JP3603068B2 - 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体は、軽量であり、断熱性、柔軟性及び成形性などにおいて優れているため、屋上断熱材もしくは床用断熱材などの各種断熱材、緩衝材、車両の内装材などの各種内装材等において幅広く用いられている。
【0003】
従来、上記熱可塑性樹脂発泡体の製造方法として、熱可塑性樹脂を予備発泡し発泡性ビーズを得る工程を実施し、次に、発泡性ビーズを型内に充填し、二次発泡させかつビーズ同士を融着させることにより成形体を得る工程を実施する方法が知られている。
【0004】
しかしながら、上記の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法により得られた発泡成形体では、強度、特に曲げ強度が充分でないという問題があった。例えば、上述した発泡性ビーズを用いて得られたビーズ発泡成形体では、個々のビーズ表面に無発泡の薄膜が形成されている。従って、この方法により得られた発泡成形体では高い圧縮強度を期待することができる。しかしながら、ビーズ発泡成形体では、上記発泡性ビーズを型内に充填した後二次発泡させかつ相互に融着させることにより成形されるものであるため、ビーズ同士の融着力が低い。そのため、発泡成形体に曲げ荷重が加えられた場合、ビーズ同士の融着界面において剥離・破壊が生じ易く、従って曲げ強度が充分でなかった。
【0005】
上記のようなビーズ発泡法により得られる発泡成形体の曲げ強度を高める方法が、日本国・特開平4−16330号公報に開示されている。この先行技術に開示されている方法では、熱可塑性樹脂を予備発泡することにより得られた発泡性ビーズを型内に圧縮充填し、しかる後、型内の圧力よりも0.2kg/cm2以上高い圧力を有する抜気用スチームを型内に導入して二次発泡・融着させ、それによってビーズ同士の融着力が高められている。しかしながら、この先行技術に記載の方法では、成形により得られる発泡成形体が抜気用スチームで加圧される。従って、過剰圧縮による発泡ビーズ間へのスチームの流れ低下を防止するためには、抜気用スチームの圧力はあまり高くすることができない。そのため、ビーズ同士の融着力を充分に高めることはできず、依然として曲げ強度の充分な発泡成形体を得ることは困難であった。
【0006】
加えて、上記先行技術に記載の方法においても、発泡性ビーズを予備発泡させる工程と、予備発泡された発泡性ビーズを型内にて二次発泡させ、かつ融着させる2つの工程を実施しなければならず、生産性が低いという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、軽量であり、かつ曲げ強度に優れており、さらに圧縮強度及び圧縮永久歪のバランスに優れた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、均一かつ微細な気泡が分散されている熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明で得られる発泡体においては、後述するが、例えば発泡性熱可塑性樹脂ペレット同士が発泡すると共に熱融着して構成される。このとき、低発泡薄膜間にボイドが形成されたものであってもよく、場合によっては孔が形成されたものであってもよい。但し、その大きさは、過大であると厚さの均一性、形状保持性が悪く種々の物性も低下するので、発泡体の低発泡薄膜、高発泡体の発泡倍率等にもよるが、通常、7mm以下、好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3.5mm未満とされる。
【0011】
本発明の別の広い局面によれば、熱分解型発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布する工程と、発泡性熱可塑性樹脂中に含有されている前記熱分解型発泡剤の発泡温度以上の温度に加熱して発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させる工程とを備える発泡体の製造方法が提供される。
【0012】
以下、本発明の発泡体の製造方法及び発泡体を順に説明する。
熱可塑性樹脂
本発明の発泡体の製造方法では、まず、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布する。発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性樹脂としては、発泡可能である熱可塑性樹脂であれば任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0013】
このような発泡可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下「ポリエチレン」とは「低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、またはこれらの混合物を含むものとする。)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン(以下「ポリプロピレン」とはランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、極僅か、通常5重量%以下のエチレンとのブロック状ポリプロピレン、またはこれらの混合物を含むものとする。)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン及びこれらの共重合体などが挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いられてもよく、あるいは2種以上が併用されてもよい。
【0014】
上記熱可塑性樹脂の中でも、得られる発泡体の熱成形性を高めるためには、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、またはこれらの混合物が好ましく、特に、高密度ポリエチレン及びホモポリプロピレンの混合物が特に好ましく用いられる。
【0015】
なお、低発泡薄膜を構成するための熱可塑性樹脂と、上記高発泡体を構成するための熱可塑性樹脂は、同一種類の樹脂であることが必要である。
また、上記熱可塑性樹脂は、必要に応じて架橋されたものであってもよい。架橋された熱可塑性樹脂を用いた場合には、発泡倍率が高められ、従って得られる発泡体の軽量化を図ることができ、かつ熱安定性も高めることができるため、好ましい。
【0016】
上記熱可塑性樹脂の架橋度が高いと、発泡倍率が低下するとともに、熱成形性が低下する。他方、熱可塑性樹脂の架橋度が低い場合には、熱安定性が低下し、かつ発泡時にセルが破泡し、均一な発泡セルを得ることができない。従って、上記架橋度は、架橋度の指標となるゲル分率で10〜30重量%が好ましく、10〜20重量%の範囲であることがより好ましい。
【0017】
上記熱可塑性樹脂の架橋方法については特に限定されず、例えば、▲1▼電子線を用いた架橋方法、▲2▼有機過酸化物を用いた架橋方法及び▲3▼シラン変性熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い架橋する方法などが挙げられる。なかでも、▲3▼のシラン変性熱可塑性樹脂を用いた架橋方法が好ましく用いられる。
