JP3117678B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法

Info

Publication number
JP3117678B2
JP3117678B2 JP10219136A JP21913698A JP3117678B2 JP 3117678 B2 JP3117678 B2 JP 3117678B2 JP 10219136 A JP10219136 A JP 10219136A JP 21913698 A JP21913698 A JP 21913698A JP 3117678 B2 JP3117678 B2 JP 3117678B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
sheet
polyolefin resin
foamable
polyolefin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP10219136A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11291425A (ja
Inventor
孝政 福岡
典孝 辻本
優志 岡部
浩行 栗尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP10219136A priority Critical patent/JP3117678B2/ja
Publication of JPH11291425A publication Critical patent/JPH11291425A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3117678B2 publication Critical patent/JP3117678B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂を主体とする発泡性複合シートの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンやポリプロピレン等のポリ
オレフィン系樹脂発泡体は、軽量性、断熱性、柔軟性等
に優れるため、各種断熱材、緩衝材、浮揚材等に幅広く
用いられている。しかし、ポリオレフィン系樹脂発泡体
は、ポリスチレン系樹脂発泡体と比較すると、発泡体の
圧縮強度が低いので、例えば、建物の屋上断熱材や床用
断熱材等の用途には使用することができなかった。
【0003】この問題を解決すべく、例えば、特開平9
−150431号公報には、熱分解型発泡剤を含有する
発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを加熱発泡させる際
に、生じる面内方向の発泡力を抑制し得る強度を有する
シート状物が少なくとも片面に積層されてなる複合発泡
体が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この複合発泡体を製造
するには、具体的には、ポリオレフィン系樹脂と、それ
と相溶しないシラン変性ポリオレフィンをブレンドし、
このブレンド物に熱分解型化学発泡剤を加えて混練し、
得られた発泡性樹脂組成物をシート状に賦形すると同時
に得られた発泡性シートの両面にポリエチレンテレフタ
レート製不織布からなるシート状物を積層し、得られた
発泡性複合シート中のシラン変性ポリオレフィンを水架
橋させ、同シートを加熱発泡させる。
【0005】こうして得られた発泡性樹脂シートは、発
泡時に面内方向の発泡力を抑制しうる強度を有するシー
ト状物が少なくとも片面に積層されているため、発泡
時、面内の二次元方向には殆ど発泡せず、厚み方向にの
み発泡する。したがって、同発泡体の気泡は、厚み方向
にその長軸を配向した紡錘形、即ちシート厚み方向に直
立したラグビーボール状になって並ぶ(図1参照)。そ
のため、得られた発泡体は、シート厚み方向に圧縮力を
受けると、紡錘形の長軸方向に力がかかることになるの
で、厚み方向に高い強度を示す。
【0006】しかしながら、上記従来技術には、つぎの
ような問題がある。 ・シラン変性ポリオレフィンは高価である。 ・架橋反応に長時間(通常1時間以上)がかかるので、
連続的な製造ができない。 ・シート状物によっては架橋時の熱水浸漬に不向きなも
のもある。 ・架橋反応で発泡原反が濡れるので、乾燥が必要とな
る。 ・発泡性原反は架橋しているので、長軸長/短軸長の比
の大きい紡錘状のセル形状が作れない。 ・発泡圧が高いため強度が小さいシート状物が使用でき
ない。・得られた発泡体は架橋しているのでリサイクル
できない。 ・耐熱性、機械的物性の高いポリプロピレン単独からな
る発泡体ができず、発泡体はポリプロピレンとポリエチ
レンとのブレンドからなるので、これらの性能が低下す
る。
【0007】本発明の目的は、上述の諸問題を解決し、
優れた性能を有する複合発泡体、および、これを得るた
めの発泡性複合シートの製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるポリオレフ
ィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法は、ポリオレフ
ィン系樹脂を変性用モノマーと反応させて変性し、得ら
れた変性樹脂に熱分解型化学発泡剤を加えて混練し、得
られた発泡性樹脂組成物をシート状に賦形し、得られた
発泡性シートの少なくとも片面に、同シートを加熱発泡
させる際の面内方向への発泡を抑制し得る強度を有する
シート状物を積層することを特徴とする方法である。
【0009】本明細書全体を通して、「面内方向」と
は、発泡性シートのシート面内にあるいかなる方向をも
意味し、長さ方向、幅方向を含む。また、「シート」と
は、厚さに基づく厳密な意味での形態をいうのでなく、
通常フィルムと呼ばれる比較的薄手のものから通常板材
と呼ばれる比較的厚手のものまで含むこととする。
【0010】本発明によって得られたポリオレフィン系
樹脂発泡性複合シートを加熱して発泡剤の分解によって
発泡させることにより、複合発泡体を得ることができ
る。
【0011】本発明方法におけるポリオレフィン系樹脂
の主体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマー
の単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他
のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるもので
はないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、
ホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピ
レン、ブロックタイプポリプロピレン等のポリプロピレ
ン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブ
テン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のエチレン
を主成分とする共重合体などが例示され、またこれらの
2以上の組合わせであってもよい。
【0012】本発明方法におけるポリオレフィン系樹脂
の主体をなすポリオレフィンとしては、上述したポリエ
チレンやポリプロピレンの1種もしくは2種以上の組み
あわせが好ましい。
【0013】ポリオレフィン系樹脂とは上記ポリオレフ
ィンの割合が70〜100重量%である樹脂組成物を指
