JP3848419B2 - 発泡性熱可塑性樹脂シート及び発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性熱可塑性樹脂シート、及びこのシートを用いた発泡体の製造方法に関し、より詳細には、厚み方向に沿って擬似的な一次元発泡を可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート及びこのシートを用いた発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体は軽量であり、断熱性、柔軟性、浮揚性及び成形性などにおいて優れているため、屋上断熱材、車両用天井材もしくは床用断熱材などの各種断熱材、緩衝材、浮揚材または異形成形物等において幅広く用いられている。
【0003】
上記のような熱可塑性樹脂発泡体の製造方法として、従来、熱分解型発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂シートを該発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡させることにより発泡体を得る方法が広く用いられている。この発泡性熱可塑性樹脂シートの発泡に際しては、内部に含有されている発泡剤が分解することにより発生するガスの圧力により発泡が行われる。
【0004】
従って、発泡性熱可塑性樹脂シートは、通常、ほぼ3次元的に均等に発泡・膨張するので、発泡体の製造に際しては、特に連続的に長尺状の発泡体を製造する場合は、幅方向及び長手方向の膨張によるしわの発生等に対応する必要がある。
【0005】
例えば、特公昭48−9955号公報に記載の方法では、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂シートを繰り出し、加熱・発泡させて発泡シートを得、該発泡シートを巻き取るに際し、発泡による長手方向による膨張分に応じてシート繰り出し速度に比べて巻取り速度を速め、かつ幅方向の膨張分に応じてシートを幅方向に拡幅し、それによって最終的に得られる発泡シートにおけるしわの低減が図られている。
【0006】
しかしながら、この方法では、加熱・発泡時に連続的に生産されている発泡シートを幅方向に拡張するために複雑な治具及び工程を必要とする。加えて、発泡後冷却する前に発泡シートを拡幅する必要があるため、得られた発泡シートの幅方向両端において品質が低下せざるを得なかった。その結果、得られた発泡シートにおいて、幅方向両端近傍部分を除去したりする必要があるため、発泡体の生産性が低下するという問題があった。
【0007】
さらに、上記製造方法で得られた発泡シートでは、発泡によって生じるシート面内方向における熱可塑性樹脂の膨張を延伸及び拡幅により相殺しているため、発泡体の内部に延伸や拡幅に伴う力が熱応力として残存することになる。そのため、得られた発泡シートに温度変化が与えられた場合に、シートの寸法が非常に大きく変化するという問題もあった。
【0008】
他方、特開平7−16856号公報には、発泡剤を含有している発泡性熱可塑性樹脂よりなるペレットもしくは環状物(以下、ペレット等と略す)を搬送ベルト上に散布し、該発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡・膨張させてシート状発泡体を得る方法が開示されている。この方法では、搬送ベルト上に発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を散布し、予め搬送ベルトの上方を熱可塑性樹脂シートや他の搬送ベルトで規制し、下方の搬送ベルトと熱可塑性樹脂シートもしくは他方の搬送ベルトとの間で熱可塑性樹脂ペレット等を加熱により発泡させることにより、所望の厚みの発泡体を形成するとともに、該シートの面内方向においては、発泡性樹脂ペレット等間の空間を上記発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の膨張により満たすことにより、シート状発泡体を得ている。この方法においても、発泡性熱可塑性樹脂は発泡に際して3次元的に膨張する。しかしながら、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等は、搬送ベルト上において2次元的には不連続に配置されており、発泡性熱可塑性樹脂ペレット間の空間が発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の2次元的な膨張により充填される。すなわち、厚み方向において疑似的な一次元発泡の形態で発泡性熱可塑性樹脂が発泡することにより発泡体が得られるため、得られたシート状発泡体を幅方向や長手方向に拡幅もしくは延伸する必要がない。
【0009】
