JP2000119426A - ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物

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JP2000119426A
JP2000119426A JP10294123A JP29412398A JP2000119426A JP 2000119426 A JP2000119426 A JP 2000119426A JP 10294123 A JP10294123 A JP 10294123A JP 29412398 A JP29412398 A JP 29412398A JP 2000119426 A JP2000119426 A JP 2000119426A
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polyolefin resin
heat absorbing
resin
absorbing agent
polyolefin
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English (en)
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Noritaka Tsujimoto
典孝 辻本
Takamasa Fukuoka
孝政 福岡
Masashi Okabe
優志 岡部
Shigehiro Inui
成裕 乾
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚物発泡体を製造する際に、中心部の熱だまり
による粗大気泡発生を防止することができるポリオレフ
ィン系樹脂発泡性組成物を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム化
合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリ
ル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
ーおよびキノン化合物よりなる群から選ばれた少なくと
も1つの変性モノマーと、熱分解型発泡剤と、吸熱剤と
よりなるポリオレフィン系樹脂発泡性組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂を主体とする発泡性組成物に関し、特に厚物発泡体
を製造する際に中心部の熱だまりによる粗大気泡発生を
防止することができるポリオレフィン系樹脂発泡性組成
物に関する。本明細書全体を通して、厚物発泡体とは、
厚さ40mm以上のものをいう。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンの発泡体は、機械的物性
と熱的物性のバランスに優れ、さらに後に加熱成型でき
るので、工業資材として広く利用されている。例えば自
動車のドア、天井などの内装材には、ポリプロピレン系
樹脂を主体とした発泡体が、その良好な耐熱性のため主
流をなしている。また、折板屋根用の断熱材、パイプカ
バーなどには、ポリエチレン系樹脂を主体とした発泡体
が、その良好な断熱性、柔軟性、耐久性のため汎用され
ている。
【0003】さらに、近年、環境資源問題に対する方策
として、特に自動車部材においては部材のリサイクル性
が強く要求されており、使用後に回収して再溶融、賦形
が可能な素材のニーズが高まっている。そこで、本発明
者らは、先にリサイクル可能なポリオレフィン系樹脂発
泡体の製造方法として、特願平9−99276を特許出
願した。
【0004】これは、ポリオレフィン系樹脂にジオキシ
ム化合物を溶融混和して樹脂を変性し、得られた樹脂組
成物に熱分解型発泡剤を混練し、得られた発泡性樹脂組
成物を加熱発泡させるポリオレフィン系樹脂発泡体を得
る方法である。
【0005】この方法で作成した発泡体は、発泡体の均
質性に優れ、発泡倍率の調整が容易である。さらに、こ
れは、ゲル分率が10〜60%であるにも拘らず、溶融
流動性を保持し、リサイクル性にも優れている。
【0006】しかし、上記の製造方法で、40mm以上
の厚物発泡体を製造する場合は、発泡した表層部の断熱
作用により中心部の冷却速度が著しく遅くなる。このた
め、発泡体の中心部は、発泡後ここに熱がたまり、セル
形状の保持が困難となって、セル破壊が進行し、粗大気
泡化して、発泡体全体の物性を著しく低下する問題があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に
鑑み、特に厚物発泡体を製造する際に、中心部の熱だま
りによる粗大気泡発生を防止することができるポリオレ
フィン系樹脂発泡性組成物を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるポリオレフ
ィン系樹脂発泡性組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、
ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベ
ンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系
多官能モノマーおよびキノン化合物よりなる群から選ば
れた少なくとも1つの変性モノマーと、熱分解型発泡剤
と、吸熱剤とよりなるものである。
【0009】吸熱剤の量は次式[I]を満足する量である
ことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂100gに対す
る発泡剤の量をA(g)、発泡剤1gが分解した時に発
生する熱量をQa(cal /g)、ポリオレフィン系樹脂
100gを1℃上昇させるのに必要な熱容量をQp(ca
l /℃)、1gあたりの吸熱剤の吸収熱量をQh(cal
/g)、成形時の吸熱剤の分解率をdt、そして、ポリ
オレフィン100gに対する吸熱剤の量をB(g)とす
ると、 (Qa×A/Qp−5℃)×Qp/(Qh×dt)≦ B≦(Qa×A/Qp+5℃)×Qp/(Qh×dt) …[I]
【0010】好適な吸熱剤は水和石膏または水酸化アル
ミニウムである。