す。ポリオレフィン系樹脂を構成するポリオレフィン以
外の樹脂は限定されないが、例えば、ポリスチレン、ス
チレン系エラストマーなどが挙げられる。ポリオレフィ
ン系樹脂中のポリオレフィンの割合が70重量%を下回
ると、ポリオレフィンの特徴である軽量、耐薬品性、柔
軟性、弾性等が発揮できないばかりか、発泡に必要な溶
融粘度を確保することが困難となる場合があるので好ま
しくない。
【0014】本発明方法で用いる変性用モノマーは、ラ
ジカル反応し得る官能基を分子内に2個以上有する化合
物である。上記官能基としてはオキシム基、マレイミド
基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が例示
される。変性用モノマーは、好ましくは、ジオキシム化
合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリ
ル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマ
ーである。また、変性用モノマーはキノン化合物のよう
な、分子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物で
あってもよい。
【0015】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、まず、分子内にオキシム基を2個有する化合物、す
なわちジオキシム化合物は、下記一般式で示されるよう
な、オキシム基(化学式I)またはその水素原子が他の
原子団(主に炭化水素基)で置換された構造(化学式I
I)を分子内に2個有する化合物であり、例えばp−キ
ノンジオキシム(化学式III )、p,p−ジベンゾイル
キノンジオキシム(化学式IV)が例示される。ジオキシ
ム化合物は2種以上の組合わせで使用することもでき
る。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、下記一般式で示されるようなマレイミド構造(化学
式V )を分子内に2個有するビスマレイミド化合物とし
ては、例えばN,N’−p−フェニレンビスマレイミド
(化学式VI)、N,N’−m−フェニレンビスマレイミ
ド(化学式VII )、ジフェニルメタンビスマレイミド
(化学式VIII)が例示される。ビスマレイミド化合物は
2種以上の組合わせで使用することもできる。また、マ
レイミド構造が分子内に2個以上有するポリマレイミド
(化学式IX)も、同じ効果を奏するのでビスマレイミド
化合物の範疇に含まれる。
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、分子内にビニル基を2個有する化合物、すなわちジ
ビニル化合物は、例えば下記化学式で示されるジビニル
ベンゼン(化合物X )であり、2つのビニル基はオル
ト、メタ、パラのいずれの位置関係にあってもよい。
【0027】
【化10】
【0028】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、分子内にアリル基を2個以上有する化合物、すなわ
ちアリル系多官能モノマーとしては、例えば下記化学式
で示されるジアリルフタレート(化学式XI)、トリアリ
ルシアヌレート(化学式XII )、トリアリルイソシアヌ
レート(化学式XIII)、ジアリルクロレンデート(化学
式XIV )が例示される。アリル系多官能モノマーは2種
以上の組合わせで使用することもできる。
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、分子内に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合
物、すなわち(メタ)アクリル系多官能モノマーとして
は、(メタ)アクリロイルオキシ基を2〜4個有する化
合物が挙げられる。
【0034】(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有す
る(メタ)アクリル系2官能モノマーとしては、アルカ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メ
タ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレングリコ
ール付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA
のプロピレングリコール付加物ジ(メタ)アクリレート
が例示される。
【0035】(メタ)アクリロイルオキシ基を3個有す
る(メタ)アクリル系3官能モノマーとしては、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロー
ルプロパンエチレンオキサイド付加トリ(メタ)アクリ
レート、グリセリンプロピレンオキサイド付加トリ(メ
タ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシ
エチルフォスフェートが例示される。
【0036】(メタ)アクリロイルオキシ基を4個有す
る(メタ)アクリル系4官能モノマーとしては、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメ
チロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが例示さ
れる。
【0037】本発明方法で用いる変性用モノマーのう
ち、分子内に2個以上のケトン基を有する環状化合物の
代表例はキノン化合物であり、キノン化合物としてはヒ
ドロキノン、p−ベンゾキノン、テトラクロロ−p−ベ
ンゾキノンが例示される。
【0038】変性用モノマーの配合量は、同モノマーの
種類に応じて適宜選択すればよいが、概ねポリオレフィ
ン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部であ
り、好ましくは0.2〜2重量部である。変性用モノマ
ーの配合量が0.05重量部未満であると、発泡に必要
な溶融粘度が得られにくい。配合量が5重量部を越える
と、架橋度が上がりすぎ、押出成形性が悪くなる(例え
ば、高負荷がかかる、メルトフラクチャーが発生する)
上に、後で添加する発泡剤を樹脂組成物中に均一に混練
できず、不必要にゲル分率が上がりすぎ、リサイクル性
を損なうことがある。加えて、後に加熱発泡時の発泡圧
力が高くなり過ぎ、面内方向の発泡を抑制するためのシ
ート状物として引っ張り強度の低いものが使用できなく
なることがある。
【0039】本発明方法においては、変性用モノマーと
共に有機過酸化物を併用してもよい。特に、変性用モノ
マーとしてジビニルベンゼンまたはアリル系多官能モノ
マーを用いる場合には、これに有機過酸化物を併用する
ことが好ましい。有機過酸化物はポリオレフィンのグラ
フト反応に一般的に用いられる任意のものであれば良
く、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジク
ロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジク
ミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3等が挙げられ、これらが
単独でまたは2種以上の組合わせで好適に用いられる。
【0040】特に、ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等
のうちの1種もしくは2種以上がより好適に用いられ
る。