もっとも、上記発泡性熱可塑性樹脂ペレット等を用いた発泡体の製造方法では、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状況をコントロールして発泡により生じる膨張分に対応する空間を予め設定している。従って、発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の散布状況により、得られる発泡体の厚み精度、重量精度及び表面性等の品質が左右され易い。また、目的とする発泡体の厚みを増大させた場合には、用いる発泡性熱可塑性樹脂ペレット等の寸法を大きくしなければならず、その場合には、ペレットの内部まで均一に加熱するのに時間を要するため、生産性が低下しがちであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の諸欠点を解消し、厚み方向に擬似的な一次元発泡を行うことができ、かつ表面平滑性、熱寸法安定性等の品質に優れた発泡体を高い生産性をもって製造することを可能とする発泡性熱可塑性樹脂シート及び発泡体の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜を介して一体的に連結された発泡性熱可塑性樹脂シートであり、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されており、かつ発泡性熱可塑性樹脂シートの形状が次式に示す関係を実質的に満足する形状であることを特徴としている。
【0012】
【数3】
【0013】
(ここで、Pは発泡性熱可塑性樹脂粒状体の間隔(mm)、fは発泡倍率、Sは発泡性熱可塑性樹脂粒状体の断面積(mm2 )を示す。)
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡させて発泡体を製造する方法であり、請求項1に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シートを、該シートが含有する発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡させることを特徴としている。
【0015】
以下、本発明の詳細を説明する。
熱可塑性樹脂
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜を構成するための熱可塑性樹脂としては、発泡可能な熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではない。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「ポリエチレン」とは、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、またはこれらの混合物をいう。)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン(以下、「ポリプロピレン」とは、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ブロック状ポリプロピレン、またはこれらの混合物をいう。)等のオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの共重合体等が挙げられ、これらは、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0016】
上記熱可塑性樹脂の中でも、得られる発泡体の表面性及び柔軟性を高め得るので、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物が好ましく、柔軟性を高めるためには、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレンまたはこれらの少なくとも一方を含む混合物が特に好ましい。
【0017】
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体を構成する熱可塑性樹脂と、発泡性熱可塑性樹脂薄膜を構成する熱可塑性樹脂とは、同一の樹脂である必要性はないが、発泡性及び接着性等の観点から、同種の樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
上記熱可塑性樹脂は必要に応じて架橋されていてもよい。架橋された熱可塑性樹脂を用いることにより、発泡倍率の向上及び得られる発泡体の軽量化を図り得るため、架橋されたものを用いることが好ましい。架橋方法としては、特に限定されず、例えば、▲1▼シラングラフト重合体を熱可塑性樹脂に溶融混練後、水処理を行い、架橋する方法、▲2▼熱可塑性樹脂に過酸化物を該過酸化物の分解温度より低い温度で溶融混練後、過酸化物の分解温度以上に加熱して架橋する方法、▲3▼放射線を照射して架橋する方法等が挙げられる。
【0019】
先ず、上記▲1▼のシラングラフト重合体を用いた架橋方法を説明する。上記シラングラフト重合体としては、特に限定されず、例えば、シラングラフトポリエチレンやシラングラフトポリプロピレン等を例示することができる。なお、上記シラングラフト重合体は、例えば、重合体を不飽和シラン化合物でグラフト変性することにより得ることができる。
【0020】
上記不飽和シラン化合物とは、一般式R1SiR2 m Y3-m で表される化合物をいう。但し、mは0、1、または2である。
式中、上記R1 はビニル基、アリル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;グリシジル基;アミノ基;メタクリル基;γ−クロロエチル基、γ−ブロモエチル基等のハロゲン化アルキル基等の有機官能基である。
【0021】
式中、R2 は脂肪族飽和炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基、フェニル基等が挙げられる。
式中、Yは加水分解可能な有機官能基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオノキシアリールアミノ基等が挙げられ、mが0または1のとき、Y同士は同一であっても、異なっていてもよい。
【0022】
