JP3422390B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池

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JP3422390B2
JP3422390B2 JP02681395A JP2681395A JP3422390B2 JP 3422390 B2 JP3422390 B2 JP 3422390B2 JP 02681395 A JP02681395 A JP 02681395A JP 2681395 A JP2681395 A JP 2681395A JP 3422390 B2 JP3422390 B2 JP 3422390B2
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智晴 栗田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、充放電サイクル特性に
優れた非水電解質二次電池に関する。更に詳しくは、炭
素材料とバインダー樹脂からなる負極合剤層を備える負
極と、正極と、非水電解質とからなる非水電解質二次電
池に関し、特にバインダー樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の電子技術のめざましい進歩によ
り、電子機器は小型、軽量化の方向に進み、それに伴っ
て電池も小型、軽量化、更に高エネルギー密度のものが
求められている。従来、一般用途の二次電池としては、
鉛電池、ニッケル・カドミウム電池等の水溶液系の電池
が主流であった。これらの電池はサイクル特性は優れて
いるが、電池重量やエネルギー密度の点では十分満足で
きるものではなかった。
【0003】近年、鉛電池やニッケル・カドミウム電池
に替わる二次電池として、リチウムやリチウム合金を負
極に用いた非水電解液二次電池の研究開発が盛んに行わ
れている。この電池は高エネルギー密度を有し、自己放
電も少なく、軽量であるという特徴を持っている。しか
し、この電池では、充放電サイクルの進行にともない、
負極において充電時にリチウムがデンドライト状に結晶
成長して、この結晶が正極に到達して内部短絡にいたる
可能性が高いという欠点があり、実用化への大きな障害
となっていた。
【0004】これに対し、負極に負極活物質担持体とし
ての炭素材料を使用した非水電解液二次電池によれば、
化学的、物理的方法によって予め負極の炭素材料に担持
させたリチウム及び正極活物質の結晶構造中に含有させ
たリチウム及び電解液中に溶解したリチウムのそれぞれ
が、充放電時に負極において炭素層間にドープされ且つ
炭素層間から脱ドープされる。このため、充放電サイク
ルが進行しても充電時に負極におけるデンドライト状の
結晶の析出はみられずに内部短絡を起こしにくく、良好
な充放電サイクル特性を示す。また、エネルギー密度も
高く且つ軽量であることから、実用化に向けて開発が進
んでいる。
【0005】このような非水電解液二次電池の用途とし
ては、ビデオカメラやラップトップパソコン等が挙げら
れる。このような電子機器は比較的消費電流が大きいた
め、電池は重負荷に耐えられることが必要である。従っ
て、電池構造として、帯状の正極と帯状の負極とを帯状
のセパレータを介してその長さ方向に巻回することによ
って構成される渦巻状の巻回電極体構造が有効である。
この巻回電極体構造の電池によれば、電極面積が大きく
取れるために重負荷による使用にも耐えることができ
る。
【0006】このような巻回電極体では、電極面積を大
きくし且つ活物質または活物質担持体を限られた空間内
にできるだけ多く充電するために、電極を薄くすること
が望ましい。そのため、帯状の電極の製造方法として
は、バインダーと活物質を含むペーストを集電体に塗
布、乾燥する方法が望ましい。この方法によれば、帯状
の電極における電極合剤層の厚みは数ミクロンから数百
ミクロン程度にすることが可能となる。電極集電体とし
ては従来、網状のエイシパンドメタルや穴が多数形成さ
れているパンチングメタルがよく使用されていたが、こ
れらの電極集電体は重負荷特性を得るために電極を薄く
するには不向きである。従って、電極集電体としては金
属箔を用い且つこの金属箔はできるだけ薄いほうが好ま
しい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
金属箔は表面が平坦なため、負極合剤ペーストを負極集
電体としての金属箔に塗布、乾燥して形成される負極合
剤層は、電池の製造中や使用中に剥離したりクラックが
生じやすいなどの問題点を有していた。特に、巻回電極
体を作成する際に剥離しやすい。本発明の目的は、負極
における負極合剤層にクラックや剥離が生じないような
