JP3369091B2 - 熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法

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JP3369091B2 JP34937797A JP34937797A JP3369091B2 JP 3369091 B2 JP3369091 B2 JP 3369091B2 JP 34937797 A JP34937797 A JP 34937797A JP 34937797 A JP34937797 A JP 34937797A JP 3369091 B2 JP3369091 B2 JP 3369091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂発泡
体及びその製造方法に関し、より詳細には、厚み方向に
擬似的な一次元発泡を可能とする凹凸状熱可塑性樹脂発
泡体及びその製造方法に関する。
【0002】なお、本明細書全体を通して、板状体、シ
ート状体とは、発泡体製造の前後における相対的な厚み
に基づき定義されるものであって、絶対的厚みに基づく
厳密な定義によるものを意味するのではなく、それぞれ
が通常シート、フィルムと呼ばれる比較的薄手のものも
含むこととする。
【0003】
【従来の技術】熱可塑性樹脂発泡体は軽量であり、緩衝
性に優れているため、屋上断熱材、車両用天井材もしく
は床用断熱材などの各種断熱材、緩衝材、浮揚材又は異
形成形物等において幅広く用いられている。
【0004】上記のような熱可塑性樹脂発泡体の製造方
法として、従来、熱分解型発泡剤を含有している発泡性
熱可塑性樹脂組成物を該発泡剤の分解温度以上に加熱
し、発泡させることにより熱可塑性樹脂発泡体を得る方
法が広く用いられている。この発泡性熱可塑性樹脂組成
物の発泡に際しては、内部に含有されている発泡剤が分
解することにより発生するガスの圧力により発泡が行わ
れる。従って、発泡性熱可塑性樹脂は、通常、ほぼ三次
元的に均等に発泡・膨張するので、熱可塑性樹脂発泡体
の製造に際しては、特に連続的に長尺状の熱可塑性樹脂
発泡体を製造する場合は、幅方向及び長手方向の膨張に
よるしわの発生等に対応する必要がある。
【0005】例えば、特公昭48−9955号公報に記
載の方法では、発泡剤を含有している連続した発泡性熱
可塑性樹脂シートを繰り出し、加熱・発泡させて熱可塑
性樹脂発泡体を得、該熱可塑性樹脂発泡体を巻き取るに
際し、発泡による長手方向による膨張分に応じて発泡性
熱可塑性樹脂シートの繰り出し速度に比べて巻取り速度
を速め、かつ幅方向の膨張分に応じて熱可塑性樹脂発泡
体を幅方向に拡幅し、それによって最終的に得られる熱
可塑性樹脂発泡体におけるしわの低減が図られている。
【0006】しかしながら、この方法では、加熱・発泡
時に連続的に生産されている熱可塑性樹脂発泡体を幅方
向に拡張するために複雑な治具及び工程を必要とする。
加えて、発泡後冷却する前に熱可塑性樹脂発泡体を拡幅
する必要があるため、得られた熱可塑性樹脂発泡体の幅
方向両端において品質が低下せざるを得なかった。その
結果、得られた熱可塑性樹脂発泡体において、幅方向両
端近傍部分を除去したりする必要があるため、熱可塑性
樹脂発泡体の生産性が低下するという問題があった。
【0007】また、上記製造方法で用いられる発泡性熱
可塑性樹脂シートは、発泡・膨張に対応するため長手方
向および幅方向にテンションを付与する必要性から、そ
の形状が厚みが略均一なシートである必要があり、連続
した発泡性熱可塑性樹脂シートから熱可塑性樹脂発泡体
を成形するため、厚み精度、重量精度、表面平滑性に優
れた熱可塑性樹脂発泡体となるが、厚み方向に均質な熱
可塑性樹脂発泡体であるため、圧縮強度に欠けるという
問題点があった。
【0008】また、この問題を解決するため、異形のシ
ート状体を用いると発泡体にしわが発生する。従って得
られる熱可塑性発泡体は、平板状に限定され、凹凸を有
する熱可塑性樹脂発泡体を製造するには平板状熱可塑性
樹脂発泡体を凹凸状に変形させる後加工が必要となり、
生産性が低下するという問題点もあった。
【0009】他方、特開平7−16856号公報には、
発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂よりなるペレ
ットもしくは環状物(以下、「ペレット等」と略す)を
搬送ベルト上に散布し、該発泡性熱可塑性樹脂ペレット
等を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート
状の熱可塑性樹脂発泡体を得る方法が開示されている。
【0010】この方法では、搬送ベルト上に発泡性熱可
塑性樹脂ペレット等を散布し、予め搬送ベルトの上方を
熱可塑性樹脂シートや他の搬送ベルトで規制し、下方の
搬送ベルトと熱可塑性樹脂シートもしくは下方の搬送ベ
ルトとの間で熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡
させることにより、所望の厚みの熱可塑性樹脂発泡体を
形成するとともに、該シートの面内方向においては、発
泡性熱可塑性樹脂ペレット等間の空間を上記発泡性熱可
塑性樹脂ペレット等の膨張により満たすことにより、シ
ート状の熱可塑性樹脂発泡体を得ている。
【0011】この方法においても、発泡性熱可塑性樹脂
ペレット等は発泡に際して三次元的に膨張する。しかし
ながら、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等は、搬送ベルト
上において二次元的には不連続に配置されており、発泡
性熱可塑性樹脂ペレット間の空間が発泡性熱可塑性樹脂
ペレット等の二次元的な膨張により充填される。すなわ
ち、厚み方向において疑似的な一次元発泡の形態で発泡
性熱可塑性樹脂が発泡することにより発泡体が得られる
ため、幅方向や長手方向に拡幅もしくは延伸する必要が
なく、直接凹凸状熱可塑性樹脂発泡体を得る事が出来る
可能性を有する。
【0012】しかしながら、この方法では、擬似的な一
次元的発泡の形態で発泡を行うために、発泡により生じ
る膨張分に対応する空間を予め設定する必要が有り、こ
の設定のために発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状
態を極めて精度よくコントロールする必要がある。すな
わち、発泡により生じる膨張分に対応する空間を大きく
しすぎると、連続しない発泡性熱可塑性樹脂ペレット等
を加熱により発泡・膨張させて融着一体化し、シート状
の熱可塑性樹脂発泡体を得るため、完全に融着一体化さ
れない部分が発生する可能性があり、発泡により生じる
膨張分に対応する空間を小さいと、凹凸状熱可塑性樹脂
発泡体が得られず、平板状の熱可塑性樹脂発泡体とな
る。また空間が小さすぎると疑似一次元的な発泡が行え
なくなり、発泡体の表面平滑性が低下する。
【0013】従って発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を非
常に精度よく散布する散布装置が必要となり、且つ、任
意形状の凹凸を設計することも困難であるため、異形状
熱可塑性樹脂発泡体を得る製造方法としては適している
とはいえない。加えて、目的とする熱可塑性樹脂発泡体
の厚みを増大させた場合には、用いる発泡性熱可塑性樹
脂ペレット等の寸法を大きくしなければならず、その場
合には、大きなペレットを均一に加熱する必要があり、
発泡に時間がかかるため、生産性が低下しがちであっ
た。
【0014】また、上記製造方法で得られた熱可塑性樹
脂発泡体は、発泡時に個々の発泡性熱可塑性樹脂ペレッ
ト等の表面に低発泡倍率のスキン層が形成され、熱可塑
性樹脂よりなる低発泡薄膜に全外周面が被覆された熱可
塑性樹脂よりなる高発泡体が該低発泡薄膜を介して熱融
着した熱可塑性樹脂発泡体となるため、高い圧縮強度を
有するが、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状況に
より、得られる発泡体の厚み精度、重量精度及び表面平
滑性等の品質が左右され易く、圧縮強度のばらつきも大
きくなるという問題点があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の課題を
解決し、厚み精度及び重量精度のばらつきが少なく、高
い緩衝性と圧縮強度を有し、且つ強度のばらつきが小さ
な熱可塑性樹脂発泡体と、該熱可塑性樹脂発泡体を高い
生産性をもって製造する方法を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該連続発泡層
の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂より
なる高発泡部と、上記連続発泡層とともに高発泡部の外
表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備
えた熱可塑性樹脂発泡体からなる板状体であって、該発
泡体を厚み方向に直交する投影面に投影したときに、連
続発泡層のみ、又は連続発泡層と低発泡薄膜のみが投影
される連続面と、連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部
が投影される不連続面とからなり、上記不連続面に対応
する発泡体の部位が、連続面に対応する発泡体の部位に
対して、少なくとも一方の表面が凸状に形成されてお
り、前記複数の高発泡部が互いに低発泡薄膜を介して熱
融着されていることを特徴とする。
【0017】請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂よ
りなる連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上
に複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡部と、上
記連 続発泡層とともに高発泡部の外表面を被覆する熱可
塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、熱可塑性樹脂を
発泡させることによって低発泡薄膜が高発泡部の外表面
を被覆した状態となされた熱可塑性樹脂発泡体からなる
板状体であって、該発泡体を厚み方向に直交する投影面
に投影したときに、連続発泡層のみ、又は連続発泡層と
低発泡薄膜のみが投影される連続面と、連続発泡層、低
発泡薄膜及び高発泡部が投影される不連続面とからな
り、上記不連続面に対応する発泡体の部位が、連続面に
対応する発泡体の部位に対して、少なくとも一方の表面
が凸状に形成されていることを特徴とする。
【0018】請求項3に記載の発明は、可塑性樹脂より
なる連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも片面上に
複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡部と、上記
連続発泡層とともに高発泡部の外表面を被覆する熱可塑
性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備えた熱可塑性樹脂発泡
体からなる板状体であって、該発泡体を厚み方向に直交
する投影面に投影したときに、連続発泡層のみ、又は連
続発泡層と低発泡薄膜のみが投影される連続面と、連続
発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部が投影される不連続面
とからなり、上記不連続面に対応する発泡体の部位が、
連続面に対応する発泡体の部位に対して、少なくとも一
方の表面が凸状に形成され、他方の表面は凹状に形成さ
れていることを特徴とする。
【0019】請求項1〜3に記載の発明において、投影
とは、投影面に直交する方向より平行光線を照射したと
きに生じる陰影を指し、透明、不透明に係わらず、層の
界面により生じる陰影をいう。
【0020】請求項2又は3に記載の発明に係る熱可塑
性樹脂発泡体においては、好ましくは、請求項4に記載
