JP3124267B2 - 積層発泡シート、その成形体及び積層発泡シートの製造方法 - Google Patents
積層発泡シート、その成形体及び積層発泡シートの製造方法Info
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- JP3124267B2 JP3124267B2 JP11215423A JP21542399A JP3124267B2 JP 3124267 B2 JP3124267 B2 JP 3124267B2 JP 11215423 A JP11215423 A JP 11215423A JP 21542399 A JP21542399 A JP 21542399A JP 3124267 B2 JP3124267 B2 JP 3124267B2
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Description
し、より詳細には、リサイクル性に優れ、且つ、積層さ
れる熱可塑性樹脂発泡シートが特殊な気泡構造を有する
ことにより力学物性に優れている積層発泡シート、その
成形体及び積層発泡シートの製造方法に関する。
脂からなる発泡体シートは、軽量性、断熱性、柔軟性等
に優れているため、各種断熱材、緩衝材、浮揚材等に用
いられている。特にポリオレフィン系発泡体シートは、
二次的に熱成形することによって、車輌用のドア、天
井、インストルメンタルパネルなどの内装用部材におけ
る芯材に適応可能となり、その軽量性、剛性、耐熱性、
寸法安定性の面で有利なため、幅広く用いられている。
井材用の芯材としては、ポリオレフィン系樹脂発泡体の
両面に繊維強化樹脂シート等の表面材を積層したサンド
イッチ型の構造体が知られている。例えば特開平8−1
1254号公報には、熱可塑性樹脂発泡シートの少なく
とも一面に、180℃における引張弾性率が4〜10k
gf/mm2 である繊維強化熱可塑性樹脂シートが積層
されてなる複合発泡体が開示されている。この複合発泡
体は、ポリオレフィン系樹脂発泡体を芯材としたとき、
上記の性能を満たし、自動車用天井材等の用途に適して
いる。
5cc/g以上のポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた
場合は、曲げ強度および圧縮強度が不足するという欠点
があった。そのため、自動車用天井材の加工時又は取付
工程時に、曲げたわみや破損が起こり、自動車に取り付
けた際に取付部分が凹んだり、据え付け安定性が損なわ
れるたりするという問題点があった。また近年、自動車
の組立作業はモジュール化が進み、従来は後で組み付け
ていた周辺部材を予め天井材に組み付け、その後に天井
材を車体に装着する機会が増えたため、天井材には今ま
で以上の曲げ、および圧縮剛性が要求される。
える悪影響を最小限に留めるという観点から、樹脂製品
のリサイクル性が要求されている。ところが、特にポリ
オレフィン系の樹脂が用いられた場合には、樹脂発泡シ
ートの発泡性、熱賦形性を向上させるために、架橋処理
を施していることが多いが、このように架橋処理を施し
た樹脂はリサイクルしにくいという問題もある。
従来の積層発泡シートの問題点に鑑み、リサイクル性に
優れ、且つ、積層される熱可塑性樹脂発泡シートが特殊
な気泡構造を有することにより力学物性に優れている積
層発泡シート、その成形体及び積層発泡シートの製造方
法を提供することにある。
に、請求項1記載の発明は、多数の気泡を有する熱可塑
性樹脂発泡シートAと、該熱可塑性樹脂発泡シートの少
なくとも一面に積層された補強シートBとを備えた積層
発泡シートにおいて、発泡倍率が5cc/g以上であ
り、圧縮強度が1.0kgf/cm 2 以上であり、気
泡のアスペクト比Dz /Dxyのの平均値が1.2以上
2.2以下である熱可塑性樹脂発泡シートAと、ガラス
繊維シートまたは炭素繊維シートからなる補強シートB
が積層されてなる積層発泡シートを提供する。
Bを構成するサーフェイスマットの目付量が10〜50
g/m 2 である請求項1に記載の積層発泡シートを提
供する。
Bを構成するサーフェイスマットのバインダーが、Tg
=0〜40℃の熱可塑性樹脂からなる請求項1または2
に記載の積層発泡シートを提供する。また、請求項4記
載の発明は、熱可塑性樹脂発泡シートAと補強シートB
がB−A−Bの順に3層が直接熱融着されてなり、得ら
れた積層体の線膨張係数が9×10 -5 /℃以下である請
求項1〜3のいずれかに記載の積層発泡シートを提供す
る。
Bに熱可塑性樹脂からなる補強シートコート層Cが設け
られている請求項1〜4のいずれかに記載の積層発泡シ
ートを提供する。また、請求項6記載の発明は、補強シ
ートコート層Cを構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィ
ン系樹脂であり、その厚みが10〜200mmである請
求項5に記載の積層発泡シートを提供する。また、請求
項7記載の発明は、熱可塑性樹脂発泡シートA、補強シ
ートB、および補強シートコート層Cが、C−B−A−
B−Cの順に5層積層され熱融着されてなる請求項5ま
たは6に記載の積層発泡シートを提供する。
7のいずれかに記載の積層発泡シートが熱可塑性樹脂発
泡シートAの軟化温度以上に加熱され、二次賦形されて
なる積層発泡シートの成形体を提供する。また、請求項
9記載の発明は、連続成形品である発泡剤含有樹脂シー
トの少なくとも一面に、補強シートBを連続的に熱融着
によって一体化した後に、加熱により発泡剤含有シート
を連続的に発泡させることにより熱可塑性樹脂発泡シー
トAの少なくとも一面に補強シートBを備えた積層発泡
シートを形成する請求項1〜3のいずれかに記載の積層
発泡シートの製造方法を提供する。
フィン系樹脂にジオキシム化合物、ビスマレイミド化合
物、ジビニル化合物、ジアリル化合物、ジ(メタ)アク
リル化合物、トリ(メタ)アクリル化合物、テトラ(メ
タ)アクリル化合物、およびキノン化合物の少なくとも
1種からなる変性用モノマーを添加し、溶融混和して変
性ポリオレフィン系樹脂とし、次いで該変性ポリオレフ
ィン系樹脂に未変性のポリオレフィン樹脂および発泡剤
のうち少なくとも発泡剤を添加して発泡剤含有変性ポリ
オレフィン系樹脂としてシート状に賦形し、該シート状
に賦形された発泡剤含有変性ポリオレフィン系樹脂シー
トに補強シートを積層した後に加熱して発泡剤含有変性
のポリオレフィン系樹脂を連続的に発泡させる請求項9
に記載の積層発泡シートの製造方法を提供する。
いて)本発明において、熱可塑性樹脂発泡シートAは、
その内部に多数の気泡を有し、熱可塑性樹脂発泡シート
Aの発泡倍率は5cc/g以上、好ましくは10cc/
g以上であることが好ましい。このように発泡倍率を5
cc/g以上にすることによって、熱可塑性樹脂発泡シ
ートAの軽量化を図ることができる。熱可塑性樹脂発泡
シートAの発泡倍率が5cc/gを下回ると、積層発泡
シートの単位面積あたりの質量が増大するため、例え
ば、1人の作業員では積層発泡シートを自動車の天井に
取り付けることが困難になるなど、積層発泡シートの取
り扱い性が低下する。
率」とは、発泡体(本発明においては発泡シート)の比
容を意味し、以下の式により求められる。 発泡倍率(cc/g)=発泡体の体積(cc)/発泡体
