JP2004339886A - 浴室リフォーム部材及び浴室リフォーム方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂が用いられた浴室リフォーム部材であって、リフォームされた面の外観が良好であり、鋸屑発生などがなく、軽量性、切断性などの施工性が良好で、経済性に優れた浴室リフォーム部材及びそれを用いた浴室リフォーム方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の少なくとも片面に化粧用フィルムが貼り付けられ、前記板状発泡体の内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0である浴室リフォーム部材、及び前記浴室リフォーム部材を接着剤又は粘着材を用いて浴室の内側に貼り付ける浴室リフォーム方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴室リフォーム部材及びそれを用いた浴室リフォーム方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、浴室の内側(壁、天井、床など)のリフォーム方法としては、普通の室内と同様に化粧用フィルムなどのフィルム部材を浴室の内側に貼り付ける方法が一般的であった。しかし、通常浴室の内側は、例えばタイル目地部などの凹凸が多数存在する場合が多く、上記フィルム部材などの施工においては熟練と時間を要するものであった。
【0003】
また、上記のリフォーム方法においては、フィルム部材がタイル目地部などの凹凸に影響されて凹凸や皺を形成しやすいため、リフォームされた面の外観が悪くなるという問題があった。この問題を解決するため、例えば、厚みの大きなフィルム部材(又はシート部材)や板状のプレート部材などを貼り付けて凹凸を覆い隠す方法などが採られる場合もあるが、この場合には部材が重くなりすぎること、現場で施工する際に切断し難くいこと、また切断時の鋸屑などが多量に発生することなどの問題があった。
【0004】
上記の問題に関し、特許文献1には、板状の発泡樹脂層と、該発泡樹脂層の表面に積層されたフィルム状の非発泡樹脂層とを備えた防水性を有する浴室リフォーム用壁材が開示されている。
【0005】
しかし、近年のリフォーム部材においては、環境意識や廃棄物の処理の問題から、環境負荷の少ないポリオレフィン系の材料が要望され、本発明者の検討によれば、ポリオレフィン系樹脂板状発泡体などのポリオレフィン系の材料は一般に柔らかすぎるため、上記のような浴室リフォーム部材として使用し、美しく仕上げるためには、その表面に厚みの大きなフィルム部材(又はシート部材)や板状のプレート部材などを貼り付けて用いる必要があった。したがってこの場合には、コストなどの経済面の問題に加えて、上記の問題、すなわち、軽量性、切断性、鋸屑発生などの問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−25138号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の浴室リフォーム部材の問題点に鑑み、ポリオレフィン系樹脂が用いられた浴室リフォーム部材であって、リフォームされた面の外観が良好であり、鋸屑発生などがなく、軽量性、切断性などの施工性が良好で、経済性に優れた浴室リフォーム部材及びそれを用いた浴室リフォーム方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の浴室リフォーム部材は、ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の少なくとも片面に化粧用フィルムが貼り付けられ、前記板状発泡体の内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0であることを特徴とする。
請求項2記載の浴室リフォーム方法は、請求項1記載の浴室リフォーム部材を接着剤又は粘着材を用いて浴室の内側に貼り付けることを特徴とする。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂板状発泡体において、ポリオレフィン系樹脂の主体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマーの単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではなく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体などが好適に用いられるが、中でもポリエチレンやポリプロピレンが好適に用いられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上の組合わせであってもよい。
【0010】