【0041】有機過酸化物の使用量は、少なすぎるとグ
ラフト化反応の転化が不十分であり、多すぎるとポリプ
ロピレンのいわゆるβ解裂が顕著に起こり、変性物の分
子量が低すぎて物性の低下あるいは粘度低下による発泡
不良に至ることがある。これらの点を考慮すると、有機
過酸化物の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量
部に対し、0.001〜0.5重量部であることが好ま
しく、0.005〜0.15重量部であることがより好
ましい。
【0042】変性樹脂を得るには、スクリュー押出機や
ニーダーなどの混練装置を用い、ポリオレフィン系樹脂
と変性用モノマーを所定条件で溶融混和し、反応させ
る。このときの反応温度は、170℃以上かつポリオレ
フィン系樹脂の分解温度以下、好ましくは200℃〜2
50℃である。溶融混和温度が170℃を下回ると変性
が不十分で、最終的に得られる発泡体の発泡倍率が十分
高くならないことがあり、250℃を越えるとポリオレ
フィン系樹脂が分解し易くなる。
【0043】上記変成反応に用いる装置は、スクリュー
押出機の他、一般的にプラスチック成形加工で使用され
うる溶融混練装置であればよく、例えばニーダー、ロー
ター、連続混練機などが例示される。このうち連続運転
が行えるスクリュー押出機が好ましく、1軸スクリュー
押出機、2軸スクリュー押出機、3本以上のスクリュー
を備えた多軸スクリュー押出機などがいずれも好適に用
いられる。1軸スクリュー押出機としては、一般的なフ
ルフライト型スクリューに加え、不連続フライト型スク
リュー、ピンバレル、ミキシングヘッドなどを有する押
出機なども用いられる。また、上記2軸スクリュー押出
機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合い異
方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機など
が好適に使用し得る。なお、押出機の後段に真空ベント
を設けることは、樹脂組成物中に揮発物が残存するのを
防ぐのに効果的である。
【0044】スクリュー押出機を用いる場合、ポリオレ
フィン系樹脂は通常はホッパーから押出機へ投入される
が、定量性を増すため、スクリュー式フィーダー、重量
管理式フィーダーなどを用いることも好ましい。
【0045】変性用モノマーは、ポリオレフィン系樹脂
と同時にホッパーから押出機へ投入してもよいが、特に
ジビニルベンゼンやアリル系多官能モノマーのいくつか
は常温常圧で液体であるので、押出機にてポリオレフィ
ン系樹脂が溶融する位置より後流部に設けられた液体注
入孔から供給する方が、これを溶融樹脂中に均一に分散
できるので好ましい。このとき液体モノマーは、プラン
ジャーポンプなどの圧送式のポンプで送液することが望
ましい。
【0046】変性用モノマーに有機過酸化物を併用する
場合は、有機過酸化物を同モノマーと予め混合してこれ
らを同時に投入する方法、あるいはモノマー投入と前後
して有機過酸化物を別投入する方法などが適用できる。
【0047】変性樹脂は、同種あるいは異種の未変性ポ
リオレフィン系樹脂と溶融ブレンドされたものでも良
い。このような変性樹脂と未変性樹脂とのブレンドを用
いることにより、得られる発泡性樹脂組成物の流動性が
改善され、これによって、極めて薄い発泡性原反が成形
可能となり、その結果、薄いシート状複合発泡体の製造
が可能となる。その上、発泡性樹脂組成物の流動性の改
善が紡錘形の気泡を形成するのに好適に働き、その結果
として、より高圧縮強度の発泡体を得ることも可能とな
る。
【0048】未変性ポリオレフィン系樹脂は、変性樹脂
の変性前のポリオレフィン系樹脂の定義で先に説明した
ものであって良い。
【0049】未変性ポリオレフィン系樹脂の種類は、得
られる発泡性複合シートの成形性、外観、シート状物と
の接着性、およびこれから得られる複合発泡体の発泡倍
率、機械的物性、熱的物性、セル形状等によって適宜選
ばれる。例えば、発泡体原反の流れ性を良くしたけれ
ば、未変性ポリオレフィン系樹脂として粘度の低い樹脂
を用いる。柔らかい発泡体を得たければ、未変性樹脂と
して密度の低いポリオレフィンを用いる。
【0050】変性樹脂と未変性ポリオレフィン系樹脂の
割合は、変性樹脂100重量部に対して、未変性樹脂を
好ましくは50〜200重量部、より好ましくは70〜
130重量部ブレンドする。未変性ポリオレフィン系樹
脂の割合が大き過ぎると、発泡に必要な溶融張力が保持
できないため、発泡倍率の低下を引き起こし、良好な発
泡体が得られないことがある。
【0051】本発明で用いる熱分解型化学発泡剤は、加
熱により分解ガスを発生するものであれば特に限定され
るものではない。熱分解型化学発泡剤の代表的な例は、
アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンス
ルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンス
ルホニルヒドラジド)である。これらは単独で用いても
または2種以上組み合わせて用いてもよい。その中でも
アゾジカルボンアミドが特に好適に用いられる。
【0052】熱分解型化学発泡剤は、変性樹脂100重
量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜35重
量部の範囲で所望の発泡倍率に応じて適宜の量で使用さ
れる。
【0053】このようにして、ポリオレフィン系樹脂と
変性用モノマーから得られた変性樹脂に熱分解型化学発
泡剤を混練して発泡性樹脂組成物を得るには、上述した
反応用の溶融混練装置と、これとは別の発泡剤混和用の
溶融混練装置(構造は反応用の溶融混練装置のそれと同
じであってもよい)とを用いて、同発泡剤が実質的に分
解しない最高温度以下で両者を混合する。この溶融混練
の態様としては下記のものがある。
【0054】(a) 反応用の回分式あるいは連続式の溶融
混練装置において、ポリオレフィン系樹脂を変性用モノ
マーと溶融混和して反応させ、得られた変性樹脂を同溶
融混練装置から取り出して固化、造粒などを行った後、
同樹脂組成物を発泡剤混和用の回分式あるいは連続式の
混練装置に移し、これに発泡剤を投入し両者を溶融混練
し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0055】(b) 反応用の回分式の溶融混練装置におい
て、ポリオレフィン系樹脂を変性用モノマーと溶融混和
して反応させ、得られた変性樹脂を同混練装置内で、発
泡剤が実質上分解しない温度もしくは多量には分解しな
い温度まで冷却しておき、次いで、これに発泡剤を投入
し両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0056】(c) 反応用のスクリュー押出機(連続式の
溶融混練装置)において、ポリオレフィン系樹脂を変性
用モノマーと170℃以上の温度で溶融混和して反応さ
せ、得られた変性樹脂を発泡剤が実質上分解しない温度
もしくは多量には分解しない温度まで降温させておき、
さらに同スクリュー押出機の途中に設けた供給口より発
泡剤を投入し、両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を
得る。
【0057】(d) 連続操作のもう一つの形態では、2台
のスクリュー押出機などを連結して、1台目でポリオレ
フィン系樹脂を変性用モノマーと溶融混和して反応さ
せ、得られた変性樹脂を上記と同様に降温させた後、同
樹脂組成物を2台目に移し、これに発泡剤を投入し、両