のように、前記複数の高発泡部が互いに低発泡薄膜を介
して熱融着されているものである。
【0021】請求項1〜4に記載の発明に係る熱可塑性
樹脂発泡体においては、好ましくは、請求項5に記載の
ように、上記熱可塑性樹脂よりなる複数の高発泡部は、
格子状に配置されており、あるいは請求項6に記載のよ
うに千鳥状に配置されている。
【0022】また、好ましくは、請求項1〜6に記載の
発明に係る熱可塑性樹脂発泡体においては、前記高発泡
部の凸状に形成された部分の高さが連続面に対して1m
m以上である。
【0023】さらに好ましくは、請求項1〜7に記載の
発明に係る熱可塑性樹脂発泡体において、熱可塑性樹脂
発泡体の体積が、熱可塑性樹脂発泡体を外接しうる最小
の直方体の体積に対して50〜90%である(以下、こ
の比率を「充填率」という)。
【0024】請求項9に記載の発明は、本発明の熱可塑
性樹脂発泡体を簡便に製造する方法を提供するものであ
り、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂粒状体が
平面的に略均一に配置されており、かつ前記発泡性熱可
塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体
的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体を、
上記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させる工程と、
発泡して得られる発泡体が完全充填される以上の空隙を
有する冷却型内で冷却することにより凹凸を形成する工
程とを備えることを特徴とする。
【0025】〔熱可塑性樹脂発泡体〕請求項1〜8 に記載の発明における熱可塑性樹脂発泡体
は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該連続発泡層
の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性樹脂より
なる高発泡部と、上記連続発泡層とともに高発泡部の外
表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備
えた熱可塑性樹脂発泡体からなる板状体であって、該発
泡体を厚み方向に直交する投影面に投影したときに、連
続発泡層のみ、又は連続発泡層と低発泡薄膜のみが投影
される連続面と、連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部
が投影される不連続面とからなり、上記不連続面に対応
する発泡体の部位が、連続面に対応する発泡体の部位に
対して、少なくとも一方の表面が凸状に形成されている
ものである。
【0026】熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可塑性樹脂 請求項1〜8 に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体を構成
する連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部に用いられる
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではない。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
又はこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレ
ン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン
(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピ
レン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレ
ン、又はこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹
脂及びこれらの共重合体;ポリエチレンビニルアセテー
ト、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹
脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポ
リフッ化ビニリデン、ポフェニレンサルファイド、ポリ
スルホン、ポリエーテルケトン、及びこれらの共重合体
等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用さ
れてもよい。
【0027】上記熱可塑性樹脂の中でも、凹凸形状を形
成しやすい、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフ
ィン系樹脂又はこれらの混合物が好ましく、高い圧縮強
度を発現できる高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレ
ン又はこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ま
しい。
【0028】上記連続発泡層と、低発泡薄膜及び高発泡
部に用いられる熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必
要性はないが、同種の樹脂を用いると熱可塑性樹脂発泡
体の融着力が高く、圧縮荷重付与時の破壊が起こりにく
いことから、同種の樹脂を用いることが好ましい。
【0029】低発泡薄膜と高発泡部に用いられる熱可塑
性樹脂は、同一樹脂であることが好ましい。後述する
求項9において用いられる熱可塑性樹脂シート状体を発
泡させて製造する場合には同一の樹脂となる。
【0030】上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可
塑性樹脂は、必要に応じて、架橋されたものであっても
よく、架橋されたものを用いることは、熱可塑性樹脂発
泡体の発泡倍率が増加し、緩衝性・軽量性が向上するた
め好適である。
【0031】上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可
塑性樹脂が、後述する互いに殆ど相溶性を有さない、高
架橋熱可塑性樹脂と低架橋叉は無架橋熱可塑性樹脂の混
合物である場合、発泡時に低架橋樹脂組成が流動でき、
低発泡膜を介して高発泡部同士が熱融着しやすくなり、
得られた熱可塑性樹脂発泡体に荷重を負荷したとき、破
壊を起こしにくくなり、好適である。
【0032】上記熱可塑性樹脂発泡体に用いられる熱可
塑性樹脂には、熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度の向上の
ため、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリ
エステル短繊維等の補強剤;炭酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、ガラスパウダー等の充填剤等を添加しても
よい。
【0033】熱可塑性樹脂発泡体の形状 本発明の熱可塑性樹脂発泡体の形態は、発泡体を厚み方
向に直交する投影面に投影したときに、連続発泡層の
み、又は連続発泡層と低発泡薄膜のみが投影される連続
面と、連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部が投影され
る不連続面とからなり、上記不連続面とからなり、上記
不連続面に対応する発泡体の部位が、連続面に対応する
発泡体の部位に対して、少なくとも一方の表面が凸状に
形成されているものである。この場合において不連続面
に相当する発泡体の部位の他方の表面は凹状に形成され
ているのが、緩衝性がさらに向上するので好ましい。
【0034】熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、低すぎ
ると軽量性を損ない、高すぎると圧縮強度が低下するの
で、2〜30倍が好ましく、より好ましくは3〜20
倍、さらに好ましくは5〜10倍である。
【0035】熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、3〜50m
mが好ましく、より好ましくは3〜30mm、さらに好
ましくは5〜20mmである。
【0036】低発泡薄膜の発泡倍率は、低すぎると、熱
可塑性樹脂発泡体の緩衝性が低下し、高すぎると、高い
圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないの
で、1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは1.2
〜7倍、さらに好ましくは1.2〜5倍である。
【0037】低発泡薄膜の厚みは、厚すぎると、熱可塑
性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また、薄すぎると、高
い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないの
で、30〜500μmが好ましく、より好ましくは40
〜400μm、さらに好ましくは50〜400μmであ
る。なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はな
く、不均一であってもよい。ここで、低発泡薄膜の厚み
とは、熱可塑性樹脂発泡体の横断面方向の低発泡薄膜の
平均厚さをいう。
【0038】上記低発泡薄膜の発泡倍率が1.1〜10
倍、厚みが30〜500μmのとき、熱可塑性樹脂発泡
体の圧縮強度と軽量化が、両立されるため好ましく、よ
り好ましくは1.2倍〜7倍、40〜400μm、さら
に好ましくは1.2倍〜5倍、50〜400μmであ
る。
【0039】高発泡部の発泡倍率は、低すぎると、軽量
化が困難となり、また、高すぎると、高い圧縮強度を有
する熱可塑性樹脂発泡体が得られないので、2〜100
倍が好ましく、より好ましくは5〜50倍、さらに好ま
しくは10〜35倍である。
【0040】高発泡部の大きさは、大きすぎると、得ら
れる熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度が低下し、また、小
さすぎると、軽量化が困難となるので、3〜50mmが
好ましく、より好ましくは5〜30mmである。なお、
高発泡部の大きさは、均一である必要はなく、不均一で
あってもよい。ここで、高発泡部の大きさとは、横断面
方向の大きさの最大値をいう。
【0041】連続発泡層の発泡倍率は、低すぎると、軽
量化が困難となり、また、高すぎると、融着力が低下
し、高い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られ
ないので、1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは
2〜8倍、さらに好ましくは2〜7倍である。
【0042】連続発泡層の厚みは、厚すぎると、熱可塑
性樹脂発泡体の軽量化が図れず、また、薄すぎると、高
い圧縮強度を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られないの
で、100μm〜5mmが好ましく、より好ましくは3
00μm〜3mm、さらに好ましくは500μm〜2m
mである。なお、連続発泡層の厚みは、均一である必要
はなく、不均一であっても良い。また、連続発泡層は、
完全な平板である必要はなく、多少の凹凸があってもよ
い。ここで、連続発泡層の厚みとは、熱可塑性樹脂発泡
体の横断面方向の連続発泡層平均厚さをいう。連続発泡
層の厚みが不均一な場合、又は凹凸がある場合、上記投
影面は、連続発泡層が完全に平面であると仮定したとき
の最尤面を指す。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂発泡体は、連続発泡
