JP6413689B2 - 発泡積層シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡積層シートの製造方法に関する。
発泡壁紙に用いる発泡積層シートとして、従来から、紙基材上に塩化ビニル樹脂からなる発泡樹脂層を形成したものが知られている。しかしながら、近年、環境への配慮から、発泡樹脂層にエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のようなオレフィン系樹脂等のハロゲンを含有しない樹脂が用いられるようになってきている。このような樹脂からなる発泡積層シートは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含むエマルジョンにマイクロカプセル型発泡剤を添加した発泡樹脂組成物を紙基材に塗布して乾燥させた後、その表面に絵柄模様を印刷し、次いで加熱発泡させ、エンボス版により凹凸模様を形成することにより製造することができる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体に熱分解型発泡剤を添加した発泡樹脂組成物をTダイ押出機を用いて紙基材上に押し出し積層し、表面に絵柄模様を印刷し、次いで加熱発泡させ、エンボス版により凹凸模様を形成することにより製造することもできる。なお、オレフィン樹脂にガス発生型の発泡剤を添加した発泡樹脂組成物のシートに架橋処理を施し、上記同様の工程を経て得られる発泡積層シートも知られている。
特許第5211834号公報 特開2000−094555号公報 特開2006−095715号公報
ところで、このような発泡積層シートの架橋処理に、シランカップリング反応を用いる水架橋を行うことが近年知られつつある。しかしながら、この架橋処理のためにシートを湿潤下で養生する方法や温水を付与する方法では、架橋に時間がかかってしまい、発泡積層シートの生産性を高めることが難しいという問題があった。
そこで、例えば100℃を超える過熱水蒸気を用いる方法が一案として考えられる。「過熱水蒸気」とは、飽和蒸気を更に加熱して飽和温度以上の蒸気温度を持たせた水蒸気である。過熱水蒸気を用いることにより、架橋前の樹脂組成物層に熱と同時に水分を与えることができ、水架橋処理を行うことが可能となる。しかし、このように過熱水蒸気を用いた場合、架橋に要する時間は湿潤養生方法等に比べれば確かに短縮されるものの、過熱水蒸気雰囲気下に樹脂組成物層(シート)を単に通している(図3参照)だけでは依然として架橋を行う速度が十分といえるほど早くはなく、更なる改善が望まれている。
一方、このような時間効率を向上させるには、過熱水蒸気の温度を上げて架橋処理を行うことが第1に考えられるが、この場合、樹脂組成物層に含まれる発泡剤が高温によりその一部が発泡してしまい、出来上がった発泡積層シートの表面が荒れてしまうという問題があった。このようにシート表面が荒れてしまうと、印刷に適さなくなってしまうため、単に過熱水蒸気の温度を上げるだけでは、生産性を高めることが難しい。
そこで、本発明では、樹脂組成物層における架橋処理を迅速に行うと共に良好なシート表面を得ることができる発泡積層シートの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る発泡積層シートの製造方法は、基材と該基材上に形成される発泡樹脂層とを備える発泡積層シートの製造方法であって、発泡剤及びシラン架橋性樹脂を含有する樹脂組成物層に対し、ノズルを用いて過熱水蒸気を噴霧する工程を備えており、ノズルを用いて過熱水蒸気を樹脂組成物層に噴霧することにより、樹脂組成物層に含まれるシラン架橋性樹脂を架橋させて、架橋後の樹脂組成物層を形成することを特徴としている。
この発泡積層シートの製造方法では、ノズルを用いて過熱水蒸気を樹脂組成物層に噴霧することにより、樹脂組成物層に含まれるシラン架橋性樹脂を架橋させて、架橋後の樹脂組成物層を形成するようにしている。この場合、過熱水蒸気雰囲気下に単に樹脂組成物層を通しているだけの場合と異なり、過熱水蒸気の熱を樹脂組成物層に積極的に伝えることができ、架橋にかかる時間を短縮化することができ、また、過熱水蒸気の熱を上げ過ぎる必要がなくなるため、含有される発泡剤の発泡を抑制して発泡積層シートの表面の荒れを抑制することができる。つまり、この発泡積層シートの製造方法によれば、発泡前の樹脂組成物層における架橋処理を迅速に行うと共に良好なシート表面を有する発泡積層シートを得ることが可能となる。