者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0058】混合物に熱分解型化学発泡剤を混練してな
る発泡性樹脂組成物は、シート状に賦形される。賦形の
方法は押出成形の他、プレス成形、ブロー成形、カレン
ダリング成形、射出成形など、プラスチックの成形加工
で一般的に行われる方法が適用可能である。
【0059】特に、上記(a)(b)の方法にしたがって得ら
れる発泡性樹脂組成物を、回分式の発泡剤混和用混練装
置より取り出し、これをスクリュー押出機に投入して連
続的にシート形状に賦形する方法、あるいは、上記(a)
(c)(d) の方法にしたがって、スクリュー押出機より吐
出する発泡性樹脂組成物を、直接賦形する方法が、生産
性の観点より好ましい。
【0060】本発明方法で用いるシート状物を構成する
材料は、紙、布、木材、鉄等の金属、非鉄金属、プラス
チック、ガラス、無機物など自由に選べ、特に限定され
るものではない。またシート状物は発泡性シートと積層
・一体化させる場合には、発泡性シートとの間にある程
度の接着性を発現するものが望ましいが、接着性が無い
シート状物であっても粘着剤や接着剤を適宜用いること
で発泡性シートに接着可能なものであればよい。
【0061】シート状物は、発泡性シートを加熱発泡さ
せる際の面内方向への発泡を抑制し得る強度を有するも
のである。シート状物の強度が低すぎると、発泡に際し
てシート状物が裂けてしまい、発泡性シートの面内方向
の発泡を充分に抑制することができないことがある。従
って上記面内発泡を抑制するためのシート状物として
は、例えば、発泡倍率が10である場合は、引張り強度
0.1kgf/cm以上のものが好ましい。
【0062】本発明方法で好適に用いられるシート状物
としては、ガラスクロス、寒冷紗、織布または不織布、
ニードルパンチ不織布、紙等が挙げられる。ガラスクロ
スとは、ガラス繊維を抄造して得られるサーフェイスマ
ット、ガラスロービングが織られてなるものをいう。ま
た、寒冷紗、不織布、ニードルパンチは、主にポリエス
テルやナイロン等の合成繊維からなるものである。織布
は一般的な天然繊維や合成繊維からなるものであって良
い。なお、サーフェイスマットについてはガラス短繊維
同士を結着するためのバインダーが含まれてもよい。該
バインダーとしては、シート状物の引張強度が上記範囲
を満たすものであれば特に限定されず、例えば、ポリビ
ニルアルコール、飽和ポリエステル、アクリル系樹脂な
どの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステ
ルなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。織布、不織布を構
成する有機繊維としてはポリエステル繊維、綿、アクリ
ル繊維、ナイロン繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙
げられる。これらのシート状物を使用することによっ
て、軽量で高圧縮強度を有するポリオレフィン系樹脂複
合発泡体を得ることができる。また、適切な強度のシー
ト状物を用いることによって、同発泡体をポリオレフィ
ン系樹脂の融点以上の温度に再加熱することで二次賦形
が可能となる。よって、得られた複合発泡体は自動車用
の成型天井材や内装パネル等の芯材などに好適に使用す
ることができる。
【0063】また、本発明方法で用いるシート状物は、
金属製シート、例えば、鉄製シート、またはアルミニウ
ム、チタン、銅などの非鉄金属製シートからなるもので
あっても良い。鉄製シートには、溶融亜鉛鋼板や溶融亜
鉛アルミニウム合金鋼板、ステンレス鋼板等が含まれ
る。このような金属製のシート状物としては、厚み0.
01mm〜2mmの圧延された薄いシートが特に好適に
使用される。この場合、これらの金属は任意にメッキさ
れていてもよいし、有機塗料あるいは無機塗料で塗装さ
れていてもよく、あるいは粘接着剤が塗布されていても
よい。これらの金属製シート状物を使用する場合、得ら
れるポリオレフィン系樹脂複合発泡体は軽量の金属複合
板となり得る。これは、厚さ1〜5mmの金属板や、中
間層としてポリエチレン層などを配した金属複合板と比
較して、実用上極端な強度不足を来たさずに、さらに軽
量化と低コスト化が図れるメリットを有する。またこの
複合発泡体は発泡性複合シートを発泡させて製造される
ため、発泡体に後から金属シート状物を貼付した金属複
合板と比較して、表面平滑性が極めて優れたものにな
る。
【0064】発泡性シートの少なくとも片面にシート状
物を積層する方法は特に限定されるものではないが、例
えば、(イ)一旦冷却固化した発泡性シートにシート状
物を加熱しながら貼付する方法、(ロ)発泡性シートを
溶融状態になるまで加熱しておき、これをシート状物に
熱融着する方法、(ハ)発泡性シートにシート状物を接
着剤で貼り合わせる方法などが挙げられる。
【0065】発泡性複合シートの厚み精度を確保するに
は方法(イ)または(ハ)が好ましい。方法(ロ)の熱
融着では、例えば、Tダイから押し出された直後の溶融
状態の発泡性シートの少なくとも片面に、シート状物を
軽く積層した状態で、これらを対向状の冷却ロール間を
通過させ、ロールの押圧力で両者を一体化する方法が好
ましい。
【0066】なお、上記のように発泡性シートとシート
状物を積層して一体化するとは、発泡性シートとシート
状物とを両者の界面において剥離しようとした場合に、
高い割合材料破壊が生じる程度に両者が固着されている
状態を意味するものとする。こうして得られた発泡性複
合シートは、適切な温度条件で加熱することにより、常
圧下あるいは一定加圧下で所望の発泡倍率に発泡させる
ことができる。上記加熱は、通常は熱分解型化学発泡剤
の分解温度から、分解温度+100℃までの温度範囲で
行われる。特に連続式発泡装置としては、加熱炉の出口
側で発泡体を引き取りながら発泡させる引き取り式発泡
器の他、ベルト式発泡器、縦型または横型発泡炉、熱風
恒温槽や、あるいはオイルバス、メタルバス、ソルトバ
スなどの熱浴が用いられる。
【0067】本発明によって得られたポリオレフィン系
樹脂発泡性複合シートを加熱発泡させる際、シート状物
が面内方向の発泡を抑制しつつ、積極的に厚み方向に発
泡を導くには、発泡性シートを構成する樹脂は流動性を
有する必要がある。本発明方法によれば、ポリオレフィ
ン系樹脂と特定の変性用モノマーを混和して得られた変
性樹脂は、この厚み方向への発泡の他、変性樹脂と発泡
剤との混練、シートへの賦形が充分可能な溶融流動性を
維持しつつ、同時に発泡が可能な程度の融体強度を持た
せることができる。
【0068】そして、図1に示すように、発泡時に面内
方向の発泡を抑制しうる強度を有するシート状物(3) が
発泡性シートの少なくとも片面に積層されているため、
発泡時、面内の二次元方向には殆ど発泡せず、厚み方向
にのみ発泡する。したがって、同発泡性複合シートの加
熱発泡によって得られた複合発泡体(1) の気泡(2) は、
厚み方向にその長軸を配向した紡錘形、即ちシート厚み
方向に直立したラグビーボール状になって並ぶ。そのた
め、得られた発泡体は、シート厚み方向に圧縮力を受け
ると、紡錘形の長軸方向に力がかかることになるので、
その方向に高い強度を示す。
【0069】従来技術に従って架橋材料シラン変性ポリ
オレフィンを使用して得られた発泡性シートと比較し
て、本発明で得られる発泡性シートは、発泡圧が低くな
るため、0.3kg/cmという極端に低い強度を有す
るシート状物を用いても、破損することなく面内方向の
発泡を抑制することができる。この結果、この発泡性シ
ートを加熱発泡することによって、厚み方向にのみ発泡