【0011】本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡性
組成物は、例えば下記の方法によって製造することがで
きる。すなわち、ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム
化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、ア
リル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノ
マーおよびキノン化合物よりなる群から選ばれた少なく
とも1つの変性モノマーとを溶融混和して、樹脂を変性
し、得られた変性樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤およ
び吸熱剤を加えて混練する。
【0012】本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡性
組成物をシート状に賦形し、得られた発泡性シートの少
なくとも片面にシート状物を積層し、得られた積層体を
加熱発泡させることによってポリオレフィン系樹脂発泡
体を得ることができる。
【0013】上記ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物の
製造方法および上記ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造
方法において、吸熱剤の量は上記式[I]を満足する量で
あることが好ましい。
【0014】本明細書全体を通して、「面内方向」と
は、発泡性シートのシート面内にあるいかなる方向をも
意味し、長さ方向、幅方向を含む。また、「シート」と
は、厚さに基づく厳密な意味での形態をいうのでなく、
通常フィルムと呼ばれる比較的薄手のものから通常板材
と呼ばれる比較的厚手のものまで含むこととする。
【0015】本発明によって得られたポリオレフィン系
樹脂発泡性複合シートを加熱して発泡剤の分解によって
発泡させることにより、複合発泡体を得ることができ
る。
【0016】本発明におけるポリオレフィン系樹脂の主
体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマーの単
独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモ
ノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではな
いが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモ
タイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレ
ン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレ
ン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブ
テン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン
を主成分とする共重合体などが例示され、またこれらの
2以上の組合わせであってもよい。
【0017】本発明におけるポリオレフィン系樹脂の主
体をなすポリオレフィンとしては、上述したポリエチレ
ンやポリプロピレンの1種もしくは2種以上の組みあわ
せが好ましい。
【0018】ポリオレフィン系樹脂とは上記ポリオレフ
ィンの割合が70〜100重量%である樹脂組成物を指
す。ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン以
外の樹脂は限定されないが、例えば、ポリスチレン、ス
チレン系エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィ
ン系樹脂中のポリオレフィンの割合が70重量%を下回
ると、ポリオレフィンの特徴である軽量、耐薬品性、柔
軟性、弾性等が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶
融粘度を確保することが困難となる場合があるので好ま
しくない。
【0019】本発明で用いる変性用モノマーは、ラジカ
ル反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合物で
ある。上記官能基としてはオキシム基、マレイミド基、
ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が例示され
る。変性用モノマーは、好ましくは、ジオキシム化合
物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル
系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー
である。また、変性用モノマーはキノン化合物のよう
な、分子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物で
あってもよい。変性用モノマーは、押出時にポリオレフ
ィン系樹脂にグラフトすることによって、同樹脂を、発
泡に必要な溶融粘度を有するものに変性する働きをす
る。
【0020】本発明で用いる変性用モノマーのうち、ま
ず、分子内にオキシム基を2個有する化合物、すなわち
ジオキシム化合物は、下記一般式で示されるような、オ
キシム基(化学式I)またはその水素原子が他の原子団
(主に炭化水素基)で置換された構造(化学式II)を分
子内に2個有する化合物であり、例えばp−キノンジオ
キシム(化学式III )、p,p−ジベンゾイルキノンジ
オキシム(化学式IV)が例示される。ジオキシム化合物
は2種以上の組合わせで使用することもできる。
【0021】
【化1】
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】本発明で用いる変性用モノマーのうち、下
記一般式で示されるようなマレイミド構造(化学式V )
を分子内に2個有するビスマレイミド化合物としては、
例えばN,N’−p−フェニレンビスマレイミド(化学
式VI)、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド(化