上記の発泡積層シートの製造方法において、樹脂組成物層がポリオレフィン樹脂を含んでいることが好ましい。このように樹脂組成物層がポリオレフィン樹脂を含む場合、ラミネート加工等により樹脂組成物層を発泡積層シートの基材等により容易に取り付けることができる。
上記の発泡積層シートの製造方法において、過熱水蒸気を噴霧する工程では、過熱水蒸気を15kg/時間以上で且つ90kg/時間以下となるように樹脂組成物層に噴霧することが好ましい。このような量の過熱水蒸気を樹脂組成物層に継続的に供給することにより、シラン架橋性樹脂の架橋をより確実に行いつつ、架橋を行う樹脂組成物のラインスピードをより一層早めることができる。なお、過熱水蒸気炉の長さによっては、供給する過熱水蒸気の量を90kgより大きくしてももちろんよい。なお、架橋に用いる過熱蒸気炉の一般的な容積は例えば0.01m〜1mであるが、過熱蒸気炉の容積が0.01mの場合、噴霧する過熱蒸気が15kg/時間以上であれば、架橋処理を確実に行うことができ、一方、過熱蒸気炉の容積が1mの場合であっても、噴霧する過熱蒸気が90kg/時間程度であれば、十分な架橋処理を行うことができる。このように過熱蒸気炉の容積に応じて所定の範囲で過熱蒸気の量を変化させることで、架橋処理を効率よく行うことが可能となる。
上記の発泡積層シートの製造方法において、過熱水蒸気の温度は、130℃以上500℃以下であることが好ましく、より好ましくは170℃以上である。ここでいう温度は大気圧下での温度であり、飽和蒸気の温度である100℃よりも高温となるため、過熱水蒸気は、より多くの熱量を有していることになる。このため、上記温度範囲にある過熱水蒸気を用いることにより、シラン架橋性樹脂の架橋をより確実に行いつつ、架橋を行う樹脂組成物のラインスピードを上げることができる。なお、過熱水蒸気が400℃付近になると有機物が炭化してしまうことも考えられるため、その場合には炭化しないようにラインスピードを上げることで対応することができる。なお、ここでいう「過熱水蒸気の温度」は、ノズルから噴霧された直後の温度を意味し、装置誤差がない場合、装置での設定温度に相当する。
上記の発泡積層シートの製造方法では、樹脂組成物層の過熱水蒸気による架橋を行う際のラインスピードが5m/分以上であることが好ましい。この場合、短時間により多くの樹脂組成物層の架橋を行うことが可能となる。
上記の発泡積層シートの製造方法では、樹脂組成物層とノズルの噴霧先端との距離が5mm以上で且つ200mm以下であることが好ましい。このように過熱水蒸気を噴霧するノズルを樹脂組成物層に近づけることにより、過熱水蒸気の熱を樹脂組成物層により効率的に伝達させることができ、架橋をより確実且つ短時間に行うことが可能となる。
上記の発泡積層シートの製造方法では、過熱水蒸気を噴霧する工程において、ノズルは、複数のノズル部それぞれから噴霧方向に向かって放射状に広がるように過熱水蒸気を噴霧する、又は、樹脂組成物層の幅よりも長いスリットを有するスリットノズルから過熱水蒸気を噴霧することが好ましい。複数のノズル部それぞれから噴霧方向に向かって放射状に広がるように過熱水蒸気を噴霧する場合、それぞれのノズルに温度勾配をつけて、より厳密な温度調整を行うことが可能となり、また、ノズル等の設備のメンテナンスを容易に行うことができる。また、スリットを有するスリットノズルから過熱水蒸気を噴霧する場合、ノズルを樹脂組成物層に近づけたとしても樹脂組成物層全体に過熱水蒸気を確実に噴霧することができるため、ノズルを樹脂組成物層により簡単に近づけることができる。
上記の発泡積層シートの製造方法は、架橋後の樹脂組成物層に含まれる発泡剤を加熱発泡させて樹脂組成物層から発泡樹脂層を得る工程を更に備えていてもよい。このような工程を備えることにより、基材上に発泡樹脂層が形成された発泡積層シートを確実に得ることができる。
本発明によれば、樹脂組成物層における架橋処理を迅速に行うと共に良好なシート表面を有する発泡積層シートを得ることが可能となる。
