047】
(4)発泡
次いで、上記面材付き発泡性シートを、230℃の加熱炉中で約10分間加熱して、発泡させ、面材付きの硬質発泡体からなる床下地材(厚み6mm)を得た。
【0048】
(比較例1)
12mm厚の合板を床下地材として使用した。
(比較例2)
高比重充填材(砂鉄)及びアスファルトからなる混練物をポリエステル不織布でサンドイッチした厚み6mmの遮音シート単体を床下地材として使用した。
【0049】
上記実施例及び比較例について以下の方法で評価した。評価結果は表1に示した。
(1)硬質発泡体の特性測定
上記実施例により得られた硬質発泡体の特性{▲1▼気泡のアスペクト比(Dz/Dxy)の平均値、▲2▼発泡倍率}を以下の方法で測定した。
▲1▼気泡のアスペクト比(Dz/Dxy)の平均値
硬質発泡体を厚み方向(z方向)にカットし、断面の中央部を光学顕微鏡で観察しながら15倍の拡大写真を撮った。次いで、写真に写った全ての気泡のDzとDxyをノギスで測定した後、気泡毎のDz/Dxyを算出し、気泡100個分のDz/Dxyの個数平均を算出して、アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値とした。但し、実際のDzが0.05mm以下および10mm以上の気泡は除外した。
▲2▼発泡倍率
硬質発泡体よりシート状の試料をカッターで切り出した後、JIS K6767に準拠して、見掛け密度を測定し、その逆数を発泡倍率(倍)とした。
【0050】
(2)床下地材の性能評価
上記実施例及び比較例の床下地材の特性(▲1▼圧縮弾性率、▲2▼曲げ剛性)を以下の方法で測定した。
▲1▼圧縮弾性率
JIS K7220に準拠して圧縮弾性率を測定した。
▲2▼曲げ剛性
JIS K7221に準拠し、スパン100mm、速度5mm/分の条件で3点曲げ試験を行い、23℃における曲げ剛性を求めた。
(3)床構造の評価
実施例及び比較例2の床下地材を厚み6mmの合板に接着剤(積水化学工業社製、変性シリコーン弾性接着剤「セキスイボンド#65」)で積層し、比較例1の床下地材とともにその特性(▲1▼防音性能、▲2▼沈み込み量)を以下の方法で評価した。
▲1▼防音性能
JIS A1418に準拠して軽量衝撃レベルを測定し、防音性能LLとして表示した
▲2▼沈み込み量
直径50mmの圧子端子を床材(硬質板状体)に800Nの力で押し付けたときの変位を沈み込み量とした(3mm以上沈み込むと歩行感が悪いとされる)。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から明らかなように、本発明の実施例においては、防音性が良好で且つ沈み込み量が小さいことがが判明した。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、優れた防音性を有するとともに、「ふかふか」しない良好な歩行感を有する床下地材、床構造及びそれを用いた建物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は硬質発泡体の概略斜視図、図1(b)は図1(a)中のz方向に平行な断面の一部の拡大概略図である。
Claims (3)
- 内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5MPa以上である硬質発泡体からなることを特徴とする床下地材。
- パーチクルボードまたは合板からなる床材に、請求項1記載の床下地材が積層されて用いられることを特徴とする床構造。
- 請求項2記載の床構造が用いられたことを特徴とする建物。
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