の質量(g) なお、発泡倍率については、JIS K6767に詳細
に説明されており、見掛け密度Dの逆数である。
いて)熱可塑性樹脂発泡シートAの圧縮強度は1.0k
gf/cm2 以上、好ましくは1.5kgf/cm2 以
上、より好ましくは3.0kgf/cm2 以上である。
圧縮強度が1.0kgf/cm2 未満であると、熱可塑
性樹脂発泡シートAの最大曲げ強度も低くなるため、積
層発泡シートを加工したり、自動車の天井材として取り
付ける際には、作業者が誤って積層発泡シートを曲げて
破断してしまいやすい。また、この積層発泡シートを積
み重ねた際には、へたったり、変形することも多く、天
井材としてビスを用いて自動車に取り付けられる際に
は、このビスによりその周囲のシートがへこみ、取り付
け安定性が損なわれる場合がある。
度(σ)」は、厚み方向に加わる圧縮力に対する抵抗を
示す値であり、以下のようにして求められる。まず、長
さ50mm×幅50mmの熱可塑性樹脂発泡シートAを
積み重ねて、厚み約25mmの積層体を作成し、この厚
みを初期厚みとして正確に測定する。次いで、温度20
℃、湿度65%RHの条件下で、圧縮温度10mm/分
で、初期厚みの25%を圧縮して(すなわち、積層体の
厚みが初期厚みの75%となるように圧縮して)、その
荷重Wを測定し、このWを圧縮面積A(cm2 )で除算
して算出される。 圧縮強度(σ)=W(kgf)/A(cm2 )
係があり、発泡倍率が50cc/gを越える場合には、
1.0kgf/cm2 以上の圧縮強度を得ることは困難
になる傾向がある。従って、熱可塑性樹脂発泡シートA
の発泡倍率は50cc/g以下であることが好ましい。
て)熱可塑性樹脂発泡シートAに内在する気泡のアスペ
クト比Dz /Dxyの平均値は1.2以上、好ましくは
1.5以上、より好ましくは2以上であって、多くの気
泡が紡錘状である(以下、熱可塑性樹脂発泡シートA内
の気泡を、適宜「紡錘状気泡」と記述する)。気泡が紡
錘状である理由については後述する。
クト比Dz /Dxy」は、熱可塑性樹脂発泡シートA中の
気泡における特定方向の最大径の比の個数(算術)平均
値であり、以下のようにして求められる。発泡体シート
のシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意な断面
の10倍の拡大写真をとり、無作為に選ばれる少なくと
も50個の気泡の定方向最大径を以下の2方向で測り、
個数平均値を算出する。(図3参照) Dz :発泡シート中の気泡のz方向に平行な最大径 Dxy:発泡シート中の気泡のシート幅または長さ方向、
即ちz方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最
大径
い場合には高い圧縮強度を有した発泡体となるが、これ
は紡錘形の長軸方向(即ちz方向)に力を受けるからで
ある。気泡毎のDz /Dxyの平均値は1.2以上、好ま
しくは1.5以上、より好ましくは2以上である。1.
2を下回ると、気泡がほぼ球形となり、紡錘形状に起因
する圧縮強度の向上が得られないからである。
性樹脂について)熱可塑性樹脂発泡シートAにおける熱
可塑性樹脂は、発泡に適した樹脂であれば特に限定され
ないが、発泡に適しているという観点から、ポリオレフ
ィン系樹脂が好ましい。本明細書において用いられる用
語「ポリオレフィン系樹脂」とは、オレフィン性モノマ
ーの重合体または共重合体を指す。
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ホモタイプポ
リプロピレン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロッ
クタイプポリプロピレンなどのポリプロピレン、ポリブ
テンなどを挙げることができ、共重合体の例としては、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン
−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体などのようなエチレンを主成分とする共
重合体が挙げられる。この中でも、軽量性、耐薬品性、
柔軟性、高弾性などのポリオレフィン系樹脂の優れた特
性がより発揮されるという観点から、ポリエチレンおよ
びポリプロピレン、ならびにこれらの混合物が好まし
い。また、上記の2種以上の重合体または共重合体を混
合した混合物も、ここでいう「ポリオレフィン系樹脂」
に包含される。
ン、スチレン系エラストマーなどの他の樹脂が含まれて
いても良い。ただし、ポリオレフィン系樹脂中に30重
量%を越える他の樹脂が含まれている場合には、軽量
性、耐薬品性、柔軟性、高弾性などのポリオレフィン系
樹脂の優れた特性が発揮でき難くなる。さらに、ポリオ
レフィン系樹脂を後述する発泡剤を用いて発泡させよう
とする際には、ポリオレフィン系樹脂がある程度流動性
を有している必要があるため、ポリオレフィン系樹脂を
加熱してある程度溶融させる必要があるが、これらの他
の樹脂が30重量%を越えて配合されていると、これら
の樹脂の融点は、通常、ポリオレフィン系樹脂より高い
ので、樹脂が充分に溶融せず、樹脂が発泡に必要な流動
性を有しないため、結果として樹脂が発泡しない場合が
ある。
ン系樹脂を後述する発泡剤を用いて発泡させようとした
際には、ポリオレフィン系樹脂は溶融状態においてある
程度の強度を有する必要がある。しかし、通常のポリオ
レフィン系樹脂は、その溶融時の強度(以下、「融体強
度」と記述する)が低いために、発泡剤などにより気泡
を生じさせて発泡させた際には、生じた気泡は発泡内圧
に負けてしまって破泡してしまい、結果として発泡しな
い。
系樹脂を架橋させることにより融体強度を向上させて発
泡内圧に耐え得る状態にした後に発泡させることが従来
より行われていたが、架橋ポリオレフィン系樹脂は、溶
融軟化するものの、その流動性は著しく低下してしま
う。従って本発明においては、ポリオレフィン系樹脂
に、ラジカル反応し得る官能基を2個以上有する変性用
化合物(以下、このような化合物を、適宜「変性用モノ
マー」と記述する)を添加させることにより、ポリオレ
フィン系樹脂に融体強度を持たせるとともに、流動性を
も持たせることが好ましい。
オキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニル化合
物、アリル系多官能化合物、(メタ)アクリル系多官能
化合物およびキノン化合物等が挙げられる。ジビニル化
合物としてはジビニルベンゼンが、アリル系多官能化合
物としてはジアリル化合物が、(メタ)アクリル系多官
能化合物としてはジ(メタ)アクリル化合物、トリ(メ
タ)アクリル化合物、テトラ(メタ)アクリル化合物等
が挙げられる。なお、この変性用モノマーは単独で用い
られても良く、あるいは2種以上組み合わせて用いられ
ても良い。
マーがポリオレフィン系樹脂に添加されるので、得られ
る熱可塑性樹脂発泡シートAにおける気泡の形状が紡錘
状になり、高い圧縮強度が得られる。従来より用いられ
ている架橋ポリオレフィン系樹脂では、流動性が著しく
小さいため、発泡により生じた気泡は紡錘状気泡になら
ないため、圧縮強度は低い。
の1つであるジオキシム化合物とは、以下の化1に示さ
れるオキシム基またはこの水素原子を他の原子団R(主
として炭化水素基)で置換した化2に示される置換オキ