本発明に係る製造方法で製造される発泡積層シートの例を示す断面図であり、(a)は発泡前、(b)は発泡後の断面形状を示す図である。 本発明に係る樹脂組成物層の架橋処理方法を説明するための図である。 比較例に係る樹脂組成物層の架橋処理方法を説明するための図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る発泡積層シートの製造方法について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本発明に係る製造方法によって製造される発泡積層シートについて説明する。図1は、本発明に係る製造方法で製造される発泡積層シートの例を示す断面図であり、(a)は発泡前、(b)は発泡後の断面形状を示す。図1(a)に示すように、発泡前の積層シート1は、紙基材3と、発泡剤を含有する樹脂組成物層5とを備えており、紙基材3上に樹脂組成物層5が形成されている。紙基材3と樹脂組成物層5とはラミネート加工されていてもよい。積層シート1は、含有する発泡剤が所定の発泡倍率で発泡し、図1(b)に示すように、発泡後の発泡樹脂層5aを含む発泡積層シート1aとなる。なお、発泡積層シート1aは、表面に凹凸模様を有していてもよい。このような発泡積層シート1aは、例えば発泡壁紙として用いられる。
紙基材3は、例えば壁紙用裏打紙などの通常使用されている紙材を用いることができるが、特に限定されない。紙基材3としては、好ましくは、スルファミン酸グアニジンやリン酸グアニジンなどの水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙、又は、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機質剤を混抄した無機質紙等を用いることができ、その坪量としては50〜300g/m、好ましくは60〜160g/mである。
また、紙基材3の表面のうち樹脂組成物層5を設ける側の接着面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、又はオゾン処理等の易接着処理を施してもよい。また、紙基材3の接着面には、アクリル−ブチル共重合体、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン等を塗布した易接着処理層(図示しない)を設けるようにしてもよい。なお、紙基材3に代えて、例えば樹脂等からなる基材を用いてもよい。
樹脂組成物層5は、例えば発泡樹脂層5aを形成するための層であり、無機充填剤と発泡剤と樹脂とを含む樹脂組成物を用いて形成することができる。樹脂としては、無極性の非ハロゲン系熱可塑性樹脂が好ましい。非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、エチレン単独重合体、又は、エチレンと他のオレフィンモノマーとの共重合体を挙げることができる。非ハロゲン系熱可塑性樹脂を用いることで、エチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、及びアイオノマー樹脂などの極性樹脂を使用した場合と比較して、フィラーを増量した場合の粘度上昇が抑えられる為、高品質の壁紙を安定して生産することができる。
樹脂組成物層5を形成するための上記樹脂組成物は、更に、シラン架橋性樹脂を含有している。含有されるシラン架橋性樹脂としては、従来公知のシラン架橋性樹脂、特にシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂が好適に使用可能である。シラン架橋性ポリオレフィン系樹脂としては、母体としてのポリオレフィン系重合体に加水分解性シリル基を主として側鎖に導入した樹脂を用いることができる。例えば、低密度ポリエチレン系、高密度ポリエチレン系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリプロピレン系等のシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。架橋は、置換シリル基の加水分解により行われる。なお、このシリル基が末端に位置するポリオレフィン系樹脂が含まれていてもよい。