学式VII )、ジフェニルメタンビスマレイミド(化学式
VIII)が例示される。ビスマレイミド化合物は2種以上
の組合わせで使用することもできる。また、マレイミド
構造が分子内に2個以上有するポリマレイミド(化学式
IX)も、同じ効果を奏するのでビスマレイミド化合物の
範疇に含まれる。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】本発明で用いる変性用モノマーのうち、分
子内にビニル基を2個有する化合物、すなわちジビニル
化合物は、例えば下記化学式で示されるジビニルベンゼ
ン(化合物X )であり、2つのビニル基はオルト、メ
タ、パラのいずれの位置関係にあってもよい。
【0032】
【化10】
【0033】本発明で用いる変性用モノマーのうち、分
子内にアリル基を2個以上有する化合物、すなわちアリ
ル系多官能モノマーとしては、例えば下記化学式で示さ
れるジアリルフタレート(化学式XI)、トリアリルシア
ヌレート(化学式XII )、トリアリルイソシアヌレート
(化学式XIII)、ジアリルクロレンデート(化学式XIV
)が例示される。アリル系多官能モノマーは2種以上
の組合わせで使用することもできる。
【0034】
【化11】
【0035】
【化12】
【0036】
【化13】
【0037】
【化14】
【0038】本発明で用いる変性用モノマーのうち、分
子内に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物、す
なわち(メタ)アクリル系多官能モノマーとしては、例
えば(メタ)アクリロイルオキシ基を2〜4個有する化
合物が挙げられる。
【0039】(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有す
る(メタ)アクリル系2官能モノマーとしては、アルカ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレングリコ
ール付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA
のプロピレングリコール付加物ジ(メタ)アクリレート
が例示される。
【0040】(メタ)アクリロイルオキシ基を3個有す
る(メタ)アクリル系3官能モノマーとしては、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリ
レート、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリ(メ
タ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシ
エチルフォスフェートが例示される。
【0041】(メタ)アクリロイルオキシ基を4個有す
る(メタ)アクリル系4官能モノマーとしては、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメ
チロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが例示さ
れる。
【0042】本発明で用いる変性用モノマーのうち、分
子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物の代表例
はキノン化合物であり、キノン化合物としてはヒドロキ
ノン、p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベンゾキ
ノンが例示される。
【0043】変性用モノマーの配合量は、同モノマーの
種類に応じて適宜選択すればよいが、概ねポリオレフィ
ン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部であ
り、好ましくは0.2〜2重量部である。変性用モノマ
ーの配合量が0.05重量部未満であると、発泡に必要
な溶融粘度が得られにくい。配合量が5重量部を越える
と、架橋度が上がりすぎ、押出成形性が悪くなる(例え
ば、高負荷がかかる、メルトフラクチャーが発生する)
上に、後で添加する発泡剤を樹脂組成物中に均一に混練
できず、不必要にゲル分率が上がりすぎ、リサイクル性
を損なうことがある。
【0044】本発明においては、変性用モノマーと共に
有機過酸化物を併用してもよい。特に、変性用モノマー
としてビニル化合物またはアリル化合物を用いる場合に
は、これに有機過酸化物を併用することが好ましい。有
機過酸化物はポリオレフィンのグラフト反応に一般的に
用いられる任意のものであれば良く、例えば、ベンゾイ
ルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5
−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
シン−3等が挙げられ、これらが単独でまたは2種以上
の組合わせで好適に用いられる。
【0045】特に、ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等
のうちの1種もしくは2種以上がより好適に用いられ
る。
【0046】有機過酸化物の使用量は、少なすぎるとグ
ラフト化反応の転化が不十分であり、多すぎるとポリプ
ロピレンのいわゆるβ解裂が顕著に起こり、変性物の分
子量が低すぎて物性の低下あるいは粘度低下による発泡
不良に至ることがある。これらの点を考慮すると、有機
過酸化物の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量
部に対し、0.001〜0.5重量部であることが好ま
しく、0.005〜0.15重量部であることがより好
ましい。
【0047】本発明で用いる熱分解型化学発泡剤は、加
熱により分解ガスを発生するものであれば特に限定され
るものではない。熱分解型化学発泡剤の代表的な例は、
アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)、ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド(BSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン
(DPT)、p−トルエンスルホニルヒドラジド(TS
H)、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒド
ラジド)(OBSH)、重曹である。これらは単独で用
いてもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。その
中でもアゾジカルボンアミドが特に好適に用いられる。
【0048】熱分解型化学発泡剤は、変性樹脂100重
量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜35重
量部の範囲で所望の発泡倍率に応じて適宜の量で使用さ
れる。
【0049】吸熱剤としては、加熱により脱水もしくは
脱ガス反応を起こしこれにより熱を吸収するものが好ま
しく用いられる。具体的な例として、下記表1に示すも
のが挙げられる。
【0050】
【表1】 吸熱剤は、発泡剤の分解温度より高い温度で分解し、発
泡が完了した時点で、発泡体中心部の温度を速やかに冷
却するのに十分な吸熱能力をを有するするものであるこ
とが好ましい。
【0051】発泡剤の分解温度以下で吸熱剤が分解する
と、成形原反の温度が下がり、原反を発泡させることが
できない。また、発泡が完了した時点で十分な吸熱能力
がないと、発泡体の中心部に熱がたまり、セル破壊によ
る発泡不良を引き起こす。特に、厚物発泡体の場合、表
層部が発泡により断熱層となっているため、中心部の熱
を取り除くことができずに、破泡が起き易い。
【0052】このような条件を満たす吸熱剤としては、
水和石膏および水酸化アルミニウムが特に好ましい。
【0053】発泡体の生産性を落とすことなく、発泡が
完了した後、発泡体の厚み方向中心部の熱を除去するに
は、発泡体中心部の温度を、発泡させるために外部から
加える温度Tの±5℃以内に設定することが好ましい。
中心部の温度が温度Tより5℃以上上がると、セル強度
が保たれず破泡が起き易くなり、5℃より低いと、発泡
の生産性が損なわれる。よって、発泡体中心部の温度
が、 T−5℃≦発泡体中心部温度≦T+5℃ なる関係を満たすように吸熱剤の添加量を決定すること
が好ましい。
【0054】そのためには、吸熱剤の量は上記式[I]を
満足する量であることが好ましい。
【0055】上記式[I]を具体的に説明する。ポリプロ
ピレン樹脂100gに対して、発泡剤としてアゾジカル
ボンアミドを5g、吸熱剤として水酸化アルミニウムを
添加する場合を例にとると、発泡剤1gあたりの発熱量
が約86cal /gであるので、成形品中心部で発熱する
量は、86cal /g×5=430cal である。
【0056】ポリプロピレンの比熱は0.45cal /g
程度であるので、ポリプロピレン樹脂100gを1℃上
昇させるのに必要な熱容量は45cal /℃である。次
に、成型品を発泡させるために、ポリプロピレン樹脂の
セル破壊温度以下である250℃で10分間、発泡性組
成物を加熱すると、吸熱剤である水酸化アルミニウムの
吸熱量は470cal /gであり、前記条件では分解率が
15%であるので、吸熱剤の吸熱量は実際には70cal
/gである。
【0057】従って、発泡体中心部の温度変動を外部か
ら加えた温度Tの±5℃以内に抑えるには、ポリオレフ
ィン100gに対して、水酸化アルミニウムを、
【数1】 添加することが好ましい。
【0058】本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡性
組成物の製造方法、および同組成物を用いたポリオレフ
ィン系樹脂発泡体の製造方法の具体例を、変性用モノマ
ーとしてジオキシム化合物、発泡剤としてアゾジカルボ
ンアミド、吸熱剤として水酸化アルミニウムを利用した
場合について説明する。
【0059】変性樹脂を得るには、スクリュー押出機や
ニーダーなどの混練装置を用い、ポリオレフィン系樹脂
と変性用モノマーを所定条件で溶融混和し、反応させ
る。このときの反応温度は、170℃以上かつポリオレ
フィン系樹脂の分解温度以下、好ましくは200℃〜2
50℃である。溶融混和温度が170℃を下回ると変性
が不十分で、最終的に得られる発泡体の発泡倍率が十分
高くならないことがあり、250℃を越えるとポリオレ
フィン系樹脂が分解し易くなる。
【0060】上記変成反応に用いる装置は、スクリュー
押出機の他、一般的にプラスチック成形加工で使用され
うる溶融混練装置であればよく、例えばニーダー、ロー
ター、連続混練機などが例示される。このうち連続運転
が行えるスクリュー押出機が好ましく、1軸スクリュー
押出機、2軸スクリュー押出機、3本以上のスクリュー
を備えた多軸スクリュー押出機などがいずれも好適に用
いられる。1軸スクリュー押出機としては、一般的なフ
ルフライト型スクリューに加え、不連続フライト型スク
リュー、ピンバレル、ミキシングヘッドなどを有する押
出機なども用いられる。また、上記2軸スクリュー押出
機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合い異
方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機など
が好適に使用し得る。なお、押出機の後段に真空ベント
を設けることは、樹脂組成物中に揮発物が残存するのを
防ぐのに効果的である。
【0061】スクリュー押出機を用いる場合、ポリオレ
フィン系樹脂は通常はホッパーから押出機へ投入される
が、定量性を増すため、スクリュー式フィーダー、重量
管理式フィーダーなどを用いることも好ましい。
【0062】変性用モノマーは、ポリオレフィン系樹脂
と同時にホッパーから押出機へ投入してもよいが、特に
ジビニルベンゼンやアリル系多官能モノマーのいくつか
は常温常圧で液体であるので、押出機にてポリオレフィ
ン系樹脂が溶融する位置より後流部に設けられた液体注
入孔から供給する方が、これを溶融樹脂中に均一に分散
できるので好ましい。このとき液体モノマーは、プラン
ジャーポンプなどの圧送式のポンプで送液することが望
ましい。
【0063】変性用モノマーに有機過酸化物を併用する
場合は、有機過酸化物を同モノマーと予め混合してこれ
らを同時に投入する方法、あるいはモノマー投入と前後
して有機過酸化物を別投入する方法などが適用できる。