層に接合し、接合部を除いた外表面を低発泡薄膜が被覆
している、複数の高発泡部が、互いに低発泡薄膜を介し
て接合されている構造を含み、その接合方法は、熱融着
によりなされたものである。
【0044】熱可塑性樹脂発泡体の厚み精度、重量精度
の向上及び圧縮強度のバラツキの低減のためには、複数
の高発泡体が発泡体横断面方向において平面的に略均一
に配置されることが好ましい。もっとも、複数の高発泡
体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定
されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、
千鳥状に配置されていてもよい。
【0045】複数高発泡体が格子状に配置されている場
合には、個々の高発泡体が四角柱の形状となり、熱可塑
性樹脂発泡体の表面平滑性が良好となり、かつ圧縮強度
も十分な値とされるため、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は
格子状に配置されることが好ましい。
【0046】また、複数の高発泡体が、千鳥配置されて
いる場合、複数の六角柱状の高発泡体が低発泡薄膜を介
して熱融着されている構造となり、全体としてハニカム
状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることになり、圧縮強
度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体となるため特に好ま
しい。
【0047】上記高発泡部の凸状に形成された部分の高
さは、低すぎると高い緩衝性を得られないため、連続面
に対して1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm
以上、さらに好ましくは3mm以上である。
【0048】不連続面に相当する発泡体の部分の他方の
表面が凹状に形成されている場合、熱可塑性樹脂発泡体
の凹部の深さは、大きすぎると高い圧縮強度を発現する
ことが困難となり、低すぎると緩衝性の向上の効果が得
られないため、1〜5mmが好ましく、より好ましくは
1〜3mmである。
【0049】また、本発明の熱可塑性樹脂発泡体の充填
率は、大きすぎると高い圧縮強度を示す事ができず、小
さすぎると緩衝性が低下することから、30〜95%が
好ましく、50〜90%が特に好ましい。
【0050】上記熱可塑性樹脂発泡体には、曲げ強度の
向上のために、必要に応じて、ガラスペーパー、チョッ
プドストランドマット等の無機繊維の織布あるいは不織
布;ポリプロピレン、ポリエステル等の有機繊維の織布
あるいは不織布;熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂か
らなるシート;繊維強化熱可塑性樹脂シート;金属から
なるシートが積層されてもよい。
【0051】〔熱可塑性樹脂発泡体の製造方法〕請求項1〜8 に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造
方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、
発泡剤を含有した発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡さ
せ融着面を除いた外表面を熱可塑性樹脂よりなる低発泡
薄膜が被覆している、熱可塑性樹脂よりなる複数の高発
泡部を成形し、これを互いに低発泡薄膜を介して熱融着
した後、別工程で成形した熱可塑性樹脂よりなる連続発
泡層を熱融着させた後、熱プレス等で凹凸状に成形する
方法等が挙げられるが、後述する、発泡剤を含有してい
る発泡性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置さ
れており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性
熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡
性熱可塑性樹脂シート状体を、前記発泡剤の分解温度以
上に加熱し発泡させる工程と、発泡して得られる発泡体
が完全充填される以上の空隙を有する冷却型内で冷却す
る工程とを備える方法が最も好ましい。
【0052】請求項9に記載の発明の熱可塑性樹脂発泡
体の製造方法では、発泡剤を含有している発泡性熱可塑
性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ
前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄
膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂
シート状体を、上記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡
させる工程と、発泡して得られる発泡体が完全充填され
る以上の空隙を有する冷却型内で冷却することにより凹
凸を形成する工程とを備える。
【0053】発泡性熱可塑性樹脂シート状体を発泡させ
ると、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の部分が発泡するが、
このとき、熱可塑性樹脂粒状体の外表面は発泡により生
じる気泡を保持し難いため、内部に比べ発泡倍率が低く
なり、低発泡薄膜となる。この結果、粒状体の内部の高
い発泡倍率の高発泡部の外表面を低発泡薄膜が被覆した
状態となる。また発泡性熱可塑性樹脂シート状体の粒状
体を連結している発泡性熱可塑性樹脂薄膜は、連続発泡
層となり、この連続発泡層の上に高発泡部が複数配置さ
れた状態となる。なお、連続発泡層も厚みが薄く、気泡
保持が困難になるため低発泡になる。このような低発泡
薄膜は、粒状体の内部の発泡により、隣接する粒状体の
低発泡薄膜と近接し熱融着するわけであるが、発泡後冷
却する冷却装置の隙間を、発泡膨張する熱可塑性樹脂シ
ート状体が完全充填される以上に設定する事で融着が一
部分のみ進行し、完全充填でない凹凸状の熱可塑性樹脂
発泡体が得られる。
【0054】発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用いられる熱可塑性樹
上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体を構成する発泡性熱
可塑性樹脂粒状体および発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用い
られる熱可塑性樹脂としては、発泡可能な熱可塑性樹脂
であれば、特に限定されるものではなく、前記熱可塑性
樹脂発泡体を構成する樹脂で挙げたものと同様な熱可塑
性樹脂が挙げられる。
【0055】上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体に用いられ
る熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられ
る熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はない
が、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用い
ることが好ましい。
【0056】上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体に用い
られる熱可塑性樹脂は必要に応じて架橋されていてもよ
い。架橋された熱可塑性樹脂を用いることにより、発泡
倍率の向上及び得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の軽
量化を図り得るため、架橋されたものを用いることが好
ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、
1)シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練
後、水処理を行い、架橋する方法、2)熱可塑性樹脂に
過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混
練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方
法、3)放射線を照射して架橋する方法等が挙げられ
る。
【0057】上記1)のシラングラフト重合体を用いた
架橋方法を説明する。上記シラングラフト重合体として
は、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチ
レンやシラングラフトポリプロピレン等を例示すること
ができる。なお、上記シラングラフト重合体は、例え
ば、重合体を不飽和シラン化合物でグラフト変性するこ
とにより得ることができる。
【0058】上記不飽和シラン化合物とは、一般式R1
SiR2mY3-mで表される化合物をいう。但し、mは
0、1、又は2である。式中、上記R1はビニル基、ア
リル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケ
ニル基;グリシジル基;アミノ基;メタクリル基;γ−
クロロエチル基、γ−ブロモエチル基等のハロゲン化ア
ルキル基等の有機官能基である。
【0059】式中、R2は脂肪族飽和炭化水素基又は芳
香族炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、デシル基、フェニル基等が挙げられる。式
中、Yは加水分解可能な有機官能基を示し、例えば、メ
トキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ
基、プロピオノキシアリールアミノ基等が挙げられ、m
が0又は1のとき、Y同士は同一であっても、異なって
いてもよい。
【0060】架橋反応速度向上のためには、上記不飽和
シラン化合物としては、一般式CH2=CHSi(O
A)3で表されるものが好ましい。式中、Aは好ましく
は、炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂
肪族飽和炭化水素基である。CH2=CHSi(OA)3
で表される好ましい不飽和シラン化合物としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
【0061】上記シラングラフト重合体の製造方法とし
ては、一般的な製法が用いられ、特に限定されるもので
はない。例えば、ポリエチレンに、上記R1SiR2Y3-
mで表される不飽和シラン化合物及び有機過酸化物を反
応させ、シラン変性ポリエチレンを得る方法が挙げられ
る。
【0062】シリル基を有する上記シラングラフト重合
体は、例えば、Yがメトキシ基である場合には、これが
水と接触することにより、加水分解して水酸基となり、
異なる分子の水酸基同士が反応し、Si−O−Si結合
を形成して、シラングラフト重合体同士が架橋する。
【0063】シラングラフト重合体を混合する方法は、
均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例
えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸又
は2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用
いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する
方法等が挙げられる。
【0064】前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法
のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、1
00℃より高い温度で処理する場合には、加圧下におい
て行えばよい。