シム基を分子内に2つ有する化合物を意味し、例えば、
以下の化3に示されるp−キノンジオキシム、以下の化
4に示されるp、p’−ジベンゾイルキノンジオキシム
などが挙げられる。ジオキシム化合物は2種以上組み合
わせて用いることもできる。
の1つであるビスマレイミド化合物とは、以下の化5に
示されるマレイン酸イミド(マレイミド)構造を分子内
に2つ以上有する化合物を意味し、例えば、以下の化6
に示されるN,N’−p−フェニレンビスマレイミド、
以下の化7に示されるN,N’−m−フェニレンビスマ
レイミド、以下の化8に示されるジフェニルメタンビス
マレイミドなどが挙げられる。また、以下の化9に示さ
れるようなマレイミド構造が分子内に2個以上存在する
ポリマレイミドも、上記のモノマーと同じ効果を奏する
ので、ビスマレイミド化合物に包含される。
の1つであるジビニル化合物とは、例えば、以下の化1
0に示されるジビニルベンゼン化合物などが挙げられ
る。ジビニルベンゼン化合物において、2つのビニル基
の位置は特に限定されず、オルト位(o−ジビニルベン
ゼン)、メタ位(m−ジビニルベンゼン)、およびパラ
位(p−ジビニルベンゼン)のいずれであってもよい。
の1つであるアリル系多官能化合物の内のジアリル化合
物とは、アリル基(CH2 =CHCH2 −)を分子内に
2つ有する化合物を意味し、例えば、化11に示される
ようなジアリルフタレート、化12に示されるようなト
リアリルシアヌレート、化13に示されるようなトリア
リルイソシアヌレート、化14に示されるようなジアリ
ルクロレンデートなどが挙げられる。
の1つである(メタ)アクリル系多官能化合物の内のジ
(メタ)アクリル化合物、トリ(メタ)アクリル化合
物、テトラ(メタ)アクリル化合物とは、それぞれ(メ
タ)アクリル基を分子内に2つ、3つ、4つ有する化合
物を意味し、例えば、2個以上4個以下の(メタ)アク
リロイルオキシ基を有する化合物が該当する。
するジ(メタ)アクリル化合物としては、アルカンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アク
リレート、ビスフェノールAのエチレングリコール付加
物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピ
レングリコール付加物ジ(メタ)アクリレートなどが挙
げられる。
するトリ(メタ)アクリル化合物としては、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリス
リトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリ(メタ)
アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエチル
フォスフェートなどが挙げられる。
するテトラ(メタ)アクリル化合物としては、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げ
られる。
の1つであるキノン化合物としては、ヒドロキノン、p
−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキノンなど
が挙げられる。
モノマーの配合量は、モノマーの種類に応じていわゆる
当業者が適切に選択し得るが、おおむね、変性ポリオレ
フィン系樹脂100重量部に対して、0.05重量部以
上5重量部以下、好ましくは0.2重量部以上2重量部
以下の変性用モノマーが配合される。変性用モノマーの
配合量が0.05重量部未満である場合には、発泡に必
要な粘度を樹脂に確保することが難しく、一方、変性用
モノマーの配合量が5重量部を越える場合には、後に添
加する発泡剤を変性ポリオレフィン系樹脂中で均一に混
合できず、不用意にゲル分率が上がり、リサイクル性を
損なう場合があるだけでなく、変性ポリオレフィン系樹
脂に架橋が生じすぎる場合がある。
融混練・押出成形する押出機に高い負荷がかかったり、
メルトフラクチャーが発生する場合がある。さらに、発
泡剤含有熱可塑性樹脂シートを加熱して発泡させる際に
は、シート内における発泡圧力が高くなりすぎ、面方向
の発泡を抑制するための補助シートに引っ張り強度の小
さいものが使用できなくなる場合がある。また、製造さ
れた積層発泡シート中に未反応の変性用モノマーが多く
残留するため、人体に悪影響をもたらすと共に、製品コ
ストが上昇する傾向がある。なお、ゲル分率とは、発泡
剤を含有した樹脂シート(後述する)を、120℃のキ
シレン中に24時間浸漬した後の残差重量を、キシレン
浸漬前の発泡剤を含有した樹脂シートにおける架橋樹脂
分重量で除した重量百分率を指す。
は、ポリオレフィン系樹脂と変性用モノマーとを溶融混
和する。より詳細には、スクリュー押出機やニーダーな
どの混練装置に、ポリオレフィン系樹脂および変性用モ
ノマーを所定量ずつ投入し、溶融混和する。溶融混和の
際の温度は170℃以上ポリオレフィン系樹脂の分解温
度以下であり、好ましくは200℃以上250℃以下で
ある。170℃未満では、最終的に得られる発泡シート
における発泡倍率が充分高くならず、一方、250℃を
越える場合には、ポリオレフィン系樹脂が分解する傾向
がある。
マーを溶融混和して変性ポリオレフィン系樹脂を得る際
には、ポリオレフィン系樹脂と同種または異種のポリオ
レフィン系樹脂、あるいは他の熱可塑性樹脂と共に溶融
して混合してもよい。このようにポリオレフィン系樹脂
と共に溶融して混合される樹脂の種類および使用量は、
最終的に得られる積層発泡シートの成型性、外観、補強
シートとの接着性、積層発泡シートの発泡倍率、強度、
耐熱性、気泡の形状などによっていわゆる当業者によっ
て適切に選択され得る。
溶融混和して変性ポリオレフィン系樹脂を得た後には、
得られた変性ポリオレフィン系樹脂の流動性をさらに向
上させて発泡に必要なガス圧を低下させると共に、紡錘
形気泡をより形成させやすくするという観点から、変性
ポリオレフィン系樹脂に未変性のポリオレフィン系樹脂
を追加して溶融混和することが好ましい。変性ポリオレ
フィン系樹脂におけるポリオレフィン系樹脂と、未変性
のポリオレフィン系樹脂とは同一の種類であっても良
く、異なる種類であってもよい。
は、上記変性用モノマーと共に有機過酸化物を併用して
も良い。特に、ジビニル化合物、およびジアリル化合物
を変性用モノマーとして用いる場合には、有機過酸化物
を併用することが好ましい。有機過酸化物としては、ポ
リオレフィン系樹脂のグラフト化反応に対して一般的に
用いられる公知のものが用いられる。
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパ
ーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどが挙げら
れる。このなかでも、ジクミルパーオキサイド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、および2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−
ヘキシンが好ましい。これらの有機過酸化物は単独で用
いられても良く、あるいは2種以上組み合わせて用いら
れても良い。
系樹脂100重量部に対して0.001重量部以上0.