本発明において用いられるポリオレフィン系樹脂とは、上記ポリオレフィンの割合が70〜100重量%である樹脂組成物を指す。ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン以外の成分は限定されないが、例えば、ポリスチレン、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂中のポリオレフィンの割合が70重量%を下回ると、ポリオレフィンの特徴である軽量、耐薬品性、柔軟性、弾性等が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合があるので好ましくない。
【0011】
更に、上記ポリオレフィン系樹脂は、変性用モノマーが添加されているポリオレフィン系樹脂組成物であってもよい。
【0012】
上記変性用モノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー、キノン化合物等が挙げられる。これらの変性用モノマーは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0013】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂板状発泡体は、内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0とされる。
【0014】
本発明において用いられる「アスペクト比」とは、ポリオレフィン系樹脂板状発泡体中の気泡における定方向最大径の比の個数(算術)平均値であり、シート厚み方向の直径Dzと面内方向の直径Dxyとの比Dz/Dxyとして表される。
【0015】
すなわち、図1に示すように、ポリオレフィン系樹脂板状発泡体(a)のシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意な断面(b)の10倍の拡大写真をとり、この写真中で無作為に選ばれる少なくとも50個の気泡における下記の2つの定方向最大径(Dz,Dxy)を測り、個数平均値を算出する。
【0016】
Dz:ポリオレフィン系樹脂板状発泡体中の気泡のz方向に平行な最大径
Dxy:ポリオレフィン系樹脂板状発泡体中の気泡のシート幅または長さ方向、すなわちz方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
【0017】
内在する気泡のアスペクト比が上記の範囲となることによって、本発明におけるポリオレフィン系樹脂板状発泡体はその厚み方向に圧縮力を受けると、厚み方向に長い紡錘形の気泡の長軸方向に力がかかることになるので厚み方向に高い圧縮強度を示すとともに、厚み方向と垂直な面方向(xy方向)においては良好な柔軟性を示す。また、得られる発泡体は、例えばカッターナイフで容易に切断可能なものとなる。
【0018】
アスペクト比の平均値が1.1を下回ると、気泡がほぼ球形となり、紡錘形に起因する厚み方向の圧縮強度、及び面方向の柔軟性の向上が得られず、軽量性、切断性が低下する。アスペクト比の平均値が4.0を越えると、発泡体の製造が困難になることがある。
【0019】
上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体に内在する気泡のDxyの平均値は、更に圧縮強度が向上する点で、500μm以上であることが好ましい。
【0020】
通常発泡体は、化学発泡によって得られるものと、物理発泡によって得られるものがあるが、上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体が熱融着により他の材料に積層される場合には、前者の方法が好ましい。
【0021】
上記において、化学発泡による発泡体は、例えば加熱により分解ガスを発生する熱分解型化学発泡剤を予めポリオレフィン系樹脂組成物に分散させておき、得られた発泡性組成物を一旦シート状の原反に賦形した後、加熱して発泡剤より発生するガスにより発泡させることで製造されうる。熱分解型化学発泡剤の代表例としては、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。化学発泡剤の添加量は樹脂組成物100重量部に対して好ましくは2〜20重量部である。
【0022】
上記ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、余り大き過ぎても、又、反対に小さ過ぎても発泡安定性を低下させるものであるので、好ましくは、JIS K 7210に準拠して測定された値で、0.1〜20g/10分である。
【0023】
上記ポリオレフィン系樹脂は、必要に応じて架橋されたものであってもよい。架橋の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、電子線等の電離性放射線を照射する電子線架橋法、有機過酸化物等を用いた化学架橋法、又は、シラン変性樹脂を用いたシラン架橋法等が挙げられる。
【0024】
上記ポリオレフィン系樹脂の架橋の度合いは、余り高過ぎると、発泡倍率が低下すると共に熱成形性が低下し、余り低過ぎると、熱安定性が低下すると共に発泡時のセル(気泡壁)が破泡しやすくなり、均一な気泡が得られなくなることがあるので、架橋の指標となるゲル分率は、好ましくは1〜30重量%である。