【0065】上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低
いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性
熱可塑性樹脂シート状体が熱でくっついてしまうので、
50〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜12
0℃である。また、水処理する際の時間が短いと、架橋
反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は
0.5〜12時間の範囲とすることが好ましい。
【0066】シラングラフト重合体の添加量が多すぎる
と、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発
泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが
破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラン
グラフト重合体の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部
に対して5〜50重量部が好ましく、より好ましくは2
0〜35重量部である。
【0067】また、シラングラフト重合体を用いてシラ
ン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用
いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体
同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定され
ず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラ
ウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、
オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜
鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜
鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0068】上記シラン架橋触媒の添加量が多くなる
と、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低
下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水
処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量
部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜
10重量部の範囲が好ましく、より好ましは0.01〜
0.1重量部である。
【0069】前述した2)の上記過酸化物により熱可塑
性樹脂を架橋する方法について述べる。本方法において
用いられる過酸化物は特に限定されず、例えば、ジブチ
ルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ターシャ
ルブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオ
キサイド等が挙げられ、樹脂融点と分解温度が近いの
で、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミル
パーオキサイドが好ましく、ジクミルパーオキサイドが
特に好ましい。
【0070】過酸化物の添加量が、多すぎると、樹脂分
解反応が進行しやすくなり、得られる凹凸状熱可塑性樹
脂発泡体が着色し、また、少なすぎると、熱可塑性樹脂
の架橋が不十分となることがあるので、熱可塑性樹脂1
00重量部に対して、過酸化物の添加量は0.5〜5重
量部が好ましく、より好ましくは1〜3重量部である。
【0071】上記3)の放射線を照射し、熱可塑性樹脂
を架橋する方法について述べる。放射線の照射量が多す
ぎると、架橋が掛かりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹
脂発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると発泡
セルが破泡し、均一な発泡セルが得られないので、放射
線照射量は、1〜20Mradが好ましく、より好まし
くは3〜10Mradである。
【0072】放射線を照射する方法は、特に限定され
ず、例えば、2台の電子線発生装置を用い、その間を熱
可塑性樹脂シート状体を通過させ、熱可塑性樹脂に電子
線を照射する方法等が挙げられる。
【0073】上記発泡性熱可塑性樹脂は、上述したよう
に特に限定されないが、発泡剤と、互いにほとんど相溶
性を有しない高架橋熱可塑性樹脂と低架橋もしくは無架
橋熱可塑性樹脂との混合物よりなる。この場合、発泡時
には低架橋もしくは無架橋樹脂が流動し易いので、得ら
れる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸部が形成しやすい
ので特に好ましい。
【0074】高架橋熱可塑性樹脂と低架橋又は無架橋熱
可塑性樹脂における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋
度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの
架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の熱可塑性樹脂を
高架橋熱可塑性樹脂といい、他方を低架橋又は無架橋熱
可塑性樹脂という。
【0075】上記互いにほとんど相溶性を有さない上記
2種の熱可塑性樹脂に使用される熱可塑性樹脂(架橋
前)としては、前述した熱可塑性樹脂のうち2種類(以
下、樹脂そのものの架橋性能ではなく、高架橋熱可塑性
樹脂を形成する樹脂を「高架橋性樹脂」、低架橋あるい
は無架橋熱可塑性樹脂を形成する樹脂を「低(無)架橋
性樹脂」という)を適宜選択して用いることができる
が、上記高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋もしくは無架橋
熱可塑性樹脂が互いに相溶せずに均一微細に分散するた
めには、高架橋性樹脂と低(無)架橋性樹脂の熱可塑性
樹脂の溶解度パラメーターの差が0.1〜2.0である
ことが好ましく、0.2〜1.5であることがさらに好
ましい。
【0076】溶解度パラメーターの差が2.0を超える
と、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あ
るいは無架橋熱可塑性樹脂が非常に粗く分散するため、
得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低下す
る。他方、溶解性パラメーターの差が0.1より小さい
と、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あ
るいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、得られ
る凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の表面平滑性が低下する。
【0077】上記溶解性パラメーターは、σ=ρΣFi
/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密
度、Mは樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fi
は、モノマーの構成グループのモル吸引数である。
【0078】上記、高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹
脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなる
と、架橋して得られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あ
るいは無架橋熱可塑性樹脂とが非常に粗く分散するた
め、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が低
下し、小さくなると、架橋して得られる高架橋熱可塑性
樹脂と低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂の相溶性が高
くなり、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の凹凸を形
成することが困難になることがあるため、高架橋熱可塑
性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが互い
に相溶せずに均一微細に分散し、かつ高発泡倍率の熱可
塑性樹脂発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/1
0分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。
【0079】なお、本明細書におけるMIは、JIS
K7210に従って、測定された値である。架橋して得
られる高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋あるいは無架橋熱
可塑性樹脂とが均一微細に分散し、かつ表面平滑性に優
れた高発泡倍率の熱可塑性樹脂発泡体を得るためには、
高架橋性樹脂と、低(無)架橋性樹脂との混合比率は重
量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6
〜6:4がより好ましい。
【0080】高架橋熱可塑性樹脂の架橋度が高すぎる
と、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発
泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセ
ルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、
架橋度の指標となるゲル分率で5〜40重量%が好まし
く、10〜30重量%がより好ましい。
【0081】低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の架橋度が
高いと、架橋がかかりすぎ、得られる凹凸状熱可塑性樹
脂発泡体の流動性が低下し、凹凸を形成しにくくなるこ
とがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%
以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0082】なお、本明細書におけるゲル分率とは、架
橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した
後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋樹脂成分の重量に
対する重量百分率をいう。
【0083】互いにほとんど相溶性を有さない、高架橋
熱可塑性樹脂と、低架橋又は無架橋熱可塑性樹脂の混合
物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂
を混合し、高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性樹
脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋することにより達成
される。
【0084】高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋性
樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する方法として
は、例えば、高架橋性樹脂のみを、又は低(無)架橋
性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する架橋剤を用
いて架橋する方法、第1段階で、架橋性官能基を有す
る、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂とを混合して架橋
して、高架橋熱可塑性樹脂を形成させた後、第2段階
で、これを無架橋性樹脂と混合する方法等が挙げられ
る。
【0085】もっとも、高架橋熱可塑性樹脂と、低架橋
あるいは無架橋熱可塑性樹脂とが均一微細に分散できる
こと、高架橋性樹脂を優先的に架橋し易いこと、並びに
熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、高架橋性樹
脂とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋
性官能基を有する、高架橋性樹脂と同種の架橋性樹脂
を、高架橋性樹脂及び低架橋性樹脂と共に混合した後、
架橋させる方法が最も好ましい。
【0086】高架橋性樹脂とほとんど同じメルトインデ
ックスを有した架橋性官能基を有する高架橋性樹脂と同
種の架橋性樹脂としては、反応性官能基を有し、架橋す
ることができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されな
い。このような官能基としては、例えば、ビニル基、ア
リル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキ
シル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネ
ート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0087】上記架橋性樹脂の具体的な例としては、マ
レイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピ
レン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピ
レン等が挙げられる。高架橋性樹脂のみに、又は低
(無)架橋性樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋する
ことが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことか
ら、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレ
ンが最も好ましい。
【0088】高架橋性樹脂と架橋性樹脂のメルトインデ
ックスの差が、大きいと高架橋性樹脂のみに、又は低
(無)架橋樹脂より高架橋性樹脂を優先的に架橋するこ
とが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2
g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がさらに
好ましい。
【0089】上記架橋性官能基を有する架橋性樹脂を架
橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、
イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて
架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋
する方法等が挙げられる。
【0090】混合後の架橋が容易なことから、反応性官
能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0091】発泡剤 請求項9 記載の発明において、上記発泡性熱可塑性樹脂
粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤
として熱分解型発泡剤が用いられる。
【0092】上記熱分解型発泡剤としては、用いられる
熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するもの
であれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化
合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡
剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウ
ム、ジアゾアミノベンゼン、N,N´−ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、Pートルエンスルホニルヒドラ
ジド、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラ
ジド、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温
度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上
優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。
【0093】上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎる
と、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎる
と十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡
剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量
部の割合で含有させることが好ましい。
【0094】他に添加し得る成分 発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂
粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱
可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短
繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材等
を添加してもよい。
【0095】補強材として、上記短繊維を添加する場
合、補強材の添加割合が多すぎると、発泡時にセルが破
壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、逆に少
なすぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得
られなくなる。従って、上記短繊維を添加する場合に
は、その配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し
1〜20重量部が好ましく、3〜10重量部が特に好ま
しい。
【0096】短繊維の長さが長すぎると、発泡時にセル
が破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、短
すぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得ら
れなくなることがあるため、短繊維の長さは、1〜20
mmが好ましく、3〜5mmが特に好ましい。
【0097】また、上記充填剤を添加する場合、添加量
が多いと、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体
を得ることができず、また、少ないと、得られる発泡体
を補強する効果が充分に得られないことがある。従っ
て、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対
して、10〜100重量部が好ましく、30〜50重量
部が特に好ましい。
【0098】発泡性熱可塑性樹脂粒状体 上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状は、特に限定され
ず、例えば、六方体状、円柱状、球状体などが挙げられ
るが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡する際に、発泡
を均一に行わせるには、円柱状が最も好ましい。
【0099】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場
合、その径は、目的とする凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の
発泡倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定される
ものではないが、大きすぎると発泡速度が低下し、小さ
すぎると発泡時の加熱で円柱が溶融・変形し、変形しや
すく一次発泡性を発現できなくなり、厚み精度、重量精
度のばらつきが大きくなる。従って、発泡性熱可塑性樹
脂粒状体が円柱の場合、その径は、1〜30mmが好ま
しく、2〜20mmの範囲が特に好ましい。
【0100】発泡性熱可塑性樹脂粒状体が円柱状の場
合、その高さは、目的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡
倍率や厚さ等によっても異なるため特に限定されるもの
ではないが、高すぎると発泡速度が低下し、低すぎると
発泡性熱可塑性樹脂薄膜と同時に発泡するため、幅方向
及び長手方向において大きく膨張することになる。従っ
て、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高さは1〜3
0mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmであ
る。
【0101】発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の距離は、目
的とする熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率や厚さ等によっ
ても異なるため、特に限定されるものではないが、上記
距離が長すぎると発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡した
時に充填不足が大きく発生する可能性があり、短すぎる
と完全充填してしまう。従って、発泡性熱可塑性樹脂粒
状体間の中心間距離は、2〜50mmが好ましく、より
好ましくは3〜30mmである。
【0102】最終的に得られる熱可塑性樹脂発泡体の厚
み精度、重量精度を向上し、凹凸形状と発泡倍率を均一
化するには、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、発泡性
熱可塑性樹脂シート状体において平面的に略均一に配置
されることが必要である。もっとも、熱可塑性樹脂粒状
体を平面的に略均一に配置する態様としては、特に限定
されるものではなく、格子状に配置されていてもよく、
千鳥状に配置されていてもよい。発泡性熱可塑性樹脂粒
状体が格子状に配置されている場合には、個々の発泡性
熱可塑性樹脂粒状体が発泡して得られる高発泡部が四角
柱の形状となり、凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性が
均一となり、かつ圧縮強度も十分な値とされるため、発
泡性熱可塑性樹脂粒状体は格子状に配置されることが好
ましい。
【0103】また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状
に配置されている場合には、個々の発泡性熱可塑性樹脂