架橋反応速度向上のためには、上記不飽和シラン化合物としては、一般式CH2 =CHSi(OA)3 で表されるものが好ましい。式中、Aは好ましくは、炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4の脂肪族飽和炭化水素基である。CH2 =CHSi(OA)3 で表される好ましい不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
上記シラングラフト重合体の製造方法としては、一般的な製法が用いられ、特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレンに、上述のR1 SiR2 m Y3-m で表される不飽和シラン化合物及び有機過酸化物を反応させ、シラン変性ポリエチレンを得る方法が挙げられる。
【0024】
シリル基を有する上記シラングラフト重合体は、例えば、Yがメトキシ基である場合には、これが水と接触することにより、加水分解して水酸基となり、異なる分子の水酸基同士が反応し、Si−O−Si結合を形成して、シラングラフト重合体同士が架橋する。
【0025】
前述の水処理方法は、水中に浸漬する方法のほか、水蒸気にさらす方法も含まれ、かかる場合、100℃より高い温度で処理する場合には、加圧下において行えばよい。
【0026】
上記水処理の際の水及び水蒸気の温度が低いと、架橋反応速度が低下し、また、高すぎると発泡性熱可塑性樹脂同士が融着するので、50〜130℃が好ましく、90〜120℃が特に好ましい。
【0027】
また、水処理する際の時間が短いと、架橋反応が完全に進行しない場合があるので、水処理時間は5分〜12時間の範囲とすることが好ましい。
シラングラフト重合体を混合する方法は、均一に混合し得る方法であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂及びシラングラフト重合体を1軸または2軸押出機に供給し、溶融混練する方法、ロールを用いて溶融混練する方法、ニーダーを用いて溶融混練する方法等が挙げられる。
【0028】
シラングラフト重合体の添加量が多すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると、セルが破泡し、均一な発泡セルが得られなくなるので、シラングラフト重合体の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜50重量部が好ましく、20〜35重量部が特に好ましい。
【0029】
また、シラングラフト重合体を用いてシラン架橋する場合には、必要に応じてシラン架橋触媒を用いてもよい。シラン架橋触媒は、シラングラフト重合体同士の架橋反応を促進するものであれば、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、オレイン酸錫、オクタン錫鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸コバルト、ナフテン酸鉛、カブリル酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0030】
上記シラン架橋触媒の添加量が多くなると、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なくなると、架橋反応速度が低下し、水処理に時間を要するので、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、シラン架橋触媒の添加量は、0.001〜10重量部の範囲が好ましく、0.01〜0.1重量部がより好ましい。
【0031】
次に、前述した▲2▼の上記過酸化物により熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。
本方法において用いられる過酸化物は特に限定されず、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド等が挙げられ、分解温度が適性温度範囲であるので、ジクミルパーオキサイド、ターシャルブチルクミルパーオキサイドが好ましく、ジクミルパーオキサイドが特に好ましい。
【0032】
過酸化物の添加量が、多すぎると、樹脂分解反応が進行しやすくなり、得られる発泡体が着色し、また、少なすぎると、熱可塑性樹脂の架橋が不十分となることがあるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して、過酸化物の添加量は0.5〜5重量部が好ましく、1〜3重量部が特に好ましい。
【0033】
さらに、上記▲3▼の放射線を照射し、熱可塑性樹脂を架橋する方法について述べる。
放射線の照射量が多すぎると、架橋が掛かりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、また、少なすぎると発泡セルが破泡し、均一な発泡セルが得られないので、放射線照射量は、1〜20Mradが好ましく、3〜10Mradが特に好ましい。
【0034】
放射線を照射する方法は、特に限定されず、例えば、2台の電子線発生装置を用い、その間を熱可塑性樹脂を通過させ、熱可塑性樹脂に電子線を照射する方法等が挙げられる。
【0035】
本発明では、好ましくは、上記発泡性熱可塑性樹脂において用いられる熱可塑性樹脂が、ほとんど相溶性を有しない高架橋熱可塑性樹脂組成と低架橋もしくは無架橋熱可塑性樹脂組成との混合物よりなる。この場合、発泡時には低架橋もしくは無架橋樹脂組成物が流動し易いので、得られる発泡体の表面平滑性が高められる。