【0018】
▲1▼上記有機過酸化物により熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。
上記有機過酸化物としては特に限定されず、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド等が挙げられ、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミルパーオキサイドが好ましく、ジクミルパーオキサイドが特に好ましい。
【0019】
有機過酸化物の添加量は、多いと、樹脂分解反応が進行し、得られる発泡体が着色し、また、少ないと、熱可塑性樹脂の架橋が不充分となるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。
【0020】
▲2▼上記電子線を照射し、熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。
電子線の照射量は、多いと、架橋が掛かりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、また、少ないと、熱安定性が低下し、かつ発泡セルが破泡し、均一な発泡セルが得られないので、1〜20Mradが好ましく、3〜10Mradが特に好ましい。
【0021】
電子線を照射する方法は特に限定されず、例えば、2台の電子線発生装置を用い、その間に熱可塑性樹脂を通過させ、熱可塑性樹脂に電子線を照射する方法が挙げられる。
【0022】
次に、最も好ましい、▲3▼シラン変性熱可塑性樹脂を用いた架橋方法につき説明する。
上記シラン変性熱可塑性樹脂としては、一般に用いられているものであれば特に限定されず使用することができる。このようなシラン変性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンのシラン変性熱可塑性樹脂、ポリプロピレンのシラン変性熱可塑性樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のシラン変性熱可塑性樹脂、ポリスチレンのシラン変性熱可塑性樹脂などが挙げられる。また、高発泡可能であるため、ポリエチレンのシラン変性熱可塑性樹脂、ポリプロピレンのシラン変性熱可塑性樹脂、ポリスチレンのシラン変性熱可塑性が好ましく、ポリエチレンのシラン変性熱可塑性樹脂及びポリプロピレンのシラン変性熱可塑性樹脂がより好ましい。
【0023】
シラン変性熱可塑性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂を不飽和シラン化合物でグラフト変性することにより製造される。
上記不飽和シラン化合物とは、一般式R1SiR2 mY3−mで表される化合物をいう。
【0024】
式中、上記R1はビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;グリシジル基;アミノ基、メタクリル基;γ−クロロエチル基、γ−ブロモエチル基等のハロゲン化アルキル基等の有機官能基等が挙げられる。
【0025】
式中、R2は脂肪族飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が挙げられる。
また、mは0、1または2を示す。
【0026】
式中、Yは加水分解可能な有機基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオノキシ基、アルキル基またはアリールアミノ基が挙げられ、mが0または1のとき、Y同士は同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
上記不飽和シラン化合物としては、一般式CH2=CHSi(OA)3で表されるものが好ましい。式中、Aは炭素数1〜8が好ましく、さらに好ましくは1〜4の炭化水素基であり、例えば、好ましい不飽和シラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等が挙げられる。
【0028】
上記シラン変性熱可塑性樹脂が、メトキシ基を有する場合は、該メトキシ基と水とが接触して加水分解し水酸基となる。
この水酸基と他の分子の水酸基が反応してSi−O−Si結合となり、シラン変性熱可塑性樹脂同士が架橋する。この際、シラン架橋触媒を併用するのが好ましい。
【0029】
シラン変性熱可塑性樹脂の架橋後のゲル分率は、小さくなると、架橋密度が低下し、発泡性熱可塑性樹脂の発泡性が低下するので、60〜85重量%の範囲が好ましく、発泡安定性の向上の点から、70〜80重量%がさらに好ましい。
【0030】
なお、本発明におけるゲル分率は、樹脂を120℃のキシレン中に24時間浸漬後の残渣重量の、キシレン浸漬前の樹脂の重量に対する重量百分率をいう。
シラン変性熱可塑性樹脂は、シラン変性熱可塑性樹脂が溶融して混練される熱可塑性樹脂のメルトインデックスとの差が、15g/10分以下のメルトインデックスを有するものが好ましい。
【0031】
1g/10分より大きくなると、シラン変性熱可塑性樹脂を、熱可塑性樹脂に均一に溶け込ませることができなくなるからである。
シラン変性熱可塑性樹脂の添加量は、多くなると、架橋密度が高くなり、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、軽量性が損なわれ、また、少なすぎると、発泡性樹脂組成物が、加熱発泡時に発泡に必要な剪断粘度を有さず、発泡安定性が低下するので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜50重量部の範囲にあることが好ましく、5〜40重量部がより好ましく、10〜30重量部がさらに好ましい。
【0032】
シラン変性熱可塑性樹脂により熱可塑性樹脂を架橋するにあたっては、必要に応じてシラン架橋触媒が用いられる。
上記シラン架橋触媒としては、シラン変性熱可塑性樹脂同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン酸鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0033】
上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、発泡性熱可塑性樹脂の発泡性が低下し、また、少なくなると、シラン変性熱可塑性樹脂同士の架橋反応速度が低下するので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.001〜2.5重量部の範囲が好ましく、0.01〜2重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましい。
【0034】
シラン変性熱可塑性樹脂を熱可塑性樹脂に添加する方法は、均一に添加できる方法であれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂及びシラン変性熱可塑性樹脂を1軸または2軸押出機に供給し、溶媒混練する方法、ロールを用いて溶媒混練する方法、ニーダーを用いて溶媒混練する方法が挙げられる。
【0035】
水処理する方法としては、水中に浸漬する方法の他、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合は、加圧下において行えばよい。