粒状体が発泡して得られる高発泡部が六角柱の形状とな
るため、擬似的なハニカム構造を構成することになる。
そのため、得られる凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の緩衝性
が均一となり、圧縮強度も十分なものとなる。従って、
好ましくは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体は、千鳥状に配
置される。
【0104】発泡性熱可塑性樹脂薄膜 発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、目的とする熱可塑性
樹脂発泡体の発泡倍率や厚み等によっても異なるため、
特に限定されるものではないが、厚くなりすぎると、発
泡時に発泡性熱可塑性樹脂粒状体を移動させ、幅方向及
び長手方向における膨張が大きくなり、薄すぎると発泡
性熱可塑性樹脂粒状体を保持できなくなる。従って、発
泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.05〜3mmが好
ましく、より好ましくは0.1〜2mmである。
【0105】発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法 上記発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造方法として
は、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性
熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤
などを射出成形機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度
より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体
の形状に応じた凹部を有する金型に射出した後冷却する
方法等が挙げられるが、2)発泡性熱可塑性樹脂シート
状体を構成する熱可塑性樹脂及び発泡剤などを押出機に
供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融
混練した後、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂
を、該シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いクリ
アランスを有し、少なくとも一方の外周面に多数の凹部
が均一に配設された異方向に回転する一対の賦形ロール
に導入し、前記凹部に軟化状態のシート状発泡性熱可塑
性樹脂の一部を圧入した後、冷却、離型する方法が最も
好ましい。
【0106】上記2)の方法をさらに詳しく説明する。
先ず、軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂を得るに
は、通常、押出機により発泡性熱可塑性樹脂を溶融混練
押出しする方法やカレンダーロールを用いて溶融化する
方法が挙げられ、押出機を用いた溶融化が連続重量精
度、定量性の点から最も好ましい。
【0107】軟化状態の発泡性熱可塑性樹脂の形態は、
連続的に成形できる形態であれば特に限定されず、シー
ト形態、多数のストランド形態等が挙げられるが、流れ
直角方向(幅方向)の定量性の点からシート形態が最も
好ましい。
【0108】賦形ロールの外周面の凹部の配設は、得ら
れる発泡性熱可塑性樹脂シート状体の重量精度、厚み精
度の向上の為、略均一的に配置されることが好ましい。
賦形ロールの外周面の凹部の配設は、賦形ロール外周面
全体で均一的にあれば特に限定されないが、より均一で
あることから、格子又は千鳥に配設されていることが最
も好ましい。
【0109】賦形ロールの外周面の凹部の形状は、特に
限定されず、例えば、六方体状、円柱状、球状体等が挙
げられるが、凹部を成形し易い点、発泡性熱可塑性樹脂
粒状体を均一に成形しやすい点、冷却後の離型が行い易
い点から円柱状が最も好ましい。
【0110】賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状
であるとき、円柱の径は、目的とする発泡性熱可塑性樹
脂シート状体の形状により変化するため、特に限定され
ないが、大きすぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性
熱可塑性樹脂薄膜が破れ、小さすぎると冷却後の離型時
に発泡性熱可塑性樹脂粒状体が破壊するため、1〜30
mmが好ましく、より好ましくは2〜20mmである。
【0111】賦形ロールの外周面の凹部の形状が円柱状
であるとき、円柱の高さは、目的とする発泡性熱可塑性
樹脂シート状体の形状により変化するため、特に限定さ
れないが、高すぎると冷却後の離型が行い難く、発泡性
熱可塑性樹脂薄膜が破れ、低すぎると1次元発泡をおこ
なえる発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できないた
め、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜20
mmである。
【0112】賦形ロールのクリアランスは、軟化状態の
シート状発泡性熱可塑性樹脂の厚みより狭いことが必要
である。よって、この範囲であれば、目的とする発泡性
熱可塑性樹脂シート状体の形状により変化するため、特
に限定されないが、厚すぎると、1次元発泡をおこなえ
る発泡性熱可塑性樹脂シート状体が形成できなくなり、
薄すぎると冷却後の離型時に発泡性熱可塑性樹脂薄膜が
破れ易いため、0.05〜3mmが好ましく、より好ま
しくは0.1〜2mmである。
【0113】軟化状態のシート状発泡性熱可塑性樹脂の
一部を凹部へ圧入する方法は、1対の賦形ロールのクリ
アランスを変化させないことにより、軟化状態のシート
状発泡性熱可塑性樹脂に賦形ロールからの圧力が付与さ
れて成し遂げられる。
【0114】一部を圧入された賦形された軟化状態のシ
ート状発泡性熱可塑性樹脂の冷却方法は、発泡性熱可塑
性樹脂の融点以下に下げることができれば、特に限定さ
れず、例えば賦形ロール内部に冷却水を流すなどの方法
がある。
【0115】熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 請求項9 に記載の発明では、上記発泡性熱可塑性樹脂シ
ート状体を、発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ
た後、発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完全充填
される以上の隙間を有する冷却装置により冷却する。こ
の場合、加熱により発泡させる工程については、発泡性
熱可塑性樹脂粒状体に含有されている熱分解型発泡剤の
分解温度以上に発泡性熱可塑性樹脂シートを加熱し得る
適宜の方法を用いることができ、例えば、電気ヒータ
ー、遠赤外線ヒーター、加熱された油や空気等の加熱媒
体を循環させてなる加熱装置などを用いて加熱する方法
を挙げることができる。
【0116】熱可塑性樹脂発泡体の冷却装置について
も、発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完全充填さ
れる以上の隙間を有していれば特に限定されず、発泡体
を構成する樹脂の軟化点以下の温度に冷却し得る適宜の
方法を採用することができ、例えば、冷却された水や空
気などの冷却媒体を循環させる形式の冷却装置などを用
いて冷却する方法を採用することができる。
【0117】発泡膨張する熱可塑性樹脂シート状体が完
全充填される以上の隙間は、発泡性熱可塑性樹脂シート
状体の発泡倍率、重量等から計算される大きさである
が、隙間が大きすぎると熱可塑性樹脂発泡体全体が大き
く波打つため、発泡性熱可塑性樹脂シート状体の発泡倍
率、重量等から計算される完全充填の隙間より10mm
以下広いことが好ましく、より好ましくは5mm以下、
さらに好ましくは3mm以下である。
【0118】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づいて説明する。図1は、請求項2又は5記載の
発明の熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す断面図、図2
は、図1の熱可塑性樹脂発泡体を厚み方向に直交する投
影面に投影した仮想投影図である。
【0119】図1において1は熱可塑性樹脂発泡体、2
は連続発泡層、3は高発泡部、4は低発泡薄膜である。
図1に示すように、請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂
発泡体1は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層2と、連
続発泡層2の片面上に複数、略均一に配置される熱可塑
性樹脂よりなる高発泡部3と、連続発泡層2とともに高
発泡部3の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発
泡薄膜4とからなる、板状の熱可塑性樹脂発泡体であ
る。
【0120】さらに、図2に示すように、該発泡体を厚
み方向に直交する投影面に投影したときに、連続発泡層
2と低発泡薄膜4のみが投影されてできる連続面5と、
連続発泡層2と低発泡薄膜4のみが投影されてできる不
連続面7と、連続発泡層2と低発泡薄膜4と高発泡部3
とが投影されてできる不連続面6とからなり、上記不連
続面6に対応する発泡体の部分が、連続面5に対応する
発泡体の部分に対して、一方の表面が凸状に形成されて
いる(図1)。また、高発泡部3が投影されてできる不
連続面6は略格子状に配置されている。
【0121】すなわち、少なくとも一方の面が凸状に形
成された複数の高発泡部3は、その側面で、隣接する高
発泡体3と低発泡薄膜4を介して接合されることなく互
いに一定間隔を保持して離れており、図1における底部
が凸状に形成されている。
【0122】図3は、請求項4記載の発明の熱可塑性樹
脂発泡体の一例を示す断面図、図4は、図3の熱可塑性
樹脂発泡体を厚み方向に直交する投影面に投影した仮想
投影図である。
【0123】図3において31は熱可塑性樹脂発泡体、
32は連続発泡層、33は高発泡部、34は低発泡薄膜
である。図3に示すように、請求項4記載の発明の熱可
塑性樹脂発泡体31は、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡
層32と、連続発泡層32の片面上に複数、略均一に配
置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡部33と、連続発
泡層32とともに高発泡部33の外表面を被覆する熱可
塑性樹脂よりなる低発泡薄膜34とからなる点で上記熱
可塑性樹脂発泡体1と共通するが、複数の高発泡部33
が互いに低発泡薄膜34を介して熱融着されている熱可
塑性樹脂発泡体からなる板状体である点で熱可塑性樹脂
発泡体1と異なる。
【0124】さらに、図4に示すように、該発泡体を厚
み方向に直交する投影面に投影したときに、連続発泡層
32と低発泡薄膜34のみが投影されてできる連続面3
5と、連続発泡層32と低発泡薄膜34と高発泡部33
とが投影されてできる不連続面36とからなり、上記不
連続面36に対応する発泡体の部分が、連続面35に対
応する発泡体の部分に対して、一方の表面が凸状に形成
されている(図3)。また、高発泡部33が投影されて
できる不連続面36は略格子状に配置されている。
【0125】すなわち、少なくとも一方の面が凸状に形
成された複数の高発泡部33は、その側面の一部で、隣
接する高発泡体33と低発泡薄膜34を介して接合され
ていない部分が接合されている部分より凸状に形成され
ている。
【0126】図5は、請求項4を引用した請求項6記載
の発明の熱可塑性樹脂発泡体を厚み方向に直交する投影