【0064】変性樹脂は、同種あるいは異種の未変性ポ
リオレフィン系樹脂と溶融ブレンドされたものでも良
い。このような変性樹脂と未変性樹脂とのブレンドを用
いることにより、得られる発泡性樹脂組成物の流動性が
改善され、これによって、極めて薄い発泡性原反が成形
可能となり、その結果、薄いシート状複合発泡体の製造
が可能となる。その上、発泡性樹脂組成物の流動性の改
善が紡錘形の気泡を形成するのに好適に働き、その結果
として、より高圧縮強度の発泡体を得ることも可能とな
る。
【0065】未変性ポリオレフィン系樹脂は、変性樹脂
の変性前のポリオレフィン系樹脂の定義で先に説明した
ものであって良い。
【0066】未変性ポリオレフィン系樹脂の種類は、得
られる発泡性複合シートの成形性、外観、シート状物と
の接着性、およびこれから得られる複合発泡体の発泡倍
率、機械的物性、熱的物性、セル形状等によって適宜選
ばれる。例えば、発泡体原反の流れ性を良くしたけれ
ば、未変性ポリオレフィン系樹脂として粘度の低い樹脂
を用いる。柔らかい発泡体を得たければ、未変性樹脂と
して密度の低いポリオレフィンを用いる。
【0067】変性樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂の
割合は、変性樹脂100重量部に対して、未変性樹脂を
好ましくは50〜200重量部、より好ましくは70〜
130重量部ブレンドする。未変性ポリオレフィン系樹
脂の割合が大き過ぎると、発泡に必要な溶融張力が保持
できないため、発泡倍率の低下を引き起こし、良好な発
泡体が得られないことがある。
【0068】ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物
から得られた変性樹脂と熱分解型化学発泡剤としてアゾ
ジカルボンアミドおよび吸熱剤として水酸化アルミニウ
ムを混練して発泡性樹脂組成物を得るには、上述の反応
用の溶融混練装置と、これとは別の発泡剤混和用の溶融
混練装置(構造は反応用の溶融混練装置のそれと同じで
あってもよい)とを用いて、同発泡剤が実質的に分解し
ない最高温度以下で両者を混合する。この溶融混練装置
は、反応に用いられた装置と同様に、スクリュー押出機
の他、一般的にプラスチック成形加工で使用されうる溶
融混練装置であればよく、例えばニーダー、ローター、
連続混練機などが例示される。このうち連続運転が行え
るスクリュー押出機が好ましく、1軸スクリュー押出
機、2軸スクリュー押出機、3本以上のスクリューを備
えた多軸スクリュー押出機などがいずれも好適に用いら
れる。
【0069】発泡剤および吸熱剤の供給は、ホッパーか
ら押出機へ投入するか、押出機にて変性ポリオレフィン
系樹脂が溶融する位置より後流部から、スクリュー式フ
ィーダー、重量管理式フィーダーなどを用いて押出機へ
供給する。
【0070】発泡剤と吸熱剤はそれぞれ別に、供給して
もよいし、両者を予め所定の比率でブレンドしておい
て、供給しても構わない。
【0071】混合物に熱分解型化学発泡剤を混練してな
る発泡性樹脂組成物は、シート状に賦形される。賦形の
方法は押出成形の他、プレス成形、ブロー成形、カレン
ダリング成形、射出成形など、プラスチックの成形加工
で一般的に行われる方法が適用可能である。
【0072】特に、スクリュー押出機より吐出する発泡
性樹脂組成物を、直接賦形する方法が、生産性の観点よ
り好ましい。
【0073】本発明方法で用いるシート状物を構成する
材料は、紙、布、木材、鉄等の金属、非鉄金属、プラス
チック、ガラス、無機物など自由に選べ、特に限定され
るものではない。またシート状物は発泡性シートと積層
・一体化させる場合には、発泡性シートとの間にある程
度の接着性を発現するシート状物が望ましいが、物理的
なアンカー効果によってもしくは粘着剤や接着剤を適宜
用いて発泡性シートに接着可能なものであればよい。
【0074】シート状物は、発泡性シートを加熱発泡さ
せる際の面内方向への発泡を抑制し得る強度を有するも
のである。シート状物の強度が低すぎると、発泡に際し
てシート状物が裂けてしまい、発泡性シートの面内方向
の発泡を充分に抑制することができないことがある。従
って上記面内発泡を抑制するためのシート状物として
は、例えば、発泡倍率が10である場合は、引張り強度
0.1kgf/cm以上のものが好ましい。
【0075】本発明方法で好適に用いられるシート状物
としては、ガラスクロス、寒冷紗、織布または不織布、
ニードルパンチ不織布、紙等が挙げられる。ガラスクロ
スとは、ガラス繊維を抄造して得られるサーフェイスマ
ット、ガラスロービングが織られてなるものをいう。ま
た、寒冷紗、不織布、ニードルパンチは、主にポリエス
テルやナイロン等の合成繊維からなるものである。織布
は一般的な天然繊維や合成繊維からなるものであって良
い。なお、サーフェイスマットについてはガラス短繊維
同士を結着するためのバインダーが含まれてもよい。該
バインダーとしては、シート状物の引張強度が上記範囲
を満たすものであれば特に限定されず、例えば、ポリビ
ニルアルコール、飽和ポリエステル、アクリル系樹脂な
どの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ルなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。織布、不織布を構
成する有機繊維としてはポリエステル繊維、綿、アクリ
ル繊維、ナイロン繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙
げられる。これらのシート状物を使用することによっ
て、軽量で高圧縮強度を有するポリオレフィン系樹脂複
合発泡体を得ることができる。また、適切な強度のシー
ト状物を用いることによって、同発泡体をポリオレフィ
ン系樹脂の融点以上の温度に再加熱することで二次賦形
が可能となる。よって、得られた複合発泡体は自動車用
の成型天井材や内装パネル等の芯材などに好適に使用す
ることができる。
【0076】また、本発明方法で用いるシート状物は、
金属製シート、例えば、鉄製シート、またはアルミニウ
ム、チタン、銅などの非鉄金属製シートからなるもので
あっても良い。鉄製シートには、溶融亜鉛鋼板や溶融亜
鉛アルミニウム合金鋼板、ステンレス鋼板等が含まれ
る。このような金属製のシート状物としては、厚み0.