【0036】
高架橋熱可塑性樹脂組成と低架橋または無架橋熱可塑性樹脂組成における高架橋及び低架橋とは、双方の架橋度の大小により決定される相対的な表現であり、2つの架橋樹脂組成のうち、相対的に高架橋の樹脂組成を高架橋樹脂組成(A)といい、他方を低架橋または無架橋樹脂(B)とする。
【0037】
高架橋熱可塑性樹脂組成(A)は、熱可塑性樹脂成分(A´)を主成分とする樹脂組成であり、低架橋または無架橋熱可塑性樹脂組成(B)は、熱可塑性樹脂成分(B´)を主成分とする樹脂組成である。従って、ほとんど相溶性を有さない、高架橋樹脂組成(A)と低架橋または無架橋樹脂組成(B)の混合物を発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂として使用する際には、その主成分である樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)がほとんど相溶性を示さない。
【0038】
ほとんど相溶性を有さない上記2種類の熱可塑性樹脂成分(A´),(B´)に使用される熱可塑性樹脂としては、前述した熱可塑性樹脂を用いることができるが、均一微細な樹脂成分(A´)及び樹脂成分(B´)を形成するには、2種類の熱可塑性樹脂の溶解性パラメーターの差が0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがさらに好ましい。
【0039】
溶解性パラメーターの差が2.0を超えると、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)が非常に粗く分散するため、得られる発泡体の発泡倍率が低下する。他方、溶解性パラメーターの差が0.1より小さいと、2種類の熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とを形成することができなくなる。
【0040】
上記溶解性パラメーターは、σ=ρΣFi/Mにより求めた値をいう。なお、ρは樹脂成分の密度、Mは熱可塑性樹脂成分を構成するモノマーの分子量、Fiは、モノマーの構成グループのモル吸引数である。
【0041】
上記、2種類の熱可塑性樹脂のメルトインデックス(MI)の差が、大きくなると、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とが非常に粗く分散するため、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、小さくなると、2種類の熱可塑性樹脂の相溶性が高くなり、樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)とを形成することができないことがあるため、MIの差は、3〜15g/10分の範囲が好ましく、粒径が細かく均一な樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)を実現でき、かつ高発泡倍率の発泡体を得るには、MIの差は5〜13g/10分が好ましく、7〜11g/10分がより好ましい。
【0042】
なお、本明細書におけるMIは、JIS K7210に従って、測定された値である。
樹脂成分(A´)と樹脂成分(B´)が均一に分散し、かつ表面性に優れた高発泡倍率の発泡成形体を得るためには、高架橋樹脂組成(A)と低架橋もしくは無架橋樹脂組成(B)との混合比率は重量比で、2:8〜8:2であることが望ましく、4:6〜6:4が好ましく、5:5がより好ましい。
【0043】
高架橋樹脂組成(A)の架橋度が高すぎると、架橋がかかりすぎ、得られる発泡体の発泡倍率が低下し、逆に、低すぎると発泡時にセルが破泡し、均一なセルが得られないことがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5〜60重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。
【0044】
低架橋または無架橋樹脂組成(B)の架橋度が高いと、架橋がかかりすぎ、得られる発泡体の流動性が低下し表面性が低下し、発泡体の表面滑性性が低くなることがあるので、架橋度の指標となるゲル分率で5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0045】
なお、本明細書におけるゲル分率とは、架橋樹脂成分を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後の残渣重量のキシレン浸漬前の架橋熱可塑性樹脂成分の重量に対する重量百分率をいう。
【0046】
ほとんど相溶性を有さない、高架橋熱可塑性樹脂組成(A)と低架橋または無架橋熱可塑性樹脂組成(B)の混合物を調製する方法としては、上記2種類の熱可塑性樹脂を混合し、樹脂成分(A´)のみをまたは樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)を優先的に架橋することにより達成される。
【0047】
樹脂成分(A´)のみを、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)を優先的に架橋する方法としては、例えば、▲1▼樹脂成分(A´)にのみまたは樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋する架橋剤を用いて架橋する方法、▲2▼第1段階で、架橋性官能基を有する樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)を樹脂成分(A´)と混合し架橋して、高架橋樹脂組成(A)を形成させた後、第2段階で、これを樹脂成分(B´)と混合する方法等が挙げられる。
