JPH0996089A - フロア材 - Google Patents

フロア材

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JPH0996089A
JPH0996089A JP25351295A JP25351295A JPH0996089A JP H0996089 A JPH0996089 A JP H0996089A JP 25351295 A JP25351295 A JP 25351295A JP 25351295 A JP25351295 A JP 25351295A JP H0996089 A JPH0996089 A JP H0996089A
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Katsuhiko Yamaji
克彦 山路
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、軽量性、切削性、耐溶剤性及び耐水
性に優れたフロアを構成し得るフロア材を得る。 【解決手段】 高密度ポリエチレンと、ポリプロピレン
と、ポリプロピレンを優先的に架橋する架橋剤と、発泡
剤とを混合加熱して押し出すことにより得られた、相対
的に高度に架橋されたポリプロピレンと、低架橋もしく
は無架橋のポリエチレンとの混合相からなる板状発泡体
に、硬質板状体として薄い合板を積層し、一体化してな
るフロア材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等において使
用されるフロア材に関し、より詳細には、マンションな
どにおけるコンクリート製床面上に敷設するのに適した
フロア材に関する。
【0002】
【従来の技術】フロア材としてカーペットを用いた場
合、カーペットがダニの発生原因となるため、近年、木
質フロア材を使用することが多くなっている。
【0003】木質フロア材は、一般的には、10mm前
後の厚みの合板の表面に木目印刷することにより、ある
いは上記合板上に良質の木材を薄くスライスしてなる突
き板を接着し、さらに耐磨耗性を高めるためのセラミッ
クコーティングを施すことにより形成されている。
【0004】しかしながら、マンションなどのコンクリ
ート構造物では、フロア材は、床面のコンクリート上に
直接敷き詰められるのが普通である。ところが、コンク
リートからなる床面では、表面にうねりや凹凸が生じて
いることが多い。他方、上記木質フロア材は全体として
平坦に形成されているため、上記床面のうねりや凹凸が
大きい場合には床面にフロア材を確実に沿わせることが
困難となり、甚だしき場合には施工できないことさえあ
った。
【0005】上記のような問題を解決するために、特開
平5−230984号公報では、木質フロア材の裏面に
多数の亀裂を形成し、それによって柔軟性を高めてコン
クリート製床面に対する馴染み性を高めた構造が提案さ
れている。この構造によれば、床面にうねりや凹凸が存
在していたとしても、上記亀裂により柔軟性が高められ
ているため、コンクリート製床面に対して木質フロア材
を確実に沿わせることができる。
【0006】しかしながら、上記のように木質フロア材
の裏面に多数の亀裂を設ける加工が必要であり、従っ
て、フロア材の製造工程が複雑になるという問題があっ
た。また、近年、木材の伐採による自然破壊が問題とな
っており、合板についてもその使用量の削減が望まれて
いる。従って、表面相だけを合板で構成し、内部及び裏
面側については木材以外の合成樹脂材料などの代替材料
により構成することが検討されてきている。もっとも、
フロア材において上記のような代替材料を用いる場合に
は、施工性の観点から、木材と同等もしくは木材以下の
重量のものが強く求められる。そこで、代替材料とし
て、発泡スチロールや発泡硬質ウレタンなどが検討され
てきている。
【0007】しかしながら、発泡スチロール上に合板か
らなる表面相を積層し接着により一体化しようとした場
合、溶剤系の接着剤を用いると発泡スチロールが溶けて
しまうという問題があった。さらに、発泡スチロール
は、切削性に乏しい(高精度に切削することが困難であ
ること)という欠点もあり、実際にはほとんど使用され
ていなかった。
【0008】他方、発泡硬質ウレタンは耐水性に乏しい
ため、コンクリートから徐々に発生してくる水分により
劣化するという問題があった。加えて、発泡硬質ウレタ
ンには、端部が粉体状に割れ易いという欠点もあった。
従って、発泡硬質ウレタンも上記代替材料としては、ほ
とんど使用されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した木質材料に代わる代替材料を用いたフロア材であっ
て、柔軟性、軽量性、切削性、耐溶剤性及び耐水性に優
れたフロア材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するためになされたものであり、相対的に高度に架橋
されているポリオレフィン系樹脂材料と、低架橋もしく
は無架橋のポリオレフィン系樹脂材料との混合相からな
る板状発泡体と、前記板状発泡体に積層されており、板
状発泡体よりも硬い硬質板状体とを備えることを特徴と
するフロア材である。
【0011】また、本発明のフロア材では、好ましく
は、請求項2に記載のように、上記硬質板状体の表面
に、さらに化粧シート状物が積層される。以下、本発明
の詳細を説明する。
【0012】ポリオレフィン系樹脂材料 上記のように、本発明では、相対的に高度に架橋したポ
リオレフィン系樹脂材料と、低架橋もしくは無架橋のポ
リオレフィン系樹脂材料との2種類のポリオレフィン系
樹脂が用いられる。上記2種類のポリオレフィン系樹脂
としては、発泡可能であれば、特に限定されず、例え
ば、低密度ポリエチレン(LD)、直鎖状低密度ポリエ