面に投影した仮想投影図である。高発泡部が投影される
不連続面16は略格子状に配置されていること以外は図
3と同様である。
【0127】図6は、請求項3を引用した請求項4記載
の発明の熱可塑性樹脂発泡体の一例を示す断面図であ
る。図6において11は熱可塑性樹脂発泡体、12は連
続発泡層、13は高発泡部、14は低発泡薄膜である。
なお、発泡体の投影図は、図3、5と同様であるので説
明を省略する。図6に示すように、図3、5の連続面3
5、15に対応する発泡体の部分に対して、高発泡部1
3(図3、5の不連続面36、16に対応)の一方の表
面が凸状に、他方の表面が凹状に形成されている。
【0128】図7は、請求項3を引用した請求項4記載
の発明の熱可塑性樹脂発泡体を、請求項9記載の製造方
法で製造する方法の発泡工程を説明する断面図であり、
図8はその冷却工程を示す説明する断面図である。図7
に示すように請求項9記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体
の製造方法はまず、発泡剤を含有している発泡性熱可塑
性樹脂粒状体25が平面的に略均一に配置されており、
かつ上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体25が発泡性熱可塑
性樹脂薄膜26を介して一体的に連結されている発泡性
熱可塑性樹脂シート状体27を、フッ化エチレン樹脂シ
ート28上に配置する。さらにその上にフッ化エチレン
樹脂シート29を重ね、上記発泡剤の分解温度以上に加
熱し発泡させる。
【0129】このとき、まず熱容量の小さい発泡性熱可
塑性樹脂薄膜26のみがまず発泡し、熱容量の大きい発
泡性熱可塑性樹脂粒状体25は発泡しない。このため、
発泡性熱可塑性樹脂薄膜26は面内方向には殆ど膨張せ
ず、図8に示す波打った連続発泡層12となり凹部が形
成される。さらに発泡性熱可塑性樹脂粒状体31の隙間
に充填され、図8に示す低発泡薄膜14となる。その後
発泡性熱可塑性樹脂粒状体25が発泡し、高発泡部13
となり、この熱可塑性樹脂発泡体11を完全充填される
以上の空隙を有する冷却型内30、30内で冷却する
と、凹部の反対の面に凸部が形成される。
【0130】
【実施例】以下、本発明の非限定的な実施例及び比較例
を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。
【0131】発泡性熱可塑性樹脂シート状体の製造 実施例1〜10及び比較例3 ポリプロピレン(三菱油化社製、品番「MA−3」;メ
ルトインデックス11g/10分)50重量部、架橋性
シラン変成ポリプロピレン(三菱油化社製、品番「XP
M800H」;メルトインデックス11g/10分、架
橋後のゲル分率80重量%)50重量部、高密度ポリエ
チレン(三菱油化社製、品番「HY3405;メルトイ
ンデックス1.5g/10分)20重量部、シラン架橋
触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部、及
び熱分解型発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚
化学社製、品番「SO−20」、分解温度210℃)4
重量部を、図9に示した2軸押出機21に供給した。2
軸押出機21としては、径44mmのものを用いた。2
軸押出機21において、上記組成物を180℃で溶融混
練し、面長500mmのTダイ22により軟化状態のシ
ート状発泡性熱可塑樹脂に押し出した。
【0132】さらに、表1に示した粒状体の配置、高
さ、径及び粒状体間の中心間間隔に対応する配置の円筒
状凹部23aを有する径250mm及び面長500mm
の賦形ロール23、24間に軟化状態のシート状発泡性
熱可塑樹脂を賦形しつつ冷却し、上記賦形ロール23の
凹部23aに対応する部分において、発泡剤を含有して
いる発泡性熱可塑性樹脂粒状体25が平面的に略均一に
配置されており、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体2
5が発泡性熱可塑性樹脂薄膜26を介して一体的に連結
されている発泡性熱可塑性樹脂シート状体27を得た。
得られた発泡性熱可塑性シート状体27を98℃の水中
に2時間浸漬した後乾燥することにより、表1に示した
形態の発泡性熱可塑性樹脂シート状体を得た。
【0133】上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂
シート状体27における発泡性熱可塑性樹脂粒状体25
の配置、高さ、径及び粒状体間の中心間間隔、並びに発
泡性熱可塑性樹脂薄膜26の厚みを表1に纏めて示し
た。
【0134】なお、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の高
さとは、発泡性熱可塑性樹脂薄膜が発泡性熱可塑性樹脂
粒状体の高さ方向一端に連結されている場合には、発泡
性熱可塑性樹脂薄膜の厚みを含ない発泡性熱可塑性樹脂
粒状体の高さ方向寸法をいうものとする。
【0135】熱可塑性樹脂発泡体の製造 上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂シート状体2
7を、図7に示したフッ化エチレン樹脂シート28上
に、表1に示した重量となるように配置し、さらに上方
にフッ化エチレン樹脂シート29を重ね、210℃のハ
ンドプレスを用い10分間加熱し発泡させた後、表1に
示した隙間を有する30℃の冷却プレス型30に移し、
10分間冷却し、熱可塑性樹脂発泡体を得た。
【0136】比較例1 Tダイから押し出されたシートを、表面に凹部を有しな
い径250mm及び面長500mmのロール間を通して
冷却し、冷却されたシートを98℃の水中に2時間浸漬
した後乾燥し、厚み1.0mmの平坦な発泡性熱可塑性
樹脂シートを得たこと、発泡性熱可塑性樹脂シートをフ
ッ化エチレン樹脂よりなるシート上に表1に示した重量
となるように配置したこと以外は実施例1と同様にして
熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた熱可塑性樹脂発泡
体を、一方の面に深さ3mm、直径10mm、中心間距
離10.1mm、千鳥配置の孔を多数有する大きさ20
0×200×5mmの閉じた型に800g/m2 充填
し、温度170℃、圧力0.5kgf/cm2の条件で
加熱賦型を行い、表1に示した評価サンプルを成形し
た。
【0137】比較例2 Tダイから押し出されたシートを、表面に凹部を有しな
い直径250mm及び面長500mmのロール間を通し
て冷却した後、ペレット化し、これを98℃の水中に2
時間浸漬した後乾燥した。このようにして、5×5mm
×厚み1.5mmの発泡性熱可塑性樹脂ペレットを得
た。得られた発泡性熱可塑性樹脂ペレットをフッ化エチ
レン樹脂よりなるシート上に表1に示した重量となるよ
うに散布したこと以外は比較例1と同様にして熱可塑性
樹脂発泡体を得た。
【0138】得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚さ、発泡
倍率及び疑似1次元発泡性を測定した。結果を表1に示
した。
【0139】(発泡体の厚さ) ノギスを用い、得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚さを測
定した。 (発泡倍率) 得られた熱可塑性樹脂発泡体を水中置換法により発泡倍
率を測定した。 (疑似一次元発泡性) 発泡前に配置した発泡性熱可塑性樹脂シート状体の面積
と、得られた凹凸状熱可塑性樹脂発泡体の面積を測定
し、後者の前者に対する比を求め、疑似一次元発泡性と
した。この値が1に近いほど疑似一次元発泡性が高いこ
とになる。
【0140】
【表1】
【0141】評価サンプルの作製 実施例1、3、5、7、9 得られた熱可塑性樹脂発泡体の凹部面を、熱可塑性樹脂
発泡体の厚みが8mmになるようにサンダーにて切削し
た。
【0142】 実施例2、4、6、8、10、比較例1〜3 得られた熱可塑性樹脂発泡体をそのまま評価に使用し
た。
【0143】得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚さ、発泡
倍率及び凹部の有無、凸状部高さ、充填率を以下のよう
にして測定した。結果を表2に示した。
【0144】(凹部の有無) 深さ1mm以上の凹部の有無を目視にて評価した。 (凸状部高さ) 熱可塑性樹脂発泡体の縦断面方向に切断し、融着してい
ない低発泡薄膜で外表面を被覆された高発泡体の中で、
融着していない部分の厚さ方向の最大値をノギスにて測
定した。 (充填率) 平板状に熱可塑性樹脂発泡体を置いた際の最大高さから
求められる体積(嵩体積)における、熱可塑性樹脂発泡
体の重量を密度で割ることで求められる体積(真体積)
の比を求めた。
【0145】得られた熱可塑性樹脂発泡体の凹部の有
無、凸状部高さ、充填率を実施例と同様にして測定し
た。結果を表2に示した。
【0146】得られた熱可塑性樹脂発泡体の厚さばらつ
き、圧縮変形量ばらつき、最大衝撃力を以下のようにし
て測定した。結果を下記の表2に示した。
【0147】(厚さバラツキ) ノギスを用いn=20の発泡体の厚さを測定し、最大値
と最小値の差を求めた。 (圧縮変形量) カットにより、200mm×200mmの発泡体を成形
し、発泡体の凸状面の反対面に厚さ3mmの合板を接着
したのち、φ50mm円柱圧子、押さえ速度2m/mi
nでで圧縮試験を行い、80kgf荷重時の圧縮変形量
を沈み込み量とした。このとき、n=20の発泡体の厚
圧縮変形量さを測定し、最大値と最小値の差を求め、圧
縮変形量のばらつきとした。 (最大衝撃力) カットにより、200mm×200mmの発泡体を成形
し、発泡体の凸状面の反対面に厚さ3mmの合板を接着
したのち、40mmの高さからJIS A1418で定
義されるハンマーを落下させた際の最大衝撃力を加速度
センサーにて測定した。
【0148】
【表2】
【0149】表1から明らかなように、比較例1で得ら
れた熱可塑性樹脂発泡体では、発泡倍率8倍の凹凸状熱
可塑性樹脂発泡体を得ることができたが、疑似一次元発
泡性が4.00と非常に大きく、従って、長さ方向、幅
方向においても発泡に際してかなり膨張していた。また
熱可塑性樹脂発泡体が波打ち、厚みばらつきが非常に大
きい。加えて熱可塑性樹脂発泡体が均質なため圧縮強度
が低く、沈み込み量が2.2mmと非常に大きな値とな
った。
【0150】また、比較例2では、発泡性熱可塑性樹脂
ペレットを用いて発泡倍率8倍の熱可塑性樹脂発泡体を
得ている。疑似一次元発泡性は発泡性熱可塑性樹脂ペレ
ット間に隙間があるため比較例1に比べ小さくなっては
いるが、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの散布精度に依存
するため、1.25と少し高く、従って、幅方向及び長
手方向においてもかなりの割合で膨張していることが認
められた。このことにより厚みのばらつきも大きな値と
なった。得られた熱可塑性樹脂発泡体の圧縮強度は、低
発泡薄膜が形成されるため比較例1に比べて少し大きく
なっているが、圧縮変形量が1.75mmと大きく、か
つばらつきが非常に大きな値となった。
【0151】また、比較例3では、発泡性熱可塑性樹脂
シート状体を用いて発泡倍率8倍の3次元的に均等な熱
可塑性樹脂発泡体が得られた。熱可塑性樹脂発泡体が3
次元的に均等であるため、圧縮変形量が1.75mm2
と小さく、かつばらつきも小さいが、充填率が100%
と平板状の熱可塑性樹脂発泡体であるため、最大衝撃力
が大きく十分な緩衝性を発現できなかった。
【0152】これに対して、実施例1〜7で得られた熱
可塑性樹脂発泡体では、低発泡薄膜が形成されたため、
圧縮変形量が1.4mm以下と小さく、かつばらつきも
小さいため、圧縮強度の高い凹凸状熱可塑性樹脂発泡体
であることもわかった。また、緩衝性能も圧縮強度の小
さな比較例1と同等以上の性能を示していることから圧
縮強度と緩衝性を両立した熱可塑性樹脂発泡体となっ
た。
【0153】また、実施例1、2及び3、4並びに5、