【0048】
もっとも、粒径が小さく、かつ均一な樹脂成分(A´)、(B´)を形成することができること、樹脂成分(A´)を優先的に架橋し易いこと、並びに熱可塑性樹脂を容易に調製し得ることから、▲3▼樹脂成分(A´)とほとんど同じメルトインデックスを有し、かつ架橋性官能基を有する、樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)を、樹脂成分(A´)及び(B´)と共に混合した後、架橋させる方法が最も好ましい。
【0049】
樹脂成分(A´)とほとんど同じメルトインデックスを有した架橋性官能基を有する樹脂成分(A´)と同種の架橋性樹脂(C)としては、反応性官能基を有し、樹脂を架橋することができる熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。このような架橋性樹脂(C)としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基等の不飽和基、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、シラネート基等を有する前述した熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0050】
架橋性樹脂(C)の具体的な例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレン等が挙げられる。樹脂成分(A´)のみに、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋することが容易なこと、及び混合後の架橋が容易なことから、シラン変性ポリエチレン、シラン変性ポリプロピレンが最も好ましい。
【0051】
樹脂成分(A´)と架橋性樹脂(C)のメルトインデックスの差が大きいと、樹脂成分(A´)のみに、または樹脂成分(B´)より樹脂成分(A´)に優先的に架橋することが困難になるため、上記メルトインデックスの差は2g/10分以下が好ましく、1g/10分以下がさらに好ましい。
【0052】
上記架橋性樹脂(C)を架橋する方法としては、過酸化物を用いて架橋する方法、イソシアネートを用いて架橋する方法、アミンを用いて架橋する方法、反応性官能基を加水分解した後、水架橋する方法等が挙げられる。
【0053】
混合後の架橋が容易なことから、反応性官能基を加水分解した後水架橋する方法が最も好ましい。
【0054】
発泡剤
本発明において、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に含有される発泡剤としては熱分解型の発泡剤が用いられる。
【0055】
上記熱分解型発泡剤としては、用いられる熱可塑性樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものであれば、特に限定されず、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、アジド化合物、ほう水素化ナトリウム等の無機系熱分解型発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボン酸バリウム、トリヒドラジノトリアジン等が挙げられ、分解温度や分解速度の調整が容易でガス発生量が多く、衛生上優れているアゾジカルボンアミドが好ましい。
【0056】
上記熱分解型発泡剤の添加量が多すぎると、破泡し、均一なセルが形成されず、逆に少なすぎると十分に発泡しなくなることがあるため、熱分解型発泡剤は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の割合で含有させることが好ましい。
【0057】
他に添加し得る成分
熱可塑性樹脂発泡体の強度を高めるために、上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体及び発泡性熱可塑性樹脂薄膜に用いられる上記熱可塑性樹脂には、必要に応じて、ガラス短繊維、炭素短繊維、ポリエステル短繊維等の補強材;炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスパウダー等の充填材等を添加してもよい。
【0058】
補強材として、上記短繊維を添加する場合、補強材の添加割合が多すぎると、発泡時にセルが破壊し、高発泡倍率の発泡体を得ることができず、逆に少なすぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得られなくなる。従って、上記短繊維を添加する場合には、その配合割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し1〜2重量部が好ましく、3〜10重量部が特に好ましい。
【0059】
短繊維の長さが長すぎると、得られる発泡体の軽量化を図ることができず、短すぎると、得られる発泡体を補強する効果が十分に得られなくなることがあるため、短繊維の長さは、1〜20mmが好ましく、3〜5mmが特に好ましい。
【0060】
また、上記充填剤を添加する場合、添加量が多いと、得られる発泡体の軽量化が図れず、また、少ないと、得られる発泡体を補強する効果が充分に得られないことがある。従って、充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、10〜100重量部が好ましく、30〜50重量部が特に好ましい。