【0036】
水処理する際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高いと発泡性熱可塑性樹脂ペレット同士が融着するので、50〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0037】
水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しないときがあり、また、長いと、発泡性熱可塑性樹脂ペレット同士が融着するので、5分〜12時間が好ましい。
【0038】
発泡剤
上記発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い発泡温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−オシキビスベンゼンスルホニルヒドラジロ、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジンの有機系熱分解型発泡剤が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れたアゾジカルボンアミドが好ましい。なお、本発明において「発泡温度」とは、分解型発泡剤の分解温度をいう。
【0039】
発泡剤の添加量は、多いと、破泡し、均一なセルができず、得られる発泡成形体の曲げ強度が低下し、また、少ないと、発泡しないので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜25重量部が好ましく、より好ましくは5〜15重量部とされる。
【0040】
発泡性熱可塑性樹脂の好ましい例
本発明の製造方法では、上記発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂ペレットが用いられるが、好ましくは、上記発泡性熱可塑性樹脂としては、ほとんど相溶性を有しない2種類の無架橋熱可塑性樹脂と、その内の一方の無架橋熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂を用いたシラン変性熱可塑性樹脂組成物とを配合したものが用いられる。このほとんど相溶性を有しない2種類の無架橋熱可塑性樹脂を含むため、上記シラン変性熱可塑性樹脂を用いて架橋した場合には、後述の海島構造が形成される。
【0041】
上記2種類のほとんど相溶性を有しない無架橋熱可塑性樹脂を含む場合、一方が他方に均一に分散し、かつ表面平滑性に優れた高発泡倍率の発泡体を得るには、重量比で3対7〜7対3の範囲で、両者が混合されることが望ましく、より好ましくは、4対6〜6対4の範囲で、さらに好ましくは5対5の範囲で混合される。
【0042】
上記2種類の無架橋熱可塑性樹脂のメルトインデックスの差が大きくなると、非常に粗い海島構造となり、高発泡倍率の発泡体を得ることができない。また、メルトインデックスの差が小さくなると、均一な海島構造を形成せず、高発泡倍率の発泡体が得られない。従って、上記メルトインデックスの差は、3〜25g/10分の範囲が好ましく、粒径が細かくかつ均一な気泡構造を実現することができ、さらに高発泡倍率の発泡体を得るためには、5〜13g/10分がより好ましく、7〜11g/10分がさらに好ましい。
【0043】
本発明の発泡体の製造方法では、より好ましくは、上記2種類の無架橋熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂100重量部に対し、2種類の無架橋熱可塑性樹脂のうちの一方の無架橋熱可塑性樹脂と同種類である上記シラン変性熱可塑性樹脂1〜50重量部、上記シラン架橋触媒及び上記発泡剤が配合された発泡性熱可塑性樹脂が用いられる。
【0044】
上記2種類の無架橋熱可塑性樹脂は、殆ど相溶性を有しないものであるので、上記発泡性熱可塑性樹脂組成物を押出機等で配合した場合、一方の無架橋熱可塑性樹脂が他方の無架橋熱可塑性樹脂中に均一微細に分散した、非常にミクロな海島構造をとる。
【0045】
また、一方の無架橋熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂を用いたシラン変性熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂が同種であるため、一方の無架橋熱可塑性樹脂に、優先的に溶け込む。しかも、シラン変性熱可塑性樹脂は、海または島を構成するいずれの無架橋熱可塑性樹脂に溶け込まされても、2種類の熱可塑性樹脂が非常にミクロな海島構造をとっているため、発泡性樹脂組成物中に均一に分散され得る。
【0046】
海を構成する無架橋熱可塑性樹脂と同種類である、シラン変性熱可塑性樹脂を用い、海を構成する無架橋熱可塑性樹脂に優先的にシラン変性熱可塑性樹脂を溶け込ませた場合は、水処理を施すことによりシラン変性熱可塑性樹脂同士が架橋し連続層(海部)に架橋構造が優先的に導入され、発泡時においては連続層たる海が伸長し、上記発泡性熱可塑性樹脂は全体として、発泡に適した溶融粘度となる。
【0047】
一方、島を構成する無架橋熱可塑性樹脂と同種類である、シラン変性熱可塑性樹脂を用い、島を構成する無架橋熱可塑性樹脂に優先的にシラン変性熱可塑性樹脂を溶け込ませ、水処理を施すことによりシラン変性熱可塑性樹脂同士が架橋し、非連続層(島部)に架橋構造を優先的に導入した場合は、明確には解明されていないが、以下の作用により、発泡に適したものになると推定される。
【0048】
島を構成する無架橋熱可塑性樹脂は均一微細に分散され、通常、島を構成する熱可塑性樹脂の粒径は熱分解型発泡剤の分解によって発生するガス径に比して非常に小さく、島と島の間隔はガス径に比して非常に小さいものとなっているため、マクロ的に見れば、発泡剤の分解により発生するガスは、島を構成する無架橋熱可塑性樹脂によって、略連続的に囲まれた状態となる。従って、ガスは発泡に適した粘度を有する層に包囲された状態となっており、破泡することなく、本発明で用いられる発泡性樹脂組成物は全体として、発泡に適した溶融粘度となる。
【0049】
上記発泡性熱可塑性樹脂から得られる発泡体は、部分的に架橋密度の低い部分を有するため、成形時に、かかる部分が流動性を有し、従って、熱成形性に優れる。
【0050】
また、架橋密度の低い部分は再溶融可能であり、架橋密度の高い部分は、一種の充填材として利用でき、再利用が可能である。
一方、シラン変性熱可塑性樹脂の添加量を、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して50重量部以下とすることが可能となり、架橋に起因する成形時の内部応力を減少させることができ、この発泡性樹脂組成物を発泡させて得られた発泡体は、寸法安定性に優れる。
【0051】
また、上記発泡性熱可塑性樹脂ペレットを構成する組成物の溶融粘度は190℃の温度で5000ポイズ〜20000ポイズの範囲とされる。5000ポイズ以下の場合には粘度が低くなりすぎ、発泡時の発泡圧に耐えることができず、容易に破泡し、高発泡倍率の発泡体が得られない。逆に、20000ポイズ以上の場合には、粘度が高くなりすぎ発泡剤の分解により生じる発泡ガスによる発泡圧が不充分となり、高発泡倍率の発泡体を得られないからである。なお、本明細書における溶融粘度は、JIS K7199に準じて測定された値である。