チレン(LLD)、中密度ポリエレチン(MD)、高密
度ポリエチレン(HD)、ランダムポリプロピレン、ホ
モポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレンなどを用
いることができる。
【0013】上記2種類のポリオレフィン系樹脂材料の
うち、一方が、上記のように高架橋の樹脂材料であり、
他方は、低架橋または無架橋の樹脂材料である。この高
架橋及び低架橋は、双方の架橋度の高低により決定され
る相対的なものである。以下においては、上記2種類の
架橋樹脂の組成について、一方を高架橋樹脂組成と、他
方を低架橋もしくは無架橋樹脂組成と呼ぶこととする。
【0014】本発明において、上記のように架橋度の異
なる2種類の樹脂を用いるのは、低架橋もしくは無架橋
のポリオレフィン系樹脂を混合することにより、発泡に
際しての流動性を高め、発泡体をシート状に成形し易く
するためである。
【0015】すなわち、発泡体の成形性を高めるため
に、上記高架橋ポリオレフィン系樹脂材料に対し、低架
橋または無架橋のポリオレフィン系樹脂材料が混合され
ている。
【0016】(樹脂の溶解性)上記2種類の樹脂組成に
使用されるポリオレフィン系樹脂の溶解性パラメータの
差は特定の範囲内であることが望ましい。すなわち、2
種類のポリオレフィン系樹脂の溶解性パラメータの差が
大きすぎると、各樹脂成分が非常に粗く分散するため、
板状発泡体における発泡倍率が低下しがちとなる。他
方、溶解性パラメータの差が小さすぎると、2種類の樹
脂の相溶性が高くなりすぎ、単一成分系に近くなり、発
泡時の形状自由度が低下する。従って、板状発泡体にお
いて各相が均一微細な混合相を形成するためには、2種
類のポリオレフィン系樹脂の溶解性パラメータの差は
0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5
の範囲であることがさらに好ましい。
【0017】上記溶解性パラメータは、
【0018】
【数1】
【0019】により求められた値を言うものとする。な
お、上記式中、ρは、樹脂成分の密度を、Mは樹脂成分
を構成するモノマーの分子量を、Fiは、モノマーを構
成しているグループのモル吸引定数である。
【0020】(メルトインデックス)上記2種類のポリ
オレフィン系樹脂のメルトインデックス(MI)の差が
大きすぎると、高架橋樹脂組成と低架橋もしくは無架橋
樹脂組成とが非常に粗く分散するため、板状発泡体の発
泡倍率が低下しがちとなる。また、2種類のポリオレフ
ィン系樹脂のMIの差が小さすぎると、2種類の樹脂の
相溶性が高くなり、高架橋樹脂組成と、低架橋もしくは
無架橋樹脂組成とを形成することができず、単一成分系
に近くなり、発泡時の形状自由度が低下する。
【0021】従って、上記2種類のポリオレフィン系樹
脂のMIの差は、3〜15g/10分の範囲が好まし
く、高架橋樹脂組成と低架橋もしくは無架橋樹脂組成と
の粒径が細かくかつ均一な混合相を実現することがで
き、さらに高発泡倍率に発泡し得る点からは、5〜13
g/10分がより好ましく、7〜11g/10分がさら
に好ましい。なお、本明細書におけるメルトインディッ
クス(MI)は、JIS K7210に従って測定され
た値をいうものとする。
【0022】(ポリオレフィン系樹脂の混合比率)上記
2種類のポリオレフィン系樹脂の混合比率としては、高
架橋樹脂組成と、低架橋もしくは無架橋樹脂組成とが均
一に分散し、かつ表面平滑性に優れた発泡体を得ること
を可能とするためには、高架橋樹脂組成と低架橋もしく
は無架橋樹脂組成とを、重量比で2:8〜8:2の範囲
で混合することが望ましく、4:6〜6:4がより好ま
しく、5:5がさらに好ましい。
【0023】(発泡剤)本発明では、上記2種類のポリ
オレフィン系樹脂材料の混合相からなる板状発泡体が用
いられるが、この板状発泡体を得るに際しては、発泡剤
として熱分解型発泡剤を用いることができる。熱分解型
発泡剤としては、用いるポリオレフィン系樹脂の溶融温
度よりも高い分解温度を有するものであれば、特に限定
されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウ
ム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナ
トリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンア
ミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N´−ジニト
ロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−ジニトロソ
ペンタメチレンテトラミン、P,P´−オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン酸バリウ
ム、トリヒドラジノトリアジン等を挙げることができ、
分解温度や分解速度の調整が容易であり、ガス発生量が
多く、かつ衛生上の点においても優れているアゾジカル
ボンアミドを用いることが好ましい。
【0024】熱分解型の発泡剤の添加量が多すぎると、
破泡が進行し、均一なセルを形成することができないこ
とがあり、少なすぎると、発泡が十分に行われないた
め、上記2種類のポリオレフィン系樹脂材料の合計の樹
脂分100重量部に対し、熱分解発泡剤は1〜25重量
部の範囲で使用することが好ましい。
【0025】(発泡性樹脂の製造方法)本発明における
上記板状発泡体の製造に用いられる発泡性樹脂の製造方
法は特に限定されない。例えば、複数種のポリオレフィ
ン系樹脂、熱分解型発泡剤、並びに必要に応じて添加さ
れる着色剤等を押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解
