JP3583078B2 - 床構成体及びその施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は床構成体とその施工方法に関し、さらに詳しくは、特に畳等からのリフォームにおいて施工性が優れ、さらに防音性能が良好でかつ歩行感に優れた床構成体とその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特に集合住宅においては、床材として、カーペット、ジュウタン等がよく用いられていた。しかし、カーペットやジュウタンは、カビやダニが発生しやすく、かつ汚れ易い事から、近年、掃除がし易く、衛生的な硬質板状体を主たる構成要素とした床材の要望が高まっている。
一方、集合住宅を中心に、畳が施工された部屋を、硬質板状体を主たる構成要素とした床材を用いた部屋に変える、いわゆる『リフォーム』の要望も高まっている。
【0003】
しかしながら、硬質板状体を主たる構成要素とした床材は、衝撃による音が発生しやすく、階下への生活音つまり歩行音や物の落下音が伝わりやすいという問題点を有しており、また、畳が施工された部屋から硬質板状体を主たる構成要素とした床材へのリフォームにおいては、畳は通常30mm〜60mm程度の厚みであるのに対し、硬質板状体を主たる構成要素とした床材は、10〜20mm程度の厚みであるため、リフォームに際し既存の畳下部の荒床や根太を含む床下地材の全てを撤去し、床下地材から再施工する必要があり、施工が煩雑になることによる施工費用や施工時間の増大が問題となっている。
【0004】
上記のようなリフォームでの問題点を解消する方法として、例えば特開平10−280662号公報に記載の床材及び床材の施工方法では、既存の畳下部の荒床や根太を残したまま、荒床上に多くの資材を順次施工して床構成体を施工現場で形成する方法が提案されている。
しかしながら、この方法で形成される床構成体は、前述した硬質板状体裏面に高比重の防振マットを遮音層として積層した床材を用い、硬質板状体と防振マット、及び防振マットと支持材とを不織布からなる面ファスナーで相互に固定しているために、支持材の表面が平坦に施工されていない場合、防振マット自身も支持材の表面に沿って施工されるため、硬質板状体表面を平坦に施工するのが困難であり、合板などの支持材の上に緩衝性の小さい防振マットと硬質板状体を積層しているため、防音性能と良好な歩行感を両立することが困難であると共に、多くの資材を施工現場で積層していくため、施工の誤差が出やすく安定した防音性能を確保することは困難である。
また、施工に際し多くの資材を施工していくため、施工の煩雑性は解消できず施工費用や施工時間も増大する。
【0005】
一方、上記のような硬質板状体を主たる構成要素とした床材に基づく問題点を解消する方法として硬質板状体裏面に発泡体や、不織布等の多孔体を緩衝層として積層した床材が数多く提案されている。例えば実公昭52−30125号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に、発泡倍率3〜10倍の軟質高発泡体および1.5〜3倍未満の軟質低発泡体を順次形成した床材である。また、実公平3−21395号公報に記載の床材は、硬質板状体の裏面に隣接する上下の緩衝層の発泡倍率を相互に異ならせたものであり、この緩衝層が10〜50倍の高発泡層と5〜20倍の低発泡層とからなる床材である。衝撃力を受けた場合、これらの緩衝層は変形し、衝撃作用時間が延長することにより、衝撃力のピーク値や衝撃固有周波数を低下させ、衝撃による音や振動の伝搬を防止し防音性を向上させるものであるが、硬質板状体の剛性が大きいため、高い防音性を発現するためには緩衝層を厚くする必要がある。従って、防音性の高い床材は荷重に対する沈み込みが大きくなり、床材上面の歩行時に『船酔い現象』と称される違和感を覚えるという新しい問題が発生した。
【0006】
また、沈み込みの小さい床材としては、例えば実開昭56−3945号公報には、厚さ0.3〜15mmの硬質板状体の裏面に20〜100mmの発泡体を積層した床材が提案されている。しかしながら、本床材に使用される発泡体は特に限定されず、通常使用される均質な発泡体では、力学的に等方性を有し、沈み込みを小さくするために高い圧縮弾性率を付与すると曲げ弾性率がおのずと高くなり、高い防音性は期待できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、防音性と沈み込みという2つの相反する問題点があり、防音性と沈み込み防止を両立することは困難であり、かつ優れた施工性を加味することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決し、防音性能と歩行感を両立しながら、施工性も優れた床構成体とその施工方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の床構成体は、上側から、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体が、この順に積層され、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されていることを特徴とするものである。
なお、床構成体中、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層迄の積層体を「床材」、木質板/樹脂発泡体の積層体を「下地ボード」という。
0010
請求項2記載の床構成体は、請求項1記載の床構成体において、上記各高発泡部に接する連続発泡層の表面が凹状に形成されているものである。
求項1記載の床構成体。
0011
請求項3記載の床構成体は、請求項1又は2に記載の床構成体において、上記不陸吸収層と木質板とが、両面テープを介して積層されているものである
0012
請求項4記載の床構成体は、請求項1〜3何れかに記載の床構成体において、上記不陸吸収層と木質板とが、両面テープを介して部分的に積層されているものである
0013
請求項5記載の床構成体は、請求項1〜4何れかに記載の床構成体において、上記樹脂発泡体の下面が、荒床に対し直接敷設されるものである
0014
請求項6記載の床構成体の施工方法は、樹脂発泡体に木質板が積層された下地ボードと、上側から硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層がこの順に積層され、この熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成された床材とよりなり、荒床上に施工される全体厚みが畳とほぼ同一の床構成体の施工方法であって、前記荒床上に、前記下地ボードの樹脂発泡体面を敷設し、該下地ボードの木質板面上に前記床材の不陸吸収層を固定するものである。
0015
請求項7記載の床構成体の施工方法は、請求項6記載の床構成体の施工方法において、上記下地ボードの木質板面に、両面テープを介して、床材の不陸吸収層を貼着する方法である
0016
請求項8記載の床構成体の施工方法は、請求項7記載の床構成体の施工方法において、上記下地ボードの木質板面に貼り付けられる両面テープが施工範囲の周辺部と床材の長手接合部のみに配置された方法である
0017
[硬質板状体]
請求項1〜5に記載の床構成体に使用される硬質板状体は、床構成体に通常負荷される荷重で容易に破損、損傷を起こさない材料であれば特に限定されず、例えば、
1)木単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)高密度繊維板(HDF)、ハードボード、平行合板(L.V.L)等の木質材料、
2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などよりなる樹脂材料、
3)繊維強化熱硬化樹脂、繊維強化熱可塑性樹脂などの複合材料、
等が挙げられる。
0018
上記硬質板状体には、必要に応じて、突板、合成樹脂又は合成樹脂発泡シート、化粧紙、合成樹脂含浸シートなどの表面化粧材を接着、積層してもよい。さらに意匠性、木質感、耐傷性などを付与するために、印刷、塗装、着色、コーティング等を行ってもよい。
0019
上記硬質板状体には、熱可塑性樹脂発泡体との積層面に任意方向に延長する凹溝が設けられてもよく、これにより硬質板状体の曲げ剛性をさらに低下させ、防音性をより向上させることが可能である。凹溝の形状は通常U字状、V字状、コの字状等に形成され、その溝幅は、1〜5mm、溝深さは1〜5mm程度である。
0020
上記硬質板状体には、その周縁の全部または一部に、核矧ぎ、相欠きなど従来公知の接合法のための加工が施されていてもよい。
0021
硬質板状体の厚みは、薄すぎると、歩行時や重量物載置時に破壊しやすく、厚すぎると防音性が低下するため、2〜12mmが好ましく、より好ましくは2〜9mmであり、さらに好ましくは2〜6mmである。
0022
上記硬質板状体の厚みと熱可塑性樹脂発泡体の厚みとの比は、硬質板状体の厚みが熱可塑性樹脂発泡体の厚みに比べて、厚すぎると床構成体の剛性が増加するため防音性が低下し、又、薄すぎると歩行時や重量物載置時に破壊しやすくなるので、硬質板状体の厚みに対し、好ましくは、1〜10倍、より好ましくは1〜5倍、さらに好ましくは1〜3倍である。
0023
床構成体の厚みは、特に限定されないが、厚すぎると部屋の天井が低くなり、且つ歩行時の沈み込みも大きくなるため、20mm以下であることが好ましい。
0024
[熱可塑性樹脂発泡体]
(熱可塑性樹脂)
本発明で使用される熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、又はこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、又はこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及びこれらの共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。