5重量部以下が好ましく、0.005重量部以上0.1
5重量部以下がより好ましい。0.001重量部未満で
ある場合には、グラフト化反応の転化が不十分であり、
0.5重量部を越える場合には、特にポリオレフィン系
樹脂としてポリプロピレンを用いた場合に、いわゆるβ
開裂が顕著に起こり、変性ポリオレフィン系樹脂の分子
量が低くなりすぎて、熱可塑性樹脂としての物性の低
下、または粘度低下による発泡不良が生じる場合があ
る。
記変性ポリオレフィン系樹脂を発泡させて所定の形状を
有する気泡を備えた発泡シートにするため、変性ポリオ
レフィン系樹脂には、発泡剤が添加される。発泡剤とし
ては、加熱により分解してガスを発生させる熱分解型発
泡剤が好ましく、無機系熱分解型発泡剤および有機系熱
分解型発泡剤のいずれも好ましく用いることができる。
重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニ
ウム、アジド化合物などが挙げられる。有機系熱分解発
泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビ
スイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテト
ラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスル
ホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスル
ホニルヒドラジド)、アゾジカルボン酸バリウム、トリ
ヒドラジノトリアジン、p−トルエンスルホニルセミカ
ルバジドなどが挙げられる。これらは単独で用いられて
も良く、2種以上組み合わせて用いられても良い。この
なかでも分解ピーク温度や分解速度の調整が容易であ
り、さらにガス発生量が多く、衛生上も優れているとい
う観点から、アゾジカルボンアミドを用いることが好ま
しい。
泡剤の量は、樹脂100重量部に対して1重量部以上5
0重量部以下、好ましくは2重量部以上35重量部以下
であり、所望される発泡倍率(少なくとも5cc/g以
上)に応じていわゆる当業者が適切に選択し得る。例え
ば、アゾジカルボンアミドが用いられる場合には、1g
当たり239cm2 のガスが発生するので、変性ポリオ
レフィン系樹脂100重量部当たり10重量部のアゾジ
カルボンアミドを添加すると、通常、発泡倍率が約20
倍になる。
する際には、溶融混練装置に変性ポリオレフィン系樹脂
を投入し、発泡剤が実質的に分解しない温度以下で変性
ポリオレフィン系樹脂を溶融混練し、この溶融混練され
た状態の変性ポリオレフィン系樹脂と発泡剤とを混合す
ることが好ましい。なお、変性ポリオレフィン系樹脂と
発泡剤とを混合させる際には、ポリオレフィン系樹脂と
変性用モノマーとを混和させて変性ポリオレフィン系樹
脂とするために用いる溶融混練装置と、変性ポリオレフ
ィン系樹脂と発泡剤とを混合するために用いる溶融混練
装置とは同一であってもよく、異なっていても良い。
樹脂(以下、適宜、単に「発泡剤含有変性ポリオレフィ
ン系樹脂」という)は、その後、シート状に賦形されて
発泡剤含有変性ポリオレフィン系樹脂シート(以下、適
宜、単に「発泡剤含有樹脂シート」という)にされる。
シート状に賦形する方法は特に限定されず、押出成形、
プレス成形、カレンダリング成形、射出成形などの一般
的にプラスチック成形加工において用いられる賦形方法
が用いられる。
熱可塑性樹脂発泡シートAの少なくとも一面に積層され
ていればよいが、熱可塑性樹脂発泡シートAの両面に積
層されていることが好ましい。本発明において用いられ
る補強シートBは特に限定されないが、補強シートBの
面方向の線膨張係数は5×10-5/℃以下であることが
好ましく、2×10-5/℃以下であることがより好まし
い。
℃を越える場合には、積層発泡シート全体の線膨張係数
も大きくなるため、積層発泡シートが自動車の天井材と
して用いられた際に激しい温度差のために伸び縮みが生
じることがある。また、夏期の高温時には、天井材が垂
れ下がってくる場合がある。さらに、自動車に積層発泡
シートを天井材として装着する前に、積層発泡シートを
熱賦形、プレス成形により所望の形状に賦形することが
あるが、線膨張係数が大きいと、熱賦形に供した際に積
層発泡シートに伸び縮みが生じるため、寸法安定性が低
下する傾向がある。
Dz /Dxyの平均値が1.2以上2.2以下である熱可
塑性樹脂発泡シートAと、ガラス繊維シートまたは炭素
繊維シートからなる補強シートBが積層されてなる積層
発泡シートは、二次賦形時の形状転写性、及び得られる
二次成形体の強度バランスに優れている点で好ましい。
更に好ましいDz /Dxyは、1.2〜2.0である。
補強シートBは、その引張強度が0.3kgf/cm2
以上であることが好ましい。後述するように、本発明に
係る積層発泡シートは、好ましくは、シート状に賦形さ
れた発泡剤含有変性ポリオレフィン系樹脂に補強シート
Bを積層して一体化し、その後加熱することにより変性
ポリオレフィン系樹脂を発泡させて作製されるが、こ
の、加熱により発泡剤含有変性ポリオレフィン系樹脂を
発泡させる際に、シート状の発泡剤含有変性ポリオレフ
ィン系樹脂上に積層されて一体化した補強シートBは、
変性ポリオレフィン系樹脂シートにおける面方向の発泡
を抑制し、これにより、熱可塑性樹脂発泡シートAのア
スペクト比Dz /Dxyが上記のような特定の値になる。
kgf/cm2 未満であると、加熱により発泡剤含有変
性ポリオレフィン系樹脂を発泡させる際に、面方向の気
泡の膨張を充分に抑制することができなくなり、このた
め熱可塑性樹脂発泡シートAのアスペクト比Dz /Dxy
が1.2未満となる場合がある。補強シートBは、熱可
塑性樹脂発泡シートAの少なくとも一面に積層されてい
ればよいが、熱可塑性樹脂発泡シートAの両面に積層さ
れていることが好ましい。両面に積層される補強シート
Bは同一のシートであっても、異なるシートであっても
よく、目的に応じて適切に選択され得る。
Bとしては、ガラス繊維または炭素繊維を主な素材とし
て用いているシートが好適に使用される。このような補
強シートBとしては、例えば、湿式で行う抄造法等、ま
たは乾式のサーマルボンド法やニードルパンチ法等によ
ってガラス繊維または炭素繊維から作製される不織布で
あるサーフェイスマット、及びロービングを織ったクロ
ス、ガラス繊維または炭素繊維を織ることにより作製さ
れるガラスクロスなどを挙げることが出来る。この中で
も特に、抄造法によって作製されるサーフェスマットが
好ましい。
製する場合、ガラス繊維の場合にはその長さが約30m
m以下であり、直径が約8μm以上約25μm以下であ
るものを用いることが好ましく、また炭素繊維の場合に
はその長さが約30mm以下であり、直径が約4μm以
上約15μm以下であるものを用いることが好ましい。
サーフェスマットの厚みおよび重量は特に限定されない
が、厚みは約10μm以上約1mm以下、重量は約10
g/m2 以上約50g/m2 以下であることが好まし
い。
結着させるためのバインダーが含まれるが、このような
バインダーとしては、バインダーが添加された場合の補
強シートの引張強度が0.3kgf/cm2 以上である
限り特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系
樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、不飽和ポリエステル系
樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂な
どが挙げられる。
ウレタンの他、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ
ブチル(メタ)アクリレート、ポリn−テトラデシル
(メタ)アクリレート、ポリn−プロピル(メタ)アク
リレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート等のア