温度より低い温度で溶融混練した後、押出し、冷却する
ことにより発泡性樹脂を得ることができる。
【0026】上記発泡性樹脂の形状としては、シート状
や粒状などの適宜の形状とすることができる。なお、シ
ート状とする場合には、シートダイで押出し、冷却すれ
ばよい。また、粒状とする場合には、発泡性樹脂からな
るシートを得た後に、シートを切断し、粒状物を製造し
てもよく、あるいは発泡性樹脂をストランド状に押し出
した後冷却し、切断することにより粒状物を得てもよ
い。
【0027】発泡性樹脂を粒状物とする場合には、その
形状は特に限定されず、例えば、六方体、円柱、球状体
などの適宜の形状とすることができるが、粒状物を散布
する際に転がりにくくするためには、円柱や球状体など
の曲面を有するものに比べて、六方体などの平面のみで
外表面が構成されているものが好ましい。
【0028】粒状体が六方体である場合には、六方体の
一辺の長さは特に限定されないが、散布後の取扱い性を
高めるためには、1mm〜50mmが好ましく、3mm
〜20mmの範囲が特に好ましい。なお、発泡前の粒状
物の大きさが均一である必要は必ずしもなく、不均一で
あってもよい。
【0029】(架橋度の異なる複数種のポリオレフィン
系樹脂の混合物を調製する方法)ほとんど相溶性を有さ
ない高架橋樹脂組成と低架橋もしくは無架橋樹脂組成の
混合物を調製する方法としては、上記2種類の樹脂を混
合し、一方の樹脂成分に優先的に架橋する方法、放射線
を用いて架橋する方法、過酸化物を用いた架橋方法など
を用いることができる。
【0030】一方の樹脂成分のみに優先的に架橋する方
法としては、例えば一方の樹脂成分(a)にのみ、ま
たは他方の樹脂成分(b)よりも樹脂成分(a)に優先
的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、第1段階
で、架橋性官能基を有する樹脂成分(a)と同種の架橋
性樹脂成分(c)を、該樹脂成分(a)と混合し、架橋
し、高架橋樹脂組成を形成した後、第2段階において、
樹脂成分(b)を混合する方法などを挙げることができ
る。
【0031】もっとも、粒径が細かくかつ均一な樹脂成
分(a),(b)を形成すること、樹脂成分(a)を優
先的に架橋し得ること、並びに発泡体を構成する樹脂を
容易に形成し得ることなどの観点から、樹脂成分
(a)とほとんど同じメルトインデックスを有し、架橋
性官能基を有し、かつ樹脂成分(a)と同種の架橋性樹
脂成分(c)を、樹脂成分(a)及び(b)に混合した
後、架橋させる方法が最も好ましい。
【0032】樹脂成分(a)とほとんど同じメルトイン
デックスを有し、かつ架橋性官能基を有し、さらに、樹
脂成分(a)と同種の架橋性樹脂(c)としては、反応
性官能基を有し、かつ上記ポリオレフィン系樹脂を架橋
し得る樹脂であれば特に限定されず、このような架橋性
樹脂(c)としては、例えば、ビニル基、アリル基、プ
ロピレン基などの不飽和基、水酸基、カルボキシル基、
エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネート基な
どを有する上記したポリオレフィン系樹脂を挙げること
ができる。
【0033】架橋性樹脂(c)の具体的な例としては、
マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロ
ピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロ
ピレンなどを挙げることができる。
【0034】上記樹脂成分(a)のみに、または樹脂成
分(b)よりも樹脂成分(a)に優先的に架橋すること
が容易であること、混合後の架橋が容易であることなど
から、架橋性樹脂(c)としては、シラン変性ポリエチ
レンやシラン変性ポリプロピレンが好ましい。
【0035】樹脂成分(a)と架橋性樹脂(c)とのメ
ルトインデックスの差が大きすぎると、樹脂成分(a)
のみに、または樹脂成分(b)よりも樹脂成分(a)に
優先的に架橋することが困難となるため、上記メルトイ
ンデックスの差は2g/10分以下であることが好まし
く、1g/10分以下であることがさらに好ましい。
【0036】上記架橋性樹脂(c)を用いて架橋する方
法としては、イソシアネートを用いて架橋する方法、ア
ミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解し
た後、水架橋する方法などを挙げることができるが、混
合後の架橋が容易なことから、中でも、反応性官能基を
加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0037】上記シラン変性に用いられる不飽和シラン
化合物は、一般に、
【0038】
【化1】
【0039】で表されるものである。なお、上記、式
(1)において、Rはビニル基、アリル基、プロペニル
基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;グリシジ
ル基;アミノ基;メタクリル基;γ−クロロエチル基、
γ−ブロモエチル基などのハロゲン化アルキル基などの
有機官能基、R´は、メチル基、エチル基、プロピル
基、デシル基などの脂肪族飽和炭化水素基であり、Y
は、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、プロ
ピオノキシアリールアミノ基などの加水分解可能な有機
官能基であり、nは0、1または2である。
【0040】また、架橋反応が速いため、特にCH2
CHSi(OA)3 (ただし、Aは、炭素数1〜8、好
ましくは1〜4の脂肪族飽和炭化水素基)が好ましく、
例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリアセトキシシランなどを挙げるこ