【0052】
さらに、上記発泡性熱可塑性樹脂における樹脂のゲル分率は、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%とされる。10重量%よりも低い場合には、熱安定性が低下し、かつ発泡時に発泡セルが破泡し、均一な発泡空隙を得ることができない。また、ゲル分率が30重量%より高い場合には、架橋が進行しすぎて、発泡倍率が低下するとともに、熱成形性も低下する。
【0053】
ペレット
なお、本発明で用いられる発泡性熱可塑性樹脂ペレット自体の製造方法は、特に限定されず、例えば、発泡性熱可塑性樹脂ペレット(以下、「ペレット」とあるのは、「粒状体」という)を構成する熱可塑性樹脂、熱分解型発泡剤等を押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、シート状に押出して冷却し、切断して発泡性熱可塑性樹脂粒状体を製造する方法、熱可塑性樹脂、熱分解型発泡剤等を押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練した後、ストランド状に押出して冷却し、切断して発泡性熱可塑性樹脂ペレットを製造する方法等が挙げられる。
【0054】
発泡性熱可塑性樹脂ペレットの形状についても、特に限定されず、例えば、六方体、円柱、球状体等が挙げられるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布する際に、転がらないことから六方体が最も好ましい。
【0055】
発泡性熱可塑性樹脂ペレットが六方体であるとき、六方体の一辺の長さは、特に限定されないが、長すぎると製造された発泡成形体における低発泡膜の割合が少なくなるため、曲げ強度が低下し、短すぎると発泡ガスの抜けが多くなるため、0.1mm〜50mmが好ましく、0.5mm〜20mmが特に好ましい。
【0056】
散布
本発明では、上記のようにして用意される発泡性熱可塑性樹脂ペレットが散布される。この散布は、例えば後で説明する図1に示す製造装置における搬送ベルト上などの移動される面上に行われてもよく、あるいは静止されている面上に行われてもよい。
【0057】
また、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの散布は、ペレットが厚み方向に重ならないように、すなわち単層を構成するように散布してもよく、あるいは、発泡性熱可塑性樹脂ペレットが厚み方向に重なり合うように散布してもよい。
【0058】
また、厚み方向において発泡性熱可塑性樹脂ペレットが重ならないように散布する方法としては、(1)最小辺がほぼ同一高さを有する複数の直方体形をした発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布し、高周波振動で、最小辺を厚み方向にしつつ、単層にする方法、(2)ほぼ同一高さを有する複数の立方体形をした発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布し、高周波振動で、単層にする方法、(3)重ね合わせて散布された、ほぼ同一高さを有する複数の立方体形をした発泡性熱可塑性樹脂粒状体をコーター等で単層にする方法等が好ましく挙げられるが、場合によっては、ほぼ同一高さを有する個々の発泡性熱可塑性樹脂粒状体を重ならないように配置していく方法も採用される。
【0059】
なお、ここでいう高さとは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布した際に方向付けされる、個々の発泡性熱可塑性粒状体の高さをいう。
上記散布にあたっては、好ましくは、散布されている発泡性熱可塑性樹脂ペレットの下方投影面積が、該ペレットが散布されている領域の外縁で囲まれた領域の10〜75%を占めるように、上記ペレットが散布される。
【0060】
散布後の発泡性樹脂粒状体の投影面積の和を、上記領域の全投影面積の10〜75%と限定することにより、発泡性樹脂粒状体が発泡する際、空気を抜くスペースを確保でき、個々の発泡性樹脂粒状体間の空気を抜きながら発泡させることで、ボイドのない発泡体を製造できる。また、個々の発泡性樹脂粒状体の発泡スペースが不足せずに融着一体化する事ができるため、製造された発泡体に孔が開くことを防止できる。
【0061】
さらに、散布後の発泡性熱可塑性樹脂ペレットの投影面積の和を、上記領域の全投影面積の10〜75%と限定することにより、低発泡薄膜の発泡倍率及び厚さの範囲が限定され、曲げ強度と柔軟性を両立する発泡体を得ることができる。
【0062】
発泡成形
本発明の製造方法では、上記ペレットを散布した後、上記発泡性熱可塑性樹脂中に含有されている発泡剤の発泡温度以上の温度にペレットを加熱し、ペレットを発泡させる。
【0063】
発泡性熱可塑性樹脂ペレットを加熱・発泡させると、個々のペレットの表面が低発泡の樹脂薄膜、内部が高発泡体となり、かつ表面の低発泡の樹脂薄膜が発泡しつつ互いに融着一体化するため、前述したような熱可塑性樹脂製低発泡薄膜で全外面を被覆された熱可塑性樹脂製高発泡体が、低発泡薄膜を介して熱融着されている薄膜成形体を得ることができる。
【0064】
本発明の製造方法では、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布し、これを加熱、発泡融着させるという非常に簡単な方法で発泡体を得る事ができるため、発泡性熱可塑性樹脂ペレットを予備発泡させる工程を省略する事ができ優れた生産性を有した製造方法である。
【0065】
上記加熱方法については特に限定されるものではなく、発泡剤の発泡温度以上の温度に加熱し得る限り任意の加熱手段を用いることができる。例えば、電気ヒーター、遠赤外縁ヒーター、加熱された油や空気などの加熱媒体を循環させてなる加熱装置などを用いて加熱することができる。
【0066】
さらに、発泡性熱可塑性樹脂ペレットを、その厚みを規制しながら加熱発泡・融着させる方法としても特に限定されない。例えば、2枚の板状体の間に、上記発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布し、板状体の間隔を一定に保持しつつ発泡させてもよい。あるいは、発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布した後、これらを2枚の板状体の間に挟み込んだ後、板状体の間隔がある寸法となるまで拡げつつ発泡させてもよい。さらに、発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布した後、これらを2枚の板状体の間に挟み込んだ後、発泡性熱可塑性樹脂ペレットが発泡する際の発泡圧を利用して、両側の板状体の間隔を増大させてもよい。
【0067】
上記板状体としては、例えば、鉄板、鋼板、テトラフルオロエチレン製ベルトなどの任意の板状部材を用いることができる。
また、例えば繊維で強化された熱可塑性樹脂シートである複合シートを、上記板状体と発泡性熱可塑性樹脂ペレットとの間に配置するのが好ましい。この場合、発泡性熱可塑性樹脂ペレットの一方側においてのみ、板状体との間に上記熱可塑性樹脂シート状物を配置してもよい。
【0068】