非水電解質二次電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、負極活物質担持体としての炭素材料とバ
インダー樹脂とを少なくとも含む負極合剤層を備える負
極と、正極活物質とバインダー樹脂を含む正極と、非水
電解質とを具備する非水電解質二次電池において、前記
バインダー樹脂がo−トリジン残基を含む対数粘度が
0.3dl/g以上のポリアミドイミド樹脂であり、前
記負極合剤における前記バインダー樹脂の含有量が5重
量%以上で且つ20重量%以下であることを特徴とする
非水電解質二次電池に関するものである。
【0009】本発明のポリアミドイミド樹脂はトリメリ
ット酸無水物とo−トリジンジイソシアネートとジフェ
ニルメタンジイソシアネートとから合成されたものが好
ましく、更に該ポリアミドイミド樹脂にエポキシ樹脂を
3重量%以上で50重量%以下の範囲で配合されたもの
がより好ましい。
【0010】ポリアミドイミド樹脂は一般に機械的強度
が大きく、耐熱性、金属に対する密着性、耐薬品性に優
れるため前記負極合剤層を形成するためのバインダーと
して好適な樹脂である。本発明者等の研究によると、ポ
リアミドイミド樹脂骨格中にo−トリジン骨格を導入す
ると重合性が向上して高分子量のポリマーが得られると
共に、剛直な構造の導入により上記特性は一層向上し、
より好ましいバインダーとなる。本発明に使用されるポ
リアミドイミド樹脂は酸成分とアミン成分を反応させる
ことにより得られる。
【0011】本発明においては酸成分として、トリメリ
ット酸無水物を用いる。また、溶剤に対する溶解性、重
合性などを付与するために、トリメリット酸無水物以外
に、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、トリカ
ルボン酸及びその無水物、テトラカルボン酸及びその二
無水物等を、酸成分として更に用いることができる。脂
肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデ
カン二酸、トリデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン
酸などが挙げられ、好ましくはアジピン酸、セバシン酸
である。
【0012】芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル
酸、5−tert−ブチル−13−ベンゼンジカルボ
ン酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−44’ジカ
ルボン酸、ジフェニルメタン−24−ジカルボン酸、
ジフェニルメタン−34−ジカルボン酸、ジフェニル
メタン−33’−ジカルボン酸、12−ジフェニル
エタン−44’ジカルボン酸、ジフェニルエタン−
4−ジカルボン酸、ジフェニルエタン−34−ジ
カルボン酸、ジフェニルエタン−33’−ジカルボン
酸、22’−ビス−(4−カルボキシフェニル)プロ
パン、2−(2−カルボキシフェニル)−2−(4−カ
ルボキシフェニル)プロパン、2−(3−カルボキシフ
ェニル)−2−(4−カルボキシフェニル)プロパン、
ジフェニルエーテル−44’−ジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテル−24−ジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−34−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−
3’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン
4’ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−24−ジ
カルボン酸、ジフェニルスルホン−34−ジカルボン
酸、ジフェニルスルホン−33’ジカルボン酸、ベ
ンゾフェノン−44’−ジカルボン酸、ベンゾフェノ
ン−33’−ジカルボン酸、ピリジン−26−ジカ
ルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス−[(4−カ
ルボキシ)フタルイミド]−44’−ジフェニルエー
テル、ビス−[(4−カルボキシ)フタルイミド]−
αα’−メタキシレン等が挙げられ、好ましくはイソ
フタル酸、テレフタル酸である。
【0013】トリカルボン酸としては、ブタン−1
4−トリカルボン酸、ナフタレン4−ト
リカルボン酸などが挙げられ、また、これらの無水物が
挙げられる。
【0014】テトラカルボン酸としては、ブタン−1
4−テトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベン
ゾフェノン3’4’−テトラカルボン酸、
ジフェニルエーテル−33’4’−テトラカル
ボン酸、ジフェニルエーテル−33’4’−テ
