JP3448449B2 - 床材及びこれを使用したマンション - Google Patents

床材及びこれを使用したマンション

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JP3448449B2
JP3448449B2 JP03766597A JP3766597A JP3448449B2 JP 3448449 B2 JP3448449 B2 JP 3448449B2 JP 03766597 A JP03766597 A JP 03766597A JP 3766597 A JP3766597 A JP 3766597A JP 3448449 B2 JP3448449 B2 JP 3448449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床材及びこれを使
用したマンションに関し、詳しくは防音性能が良好でか
つ歩行感に優れた床材及びこれを使用したマンションに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面に木目の化粧を施した、
厚みが8〜10mm程度の合板の裏面に、防音のために
樹脂発泡体や不織布などの緩衝層を積層一体化したもの
が、防音床材として知られている。そして防音性能の優
劣は、その緩衝層で左右される。特に、マンションの場
合、駆体がコンクリートで構築されるとが多いため、床
材の振動がそのまま室外に伝達されやすく、防音性能の
良い床材が望まれていた。
【0003】しかし、緩衝層の厚みを十分に厚くする
と、防音性については問題がなくなるが、重い家具など
の重量物を置いた際、床が局部的に沈下するし、また歩
行のたびに浮沈が生じ、歩き心地が低下するという問題
があった。
【0004】そこで、 1)緩衝層として、倍率の異なる2種類の発泡体を積層
して、防音性能を満足し、かつ、荷重に対する床の変形
が小さい床材とする方法(実公平3─21395、実公
平4─53387号公報等)、 2)木質フロア材に溝を設け、見かけの弾性率を低下さ
せ防音性能を向上する方法(特開平7−4011号公報
等)、 などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、1)の方法に
よると、単に発泡倍率を変えただけでは、防音性能を満
足するためには、5mm程度の緩衝層が必要となり、防
音性能は向上するものの、床材の上を人が歩いたときに
「ふかふかする」という所謂「船酔い現象」が生じ、歩
行感が悪くなるという問題があり、2)の方法において
は、木質材料の曲げ弾性率が元々70000〜1200
00kg/cm2 あり、溝を切って、見かけの弾性率
(試料の厚みを、溝を切っていないと仮定して計算した
ときの弾性率)を下げても、折れの問題があるため、深
く切ることはできず、結局5000〜7000kg/c
2 の曲げ弾性率(市販品実測値)まで下げるのが限界
で、防音性能も不十分なものであった。
【0006】本発明の目的は、上記の課題を解決し、防
音性能を満足しながら、歩行感にも優れた床材及びこれ
を使用したマンションを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載(本発明
1)の床材は、硬質板状体を表面層とし、硬質発泡体及
び軟質発泡体が積層されている床材において、前記硬質
発泡体が、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、連続発
泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂
よりなる高発泡体と、高発泡体の外表面を被覆する熱可
塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、前記複数の高発
泡体が互いに前記低発泡薄膜を介して熱融着されている
熱可塑性樹脂発泡体からなり、JIS A1418に準
拠して床衝撃音発生器により床衝撃音レベルを測定した
際に、その測定に使用されるハンマーが床面に衝突する
ときの加速度の時間変化を測定したときのピーク値が1
5G以下で、その半値幅が2ms以上であり、4kg/
cm2 の圧縮応力を与えた時の歪み量が、3mm以下で
あることを特徴とする。
【0008】本発明1において、床材の満足すべき第1
の条件は、JIS A1418に準拠して床衝撃音発生
器により床衝撃音レベルを測定した際に、その測定に使
用されるハンマーが床面に衝突したときの加速度の時間
変化を測定したときのピーク値が15G以下で、その半
値幅が2ms以上であることである。
【0009】上記加速度の時間変化のピーク値が大きす
ぎると、床材からの衝撃音が大きくなるので防音性能が
低下するため、15G以下に限定され、好ましくは12
G以下、通常は7G以上である(ピーク値が小さすぎる
と後述する半値幅が大きくなりすぎるか、圧縮応力を与
えた時の歪み量が大きくなりすぎる傾向がある)。
【0010】上記半値幅とは、床衝撃音レベルを測定し
て一定時間内に得られる、加速度と時間の関係を示す曲
線をスムージングして得られた曲線において、縦座標
(加速度軸)のピーク値の半分のところで図った時間幅
の絶対値をいう。この半値幅が短すぎると、衝撃音発生
源(本測定においてはハンマー)のエネルギーが急激に
床材に吸収、又は伝達されるので、そのエネルギーが床
材からの衝撃音として系外に伝達され、防音性能が低下
するので2ms以上に限定され、好ましくは、3ms以
上、通常は5ms以下である(半値幅が長すぎると、振
動が長時間にわたり派生するので好ましくない)。
【0011】上記床衝撃音の与え方はJIS A141
8に準拠し、床衝撃音発生器としては、原則として軽量
床衝撃音発生器を使用するものとする。なお、床材のも
つ防音性能の評価に著しく影響を及ぼさないのであれ
ば、重量床衝撃音発生器を使用してもよいし、以下に述
べるように必要に応じて、改良、簡便化して行ってもよ
い。
【0012】軽量床衝撃音発生器 JIS A1418に準拠し、以下の条件で行う。
【0013】1)軽量衝撃源としては原則として、一直
線上に等間隔に並んだ5個のハンマーを備え、両端のハ
ンマーの中心間隔は40cmとする。しかし、試験片の
大きさによっては、ハンマーの数は少なくともよい。
又、複数のハンマーを用いることにより、上記半値幅の
測定に影響を及ぼす場合(即ち半値幅が非常に長い場
合)においては、ハンマーの数を一つにしてもよいし、
後述の時間間隔を長くしてもよい(上述のとおり半値幅
が長すぎると、振動が長時間にわたり派生するので好ま
しくない)。
【0014】2)(各)ハンマーの有効質量は500±
12.5gとする。
【0015】3)(各)ハンマーは、垂直に落下し、床
面に衝突するときの速度は、ハンマーの衝撃面が床上4
±0.1cmの高さから自由落下する場合と等価とす
る。
【0016】4)(各)ハンマーによって連続的に生じ
る衝撃の時間間隔は、原則として100±5msとす
る。しかし、上記半値幅の測定に影響を及ぼす場合(即
ち半値幅が非常に長い場合)においては、上述のとお
り、ハンマーの数を一つにしてもよいし、時間間隔を長
くしてもよい。
【0017】5)(各)ハンマーは、直径3cmの円筒
形で鋼性とし、ハンマー頭部の床に対する衝撃面は、原
則として曲率半径50cmの凸球面とする。しかし、上
記加速度の時間変化のピーク値が小さい場合、又は、半
値幅が大きい場合には、この曲率半径では、ハンマーが
床面に衝突する際に、床面で跳ね返り、2回衝突するこ
とになることがあるので、そのことが、半値幅の測定に
影響を及ぼす場合には、曲率半径を小さくしてもよい。
【0018】その他の条件は、JIS A1418(建
物の現場における床衝撃音レベルの測定方法)2.2
(1)に従う。
【0019】加速度の時間変化 加速度の時間変化の測定方法は特に限定されず、1ms
以下の時間変化を測定できるものであれば市販の加速度
計(例えばケースに対する質量の相対位置の変化をポテ
ンショメーターで測定することにより測定できる)を適
宜使用でき、上記ハンマーの一端(好ましくは、床に対
する衝撃面以外の場所)に測定端子を固定して、ハンマ
ーが落下してから床面に衝突し、停止するまでの加速度
の変化を測定する。
【0020】得られた加速度−時間曲線を必要に応じて
スムージングし、ピーク値及び半値幅を求め、得られた
ピーク値及び半値幅が上記範囲内に含まれるか否かを判
定し、上記範囲内に含まれる床材を適宜選定する。
【0021】本発明1において、床材の満足すべき第2
の条件は、4kg/cm2 の圧縮応力を与えた時の歪み
量が、3mm以下であることである。
【0022】上記歪み量は、大きすぎると歩き心地が低
下するので、4kg/cm2 の圧縮応力を与えた時の歪
み量が、3mm以下に限定され、通常は1.0mm以上
であり(歪み量が小さすぎると、前述した防音性能が低
下する傾向がある)、好ましくは1.5〜2.5mm、
さらに好ましくは1.8〜2.2mmである。
【0023】上記圧縮応力を与える方法は特に限定され
ないが、JIS K7220(硬質発泡プラスチックの
圧縮試験方法)に準ずるのが好ましい。なお、ここでい
う歪み量は、JIS K7220において圧縮歪み及び
比例限界歪みを求める場合と同様に、圧縮応力─歪み曲
線の最も急勾配の直線部分を、直線定規を用いて零圧応
力線まで延ばし、零変形点を作図したときの、この零変
形点からの歪み量をいう。従って、見掛けの歪み量を増
やすべく床材表面に与えた凹凸による歪みは含まないも
のとする。
【0024】なお、上記床材は、必要に応じて、上記し
た以外にも、滑り防止、視覚障害者用の突起、家具など
の係止用として凹凸が設けられてもよい。但し、これら
の突起は、上記歪み量を求める際に含まないものとする
ことはいうまでもない。
【0025】上記ハンマーの加速度の時間変化のピーク
値が15G以下で、その半値幅が2ms以上であり、4
kg/cm2 の圧縮応力を与えた時の歪み量が、3mm