0025
上記熱可塑性樹脂の中でも、凹凸形状を形成しやすい、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、表面平滑性と、得られる床構成体の歩行時の沈み込みの防止を両立するためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。
0026
さらに、上記熱可塑性樹脂は、必要に応じて架橋されていてもよい。架橋されることによって、発泡時の破泡が防止でき、発泡倍率が増加し、床構成体の軽量化につながるからである。
0027
上記熱可塑性樹脂発泡体を構成する連続発泡層、高発泡部及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂である必要性はないが、得られる床構成体が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しにくい点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。この際、特に高発泡部及び低発泡薄膜に用いられる樹脂は、同一の樹脂で形成されるのが接着性の点で好ましい。
0028
上記熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床構成体の軽量化が図れず、高すぎると、床構成体の沈み込み量が増加するので、2〜30倍が好ましく、より好ましくは3〜20倍、さらに好ましくは5〜10倍である。
0029
上記熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、薄すぎると防音性能が低下し、厚すぎると床構成体の沈み込み量が増加するので、3〜50mmが好ましく、より好ましくは3〜30mm、さらに好ましくは5〜10mmである。
0030
(熱可塑性樹脂発泡体の形態)
本発明で使用される熱可塑性樹脂発泡体の形態は、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものである。
0031
上記連続発泡層の発泡倍率は、低すぎると、床構成体の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床構成体の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは2〜8倍であり、さらに好ましくは2〜7倍である。
0032
上記連続発泡層の厚みは、薄すぎると、得られる床構成体が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなり、厚すぎると相対的に熱可塑性樹脂発泡体中に占める割合が増え、床構成体の軽量化が困難になり、防音性能が低下するので、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは300μm〜3mmであり、さらに好ましくは500μm〜2mmである。
なお、連続発泡層の厚みは、均一である必要はなく、不均一であっても良い。また、連続発泡層は、完全な平板である必要はなく、多少の凹凸があってもよい。ここで、連続発泡層の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の連続発泡層平均厚さをいう。
0033
上記高発泡部の発泡倍率は、低すぎると、床構成体の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床構成体の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、2〜100倍が好ましく、より好ましくは5〜50倍であり、さらに好ましくは10〜35倍である。
0034
上記高発泡部の大きさは、小さすぎると床構成体の軽量化が困難になり、大きすぎると得られる床構成体が歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので3〜50mmが好ましく、さらに好ましくは5〜30mmである。
なお、高発泡部の大きさは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。 ここで、高発泡部の大きさとは、熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の大きさの最大値をいう。
0035
上記低発泡薄膜の発泡倍率は、低すぎると、床構成体の軽量化が困難になり、且つ弾性率が増大するため、防音性能が低下し、高すぎると床構成体の沈み込み量が増加し、又、歩行時及び重量物を載置したときに破壊しやすくなるので、1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは1.2〜7倍であり、さらに好ましくは1.2〜5倍である。
0036
上記低発泡薄膜の厚みは、薄すぎると高発泡部が相対的に大きくなり、得られる床構成体の圧縮強度が低下し、厚すぎると防音性能が低下するので、30〜500μmが好ましく、より好ましくは40〜400μmであり、さらに好ましくは50〜400μmである。
なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。
ここで、低発泡薄膜の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡体の熱可塑性樹脂発泡体の厚さ方向に平行な断面の平均厚さをいう。
0037
前記高発泡部は連続発泡体の片面上に配置されることが一般的であるが、両面に配置されてもよい。
0038
前記高発泡部は連続発泡層に対して凸状に形成される。
上記高発泡部の凸状に形成された部分の高さは、低すぎると高い防音性能が得られないため、連続面に対して1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
0039
各高発泡部に対応する連続発泡体の裏面側は、凹状に形成されることが好ましく、凹状に形成されている場合、凹部の深さは、大きすぎると高い圧縮強度を発現することが困難となり、沈み込み量が増加し、低すぎると十分な防音性が得られないため、1〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
0040
高発泡部が低発泡薄膜を介して、少なくとも一部分で相互に密接している場合は、個々の高発泡部の密着性が向上し、床上に重量物が積載された場合に破壊しにくくなるために好ましい。
0041
密接の方法としては、接着材による、接着等が考えられるが、熱可塑性樹脂で形成されていることから、熱融着が床構成体の成形性の点から好ましい。
0042
熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度の向上及び圧縮強度のバラツキの低減のためには、複数の高発泡部が発泡体横断面方向において平面的に略均一に配置されることが好ましい。もっとも、複数の高発泡部を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。
0043
複数高発泡部が格子状に配置されている場合には、個々の高発泡部が四角柱の形状となり、床構成体に形成した際に沈み込み量が減少するため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
0044
また、複数の高発泡部が、千鳥配置されている場合、複数の六角柱状の高発泡部が低発泡薄膜を介して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることになり、沈み込み量が特に優れた床構成体となるため好ましい。
0045
また、上記低発泡薄膜で外表面を被覆された高発泡部の凸状に形成された部分の平板に対する接触面積比は、10〜70%が好ましく、大きすぎると防音性が低下し、小さすぎると床構成体の沈み込み量が増大する。
0046
また、上記熱可塑性樹脂発泡体の充填率は、大きすぎると高い圧縮強度を示すことができず、沈み込み量が増加し、小さすぎると防音性が低下することから、30〜90%が好ましく、より好ましくは50〜90%である。
0047
(熱可塑性樹脂発泡体の製造方法)
上記熱可塑性樹脂発泡体を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、発泡剤を含有した発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させ融着面を除いた外表面を熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜が被覆している、熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部を成形し、これを互いに低発泡薄膜を介して熱融着した後、別工程で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層を熱融着させた後、熱プレス等で凹凸状に成形する方法等が挙げられるが、後述する、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させる工程と、発泡して得られる発泡体が完全充填される以上の間隙を有する冷却型内で冷却する工程とを備える方法が好ましい。
0048