とができる。
【0041】上記シラン変性ポリエチレンやシラン変性
ポリプロピレンのようなシラングラフト重合体の製造方
法としては、一般的な方法を用いることができ、特に限
定されるものではない。例えば、ポリエチレン、RR´
SiY2 (式中、Rは、オレフィン性の不飽和な一価の
炭化水素基、またはハイドロカーボンオキシ基であり、
各Yは、加水分解し得る有機基であり、R´はRまたは
Yである。)で表される不飽和シラン化合物及び有機過
酸化物を反応させ、シラン変性ポリエチレンを得る方法
を挙げることができる。
【0042】シリル基を有するシラングラフト重合体
は、例えば、Yがメトキシ基である場合には、これが水
と接触することにより加水分解して水酸基となり、異な
る分子の水酸基同士が反応し、Si−O−Si結合を形
成し、シラングラフト重合体同士が架橋する。
【0043】シラングラフト重合体を添加する方法は、
均一に添加し得る方法であれば特に限定されない。例え
ば、上記ポリオレフィン系樹脂及びシラングラフト重合
体を一軸または二軸押出機に供給し、溶融混練する方
法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用い
て溶融混練する方法などを挙げることができる。
【0044】上記水処理する方法は、水中に浸漬する方
法のほか、水蒸気にさらす方法も含むものであり、10
0℃より高い温度で処理する場合には加圧下において行
えば好適である。
【0045】水処理の際の水及び水蒸気の温度が低い
と、架橋反応速度が低下し、高すぎると粒状物同士が融
着する。従って、上記水及び水蒸気の温度は50〜13
0℃の範囲が好ましく、90〜120℃の範囲が特に好
ましい。
【0046】水処理の時間が短いと、架橋反応が完全に
進行しないことがあり、長すぎると粒状物同士が融着す
るため、水処理の時間は5分〜12時間の範囲であるこ
とが好ましい。
【0047】また、上記シラングラフト重合体の添加量
が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる発泡体の発
泡倍率が低下し、少なすぎるとセルが破泡し均一なセル
が得られなくなる。従って、シラングラフト重合体の添
加量は、高度に架橋するポリオレフィン系樹脂の樹脂分
100重量部に対し、5〜50重量部が好ましく、20
〜35重量部が特に好ましい。
【0048】また、必要に応じて、シラン架橋触媒を添
加してもよい。上記シラン架橋触媒は、シラングラフト
重合体同士の架橋反応を進行させるものであればよく、
例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレ
ート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレ
イン酸錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン亜鉛、オ
クタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ス
テアリン酸亜鉛などを挙げることができる。
【0049】シラン架橋触媒の添加量が多すぎると、得
られる発泡体の発泡倍率が低下し、少なすぎると架橋反
応速度が低下し、水処理に時間を要する。従って、シラ
ン架橋触媒を添加する場合、その添加量は、高度に架橋
するポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、0.0
01〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1
重量部が特に好ましい。
【0050】本発明では、上記架橋度の異なる2種類の
ポリオレフィン系樹脂を得るにあたって、放射線を用い
て架橋してもよい。放射線を用いて架橋する方法は、放
射線を照射したときに架橋する樹脂及び分解する樹脂の
2種類の樹脂からなる粒状物を用いる場合に適用するこ
とができる。放射線架橋し得る樹脂としては、ポリエチ
レン系樹脂を挙げることができ、分解する樹脂としては
ポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。
【0051】放射線の照射量が多すぎると、架橋がかか
りすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下することがあ
り、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一なセルが
得られない。従って、放射線の照射量は、1〜20Mr
adが好ましく、3〜10Mradが特に好ましい。
【0052】放射線を照射する方法は特に限定されるも
のではなく、例えば、2台の電子線発生装置を用い、そ
の間に樹脂を通過させ、樹脂に電子線を照射する方法な
どを挙げることができる。
【0053】過酸化物による架橋方法は、本発明では、
過酸化物により架橋する樹脂と分解する樹脂の2種類の
粒状物を用いた場合にのみ適用することができる。過酸
化物で架橋し得る樹脂としては、ポリエチレン系樹脂を
挙げることができ、分解する樹脂としては、ポリプロピ
レン系樹脂を挙げることができる。
【0054】この方法で用いられる過酸化物は特に限定
されるものではなく、例えば、ジブチルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミル
パーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイドなどを
挙げることかでき、ジクミルパーオキサイド、ターシャ
ルブチルクミルパーオキサイドが好ましく、ジクミルパ
ーオキサイドが特に好ましい。