このシラン架橋性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂のモノマーとエチレン性不飽和シラン化合物を容器中でランダム共重合させる方法、又は、ポリオレフィン系樹脂の溶融物に過酸化物を用いてエチレン性不飽和シラン化合物をグラフト共重合する方法により得ることができる。ここで、母体のポリオレフィン系樹脂としては前記と同様の樹脂をいずれも使用することができる。更に、母体のポリオレフィン系樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、両樹脂の混合又は分散が許容される程度であれば上記ポリオレフィン系樹脂とは異なる樹脂を併用してもよい。混合又は分散の程度は、使用する押出機の種類により大差があり、また適宜の相溶化剤も使用できるので、組み合わせ樹脂は一概に区分はできないが、同種の樹脂であることが好ましい。以上で説明した樹脂組成物層5の樹脂組成物としては、三菱化学株式会社製の「リンクロン」などが例示される。
また、樹脂組成物層5には、必要に応じて顔料等を添加して着色してもよい。顔料添加による着色は透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック等の無機顔料やアニリンブラック、フタロシアニンブルー等の有機顔料を用いることができる。樹脂組成物層5に添加される顔料の添加量としては、樹脂成分100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部である。また、樹脂組成物層5に、難燃剤、セル調整剤、安定剤、又は滑剤等の周知の添加剤を添加してもよい。
続いて、図2を参照して、上述した積層シート1に対して架橋処理を行う方法について説明する。図2に示す例では、架橋前の樹脂組成物層5を紙基材3上に積層した積層シート1に対して、過熱水蒸気で架橋処理を行いつつラミネート処理も行っているが、架橋前の樹脂組成物層5に架橋処理を施した後に、別途、樹脂組成物層5を紙基材3上にラミネート等により積層するようにしてもよい。
まず、この架橋処理方法に用いる架橋処理装置10について、図2を参照しながら、説明する。架橋処理装置10は、積層シート1を構成する架橋前の樹脂組成物層5に対して過熱水蒸気Vを噴霧することができる噴霧ノズル12を複数備えている。各噴霧ノズル12は、図示下方に向かって放射状に過熱水蒸気Vを噴霧するように構成されており、各噴霧ノズル12からの過熱水蒸気Vが積層シート1の幅方向全体にかかるように各噴霧ノズル12間の位置及び高さが設定されている。各噴霧ノズル12は、その噴霧先端と樹脂組成物層5(積層シート1)との距離が5mm以上200mm以下となるように、樹脂組成物層5に近接してその上方に配置されていることが好ましい。なお、架橋処理装置10では、それぞれの噴霧ノズル12に温度勾配をつけて、装置全体としてより厳密な温度調整を行うようにしてもよいし、特に温度勾配をつけなくてもよい。また、複数の噴霧ノズル12を用いた場合、各ノズルの構造を簡素化できるため、設備のメンテナンスを容易に行うことができる。また、各噴霧ノズル12としては、樹脂組成物層5の幅方向と同一又はそれよりも長いスリットを有するスリットノズルを用いて、過熱水蒸気Vを噴霧するようにしてもよい。スリットノズルの場合、噴霧ノズル12を樹脂組成物層5に近づけたとしても樹脂組成物層5全体に過熱水蒸気を確実に噴霧することができるため、噴霧ノズル12を樹脂組成物層5により簡単に近づけることができる。
また、架橋処理装置10は、熱効率を向上させるため、各噴霧ノズル12と過熱水蒸気Vが積層シート1上に噴霧される噴霧領域とを覆うボックス14を備えている。ボックス14は、その容積が例えば0.01m〜1mとなっている。積層シート1は、このボックス14の一方に設けられた開口の入り口14aからボックス14内に挿入され、他方に設けられた開口の出口14bから出るようになっている。また、積層シート1は、噴霧ノズル12側に樹脂組成物層5が位置するように配置されることが好ましいが、紙基材3の場合には水蒸気が透過するため、紙基材3を噴霧ノズル12側に配置してもよい。