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分が発泡するが、このとき、熱可塑性樹脂粒状体の外表面は発泡により生じる気泡を保持し難いため、内部に比べ発泡倍率が低くなり、低発泡薄膜となる。この結果、粒状体の内部の高い発泡倍率の高発泡部の外表面を低発泡薄膜が被覆した状態となる。また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の粒状体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連続発泡層となり、この連続発泡層の上に高発泡部が複数配置された状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄く、気泡保持が困難になるため低発泡になる。このような低発泡薄膜は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の低発泡薄膜と近接し熱融着するわけであるが、発泡後冷却する冷却装置の間隙を、発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完全充填される以上に設定することで融着が一部分のみ進行し、完全充填でない凹凸状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。
0049
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂としては、上記熱可塑性樹脂樹脂発泡体に使用される樹脂と同様のものが使用される。
0050
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられる熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はないが、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。
0051
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂樹脂発泡体の項で述べたように、発泡倍率の向上及び得られる熱可塑性樹脂発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されているものを用いることが好ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、(1)シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方法、(2)熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法、(3)放射線を照射して架橋する方法等が挙げられる。但し、後述する高架橋樹脂と、低(無)架橋樹脂を得るためには、(1)のシラングラフト重合体を用いた架橋方法が好ましい。
0052
上記シラングラフト重合体としては、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンやシラングラフトポリプロピレン等を例示することができる。
0053
前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合には、加圧下において行えばよい。
0054
上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性熱可塑性樹脂が熱で融着されてしまうので、50〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。
0055
また、水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。
0056
シラングラフト重合体を混合する方法は、均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸または2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
0057
シラングラフト重合体の添加量が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラフト重合体の添加量は、全熱可塑性樹脂中5〜50重量%が好ましく、より好ましくは10〜35重量%である。
0058
また、シラングラフト重合体を用いてシラン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2
−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
0059
上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
0060
上記発泡性熱可塑性樹脂は、上述したように特に限定されないが、発泡剤と、互いにほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂と低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂との混合物よりなる。この場合、発泡時には低架橋もしくは無架橋樹脂が流動し易いので、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸部が形成しやすいので好ましい。
0061
高架橋熱可塑性樹脂と低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の熱可塑性樹脂を高架橋熱可塑性樹脂といい、他方を低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂という。
0062
上記互いにほとんど相溶性を有さない上記2種の熱可塑性樹脂に使用される熱可塑性樹脂(架橋前)としては、前述した熱可塑性樹脂のうち2種類(以下、樹脂そのものの架橋性能ではなく、高架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「高架橋性樹脂」、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「低(無)架橋性樹脂」という)を適宜選択して用いることができるが、上記高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂が互いに相溶せずに均一微細に分散するためには、高架橋性樹脂と低(無)架橋性樹脂の熱可塑性樹脂の溶解度パラメーターの差が0.1〜2.0であることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5である。
0063
溶解度パラメーターの差が2.0を超えると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂が非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下する。他方、溶解度パラメーターの差が0.1より小さいと、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低下する。
0064
上記溶解度パラメーターは、σ=ρΣFi/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密度、Mは樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fiは、モノマーの構成グループのモル吸引数である。
0065
上記、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが非常に粗く分散するため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸を形成することが困難になることがあるため、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが互いに相溶せずに均一微細に分散し、かつ高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。
0066
なお、本明細書におけるMIは、JIS K7210に従って、測定された値である。
架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散し、かつ表面平滑性に優れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂との混合比率は重量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6〜6:4がより好ましい。
0067
高架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
0068
低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の流動性が低下し、凹凸を形成しにくくなることがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
0069
なお、本明細書におけるゲル分率とは、架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に対する重量百分率をいう。
0070
互いにほとんど相溶性を有さない、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂を混合し、高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することにより達成される。
0071
高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する方法としては、例えば、(1)高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、(2)第1段階で、架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂とを混合して架橋して、高架橋熱可塑性樹脂を形成させた後、第2段階で、これを無架橋性樹脂と混合する方法等が挙げられる。
0072