【0055】過酸化物の添加量が多すぎると、過度に架
橋が進行し、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、少な
すぎると、樹脂の架橋が不十分となる。従って、過酸化
物の添加量は、樹脂100重量部に対し、0.5〜5重
量部が好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。
【0056】(架橋後の樹脂のゲル分率)本発明におい
ては、高架橋樹脂組成の架橋度が高いと、架橋がかかり
すぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、低すぎると
発泡時にセルが破泡し、均一なセルを得ることができな
い。従って、高架橋樹脂組成における架橋度の指標とな
るゲル分率は5〜40重量%が好ましく、10〜30重
量%であることがより好ましい。
【0057】低架橋または無架橋樹脂組成においては、
該低架橋樹脂組成の架橋度が高いと架橋がかかりすぎ、
得られる発泡体の流動性が低下し、シート状に成形し難
くなり、かつ発泡体の表面平滑性が低下するので、上記
架橋度の指標となるゲル分率は5重量%以下が好まし
く、3重量%以下がより好ましい。
【0058】なお、本明細書における上記ゲル分率とは
架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬後
の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に対
する重量百分率をいうものとする。
【0059】(発泡方法)本発明に用いられる板状発泡
体の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば
(a)シート状の発泡性樹脂を供給し、加熱・発泡させ
ることにより、あるいは(b)発泡性樹脂よりなる粒状
物を散布し、加熱・発泡させ、該粒状物を互いに熱融着
させてシート状の発泡成形体とする方法を挙げることが
できる。
【0060】後者の(b)発泡性樹脂粒状体を用いる方
法では、得られる発泡体の発泡倍率が部分的に不均一と
なることを避けるために、粒状の発泡性樹脂を略均一に
散布することが好ましい。
【0061】本発明における板状発泡体の発泡倍率が低
すぎると、該発泡体の強度が高くなり、柔軟性が乏しく
なる。また、上記発泡倍率が高すぎると、破損し易くな
る。従って、板状発泡体における発泡倍率は5〜30倍
が好ましく、7〜15倍がより好ましい。
【0062】上記(a)シート状発泡性樹脂を発泡させ
る具体的な方法につき説明する。すなわち、シート状の
発泡性樹脂を発泡させる方法は特に限定されるものでは
なく、例えば、2枚の板状体の間にシート状発泡性樹
脂を供給し、板状体の間隔を一定に保持しつつ発泡させ
る方法、シート状発泡性樹脂を、2枚の板状体の間に
挟み込んだ後、板状体の間隔をある長さになるまで増加
させつつ発泡させる方法、あるいはシート状発泡性樹
脂を、2枚の板状体の間に挟み込んだ後加熱し、発泡の
際の発泡圧を利用して板状体の間隔をある長さになるま
で増加させる方法などを挙げることができる。
【0063】また、(b)上記発泡性樹脂よりなる粒状
物を用いてシート状の発泡成形体を得る方法では、ま
ず、発泡性樹脂よりなる粒状物を略均一に散布する。こ
の場合略均一に粒状物を散布する方法としては、特に限
定されるものではなく、粒状物の最小辺がほぼ同一高
さを有する複数の直方体状の粒状物A,Bを散布し、高
周波振動を与えて最小辺を厚み方向に一致するように転
がらせて単層とする方法、ほぼ同一高さを有する立方
体形状の粒状物を散布し、高周波振動を与えて単層にす
る方法、あるいは重ね合わせて散布された、ほぼ同一
高さを有する複数の立方体状の粒状物をコーター等を用
いて単層にする方法などを好適に用いることができる
が、場合によっては、ほぼ同一高さを有する個々の粒状
物を重ならないように配置していく方法も採用し得る。
【0064】発泡性樹脂よりなる粒状物の実際の散布面
積の和の全散布領域の外縁で囲まれた部分の面積に対す
る割合が高すぎると、発泡時に気泡を巻き込むために、
ボイドが発泡体中に発生し、少なすぎると発泡体に孔が
開くため、10〜60%が好ましく、12〜45%が特
に好ましい。
【0065】なお、本明細書における上記粒状体の表現
における「ほぼ同一高さ」とは、全く同一寸法を有する
ものに限られず、略同一寸法であることを意味する。ま
た、上記高さとは、粒状物を散布した際に方向付けされ
る個々の粒状物の散布面と直交する方向の寸法をいうも
のとする。
【0066】上記発泡性樹脂よりなる粒状物を加熱する
方法としては、上述した熱分解型発泡剤の分解温度以上
に加熱することが可能である限り、特に限定されるもの
ではない。例えば、電気ヒーター、遠赤外線ヒーター、
加熱された油や空気などの加熱媒体を循環させる加熱装
置などを用いて加熱する方法を挙げることができる。
【0067】発泡性樹脂よりなる粒状物を発泡・融着さ
せる方法についても特に限定されるものではなく、例え
ば、2枚の板状体の間に粒状物を散布し、板状体の間
隔を一定に保持しつつ発泡させる方法、粒状物を散布
し、2枚の板状体の間に挟み込んだ後、板状体の間隔を
ある長さになるまで増加させつつ発泡させる方法、ある
いは粒状物を散布し2枚の板状体の間に挟み込んだ
後、粒状物が発泡する際の発泡圧を利用して板状体の間
隔をある長さになるまで増加させる方法などを用いるこ
とができる。
【0068】本発明の板状発泡体の成形に際しては、後
述の硬質板状体と、上記発泡性樹脂からなるシート状物
もしくは発泡性樹脂粒状物との間に、ガラスペーパー、
チョップドストランドマット、熱可塑性樹脂もしくは熱
硬化性樹脂からなるシート、繊維強化熱可塑性樹脂シー
ト、あるいは金属からなるシートなどの補強材を供給し