トラカルボン酸、ビフェニル−33’4’
トラカルボン酸、ナフタレン−27−テトラ
カルボン酸、ナフタレン−15−テトラカル
ボン酸、ナフタレン−18−テトラカルボン
酸等が挙げられ、また、これらの二無水物も挙げられ
る。好ましくはピロメリット酸二無水物である。
【0015】そのほかの酸無水物として、エチレングリ
コールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリ
コールビスアンヒドロトリメリテート、ネオペンチルグ
リコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレン
グリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピ
レングリコールビスアンヒドロトリメリテート等の、ア
ルキレングリコールビスアンヒドロトリメリテートも挙
げられる。これらの酸成分は一種でも二種以上の混合物
としても、トリメリット酸無水物と共に用いることがで
きる。
【0016】一方、アミン成分としてはジアミンおよび
ジイソシアネートが挙げられ、本発明ではo−トリジン
又は、o−トリジンジイソシアネートが必須成分であ
り、44’ジアミノジフェニルメタンまたは、ジフ
ェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートとの共重合
体が好ましい。
【0017】o−トリジン又は、o−トリジンジイソシ
アネートの共重合量は、20〜90モル%、好ましくは
30〜80モル%である。該共重合量が20モル%以下
では、重合性の向上と剛直構造の導入による皮膜特性の
向上効果がみられず、又、90モル%以上では、溶解性
が低下して好ましくない。
【0018】上記アミン成分の一部を他のジアミンまた
はジイソシアネートで置き換えることもできる。具体的
には、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、オキシジアニリン、メチレンジアミン、ヘキサフル
オロイソプロピリデンジアミン、ジアミノm−キシリ
レン、ジアミノ−p−キシリレン、14−ナフタレン
ジアミン、1ナフタレンジアミン、2ナフ
タレンジアミン、27−ナフタレンジアミン、2
2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2
2’−ビス−(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、44’−ジアミノジフェニルスルホン、4
4’−ジアミノジフェニルエーテル、33’ジアミ
ノジフェニルスルホン、33’ジアミノジフェニル
エーテル、34−ジアミノビフェニル、44’
アミノベンゾフェノン、34−ジアミノジフェニルエ
ーテル、イソプロピリデンジアニリン、33’ジア
ミノベンゾフェノン、24−トリレンジアミン、1
3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1
−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、13−
ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、22−ビ
ス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]
スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェ
ニル]スルホン、44’−ビス−(4−アミノフェノ
キシ)ビフェニル、22’−ビス−[4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、
4’−ジアミノジフェニルスルフィド、33’−
ジアミノジフェニルスルフィド等の芳香族ジアミン、エ
チレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、等の脂肪族ジアミ
ン、ジシクロヘキシル−44’−ジアミン、イソホロ
ンジアミン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。また、
上記ジアミンのアミノ基を−N=C=O基で置き換えた
イソシアネートも挙げられる。上記アミン成分は、単独
で使用しても良いし、二種以上を混合して44’−ジ
アミノジフェニルメタンまたはジフェニルメタン−4
4’−ジイソシアネートと併用してもよい。上記酸成分
及びアミン成分は、通常、等モル配合されるが、必要に
応じて、一方の成分を多少増減させることもできる。
【0019】本発明に用いられるポリアミドイミド樹脂
は、ジイソシアネート法や酸クロリド法など、通常の方
法で製造されるが、重合性、コストの点からジイソシア
ネート方が好ましい。