クリル樹脂、ジメチルフタレート、ジメチルイソフタレ
ート等のフタル酸誘導体と、エチレングリコール、テト
ラメチレングリコールなどのグリコール反応をして得ら
れる飽和ポリエステル、さらには酢酸ビニル系樹脂等の
熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のT
gは0〜40℃の範囲のものであることが、二次賦形性
の観点から好ましい。なお該熱可塑性樹脂は、特にエマ
ルジョン型である場合には、抄造法で行うサーフェイス
マットの製造において有利となる。
トには、その表面を被覆する補強シートコート層Cが設
けられていることが好ましい。この補強シートコート層
Cは、樹脂発泡シートと補強シートとの接着性を向上さ
せ、さらに補強シートに用いられている繊維のバインダ
ーにもなるので、積層発泡シートを熱賦形により所望の
形状に賦形する際には、積層発泡シート(特に補強シー
ト)に伸び縮みが生じにくくなり、寸法安定性の向上を
図ることができる。また、補強シートには、ガラス繊
維、炭素繊維などが用いられており、本発明に係る積層
発泡シートを手に持った際にこれらが手の表皮に突き刺
さることがあるが、補強シートコート層Cはこれを防止
することができる。このような補強シートコート層C
は、補強シートの片面のみに設けられていても良く、補
強シートの両面に設けられていてもよい。
は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートなど
の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることが好まし
く、積層発泡シートに用いられる熱可塑性樹脂と同一の
樹脂を用いることが好ましい。なぜなら、この場合に
は、積層発泡シートに用いられる熱可塑性樹脂と補強シ
ートコート層Cを形成するフィルムに用いられている熱
可塑性樹脂とが相溶性を有し、積層発泡シートと補強シ
ートとの接着性も向上するからである。補強シートコー
ト層Cに用いられるフィルムの厚みは、上記接着性など
も考慮した上で適切に選択されるが、約10μm以上約
200μm以下であることが好ましい。
の積層・一体化)本発明においては、発泡剤含有樹脂シ
ートの少なくとも一面に補強シートBを積層して積層プ
レ発泡シートを作製した後、この積層プレ発泡シートを
加熱して、その変性ポリオレフィン系樹脂を発泡させて
熱可塑性樹脂発泡シートAにして積層発泡シートを得
る。積層方法および発泡方法は、発泡剤含有樹脂シート
と補強シートBとをしっかりと固着し、積層プレ発泡シ
ートを発泡させる時に補強シートBが面方向の発泡を抑
制して熱可塑性樹脂発泡シートにおけるアスペクト比D
z /Dxyを1.2以上にすることができる限り特に限定
されない。具体的積層方法としては、(1)発泡剤含有
樹脂シートを一旦冷却固化し、これに補強シートBを加
熱しながら貼付する方法、(2)発泡剤含有樹脂シート
を溶融状態になるまで加熱し、補強シートBに熱融着す
る方法、(3)発泡剤含有樹脂シートと補強シートBと
を適切な接着剤を用いて貼り合わせる方法などが挙げら
れる。
要求される場合には、積層発泡シートの厚みを細かく調
節できるという観点から、(1)の方法が最も好まし
い。(2)の方法においては、Tダイから押し出された
直後の溶融状態の発泡剤含有樹脂シートの少なくとも一
面に補強剤シートを軽く載置するようにして積層するこ
とにより発泡剤含有樹脂シートを補強シートBに熱融着
させ、次いで対向するように配設された1対の冷却ロー
ル間を通過させることにより、発泡剤含有樹脂シートを
固化すると共に冷却ロールの押圧力で発泡剤含有樹脂シ
ートと補強シートBとを一体化する方法が好ましい。さ
らには積層方法として、後に説明する発泡の工程の加熱
を利用して行うことも可能である。
「一体化」とは、発泡剤含有樹脂シート(または発泡剤
含有樹脂シートを発泡させた後の熱可塑性樹脂発泡シー
トA)と補強シートBとが一体化された状態で両者の界
面において剥離しようとした際に、これらが剥離せず、
高い割合(通常は50%を越える割合、好ましくは70
%を越える割合)でこれらが破壊する程度に固着されて
いる状態を指す。
Aの少なくとも一面に積層されて一体化されているの
で、熱可塑性樹脂発泡シートAとの間にある程度接着性
を有することが好ましいが、係る接着性がない補強シー
トBであっても、物理的なアンカー効果によって熱可塑
性樹脂発泡シートAと補強シートBとを接着し得る粘着
剤、接着剤、またはこれらと同様の作用を果たす熱可塑
性樹脂フィルムを用いることにより、熱可塑性樹脂発泡
シートAと補強シートBとを接着し、一体化することが
できる。
化した積層プレ発泡シートを適切に加熱することによ
り、発泡剤含有樹脂シートにおける変性ポリオレフィン
系樹脂を発泡させて熱可塑性樹脂発泡シートAとして積
層発泡シートを得る。加熱の際には、加熱温度と共にシ
ートに適切な圧力を加えて発泡倍率を調節してもよい。
発泡剤として熱分解型発泡剤を用いる場合には、その分
解温度の観点から、通常、加熱は(分解温度)以上(分
解温度+100℃)以下の範囲で行われる。上記加熱発
泡に用いられる装置としては特に限定されず、対向する
ように配設された1対の加熱ロールまたはベルトの間に
シートを通すロール式発泡装置またはベルト式発泡装
置、内部の温度が一定に保たれた縦型または横型加熱炉
(オーブン)の他、シートに熱風を吹き付ける熱風恒温
槽、シートを熱浴させるオイルバス、メタルバス、ソル
トバスなどが挙げられる。また、加熱発泡により得られ
た積層発泡シートを引き取ることにより連続的に発泡さ
せることが好ましい。
以下まで冷却し、得られた積層発泡シートを固化させる
ことが好ましい。冷却方法としては、冷却ローラ装置、
冷却ベルト装置などに得られた積層発泡シートを挟んで
通過させる方法などが挙げられる。このようにして得ら
れた積層発泡シートは、自動車の天井材、ドアの内張り
などの内装材、または屋上用断熱材、床用断熱材などの
断熱材、あるいは緩衝材、浮揚材などとして用いられる
が、軽量であること、熱による膨張が小さいこと、曲げ
破断が生じにくいことなどの観点から、自動車の天井材
として用いられることが好ましい。
いる場合、二次加工工程において異形断面形状に三次元
賦型することができる。この場合、一般的な圧縮成形機
で加熱型成型を行う熱プレス法の他、樹脂発泡シートの
軟化点以上に加熱した後、同軟化転未満の温度の型内で
形状転写を行うコールドプレス法や真空成型法が好まし
く実施される。また積層発泡シートが加熱されている状
態で、積層発泡シートの少なくとも片面に塩化ビニル樹
脂系やエラストマー系の合成皮革、不織布、ニットなど
の表皮材を積層し、上記の賦形を施すことで、これら表
皮材の熱貼付と三次元賦型とを同時に行うことができ
る。
を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る積層発
泡シートの実施形態の一例を表す断面図である。この積
層発泡シート1は、所定の線膨張係数および引張強度を
有する2枚の補強シートB(3)が、熱可塑性樹脂発泡
シートA(2)を挟むようにして積層・一体化されてい
る。補強シートB(3)の片面には補強シートコート層
C(31)が最外層となる様に設けられている。
る樹脂が、ポリオレフィン系樹脂に、ジオキシム化合
物、ビスマレイミド化合物、ジビニル化合物、アリル系
多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマーお
よびキノン化合物の少なくとも1種の変性用モノマーを
溶融混和してなる変性ポリオレフィン系樹脂である変性
ポリオレフィン系樹脂発泡シートの場合について、主に
作用の面から説明する。
(1)は、二次賦形により3次元的形状を有する成形体
として、主に車両用天井材に用いられる。例えば熱可塑
性樹脂発泡シートAとしての変性ポリオレフィン系樹脂
発泡シート(2)の発泡倍率は5cc/g以上であるの