01mm〜2mmの圧延された薄いシートが特に好適に
使用される。この場合、これらの金属は任意にメッキさ
れていてもよいし、有機塗料あるいは無機塗料で塗装さ
れていてもよく、あるいは接着剤が塗布されていてもよ
い。これらの金属製シート状物を使用する場合、得られ
るポリオレフィン系樹脂複合発泡体は軽量の金属複合板
となり得る。これは、厚さ1〜5mmの金属板や、中間
層としてポリエチレン層などを配した金属複合板と比較
して、実用上極端な強度不足を来たさずに、さらに軽量
化と低コスト化が図れるメリットを有する。またこの複
合発泡体は発泡性複合シートを発泡させて製造されるた
め、発泡体に後から金属シート状物を貼付した金属複合
板と比較して、表面平滑性が極めて優れたものになる。
【0077】発泡性シートの少なくとも片面にシート状
物を積層する方法は特に限定されるものではないが、例
えば、(イ)一旦冷却固化した発泡性シートにシート状
物を加熱しながら貼付する方法、(ロ)発泡性シートを
溶融状態になるまで加熱しておき、これをシート状物に
熱融着する方法、(ハ)発泡性シートにシート状物を接
着剤で貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0078】発泡性複合シートの厚み精度を確保するに
は方法(イ)または(ハ)が好ましい。方法(ロ)の熱
融着では、例えば、Tダイから押し出された直後の溶融
状態の発泡性シートの少なくとも片面に、シート状物を
軽く積層した状態で、これらを対向状の冷却ロール間を
通過させ、ロールの押圧力で両者を一体化する方法が好
ましい。
【0079】なお、上記のように発泡性シートとシート
状物を積層して一体化するとは、発泡性シートとシート
状物とを両者の界面において剥離しようとした場合に、
高い割合材料破壊が生じる程度に両者が固着されている
状態を意味するものとする。
【0080】こうして得られた発泡性複合シートは、適
切な温度条件で加熱することにより、一定圧力下で所望
の発泡倍率に発泡させることができる。また、発泡剤の
分解より遅れて吸熱剤を分解させる。これにより、発泡
剤の分解終了後に発泡シートの温度が上がり過ぎないよ
うに同シートの中心部を冷却することができる。
【0081】上記加熱は、通常は熱分解型化学発泡剤の
分解温度から、発泡体のセル破壊が起こらない温度まで
の温度範囲で行われる。
【0082】発泡装置としては、加熱炉の出口側で発泡
体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡機の他、
ベルト式発泡機、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽
や、あるいはオイルバス、メタルバス、ソルトバスなど
の熱浴が用いられる。
【0083】またバッチ式発泡法としては、金型内で発
泡させるプレス発泡法がある。
【0084】
【作用】発泡体の原反が厚くなると、加熱発泡後、冷却
する際に、発泡した表層部の断熱作用で中心部の冷却速
度が著しく遅くなる。このため、発泡体の中心部は、発
泡後に熱がたまり、セルの形状保持が困難となって、セ
ル破壊が進行し、粗大気泡化して、発泡体全体の物性を
著しく低下させる。
【0085】本発明によれば、発泡性組成物は吸熱剤を
含むので、これが加熱により脱水もしくは脱ガス反応を
起こし、熱を吸収し、そのため温度が上がりすぎている
部分から選択的に冷却が開始され、厚みに対する依存性
がなくなり、均一な冷却を達成することができる。
【0086】
【発明の実施の形態】本発明を実施例によってより具体
的に説明する。
【0087】実施例1 i)発泡性樹脂組成物の製造 (1) 変性ポリオレフィン系樹脂の調製 反応用スクリュー押出機として、BT40(プラスチッ
ク工学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機を
用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備
え、そのL/Dは35、Dは39mmである。シリンダ
ーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜4バレルか
らなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回
収するため第4バレルに真空ベントが設置されている。
【0088】操作条件は下記の通りである。
【0089】 ・スクリュー回転数:150rpm
【0090】上記構成の反応用スクリュー押出機に、ま
ず、ポリオレフィン系樹脂およびジオキシム化合部をそ
の後端ホッパーから別々に投入し両者を溶融混和し、変
性樹脂を得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は
真空ベントにより真空引きした。
【0091】ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンラ
ンダム共重合体(三菱化学製「EG8」、MI;0.8
g/10分、密度;0.9g/cm3 )であり、その供
給量は10kg/hとした。
【0092】変性用モノマーはp−キノンジオキシム
(大内新興化学社製「バルノックGM−P」)であり、
その供給量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
て0.75重量部とした。
【0093】ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合部
の溶融混和によって得られた変性樹脂を、ストランドダ
イから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性
樹脂のペレットを得た。
【0094】(2) 発泡性樹脂組成物の調製 発泡剤混練用スクリュー押出機はTEX−44型(日本