上記複合シートを用いる場合、好ましくは、得られる発泡体に複合シートを一体化させるために、予め複合シート上に、上記発泡性熱可塑性樹脂ペレットが散布される。この方法では、散布された発泡性熱可塑性樹脂ペレット上に、第2の複合シートが重ねられて積層体が得られる。そして、この積層体を発泡剤の発泡温度以上の温度に加熱することにより、発泡性熱可塑性樹脂ペレットが発泡され、複合シートが発泡体に一体化された発泡体が得られる。
【0069】
上記のように少なくとも一面に熱可塑性樹脂シート状物が一体成形された発泡体では、熱可塑性樹脂シート状物により発泡体全体の曲げ強度が効果的に高められる。
【0070】
なお、上記複合シートの他に、ガラスペーパー、チョップドストランドマットなどの種々の材料(これらを総称して「補強シート」という)を用いることができる。
【0071】
もっとも、ガラスペーパー及びチョップドストランドマットに用いられる、ガラス繊維の重量が重いと、得られる発泡体の軽量化を図ることができない。また、ガラス繊維の重量が軽い場合には、得られる発泡体の強度の向上を図ることができない。従って、上記ガラス繊維としては、好ましくは、10〜500g/m2、より好ましくは50〜300g/m2のものが用いられる。
【0072】
また、上記複合シートに用いられる熱可塑性樹脂についても特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。さらに、複合シートと、発泡体部分との接着性を高めるために、好ましくは、発泡体に用いられる熱可塑性樹脂と同種類の熱可塑性樹脂を用いた複合シートが採用される。
【0073】
さらに、複合シートに用いられる繊維としては、ガラス繊維の他、炭素繊維などの無機繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維などの有機繊維、金属繊維などを挙げることができ、これらの繊維の織布または不織布のいずれであってもよい。
【0074】
上記補強シートの厚みが厚いと、得られた発泡体の軽量化を図ることができず、薄い場合には補強強化が十分でない。従って、複合シートの厚みは、好ましくは、0.05〜1mm、より好ましくは0.1〜0.5mmとされる。
【0075】
なお、上述したシラン変性熱可塑性樹脂を配合してなる好ましい例である発泡性熱可塑性樹脂を用いて本発明の製造方法において発泡体を得るにあたっては、水処理によりシラン変性熱可塑性樹脂同士を架橋させた後、発泡剤の発泡温度以上に加熱することにより発泡体が得られる。
【0076】
上記発泡性熱可塑性樹脂に用いられる熱可塑性樹脂には、発泡体の曲げ強度の向上のため、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填剤等を添加してもよい。
【0077】
補強材として、短繊維を添加する場合は、添加量が多いと、発泡時にセルを破壊し、高発泡倍率が得られず、また、少ないと、得られる発泡体の強度補強効果が得られないので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜10重量部が特に好ましい。
【0078】
短繊維の長さは、長いと、得られる発泡体の軽量化が図れず、また、短いと、得られる発泡体の強度補強効果が得られないので、1〜20mmが好ましく、3〜5mmが特に好ましい。
【0079】
充填剤を添加する場合は、多いと、得られる発泡体の軽量化が図れず、また、少ないと、得られる発泡体の強度補強効果が得られないので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、30〜50重量部が特に好ましい。
【0080】
発泡体
本発明の発泡体は、熱可塑性樹脂よりなる低発泡薄膜で全外面を被覆された熱可塑性樹脂製高発泡体が、低発泡薄膜を介して熱融着されている薄膜成形体である。
【0081】
高発泡体が低発泡薄膜を介して熱融着されているため、個々の低発泡薄膜が圧縮強度を、高発泡体が柔軟性を付与し、かつ低発泡薄膜が発泡しているため、高い断熱性能をも付与されている。また、発泡体を構成する個々の低発泡薄膜で全外面を被覆された高発泡体は、発泡時の発泡圧力により、低発泡薄膜を介して強固に熱融着・一体化しており、熱融着界面で剥離・破壊する事がなく、高い曲げ強度を有しつつ、柔軟性に優れている。
【0082】
なお、上記高発泡体及び低発泡薄膜を構成する熱可塑性樹脂としては、前述した適宜の熱可塑性樹脂を用いることができ、該熱可塑性樹脂に発泡剤及び他の任意成分を混合してなる発泡性熱可塑性樹脂を用いて本発明の発泡体を得ることができる。
【0083】
低発泡薄膜で全外面を被覆された高発泡体は厚さ方向に重ならないように単一層として構成されていてもよく、この場合、横方向、すなわち長さ方向及び幅方向に低発泡薄膜を介して高発泡体が熱融着されている。従って、前述した発泡体の柔軟性に加え、低発泡薄膜は発泡体の厚さ方向に延びているので、かつ低発泡薄膜が均一に厚さ方向に形成されるため、発泡体は疑似トラス構造となり、さらに曲げ強度が高められる。
【0084】
他方、高発泡体が厚さ方向に複数積層されている多層構造を有していてもよく、その場合には、発泡体に曲げ負荷が加わった際に、融着界面で発泡体が剥離・破壊する事がない。従って、柔軟性に優れた発泡体を得ることができる。
【0085】
熱可塑性樹脂が、優先的に架橋された架橋密度の高い部分及びほとんど架橋されていない架橋密度の低い部分を有し、それらが海島構造を有している場合は、架橋密度の低い部分が成形時に流動性を有し、発泡体は熱成形性に優れたものとなる。
【0086】
上記低発泡薄膜の発泡倍率が低いと、発泡体の柔軟性が低下し、また熱伝導度も大きくなる。逆に低発泡薄膜の発泡倍率が高いと、高い曲げ強度を有する発泡体が得られない。従って、低発泡薄膜の発泡倍率は、1.1〜10倍が好ましく、1.2〜7倍がさらに好ましく、1.2〜5倍が特に好ましい。
【0087】
低発泡薄膜が厚いと、発泡体の軽量化が図れず、また、薄いと、高曲げ強度を有する発泡体が得られない。従って、低発泡薄膜は30μm〜500μmが好ましく、40μm〜400μmがさらに好ましく、50μm〜400μmが特に好ましい。
【0088】
なお、低発泡薄膜の厚みは、均一である必要はなく、不均一であっても良い。ここで、低発泡薄膜の厚みとは、発泡体の横断面方向の低発泡薄膜の平均厚さをいう。
【0089】
本発明において、上記低発泡薄膜の発泡倍率が1.1〜10倍、厚みが30μm〜500μmの時、発泡体の軽量化と曲げ強度が、両立されるため好ましく、1.2倍〜7倍、40μm〜400μmの時がさらに好ましく、1.2倍〜5倍、50μm〜400μmの時が特に好ましい。
【0090】
高発泡体の発泡倍率が低いと、軽量化が困難となり、また発泡体の熱伝導率が増大し、得られる発泡体の断熱性が低下し、逆に高いと、高曲げ強度を有する発泡体が得られない。従って、高発泡体の発泡倍率は20〜50倍が好ましく、5〜50倍がさらに好ましく、10〜35倍が特に好ましい。
【0091】
高発泡体の大きさが大きいと、得られる発泡体の曲げ強度が低下し、逆に小さいと、得られる発泡体の表面平滑性が低下する。従って、高発泡体の大きさは5〜100mmが好ましく、7〜50mmが特に好ましい。
【0092】
なお、高発泡体の大きさは、均一である必要はなく、不均一であってもよい。ここで、高発泡体の大きさとは、横断面における各方向の寸法のうちの最大値をいう。