6間の比較から、凹状部が形成された熱可塑性樹脂発泡
体は、最大衝撃力が低減し、緩衝性に優れた熱可塑性樹
脂発泡体であった。
【0154】また、実施例1、3、5間及び実施例2、
4、6間の比較から、アトランダムに略均一に発泡性熱
可塑性樹脂粒状体を配置した場合に比べて、格子状に配
置した場合の方が圧縮強度、緩衝性ともに優れた熱可塑
性樹脂発泡体を得ることができ、さらに、千鳥状に配置
した場合に最も圧縮強度に優れた熱可塑性樹脂発泡体の
得られた。
【0155】また、実施例5〜10との比較から、凸状
部の高さが、3mm以上で特に高い緩衝性が発現できる
事がわかり、また、充填率が50〜90%であれば圧縮
強度と緩衝性が両立出来る。
【0156】
【発明の効果】請求項1に記載の発明に係る凹凸状熱可
塑性樹脂発泡体では、熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層
と、該連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される
熱可塑性樹脂よりなる高発泡部と、上記連続発泡層とと
もに高発泡部の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる
低発泡薄膜とを備えた熱可塑性樹脂発泡体からなる板状
体であって、該発泡体を厚み方向に直交する投影面に投
影したときに、連続発泡層のみ、又は連続発泡層と低発
泡薄膜のみが投影される連続面と、連続発泡層、低発泡
薄膜及び高発泡部が投影される不連続面とからなり、上
記不連続面に対応する発泡体の部位が、連続面に対応す
る発泡体の部位に対して、少なくとも一方の表面が凸状
形成されており、前記複数の高発泡部が互いに低発泡
薄膜を介して熱融着されているため、ばらつきが小さ
く、高い圧縮強度が発現できる。また、低発泡薄膜で外
表面を被覆された高発泡体が少なくとも一方の表面にお
いて、凸状に形成されているため、衝撃作用時の緩衝性
にも優れる。さらに、連続発泡層が個々の高発泡体を繋
ぐように熱融着されているため、圧縮加重付与時に低発
泡薄膜間の融着界面で剥離・破壊することがない。
【0157】請求項2に記載の発明によれば、熱可塑性
樹脂よりなる連続発泡層と、該連続発泡層の少なくとも
片面上に複数配置される熱可塑性樹脂よりなる高発泡部
と、上記連続発泡層とともに高発泡部の外表面を被覆す
る熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜とを備え、熱可塑性
樹脂を発泡させることによって低発泡薄膜が高発泡部の
外表面を被覆した状態となされた熱可塑性樹脂発泡体か
らなる板状体であって、該発泡体を厚み方向に直交する
投影面に投影したときに、連続発泡層のみ、又は連続発
泡層と低発泡薄膜のみが投影される連続面と、連続発泡
層、低発泡薄膜及び高発泡部が投影される不連続面とか
らなり、上記不連続面に対応する発泡体 の部位が、連続
面に対応する発泡体の部位に対して、少なくとも一方の
表面が凸状に形成されているため、ばらつきが小さく、
高い圧縮強度が実現できる。 また、低発泡薄膜で外表面
を被覆された高発泡体が少なくとも一方の表面におい
て、凸状に形成されているため、衝撃作用時の緩衝性に
も優れる。
【0158】請求項3に記載の発明によれば、低発泡薄
膜で外表面を被覆された高発泡体が一方の表面におい
て、凸状に形成され、他方の表面において凹状に形成さ
れるため、緩衝性能が更に向上し、且つ圧縮強度の低下
も小さい。
【0159】請求項4に記載の発明によれば、請求項2
又は3の構成に加えて、連続発泡層が個々の高発泡体を
繋ぐように熱融着されているため、圧縮加重付与時に低
発泡薄膜間の融着界面で剥離・破壊することがない。
【0160】請求項5に記載の発明によれば、高発泡体
が格子状に配置されており、個々の高発泡体が四角柱の
形状であり、熱可塑性樹脂発泡体の厚みばらつきが少な
く、圧縮強度、緩衝性ともに向上する。
【0161】請求項6に記載の発明によれば、高発泡体
が、千鳥配置されており、複数の六角柱状の高発泡体が
低発泡薄膜を介して熱融着されている構造であり、全体
としてハニカム状の熱可塑性樹脂発泡体となる。したが
って、圧縮強度が特に優れた熱可塑性樹脂発泡体とな
る。
【0162】請求項7に記載の発明によれば、凸状部の
高さが1mm以上であることから緩衝性能が優れた凹凸
状熱可塑性樹脂発泡体となる。
【0163】請求項8に記載の発明によれば、充填率が
50〜90%であることから圧縮強度に優れ、且つ緩衝
性が高い発泡体となる
【0164】請求項9に記載の発明に係る熱可塑性樹脂
発泡体の製造方法によれば、発泡剤を含有している発泡
性熱可塑性樹脂粒状体が平面的に略均一に配置されてお
り、かつ前記発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑
性樹脂薄膜を介して一体的に連結されている発泡性熱可
塑性樹脂シート状体を、上記発泡剤の分解温度以上に加
熱し発泡させる工程と、発泡して得られる発泡体が完全
充填される以上の空隙を有する冷却型内で冷却すること
により凹凸を形成する工程とを備えるので、圧縮強度、
緩衝性、厚み精度などの品質に優れ、かつ品質のばらつ
きの少ない請求項1〜8の熱可塑性樹脂発泡体を高い生
産性を持って製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2又は5記載の発明の記載の発明の熱可
塑性樹脂発泡体の一例を示す断面図である。
【図2】図1の熱可塑性樹脂発泡体を厚み方向に直交す
る投影面に投影した仮想投影図である。
【図3】請求項4記載の発明の熱可塑性樹脂発泡体の一
例を示す断面図である。
【図4】図3の熱可塑性樹脂発泡体を厚み方向に直交す
る投影面に投影した仮想投影図である。
【図5】請求項4を引用した請求項6記載の発明の熱可
塑性樹脂発泡体を厚み方向に直交する投影面に投影した
仮想投影図である。
【図6】請求項3を引用した請求項4記載の発明の熱可
塑性樹脂発泡体の一例を示す断面図である。
【図7】請求項3を引用した請求項4記載の発明の熱可
塑性樹脂発泡体を、請求項9記載の製造方法で製造する
方法の発泡工程を説明する断面図である。
【図8】請求項9記載の製造方法で製造する方法の冷却
工程を示す説明する断面図である。
【図9】請求項9記載の製造方法で使用される発泡性熱
可塑性樹脂シート状体を製造する工程を説明するための
略図的側面図である。
【符号の説明】
1、11、31 熱可塑性樹脂発泡体 2、12、32 連続発泡層 3、13、33 高発泡部 4、14、34 低発泡薄膜 5、15、35 連続面 6、16、36 不連続面 25 発泡性熱可塑性樹脂粒状体 26 発泡性熱可塑性樹脂薄膜 27 発泡性熱可塑性樹脂シート状体 30 冷却型

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該
    連続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑
    性樹脂よりなる高発泡部と、上記連続発泡層とともに高
    発泡部の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡
    薄膜とを備えた熱可塑性樹脂発泡体からなる板状体であ
    って、該発泡体を厚み方向に直交する投影面に投影した
    ときに、連続発泡層のみ、又は連続発泡層と低発泡薄膜
    のみが投影される連続面と、連続発泡層、低発泡薄膜及
    び高発泡部が投影される不連続面とからなり、上記不連
    続面に対応する発泡体の部位が、連続面に対応する発泡
    体の部位に対して、少なくとも一方の表面が凸状に形成
    されており、前記複数の高発泡部が互いに低発泡薄膜を
    介して熱融着されていることを特徴とする熱可塑性樹脂
    発泡体。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該連
    続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性
    樹脂よりなる高発泡部と、上記連続発泡層とともに高発
    泡部の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄
    膜とを備え、熱可塑性樹脂を発泡させることによって低
    発泡薄膜が高発泡部の外表面を被覆した状態となされた
    熱可塑性樹脂発泡体からなる板状体であって、該発泡体
    を厚み方向に直交する投影面に投影したときに、連続発
    泡層のみ、又は連続発泡層と低発泡薄膜のみが投影され
    る連続面と、連続発泡層、低発泡薄膜及び高発泡部が投
    影される不連続面とからなり、上記不連続面に対応する
    発泡体の部位が、連続面に対応する発泡体の部位に対し
    て、少なくとも一方の表面が凸状に形成されていること
    を特徴とする熱可塑性樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂よりなる連続発泡層と、該連
    続発泡層の少なくとも片面上に複数配置される熱可塑性
    樹脂よりなる高発泡部と、上記連続発泡層とともに高発
    泡部の外表面を被覆する熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄
    膜とを備えた熱可塑性樹脂発泡体からなる板状体であっ
    て、該発泡体を厚み方向に直交する投影面に投影したと
    きに、連続発泡層のみ、又は連続発泡層と低発泡薄膜の
    みが投影される連続面と、連続発泡層、低発泡薄膜及び
    高発泡部が投影される不連続面とからなり、上記不連続
    面に対応する発泡体の部位が、連続面に対応する発泡体
    の部位に対して、少なくとも一方の表面が凸状に形成さ
    れ、他方の表面は凹状に形成されていることを特徴とす
    る熱可塑性樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】前記複数の高発泡部が互いに低発泡薄膜を
    介して熱融着されていることを特徴とする請求項2又は
    に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 前記高発泡部が格子状に配置されている
    ことを特徴とする請求項1〜4に記載の熱可塑性樹脂発
    泡体。
  6. 【請求項6】 前記高発泡部が千鳥状に配置されている
    ことを特徴とする請求項1〜5に記載の熱可塑性樹脂発
    泡体。
  7. 【請求項7】 前記低発泡薄膜で外表面を被覆された高
    発泡部の凸状に形成された部分の高さが連続面に対して
    1mm以上であることを特徴とする請求項1〜6に記載
    の熱可塑性樹脂発泡体。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂発泡体の体積が、熱可塑性
    樹脂発泡体を外接しうる最小の直方体の体積に対して5
    0〜90%であることを特徴とする請求項1〜7に記載
    の熱可塑性樹脂発泡体。
  9. 【請求項9】 発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹
    脂粒状体が平面的に略均一に配置されており、かつ前記
    発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を
    介して一体的に連結されている発泡性熱可塑性樹脂シー
    ト状体を、上記発泡剤の分解温度以上に加熱し発泡させ
    る工程と、発泡して得られる発泡体が完全充填される以
    上の空隙を有する冷却型内で冷却することにより凹凸を
    形成する工程とを備えることを特徴とする熱可塑性樹脂
    発泡体の製造方法。
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