【0020】ポリアミドイミド樹脂の重合に使用される
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチル
アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダ
ゾリジノン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、
スルホラン等の硫黄系溶剤、ニトロメタン、ニトロエタ
ン等のニトロ系溶剤、ジグライム、テトラヒドロフラン
等のエーテル系溶剤、シクロヘキサノン、メチルエチル
ケトン等のケトン系溶剤、アセトニトリル、プロピオニ
トリル等のニトリル系溶剤の他、γ−ブチロラクトンや
テトラメチルウレア等の比較的誘電率の高い溶剤などが
挙げられる。これらは、単独でも、混合溶剤としても使
用でき、さらにキシレン、トルエン等の比較的誘電率の
低い溶剤を混合して用いても構わない。
【0021】反応温度は、通常50〜200℃であり、
好ましくは70〜180℃である。また、反応を促進さ
せるために、t−ブチルアミン等の3級アミン類、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、コバルト、スズ、亜鉛な
どの金属化合物や半金属化合物などの触媒を添加しても
よい。
【0022】このようにして得られたポリアミドイミド
樹脂の対数粘度は、負極合剤層としての強靭性、屈曲性
の点から0.3dl/g以上、好ましくは0.4dl/
g以上が必要である。当該対数粘度が0.3dl/g以
下であると、負極集電体とした時にクラックが発生す
る。
【0023】本発明の負極合剤層の強靭性、屈曲性、耐
非水電解溶液性及び金属箔に対する密着性を更に向上さ
せるために、バインダーの一成分として多官能エポキシ
樹脂を配合することができる。多官能エポキシ樹脂は特
に制限されず、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパ
ントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールペン
タグリシジルエーテル等の脂肪族多官能エポキシ樹脂、
シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビ
スフェノールAジグリシジルエーテル等の脂環族多官能
エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェ
ノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラック
ポリグリシジルエーテル等の芳香族多官能エポキシ樹脂
が挙げられる。
【0024】該多官能エポキシ樹脂の使用量は、負極合
剤層中のバインダーのうち3重量%以上、50重量%以
下であり、好ましくは5重量%以上、30重量%以下で
ある。多官能エポキシ樹脂の使用量が3重量%以下で
は、強靭性、屈曲性、耐非水電解液性及び金属箔に対す
る密着性の改良効果が発揮されず、また50重量%を超
えると、ポリアミドイミド樹脂との相溶性が低下して負
極合剤層がかえって脆くなり、クラックが発生しやすく
なる。
【0025】本発明の負極合剤層中の炭素材料とバイン
ダー樹脂との配合比は重量で95:5〜80:20であ
る。炭素材料が95重量%以上では、集電体を巻回する
ときに、負極合剤層にクラックが発生したり、金属箔か
ら剥離しやすくなる。また、炭素材料が80重量%以下
では充放電サイクル特性が低下してしまう。本発明の負
極活物質担持体に用いられる炭素材料としては、ピッチ
コークス、ニードルコークス等のコークス類、ポリマー
類、カーボンファイバー、黒鉛材料などを挙げることが
できる。このような炭素材料は、例えば、有機材料を7
00〜1500℃程度で焼成することで炭素化して製造
することができる。炭素材料の原料として、石油ピッチ
やフラン樹脂などのポリマーが用いられるが、炭素化す
る際に、リン化合物やホウ素化合物を添加することによ
って、リチウムに対するドープ量の大きい炭素材料を得
ることができて好ましい。一方、正極における正極活物
質としては、二酸化マンガンや五酸化バナジウムのよう
な遷移金属酸化物、硫化鉄や硫化チタンのような遷移金
属カルコゲン化物、またはこれらとリチウムとの複合化
合物、例えば一般式LiMO2 (但し、MはCo,Ni
の少なくとも一種をしめす。)で表される複合金属酸化
物などを用いることができる。特に、高電圧、高エネル
ギー密度が得られ、サイクル特性にも優れることから、
LiCoO2,LiCo0.8 Ni0.22 などのリチウ
ム・コバルト複合酸化物、リチウム・コバルト・ニッケ
ル複合酸化物が好ましい。また、非水電解質としては、
リチウム塩などの電解質を非水有機溶剤に溶解した非水
電解液を用いることができる。ここで有機溶剤として