【0025】
尚、本発明において、上記ゲル分率とは、ポリオレフィン系樹脂発泡体を、120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前のポリオレフィン系樹脂発泡体重量に対する百分率(重量)である。
【0026】
上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の製造方法としては、特に限定されないが、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂および変性用モノマーを溶融混和して変性ポリオレフィンを得、変性ポリオレフィンに熱分解型化学発泡剤を分散させ、得られた発泡性樹脂組成物を一旦シート状の原反に賦形した後、得られた発泡性シートを熱分解型化学発泡剤の分解温度以上に加熱して化学発泡させる方法である。
【0027】
上記のような樹脂変性方法をとることで、成形された発泡性シート原反架橋度が低いにも拘らず、これを常圧で発泡させることが可能となる。
【0028】
シート状発泡性原反の賦形方法としては、押出成型の他、プレス成型、ブロー成型、カレンダリング成型、射出成型など、プラスチックの成型加工で一般的に行われる方法が適用可能であるが、スクリュ押出機より吐出する発泡性樹脂組成物を直後賦形する方法が生産性の観点から好ましい。この方法では、一定寸法幅の連続原反シートを得ることができる。
【0029】
シート状原反の化学発泡は、通常、熱分解型化学発泡剤の分解温度以上、熱可塑性樹脂の熱分解温度以下の温度範囲で行われる。特に連続式発泡装置としては、加熱炉の出口側で発泡体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡機の他、ベルト式発泡機、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽など、あるいは熱浴中で発泡を行うオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどが使用される。
【0030】
上述の紡錘形気泡からなる発泡体、すなわち、気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0である発泡体を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、発泡中の原反の面内方向(xy方向)の発泡力を抑制し得る強度を有する面材を発泡前の原反の少なくとも片面に積層する方法が好ましい。
【0031】
発泡前の原反の少なくとも片面に上記面材を積層することにより、発泡時における原反の面内の二次元方向(xy方向)の発泡を抑制し、厚み方向(z方向)にのみ発泡させることが可能となって、得られるポリオレフィン系樹脂板状発泡体内部の気泡は厚み方向にその長軸を配向した紡錘形の気泡となる。
【0032】
上記面材は、原反の発泡温度以上の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度および熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、紙、布、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維や無機繊維から成る織布や不織布、寒冷紗、ガラス繊維、炭素繊維、等が好適に用いられる。また、例えばテフロン(登録商標)シートのような離型性を有するシートを面材として用い、原反を厚み方向に発泡させた後、上記離型性シートを剥離して、板状発泡体を得ても良い。ただし、ポリオレフィン系樹脂以外の材料からなる面材を用いるときは、リサイクル性の観点より、その使用量は最小限度に留めることが好ましい。
【0033】
上記面材のなかでも、積層する際の投錨効果(アンカー効果)に優れ、人体や環境に対して悪い影響を及ぼすことの殆どないポリエチレンテレフタレート製の不織布がより好適に用いられる。
【0034】
本発明において、上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体は、発泡倍率が3〜20倍、及び圧縮弾性率が5Mpa以上であることが好ましい。発泡倍率が3未満の場合には十分な気泡の長軸と短軸の比が得られず、軽量性、加工性及び柔軟性が得られないことがあり、20を超える場合は個々の気泡における気泡壁が薄くなって、十分な圧縮強度を発現し得ないことがある。
【0035】
また、圧縮弾性率が5Mpa未満の場合は浴室リフォーム部材としての十分な剛性が得られないことがある。圧縮弾性率の上限は特に認められないが、50Mpaを超えるものを得ようとすると、発泡倍率を低くする必要があるため、十分な気泡の長軸と短軸の比が得られず、軽量性、加工性及び柔軟性が得られないことがあるので注意を要する。
【0036】