もっとも、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散できること、高架橋性樹脂を優先的に架橋し易いこと、並びに熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂を、高架橋性樹脂及び低架橋性樹脂と共に混合した後、架橋させる方法が好ましい。
0073
高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデックスを有した架橋性官能基を有する高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂としては、反応性官能基を有し、架橋することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。このような官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
0074
上記架橋性樹脂の具体的な例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン等が挙げられる。高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことから、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレンが好ましい。
0075
高架橋性樹脂と架橋性樹脂のメルトインデックスの差が、大きいと高架橋性樹脂のみに、又は低(無)架橋樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2g/10分以下が好ましく、より好ましくは1g/10分以下である。
0076
上記架橋性官能基を有する架橋性樹脂を架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋する方法等が挙げられる。
0077
混合後の架橋が容易なことから、反応性官能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
0078
(発泡剤)
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤として熱分解型発泡剤が用いられる。
0079
上記熱分解型発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;
アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、Pートルエンスルホニルヒドラジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。
0080
上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎると十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の割合で含有させることが好ましい。
0081
(他に添加し得る成分)
熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材等を添加してもよい。
0082
また、上記充填剤を添加する場合、添加量が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体を補強する効果が充分に得られないことがある。従って、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、より好ましくは50重量部以下である。
0083
(発泡性熱可塑性樹脂シート状体)
発泡性熱可塑性樹脂シート状体は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置しており、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されているものである。上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状は、特に限定されず、例えば、六方体、円柱状、球状体などが挙げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡を均一に行わせるには、円柱状が最も好ましい。
0084
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その径は、目的とする凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、大きすぎると発泡速度が低下し、小さすぎると発泡時の加熱で円柱が溶融・変形し、変形しやすく一次発泡性を発現できなくなり、厚み精度、重量精度のばらつきが大きくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱の場合、その径は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmである。
0085
発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場合、その高さは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、高すぎると発泡速度が低下し、低すぎると発泡性熱可塑性樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向及び長手方向において大きく膨張することになる。従って、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmである。
0086
発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、上記距離が長すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した時に充填不足が大きく発生する可能性があり、短すぎると完全充填してしまう。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の中心間距離は、2〜50mmが好ましく、より好ましくは3〜30mmである。
0087
最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度を向上し、凹凸形状と発泡倍率を均一化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡性熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配置されることが必要である。もっとも、熱可塑性樹脂粒状体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、千鳥状に配置されていてもよい。発泡性熱可塑性樹脂粒状体が格子状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が四角柱の形状となり、凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、かつ圧縮強度も十分な値とされるため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好ましい。
0088
また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が六角柱の形状となるため、擬似的なハニカム構造を構成することになる。そのため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が均一となり、圧縮強度も十分なものとなる。従って、好ましくは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、千鳥状に配置される。
0089
発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるため、特に限定されるものではないが、厚くなりすぎると、発泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅方向及び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1〜2mmである。
0090
(発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法)
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状に応じた凹部を有する金型に射出した後冷却する方法等が挙げられるが、2)発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリアランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロールに導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も好ましい。
0091
上記2)の方法をさらに詳しく説明する。
先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るには、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精度、定量性の点から最も好ましい。
0092
軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、連続的に成形できる形態であれば特に限定さ
れず、シート形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も好ましい。
0093
賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得られる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精度の向上の為、略均一的に配置されることが好ましい。賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面全体で均一的にあれば特に限定されないが、より均一であることから、格子又は千鳥に配設されていることが最も好ましい。
0094
賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を均一に成形し易い点、冷却後の離型が行い易い点から円柱状が最も好ましい。
0095
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1mm〜30mmが好ましく、より好ましくは2mm〜20mmである。
0096
賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないため、1mm〜30mmが好ましく、より好ましくは2mm〜20mmである。
0097
賦形ロールのクリアランスは、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定されないが、厚すぎると、一次元発泡を行える発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、薄すぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ易いため、0.05mm〜3mmが好ましく、より好ましくは0.1mm〜2mmである。
0098
軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の一部を凹部への圧入する方法は、1対の賦形ロールのクリアランスを変化させないことにより、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与されて成し遂げられる。
0099
一部を圧入され賦形された軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑性樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定されず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法がある。
0100
[不陸吸収層]
本発明に使用される不陸吸収層は、床構成体に緩衝性を付与できる材料であれば特に限定されず、例えば織布あるいは不織布、発泡シート等があげられ、これらを複数積層してもよい。
0101
緩衝性の向上のために積層される織布あるいは、不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維などからなるものが挙げられる。
0102
上記織布あるいは不織布は、厚すぎると床構成体の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性などの効果が発現できないため、30〜1000g/m2 が好ましく、より好ましくは50〜800g/m2 が、さらに好ましくは80〜500g/m2 である。
0103
緩衝性の向上のために積層される発泡シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ウレタン等の樹脂及びこれらの共重合体からなるものが挙げられる。
0104
上記発泡シートは、厚すぎると床構成体の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、より好ましくは500μm〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmである。
0105
[木質板]
本発明で使用される床構成体の木質板は、床構成体としての強度が確保できる木質材料であれば特に限定されず、例えば木単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)高密度繊維板(HDF)、ハードボード、平行合板(L.V.L)等が挙げられる。
0106
上記木質板の厚みは、薄すぎると曲げ剛性が低下し強度が不足し、厚すぎると周辺建具との取り合いがとれないので、3〜30mmが好ましく、より好ましくは5〜20mm、さらに好ましくは10〜15mmである。
0107
[樹脂発泡体]
本発明に使用される樹脂発泡体は、床構成体としての強度が確保できるものであれば特に限定されず、例えばオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンビニルアセテート系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂及びこれらの共重合体からなる発泡体が挙げられる。なかでも、強度や耐水安定性の点からポリスチレン系樹脂発泡体が好ましい。
なお、上記樹脂発泡体に使用される樹脂は、前記熱可塑性樹脂発泡体に使用した樹脂と同じものであってもよい。
0108
上記樹脂発泡体の発泡倍率は、低すぎると、床構成体の軽量化が図れず、高すぎると、床構成体の強度が不足するので、2〜50倍が好ましく、より好ましくは3〜40倍、さらに好ましくは5〜30倍である。
0109
上記樹脂発泡体の厚みは、薄すぎると曲げ剛性が低下し強度が不足し、厚すぎると周辺建具との釣り合いがとれないので、10〜100mmが好ましく、より好ましくは15〜50mm、さらに好ましくは15〜40mmである。
0110
(他に積層される材料)
本発明の床構成体は、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体がこの順に積層されているものであるが、緩衝性、制振性、遮音性等の向上のために、硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体間、又は熱可塑性樹脂発泡体と不陸吸収層間、或いは不陸吸収層と木質板間に、さらに、樹脂シート、織布あるいは不織布、発泡シート等を単体、又は複数積層されていてもよい。
0111
上記樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂及びこれらの共重合体の樹脂シート;不飽和ポリエステル、ウレタン、エポキシ等の熱硬化性樹脂の樹脂シート;イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンープロピレンゴム等の加硫、又は非加硫ゴムの樹脂シートなどが挙げられる。
また、上記樹脂シートには、上記樹脂に無機材料、又は有機材料、或いは金属材料を充填した複合樹脂シートも含まれる。
0112
上記樹脂シートは、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の向上が小さくなり、厚すぎると床構成体の沈み込みが大きくなるため、30μm〜10mmが好ましく、より好ましくは50μm〜5mm、さらに好ましくは100μm〜3mmである。
0113
上記織布、又は、不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維;ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維などからなるものが挙げられる。
0114
上記織布、又は、不織布は、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の向上が小さくなり、厚すぎると床構成体の沈み込みが大きくなるため、30〜1000g/m2 が好ましく、より好ましくは50〜800g/m2 、さらに好ましくは80〜500g/m2 である。
0115
上記発泡シートとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ウレタン等の樹脂及びこれらの共重合体からなるものが挙げられる。
0116
上記発泡シートは、厚すぎると床構成体の沈み込みが大きくなり、薄すぎると緩衝性、制振性、遮音性の効果が発現できないため、300μm〜10mmが好ましく、より好ましくは500μm〜5mm、さらに好ましくは1〜3mmである。
0117
〔床構成体の製造方法〕
本発明の床構成体の製造方法は、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体を逐次この順又は逆の順に積層してもよい。
この順に積層する場合は、予め工場等で積層し、施工現場で荒床に対し直接貼着する。また、逆の順に積層する場合、予め工場等で積層してもよいし、施工現場で荒床上に樹脂発泡体を貼着し、逐次積層してもよい。また、一方で、硬質板状体、熱可塑性樹脂発泡体及び不陸吸収層を床材として予め積層し、他方で木質板と樹脂発泡体を下地ボードとして予め積層し、施工現場で荒床上に下地ボードを貼着し、最後に床材を貼着してもよい。これらは、床構成体及びその各構成要素の重量や施工現場の作業環境により適宜選定すればよい。
0118
硬質板状体、熱可塑性樹脂発泡体及び不陸吸収層を床材として、木質板と樹脂発泡体を下地ボードとしてそれぞれ予め積層し、施工現場で荒床上に下地ボードを敷設し、最後に床材を貼着することにより、予め構成体全体を積層してから現場施工を行うのに比べ、施工性が向上する。この場合、上記のように、不陸吸収層と木質板との間で分割すると、不陸吸収並びに不陸追従が容易になるので好ましい。
さらに、下地ボードと床材の設置のみで既存畳から床材へのリフォームが完了するので、施工性に優れたものである。
0119
上記硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体の積層方法としては、接着剤や粘着剤を用いた積層方法があげられる。使用される接着剤としては、酢酸ビニル系やビニルエステル系接着剤、クロロプレン系接着剤等が挙げられ、粘着剤としては、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