以下である床材としては、例えば特定の硬質板状体と、
特定の硬質熱可塑性樹脂発泡体との2層構造の積層体か
らなるものを挙げることができるが、以下に示す、硬質
板状体を表面層とし、硬質発泡体及び軟質発泡体が積層
されているものが好ましい。
【0026】本発明1の床材は、硬質板状体を表面層と
し、硬質発泡体及び軟質発泡体が積層されているもので
ある。
【0027】上記硬質板状体は、荷重を受けた際に容易
に割れたり傷ついたりしない材料材料であれば特に限定
されず、例えば、単板、合板、樹脂板、繊維強
化合成樹脂板等が挙げられる。これらは、単独で使用さ
れてもよいが、一般に表面を加飾して使用される。
【0028】単板 通常「むく板」とよばれる一枚板であり、ニスや油を塗
るだけで木質感に優れた化粧板となる。
【0029】合板 従来からフロア材に用いられているもの(中密度繊維板
「MDF」とよばれるものを含む)を用いることができ
る。
【0030】樹脂板 ポリエチレン板(超高分子量ポリエチレン板が特に好ま
しい)、ポリプロピレン板、またはポリ塩化ビニル板な
どの所謂硬質樹脂からなる板が好ましく用いられる。
【0031】繊維強化合成樹脂板 ガラス繊維で補強された、熱硬化性ポリエステル樹脂
板、エポキシ樹脂板、(必要に応じて2〜3倍程度に発
泡されている)硬質ポリウレタン板、ポリ塩化ビニル板
などを用いることができる。
【0032】硬質板状体の厚みは、薄すぎると強度、剛
性が不足し、厚すぎると床衝撃音遮断性能が低下するの
で、1〜5mmが好ましく、より好ましくは2〜4mm
である。
【0033】表面加飾 上記硬質板状体の表面には、意匠性を高めるために、木
目模様、大理石模様、御影石模様などを印刷することに
より装飾をしてもよい。
【0034】化粧シート状物 また、表面を加飾するために、硬質板状体の表面に、意
匠性を高めるための化粧シート状物をさらに積層しても
よい。この化粧シート状物としては、木目模様、大理石
模様あるいは御影石模様などが印刷された合成樹脂シー
ト、例えば、塩化ビニルシートなどを用いることができ
る。あるいは、一般に市販されている木材をスライスす
ることにより構成された「突き板」などを化粧シート状
物として硬質板状体の表面に接着してもよい。
【0035】上記化粧シート状物を硬質板状体に接着す
るための接着剤や粘着剤としては、一般的に用いられて
いるアクリル系接着剤や天然もしくは合成ゴム系接着剤
を用いることができる。
【0036】表面コーティング 本発明2において必要に応じて、表面の耐磨耗性を高め
たり、色艶を発現させたりするために、表面(硬質板状
体の表面あるいは化粧シート状物をさらに積層した場合
には該化粧シート状物の表面)上にコーティングを施し
てもよい。このようなコーティング方法としては、一般
的にセラミックコーティングと称されている方法を採用
することができ、それによって表面の耐磨耗性を高める
ことができる。セラミックコーティングは、コロイダル
シリカなどの無機微粒子を含有してなるアクリルシリコ
ン系、アクリルウレタン系、炭素数10以下のアルキル
基を含有するアルキルシリケート系などの塗料を塗布
し、乾燥させることにより行い得る。
【0037】上記硬質発泡体とは、後述する軟質発泡体
に対して相対的に圧縮弾性率及び曲げ弾性率が高いもの
で、上記硬質板状体と、軟質発泡体を積層したときに、
本発明1の条件をみたすものを適宜選定すればよい。
【0038】上記硬質発泡体としては、JIS K72
20に準拠して測定した圧縮弾性率が4kg/cm2
上で、JIS K7203に準拠して測定した曲げ弾性
率が3000kg/cm2 以下のものが好ましい。
【0039】上記圧縮弾性率が小さすぎると、人の体重
や家具の荷重により浮沈し、又、4kg/cm2 の圧縮
応力を与えた時の歪み量が、3mm以下となることが多
くなり、曲げ弾性率が大きすぎると床衝撃音遮断性能が
低下し、前記加速度の時間変化を測定したときのピーク
値が15Gを超えるか、その半値幅が2ms未満になる
ことが多くなるからである。
【0040】上記硬質発泡体は、熱可塑性樹脂よりなる
連続発泡層と、連続発泡層の少なくとも片面上に複数配
置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡体と、高発泡体の
外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを
備え、前記複数の高発泡体が互いに前記低発泡薄膜を介
して熱融着されている熱可塑性樹脂発泡体である必要が
ある。
【0041】上記連続発泡層に用いられる熱可塑性樹脂
と、低発泡薄膜及び高発泡体に用いられる熱可塑性樹脂
とは、同一の樹脂である必要はないが、熱融着力が強く
曲げ強度が向上することから、同種の樹脂を用いること
が好ましい。
【0042】上記硬質発泡体の発泡倍率は、上記連続発
泡層、低発泡薄膜及び高発泡体として共にポリオレフィ
ン樹脂を用いる場合、通常2〜20倍であり、好ましく
は5〜15倍、さらに好ましくは7〜12倍である。
【0043】上記熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法
は、特に限定されるものではないが、例えば、発泡剤を
含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均
一に配置され、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性
熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡
性熱可塑性樹脂シート状体を、発泡剤の分解温度以上に
加熱し発泡させることにより得ることができる。
【0044】上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成
する発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂
薄膜に用いられる熱可塑性樹脂としては、発泡可能な熱
可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではない。こ
のような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
またはこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピ
レン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン
(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピ
レン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレ
ン、またはこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系
樹脂、及びエチレン酢酸ビニル樹脂等のオレフィン系共
重合体;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、AB
S樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミ
ド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びこれらの
共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられて
も、併用されてもよい。
【0045】上記熱可塑性樹脂の中でも、得られる熱可
塑性樹脂発泡体の表面平滑性を高め得るので、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれ
らの混合物が好ましく、表面平滑性と圧縮強度を両立す
るためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン
またはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ま
しい。
【0046】上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられ
る熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられ
る熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はない
が、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用い
ることが好ましい。
【0047】上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用い
られる熱可塑性樹脂は、発泡倍率の向上及び得られる熱
可塑性樹脂発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されて
いるものを用いることが好ましい。架橋方法としては、
特に限定されず、例えば、シラングラフト重合体を熱
可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方
法、熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度
より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に
加熱して架橋する方法、放射線を照射して架橋する方
法等が挙げられる。但し、後述する高架橋樹脂と、低
(無)架橋樹脂を得るためには、のシラングラフト重
合体を用いた架橋方法が好ましい。
【0048】上記シラングラフト重合体としては、特に
限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンやシ
ラングラフトポリプロピレン等を例示することができ
る。
【0049】前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法
のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、1
00℃より高い温度で処理する場合には、加圧下におい
て行えばよい。
【0050】上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低
いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性
熱可塑性樹脂が熱でくっついてしまうので、50〜13
0℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0051】また、水処理する際の時間が短いと、架橋
反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は
0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。
【0052】シラングラフト重合体を混合する方法は、
均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例
えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸ま
たは2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを
用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練す
る方法等が挙げられる。
【0053】シラングラフト重合体の添加量が多すぎる
と、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の
発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡
し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラ
フト重合体の添加量は、全熱可塑性樹脂中5〜50重量
%が好ましく、20〜35%が特に好ましい。
【0054】また、シラングラフト重合体を用いてシラ
ン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用
いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体
同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定され
ず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラ
ウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、
オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜
鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜
鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0055】上記シラン架橋触媒の添加量が多くなる
と、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、
また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に
時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対
して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重
量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより
好ましい。
【0056】上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられ
る熱可塑性樹脂は、上述したように特に限定されない
が、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋
熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂と
の混合物であることが好ましい。この場合、発泡時には
低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂が流動し易いので、
得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が高められ
る。
【0057】上記互いにほとんど相溶性を有さない上記
2種類の樹脂に使用される熱可塑性樹脂(架橋前)とし
ては、前述した熱可塑性樹脂の内2種類〔以下、樹脂そ
のものの架橋性能には拘らず、高架橋熱可塑性樹脂を形
成する樹脂を「高架橋性樹脂」、低架橋もしくは無架橋
熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「低(無)架橋性樹脂」
という〕を適宜選択して用いることができる。
【0058】上記、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹
脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなる
と、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋も
しくは無架橋熱可塑性樹脂とが非常に粗く分散するた
め、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなる
と、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋も
しくは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られ
る熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低下することがあ
るため、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋
熱可塑性樹脂とが互いに相溶せずに均一微細に分散し、
かつ高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るには、MI
の差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/1
0分がより好ましい。
【0059】なお、本明細書におけるMIは、JIS
K7210に従って、測定された値である。架橋して得
られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱
可塑性樹脂とが均一微細に分散し、かつ表面平滑性に優
れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、
高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂との混合比率は重
量比で、2:8〜8:2であることが好ましい。
【0060】高架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高すぎる
と、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の
発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破
泡し、均一なセルが得られないことがあるので、熱可塑
性樹脂総量に対する到達ゲル分率で5〜60重量%が好
ましい。
【0061】低架橋または無架橋熱可塑性樹脂の架橋度
が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発
泡体の流動性が低下し、熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑
性が低くなることがあるので、架橋度の指標となるゲル
分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好
ましい。
【0062】なお、本明細書におけるゲル分率とは、架
橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した
後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に
対する重量百分率をいう。
【0063】互いにほとんど相溶性を有さない、高架橋
熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂の
混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性
樹脂を混合し、高架橋性樹脂のみを、または低(無)架
橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することによ
り達成される。
【0064】高架橋性樹脂のみを、または低(無)架橋
性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する方法として
は、例えば、高架橋性樹脂のみを、または低(無)架
橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する架橋剤を
用いて架橋する方法、第1段階で、架橋性官能基を有
