JP3421240B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板の製造方法

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JP3421240B2
JP3421240B2 JP9848498A JP9848498A JP3421240B2 JP 3421240 B2 JP3421240 B2 JP 3421240B2 JP 9848498 A JP9848498 A JP 9848498A JP 9848498 A JP9848498 A JP 9848498A JP 3421240 B2 JP3421240 B2 JP 3421240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コア基板の表面
を平滑化してから、層間樹脂絶縁層をビルドアップする
多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビルドアップ多層プリント配線板におい
ては、特開平9−191178号公報のように、コア基
板上に無機粒子入りの樹脂を印刷、即ち、導体層とスル
ーホールランドとの間の隙間およびスルーホールへ充填
しから、150℃で該無機粒子入りの樹脂を熱硬化さ
せ、ついで表面を研磨してコア基板の表面を平坦化する
ことで、上層の層間樹脂絶縁層を形成し易くすることが
行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、コア基板を
平滑化してから層間樹脂絶縁層を形成すると、ヒートサ
イクルなどにより、充填剤を起点として層間樹脂絶縁層
にクラックが発生することが知見された。
【0004】本発明は、上述した課題を解決するために
なされたものであり、その目的とするところは、層間樹
脂絶縁層にクラックを発生させない多層プリント配線板
の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
なクラックの原因が次のようなメカニズムにより生じる
ことを解明した。従来は、図11に示すような工程によ
り、スルーホールランドとプレーン導体層の隙間及びス
ルーホールに充填剤を充填していた。この例では、図1
1(A)に示すように予めスルーホール236の内壁お
よび導体層234bの表面を黒化ー還元処理により粗化
しておく。そして、スルーホール236部分に開口22
0aを設けたマスク220を載置し、樹脂および無機粒
子からなる充填剤240を充填する。
【0006】ところが、充填剤240は、図11(B)
に示すようにスルーホールランド236と導体層234
bとの間の隙間235bの一部にまで充填される。この
充填剤240は、一旦150℃(特開平9−19117
8号の実施例)で加熱硬化されるが、熱硬化樹脂は熱硬
化する前に粘度が低下するため、図11(C)に示すよ
うに樹脂の一部が内部から染み出て、無機粒子を有しな
い樹脂層240αができてしまう。
【0007】硬化後、導体層234bとランド236a
との間の隙間235bを充填すべく、図11(D)に示
すように更に充填剤241をスクリーン印刷する。その
後、平坦化のため図11(E)に示すように表面を研磨
する。ここで、表面を研磨しても無機粒子を有しない樹
脂層240αは、スルーホールランド236aと導体層
234bの間に残存する。この後、図11(F)に示す
ように層間樹脂絶縁層250を積層形成する。ここで、
該線板230内で、無機粒子を有している樹脂層24
0、241と有していない樹脂層240αとは熱膨張率
が異なるため、ヒートサイクルに晒されると図11
(F)中に示すように層間樹脂絶縁層250にクラック
CLが発生することがある。
【0008】そこで、本発明では、熱硬化温度を、樹脂
の粘度が極小(最小)となる温度領域に調整することと
した。樹脂の硬化前の粘度を下げて、流れやすくし、導
体層とランドとの間の隙間などに樹脂を完全に充填する
のである。ここで、熱硬化性樹脂としてビスフェノール
型エポキシ樹脂を用いる場合には、その熱硬化温度は、
該ビスフェノール型エポキシ樹脂の粘度が極小(最小)
となる100℃〜110℃であることが望ましい。10
0℃未満では、十分な硬化を行うことができず、逆に1
10℃を超えると粘度が高くなり、樹脂の流れが悪くな
り、隙間を充填することができないからである。
【0009】本発明では、図1〜図9に示す多層プリン
ト配線板の製造方法を採用する。この製造方法では、図
1(C)に示すようにスルーホール36aの内壁、プレ
ーン導体層34bに予め黒化−還元処理により粗化面3
8を設けておく。図1(D)に示す工程では、スルーホ
ール36に相当する位置に開口20aを設けたマスク2
0を載置し、図2(E)に示すように充填剤を印刷し
て、スルーホール36内を充填する。
【0010】このような充填を行なった後、前述の条件
で充填剤を熱硬化させる。このとき、無機粒子を有して
いない樹脂層40αができるが、樹脂の粘度が極小とな
る温度領域で加熱することで、図2(F)に示すように
無機粒子と共に樹脂が導体層34bとランド36aとの
間の間隔35bへ流れ込み、図11(F)を参照して上
述した従来技術の多層プリント配線板のように、導体層
234bとランド236aとの間の隙間に、無機粒子を
有しない樹脂層240αが形成されることがない。
【0011】次に図2(G)及び図2(H)に示す工程
のように更に充填剤41をスクリーン印刷し、この充填
剤41を熱硬化させた後、図3(I)に示す工程のよう
に研磨により平坦化する。この際に無機粒子を有しない
樹脂層40αが研磨によって除去されるため、図11
(F)を参照して上述した従来技術の多層プリント配線
板のようにヒートサイクルに晒されても、層間樹脂絶縁
層にクラックが発生することがない。
【0012】なお、本願発明では、スルーホールに相当
する位置に該スルーホールのランド径よりも大きな開口
を設けたマスクを載置し、充填剤を印刷充填して、スル
ホール内を充填すると同時に導体層とスルーホールのラ
ンドとの間の隙間へも該充填剤を充填することが望まし
い。
【0013】この理由について図12を参照して説明す
る。図12(A)に示すように、スルーホール236に
充填剤240を充填した際に、導体層234bおよびス
ルーホールのランド236aとの間の隙間235bに充
填剤を充填しないようにする。そして、図12(B)に
示すように熱硬化性樹脂の粘度が極小となる温度領域に
調整して加熱すると、無機粒子と共に熱硬化性樹脂が導
体層234bとランド236aとの間の間隔235bに
流れ込む。この際に該樹脂240の表面に形成される無
機粒子を有しない樹脂層240αが、隙間235bに残
ることがある。ここで、図12(C)に示すように、更
に充填剤241を充填した後、図12(D)に示すよう
に平坦化のためコア基板230の表面を研磨する。しか
し、表面を研磨しても図12(D)に示すように無機粒
子を有しない樹脂層240αは、スルーホールランド2
36aと導体層234bの間に残存し、この樹脂層24
0αが層間樹脂絶縁層のクラックの原因となることがあ
る。このため、上述したように隙間を充填しておくこと
により、無機粒子を有しない樹脂層の発生を完全に防止
する。
【0014】隙間を充填するためには、導体層およびス
ルーホールのランドにより生じる隙間の幅が250μm
以下の場合は、充填剤を印刷するためのマスクの開口の
直径を、スルーホールのランド径の1.1倍を超え、
1.4倍以内に設定することが望ましい。例えば、図1
(B)に示すようにランド36aの直径が500μmの
場合は、図1(D)に示すようにマスク20の開口20