製鋼所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、
これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL
/Dは45.5、Dは47mmである。シリンダーバレ
ルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからな
り、成形ダイは出口幅200mm、出口隙間5mmのT
ダイである。
【0095】温度設定区分は下記の通りである。 第1バレルは常時冷却 第1ゾーン;第2〜4バレル 第2ゾーン;第5〜8バレル 第3ゾーン;第9〜12バレル 第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0096】発泡剤を供給するために第6バレルにサイ
ドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11
バレルに真空ベントが設置されている。
【0097】操作条件は下記の通りである。
【0098】 ・スクリュー回転数:40rpm
【0099】上述のようにして得られた変性樹脂を反応
用スクリュー押出機から発泡剤混練用スクリュー押出機
に供給した。変性樹脂の供給量は20kg/hとした。
また、同押出機にそのサイドフィーダーから発泡剤と吸
熱剤の混合物を供給し、分散させた。発泡剤はアゾジカ
ルボンアミド(ADCA)であり、吸熱剤は水酸化アル
ミニウム(昭和軽金属社製)である。また、発泡剤と吸
熱剤の混合比は重量で5:6であり、その混合物の供給
量は2.2kg/hとした(変性樹脂100重量部に対
しアゾジカルボンアミド5重量部、水酸化アルミニウム
6重量部)。
【0100】こうして変性樹脂と発泡剤および吸熱剤と
の混練によって得られた発泡性樹脂組成物を、上記ダイ
でシート状に押出し、発泡性シートを得た。
【0101】(3) 複合シートの調製 上記発泡性シートを200×200×5mmにカット
し、得られたカット片の両面に、ポリエチレンテレフタ
レート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボンド エ
クーレ 6301A」、秤量30g/m2 、引張り強
度:縦1.6kg/cm、横1.2kg/cm)を20
0×200mmにカットしたものを積層し、圧力200
kgf/cm2 、180℃、5分の条件でプレス成形を
行った。こうして、200×200×5mmの不織布積
層発泡性シートを得た。
【0102】(4) 発泡 タルクを敷き付けたステンレススチール製バットを熱風
オープン内に置き、上記発泡性シートサンプルをタルク
上に置き、同サンプルを250℃で約10分間加熱発泡
させ、複合発泡体を得た。
【0103】(5) 性能評価 複合発泡体を下記の項目について性能評価した。
【0104】・発泡倍率:複合発泡体よりシート状物を
カッターで削り取った後、JIS K6767に従い発
泡体の発泡倍率を測定した。
【0105】・発泡状態 複合発泡体の外観を目視で観察した。
【0106】・セル形状:複合発泡体を厚み方向にカッ
トし、厚み方向の中心部のセル形状の状態を目視で観察
した。
【0107】・圧縮強度:複合発泡体を5cm角にカッ
トし、JIS K6767に従い50%圧縮強度を測定
した。
【0108】評価結果:この複合発泡体は、サイズ20
0×200×5mm、発泡倍率10倍の均一な発泡体で
あり、中心部の気泡形状は、厚み方向に緻密な紡錘形を
しており、50%圧縮強度は12.5kg/cm2 であ
った。
【0109】実施例2 変性用のポリオレフィン系樹脂を低密度ポリエチレン
(三菱化学社製「YK40」)に代え、その供給量を1
0kg/hにし、得られた変性樹脂に未変性ポリオレフ
ィン系樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体(三井ポ
リケミカル社製「エバフレックス460」を供給量10
kg/hで溶融ブレンドした。発泡助剤としてステアリ
ン酸亜鉛を未変性ポリオレフィン系樹脂100重量部に
対して2重量部配合し、吸熱剤として水酸化アルミニウ
ム2重量部と水和石膏20重量部用い、発泡条件を20
0℃×10分に変えた。上記の点以外は実施例1と同様
にして、複合発泡体を得た。これを実施例1と同様にし
て性能評価した。
【0110】評価結果:この複合発泡体は、サイズ20
0×200×5mm、発泡倍率10倍の均一な発泡体で
あり、中心部の気泡形状は、若干バラツキがあるもの
の、厚み方向に紡錘形をしており、50%圧縮強度は
1.0kg/cm2 であった。
【0111】比較例1 吸熱剤を用いない点を除いて実施例1と同様にして、複
合発泡体を得た。これを実施例1と同様にして性能評価
した。
【0112】評価結果:発泡工程において、発泡性シー
トは一旦膨らんだ後、冷却過程で発泡体がしぼみ、平滑
なサンプルが得られなかった。また、発泡体の中心部の
気泡は潰れており、表層部に比べ粗大な円形状となって
いた。
【0113】比較例2 発泡剤と吸熱剤のブレンド比を重量で5:11に変え、
この混合物の供給量を3.2kg/hとした(変性樹脂
100重量部に対しアゾジカルボンアミド5重量部、水
酸化アルミニウム11重量部)点を除いて実施例1と同
様にして、複合発泡体を得た。これを実施例1と同様に
して性能評価した。
【0114】評価結果:発泡が充分でなく、平滑なサン
プルが得られなかった。また、発泡体の中心部の気泡は
円形状であり、表層部はまだ充分に発泡していなかっ
た。
【0115】比較例3 発泡剤と吸熱剤のブレンド比を重量で5:2に変え、こ
の混合物の供給量を1.4kg/hとした(変性樹脂1
00重量部に対しアゾジカルボンアミド5重量部、水酸
化アルミニウム2重量部)点を除いて実施例1と同様に
して、複合発泡体を得た。これを実施例1と同様にして