で、非常に軽量である。従って、積層発泡シート(1)
の成形体を自動車などの車両の天井に取り付ける際に
は、積層発泡シート(1)を1人で持ち上げることが出
来るので、取り付け作業における負担を軽減することが
できる。
(2)の圧縮強度は1.0kgf/cm 2 以上であるの
で、その最大曲げ強度も高く、従ってこの積層発泡シー
ト(1)を加工して自動車の天井材として取り付ける際
には、作業者が誤って積層発泡シート(1)の成形体を
曲げて破断してしまうことがない。また、この積層発泡
シート(1)やその成形体を積み重ねた際には、へたっ
たり、変形することがなく、自動車の天井材としてビス
を用いて自動車に取り付けられた際には、このビスによ
りその周囲のシートがへこみ、取り付け安定性が損なわ
れることがない。
を用いて積層発泡シートを作製する際に、発泡倍率を高
くすると圧縮強度が低くなる傾向があるが、本発明にお
いては、積層発泡シート(1)内の変性ポリオレフィン
系樹脂発泡シート(2)における多数の気泡は、紡錘状
であり、このような紡錘状気泡のアスペクト比Dz /D
xyが1.2以上であるので、圧縮強度の低下が防止され
ている。すなわち、変性ポリオレフィン系樹脂発泡シー
ト(2)における紡錘状気泡のアスペクト比Dz /Dxy
は1.2以上であるため、厚み方向に圧縮されるような
力が積層発泡シートに加えられても、紡錘状気泡の長軸
方向に力がかかることになるので、熱可塑性樹脂発泡シ
ートAは係る圧縮力に充分耐えることが出来、高い圧縮
強度を有する。
が圧縮強度の高い熱可塑性樹脂発泡シートと、表面材が
引っ張り強度の高い補強シートBとのサンドイッチ構造
となる。積層発泡シート(1)に曲げ歪みを加わった
時、芯材の挫屈が起こりにくいため、結果的に最大曲げ
荷重は高くなるのである。
(1)の曲げ強度を補うと共に、その線膨張係数は、通
常、5×10-5/℃以下であるので、積層発泡シート
(1)全体、例えば、熱可塑性樹脂発泡シートA(2)
と補強シートB(3)がA−B−Aの順に積層された積
層体の場合に、好ましくは9×10-5/℃以下の如く、
線膨張係数が小さくなっている。このため、例えば、積
層発泡シート(1)が自動車の天井材として用いられた
際に激しい温度差のために伸び縮みが生じることがな
く、夏期の高温時には、天井材が垂れ下がってくること
もない。さらに積層発泡シート(1)を熱賦形に供した
際にも伸び縮みが生じにくく、高い寸法安定性および熱
賦形性を積層発泡シートに確保することができる。
マーを加えて、溶融混和等によって反応せしめた変性ポ
リオレフィン系樹脂は、通常の架橋ポリオレフィン系樹
脂とは異なり、化学発泡に必要な融体強度を有するとと
もに、高い流動性をも維持している。このため、発泡剤
との混練や、シート状に賦形することが容易となるとと
もに、上述の紡錘形の気泡を有する異方性発泡体の製造
をも可能とするのである。
は高い流動性が維持されているため、従来、用いられて
いた架橋ポリオレフィン系樹脂を用いる場合と比較し
て、発泡に必要なガス圧が低くなり、アスペクト比Dz
/Dxyが大きい紡錘状気泡が発生し易くなるからであ
る。また高い流動性は、積層発泡シート自体の成形性を
も向上させるので、平滑性などにも優れたシートの製造
も可能となる。変性ポリオレフィンの流動性は補強シー
トBとの一体化を熱融着で行う場合、アンカーによる接
着性能を大幅に改善する。この結果、架橋ポリオレフィ
ンでは必要であった接着層(例えば、補強シートコート
層Cを補強シートBの両面に設け、図2の如く7層の積
層発泡シートとなる)が不要となり、図1の如く5層の
積層発泡シートで同じ性能を発現することが可能とな
る。変性ポリオレフィン系樹脂に未変性のポリオレフィ
ン系樹脂を加えることは、これらの安定的製造を更に容
易にする。
ば、熱可塑性樹脂発泡シートAと補強シートBとの一体
化は発泡工程の前に行われるので、接合が強固に行え、
結果的に曲げ強度の増加や線膨張係数の低減などの、補
強シートBによる補強効果が高くなる。
樹脂は高い流動性を維持しているため、使用済みの、積
層発泡シート(1)やその成形体から変性ポリオレフィ
ン系樹脂発泡シート(2)を取り出し、リサイクルに供
することもできる。
する。 (変性ポリオレフィン系樹脂の調製)変性ポリオレフィ
ン系樹脂を調製するために、BT40(プラスチック工
学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機を用い
た。この押出機は、セルフワイピング2条スクリューを
備え、そのL/Dは35、D(直径)は39mmであ
る。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側にかけ
て第1バレルから第4バレルに区分され、第4バレルの
先端部には3穴ストランドダイ(以下単に「3穴ダイ」
と記述する)が備えられている。なお、シリンダーバレ
ル内で揮発した成分(特に変性用モノマー)を回収する
ために、第4バレルに真空ベントが設けられている。以
下の操作においては、第1バレルの温度を180℃、な
らびに第2バレル、第3バレル、第4バレル、および3
穴ダイの温度を220℃に設定し、スクリュー回転数を
150rpmに設定した。
れたホッパーから、ランダムタイプのポリプロピレン樹
脂(三菱化学株式会社製、商品名:EG8、MI(メル
トインデックス):0.8、密度0.9g/cm3 )、
および変性用モノマーとしてのp−キノンジオキシム
(大内新興化学株式会社製、商品名:バルノックGM−
P)をそれぞれ別々に投入した。ポリプロピレン樹脂は
10kg/hの割合で投入し、p−キノンジオキシムは
0.1kg/hの割合で投入して溶融混和した。このよ
うにして溶融混和して得られた変性ポリプロピレン樹脂
を3穴ダイから吐出した後、水冷し、次いでペレタイザ
ーで切断してペレット状の変性ポリプロピレン樹脂を得
た。
の添加)上記のようにして調製された変性ポリプロピレ
ン樹脂に未変性ポリプロピレン樹脂および発泡剤を添加
するため、TEX−44型(日本製鋼所株式会社製)同
方向回転2軸スクリュー押出機を用いた。この押出機
は、セルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/
Dは45.5、Dは47mmである。シリンダーバレル
は押出機の上流から下流側にかけて第1バレルから第1
2バレルに区分され、第12バレルの先端部にはアダプ
ターを介して7穴ストランドダイ(以下単に「7穴ダ
イ」と記述する)が備えられている。
ルにはサイドフィーダーが設けられており、シリンダー
バレル内で揮発した成分(特に発泡剤)を回収するため
に、第11バレルに真空ベントが設けられている。以下
の操作においては、第1バレルを常に冷却し、第2バレ
ルから第4バレルの温度を150℃、第5バレルから第
8バレルの温度を170℃、第9バレルから第12バレ
ルの温度を180℃、ならびにアダプターおよび7穴ダ
イの温度を160℃に設定し、スクリュー回転数を40
rpmに設定した。
れたホッパーから、上記ペレット状の変性ポリプロピレ
ン樹脂、および未変性のホモタイプのポリプロピレン樹
脂(三菱化学株式会社製、商品名:EA7、MI:1.
2、密度0.9g/cm3 )を投入した。両ポリプロピ
レン樹脂とも、10kg/時間の割合で投入すると共
に、第6バレルに設けられたサイドフィーダーからは、
発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(ADCA)を2
kg/時間の割合で投入し、溶融混練した。このように
して溶融混練して得られた変性ポリプロピレン樹脂を7
穴ダイから吐出した後、水冷し、次いでペレタイザーで
切断してペレット状の発泡剤含有変性ポリプロピレン樹
脂を得た。
ようにして得られた発泡剤含有変性ポリプロピレン樹脂
を、プレス成型機を用いてシート状に賦形し、発泡剤含
有変性ポリプロピレン樹脂シートを得た。賦形温度は1
80℃、圧力は200kgf/cm2 とし、5分間、加
熱プレス成形を行った。こうして340×340×0.