する、高架橋性樹脂と同種の高架橋性樹脂とを混合し架
橋して、高架橋熱可塑性樹脂を形成させた後、第2段階
で、これを低(無)架橋性樹脂と混合する方法等が挙げ
られる。
【0065】もっとも、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋
もしくは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散できる
こと、高架橋性樹脂を優先的に架橋し易いこと、並びに
熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、高架橋性樹
脂とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋
性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂
を、高架橋性樹脂及び低(無)架橋性樹脂と共に混合し
た後、架橋させる方法が最も好ましい。
【0066】高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデ
ックスを有した架橋性官能基を有する高架橋性樹脂と同
種の架橋性樹脂としては、反応性官能基を有し、架橋す
ることができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されな
い。このような官能基としては、例えば、ビニル基、ア
リル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキ
シル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネ
ート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0067】高架橋性樹脂の具体的な例としては、マレ
イン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレ
ン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレ
ン等が挙げられる。高架橋性樹脂のみに、または低
(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する
ことが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことか
ら、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレ
ンが最も好ましい。
【0068】上記架橋性官能基を有する高架橋性樹脂を
架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方
法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用
いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水
架橋する方法等が挙げられる。
【0069】混合後の架橋が容易なことから、反応性官
能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0070】発泡剤 本発明において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発
泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤として熱分解
型の発泡剤が用いられる。
【0071】上記熱分解型発泡剤としては、用いられる
熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するもの
であれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化
合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡
剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウ
ム、ジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、P−トルエンスルホニルヒドラ
ジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラ
ジド、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、熱可塑
性樹脂としてポリオレフィン系エチレン樹脂を用いる場
合は、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が
多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好まし
い。
【0072】上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎる
と、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎる
と十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡
剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量
部の割合で含有させることが好ましい。
【0073】他に添加し得る成分 熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性
熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用い
られる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短
繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭
酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等
の充填材等を添加してもよい。
【0074】補強材として、上記短繊維を添加する場
合、補強材の添加割合が多すぎると、発泡時にセルが破
壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができなくなるの
で、その配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し
20重量部以下が好ましく、10重量部以下が特に好ま
しい。
【0075】短繊維の長さが長すぎると、発泡時にセル
が破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、短
すぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得ら
れなくなることがあるため、短繊維の長さは、1〜20
mmが好ましく、3〜5mmが特に好ましい。
【0076】また、上記充填剤を添加する場合、添加量
が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体
を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体
を補強する効果が充分に得られないことがある。従っ
て、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対
して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下が
特に好ましい。
【0077】発泡性熱可塑性樹脂シート状体 本発明2における硬質発泡体を好適に得ることができる
発泡性熱可塑性樹脂シート状体は、発泡性熱可塑性樹脂
粒状体が平面的に略均一に配置しており、上記発泡性熱
可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一
体的に連結されているものである。上記発泡性熱可塑性
樹脂粒状体の形状は、特に限定されず、例えば、六方
体、円柱状、球状体などが挙げられるが、発泡性熱可塑
性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡を均一に行わせるに
は、円柱状が最も好ましい。
【0078】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場
合、その径は、目的とする発泡体の発泡倍率や厚さによ
っても異なるため特に限定されるものではないが、大き
すぎると発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱
で円柱が溶融し、変形し易く一次元発泡性を発現できな
くなり、厚み精度、重量精度のばらつきが大きくなる。
また表面平滑性も低下する。従って、発泡性熱可塑性樹
脂粒状体が円柱の場合、その径は、1mm〜30mmが
好ましく、2mm〜20mmの範囲が特に好ましい。
【0079】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場
合、その高さは、目的とする発泡体の発泡倍率や厚さに
よっても異なるため特に限定されるものではないが、高
すぎると発泡速度が低下し、低すぎると発泡性熱可塑性
樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向及び長手方向に
おいて大きく膨張することになる。従って、円柱状の発
泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1mm〜30mmが好
ましく、2mm〜20mmが特に好ましい。