【0061】
発泡性熱可塑性樹脂シートの製造方法
請求項2に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シートの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、1)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂、熱分解型発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度よりも低い温度で溶融混練した後、シート形態に押出し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体に対応した凹部を有するロールで賦形しつつ冷却し、発泡性熱可塑性樹脂シートを得る方法、2)発泡性熱可塑性樹脂シートを構成する熱可塑性樹脂や熱分解型発泡剤などを押出機に供給し、熱分解型発泡剤の分解温度より低い温度で溶融混練し、発泡性熱可塑性樹脂粒状体に対応した凹部を有する金型に射出した後冷却し、発泡性熱可塑性樹脂シートを得る方法などを挙げることができる。
【0062】
上記発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状についても特に限定されず、例えば六方体、円柱状などを挙げることができるが、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の発泡に際し均一に発泡させ易いため、円柱状のものが最も好ましい。
【0063】
発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、特に限定されるものではないが、厚すぎると加熱時に発泡性熱可塑性樹脂シートの波打ちが生じ易くなり、薄すぎると発泡熱可塑性樹脂シートを製造するに際し発泡性熱可塑性樹脂薄膜が破れ易くなる。従って、発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みは、0.1〜0.6mmが好ましく、0.15〜0.4mmが特に好ましい。
【0064】
発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡させるための加熱方法については、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱し得る限り、特に限定されるものではなく、例えば、電気ヒーター、遠赤外線ヒーター、加熱された油や空気等の加熱媒体を循環させてなる加熱装置などを用いて加熱する方法を挙げることができる。
【0065】
本発明の発泡性熱可塑性樹脂シートにおいては、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置されている。千鳥状の配置とは、一列毎の配置を列内方向における粒状体間の間隔のほぼ半分程度その位置をずらした配置状態であり、具体的には奇数番目の配列と偶数番目の配列の位置が列内方向における粒状体間の間隔のほぼ半分ずれた配置状態である。このように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を千鳥状に配置することにより、発泡性熱可塑性樹脂が長手方向及び幅方向に均等に発泡して隙間を埋めることになるため、得られる発泡体の発泡倍率が全体にわたり均一となる。
【0066】
また、本発明の発泡性熱可塑性樹脂シートは、上記の式(1)を実質的に満足するような形状である。ここで、実質的に満足するとは、上記の式(1)における{(右辺の値)−(左辺の値)}/(左辺の値)が、±30%の範囲内、好ましくは±20%の範囲内である場合をいう。上記の式(1)に示す関係を実質的に満足する形状であれば、発泡性熱可塑性樹脂が長手方向及び幅方向にさらに均等に発泡して隙間を埋めるため、表面平滑性に優れ、かつ熱寸法安定性に優れた発泡体とすることができる。
【0067】
【発明の実施の形態】
図面を参照しつつ、請求項1に記載の発泡性熱可塑性樹脂シートの構造の一例を説明する。
【0068】
図1は、本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シートの一例を説明するための断面図であり、図2は平面図である。
図2に示すように、発泡性熱可塑性樹脂シート1では、多数の発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が面方向に千鳥状に配置されている。また、この発泡性熱可塑性樹脂粒状体2は、下端側において、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3に連結されており、それによって発泡性熱可塑性樹脂薄膜3と一体化されている。
【0069】
本発明においては、粒状体間の間隔P、発泡倍率f、及び発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の断面積Sが、上記の式(1)に示す関係を実質的に満足するように設定されている。なお、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の断面積Sは、発泡性熱可塑性樹脂薄膜3の薄膜面方向に切断した場合の断面積である。図1及び図2に示す構造例の発泡性熱可塑性樹脂粒状体2は円筒状の形状を有しており、断面積Sとなる断面は円形の断面となる。また、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の間隔Pは、最も近接する発泡性熱可塑性樹脂粒状体2間の間隔である。