0120
また、接着性、粘着性の向上のため、熱可塑性樹脂発泡体の少なくとも片面をコロナ処理、あるいはプライマー処理を行うことも好ましい。
0121
下地ボードは、上記したように、樹脂発泡体に木質板が積層されたものである。上記下地ボードの厚みは、薄すぎると曲げ剛性が低下し強度が不足し、厚すぎると周辺建具との取り合いがとれないので、10〜100mmが好ましく、より好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは30〜50mmである。
0122
上記下地ボードの大きさは、大きすぎると施工時の取り回しが困難で施工性が低下し、小さすぎると同一面積を施工するのに数多く施工する必要があるため、一辺の長さが500〜3000mmが好ましく、より好ましくは800〜2000mmである。
0123
木質板と樹脂発泡体との積層方法としては、接着剤や粘着材を用いた積層方法があげられる。使用される接着剤としては、酢酸ビニル系やビニルエステル系接着剤、クロロプレン系接着剤等が挙げられ、粘着剤としては、アクリル系粘着剤等が挙げられる。
0124
また、接着性、粘着性の向上のため、樹脂発泡体の少なくとも片面をコロナ処理、あるいはプライマー処理を行うことも好ましい。
0125
[床材と下地ボードの積層方法]
上記床材と下地ボードを別個に製造し、然る後に、荒床上に下地ボードを敷設し、最後に床材を貼着する場合、床材と下地ボードの積層方法としては、接着剤や粘着材を用いた積層方法があげられる。使用される接着剤としては、酢酸ビニル系やビニルエステル系接着剤、クロロプレン系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等が挙げられるが、請求項3又は請求項4、或いは請求項7又は請求項8記載の両面テープを用いた積層方法が、施工性の点から好ましい。
0126
本発明で使用される両面テープとしては、1)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、等からなる樹脂フィルムあるいは樹脂発泡体、2)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエステル等の有機繊維からなる織布あるいは不織布の、両面にポリアクリル酸エステル重合体からなるアクリル系粘着材、ビニルエーテル共重合体からなるビニル系粘着材、天然ゴム、合成ゴム等からなるゴム系粘着材、シリコーン系粘着材を保持させたものがあげられる。
0127
上記両面テープの厚みは、薄すぎると下地の不陸を吸収できないことがあり、厚すぎると床構成体の歩行感が悪くなるため0.1〜3mmが好ましく、より好ましくは0.2〜1mmである。
0128
上記両面テープは、必要に応じ他の材料が積層されていてもよい。特に両面テープの片面に樹脂ネットが積層されたものは床材の施工時に滑りを与えることができより好ましい。
0129
請求項4に記載の床構成体において、床材と床下地ボードとが、両面テープを介して部分的に積層される比率は特に限定されないが、この比率が小さくなると床材が下地ボードに十分接着できないため、床材施工面積の10〜80%が好ましく、より好ましくは20〜50%である。
0130
上記部分的な積層を行う際、その積層部を床材の接合部特に長辺の接合部に一致させることは、床材の反り等を押さえることができるため好ましい。
0131
[床構成体の施工方法]
本発明の床構成体は、例えば、コンクリート床等の下地自体に直接接着、粘着、釘等により固定されてもよいし、請求項6に記載されたように、根太または支柱上に、合板、パーティクルボード、杉板等が敷設された荒床の上面に、下地ボードの樹脂発泡体が荒床に直接敷設、固定されてもよい。
【作用】
0132
請求項1記載の床構成体は、上側から、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体が、この順に積層され、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものであるから、防音性能が良好でかつ歩行感に優れ、さらに、不陸吸収層の下に木質板と樹脂発泡体が積層されているので、畳等からのリフォームにおいて施工性の優れた構成となる。
また、高い圧縮弾性率を有する構成でありながら剛性が大きくならないために、床構成体上に衝撃が付与された際、容易に変形し、従って、緩衝層が薄くても衝撃作用時間を延長することができ、圧縮変形量が小さくても高い防音性が発現できる。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐようになっているため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。従って、歩行時の「船酔い現象」を無くすことができ、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
0133
また、請求項2記載の床構成体は、請求項1記載の床構成体において、上記各高発泡部に接する連続発泡層の表面が凹状に形成されているものであるから、硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体の接触が部分的となり硬質板状体の振動を熱可塑性樹脂発泡体に伝播しにくくなるとともに、凹部で形成された空間で振動減衰がおこることにより防音性がさらに良好のものとなる。
【0134】
また、請求項3記載の床構成体は、請求項1又は2記載の床構成体において、不陸吸収層と木質板とが両面テープを介して積層されているものであり、施工が簡単で、且つ再リフォームも容易であるとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止することができる。
0135
また、請求項4記載の床構成体は、請求項1〜3記載の床構成体において、不陸吸収層と木質板とが両面テープを介して部分的に積層されているものであり、施工が簡単で、且つ再リフォームも容易であるとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止でき、さらに施工部材費も安価で、施工時間をより短縮できる。
0136
また、請求項5記載の床構成体は、請求項1〜4記載の床構成体において、樹脂発泡体の下面が、荒床に対し直接敷設されるものであり、既存畳を撤去した後、樹脂発泡体の下面を荒床に対し直接接着、粘着、釘等により固定するだけでよく、畳から床材へのリフォームが簡単にでき、施工時間の短縮、施工手間の減少、施工時の騒音の低下がはかれる。
0137
また、請求項6記載の床構造体の施工方法は、樹脂発泡体に木質板が積層された下地ボードと、上側から硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層がこの順に積層され、この熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成された床材とよりなり、荒床上に施工される全体厚みが畳とほぼ同一の床構成体の施工方法であって、前記荒床上に、前記下地ボードの樹脂発泡体面を敷設し、該下地ボードの木質板面上に前記床材の不陸吸収層を固定するので、施工性が向上したものとなる。
また、不陸吸収層と木質板との間で分割するので、不陸吸収並びに不陸追従が容易になる。
さらに、下地ボードと床材の設置のみで既存畳から床材へのリフォームが完了するので、施工性に優れたものである。
0138
また、請求項7記載の床構造体の施工方法は、下地ボードの木質板面に、両面テープを介して、床材の不陸吸収層を貼着するので、後述の実施例4及び5で見られるように、施工時間が短く、再リフォーム性に優れているとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止することができる。
0139
また、請求項8記載の床構造体の施工方法は、下地ボードの木質板面に貼り付けられる両面テープが施工範囲の周辺部と床材の長手接合部のみに配置されているので、施工が簡単で、施工時間が更に短縮でき、施工時の接着剤等による汚れを防止でき、さらに施工部材費も安価で、施工時間をより短縮できる。
【0140】
【実施例】
本発明を実施例及び図面をもって、さらに詳しく説明する。
実施例1
熱可塑性樹脂発泡体
高密度ポリエチレン(三菱化学社製、商品名「HY340」、MI=1.5g/10分)50重量%、シラングラフトポリプロピレン(三菱化学社製、品番「XPM800H」、MI=11g/10分、架橋後のゲル分率80重量%)20重量%、ポリプロピレン(三菱化学社製、品番「MA3」、メルトインデックス(MI)=11g/10分)30重量%からなる熱可塑性樹脂100重量部、アゾジカルボンアミド(大塚化学社製、品番「SO−20」、分解温度210℃)4重量部及びシラン架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部を含有する組成物を、図1に示した2軸押出機11に供給した。
【0141】
2軸押出機11としては、径44mmのものを用いた。2軸押出機11において、上記組成物を180℃で溶融混練し、面長500mm、リップ1.0mmのTダイ12により軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を押し出した。
【0142】
さらに、深さ約10mm、直径4mm、相隣接する凹部とのピッチ10.1mmの円柱状の凹部13aが、賦形ロール13のみに千鳥状に配置された、径250mm、面長500mmのロール13、14(クリアランス0.2mm)間で該未架橋発泡性熱可塑性樹脂シート状体を賦形しつつ冷却し、さらに発泡性熱可塑性シート状体を98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥することにより、実測高さ5.7mm;直径4mmの円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体6が発泡性熱可塑性樹脂薄膜7(厚み0.2mm)上に千鳥状に構成された発泡性熱可塑性樹脂シート状体5を得た。