【0093】
本発明の発泡体は低発泡薄膜を介して高発泡体が熱融着した構造からなり、その形態は通常シート状である。
さらに、本発明の発泡体は、少なくとも一面に前述した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる複合シートが積層されたものであってもよく、それによって、曲げ強度をより一層高めることができる。
【0094】
本発明の「発泡体」の製造方法は、上述した本発明の製造方法に特に限定されず、例えば、▲1▼発泡性熱可塑性樹脂粒状体を散布し、加熱、発泡・熱融着させ、発泡体を製造する方法が好ましく挙げられるが、場合によっては、▲2▼熱可塑性粒状発泡体を予め製造し、熱融着により積層し、発泡体を製造する方法も採用され得る。
【0095】
【発明の効果】
以上のように、本発明の発泡体では、熱可塑性樹脂製低発泡薄膜で全外表面が被覆された熱可塑性樹脂製高発泡体が、上記低発泡薄膜を介して熱融着されている。この低発泡薄膜は、低発泡であるため、高い断熱性能を発揮しつつ、発泡体の圧縮強度を高め得る。のみならず、低発泡薄膜は、個々の高発泡体を、強固に融着・一体化しているため、従来のビーズ発泡成形法により得られた発泡体では得られなかった充分な柔軟性をも発揮する。
【0096】
また、本発明の上記発泡体の製造方法では、上記のような優れた効果を発揮する発泡体を、容易にかつ高い生産性で製造することが可能となる。
さらに、本発明の好ましい局面によれば、溶融粘度が190℃において3000ポイズ〜20000ポイズの範囲にある発泡性樹脂組成物が用いられるため、発泡安定性がより一層高められ、従って高発泡であり、かつ均一な気泡構造を有し、曲げ強度に優れた発泡体を提供することが可能となる。
【0097】
▲1▼発泡性熱可塑性樹脂における樹脂のゲル分率を10〜30重量%とした場合には、樹脂に適度な架橋が架っており、成形性及び熱安定性にバランスのとれた発泡体を提供することが可能となる。
【0098】
▲2▼特定の無架橋熱可塑性樹脂が所定量混合されてなるものに、特定のシラン変性熱可塑性樹脂、シラン架橋触媒及び発泡剤を含む発泡性熱可塑性樹脂を用いた場合は、架橋密度の低い部分を有するため、かかる部分が成形時に流動性を有し、熱成形に優れ、架橋が全体として適度に架かっているので、熱安定性に優れると共に、適度な溶融粘度を有しているため、均一かつ繊細な発泡セルを得ることができ、得られる発泡体の曲げ強度も優れたものとなる。
【0099】
従って、本発明によれば、屋上断熱材や床用断熱材を含む各種断熱材、緩衝材、車両用内装材を含む各種内装材に好適な発泡体を提供することが可能となる。
【0100】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の成形体の製造方法に用いられる装置例の正面図であり、1、2は補強シート、3は発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット、5、6は搬送ベルト、9、9は加熱装置、10、10は冷却装置、11は発泡体である。
【0101】
補強シート1を搬送ベルト5に送り、その途上に設置されたペレット散布装置4より発泡性熱可塑性樹脂ペレット3を補強シート1上に散布する。続いて、補強シート2を搬送ベルト6に送り、ペレット3上に重ね、これを順次、予備装置8、8、加熱装置9、9、冷却装置10、10に送る。
【0102】
なお、7は振動装置であり、補強シート1を振動させて散布された発泡性熱可塑性樹脂ペレット3を均一にしている。
予熱装置8、8において、発泡性熱可塑性樹脂ペレット3は予熱され、加熱装置9、9において発泡剤の発泡温度以上に加熱されて、発泡剤は分解して熱可塑性樹脂ペレット3は溶融発泡し、ペレット同士は融着するとともに補強シート1,2の表面に融着する。
【0103】
加熱装置9、9における加熱温度は、通常、発泡剤の発泡温度以上、発泡温度+20℃以下、例えば200℃程度とされる。
発泡融着した重ね合わせシートは、冷却装置(冷却温度は例えば30℃程度)10、10において、冷却され、発泡が抑えられるとともに所定の厚さに調整される。
【0104】
なお、上記加熱装置9、9及び冷却装置10、10においては、その加熱面91、91及び冷却面101、101に複数条の真空吸引溝92、92及び102、102を設け、厚さの均一性及び表面平滑性を保持できるようにするのが好ましい。
【0105】
かくして、熱可塑性樹脂ペレット3が発泡して形成された発泡体層112とその両面に一体に融着して形成された補強シート層からなる発泡体11が得られる。
【0106】
また、図2に、本発明の発泡体の製造方法を実施するための他の例の製造装置を示す。ここでは、補強シート1bが搬送ベルト5a上に送られる。この補強シート1bの傾斜している部分において、ペレット散布装置4aから発泡性熱可塑性樹脂布ペレット3aが散布される。上記熱可塑性樹脂シート1bの傾斜面部分では、200℃〜210℃の温度に加熱された熱板8aが備えられている。従って、補強シート1bの表面が溶融状態とされるため、発泡性熱可塑性樹脂ペレット3aが補強シート1bに付着し、それ以上のペレットは下方に落下することになる。よって、落下されるペレットは再度使用することができる。
【0107】
次に、付着した熱可塑性樹脂ペレット3a上に、第2の補強シート2aを重ね、200℃程度の温度に加熱された熱板9aにより発泡性熱可塑性樹脂ペレット3aを加熱し、発泡させる。このようにして成形体11aが得られる。
次に、本発明の発泡体の製造方法及び発泡体の具体的な実施例につき説明する。
【0108】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体の調製
高密度ポリエチレン(三菱油化社製、商品名:EY40H、メルトインデックス(以下、MIと略す);1.5g/10分)、ポリプロピレン▲1▼(三菱油化社製、商品名:MA3、MI;11g/10分)、ポリプロピレン▲2▼(三菱油化社製、商品名:MH8、MI;0.3g/10分)、ポリプロピレン▲3▼(三菱油化社製、商品名:MA2A、MI;25g/10分)及びシラン変性ポリプロピレン(三菱油化社製、商品名:リンクロンXPM800HM、MI;11g/10分、架橋後のゲル分率80重量%)を下記の表1〜表3に示す割合で計量し、さらに架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート0.1重量部及び発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名:SO−20、発泡温度=210℃)5重量部を混合した後、直径30mmの2軸押出機に供給し、180℃の温度で溶融混練し、表1〜表3に示した厚さを有し、かつ幅300mmのシート状に押し出した。しかる後冷却し、幅5mm×長さ5mmの寸法に切断し、98℃の水中に2時間浸漬した後、乾燥することにより発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを得た。
【0109】
実施例1,3,5,9,11,13,15,17,19,21及び23