【0080】発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目
的とする発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるた
め、特に限定されるものではないが、上記距離が長すぎ
ると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した時に充填不足
が発生する可能性があり、短すぎると発泡時膨張できる
面積が不足し、幅方向及び長手方向において大きく膨張
しがちとなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の
中心間距離は、2mm〜50mmが好ましく、3mm〜
30mmが特に好ましい。
【0081】最終的に得られる発泡体の厚み精度、重量
精度を向上し、高い表面平滑性を付与し、発泡倍率を均
一化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡
性熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配
置されることが必要である。熱可塑性樹脂粒状体を平面
的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるも
のではなく、格子状に配置されていてもよいが、千鳥状
に配置されていると、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体
が発泡して得られる高発泡体が六角柱の形状となるた
め、擬似的なハニカム構造を構成することになる。その
ため、得られる発泡体の表面平滑性が高められ、圧縮強
度が向上する。従って、好ましくは、発泡性熱可塑性樹
脂粒状体は、千鳥状に配置される。
【0082】上記発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目
的とする発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるた
め、特に限定されるものではないが、厚くなりすぎる
と、発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅
方向及び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎる
と発泡性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従っ
て、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3m
mが好ましく、0.1〜2mmが特に好ましい。
【0083】発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法 上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性
熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤
などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度
より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体
の形状に応じた凹部を有する金型に射出した後冷却する
方法等が挙げられるが、2)発泡性熱可塑性樹脂シート
状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に
供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融
混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂
を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリ
アランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部
が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロール
に導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑
性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も
好ましい。
【0084】上記2)の方法をさらに詳しく説明する。
先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るに
は、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練
押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する
方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精
度、定量性の点から最も好ましい。
【0085】軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、
連続的に成形できる形態であれば特に限定されず、シー
ト形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ
直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も
好ましい。
【0086】賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得ら
れる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精
度の向上のため、略均一に配置されることが好ましい。
賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面
全体で略均一にあれば特に限定されないが、より均一で
あることから、格子または千鳥に配設されていることが
最も好ましい。
【0087】賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に
限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙
げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂
粒状体を均一に成形し易い点、冷却後の離型が行い易い
点から円柱状が最も好ましい。
【0088】賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状
であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹
脂シート状体の形状により変化するため、特に限定され
ないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性
熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時
に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1mm〜
30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に好まし
い。
【0089】賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状
であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性
樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定さ
れないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性
熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると一次元発泡を行え
る発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないため、
1mm〜30mmが好ましく、2mm〜20mmが特に
好ましい。
【0090】賦形ロールのクリアランスは、軟化状態の
シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要
である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性
熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特
に限定されないが、厚すぎると、一次元発泡を行える発
泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、薄す
ぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ
易いため、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1m
m〜2mmが特に好ましい。
【0091】軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の
一部を凹部への圧入する方法は、1対の賦形ロールのク
リアランスを変化させないことにより、軟化状態のシー
ト状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与
されて成し遂げられる。
【0092】一部を圧入され賦形された軟化状態のシー
ト状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑性
樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定され
ず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法が
ある。
【0093】熱可塑性樹脂発泡体 前記熱可塑性樹脂発泡体は、好ましくは上記発泡性熱可
塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以上に加
熱し発泡させ、得られた発泡体を冷却することにより、
製造することができる。
【0094】すなわち、上記発泡性熱可塑性樹脂シート
状体を発泡させると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分
が発泡するが、このとき、発泡性粒状体の外表面は発泡
により生じる気泡を保持し難いため内部に比べ発泡倍率
が低くなり、低発泡薄膜となる。このような低発泡薄膜
は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の低発
泡薄膜と近接し熱融着する。この結果、発泡性粒状体の
内部の高い発泡倍率の高発泡体の外表面を低発泡薄膜が
被覆した状態となり、かつ複数の高発泡体が互いに低発
泡薄膜を介して熱融着されている状態となる。
【0095】また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の発泡
性粒状体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連
続発泡層となり、この連続発泡層の上に高発泡体が複数
配置された状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄
く、気泡保持が困難であるため低発泡になる。しかしな
がら、上記熱可塑性樹脂発泡体は、上記発泡性熱可塑性
樹脂シート状体を発泡して製造される熱可塑性樹脂発泡
体に限定されるものではない。
【0096】よって、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層
と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される
熱可塑性樹脂よりなる高発泡体と、該高発泡体の外表面
を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、
上記複数の高発泡体が互いに上記低発泡薄膜を介して熱
融着されている熱可塑性樹脂発泡体を得ることができ
る。
【0097】上記高発泡体は、上記連続発泡層の少なく
とも片面に配置され、かつ厚み方向(一次元的)には重
ならないように単一の層として配置されており、面方向
(二次元的)においては上記低発泡薄膜を介して互いに
熱融着されている必要がある。
【0098】高発泡体が、上記のように配置されている
と、熱可塑性樹脂発泡体の厚み方向に均一となり、かつ
熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に熱可塑性樹脂低発泡薄
膜が連続した疑似トラス構造になるため、熱可塑性樹脂
発泡体の圧縮強度がさらに向上し、かつ圧縮強度のばら
つきも減少する。
【0099】熱可塑性樹脂発泡体の形態は、通常、シー
ト状または板状である。低発泡薄膜の発泡倍率は、低す
ぎると、熱可塑性樹脂発泡体の柔軟性が低下し、また熱
伝導度が大きくなり、断熱性が損なわれ、高すぎると、
高い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られない
ので、1.1〜10倍が好ましく、さらに好ましくは
1.2〜7倍であり、さらに好ましくは1.2〜5倍で
ある。
【0100】低発泡薄膜の厚みは、厚すぎると、熱可塑
性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また薄すぎると、高い
圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないの
で、30μm〜500μmが好ましく、さらに好ましく
は40μm〜400μmであり、さらに好ましくは50
μm〜400μmである。
【0101】なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必
要はなく、不均一であってもよい。ここで、低発泡薄膜
の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の横断面方向の低発泡
薄膜の平均厚さをいう。
【0102】本発明において、低発泡薄膜の発泡倍率
が1.1〜10倍、厚みが30μm〜500μmのと
き、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度と軽量化が両立され
るため、これらの発泡倍率及び厚みが好ましい。さらに
好ましくは発泡倍率1.2〜7倍、厚み40μm〜40
0μmであり、さらに好ましくは発泡倍率1.2〜5
倍、厚み50μm〜400μmである。
【0103】高発泡体の発泡倍率は、低すぎると、軽量
化が困難となり、また熱可塑性樹脂発泡体の熱伝導率が
増大し、得られる発泡成形体の断熱性が低下し、また高
すぎると、高い曲げ強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が
得られないので、2〜100倍が好ましく、さらに好ま
しくは5〜50倍であり、さらに好ましくは10〜35
倍である。
【0104】高発泡体の大きさは、大きすぎると、得ら
れる熱可塑性樹脂発泡体の曲げ強度が低下し、また小さ
すぎると、軽量化が困難となるので、3〜50mmが好
ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。
【0105】なお、高発泡体の大きさは均一である必要
はなく、不均一であってもよい。ここで、高発泡体の大
きさとは、横断面方向の大きさの最大値をいう。低発泡
薄膜の発泡倍率は、一般に高発泡体の発泡倍率の1/2
以下である。
【0106】連続発泡層の発泡倍率は、低すぎると、軽
量化が困難となり、また高すぎると、高い曲げ強度を有
する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、1.1〜2
0倍が好ましく、さらに好ましくは2〜15倍であり、
さらに好ましくは5〜12倍である。
【0107】連続発泡層の厚みは、厚すぎると、熱可塑
性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また薄すぎると、高い
曲げ強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないの
で、100μm〜5mmが好ましく、さらに好ましくは
300μm〜3mmであり、さらに好ましくは500μ
m〜2mmである。
【0108】なお、連続発泡層の厚みは、均一である必
要はなく、不均一であってもよい。ここで、連続発泡層
の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の縦断面方向の連続発
泡層の平均厚さをいう。
【0109】上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に
配置されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡し
て製造される熱可塑性樹脂発泡体は、複数の高発泡体が
千鳥状に配置される。複数の高発泡体が、千鳥状に配置
されている場合、複数の高発泡体は六角柱状の形状とな
り、各高発泡体は低発泡薄膜を介して熱融着されている
構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡
体が得られる。このようなハニカム状の熱可塑性樹脂発
泡体は、表面平滑性に優れ、圧縮強度、曲げ強度が特に
優れた熱可塑性樹脂発泡体となる。
【0110】上記連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡体
にポリオレフィン系発泡体を用いる場合には、発泡体全
体としての発泡倍率は2〜20倍が好ましく、より好ま
しくは5〜15倍であり、さらに好ましくは7〜12倍
である。
【0111】熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 上記熱可塑性樹脂発泡体は、上述のように、上記発泡性
熱可塑性樹脂シート状体を、発泡剤の分解温度以上に加
熱して発泡させた後、発泡により得られた発泡体を冷却
することにより発泡して製造することができるものであ
るが、これに限定されるものではない。
【0112】例えば、発泡剤を含有した発泡性熱可塑性
樹脂ペレットを発泡させて、連続発泡層以外の低発泡薄
膜を介して熱融着した高発泡体を成形し、これに別工程
で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層を熱融着さ
せることにより製造してもよい。
【0113】本発明に用いられる硬質発泡体は、上記
のようにして得られた熱可塑性樹脂発泡体の中から、上
記硬質板状体と、後述する軟質発泡体を積層したとき
に、本発明1の条件をみたすを適宜選定すればよい。
【0114】上記硬質発泡体の厚みは、防音性能をあげ
るために硬質板状体の厚みを薄くしても良好な歩行感を
得るためには、3mm以上あることが好ましい。
【0115】本発明に用いられる軟質発泡体は上記硬
質発泡体と相対的に圧縮弾性率の小さいものであれば特
に限定されず、例えば、発泡倍率が10〜30倍のポリ
エチレン製発泡体、発泡倍率が20〜40倍のポリウレ
タン発泡体などがあげられる。
【0116】上記軟質発泡体の圧縮弾性率は特に限定さ
れないが、小さすぎると歩行感が低下し(上述した「ふ