させ、厚み方向に長軸を有する紡錘形のセルからなる発
泡体を得ることができる。
【0070】また、変性樹脂に未変性のポリオレフィン
系樹脂または他の熱可塑性樹脂がブレンドされることに
よって、さらに流動性が向上するため発泡圧はいっそう
低下すると同時に、球形と比べて変形歪みが伴う紡錘形
の気泡が形成され易くなる。
【0071】なお、本発明方法では、長い反応時間を要
する水架橋を利用しないので、生産性が高い。また、本
発明方法で得られる発泡性樹脂複合シート、およびこれ
から得られた複合発泡体は、溶融流動性を有するので実
質的にリサイクル可能である。
【0072】
【発明の実施の形態】本発明を実施例によってより具体
的に説明する。
【0073】実施例1 i)発泡性樹脂組成物の製造 (1) 変性ポリオレフィン系樹脂の調製 反応用スクリュー押出機として、BT40(プラスチッ
ク工学研究所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機を
用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備
え、そのL/Dは35、Dは39mmである。シリンダ
ーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜4バレルか
らなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回
収するため第4バレルに真空ベントが設置されている。
【0074】操作条件は下記の通りである。
【0075】
【0076】上記構成の反応用スクリュー押出機に、ま
ず、ポリオレフィン系樹脂およびジオキシム化合部をそ
の後端ホッパーから別々に投入し両者を溶融混和し、変
性樹脂を得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は
真空ベントにより真空引きした。
【0077】ポリオレフィン系樹脂はポリプロピレンラ
ンダム共重合体(三菱化学製「EG8」、MI;0.8
g/10分、密度;0.9g/cm3 )であり、その供
給量は10kg/hとした。
【0078】変性用モノマーはp−キノンジオキシム
(大内新興化学社製「バルノックGM−P」)であり、
その供給量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
て0.75重量部とした。
【0079】ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合部
の溶融混和によって得られた変性樹脂を、ストランドダ
イから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性
樹脂のペレットを得た。
【0080】(2) 発泡性樹脂組成物の調製 発泡剤混練用スクリュー押出機はTEX−44型(日本
製鋼所社製)同方向回転2軸スクリュー押出機であり、
これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL
/Dは45.5、Dは47mmである。シリンダーバレ
ルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからな
り、成形ダイは7穴ストランドダイである。
【0081】温度設定区分は下記の通りである。 第1バレルは常時冷却 第1ゾーン;第2〜4バレル 第2ゾーン;第5〜8バレル 第3ゾーン;第9〜12バレル 第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0082】発泡剤を供給するために第6バレルにサイ
ドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11
バレルに真空ベントが設置されている。
【0083】操作条件は下記の通りである。
【0084】
【0085】上述のようにして得られた変性樹脂を反応
用スクリュー押出機から発泡剤混練用スクリュー押出機
に供給した。変性樹脂の供給量は20kg/hとした。
また、同押出機にそのサイドフィーダーから発泡剤を供
給し、分散させた。発泡剤はアゾジカルボンアミド(A
DCA)であり、その供給量は1kg/hとした。
【0086】こうして変性樹脂と発泡剤の混練によって
得られた発泡性樹脂組成物を、ストランドダイから吐出
し、水冷し、ペレタイザーで切断して、同組成物のペレ
ットを得た。
【0087】(3) 複合シートの調製 上記のようにして得られた発泡性樹脂組成物をプレス成
形機を用いてシート状に賦形した。賦形温度は180
℃、圧力は200kgf/cm2 とし、5分間プレス成
型を行った。こうして、340×340×1mm3 の発
泡性シートを得た。 他方、ポリエチレンテレフタレー
ト製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボンド エクー
レ 6301A」、秤量30g/m2 、引張り強度:縦
1.6kg/cm、横1.2kg/cm)を用意し、こ
れを上記発泡性シートの両面に積層し、再び上記条件で
プレス成型を行った。
【0088】得られた発泡性複合シートから縁部を取り
除き、一辺300mmの正方形サンプルを得た。
【0089】(4) 発泡 タルクを敷き付けたステンレススチール製バットを熱風
オープン内に置き、上記発泡性シートサンプルをタルク
上に置き、同サンプルを230℃で約4分間加熱発泡さ
せ、複合発泡体を得た。
【0090】実施例2 変性ポリオレフィン系樹脂の調製工程(1) において、変
性用モノマーとしてジフェニルメタンビスマレイミドを
ポリプロピレン100重量部に対して0.75重量部使
用した以外は、実施例1と全く同様の方法で発泡性複合
シートを得、さらにこれを同様の方法で加熱発泡させて
複合発泡体を得た。
【0091】実施例3 変性ポリオレフィン系樹脂の調製工程(1) において、変
性用モノマーとしてジビニルベンゼンをポリプロピレン
100重量部に対して0.1重量部、および有機過酸化
物であるジ−t−ブチルパーオキサイドをポリプロピレ
ン100重量部に対して0.03重量部使用した以外
は、実施例1と全く同様の方法で発泡性複合シートを
得、さらにこれを同様の方法で加熱発泡させて複合発泡
体を得た。
【0092】実施例4 変性ポリオレフィン系樹脂の調製工程(1) において、変
性用モノマーとしてトリアリルイソシアヌレートをポリ
プロピレン100重量部に対して0.1重量部、および
有機過酸化物であるジ−t−ブチルパーオキサイドをポ
リプロピレン100重量部に対して0.03重量部使用
した以外は、実施例1と全く同様の方法で発泡性複合シ
ートを得、さらにこれを同様の方法で加熱発泡させて複
合発泡体を得た。
【0093】実施例5 変性ポリオレフィン系樹脂の調製工程(1) において、変
性用モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリ
レートをポリプロピレン100重量部に対して1重量部
使用し、さらに複合シートの調製工程(3) において、プ
レス時間を13分間とした以外は、実施例1と全く同様
の方法で発泡性複合シートを得、さらにこれを同様の方
法で加熱発泡させて複合発泡体を得た。
【0094】実施例6 変性ポリオレフィン系樹脂の調製工程(1) において、キ
ノンジオキシムをポリプロピレン100重量部に対して
1重量部使用し、また発泡性樹脂組成物の調製工程(2)
において発泡剤混練用スクリュー押出機に、変性樹脂の
10kg/hの供給と併せて、ホモタイプのポリプロピ
レン(三菱化学製「EA7」、MI;1.2g/10