ておけば、得られるフロア材の強度をより効果的に高め
ることができ、さらに不織布などのクッション性を有す
るシートを上記補強材と同様に供給しておけばフロア材
の柔軟性を高めることができ、コンクリート床面との馴
染みをより一層改善することができる。
【0069】すなわち、用途に応じて、硬質板状体と、
板状発泡体との間に、適宜の補強材やクッション材等を
介在させることができ、しかもこれらの材料の供給を、
上記のように板状発泡体の成形工程において硬質板状体
との積層とともに、同時に達成することができる。
【0070】硬質板状体 本発明においては、上記板状発泡体に硬質板状体が積層
される。硬質板状体は、荷重を分散させる層として機能
する。上述した板状発泡体のみを用いてフロア材を構成
した場合には、椅子の足やピアノの足などにより局所的
に大荷重を受けると、荷重が取り除かれたときに大荷重
に基づく窪みが回復せず、すなわち、永久歪みが発生す
ることがある。そこで、このような荷重を分散させるた
めに、硬質板状体が積層されている。
【0071】硬質板状体を構成するのに用い得る材料と
しては、上記板状発泡体よりも固く、荷重を分散させ得
る限り任意の材料を用いることができ、例えば、合
板、樹脂板、繊維強化合成樹脂(FRP)板などを
挙げることができる。
【0072】合板としては、従来からフロア材に用い
られているものを用いることができるが、本発明では、
上記板状発泡体が用いられているため、硬質板状体とし
て用い得る合板については厚みは1〜4mm程度の薄い
ものでよく、従って、木質材料の使用量を極めて少なく
することができる。
【0073】また、上記樹脂板としては、ポリプロピ
レン板、ポリエチレン板または塩化ビニル板などの所謂
硬質樹脂からなる板が好ましく用いられる。また、上
記FRP板としては、ガラス繊維で補強された熱硬化性
ポリエステル樹脂板、ガラス繊維で補強され、かつ2〜
3倍程度に発泡されている硬質ウレタン板、あるいはガ
ラス繊維で補強された塩化ビニル板などを用いることが
できる。
【0074】硬質板状体の厚みは、必要とされる強度に
よって決定され、薄すぎると強度が不足し、厚すぎると
上記板状発泡体の厚みが相対的に薄くなり本来の目的を
果たさなくなる。従って、硬質板状体の厚みは、その材
料の強度によっても異なるが、一般的には、1〜4mm
程度とすることが適当である。
【0075】硬質板状体は、上記板状発泡体に対し、接
着剤や粘着剤を用いて積層することにより一体化させる
ことができる。上記接着剤としては、酢酸ビニルエマル
ジョン(例えば、積水化学工業社製、商品名:エスダイ
ン#6354)やアクリル系粘着剤(例えば、積水化学
工業社製、商品名:エスダイン#7850など)、クロ
ロプレン系接着剤(例えば、積水化学工業社製、商品
名:エスダイン#280L)を使用することができる。
【0076】(表面加飾)上記硬質板状体の表面には、
意匠性を高めるために、木目模様、大理石模様、御影石
模様などを印刷することにより装飾をしてもよい。
【0077】(化粧シート状物)また、表面を加飾する
ために、請求項2に記載の発明のように、硬質板状体の
表面に、意匠性を高めるための化粧シート状物をさらに
積層してもよい。この化粧シート状物としては、木目模
様、大理石模様あるいは御影石模様などが印刷された合
成樹脂シート、例えば、塩化ビニルシートなどを用いる
ことができる。あるいは、一般に市販されている木材を
スライスすることにより構成された「突き板」などを化
粧シート状物として硬質板状体の表面に接着してもよ
い。
【0078】上記化粧シート状物を硬質板状体に接着す
るための接着剤や粘着剤としても、一般的に用いられて
いるアクリル系接着剤や天然もしくは合成ゴム系接着剤
を用いることができる。
【0079】(表面コーティング)本発明のフロア材で
は、必要に応じて、表面の耐磨耗性を高めたり、色艶を
発現させたりするために、表面(硬質板状体の表面ある
いは化粧シート状物をさらに積層した場合には該化粧シ
ート状物の表面)上にコーティングを施してもよい。こ
のようなコーティング方法としては、一般的にセラミッ
クコーティングと称されている方法を採用することがで
き、それによって表面の耐磨耗性を高めることができ
る。セラミックコーティングは、コロイダルシリカなど
の無機微粒子を含有してなるアクリルシリコン系、アク
リルウレタン系、炭素数10以下のアルキル基を含有す
るアルキルシリケート系などの塗料を塗布し、乾燥させ
ることにより行い得る。
【0080】なお、本発明のフロア材では、さらに、ゴ
ム、不織布または発泡樹脂シートなどからなる遮音性に
優れた防音シートを、各層の間に介在させてもよく、そ
れによって防音性能を高めることができ、好ましい。こ
の場合、防音シートは、板状発泡体と硬質板状体との間
に介在されてもよく、硬質板状体と必要に応じて設けら
れる化粧シート状物との間に設けられていてもよい。
【0081】作用 本発明のフロア材では、上記のように、架橋度が異なる
2種類のポリオレフィン系樹脂を混合してなる板状発泡
体が用いられている。従って、この板状発泡体では、低
架橋もしくは無架橋のポリオレフィン系樹脂が分散して
いるため、全体を均一に架橋させてなる発泡体に比べ
て、発泡に際しての流動性が高められており、板状に成
形し易い。
【0082】加えて、得られた板状発泡体は、ポリオレ
フィン系樹脂からなるため、耐溶剤性及び耐水性におい
て優れており、切削性についても発泡スチロールや発泡
硬質ウレタンに比べて優れている。
【0083】さらに、板状発泡体は、多数の気泡を有す
る発泡体であるため、コンクリート表面のうねりや凹凸
を吸収するのに充分な柔軟性を有し、従って、亀裂等を
形成することなく、平滑な床仕上げ面を構成することが
できる。