かふかする」状態)、大きすぎると防音性能が低下する
ので、0.2〜3kg/cm2 が好ましい。
【0117】上記軟質発泡体の厚みも特に限定されない
が、薄すぎると防音性能が低下し、厚すぎると歩行感が
低下(上述した「ふかふかする」状態)するので、3m
m以下が好ましく、さらに好ましくは1〜2mmであ
る。
【0118】なお、上記硬質発泡体及び軟質発泡体に
は、必要に応じてさらに防音性能をあげ、または被貼着
体(一般にはコンクリート)の不陸に対処するために、
溝加工や凹凸加工を施してもよい。
【0119】積層構成本発明1の床材は、 前記硬質板状体(A)を表層とし、
前記硬質発泡体(B)と、軟質発泡体(C)とが積層さ
れているものである。積層順序は(A)/(B)/
(C)の順が良好な歩行感を得るためには好ましいが、
軟質発泡体(C)が薄い場合には(A)/(C)/
(B)の順に積層されてもよい。さらに必要に応じ、防
音性能を高めるため(A)/(C)/(B)/(C’)
の順〔(C)と(C’)は同一の材料であってもよい
し、異なっていてもよい〕に積層されてもよいし、剛性
を上げ、歩行感を向上させるために、(A)/(B)/
(A’)/(C)の順〔(A)と(A’)は同一の材料
であってもよいし、異なっていてもよい〕に積層されて
もよい。
【0120】なお、本発明の床材において、さらに、
ゴム、軟質エラストマー層、不織布または発泡樹脂シー
トなどからなる防音性に優れた防音シートを、各層の間
に介在させてもよく、それによって防音性能を高めるこ
とができ、好ましい。
【0121】上記床材の各層を積層するには、上記硬質
発泡体(B)の両面に接着剤や粘着剤を塗布してその両
面に硬質板状体(A)と軟質発泡体(C)を積層するこ
とにより一体化させてもよいし、硬質発泡体(B)の両
面に両面テープを貼り、硬質板状体(A)と軟質発泡体
(C)を積層してもよい。上記接着剤及び粘着剤として
は、酢酸ビニルエマルジョン(例えば、積水化学工業社
製、商品名:エスダイン#6354)やアクリル系粘着
剤(例えば、積水化学工業社製、商品名:エスダイン#
7850など)、クロロプレン系接着剤(例えば、積水
化学工業社製、商品名:エスダイン#280L)を使用
することができる。
【0122】上記硬質発泡体(B)が、ポリオレフィン
樹脂などの接着性に乏しい場合には、他の層との接着性
を改善するため予め硬質発泡体(B)をコロナ処理など
補助手段を用いてもよい。又、発泡時に、表面に合成繊
維からなる不織布を一体化して積層すると、他の層を積
層するときにアンカー効果により接着性が改善できる。
さらに、硬質発泡体(B)が硬質ポリウレタンからなる
ときには、発泡時に紙を一体に積層しておくと、硬質板
状体(A)との接着性がよいので好ましい。
【0123】本発明の床材の厚みは特に限定されない
が、畳(通常、厚み10〜55mm)の部屋との段差を
無くするためには60mm以下が好ましい。
【0124】本発明の床材において、上記硬質板状体
(A)、硬質発泡体(B)、及び軟質発泡体(C)の厚
みは、1:(1〜5):(0.2〜2)であることをが
好ましい。
【0125】上記硬質発泡体(B)、(C)の厚み比
は、全体の厚みが一定としたときに、(A)に比べて薄
すぎると防音性能が低下し、厚すぎると歩行感が低下
し、床上を歩いたときにひびがはいったりするので、
1:(1〜5):(0.2〜2)が好ましい。
【0126】本発明1の床材は、コンクリート等の床下
地材に直接貼着されてもよいし、床下にスペースが必要
ならば、根太等を介して敷設されてもよいし、さらに必
要に応じてパーティクルボードを介して敷設されてもよ
い。又、ピールアップ材等の層を床下地材と床材との間
に設けて、貼り替えを容易にしてもよい。
【0127】本発明のマンションは、本発明1の床
を、床下地材に直貼りしたものである。上記床材の厚み
は一般に5〜20mmが適当であり、12mmと15m
mが標準サイズとして多用される。
【0128】(作用) 本発明1の床材は、硬質板状体を表面層とし、硬質発泡
体及び軟質発泡体が積層されている床材において、前記
硬質発泡体が、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、連
続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性
樹脂よりなる高発泡体と、高発泡体の外表面を被覆する
熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、前記複数の
高発泡体が互いに前記低発泡薄膜を介して熱融着されて
いる熱可塑性樹脂発泡体からなり、JIS A1418
に準拠した床衝撃音発生器により床衝撃音レベルを測定
した際に、その測定に使用されるハンマーが床面に衝突
したときの加速度の時間変化を測定したときのピーク値
が15G以下で、その半値幅が2ms以上とされている
ものであるから、衝撃音が発生した時に床の振動を最小
限に抑え、且つ系外へ伝達される音も低減できるので、
高い防音性能を有するものとなる。
【0129】さらに本発明1の床材は、4kg/cm2
の圧縮応力を与えた時の歪み量が、3mm以下であるの
で歩行感のよい床材となる。
【0130】本発明1の床材は、硬質板状体を表面層と
し、硬質発泡体及び軟質発泡体が積層されているもので
あるから、硬質発泡体が床材として必要な圧縮弾性率を
確保しながら、曲げ弾性率が低くなされており、よって
軟質発泡層の厚みを薄くできるので、高い防音性能であ
りながら、歩行時の「船酔い現象」を無くすことがで
き、歩行感のよい床材となる。
【0131】本発明のマンションは、本発明1の床
を直貼りにしているものであるから、コンクリート等の
床下地材の不陸を容易に調整できるだけでなく、高い防
音性能を有し、居住感に優れたものとなる。
【0132】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に使用され得る
発泡性熱可塑性樹脂シート状体の一例を説明するための
部分切欠断面図である。この発泡性熱可塑性樹脂シート
状体を例にとり以下に説明する。発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体1では、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体2
が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3により一体的に連結され
ている。言い方を変えれば、上記発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体1は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2で構成され
る柱状突出部が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3の一方面か
ら突出するように形成されている形状を有する。
【0133】図2は、本発明に使用され得る発泡性熱可
塑性樹脂シート状体における発泡性熱可塑性樹脂粒状体
が配置されている形態を説明するための平面図である。
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体1では、発泡性熱可
塑性樹脂粒状体2は、図2に示すように千鳥状に配置さ
れている。
【0134】図3は、本発明に使用され得る発泡性熱可
塑性樹脂シート状体を製造する工程を説明するための略
図的側面図である。発泡性熱可塑性樹脂シートを構成す
る熱可塑性樹脂及び熱分解型発泡剤などを押出機11に
供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融
混練した後、ダイ12からシート状に押し出し、軟化状
態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、発泡性熱可塑性粒
状体の形状に対応した凹部13aを有し、クリアランス
が保持された賦形ロール13と賦形ロール14とで賦形
しつつ冷却することにより、発泡性熱可塑性樹脂粒状体
2で構成される柱状突出部が、発泡性熱可塑性樹脂薄膜
3の一方面から突出するように形成されている形状の発
泡性熱可塑性樹脂シート状体が得られる。
【0135】上記のようにして得られた発泡性熱可塑性
樹脂シート状体から熱可塑性樹脂発泡体を得るには、上
記発泡性熱可塑性樹脂シート状体をその発泡剤の分解温
度以上に加熱し発泡させ、得られた発泡体を冷却する。
【0136】図4は本発明の床材に使用され得る熱可塑
性樹脂発泡体の一例を示す略図的断面図である。図4に
示すように、熱可塑性樹脂発泡体4は、熱可塑性樹脂よ
りなる連続発泡層4cの少なくとも片面上に発泡倍率の
高い熱可塑性樹脂よりなる高発泡体4aが複数配置され
ており、この高発泡体4aの外表面は発泡倍率の低い熱
可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜4bにより被覆されてい
る。また隣接する高発泡体4aは、低発泡薄膜4bを介
して熱融着されている。
【0137】上述のように、上記発泡性熱可塑性樹脂粒
状体を一体的に連結する発泡性熱可塑性樹脂薄膜(図1
における3)が連続発泡層4cとなり、発泡性熱可塑性
樹脂粒状体が発泡し、その外表面が低発泡薄膜4bとな
り、その内部が高発泡体4aとなる。隣接する低発泡薄
膜4bは熱融着されて一体的となる。従って、高発泡体
4aは、その外表面を低発泡薄膜4b及び4cで被覆さ
れ一体化されている。
【0138】また、複数の高発泡体が、図2に示すよう
に発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が千鳥状に配置されてい
る場合、図5に示すように、複数の高発泡体4aは六角
柱状の形状となり、各高発泡体4aは低発泡薄膜4bを