そして、このような構成を備えた架橋処理装置10内に積層シート1を挿入して、図示矢印方向に搬送すると、この積層シート1の樹脂組成物層5に対して、噴霧ノズル12から過熱水蒸気Vが噴霧される。近接配置された噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に直接噴霧することにより、樹脂組成物層5に含まれるシラン架橋性樹脂が架橋し、架橋後の樹脂組成物層5が形成される。
噴霧ノズル12から噴霧される過熱水蒸気Vは、飽和蒸気を更に加熱して飽和温度以上の蒸気温度を持たせた水蒸気であり、熱効率の良さから、樹脂組成物層5の架橋を短時間でも十分に行うことができる熱を供給することができる。特に、本実施形態では、近接配置された噴霧ノズル12から樹脂組成物層5に直接、過熱水蒸気Vを噴霧するようになっているため、熱がより効率的に樹脂組成物層5に伝達される。また、過熱水蒸気Vは、加熱して温度を上げても、ほぼ無酸素状態である水蒸気でもあるため、紙基材3の酸化等を防止することもできる。なお、樹脂組成物層5を紙基材3上に積層した状態でかかる過熱水蒸気Vを噴霧するため、架橋処理と並行して樹脂組成物層5と紙基材3とのラミネート処理が行われる。但し、架橋処理のみ行うようにして、ラミネート加工を別途行うようにしてももちろんよい。
ここで、架橋処理装置10の噴霧ノズル12から供給される過熱水蒸気Vは、大気圧下における温度(実測値)が例えば130℃以上500℃以下であることが好ましく、より好ましくは170℃以上400℃以下である。ここでいう温度は大気圧下での温度であり、飽和水蒸気の温度である100℃よりも高温となるため、過熱水蒸気は、より多くの熱量を有していることになる。このため、樹脂組成物層5の架橋処理を確実に行いつつ、ラインスピードを上げることができる。なお、過熱水蒸気Vが400℃付近になると有機物が炭化してしまうことも考えられるため、その場合には炭化しないようにラインスピードを上げる等により対応することができる。また、ここでいう「過熱水蒸気Vの温度」は、噴霧ノズル12から噴霧された直後の温度を意味し、装置誤差がない場合、装置での設定温度に相当する。
なお、樹脂層が発泡剤を含む場合、図3に示すように単に過熱水蒸気V下に積層シート1を配置し、過熱水蒸気Vの温度を上げるだけだと、発泡剤が分解(発泡)してしまうことがある。しかし、上記架橋処理方法のように噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vの熱を効率的に樹脂組成物層5に伝達することにより、発泡剤の温度が上がり分解する前に架橋処理を完了させることができる。
また、架橋処理装置10の噴霧ノズル12から供給される過熱水蒸気Vの量としては、10kg/時間以上90kg/時間以下であることが好ましく、15kg/時間以上であることがより好ましい。このような量の過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に継続的に噴霧することにより、架橋処理を確実に行いつつ、樹脂組成物層5を含む積層シート1のラインスピードをより一層早めることができる。具体的には、架橋処理に用いるボックス14の一般的な容積は0.01m〜1mであるが、ボックス14の容積が0.01mの場合、噴霧する過熱蒸気の量が15kg/時間以上であれば、架橋処理を確実に行うことができ、一方、ボックス14の容積が1mの場合であっても、噴霧する過熱蒸気の量が90kg/時間程度であれば、十分な架橋処理を行うことができる。このように架橋処理に用いるボックス14の容積に応じて所定の範囲で過熱蒸気の量を変化させることで、架橋処理を確実に行いつつ、ラインスピードを早めることができる。なお、本実施形態に示す架橋処理方法では、噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vを効率的に樹脂組成物層5に噴霧しているため、樹脂組成物層5を含む積層シート1のラインスピードを5m/分以上、好ましくは、10m/分とすることが容易に行える。つまり、短時間により多くの積層シート1の架橋処理を行うことができ、より多くの発泡積層シート1aを製造することが可能となる。
また、上述した架橋処理が行われた積層シート1に対して、所定の発泡処理を施すことで、図1(b)に示すような発泡積層シート1aを得ることができる。この発泡積層シート1aの表面には、凹凸模様等を更に付与する処理を行うようにしてもよい。