2mmの変性ポリプロピレン樹脂シートを得た。なお、
発泡剤含有変性ポリプロピレン樹脂シートを得た後に
は、これを冷却して変性ポリプロピレン樹脂を固化し
た。
ート状のガラスペーパー(オリベスト株式会社製、商品
名:SUO−30B、線膨張係数:0.2×10-5/
℃、重量:33.6g/m2 、厚み:0.3mm、ガラ
ス繊維径:9μm、ガラス繊維長:25mm、バインダ
ー:アクリレート系エマルジョン樹脂)を補強シートB
として用い、この片面に、120μmの厚みを有するフ
ィルム状に成形した補強シートコート層Cとしての高密
度ポリエチレン(旭化成株式会社製、商品名:サンテッ
クJ320、密度0.962g/cm3 、MI:13)
を積層させた後、賦形温度を180℃、圧力を200k
gf/cm2 として5分間加熱プレス成形した。このプ
レス成形後に得られた補強シートコート層Cを備えた補
強シートBの寸法は340×340×0.4mmであっ
た。なお、プレス成形後に得られた補強シートコート層
Cを備えた補強シートBにおいては、高密度ポリエチレ
ンが積層されているので、線膨張係数は0.2×10-5
/℃よりやや上昇していると考えられる。
ン樹脂シートの両面に、上記補強シートBを、それに積
層された補強シートコート層Cが最外層になる様に積層
して、上記と同様の条件で加熱プレス成形することによ
り、発泡剤含有変性ポリプロピレン樹脂シートと補強シ
ートBとを一体化して厚み1mmの積層プレ発泡シート
を得た。得られた積層プレ発泡シートから縁部を取り除
き、一辺が300mmの正方形の積層プレ発泡シートを
作製した。次いでタルクを敷き付けたステンレススチー
ル製バットが内部に備えられた熱風オーブン内にこの積
層プレ発泡シートを載置し、230℃で約8分間加熱す
ることにより、発泡剤含有変性ポリプロピレン樹脂シー
トを発泡させ、厚み4mm、重さ620g/m2 の積層
発泡シートを得た。
率、圧縮強度、その気泡の形状、アスペクト比Dz /D
xy、最大曲げ荷重、リサイクル性、および熱賦形性を以
下の如く測定した。発泡倍率 :発泡体シートより面材をカッターで削り取っ
た後、JIS K6767に従い測定した。圧縮強度 :発泡体シートを50mm角にカットし、積み
重ねて初期厚みを測定する。温度20℃、湿度65%R
Hの条件下において、圧縮速度10mm/分で初期厚み
の25%を圧縮し、その時の圧縮応力を測定した。
厚み方向(z方向)にカットし、断面の中央部を光学顕
微鏡で観察しつつ15倍の拡大写真を撮った。写真に写
った全ての気泡のDz とDxyをノギスで測り、気泡毎に
Dz /Dxyを算出し、気泡100個分のDz /Dxyの個
数平均を算出した。ただし測定中、Dz (実際の径)が
0.05mm以下の気泡、および10mm以上の気泡は
除外した。最大曲げ荷重 :発泡体シートを長さ150mm、幅50
mmにカットし、JIS K7221に従い測定した。
ペレタイザーを用いて一辺約6mmの角状ペレットに粉
砕し、さらにこれを220℃、90回転の同方向回転二
軸スクリュー押出機に投入して、ストランド形状に混練
押出をした後、任意の長さにカットしたチョップドスト
ランドのペレットのMIをJIS K7210に基づい
て測定した。このMIが高いほど、架橋が進んでいない
ため、リサイクルに適していることが言える。
加熱し、積層発泡シートの表面温度が約165℃になっ
たときにオーブンから取り出した後、図4に示すような
直径100mm、深さ25mmの円形の凹部が設けられ
た雌型金型(91)の上に載置し、次いで積層発泡シート
(1)が冷えないうちに直径100mm、高さ25mm
の円形の凸部が設けられた雄型金型(92)を下方より押
しつけて賦形することにより、積層発泡シート(1)を
賦形し、賦形後の積層発泡シート(1)に亀裂が生じて
いるかどうかによって判断した。各金型(91)、(92)
は予め室温で温度管理されたものを使用した。また、各
金型(91)、(92)のコーナー部分には、図4(a)に
示すようにR7もしくはR2程度の丸みを施しておき、
円筒状に賦形された積層発泡シート(1)のコーナー部
に、へたりおよび破れがないかどうかを目視で確認し、
問題がない場合には○、若干問題がある場合には△、そ
れ以外の場合には×とした。コーナー部の丸みは、内側
の直径が2mm、外側が7mmであった。
レンテレフタレートからなる不織布(東洋紡績株式会社
製、商品名:スパンボンド エクーレ 6301A、重
量:30g/m2、引張強度:縦1.6kgf/c
m2 、横1.2kgf/cm2 、線膨張係数:7.2×
10-5/℃)を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て厚み4mm、重さ615g/m2 の積層発泡シートを
得、気泡の形状、アスペクト比Dz /Dxyなどを測定し
た。
じシート状のガラスペーパーのみを用い、実施例1で使
用した120μmの厚みを有するフィルム状に成形した
高密度ポリエチレンを積層させないで、同様の条件で加
熱プレス成形することにより得られた340×340×
0.4mmの発泡剤含有変性ポリプロピレン樹脂シート
の両面にガラスペーパー層が積層された3層体の積層プ
レ発泡シートを得たこと以外は、実施例1と同様にして
厚み4mm、重さ621g/m2 の積層発泡シートを
得、気泡の形状、アスペクト比Dz /Dxyなどを測定し
た。
リプロピレン樹脂を得た。次に、未変性ポリプロピレン
樹脂および発泡剤の添加を行う工程では、TEX−44
型同方向回転2軸スクリュー押出機の先端に500mm
幅のコートハンガーダイを設置し、シート形状に押出成
形することで、発泡剤含有変性ポリプロピレンの連続シ
ートを得た。同シートの厚みは0.5mmに調整した。
一方で、幅500mmの連続シート状のガラスペーパー
(オリベスト社製、商品名:SUO−025C)を補強
シートBとし、この片面に、幅500mm、厚み80μ
mのフィルム状のホモ系ポリプロピレン(トクヤマ社
製、商品名:SH−152)を補強シートコート層Cと
して熱ラミネートして得た連続積層面材を用意した。
は、線膨張係数が0.4×10-5/℃、重量が25g/
m2 、厚みが0.22mm、ガラス繊維径が9μm、ガ
ラス繊維長が25mmであり、バインダーがポリビニル
アルコール70重量%と熱可塑性ウレタン樹脂30重量
%からなるものであった。また、上記ホモ系ポリプロピ
レンSH−152は、密度が0.91g/cm3 、MI
が15であった。
ピレンの連続シートの上下面に、上記の連続積層面材を
重ね、上から補強シートコート層C、補強シート層B、
樹脂発泡原反層、補強シート層B、補強シートコート層
Cの5層の連続積層物を図5に示すダブルベルト式の連
続発泡機を用いて連続的に熱融着させると共に連続的に
拡厚発泡(厚さ寸法が増大する方向に発泡)させた。図
5において、4は前記発泡機の予熱ゾーン、5は発泡ゾ
ーン、6は冷却ゾーンであり、発泡機はこれらの3ゾー
ンと、ベルト式引き取り機からなり、全長4mの予熱ゾ
ーン4、および発泡ゾーン5には2インチの搬送ロール
7が備えられ、全長2mの冷却ゾーン6には4インチの
冷却水循環式のロールが備えられている。また、これら
の上下の冷却ロールの間隙は自由に設定可能であり、上
下の無端ベルト8を介してロールの圧力が発泡直後のシ
ートに伝達されるようにされている。
ともに230℃、冷却ロールの表面温度を25℃にそれ
ぞれ設定し、原反シートを前記発泡機に供給した。シー
ト供給の線速度は0.5m/分、よって予熱、発泡ゾー
ンでの滞留時間は合計8分、冷却ゾーンのそれは4分と
なるように設定した。また冷却ゾーンの上下の冷却ロー
ルの間隙を6mmに設定した。発泡機出口で発泡シート
を回収し、実施例1と同様の測定を行った。
発泡体(積水化学工業株式会社製、商品名:ソフトロン
SP、発泡倍率:20cc/g、厚み4mm)の両面
に、実施例1で用いられた補強シートを積層し、同様の
条件でプレス成形を行って重さ618g/m 2 の積層
発泡シートを得、圧縮強度、最大曲げ荷重、リサイクル
性、および熱賦形性を測定した 。
一辺が300mmの正方形の2枚のステンレス製プレス