は、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート、12−ジメ
トキシエタン、12−ジエトキシエタン、γ−ブチロ
ラクトン、テトラヒドロフラン、13−ジオキソラ
ン、4−メチル−13−ジオキソラン、ジエチルエ−
テル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリ
ル、プロピオニトリル等を単独または二種以上を混合し
て使用できる。有機溶剤に溶解させる電解質も、LiC
lO4 ,LiAsF6 ,LiPF6 ,LiBF4 ,Li
B(C654 ,LiCl,LiBr,CH3 SO3
Li,CF3 SO3 Li等の公知のものがいづれも使用
できる。また、前記非水電解質は体であってもよく、
例えば高分子体電解質などが挙げられる。
【0026】
【発明の効果】本発明のo−トリジン残基を有するポリ
アミドイミド樹脂は強靭で、屈曲性に優れた皮膜を形成
し、炭素材料の分散性にも優れ、且つ、金属箔に対する
密着性及び耐非水電解液性に優れるため、非水電解質二
次電池の負極合剤層のバインダー樹脂として好適であ
り、これにエポキシ樹脂を配合すると更に優れたバイン
ダーとなる。
【0027】
【実施例】以下に、実施例を示し、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限され
るものではない。
【0028】実験例1;ポリアミドイミド樹脂の合成反
応容器に、トリメリット酸無水物192g,o−トリジ
ンジイソシアネート211g,ジフェニルメタン ,
4’ジイソシアネート50gをNメチルピロ
リドン548gと共に仕込、120℃に昇温して2時間
反応させた後、Nメチルピロリドン912gを
加えて、180℃に昇温して更に、3時間反応させ、固
形分濃度が20%のポリマー溶液を得た。この乾燥ポリ
マー0.5gを100mlのNメチルピロリド
ンに溶解した溶液を25℃でウベローデ粘度管で測定し
た対数粘度は1.55dl/gであった。
【0029】実験例2;炭素材料の調整 石油ピッチに酸素を含む官能基を10〜20重量%導入
する酸素架橋をした後、この酸素架橋された前駆体を不
活性ガスの気流中にて1000℃で焼成することによっ
て、ガラス状炭素に近い性質を持つ炭素質材料を得た。
【0030】実験例3;負極集電体の作成実験例2で調
整した炭素質材料75〜97重量部と実験例1で合成し
たポリアミドイミド溶液125〜15重量部を混合し
て、Nメチルピロリドンで固形分濃度が50重
量%となるように希釈して、3本ロールミルで分散、混
練りしたペーストを10μの銅箔の両面に乾燥膜厚が8
0μとなるように塗布、乾燥した後、200℃の熱ロー
ルでプレスし、幅41mm,長さ280mmの帯状体に
スリットした。
【0031】実験例4;正極の作成コバルト酸リチウム
(LiCoO2 )90重量部とグラファイト5重量部、
実験例1で合成したポリアミドイミド樹脂溶液25重量
部、Nメチルピロリドン80重量部を混合、3
本ロールミルで分散、混練りしたペーストを20μのア
ルミニウム箔の両面に乾燥膜厚が80μとなるように塗
布、乾燥した後、200℃の熱ロールでプレスして幅3
9mm,長さ230mmにスリットした。
【0032】実験例5;電池の作成実験例3で作成した
負極集電体にニッケル製のリードを取り付けたものと実
験例4で作成した正極集電体にアルミニウム製のリード
を取り付けたものを厚さ25μ、幅44mmの多孔質ポ
リプロピレンフィルムを介して交互に重ねた4層積層体
を作成した。この積層体を長さ方向に、負極集電体を内
側にした巻回電極体を作成した。この渦巻状巻回電極体
をニッケルめっきした鉄製の電池缶に収容し、電極体の
上下に絶縁体を配設し、この電池缶にプロピレンカーボ
ネートと1 , 2−ジメトキシエタンの等容量混合溶剤に
LiPF4 を1モル/lの濃度に溶解した非水電解液を
注入した。
【0033】実験例6 実験例5で作成した電池について、充電上限電圧を4.
1Vに設定し、500mAで2時間充電した後、18Ω
の定負荷で終止電圧2.75Vまで放電させる充放電サ
イクルを繰り返した。この充放電サイクルの10サイク
ル時の容量で、100サイクル時の放電容量を除した値
を容量維持率とした。
【0034】実施例1〜3 実験例3で負極集電体を作成するに際し、炭素質材料と
ポリアミドイミド溶液の混合割合を固形分比で95:
5、90:10、80:20重量比とし、実験例3、
4、5に従って非水電解質二次電池を作成した。特性は
表1に示す。
【0035】実施例4〜6 実験例3で負極集電体を作成するに際し、炭素質材料と
ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂(油化シェル社;
エピコート154)の混合割合を固形分比で95:4.