分、密度;0.9g/cm3 )を10kg/hで同時に
供給し、さらに発泡剤の供給量を1kg/hとした以外
は、実施例1と全く同様の方法で発泡性複合シートを
得、さらにこれを同様の方法で加熱発泡させて複合発泡
体を得た。
【0095】実施例7 複合シートの調製工程(3) において、発泡性シートの厚
みを0.5mmとし、シート状物としてポリエチレンテ
レフタレート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボン
ド エクーレ 6101A」、坪量10g/m2 、引張
り強度:縦0.36kg/cm、横0.18kg/c
m)を用いたこと以外は、実施例6と全く同様の方法で
発泡性複合シートを得、さらにこれを同様の方法で加熱
発泡させて複合発泡体を得た。
【0096】実施例8 複合シートの調製工程(3) において、発泡性シートの厚
みを0.5mmとし、シート状物として厚み0.2mm
の圧延アルミニウムシート(住友軽金属社製、試供品)
を用いたこと以外は、実施例1と全く同様の方法で発泡
性複合シートを得、さらにこれを同様の方法で加熱発泡
させて複合発泡体を得た。
【0097】比較例1 複合シートの調製工程(3) において発泡性シートに不織
布を積層しないこと以外は実施例1と全く同様の操作を
行い、さらに発泡性シートを同様の方法で加熱発泡させ
て発泡体を得た。
【0098】比較例2 発泡体製造原料として下記のものを用意した。
【0099】高密度ポリエチレン(三菱化学社製、「J
Y20」、密度;0.951g/cm3 、MI;9.0
g/10分)50重量部 ポリプロピレン(三菱化学社製、「MH8」、密度;
0.900g/cm3 、MI;0.30g/10分)2
5重量部 シラン変性ポリプロピレン(三菱化学社製、「XPM8
00HM」、密度;0.912g/cm3 、MI;11
g/10分)25重量部 シラン架橋触媒(ジブチル錫ジラウレートのマスターバ
ッチ:三菱化学社製、「PZ−10S」)1.5部 熱分解型発泡剤(実施例1と同じくADCA)5重量部
【0100】上記5種の原料からなる混合物を実施例1
で用いたのと同じTEX44型2軸スクリュー押出機に
供給量30kg/hで供給し、温度180℃、スクリュ
ー回転数60rpm、で溶融混練混練し、混練物を幅3
50mm×リップ開度1.1mmのTダイから押出し、
シート状発泡性成形体を得た。
【0101】次いで、実施例1の複合シートの調製工程
(3) と同様の方法で発泡性複合シートを得た。この発泡
性複合シートを99℃の熱湯に2時間浸漬し、熱水養生
により水架橋させた。この発泡性架橋複合シートを実施
例1と全く同様の方法で加熱発泡させて複合発泡体を得
た。
【0102】比較例3 複合シートの調製工程(3) において、発泡性シートの厚
みを0.5mmとし、シート状物としてポリエチレンテ
レフタレート製の不織布(東洋紡績社製、「スパンボン
ド エクーレ 6101A」、秤量10g/m2 、引張
り強度:縦0.36kg/cm、横0.18kg/c
m)を用いたこと以外は、比較例2と全く同様の方法で
発泡性複合シートを得た。これを同様の方法で熱水養
生、そして加熱発泡させたところ、発泡時に不織布が破
れ、且つ発泡体の形状が極端に歪んだ。そのため、後述
する発泡体の評価は発泡倍率とリサイクル性についての
み実施した。
【0103】比較例4 熱水養生の浸漬時間を15分としたこと以外は比較例2
と全く同様の方法で発泡性複合シートを得た。これを同
様に加熱発泡したが発泡倍率が不十分(2倍にとどまっ
た)であった。そのため、後述する発泡体の評価は実施
しなかった。
【0104】性能評価 上記実施例および比較例で得られた複合発泡体を下記の
項目について性能評価した。
【0105】・発泡倍率:複合発泡体よりシート状物を
カッターで削り取った後、JIS K6767に従い発
泡体の発泡倍率を測定した。
【0106】・圧縮強度:複合発泡体を5cm角にカッ
トし、JIS K6767に従い25%圧縮強度を測定
した。
【0107】・曲げ弾性率:複合発泡体を長さ120m
m、幅25mmにカットし、JIS K7221に従い
曲げ弾性率を測定した。
【0108】・セル形状(長軸長さ/短軸長さ):複合
発泡体を厚み方向にカットし、厚み方向の中心部のカッ
ト断面を光学顕微鏡で観察し、紡錘形の発泡セルの長軸
長と短軸長を基準スケールを用いて測定した。
【0109】・リサイクル性:(流れ性) 複合発泡体よりシート状物を削り取った後、発泡体を加
熱プレスで圧縮して気泡を潰し、これを各ペレタイザー
で一辺6mm未満の角ペレットに粉砕し、そのメルトフ
ローをJIS K7210の条件4で測定した。
【0110】各実施例および比較例の発泡体の製造材料
および得られた発泡体の評価結果を表1〜3にまとめて
示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】表中、PP:ポリプロピレン PE:ポリエチレン QDO:p−キノンジオキシム DPMBM:ジフェニルメタンビスマレイミド DVB:ジビニルベンゼン PBD:ジ−t−ブチルパーオキサイド TAIC:トリアリルイソシアヌレート TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
【0115】本発明方法によって得られたポリオレフィ
ン系樹脂の発泡性複合シートは、これを発泡させること
によって、発泡体の気泡が紡錘形になり、その長軸が厚
み方向に配向した複合発泡体が得られるものである。そ
のため、得られる発泡体の圧縮強度は従来の発泡体に比
較して格段に高く、上述した従来技術の欠点をことごと
く解決し、優れた性能を有する複合発泡体を効率的かつ
容易に製造することが可能になる。
【0116】また、変性樹脂に未変性のポリオレフィン
系樹脂または他の熱可塑性樹脂がブレンドされることに
よって、さらに流動性が向上するため発泡圧はいっそう
低下すると同時に、球形と比べて変形歪みが伴う紡錘形
の気泡が形成され易くなる。
【0117】また織布、不織布、寒冷紗等からなるシー
ト状物を用いた場合には、得られる複合発泡体は圧縮強
度が高いにも拘らず曲げ方向にはフレキシブルなものに
なる。また金属製シートからなるシート状物を用いる場
合には、得られる複合発泡体は従来の金属複合板と比較
して同等の表面平滑性を有し、実用上の強度不足を来た
さずに、大幅に軽量化を達成することができる。
【0118】
【発明の効果】本発明による複合発泡体は、高い圧縮強
度を有し、軽量性、断熱性、柔軟性等に優れる。そのた
め、これを各種断熱材、緩衝材、浮揚材等に幅広く用い
ることができる上に、建物の屋上断熱材や床用断熱材等
の用途にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は複合発泡体の概略図である。
【符号の説明】
1:複合発泡体 2:気泡 3:シート状物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 9:00 C08L 23:26 (56)参考文献 特開 平9−95550(JP,A) 特開 平9−143296(JP,A) 特開 平9−111024(JP,A) 特開 平4−13737(JP,A) 特開 平2−135233(JP,A) 特開 平9−150431(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 44/00 - 44/60 B29C 67/20 B32B 5/18 - 5/32 B32B 27/00 - 27/42 C08J 9/04 - 9/14 C08L 23/26 - 23/36