【0143】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体5では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体6が発泡性熱可塑性樹脂薄膜7により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体5が構成されていた。
【0144】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体5を300×900mmに切断し、図3(a)に示したように、ポリフッ化エチレンシート15上に配置し(配置重量1000g/m2)、さらにポリフッ化エチレンシート16をその上面に配置して、ハンドプレスにより、ポリフッ化エチレンシート15、16間が8mmの間隙となるようにして、210℃で10分間加熱発泡した。発泡性熱可塑性樹脂シート状体5は、図3(b)に示したように、まず、発泡性熱可塑性樹脂薄膜7が先に温度が上昇するので、発泡して徐々に凹凸が発生し、次いで、図3(c)〜図3(d)に示したように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体6が発泡を開始し、図3(d)〜図3(e)に示したように、発泡性熱可塑性樹脂薄膜7が連続発泡層3を形成するとともに、発泡性熱可塑性樹脂粒状体6間に進入して低発泡薄膜4となり、発泡性熱可塑性樹脂粒状体6は高発泡部2を形成し、シート体の連続発泡層3と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置された高発泡部2と、該高発泡部表面を前記連続発泡層とともに被覆する低発泡薄膜4からなり、個々の高発泡部は、低発泡薄膜4を介して熱融着された平面状の熱可塑性樹脂発泡体1を得た。
【0145】
次いで、得られた熱可塑性樹脂発泡体1の連続発泡層3の凸部3aを削った後、30℃の冷却プレスで10分間冷却し、図4に示した発泡倍率8倍、厚み8mm、充填率100%の熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0146】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚み、充填率は以下の方法で測定し、表1に示した。
【0147】
(発泡体の厚み)
ノギスを用い、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚みを測定した。
(発泡倍率)
JIS K6767に準拠して発泡倍率を測定した。
(発泡体の充填率)
〔配置重量(g/m2)×発泡倍率〕/(発泡体の厚み×1000)×100の計 算式により算出した。
【0148】
床材の作製
ラワン合板に、厚み0.3mmの突き板(北三社製、商品名「ホワイトオーク」)を水性ビニルウレタン系樹脂(光陽産業社製、品番「KR120」)で接着し、厚み4.0mmの硬質板状体を得た。
そして、図5に示したように、厚さ8mmに調整した上記熱可塑性樹脂発泡体1の一面に、得られた硬質板状体22を酢酸ビニル系接着剤(積水化学工業社製、品番「#5660」)を用いてを接着積層し、さらに他面にポリウレタン発泡体(発泡倍率40倍、2.5mm)からなる不陸吸収層23を接着積層し、充填率100体積%、厚み14.5mmの平板状の床材21を得た。
【0149】
下地ボードの作製
図6に示したように、ラワン合板12mmからなる木質板32に、酢酸ビニル系接着剤(大鹿振興社製、商品名「シンコーボンド246」)を用いて厚さ30mmのポリスチレン発泡体(積水化成品社製 商品名「エスレンフォームSR」)からなる樹脂発泡体33を接着し、図6に示す900×1820×42mmの下地ボード31を作製した。
【0150】
床構成体の作製
図7に示したように、スラブ52(110mm厚)に設置された荒床51(面積;3640mm×2730mm、根太;45mm×35mm、450mmピッチ:荒板;12mm厚のラワン合板)上に厚み42mmの下地ボード31を設置し、該下地ボード上にウレタン系接着剤(積水化学社製、商品名「エスダインU−750)41を500g/m2 塗布し、床材21を接着積層して床構成体を作製した。
【0151】
実施例2
実施例1と同様の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を用い、凹凸状の熱可塑性樹脂発泡体を作製するに当たり、ポリフッ化エチレンシート15、16間が10mmの隙間となるようにした以外は、実施例1と同様にして発泡して熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0152】
この熱可塑性樹脂発泡体は、シート状3の連続発泡層と、該連続発泡層3の片面上に複数配置された高発泡部2と、該高発泡部2表面を前記連続発泡層3とともに被覆する低発泡薄膜4からなり、更に前記高発泡部2は連続発泡層3に対して各々凸状に形成され、各高発泡部2に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成されたが、連続発泡層の凸部に対応する部位は切削して平滑形状とし、発泡倍率8倍、厚み8mm、充填率80体積%、厚み14.5mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体とした。
【0153】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚み、充填率は実施例1と同様に測定した。
【0154】
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体22、不陸吸収層23を熱可塑性樹脂発泡体に接着積層し、図8に示す床材21を得た。
【0155】
得られた床材21を用いて、実施例1と同様にして床構成体を作製した。
【0156】
実施例3
発泡性熱可塑性樹脂シート状体5の実測高さを4.2mmをなるようにした以外は、実施例1と同様にして、発泡性熱可塑性樹脂シート状体5を得た。
【0157】
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体5では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体6が発泡性熱可塑性樹脂薄膜7により連結されて、全体として発泡性熱可塑性樹脂シート状体5が構成されていた。
【0158】
得られた発泡性熱可塑性樹脂シート状体5を実施例1と同様に発泡し、熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0159】
得られた熱可塑性樹脂発泡体は、シート状の連続発泡層3と、該連続発泡層3の片面上に複数配置された高発泡部2と、該高発泡部2表面を前記連続発泡層3とともに被覆する低発泡薄膜4からなり、さらに前記高発泡部2は連続発泡層3に対して各々凸状に形成され、各高発泡部2に接する連続発泡層の表面側は凹状に形成され、発泡倍率8倍、厚み8mm、充填率80体積%、厚み14.5mmの凹凸状熱可塑性樹脂発泡体であった。
【0160】
なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率、発泡体の厚み、充填率は実施例1と同様に測定した。
【0161】
さらに実施例1と同様にして、硬質板状体22、不陸吸収層23を熱可塑性樹脂発泡体に接着積層し、図9に示す床材21を得た。
【0162】
得られた床材21を用いて、実施例1と同様にして床構成体を作製した。
【0163】
実施例4
実施例1と同様の荒床上に、実施例1と同様の下地ボードを設置し、両面テープ42(積水化学社製、製品名「ダブルタックテープ#530」)を用いて実施例3で得られた床材を全面積層し、図10に示す床構成体を作製した。
【0164】
実施例5
実施例1と同様の荒床上に、実施例1と同様の下地ボードを設置し、幅50mmの両面テープ42(積水化学社製 製品名ダブルタックテープ #530)を用いて実施例3で得られた床材を、不陸吸収層23と両面テープ42との積層割合及び両面テープ42と木質板32との積層割合を、共に面積比35%で積層し、図11に示す床構成体を作製した。
なお、積層割合は、以下の方法で計算し、表1に示した。
【0165】
(積層割合)
(両面テープ42貼り付け面積)/(全不陸吸収層23の面積又は全木質板32の面積)×100
【0166】
比較例1
床材の作製
ラワン合板の一面に、厚み0.3mmの突き板(北三社製、商品名「ホワイトオーク」)を水性ビニルウレタン系樹脂(光陽産業社製、品番「KR120」)で接着し、厚み12mmの硬質板状体を得た。
得られた硬質板状体のラワン合板の他面に、酢酸ビニル系接着剤(積水化学工業社製、品板「#5660」)を用いてポリウレタン発泡体(発泡倍率40倍、2.5mm厚)からなる不陸吸収層を接着積層し床材を得た。
【0167】
下地ボードの作製
上記厚み12mmのラワン合板3枚及び厚み6mmのラワン合板1枚を用い、酢酸ビニル系接着剤(大鹿振興社製、商品名「シンコーボンド246」)で積層し、900×1820×42mmの下地ボードを作製した。
【0168】
床構成体の作製
ついで実施例1と同様の荒床上に下地ボードを設置し、ウレタン系接着剤(積水化学社製、商品名「エスダインU−750」)を500g/m2 塗布して床材を接着積層し、床構成体を作製した。
【0169】
比較例2
床材の作製
ラワン合板の一面に、厚み0.3mmの突き板(北三社製、商品名「ホワイトオーク」)を水性ビニルウレタン系樹脂(光陽産業社製、品番「KR120」)で接着し、厚み14.5mmの硬質板状体を得た。
【0170】