以上、本実施形態に係る発泡積層シート1aの製造方法では、噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に噴霧することにより、樹脂組成物層5に含まれるシラン架橋性樹脂を架橋させて、架橋後の樹脂組成物層5を形成するようにしている。このため、図3に示すように過熱水蒸気Vの雰囲気下で単に樹脂組成物層5を通しているだけの場合と異なり、過熱水蒸気Vの熱を樹脂組成物層5に積極的且つ効率的に伝えることができ、架橋にかかる時間を短縮化することができ、また、過熱水蒸気Vの熱を上げ過ぎる必要がなくなるため、含有される発泡剤の発泡を抑制して発泡積層シート1aの表面の荒れを抑制することができる。つまり、この発泡積層シート1aの製造方法によれば、発泡前の樹脂組成物層5における架橋処理を迅速に行うと共に良好なシート表面を有する発泡積層シート1aを得ることが可能となる。
また、本実施形態では、樹脂組成物層5がポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。このように樹脂組成物層5がポリオレフィン樹脂を含む場合、ラミネート加工等により樹脂組成物層5を発泡積層シート1aの紙基材3等により容易に取り付けることができる。
また、本実施形態では、樹脂組成物層5と噴霧ノズル12の噴霧先端との距離が5mm以上で且つ200mm以下であることが好ましい。このように過熱水蒸気Vを噴霧する噴霧ノズル12を樹脂組成物層5に近づけることにより、過熱水蒸気Vの熱を樹脂組成物層5により効率的に伝達させることができ、架橋をより確実且つ短時間に行うことが可能となる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、コートハンガータイプのマニュホールドを有するTダイと、スクリュー径(D)65mm、L/D(スクリュー長Lをスクリュー径Dで割ったもの)=32であるバリアタイプスクリューとを用いて、押出し厚み100μmで単層の樹脂シートとして押出し製膜した。押出し条件は、シリンダーからダイにわたる全てのゾーンで設定温度を120℃にした。押出しに使用した材料は、以下の表1に示す配合にて行い、樹脂組成物層5とした。なお、本実施例では、樹脂組成物層5のみをまずシート状に作製した。
Figure 0006413689
続いて、図2に示す架橋処理装置10を用いて、樹脂組成物層5のシート(シート幅:960mm)に噴霧ノズル12から過熱水蒸気Vを噴霧して架橋処理を行った。なお、架橋処理装置10のボックス14の容積は2mであった。この架橋処理では、過熱水蒸気Vの温度(設定温度)を140℃と400℃の2つの温度帯毎に分けて行った。過熱水蒸気Vの設定温度は、ノズルから噴霧された直後の蒸気温度と略同じであり、実際の樹脂組成物層5付近の蒸気温度は、例えば、設定温度−10〜−50℃である。また、過熱水蒸気Vの噴霧時間を3秒、10秒、30秒、60秒、180秒、及び300秒に分けて行い、この場合、シートの搬送を行わないようにした。また、噴霧ノズル12は、その噴霧先端が樹脂組成物層5から100mmの位置となるように配置した。また、過熱水蒸気Vの噴霧量は、60kg/時間であった。
その後、上述した条件で架橋処理を行った樹脂組成物層5を基材3上に積層し、熱プレス機を用いて、温度120℃、プレス圧力5MPaの条件で2分間の熱圧着を行った。なお、基材3としては、裏打紙(株式会社興人製、商品名「WK−665IHT」)を用いた。そして、熱圧着した積層シート1の樹脂組成物層5側の表面にコロナ放電処理を施した後、グラビア印刷機により水性インキを用いて織物絵柄を印刷した。次に、220℃で40秒間加熱して樹脂組成物層5中に含まれる発泡剤を加熱発泡させ、発泡積層シート1aを得た。
このように架橋処理を行いつつ架橋処理の際に発泡剤の発泡が抑制されたかどうかについて評価試験を行った。以下の表2にその結果を示す。
Figure 0006413689

S:シート表面が綺麗(発泡なし)で発泡倍率が6.0倍を超えたもの
A:セルが大きいが、発泡倍率が6.0倍を超えたもの
B:発泡倍率が3.0〜5.9倍
C:発泡倍率が0〜2.9倍