【0084】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明することによ
り、本発明を明らかにする。 (実施例1)
【0085】板状発泡体の製造 以下の要領で、板状発泡体を構成するための樹脂を調製
した。 高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名:EY4
0H、メルトインデックス(MI)=1.5g/10
分)50重量部と、ポリプロピレン(三菱化学社製、
商品名:MA3,MI=11g/10分)50重量部
と、架橋性シラン変性ポリプロピレン(三菱化学社
製、商品名:XPM800H、MI=11g/10分、
架橋後のゲル分率60重量%)20重量部と、さらに、
架橋触媒としてのジブチル錫ラウレート0.1重量部
と、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(大塚化学社
製、商品名:SO20、分解温度210℃)2重量部
と、着色剤として茶色系顔料(住化カラー社製、商品
名:PR912)2重量部とを含有する組成物を、直径
30mmの二軸押出機に供給し、180℃で溶融混練
し、2.5mmの厚さ及び幅300mmのシート状に押
し出した後、冷却し、幅5mm及び長さ5mmに切断
し、98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することによ
り、発泡性樹脂粒状体を得た。
【0086】得られた発泡性樹脂粒状体を、フッ化エチ
レン樹脂からなるシート状に900g/m2 の割合で、
粒状物の実際の投影面積の和が、粒状物が散布される部
分の外周で囲まれた領域の全投影面積に対して25%と
なるように散布し、散布した粒状物状にフッ化エチレン
樹脂からなる第2のシートを重ね、210℃の一対の熱
板間に挟み10分間加熱し、発泡させた後、30℃の冷
却プレスに移し、スペーサーを介してフッ化エチレン樹
脂よりなるシート2枚の厚みを除く材料の厚みを9mm
とし、10分間冷却し、厚さ9mmの板状発泡体を得
た。
【0087】フロア材の作製 上記のようにして得た板状発泡体に、硬質板状体とし
て、ガラス繊維で補強された熱硬化性硬質発泡ウレタン
(積水化学工業社製、商品名:ネオランバーFFU)を
3mm厚に加工したものをクロロプレン系接着剤(積水
化学工業社製、商品名:エスダイン#280L)を用い
た接着した。接着は、接着界面の両面に各100g/m
2 の割合で上記クロロプレン系接着剤を塗布し、接着部
を約15分間常温で乾燥し、しかる後ロールで圧着する
ことにより行った。
【0088】さらに、上記硬質板状体の表面に、突き板
(きんぱら社製、ケヤキ柾目、0.3mm厚)を酢酸ビ
ニルエマルジョンからなる接着剤を用いて接着した。接
着に際しては、硬質板状体の表面に酢酸ビニルエマルジ
ョンからなる接着剤を100g/m2 の割合で塗布し、
しかる後上記突き板を積層し、ロールを用いて圧着し
た。上記のようにして、実施例1のフロア材を作製し
た。
【0089】(実施例2)板状発泡体の作製 まず、以下の要領で板状発泡体を構成するための発泡性
樹脂を作製した。 高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名:JY2
0、MI=9g/10分)50重量部と、直鎖状低密
度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名:F30H、M
I=2g/10分)50重量部と、架橋性シラン変性
ポリエチレン(三菱化学社製、商品名:HM600A、
MI=10g/10分、架橋後のゲル分率50重量%)
10重量部と、さらに架橋触媒としてジブチル錫ラウレ
ート0.1重量部と、発泡剤としてアゾジカルボンアミ
ド(大塚化学社製、商品名:SO−20、分解温度21
0℃)2重量部と、着色剤として、実施例1で用いた茶
色系顔料を2重量部とを含有する組成物を、直径30m
mの二軸押出機に供給し、180℃で溶融混練し、2.
5mmの厚さ及び幅300mmのシート状に押し出し
た。押し出されたシートを冷却し、幅2mm及び長さ2
mmに切断し、98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥す
ることにより、発泡性樹脂粒状物を得た。
【0090】上記のようにして得た発泡性樹脂粒状物を
フッ化エチレン樹脂よりなるシート状に900g/m2
の割合で散布した。なお、散布に際しては、実際に散布
された粒状物の投影面積の和が、粒状物が散布されてい
る領域の外周縁で囲まれた領域の全投影面積に対し25
%となるように散布し、さらに、散布された粒状物上に
フッ化エチレン樹脂よりなる第2のシートを重ね、21
0℃の一対の熱板間に挟み、10分間加熱・発泡させ
た。しかる後、30℃の冷却プレスに移し、スペーサー
を介して上記一対のフッ化エチレン樹脂よりなるシート
の厚みを除く材料の厚み9mmとし、10分間冷却し、
厚み9mmの板状発泡体を得た。
【0091】フロア材の作製 上記のようにして得た板状発泡体に、硬質板状体とし
て、3mm厚の合板を用いて、実施例1と同様にして硬
質板状体を板状発泡体に接着し、さらに実施例1と同様
にして硬質板状体に、実施例1で用いた突き板を実施例
1と同様にして接着し、実施例2のフロア材を得た。
【0092】(比較例1)比較例1として、市販のフロ
ア材(ユアサ建材工業社製、合板製厚さ=12mm、商
品名:ダイナフロア−12)を用意した。
【0093】(比較例2)上記比較例1のフロア材を用
い、かつ特開平5−230984号に開示されている技
術に従い、該フロア材の裏面にスライサーを用いて幅
0.5mm及び深さ5mmの亀裂を20mmピッチで形
成した。
【0094】(比較例3)実施例1の板状発泡体に代え