介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカ
ム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。このようなハニ
カム状の熱可塑性樹脂発泡体は、表面平滑性に優れ、圧
縮強度、曲げ強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体とな
る。
【0139】本発明1の床材は、例えば、上記のように
して得られた熱可塑性樹脂発泡体からなる硬質発泡体の
一面に、硬質板状体を積層し、他面に、上記硬質発泡体
より圧縮弾性率及び曲げ弾性率の低い軟質発泡体を積層
することにより得られる。
【0140】図6は、本発明1の床材の一例を示す断面
図である。本発明の床材は、上記硬質発泡体Bの一面
に硬質板状体Aが表層として積層され、反対側の面に軟
質発泡体Cが積層されているものである。
【0141】上記床材の各層を積層するには、例えば、
上記硬質発泡体Bに両面テープを貼り、その両面に硬質
板状体Aと軟質発泡体Cを積層することにより一体化す
るとよい。
【0142】
【実施例】本発明を実施例をもって、さらに詳しく説明
する。 実施例1 硬質発泡体B 高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名「HY34
0」、MI=1.5g/10分)50重量%、シラング
ラフトポリプロピレン(三菱化学社製、商品名「XPM
800H」、MI=11g/10分、架橋後のゲル分率
80重量%)20重量%、ポリプロピレン(三菱化学社
製、商品名「MA3」、メルトインデックス(MI)=
11g/10分)30重量%からなる熱可塑性樹脂10
0重量部(熱可塑性樹脂総量に対するゲル分率16重量
%)、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:
SO−20、分解温度210℃)5重量部及びシラン架
橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部を
含有する組成物を、図3に示した2軸押出機11に供給
した。2軸押出機11としては、径44mmのものを用
いた。2軸押出機11において、上記組成物を180℃
で溶融混練し、面長300mm、リップ1.5mmのT
ダイ12により軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂
を押し出した。
【0143】さらに、深さ5mm、直径4mmの円柱状
の凹部13aが10mm間隔で千鳥状に配置された、径
250mm、面長300mmのロール13,14間で該
発泡性熱可塑性樹脂シート状体を賦形しつつ冷却し、さ
らに発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間
浸漬した後乾燥することにより、高さ5mm、直径4m
mの円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が10mm間
隔で千鳥状に構成された発泡性熱可塑性樹脂シート状体
1を得た。
【0144】上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂
シート状体1では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡
性熱可塑性樹脂薄膜3により連結されて、全体として発
泡性熱可塑性樹脂シート状体1が構成されていた。
【0145】得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体1
を、ポリフッ化エチレンシート上に配置し、さらに上記
ポリフッ化エチレンシートをその上面に配置して、ハン
ドプレスにより7.3mmの厚みとなるようにして、2
10℃で10分間加熱発泡した後、30℃の冷却プレス
で10分間冷却し、発泡倍率10倍の硬質発泡体Bを得
た(図6参照)。
【0146】なお、得られた硬質発泡体Bの発泡倍率、
発泡体の厚みは以下の方法で測定した。
【0147】(発泡倍率)JIS K6767に準拠し
て発泡倍率を測定した。 (発泡体の厚み)ノギスを用い、得られた発泡体の厚み
を測定した。
【0148】硬質板状体A 表1に示した厚みに調整した合板(一部鉋で削って所定
厚みにした)に、0.2mm厚の突き板(北三社製)を
接着し、エポキシ系樹脂を塗装して紫外線で硬化させ、
硬質板状体Aを得た。
【0149】軟質発泡体C 表2に示した所定厚みのブリジストン社製30倍軟質ウ
レタン発泡体(圧縮弾性率0.5kg/cm2 、曲げ弾
性率21kg/cm2 )を使用した。
【0150】得られた硬質発泡体Bの両面に両面テープ
〔積水化学工業社製ダブルタックテープ(400mm
幅)〕を貼り、それぞれに硬質板状体A、軟質発泡体C
を接着積層し、図6に示した床材(300×900m
m)を得た。硬質発泡体Bは電動鉋で表面を削って所定
の厚みにした。
【0151】実施例2、比較例1〜3 硬質板状体A、硬質発泡体B及び軟質発泡体Cの厚みを
表1に示したようにした以外は、実施例1と同様にして
床材を得た。
【0152】得られた床材を、JIS A1418に準
拠して床衝撃音レベルを測定した。但し、ハンマー数は
1とし、その際に、その測定に使用されるハンマー(直
径3cmの円筒型、鋼製、重量500g、頭部の床に対
する衝撃面は、曲率半径50cmの凸球面)の上部に加
速度計(リオン社製、商品名「加速度ピックアップPV
−95」)の測定端子を両面テープで貼り付けて、ハン
マーが高さ4cmの位置から自由落下により床面に衝突
したときの加速度の時間変化を測定して得られた曲線を
スムージングして、ピーク値及び半値幅を求め、表1に
ピーク値、半値幅として示した。
【0153】得られた床材を、JIS K7220に準
拠して、圧子(直径50mmの鋼製の円柱)を床材の表
面〔硬質板状体(A)側〕に80kgfの力で押しつけ
た時(圧縮応力4kg/cm2 )の歪み量を、万能材料
試験機(島津製作所社製、商品名「オートグラフ」)で
測定した。このとき、圧縮応力─歪み曲線の最も急勾配
の直線部分を、直線定規を用いて零圧応力線まで延ば
し、零変形点を作図したときの、この零変形点からの歪
み量を表1に示した。
【0154】性能評価 床衝撃音レベル 得られた床材をJIS A1418に準拠して軽量床衝
撃音レベルを測定した。
【0155】歩行感 得られた床材上を人間が歩行した時の感触を以下の基準
で示した。 ○ 沈み込む感覚がない。 △ ふわふわした感触がある。 × 歩行時に沈み込む感じがする。 以上の結果を表1に纏めて示した。
【0156】
【表1】
【0157】
【発明の効果】本発明1の床材は、上述の如き構成とさ
れているので、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材
となる。
【0158】また、本発明1の床材は、防音性能に優
れ、かつ歩行感の良い床材を容易に得られる。
【0159】本発明のマンションは、本発明1の床
を直貼りしているので、コンクリート等の床下地材の不
陸を容易に調整できるだけでなく、居住感に優れたもの
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体の一例を説明するための部分切欠断面図である。
【図2】本発明に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体において発泡性熱可塑性樹脂粒状体が配置されて
いる形態を説明するための平面図である。
【図3】本発明に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂シー
ト状体を製造する工程を説明するための略図的側面図で
ある。
【図4】本発明の床材に使用され得る熱可塑性樹脂発泡
体の一例を示す略図的縦断面図である。
【図5】本発明の床材に使用され得る熱可塑性樹脂発泡
体の一例を示す略図的横断面図である。
【図6】本発明1の床材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
A 硬質板状体 B 硬質発泡体 C 軟質発泡体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 15/18 E04F 15/04 E04F 15/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬質板状体を表面層とし、硬質発泡体及
    び軟質発泡体が積層されている床材において、前記硬質
    発泡体が、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、連続発
    泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂
    よりなる高発泡体と、高発泡体の外表面を被覆する熱可
    塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、前記複数の高発
    泡体が互いに前記低発泡薄膜を介して熱融着されている
    熱可塑性樹脂発泡体からなり、JIS A1418に準
    拠した床衝撃音発生器により床衝撃音レベルを測定した
    際に、その測定に使用されるハンマーが床面に衝突した
    ときの加速度の時間変化を測定したときのピーク値が1
    5G以下で、その半値幅が2ms以上であり、4kg/
    cm2 の圧縮応力を与えた時の歪み量が、3mm以下で
    あることを特徴とする床材。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の床材を直貼りしたこと
    を特徴とするマンション。
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