なお、上記評価結果の内、S,Aは架橋処理が好適に行われた指標であり、Bは架橋処理が好適とはまではいえない指標であり、Cは架橋処理が適正には行えなかった指標である。
一方、比較例として、実施例と同様の樹脂組成物層5を用い、図3に示すように、噴霧ノズル12を用いずに、過熱水蒸気Vの雰囲気下で架橋処理を行った。この架橋処理では、実施例と同様に、過熱水蒸気Vの温度(設定温度)を140℃と400℃の2つの温度帯毎に分けて行った。また、過熱水蒸気Vの噴霧時間を3秒、10秒、30秒、60秒、180秒、及び300秒に分けて行った。また、過熱水蒸気Vの注入量は、60kg/時間であった。
そして、実施例と同様に、熱プレス等を行って、発泡積層シート1aを得た。
このように架橋処理を行いつつ架橋処理の際に発泡剤の発泡が抑制されたかどうかについて評価試験(比較例)を行った。以下の表3にその結果を示す。
Figure 0006413689
以上、上述した実施例と比較例との結果比較から明らかなように、樹脂組成物層5に近接配置された噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に直接噴霧した場合、単に過熱水蒸気V雰囲気下に樹脂組成物層5を配置するよりも、より短い時間で好適な架橋処理が行えることが示された。また、樹脂組成物層5に近接配置された噴霧ノズル12を用いて過熱水蒸気Vを樹脂組成物層5に直接噴霧した場合、単に過熱水蒸気V雰囲気下に樹脂組成物層5を配置するよりも、良好なシート表面を得ることができることが示された。
1…積層シート、1a…発泡積層シート,3…紙基材、5…樹脂組成物層、5a…発泡樹脂層、10…架橋処理装置、12…噴霧ノズル、V…過熱水蒸気。

Claims (8)

  1. 基材と該基材上に形成される発泡樹脂層とを備える発泡積層シートの製造方法であって、
    発泡剤及びシラン架橋性樹脂を含有する樹脂組成物層に対し、ノズルを用いて過熱水蒸気を噴霧する工程を備えており、
    前記過熱水蒸気の温度は、130℃以上500℃以下であり、
    前記ノズルを用いて前記過熱水蒸気を前記樹脂組成物層に噴霧することにより、前記樹脂組成物層に含まれる前記シラン架橋性樹脂を架橋させて、架橋後の樹脂組成物層を形成することを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
  2. 前記樹脂組成物層がポリオレフィン樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡積層シートの製造方法。
  3. 前記過熱水蒸気を噴霧する工程では、前記過熱水蒸気を15kg/時間以上で且つ90kg/時間以下となるように前記樹脂組成物層に噴霧することを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡積層シートの製造方法。
  4. 前記過熱水蒸気の温度は、170℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
  5. 前記樹脂組成物層の前記過熱水蒸気による架橋を行う際のラインスピードが5m/分以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
  6. 前記樹脂組成物層と前記ノズルの噴霧先端との距離が5mm以上で且つ200mm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
  7. 前記過熱水蒸気を噴霧する工程において、前記ノズルは、複数のノズル部それぞれから噴霧方向に向かって放射状に広がるように前記過熱水蒸気を噴霧する、又は、前記樹脂組成物層の幅と同一又はそれよりも長いスリットを有するスリットノズルから前記過熱水蒸気を噴霧することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
  8. 前記架橋後の樹脂組成物層に含まれる発泡剤を加熱発泡させて前記樹脂組成物層から前記発泡樹脂層を得る工程を更に備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の発泡積層シートの製造方法。
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