本発明の浴室リフォーム部材は、上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の少なくとも片面に化粧用フィルムが貼り付けられたものである。本発明においては、上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体が厚み方向に高い圧縮強度を有し、面方向に適度な柔軟性を有するので、厚みの大きなシート部材やプレート部材を貼り付けて用いる必要が無く、一般に用いられる厚さの化粧用フィルムを用いることが可能となる。
【0037】
上記化粧用フィルムは、上記発泡体の片面または両面に貼り付けられたものに限らず、例えば、上記発泡体の端面を覆うように貼り付けられたものであってもよく、また、部分的に貼り付けられたものであってもよい。
【0038】
上記化粧フィルムの厚みとしては、特に限定されるものではないが、0.05〜2.5mmであると、本発明の効果がより確実に発揮され、軽量性などの施工性が向上する点で好ましい。また、浴室リフォーム部材全体の厚みとしては、通常1〜8mmのものが好適に用いられる。
【0039】
上記化粧用フィルムの材料としては、特に限定されないが、上記発泡体と同様にポリオレフィン系樹脂が用いられたものであると、上記発泡体と熱融着などによる貼り付けが可能になる点で好ましい。
【0040】
上記浴室リフォーム部材の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体と化粧用フィルムが各々個別に成形された後に貼り付けられてもよいし、上記発泡体の成形と同時に化粧フィルムが同時成形され貼り付けられたものであってもよい。貼り付ける手段としては、例えば、接着剤(ホットメルト接着剤も含まれる)、粘着剤、熱融着などの公知の手段を用いることができる。
【0041】
本発明の浴室リフォーム方法は、上記浴室リフォーム部材を接着剤又は粘着材を用いて浴室の内側に貼り付けることを特徴とするものである。ここで内側とは、浴室の壁、天井、床など浴室の内側の部分を指す。
【0042】
上記接着剤又は粘着剤を用いて貼り付ける方法としては、例えば、予め本発明の浴室リフォーム部材に粘着剤又は接着剤を塗布し、必要により離型シートを貼り付けたものを浴室の内側に(離型シートが貼り付けられたものは、離型シートを剥がした後)貼り付ける方法でもよいし、粘着剤又は接着剤を直接浴室の内側に塗布して貼り付ける方法でもよい。
【0043】
(作用)
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂板状発泡体が用いられ、内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0であるので、厚み方向に高い圧縮強度を示し、厚み方向と垂直な面方向(xy方向)においては良好な柔軟性を示すとともに、例えばカッターナイフなどで容易に切断可能なものとなり、鋸屑発生などがなく、軽量性、切断性などの施工性が良好な浴室リフォーム部材が得られる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
1.ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の作製
(1)変性ポリオレフィン系樹脂の調製
変性ポリオレフィン系樹脂を調製するために、同方向回転2軸スクリュー押出機(型式「BT40型」、プラスチック工学研究所社製)を用いた。この押出機は、セルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、D(直径)は39mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側にかけて第1〜4バレルに区分され、成形ダイは3穴ストランドダイであり、第4バレルには揮発分を回収するための真空ベントが設置されている。以下の操作においては、第1バレルの温度を180℃、第2バレルから第4バレルの温度および3穴ストランドダイの温度を220℃に設定し、スクリュー回転数を150rpmに設定した。
【0046】
上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後端に備えられた原料投入口から、ポリオレフィン系樹脂としてランダムポリマー型のポリプロピレン樹脂(三菱化学社製、商品名「EG8」、MFR0.8g/10分、密度0.9g/cm)を10kg/時間の供給量で押出機内に投入するとともに、同投入口から変性用モノマーとしてのp−キノンジオキシム(大内新興化学社製、「バルノックGM−P」)をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.75重量部の供給量で押出機内に投入し、これらを均一に溶融混練して、変性ポリプロピレン樹脂を調製しつつ3穴ストランドダイから吐出した後、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性ポリプロピレン樹脂のペレットを得た。押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空吸引した。
【0047】
(2)発泡性シートの作製