板に挟み、加熱プレス機に設置して200kgf/cm
2 で加圧し、8分間230℃に加熱した 。その後、プ
レス板の間隔が4mmになるよう素早く拡型し、さらに
1分間保持した。このようにして得られた積層発泡シー
トを冷却プレス機に移して充分に冷却した。そして実施
例1と同様にして評価測定を行った。*これらの実施例
1から5、および比較例1と2の測定結果を以下の表1
に示す。なお、表1における「樹脂発泡シート」とは、
変性ポリプロピレン発泡シートを意味する。
ピレンが用いられた変性ポリプロピレン発泡シートにお
いては、その発泡倍率が約20と非常に高いにも拘わら
ず、アスペクト比Dz /Dxyが1.2以上であり、この
ため、高い圧縮強度を有することが理解される。一方、
本発明の積層発泡シートは補強シートB、さらには補強
シートコート層Cが積層一体化されていても、一旦、押
出機等で加熱溶融混されることで、回収されたペレット
のMIは何れも10g/10分以上を確保できるため、
架橋した樹脂発泡シートで構成されるもの(比較例1)
から回収されたペレットと比較して、大きな流動性を持
つことが理解される。従って、使用済みや端材となった
積層発泡シートはリサイクルに供することができること
が理解される。
トの曲げ強さは、架橋した樹脂を用いた積層発泡シート
と比較して高く、従って、作業者が誤って積層発泡シー
トを曲げた場合であっても、本発明に係る積層発泡シー
トは破断しにくいことが理解される。得られた本発明に
係る積層発泡シートのうち、実施例5を除くものはアス
ペクト比Dz /Dxyが2.2以下であるため熱賦形性も
良好であり、積層発泡シートを加熱して所定の形状に賦
形して用いることができることが理解される。
に優れ、かつ断熱性、耐熱性、熱賦形性、寸法安定性な
どの各性能が優れているだけでなく、架橋度が小さくリ
サイクルに適する積層発泡シート、その成形体および積
層発泡シートの製造方法が提供される。具体的には、請
求項1記載の発明では、熱可塑性樹脂発泡シートAの発
泡倍率が5cc/g以上であるので、積層発泡シートは
非常に軽量であり、これを他の部材に取り付ける際の取
り付け作業が容易である。また、圧縮強度が1.0kg
f/cm 2 以上であるので、その最大曲げ強度が高
く、従ってこの積層発泡シートを加工したり、他の部材
に取り付ける際の作業性が非常に良い。加えて、気泡の
アスペクト比Dz /Dxyの平均値が1.2以上2.2以
下である熱可塑性樹脂発泡シートAと、ガラス繊維また
は炭素繊維シートからなる補強シートBとが積層される
ので、二次賦形時の形状転写性、得られる二次成形体の
強度バランスが優れている。
シートは、芯材としての圧縮強度の高い熱可塑性樹脂発
泡シートAと、表面材としての補強シートBとのサンド
イッチ構造となされ、積層発泡シートに曲げ歪みを加わ
った時、芯材の挫屈が起こりにくいため、結果的に最大
曲げ荷重が高い。
シートは、熱可塑性樹脂発泡シートA、補強シートB、
および補強シート保護層Cが、C−B−A−B−Cの順
に5層積層され熱融着された5層構造であり、B−A−
Bの各界面のアンカー効果が大であるので、C−B−C
−A−C−B−Cの7層構造にせずとも、賦形の際の寸
法安定性等に関して同等の性能を発現すると共に、作業
性が良好となる。また、本発明の積層発泡シートの成形
体は、熱賦形性が良いために高い寸法安定性を有し、変
性ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は特にリサイクル
性が良好で、また真空成形やコールド成形等の比較的簡
便な方法による成形が可能であるので、結局安価に供し
得る。また、請求項9もしくは10 記載の発明では、
熱可塑性樹脂発泡シートAと補強シートBとの一体化が
発泡工程の前に行われるので、両者の接合が強固に行
え、補強シートBによる補強効果が高くなると共に、発
泡が連続的に行われるので、高い生産性をもって、リサ
イクル性が良好な積層発泡シートを製造し得る。
を表す断面図である。
一例を表す断面図である。
樹脂発泡シートA中の紡錘形気泡のアスペクト比Dz/
Dxyを説明する図であり、(a)は熱可塑性樹脂発泡
シートAの一部を明示した模式的斜視図、(b)は
(a)の一部の微細構造を示すための模式的拡大図であ
る。
方法を示す図であり、(a)は賦形金型と積層発泡シー
トの配置状態を示す図、(b)は賦形直後の状態を示す
図である。
る方法の実施形態の一例を表す模式的側面図である。
シートA) 3…補強シートB 31…補強シートコート層C 91…雌型金型 92…雄型金型
Claims (10)
- 【請求項1】 多数の気泡を有する熱可塑性樹脂発泡シ
ートAと、該熱可塑性樹脂発泡シートの少なくとも一面
に積層された補強シートBとを備えた積層発泡シートに
おいて、発泡倍率が5cc/g以上であり、圧縮強度が
1.0kgf/cm 2 以上であり、気泡のアスペクト
比Dz /Dxyの平均値が1.2以上2.2以下である熱
可塑性樹脂発泡シートAと、ガラス繊維シートまたは炭
素繊維シートからなる補強シートBが積層されてなるこ
とを特徴とする積層発泡シート。 - 【請求項2】 補強シートBを構成するサーフェイスマ
ットの目付量が10〜50g/m 2 であることを特徴
とする請求項1に記載の積層発泡シート。 - 【請求項3】 補強シートBを構成するサーフェイスマ
ットのバインダーが、Tg=0〜40℃の熱可塑性樹脂
からなることを特徴とする請求項1または2に記載の積
層発泡シート 。 - 【請求項4】 熱可塑性樹脂発泡シートAと補強シート
BがB−A−Bの順に3層が直接熱融着されてなり、得
られた積層体の線膨張係数が9×10 -5 /℃以下である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層
発泡シート。 - 【請求項5】 補強シートBに熱可塑性樹脂からなる補
強シートコート層Cが設けられていることを特徴とする
請求項1〜4のいずれかに記載の積層発泡シート。 - 【請求項6】 補強シートコート層Cを構成する熱可塑
性樹脂がポリオレフィン系樹脂であり、その厚みが10
〜200mmであることを特徴とする請求項5に記載の
積層発泡シート。 - 【請求項7】 熱可塑性樹脂発泡シートA、補強シート
B、および補強シートコート層Cが、C−B−A−B−
Cの順に5層積層され熱融着されてなることを特徴とす
る請求項5または6に記載の積層発泡シート。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の積層発
泡シートが熱可塑性樹脂発泡シートAの軟化温度以上に
加熱され、二次賦形されてなることを特徴とする積層発
泡シートの成形体。 - 【請求項9】 連続成形品である発泡剤含有樹脂シート
の少なくとも一面に、補強シートBを連続的に熱融着に
よって一体化した後に、加熱により発泡剤含有シートを
連続的に発泡させることにより熱可塑性樹脂発泡シート
Aの少なくとも一面に補強シートBを備えた積層発泡シ
ートを形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の積層発泡シートの製造方法。 - 【請求項10】 ポリオレフィン系樹脂にジオキシム化
合物、ビスマレイミド化合物、ジビニル化合物、ジアリ
ル化合物、ジ(メタ)アクリル化合物、トリ(メタ)ア
クリル化合物、テトラ(メタ)アクリル化合物、および
キノン化合物の少なくとも1種からなる変性用モノマー
を添加し、溶融混和して変性ポリオレフィン系樹脂と
し、次いで該変性ポリオレフィン系樹脂に未変性のポリ
オレフィン樹脂および発泡剤のうち少なくとも発泡剤を
添加して発泡剤含有変性ポリオレフィン系樹脂としてシ
ート状に賦形し、該シート状に賦形された発泡剤含有変
性ポリオレフィン系樹脂シートに補強シートを積層した
後に加熱して発泡剤含有変性のポリオレフィン系樹脂を
連続的に発泡させることを特徴とする請求項9に記載の
積層発泡シートの製造方法。
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