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを用い、かつ図1に示した製造装置を利用して発泡体を得た。但し、図1に示した製造装置のうち、熱可塑性樹脂シート状物1,2は用いずに、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを直接搬送ベルト5上に散布した。この散布は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aの実際に散布されている部分の下方投影面積の和の、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が散布されている領域の外縁で囲まれた部分の全投影面積に対する割合(散布投影面積率)を、表1〜表3に示す割合となりかつ複層となるように行った。なお、加熱装置9,9による発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aの加熱温度は210℃とし、10分間加熱・発泡させた後、冷却装置10,10において10分間冷却し、厚さ5mmの発泡体を得た。
【0110】
得られた発泡体の発泡倍率、低発泡薄膜の厚み、低発泡薄膜発泡倍率、高発泡体発泡倍率、発泡体の状態、発泡空隙状態、曲げ強度、25%圧縮強度、圧縮永久歪、熱成形性及び熱安定性を以下の方法で測定した。これらの結果を、表1〜表3に併せて示す。
【0111】
(発泡倍率)
JIS K6767に従って測定した。
(低発泡薄膜厚み)
成形した発泡体の断面をスケール付きの顕微鏡で観察、測定した。
【0112】
(低発泡薄膜発泡倍率)
低発泡薄膜を発泡体から切り取り、JIS K6767に従って測定した。
(高発泡体発泡倍率)
高発泡体を発泡体から切り取り、JIS K6767に従って測定した。
【0113】
(発泡体の状態)
発泡体の表面及び断面を観察した。
(発泡空隙状態)
発泡体の断面を、スケール付きの顕微鏡で観察、ボイド、孔等の空隙と発泡セル等の最大内径値を測定し、以下の基準で発泡空隙状態として4段階評価を行った。
【0114】
◎:発泡セルの最大内径値が2mm未満で、空隙が実質的に存在しなかった。
○:空隙の最大内径値が3.5mm未満であった。
△:空隙の最大内径値が3.5mm以上7mm未満であった。
×:空隙の最大内径値が7mm以上であった。
【0115】
(曲げ強度)
発泡体を50mm×150mm×5mmにカットし、スパン100mm、押さえ速度50mm/分、押さえ軸のR=5、n=5の条件で曲げ荷重を加えて3点曲げテストを行い、曲げ強度を測定した。
【0116】
(破壊箇所)
上記曲げ荷重を掛けた際の破壊箇所を目視にて観察。
(25%圧縮強度)
JIS K6767に従って測定した。
【0117】
(圧縮永久歪)
JIS K6767に従って測定した。
(熱成形性)
開口端部R=5、直径=70mm、及び所定の深さを有する数種類の有底筒状体の個々の開口部に、180℃に加熱した、200mm×200mm×5mmの発泡体を覆い、次に直径70mmの円柱部材を用いて、開口凹部に加熱した発泡体を押し込み、該発泡体の破れ始めた時の開口凹部に押し込まれた深さh(mm)を測定し、以下の式により、絞り比を求めた後、以下の基準で熱成形性として5段階評価を行った。
【0118】
絞り比(%)=(h/80)×100
熱成形性;絞り比75%以上…5
絞り比60%以上75%未満…4
絞り比50%以上60%未満…3
絞り比30%以上50%未満…2
絞り比30%以下…1
(熱安定性)
発泡体を20mm×20mm×5mmにカットし、これを210℃雰囲気下に5分間放置した後、23℃で冷却し、水中置換式密度計で体積V(mm3)を測定し以下の式で体積変化率(%)を求めた後、以下の基準で熱安定性として4段階評価を行った。
【0119】
体積変化率(%)={(2000−V)}/2000×100
熱安定性;体積変化率20%以下…◎
体積変化率20%以上30%未満…○
体積変化率30%以上50%未満…△
体積変化率50%以上…×
【0120】
実施例2,4,6,10,12,14,16,18,20,22及び24
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを表1〜表3に示したようにかつ厚み方向に重ならないように散布し、実施例1と同様に図1に示した製造装置を用いて発泡体を得た。但し、加熱装置9,9による熱可塑性樹脂粒状体Aの加熱温度は210℃とし、10分間加熱し、発泡させた後、30℃に設定された冷却装置10,10に移し10分間冷却し、厚さ10mmの発泡体を得た。
得られた発泡体について、実施例1と同様にして各特性を測定し、その結果を下記の表1〜表3に併せて示した。
【0121】
実施例7
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを用い、かつ図1に示した製造装置を用いて発泡体を得た。実施例7では、図1に示した製造装置の搬送ベルト5上に、補強シート1としてガラスペーパー(オリベスト社製、商品名:FVP−045)45g/m2で強化された高密度ポリエチレン(三菱油化社製、商品名:JX10、MI;20g/10分)90g/m2シートである複合シートを用いた。この複合シート上に上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを表1に示した散布投影面積率かつ多層になるように散布した。
【0122】
しかる後、上記複合シートと同一材料からなるシートを、図1に示した補強シート2として用い、複合シート間において発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを発泡させ、かつ成形した。この場合、加熱装置9,9による加熱温度は210℃とし、10分間加熱・発泡させた後、30℃に設定された冷却装置10,10に移行し、10分間冷却することにより、厚さ10mmの発泡体を得た。
得られた発泡体につき、実施例1と同様にして各特性を測定した。結果を下記の表1に併せて示す。
【0123】
実施例8
実施例7と同様にして発泡体を得た。但し、実施例8においては、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の繊維強化熱可塑性樹脂シート上への散布は表1に示す割合とし、かつ発泡性熱可塑性樹脂粒状体が厚み方向に重ならないように散布した。その他については、実施例7と同様にして成形を行い、厚さ10mmの発泡体を得た。
得られた発泡体の特性を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に併せて示す。
【0124】
比較例1
上記のようにして得た発泡性熱可塑性樹脂粒状体Aを210℃のギアオーブン中で10分間加熱・発泡させた後、空冷し、発泡粒状体を得た。得られた発泡粒状体を、10mm×200mm×200mmの内寸法を有する金型内に充填し、170℃のハンドプレスを用いて5分間加熱・融着させた後、30℃に設定された冷却装置に移行し、10分間冷却し、厚さ10mmの発泡体を得た。
【0125】
得られた発泡体の特性を実施例1と同様にして測定した。結果を下記の表1に併せて示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
なお、実施例1〜24において、熱可塑性樹脂粒状体Aの散布に際しての散布は全て250g/m2とした。また、表1〜表3においては省略しているが、得られた発泡成形体全体の発泡倍率は、実施例1〜24及び比較例1のいずれにおいても20倍である。