性能評価した。
【0116】評価結果:発泡工程において、発泡性シー
トは一旦膨らんだ後、冷却過程で発泡体がしぼみ、平滑
なサンプルが得られなかった。また、発泡体の中心部の
気泡は一部破壊され、円形状で粗大気泡であった。
【0117】実施例および比較例の各発泡体の製造材料
および得られた発泡体の評価結果を表2にまとめて示
す。
【0118】
【表2】
【0119】
【発明の効果】本発明によれば、吸熱剤の作用で均一な
冷却が可能となり、厚物発泡体を製造する際に中心部の
熱だまりによる気泡の粗大化および物性低下を抑制する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 乾 成裕 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F074 AA16 AA18 AA20 AA21 AA23 AA24 AA24A AA24B AA25 AA76 AC19 AC20 AC30 AC32 AC33 AC36 AD01 AD02 AD07 AD08 AD11 AD13 AD14 AD16 AD21 BA13 CA22 CC04Y CC22Y CC32Y CC32Z CE02 CE43 CE44 CE74 DA03 DA35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム化
    合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリ
    ル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
    ーおよびキノン化合物よりなる群から選ばれた少なくと
    も1つの変性モノマーと、熱分解型発泡剤と、吸熱剤と
    よりなるポリオレフィン系樹脂発泡性組成物。
  2. 【請求項2】 吸熱剤の量が次式[I]を満足する量であ
    る請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡性組成物。 ポリオレフィン系樹脂100gに対する発泡剤の量をA
    (g)、 発泡剤1gが分解した時に発生する熱量をQa(cal /
    g)、 ポリオレフィン系樹脂100gを1℃上昇させるのに必
    要な熱容量をQp(cal /℃)、 1gあたりの吸熱剤の吸収熱量をQh(cal /g)、 成形時の吸熱剤の分解率をdt、そして、 ポリオレフィン100gに対する吸熱剤の量をB(g)
    とすると、 (Qa×A/Qp−5℃)×Qp/(Qh×dt)≦ B≦(Qa×A/Qp+5℃)×Qp/(Qh×dt) …[I]
  3. 【請求項3】 吸熱剤が水和石膏または水酸化アルミニ
    ウムである請求項1または2記載のポリオレフィン系樹
    脂発泡性組成物。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム化
    合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリ
    ル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
    ーおよびキノン化合物よりなる群から選ばれた少なくと
    も1つの変性モノマーとを溶融混和して、樹脂を変性
    し、得られた変性樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤およ
    び吸熱剤を加えて混練することを特徴とするポリオレフ
    ィン系樹脂発泡性組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム化
    合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリ
    ル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
    ーおよびキノン化合物よりなる群から選ばれた少なくと
    も1つの変性モノマーとを溶融混和して、樹脂を変性
    し、得られた変性樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤およ
    び吸熱剤を加えて混練し、得られた発泡性樹脂組成物を
    シート状に賦形し、得られた発泡性シートの少なくとも
    片面にシート状物を積層し、得られた積層体を加熱発泡
    させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 吸熱剤の量が次式[I]を満足する量であ
    る請求項4または5記載の方法。 ポリオレフィン系樹脂100gに対する発泡剤の量をA
    (g)、 発泡剤1gが分解した時に発生する熱量をQa(cal /
    g)、 ポリオレフィン系樹脂100gを1℃上昇させるのに必
    要な熱容量をQp(cal /℃)、 1gあたりの吸熱剤の吸収熱量をQh(cal /g)、 成形時の吸熱剤の分解率をdt、そして、 ポリオレフィン100gに対する吸熱剤の量をB(g)
    とすると、 (Qa×A/Qp−5℃)×Qp/(Qh×dt)≦ B≦(Qa×A/Qp+5℃)×Qp/(Qh×dt) …[I]
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010529251A (ja) * 2007-06-05 2010-08-26 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー グルーの溶け落ちが少ない低坪量フィルムを含む吸収性物品

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