5:0.5、95:3.5:1.5、95:2.5:
2.5重量比とし、実験例3、4、5に従って、非水電
解質二次電池を作成した。特性は表1に示す。
【0036】実施例7反応容器に、トリメリット酸無水
物192g,o−トリジンジイソシアネート53g,ジ
フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート200g
をNメチルピロリドン536gと共に仕込み、
120℃で2時間反応させた後、Nメチルピロ
リドンを892gを加えて180℃に昇温して、3時間
反応を行った。得られたポリマーを用いて、実施例1と
同じ方法で非水電解質二次電池を作成した。
【0037】比較例1 実験例3で負極集電体を作成するに際し、炭素材料とポ
リアミドイミド樹脂の混合割合を、固形分比で97:3
重量比として負極集電体を作成して、実験例4、5に従
って、電極体を作成しようとしたが巻回作業時に負極集
電体にクラック及び剥離が発生して使用不可能となっ
た。
【0038】比較例2 実験例3で負極集電体を作成するに際し、炭素質材料と
ポリアミドイミド樹脂の混合割合を固形分比で75:2
5重量比として負極集電体を作成して、実験例4、5に
従って、非水電解質二次電池を作成した。特性を表1に
示す。
【0039】比較例3 実験例3で負極集電体を作成するに際し、炭素質材料と
ポリアミドイミド樹脂とエピコート154の混合割合を
固形分比で95:2:3重量比にしたところ、ポリアミ
ドイミド樹脂とエピコート154との相溶性が悪く、炭
素質材料が分散されず、銅箔に均一に塗布ができなかっ
た。
【0040】比較例4反応容器にトリメリット酸無水物
288g,o−トリジンジイソシアネート211g,ジ
フェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート50g,
Nメチル2ピロリドン692gを仕込んで、120℃で
2時間反応させた後、Nメチルピロリドン11
52gを加え180℃に昇温して3時間反応させた。得
られたポリアミドイミドの対数粘度は0.24dl/g
であった。このポリアミドイミド樹脂を用いて、実施例
1と同じ方法で非水電解質二次電池を作成しようとした
が、巻回作業時に、負極集電体にクラック及び剥離が発
生して使用不可能となった。
【0041】比較例5反応容器に、トリメリット酸無水
物192g,o−トリジンジイソシアネート251g,
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート25g
をNメチルピロリドン570gと共に仕込み、
120℃で2時間反応させた後、Nメチル2ピロリ
ドン950gを加え、180℃に昇温して3時間反応さ
せたが、反応途中で、溶液が白濁して電極の作成が出来
なかった。
【0042】
【表1】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−26019(JP,A) 特開 平5−222612(JP,A) 特開 平5−50547(JP,A) 特開 平5−13157(JP,A) 特開 平3−164240(JP,A) 特開 平3−217473(JP,A) 特開 平5−148361(JP,A) 特開 平7−331068(JP,A) 特開 平7−292245(JP,A) 特開 平3−231923(JP,A) 特開 昭63−126577(JP,A) 特開 平5−70723(JP,A) 特開 昭62−106960(JP,A) 特開 平7−263000(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 4/02 H01M 4/62

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極活物質担持体としての炭素材料とバ
    インダー樹脂とを少なくとも含む負極合剤層を備える負
    極と、正極活物質とバインダー樹脂を含む正極と、非水
    電解質とを具備する非水電解質二次電池において、前記
    バインダー樹脂がo−トリジン残基を含む対数粘度が
    0.3dl/g以上のポリアミドイミド樹脂であり、前
    記負極合剤における前記バインダー樹脂の含有量が5重
    量%以上で且つ20重量%以下であることを特徴とする
    非水電解質二次電池。
  2. 【請求項2】 ポリアミドイミド樹脂中のo−トリジン
    残基の割合が20〜90モル%であることを特徴とする
    請求項1記載の非水電解質二次電池。
  3. 【請求項3】 バインダー樹脂がポリアミドイミド樹脂
    に多官能エポキシ化合物が配合されたものであり、バイ
    ンダー樹脂中の多官能エポキシ樹脂の含有量が3重量%
    以上で50重量%以下であることを特徴とする請求項1
    又は2記載の非水電解質二次電池。
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