床構成体の作製
実施例1と同様にして下地ボードを作製し、該下地ボードを実施例1と同様の荒床上に設置し、ウレタン系接着剤(積水化学社製、商品名「エスダインU−750」)を500g/m2 塗布して床材を接着積層し、床構成体を作製した。
【0171】
比較例3
床材として、実施例3と同様のものを使用したこと以外は、比較例1と同様にして床構成体を作製した。
【0172】
比較例4
荒床上に厚さ30mmのポリスチレン発泡体(積水化成品社製、商品名「エスレンフォームSR」)を設置し、このポリスチレン発泡体にラワン合板12mmを酢酸ビニル系接着剤(大鹿振興社製、商品名「シンコーボンド246」)を用いて接着した。
ついで、このラワン合板の上にウレタン系接着剤(積水化学社製、商品名「エスダインU−750」)を500g/m2 塗布し、ポリウレタン発泡体(発泡倍率40倍、2.5mm厚)からなる不陸層を接着した。
最後に、比較例1と同様の硬質板状体を酢酸ビニル系接着剤(積水化学工業社製、品番「#5660」)を用いて接着積層し、床構成体を作製した。
【0173】
実施例1〜5、比較例1〜4で得られた床構成体を以下の評価に供し、その結果を表1、表2に纏めて示した。
【0174】
床構成体の評価
(1)沈み込み量
施工した床構成体面の中心にφ50mmの鋼製円柱圧子を載置し、10kg/minの速度で80kgの圧縮荷重を負荷したときの沈み込み量を測定した。
【0175】
(2)防音性能
JIS A1418に準拠して軽量床衝撃騒音レベルを測定した。
【0176】
(3)施工時間
荒床上に床構成体を設置する全行程の施工時間を測定した。
【0177】
(4)再リフォーム性
作製した床構成体の内、床材を剥離した際の剥離時間を測定した。
【0178】
(5)施工外観
作製した床構成体の硬質板状体表面の施工状態の外観を目視で評価した。
【0179】
【表1】
Figure 0003583078
【0180】
【表2】
Figure 0003583078
【0181】
【発明の効果】
請求項1の床構成体は、上述の如く、上側から、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体が、この順に積層され、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シー ト状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されているものであるから、防音性能が良好でかつ歩行感に優れ、さらに、不陸吸収層の下に木質板と樹脂発泡体が積層されているので、畳等からのリフォームにおいて施工性の優れた構成となる。
また、高い圧縮弾性率を有する構成でありながら剛性が大きくならないために、床構成体上に衝撃が付与された際、容易に変形し、従って、緩衝層が薄くても衝撃作用時間を延長することができ、圧縮変形量が小さくても高い防音性が発現できる。加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を繋ぐようになっているため、歩行時や重量物積載時の破壊が起こりにくい。従って、歩行時の「船酔い現象」を無くすことができ、防音性能に優れ、かつ歩行感の良い床材となる。
【0182】
請求項2の床構成体は、各高発泡部に接する連続発泡層の表面が凹状に形成されているので、硬質板状体と熱可塑性樹脂発泡体の接触が部分的となり硬質板状体の振動を熱可塑性樹脂発泡体に伝播しにくくなるとともに、凹部で形成された空間で振動減衰がおこることにより防音性がさらに良好のものとなる。
【0183】
請求項3の床構成体は、不陸吸収層と木質板とが両面テープを介して積層されているものであり、施工が簡単で、且つ再リフォームも容易であるとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止することができる。
【0184】
請求項4の床構成体は、不陸吸収層と木質板とが両面テープを介して部分的に積層されているものであり、施工が簡単で、且つ再リフォームも容易であるとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止でき、さらに施工部材費も安価で、施工時間をより短縮できる。
【0185】
請求項5の床構成体は、樹脂発泡体の下面が、荒床に対し直接敷設されるものであり、既存畳を撤去した後、樹脂発泡体の下面を荒床に対し直接接着、粘着、釘等により固定するだけでよく、畳から床材へのリフォームが簡単にでき、施工時間の短縮、施工手間の減少、施工時の騒音の低下がはかれる。
【0186】
請求項6の床構成体の施工方法は、樹脂発泡体に木質板が積層された下地ボードと、上側から硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層がこの順に積層され、この熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成された床材とよりなり、荒床上に施工される全体厚みが畳とほぼ同一の床構成体の施工方法であって、前記荒床上に、前記下地ボードの樹脂発泡体面を敷設し、該下地ボードの木質板面上に前記床材の不陸吸収層を固定するので、施工性が向上したものとなる。
また、不陸吸収層と木質板との間で分割するので、不陸吸収並びに不陸追従が容易になる。
さらに、下地ボードと床材の設置のみで既存畳から床材へのリフォームが完了するので、施工性に優れたものである。
0187
請求項7の床構成体の施工方法は、下地ボードの木質板面に、両面テープを介して、床材の不陸吸収層を貼着するので、施工が簡単で、施工時間も短く、且つ再リフォームも容易であるとともに、施工時の接着剤等による汚れを防止することができる。
0188
請求項8の床構成体の施工方法は、下地ボードの木質板面に貼り付けられる両面テープ が施工範囲の周辺部と床材の長手接合部のみに配置されているので、施工が簡単で、施工時間が更に短縮でき、施工時の接着剤等による汚れを防止でき、さらに施工部材費も安価で、施工時間をより短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図2】本発明に使用され得る発泡性熱可塑性樹脂シート状体の平面図である。
【図3】本発明に使用される熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の一例を説明するための断面図である。
【図4】実施例1により得られた熱可塑性樹脂発泡体を示す断面図である。
【図5】実施例1により得られた床材を示す断面図である。
【図6】実施例1により得られた下地ボードを示す断面図である。
【図7】実施例1により得られた床構成体及び荒床の断面図である。
【図8】実施例2により得られた床材を示す断面図である。
【図9】実施例3により得られた床材を示す断面図である。
【図10】実施例4により得られた床構成体及び荒床の断面図である。
【図11】実施例5により得られた床構成体及び荒床の断面図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂発泡体
2 高発泡部
3 連続発泡層
3a 凸部
4 低発泡薄膜
5 発泡性熱可塑性樹脂シート状体
6 発泡性熱可塑性樹脂粒状体
7 発泡性熱可塑性樹脂薄膜
11 二軸押出機
12 Tダイ
13、14 賦型ロール
15、16 ポリフッ化エチレンシート
21 床材
22 硬質板状体
23 不陸層
31 下地ボード
32 木質板
33 樹脂発泡体
41 接着剤
42 両面テープ
51 荒床
52 スラブ

Claims (8)

  1. 上側から、硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層/木質板/樹脂発泡体が、この順に積層され、上記熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成されていることを特徴とする床構成体。
  2. 上記各高発泡部に接する連続発泡層の表面が凹状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の床構成体。
  3. 上記不陸吸収層と木質板とが、両面テープを介して積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床構成体。
  4. 上記不陸吸収層と木質板とが、両面テープを介して部分的に積層されていることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の床構成体。
  5. 上記樹脂発泡体の下面が、荒床に対し直接敷設されるものであることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の床構成体。
  6. 樹脂発泡体に木質板が積層された下地ボードと、上側から硬質板状体/熱可塑性樹脂発泡体/不陸吸収層がこの順に積層され、この熱可塑性樹脂発泡体が、シート状の連続発泡層と、該連続発泡層の裏面上に複数配置された高発泡部と、該高発泡部表面の全表面を連続発泡層と共に被覆する低発泡薄膜とからなり、上記高発泡部が連続発泡層から凸状に形成され、相隣接する高発泡部間が凹状に形成されることにより、熱可塑性樹脂発泡体裏面に凹凸が形成された床材とよりなり、荒床上に施工される全体厚みが畳とほぼ同一の床構成体の施工方法であって、前記荒床上に、前記下地ボードの樹脂発泡体面を敷設し、該下地ボードの木質板面上に前記床材の不陸吸収層を固定することを特徴とする床構成体の施工方法。
  7. 上記下地ボードの木質板面に、両面テープを介して、床材の不陸吸収層を貼着することを特徴とする請求項6記載の床構成体の施工方法。
  8. 上記下地ボードの木質板面に貼り付けられる両面テープが施工範囲の周辺部と床材の長手接合部のみに配置されたことを特徴とする請求項7に記載の床構成体の施工方法。
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