【0070】
上記式(1)における各パラメーターの値は、上記式(1)を実質的に満足するように設定されるものであれば特に限定されるものではないが、一般的な値を示すと、以下のようになる。
【0071】
発泡性熱可塑性樹脂粒状体の断面積S:3.0〜78.5mm2
発泡性熱可塑性樹脂粒状体の間隔P:3.0〜30.0mm
発泡倍率f:2〜50倍
【0072】
この発泡性熱可塑性樹脂シート1を用いて発泡体を製造する場合、含有されている発泡剤の分解温度以上に加熱すればよい。加熱により、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が、それらの間の間隙を埋めるように発泡する。発泡性熱可塑性樹脂薄膜3は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2に比べ、その厚みが非常に薄いので、発泡の際の気泡含有率が低くなり、従って発泡倍率が低くなる。このため、シート全体としては、面方向よりも、厚み方向に優先的に発泡が生じ、厚み方向に擬似的な一次元発泡を行うことができる。
【0073】
(作用)
図2を参照して、上記式(1)における各項の物理的な意義について説明する。式(1)の左辺の項は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の各中心間を結んでできる最小の正三角形の面積を表している。図2においては、点線で示す正三角形の面積である。右辺の第1項は、平面(2次元)方向における発泡倍率を表している。また右辺の第2項は、上記正三角形の内部にある発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の面積を表している。図2においては、ハッチングを付して示した部分である。
【0074】
式(1)は、上記の正三角形内にある発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が発泡倍率fで発泡するとき、平面方向には( 3√f)2 倍発泡し、そのとき正三角形内にある発泡性熱可塑性樹脂粒状体2が上記の正三角形の領域をほぼ過不足なく埋めるように発泡することを意味し、そのようになるように発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の間隔P、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の断面積S、及び発泡倍率fが定められていることを意味している。
【0075】
【実施例】
以下、本発明の非限定的な実施例を説明する。
(発泡性熱可塑性樹脂シートの製造)
実施例1〜5
下記の表1に示す割合で、高密度ポリエチレンA(三菱化学社製、商品名:EY340、MI=1.5)、高密度ポリエチレンB(三菱化学社製、商品名:HJ381P、MI=9)、ポリプロピレン(三菱化学社製、商品名:MA3、MI=11)、シラングラフトポリプロピレン(三菱化学社製、商品名:XPM800HM、MI=11)及び架橋触媒としてのジブチル錫ジラウレート(三菱化学社製、商品名:PZ10S)、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(大塚化学社製、商品名、SO−20、分解温度=210℃)を、図3に示す2軸押出機11に供給し、180℃で溶融混練し、面長300mm、リップ1.5mmのTダイ12でシート形態に押し出した。
【0076】
さらに、図4に拡大して示す一対の賦形ロール13,14間を通過させて賦形しつつ冷却し、98℃の水中に2時間浸漬した後乾燥し、表1に示す形状を有する発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。
【0077】
なお、上記ロール13,14としては、直径250mm、面長300mmのものを用い、ロール13には、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を構成するための複数の凹部13aが周方向に均一に形成されている。
【0078】
なお、実施例1〜5で得た発泡性熱可塑性樹脂シートにおける発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状、配置及び貫通孔の形状、配置等については、上記ロール13に設けられている凹部13aを調整することにより調節した。
【0079】
比較例1
上記凹部を有しない直径250mm及び面長300mmの一対のロール間で賦形しながら冷却し、厚さ1.0mmの平坦な発泡性熱可塑性樹脂シートを得たこと以外は、実施例1と同様にして発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。
【0080】
比較例2
上記凹部を有しない直径250mm、面長300mmの一対のロール間で冷却した後、冷却されたシートをペレット化し、5mm×5mm×厚さ2mmの発泡性熱可塑性樹脂ペレットを得たこと以外は、実施例1と同様とした。
【0081】
比較例3〜5
下記の表1に示すように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体の形状寸法及び配置を設定する以外は、上記実施例1〜5と同様にして発泡性熱可塑性樹脂シートを得た。