上記で得られた変性ポリプロピレン樹脂に未変性ポリプロピレン樹脂および発泡剤を添加するために、同方向回転2軸スクリュー押出機(型式「TEX−44型」、日本製鋼所社製)を用いた。この押出機は、セルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、D(直径)は47mmである。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側にかけて第1バレルから第12バレルに区分され、第12バレルの先端部には成形ダイとしてTダイ(幅1200mm、スリットギャップ0.7mm)が設定されている。また、発泡剤を供給するために、第6バレルにはサイドフィーダーが設置されており、第11バレルには揮発分を回収するための真空ベントが設置されている。以下の操作においては、第1バレルを常時冷却し、第1ゾーン(第2バレルから第4バレル)の温度を180℃、第2ゾーン(第5バレルから第8バレル)の温度を170℃、第3ゾーン(第9バレルから第12バレル)の温度を160℃、第4ゾーン(Tダイおよびアダプター部)の温度を180℃に設定し、スクリュー回転数を40rpmに設定した。上記2軸スクリュー押出機の第1バレル後端に備えられた原料投入口から、前工程(1)で得られたペレット状の変性ポリプロピレン樹脂を、10kg/時間の供給量で押出機内に投入すると同時にホモタイプのポリプロピレン(三菱化学社製「EA7」、MI=1.2g/10分)を10kg/時間の供給量で押出機内に投入した。また、第6バレルに設けられたサイドフィーダーから、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)を0.8kg/時間の供給量で押出機内に投入し、これらを均一に溶融混練して、発泡性ポリプロピレン樹脂組成物を調製した。次いで、この樹脂組成物をTダイから押し出し、発泡性シートを作製した。
【0048】
(3)発泡性複合シートの作製
上記発泡性シートを3本冷却ロールに通す際に、発泡性樹脂組成物シートの表裏両面に、面材としてのポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボンド エクーレ 6301A」、秤量30g/m、引張り強度:縦1.6kg/cm、横1.2kg/cm)を熱融着し、幅1150mm、厚み0.4mmのポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートを得た。
【0049】
(4)発泡上記ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートを、加熱ゾーンを有する連続発泡機にて、230℃で約8分間加熱発泡させ、幅1150mm、厚み3.5mm、発泡倍率10倍(cc/g)のポリオレフィン系樹脂板状発泡体を得た。得られた板状発泡体のアスペクト比は1.5であった。
【0050】
(5)上記ポリオレフィン系樹脂板状発泡体に、化粧用フィルムとしてポリプロピレン製の表面加飾フィルム(厚み0.5mm)をホットメルト接着剤で貼り付け一体化し厚み4mmの浴室リフォーム部材を得た。
【0051】
(6)上記浴室リフォーム部材を用い、必要な寸法にカッターナイフを用いて切断し、タイルからなる既設の浴室壁面に接着剤を塗布して、化粧用フィルムと反対側の面が接するように貼り付け、壁面のリフォームを完了した。
【0052】
その結果、上記実施例においては、浴室リフォーム部材が軽量であり、切断時に切り屑が全く発生せず容易に切断されるため、施工性が極めて良好であった。また、タイル目地部の凹凸の影響を受けることなく、良好な仕上がり外観が得られた。また、リフォーム後の壁面は、厚み方向に十分な圧縮強度を有し、指で押しても凹むことはなかった。更に、板状発泡体の断熱性が発揮され、リフォームされた壁面の冷たさを感じることは無かった。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環境不可の少ないポリオレフィン系樹脂が用いられた浴室リフォーム部材であって、厚み方向に高い圧縮強度を示し、厚み方向と垂直な面方向に良好な柔軟性を示し、例えばカッターナイフで容易に切断可能なものとなり、施工性及び外観に優れるとともに経済性にも優れた浴室リフォーム部材及びそれを用いた浴室リフォーム方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)はポリオレフィン系樹脂板状発泡体の概略斜視図、図1(b)は図1(a)中のz方向に平行な断面の一部の拡大概略図である。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂板状発泡体の少なくとも片面に化粧用フィルムが貼り付けられ、前記板状発泡体の内在する気泡のアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0であることを特徴とする浴室リフォーム部材。
  2. 請求項1記載の浴室リフォーム部材を接着剤又は粘着材を用いて浴室の内側に貼り付けることを特徴とする浴室リフォーム方法。
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