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂と、ジオキシム化
    合物、ビスマレイミド化合物、アリル系多官能モノマ
    ー、(メタ)アクリル系多官能モノマー、キノン化合
    物、およびこれらの2以上の組合わせよりなる群から選
    ばれた変性用モノマーとを溶融混和下に反応させて同樹
    脂を変性し、得られた変性樹脂に熱分解型化学発泡剤を
    加えて混練し、得られた発泡性樹脂組成物をシート状に
    賦形し、得られた発泡性樹脂シートの少なくとも片面
    に、同シートを加熱発泡させる際の面内方向への発泡を
    抑制し得る強度を有するシート状物を積層することを特
    徴とする、ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 溶融混和下の反応温度が170℃以上か
    つポリオレフィン系樹脂の分解温度以下である、請求項
    1記載のポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 溶融混和下の反応温度が200〜250
    ℃である、請求項2記載のポリオレフィン系樹脂発泡性
    複合シートの製造方法。
  4. 【請求項4】溶融混和下の反応および熱分解型化学発泡
    剤添加後の混練をスクリュー押出機、ニーダーおよび/
    またはローターを用いて連続的に行う、請求項1〜3の
    いずれか記載のポリオレフィン系樹脂発泡性複合シート
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系
    樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂である、請求
    項1〜4のいずれか記載のポリオレフィン系樹脂発泡性
    複合シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 変性用モノマーが、ラジカル反応し得る
    官能基を分子内に2個以上有する化合物である、請求項
    1〜5のいずれか記載のポリオレフィン系樹脂発泡性
    シートの製造方法。
  7. 【請求項7】 変性用モノマーの配合量が、ポリオレフ
    ィン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部で
    ある、請求項1〜のいずれか記載のポリオレフィン系
    樹脂発泡性複合シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 変性用モノマーの配合量が、ポリオレフ
    ィン系樹脂100重量部に対して0.2〜2重量部であ
    る、請求項記載のポリオレフィン系樹脂発泡性複合
    ートの製造方法。
  9. 【請求項9】 得られた変性樹脂に、これと同種または
    異種の未変性ポリオレフィン系樹脂をブレンドする、請
    求項1〜のうちいずれか1項記載のポリオレフィン系
    樹脂発泡性複合シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 変性樹脂100重量部に対して、未変
    性ポリオレフィン系樹脂を50〜200重量部ブレンド
    する、請求項記載のポリオレフィン系樹脂発泡性複合
    シートの製造方法。
  11. 【請求項11】 シート状物がガラスクロス、織布、不
    織布、寒冷紗、ニードルパンチ不織布、紙および金属製
    シートよりなる群から選ばれた材料からなるものであ
    る、請求項1〜10のうちいずれか1項記載のポリオレ
    フィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法。
JP10219136A 1997-10-29 1998-08-03 ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法 Expired - Lifetime JP3117678B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10219136A JP3117678B2 (ja) 1997-10-29 1998-08-03 ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29733297 1997-10-29
JP9-297332 1998-02-10
JP2859098 1998-02-10
JP10-28590 1998-02-10
JP10219136A JP3117678B2 (ja) 1997-10-29 1998-08-03 ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11291425A JPH11291425A (ja) 1999-10-26
JP3117678B2 true JP3117678B2 (ja) 2000-12-18