【0082】
実施例1〜5及び比較例3〜5の発泡性熱可塑性樹脂シートの形態
上記のようにして得た実施例1〜5及び比較例3〜5の発泡性熱可塑性樹脂シートでは、一対のロール間を通過することにより賦形されており、複数の発泡性熱可塑性樹脂粒状体が凹部13aにより構成され、該発泡性熱可塑性樹脂粒状体が発泡性熱可塑性樹脂薄膜により連結されている発泡性熱可塑性樹脂シートが構成されていた。
【0083】
実施例1〜5及び比較例3〜5の発泡性熱可塑性樹脂シートにおける式(1)の左辺の値及び右辺の値を表1に示す。なお、表1において、粒状体直径(d)は、円柱状の発泡性熱可塑性樹脂粒状体の平面方向における直径を示しており、粒状体高さ(h)及び薄膜厚み(t)は、図1に示すように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体2の高さと発泡性熱可塑性樹脂薄膜の厚みをそれぞれ示している。比重(ρ)は、発泡性熱可塑性樹脂シート1を構成する発泡性熱可塑性樹脂の比重であり、目付(W)は、発泡性熱可塑性樹脂シートの単位面積あたりの重量を示している。また、「式(1)の左辺と右辺の値のズレ」は、{(右辺の値)−(左辺の値)}/(左辺の値)×100の値を示している。
【0084】
【表1】
【0085】
表1に示すように、実施例1〜5は、式(1)の左辺の値と右辺の値がほぼ実質的に等しくなっており、式(1)の関係を実質的に満足している。
【0086】
(発泡体の製造)
上記のようにして得た各発泡性熱可塑性樹脂シート1または発泡性熱可塑性樹脂ペレットを、図5に示すように、フッ素樹脂シート16上に配置し、発泡性熱可塑性樹脂上にさらにフッ素樹脂シート17を重ね、210℃のハンドプレス18を用い10分間加熱し、発泡させた。しかる後、30℃の冷却プレス(図示せず)に移し、10分間冷却し、発泡体を得た。
【0087】
以上のようにして得られた発泡体のうち、実施例1〜5及び比較例3〜5の発泡体は、発泡性熱可塑性樹脂粒状体を千鳥状に配置した発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡したものであるので、図6(a)の断面図及び図6(b)の平面図に示すように、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が加熱により、発泡性熱可塑性樹脂粒状体間の隙間を埋めるようにして発泡し、粒状体の発泡後の形状が正六角形状のハニカム構造となっている。
上記のようにして得られた発泡体の発泡倍率、厚み、表面平滑性、加熱寸法変化及び25%圧縮強度を以下の要領で測定した。結果を下記の表1に示す。
【0088】
(発泡倍率)
JIS K6767に従って発泡倍率を測定した。
(発泡体の厚み)
ノギスを用い、得られた発泡体の厚みを測定した。
【0089】
(表面平滑性)
得られた発泡体の表面性を、官能評価により4段階に評価した。表1における評価記号の意味は以下の通りである。
◎…表裏面とも極めて平滑である。
○…表裏面とも平滑である。
△…片面に小さな凹凸が存在するが、概ね平滑である。
×…表面に大きな凹凸が見られた。
【0090】
(加熱寸法変化)
JIS K6767に従って測定した。
なお、発泡前の発泡性熱可塑性樹脂シートの比重については、JIS K7112に従って測定した。
【0091】
(25%圧縮強度)
JIS K6767に従って測定した。
【0092】
表1の結果から明らかなように、本発明に従う実施例1〜5において得られる発泡体は、厚み精度において優れており、また表面平滑性、加熱寸法変化及び25%圧縮強度において優れていることがわかる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シートは、発泡性熱可塑性樹脂粒状体が千鳥状に配置され、かつ上記式(1)を実質的に満足するような形状を有している。このため、この発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡して得られる発泡体は、厚み精度においてばらつきが少なく、かつ表面平滑性、熱寸法安定性及び圧縮強度に優れた発泡体とすることができる。
【0094】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の発泡性熱可塑性樹脂シートを用い、厚み精度等に優れ、かつ表面平滑性、熱寸法安定性及び圧縮強度に優れた発泡体を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シートの一例を説明するための断面図。
【図2】本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂シートの一例を示す平面図。
【図3】実施例1〜5で発泡性熱可塑性樹脂シートを製造する工程を説明するための略図的側面図。
【図4】図3に示した一対の賦形ロールに設けられている凹部を説明するための拡大断面図。
【図5】実施例において発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡する工程を説明するための断面図。
【図6】実施例の発泡性熱可塑性樹脂シートを発泡させた発泡体を示す断面図(a)及び平面図(b)。
【符号の説明】
1…発泡性熱可塑性樹脂シート
2…発泡性熱可塑性樹脂粒状体
3…発泡性熱可塑性樹脂薄膜
19…発泡体
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