【0130】
表1〜表3から明らかなように、予備発泡を行い、かつ成形に際して再度発泡させてなるビーズ状発泡成形法を用いた比較例1では、得られた発泡成形体の曲げ強度が0.076kg/cm2と低いのに対し、実施例1〜24の発泡体では、曲げ強度が0.12kg/cm2以上と著しく高められていることがわかる。これは、実施例1〜6,実施例9〜24では、本発明の製造方法により発泡体が得られており、該発泡体では、高発泡体の全外表面が低発泡薄膜で被覆されており、該低発泡薄膜を介して高薄膜体同士が熱融着されていることによる。
【0131】
また、高発泡体が厚み方向において重ならないように形成されている発泡体では、同一組成からなる多層の発泡体に比べて曲げ強度がより高いことがわかる。例えば、実施例1と実施例2とを比較した場合、高発泡体が厚み方向に重なり合っていない実施例2の方が、実施例1に比べて曲げ強度の高いことがわかる。同様に、実施例3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23に比べて、実施例4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24の方が曲げ強度の高いことがわかる。
【0132】
また、低発泡薄膜の発泡倍率が1.1〜10倍の範囲にあり、かつその厚みは30〜500μmの範囲にある実施例5〜8及び実施例13〜24では、曲げ強度が、実施例1〜4,実施例9〜12に比べて高く、従って軽量性を活かしたまま、より一層曲げ強度の高い発泡体の得られていることがわかる。
【0133】
さらに、実施例7,8では、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなる複合シートが両面に積層されているため、曲げ強度が、それぞれ、0.51kg/cm2,0.57kg/cm2と効果的に高められていることがわかる。
【0134】
また、実施例9〜12では、熱可塑性樹脂粒状体Aの散布投影面積率が10〜75%の範囲から外れているため、残りの実施例に比べて、曲げ強度が低かった。従って、熱可塑性樹脂粒状体Aの散布投影面積率を10〜75%の範囲内とすることにより、曲げ強度の高い発泡体の得られることがわかる。
【0135】
さらに、熱可塑性樹脂粒状体Aを得るのに用いられた発泡性熱可塑性樹脂の溶融粘度が190℃で5000〜20000ポイズの範囲にある実施例15,16、19〜24では、発泡セル状態が良好であり、従って、均一かつ微細な発泡セルが均一に分散されていることがわかる。そのため、より一層曲げ強度の高い発泡体の得られていることがわかる。例えば、実施例13と実施例15とは、上記発泡性熱可塑性樹脂の溶融粘度及びゲル分率が変わることを除いては同様にして実施されているが、曲げ強度は、実施例13が0.27kg/cm2であるのに対し、実施例15では0.29kg/cm2と高められている。同様に、実施例14では、曲げ強度が0.29kg/cm2であるのに対し、実施例16では曲げ強度が0.30kg/cm2と高められている。さらに、実施例17と実施例19とを比較すると、発泡性熱可塑性樹脂の粘度のみが異なるにも係わらず、曲げ強度は実施例17が0.28kg/cm2であるのに対し、実施例19では0.29kg/cm2と高められていることがわかる。従って、発泡性熱可塑性樹脂の溶融粘度を上記特定の範囲とすることにより、より一層発泡セルが均一かつ微細に形成され、さらに、曲げ強度の高められた発泡体の得られることがわかる。
【0136】
また、発泡性熱可塑性樹脂のゲル分率が10〜30重量%の範囲内にある実施例17〜24においては、熱成形性と熱安定性のバランスに優れた発泡体の得られることがわかる。すなわち、実施例17〜24では、熱成形性が3以上の評価にあり、かつ熱安定性が△以上の評価を維持している。これに対し、実施例1〜16では、熱成形性及び熱安定性の双方を上記のように満たし得る結果が得られていない。
【0137】
さらに、ほとんど相溶性を有しない2種類の無架橋熱可塑性樹脂が重量比で3対7−7対3の範囲内の割合で配合されている実施例23,24では、熱成形性及び熱安定性のいずれにおいても優れており、かつ曲げ強度も0.30kg/cm2,0.31kg/cm2とより一層高められていることがわかる。
【0138】
なお、図3は、実施例23で得られた、高発泡体とその外表面を被覆している低発泡薄膜とを備えた本発明に係わる発泡体の高発泡体の一部分を20,000倍に拡大した電子顕微鏡写真であるが、この写真からもわかるように、架橋優先的にされた架橋密度が高い部分、すなわち写真において濃度が高い部分と、ほとんど架橋されていない架橋密度の低い部分、すなわち写真において濃度が低い部分が海島構造を形成していることが確認できる。このように、ほとんど架橋されておらず、架橋密度の低い部分が存在するため、成形時にはこの部分が流動性を有するので、本発明に係わる発泡体は、熱成形性が優れたものになるのである。
【0139】
また、屋上用断熱材では、25%圧縮強度が0.6kgf/cm2以上、及び圧縮永久歪が10%以下であることが必要といわれているが、実施例1〜24では、25%圧縮強度が0.6kgf/cm2以上であり及び圧縮永久歪が10%以下とされている。すなわち、圧縮強度と圧縮永久歪とのバランスのとれた発泡体の得られていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発泡体の製造方法に用いられる装置の一例を示す正面図。
【図2】本発明の発泡体の製造方法に用いられる製造装置の他の例を示す正面図。
【図3】実施例23で得られた発泡体の高発泡体部分を20,000倍に拡大した電子顕微鏡写真。
Claims (6)
- 熱分解性発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布する工程と、発泡性熱可塑性樹脂中に含有されている前記熱分解型発泡剤の発泡温度以上の温度に加熱して発泡性熱可塑性樹脂ペレットを発泡させる工程とを備える発泡体の製造方法。
- 前記発泡性熱可塑性樹脂ペレットを、厚み方向に重ならないように単層に散布する請求項1に記載の発泡体の製造方法。
- 前記発泡性熱可塑性樹脂ペレットの下方投影面積が、該ペレットの散布されている領域の外縁で囲まれた部分の下方投影面積の10〜75%を占めるように、前記発泡性熱可塑性樹脂ペレットを散布する請求項1または2に記載の発泡体の製造方法。
- 前記発泡性熱可塑性樹脂ペレットの溶融粘度が、190℃で5000〜20000ポイズである請求項1または2に記載の発泡体の製造方法。
- 前記発泡性熱可塑性樹脂中の樹脂のゲル分率が、10〜30重量%である請求項1または2に記載の発泡体の製造方法。
- 前記発泡性熱可塑性樹脂が、一方が他方に分散されて海島構造が実現されるように互いに非相溶性である2種類の無架橋熱可塑性樹脂を含み、前記2種類の無架橋熱可塑性樹脂が重量比で3対7〜7対3の範囲で混合されてなる熱可塑性樹脂組成物100重量部と、
前記無架橋熱可塑性樹脂のうちの一方の無架橋熱可塑性樹脂と同種類である熱可塑性樹脂を用いたシラン変性熱可塑性樹脂1〜50重量部と、
シラン架橋触媒と、
熱分解型発泡剤とを含む請求項1または2に記載の発泡体の製造方法。
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