Family

ID=27286251

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10219136A Expired - Lifetime JP3117678B2 (ja) 1997-10-29 1998-08-03 ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3117678B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001058687A1 (fr) * 2000-02-10 2001-08-16 Sekisui Chemical Co., Ltd. Stratifie composite en resine de polyolefine
US6984445B1 (en) * 2000-02-28 2006-01-10 Sekisui Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Multi-layer sheet, a manufacturing method of the multi-layer sheet and a molding method of the multi-layer sheet
DE60212827D1 (de) 2001-04-23 2006-08-10 Sekisui Chemical Co Ltd Verfahren und vorrichtung zur herstellung von laminierten verbundwerkstoffen
JP2005238573A (ja) * 2004-02-25 2005-09-08 Sekisui Chem Co Ltd ポリオレフィン系樹脂複合発泡体
JP4832738B2 (ja) * 2004-08-10 2011-12-07 積水化学工業株式会社 ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの製造方法
JP4921716B2 (ja) * 2005-02-16 2012-04-25 積水化学工業株式会社 ピンナップ防炎パネル
JP4678731B2 (ja) 2005-09-09 2011-04-27 株式会社リコー ハニカム構造体又は微細複合部品の製造方法
JP4783184B2 (ja) * 2006-03-20 2011-09-28 株式会社神戸製鋼所 発泡性樹脂積層金属板
JP4809254B2 (ja) * 2007-01-29 2011-11-09 株式会社リコー 中空構造体形成用基板及びこの中空構造体形成用基板の製造方法及びこの中空構造体形成用基板を用いた中空構造体の製造方法
JP2010058488A (ja) * 2008-09-04 2010-03-18 Takatsuki Seikei Kk 化粧塗装板
CN115044310A (zh) * 2022-06-24 2022-09-13 江苏鹿山新材料有限公司 适用于铝基复合板材的热熔发泡胶片及其制备方法与应用

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11291425A (ja) 1999-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0162687B1 (ko) 자동차용 성형 루프재 및 그 제조방법
JP3117678B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡性複合シートの製造方法
US6613172B1 (en) Process for producing foamable composite polyolefin resin sheet and composite foam
WO1998014507A1 (fr) Composition de resine synthetique expansible, mousse de resine synthetique, et procede de production de cette mousse
WO2009001473A1 (ja) メタロセン-エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム系連続気泡体及びその製造方法
JP3597989B2 (ja) 傾斜構造発泡シートおよびその製造方法
JP3124267B2 (ja) 積層発泡シート、その成形体及び積層発泡シートの製造方法
JP4109377B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
JP4295378B2 (ja) 難燃性複合発泡体の製造方法
JP2002137305A (ja) 自動車用成形天井材およびその製造方法
JP4092050B2 (ja) 暖房機能付床下地材
JP2001132220A (ja) 床材、その製造方法及びマンション
JP4275813B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂複合発泡体
JP2000119426A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物
JP2000356031A (ja) 発泡積層体およびその製造方法並びにそれを用いた畳
JP3792371B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
JP4074386B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
JP2000313023A (ja) 複合発泡体シートの製造方法
JP2002347101A (ja) シート状成形品の製造装置およびシート状成形品の製造方法
JP4283398B2 (ja) 押出成形装置、及び、熱可塑性樹脂シートの製造方法、熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法、発泡性複合シートの製造方法、並びに、複合発泡シートの製造方法
JP3606655B2 (ja) 自動車用成形天井材およびその製造方法
JP2000317969A (ja) ポリオレフィン系樹脂複合発泡体の製造方法
JP3766249B2 (ja) 発泡複合シートの製造方法
JP2002273778A (ja) ブレーカープレートおよびシート状成形品の製造方法
JP2000230069A (ja) 樹脂発泡体シート

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20000906

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081006

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081006

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091006

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091006

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101006

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111006

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131006

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term