て、発泡倍率10倍の発泡スチロールを用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、比較例3のフロア材を作製
した。
【0095】(比較例4)実施例1の板状発泡体に代え
て、発泡倍率10倍の発泡硬質ウレタンを用いたこと以
外は、実施例1と同様にして、比較例4のフロア材を作
製した。
【0096】実施例及び比較例の評価 上記のようにして用意した実施例1,2及び比較例1〜
4のフロア材について、耐荷重性、切削性、耐溶剤性、
コンクリート床面への馴染み性を下記の要領で評価し
た。
【0097】耐荷重性…椅子の足を想定し、直径10m
mの円形の端子を30kgの荷重を付加して水平面上に
配置されたフロア材に押し付けた場合の永久歪みの有無
を目視により観察した。すなわち、上記円形端子を60
分間押し付けた後、円形端子を取り除いた後のフロア材
表面における凹部が永久歪みとして残存しているか否か
を目視により観察した。永久歪みとなっている場合につ
いて×印を、永久歪みとはならず凹部が弾性により回復
した場合には○印を付し、下記の表1に結果を示した。
【0098】切削性…フロア材の側面にサネ加工を行
い、加工が円滑に行われた場合について○印を、行われ
なかった場合については×印を付して下記の表1に示し
た。なお、加工機としては、積水化学工業社製、ネオラ
ンバーFFU加工用の専用装置を用いた。
【0099】耐溶剤性…スチレンを、板状発泡体の表面
に塗布し、溶融の有無を目視により評価した。溶融しな
かった場合について○印を、溶融が見られた場合につい
て×印を付し、下記の表1に結果を示す。
【0100】床面への馴染み性…1mmの高さのうねり
が存在するコンクリート床面に各フロア材を敷き詰めた
際のフロア材の浮きやうねりの有無を目視により評価し
た。浮きやうねりが見られなかった場合については○印
を、浮きやうねりが見られた場合には×印を付し、下記
の表1に結果を示す。
【0101】また、表1においては、実施例及び比較例
のフロア材の比較を容易とするために、亀裂加工を実施
しなければならないフロア材(比較例2)については、
表1において亀裂加工の欄において×印を付し、その他
の実施例1,2及び比較例1,3,4については、亀裂
加工を必要としないため亀裂加工の欄において○印を付
した。同様に、表1においては、各フロア材における木
材の使用量を、使用した木材の厚みを基に、木材を全く
使用しなかった場合(厚み0mm)については○印を、
3mmの厚みの木材を利用した実施例2については△印
を、12mmの厚みの合板を使用した比較例1,2につ
いて×印を付した。
【0102】
【表1】
【0103】表1から明らかなように、発泡スチロール
を板状発泡体として用いた比較例3のフロア材では、切
削性及び耐溶剤性が十分でなく、発泡硬質ウレタンを用
いた比較例4では、切削性が十分でないことがわかる。
これに対して、実施例1,2のフロア材では、本発明の
架橋度の異なる複数種のポリオレフィン系樹脂材料の混
合相よりなる板状発泡体に硬質板状体を積層した構造を
有するため、耐荷重性、切削性、耐溶剤性及びコンクリ
ート床面への馴染み性の何れにおいても良好な結果を示
した。
【0104】また、当然のことながら、比較例1,2で
は、12mmの厚みの合板を用いているため、木材使用
量が多いことがわかる。これに対して、実施例1,2で
は、このような厚みの大きな合板を用いる必要はないた
め、木材資源の節減に寄与し得ることがわかる。
【0105】さらに、比較例2のフロア際では、亀裂加
工を施すことによりコンクリート床面への馴染み性が高
められていたのに対し、実施例1,2では、このような
亀裂加工を施さずともコンクリート床面への馴染み性を
高め得ることがわかる。
【0106】
【発明の効果】以上のように、本発明のフロア材は、相
対的に高架橋のポリオレフィン系樹脂材料と、低架橋も
しくは無架橋のポリオレフィン系樹脂材料との混合相か
らなる板状発泡体に硬質板状体を積層した構成を有す
る。従って、上記板状発泡体を用いて構成されているた
め、本発明にかかるフロア材は十分な柔軟性を有し、う
ねりや凹凸のあるコンクリート床面に好適に適用するこ
とができ、それによって平坦な床面を確実に形成するこ
とができる。
【0107】しかも、上記板状発泡体を用いているた
め、フロア材が比較的軽量に構成されるので、従来の木
質フロア材と同様に無理なく施工し得る。加えて、上記
ポリオレフィン系樹脂材料により板状発泡体が構成され
ているため、耐溶剤性及び耐水性も十分なものとされて
いる。従って、コンクリート床面に適用した後にコンク
リートから水分が発生したとしても、耐久性の劣化が生
じ難い。また、耐溶剤性に優れているため、硬質板状体
を作業性に優れた溶剤系接着材を用いて板状発泡体に接
着し得るため、確実にかつ能率良くフロア材を生産する
ことができる。
【0108】さらに、請求項2に記載の発明のように、
本発明のフロア材の硬質板状体の表面に、化粧シート状
物を積層すれば、意匠性や耐磨耗性をより一層高めるこ
とができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対的に高度に架橋されているポリオレ
    フィン系樹脂材料と、低架橋もしくは無架橋のポリオレ
    フィン系樹脂材料との混合相からなる板状発泡体と、前
    記板状発泡体に積層されており、該板状発泡体よりも硬
    い硬質板状体とを備えることを特徴とするフロア材。
  2. 【請求項2】 前記硬質板状体上に積層された化粧シー
    ト状物をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載
    のフロア材。
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