aの径は、550μmを超え、700μm以下であるこ
とが望ましい。550μm以下では、プレーン導体層お
よびスルーホールのランドにより生じる隙間が埋められ
ず、クラックが発生し、700μmを超えるとマスクに
形成される開口が互いに重なってしまう、即ち、スルー
ホールが隣接して配置される際に、スルーホールに対応
させて開口を形成できないからである。
【0015】マスクの厚さは、200〜300μmであ
ることが望ましい。マスクが300μmを越えると、開
口から押し出される充填剤の量が増大してしまい、ま
た、200μm以下では減少し、充填剤で上述した隙間
部分を埋め尽くすのが困難であるからである。
【0016】充填剤は、ビスフェノールF型エポキシ樹
脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノ
ール型エポキシ樹脂およびイミダゾール硬化剤、無機粒
子からなるものがよい。無機粒子の粒子径は、0.1〜
5.0μmが望ましい。また、無機粒子の配合量は、重
量比でエポキシ樹脂の1.0〜2.0倍がよい。無機粒
子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、SiCなど
がよい。
【0017】本発明の多層プリント配線板の製造方法で
は、コア基板表面を平滑化した後、露出したスルーホー
ルランド、プレーン層にCu−Ni−Pの合金針状めっ
き(荏原ユージライト製 インタープレート)を施し、
必要に応じて表面にSn層を設ける。この上に無電解め
っき用接着剤層を層間樹脂絶縁層として形成し、開口を
設けて、表面を粗化し、無電解めっき、電解めっきによ
りバイアホール等を形成することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例に係る多層
プリント配線板の製造方法について図を参照して説明す
る。 (実施例1)ここでは、実施例1の多層プリント配線板
の製造方法に用いるA.無電解めっき用接着剤、B.層
間樹脂絶縁剤、C.樹脂充填剤の組成について説明す
る。
【0019】A.無電解めっき用接着剤調製用の原料組
成物(上層用接着剤) 〔樹脂組成物〕クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt
%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感
光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )3.15
重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、
NMP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
【0020】〔樹脂組成物〕ポリエーテルスルフォン
(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、
ポリマーポール)の平均粒径 1.0μmのものを 7.2重量
部、平均粒径 0.5μmのものを3.09重量部、を混合した
後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌
混合して得た。
【0021】〔硬化剤組成物〕イミダゾール硬化剤
(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガ
イギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感
剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP 1.5重量
部を攪拌混合して得た。
【0022】B.層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物
(下層用接着剤) 〔樹脂組成物〕クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt
%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感
光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重
量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、N
MP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
【0023】〔樹脂組成物〕ポリエーテルスルフォン
(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、
ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのものを 14.49重
量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、
ビーズミルで攪拌混合して得た。
【0024】〔硬化剤組成物〕イミダゾール硬化剤
(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガ
イギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感
剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP1.5 重量
部を攪拌混合して得た。
【0025】C.樹脂充填剤調製用の原料組成物 〔樹脂組成物〕ビスフェノールA型エポキシモノマー
(油化シェル製、エピコート828) 100重量部、表面
に平均粒径 1.5μmのAl2 3 球状粒子 150重量部、N
−メチルピロリドン(NMP)30重量部、レベリング剤
(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を攪拌混
合し、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cp
sに調整した。
【0026】〔硬化剤組成物〕イミダゾール硬化剤
(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0027】引き続き、プリント配線板の製造について
図1乃至図10を参照して説明する。 (1)図1(A)に示すように厚さ1mmのガラスエポキ
シ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂か
らなる基板30の両面に18μmの銅箔32がラミネート
されている銅張積層板30Aを出発材料とした。まず、
この銅張積層板30Aをドリル削孔し、無電解めっき処
理を施し、パターン状にエッチングすることにより、図
1(B)に示すコア基板30を形成する。スルーホール
36の直径は300μmであり、ランド36aの径は5
00μmであり、プレーン導体層34bとランド36a
との間の隙間35bは200μmである。
【0028】(2)この基板30を水洗いし、乾燥した
後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(10g/l),NaCl
2 (40g/l),Na3 4 ( 6g/l)、還元浴とし
て、NaOH(10g/l),NaBH4 (6g/l)を用いた酸
化−還元処理により、図1(C)に示すようにプレーン
導体層34b及びスルーホール36の表面に粗化層38
を設けた。 (3)上述したCの樹脂充填剤調製用の原料組成物を混
合混練して樹脂充填剤を得た。
【0029】(4)このコア基板に厚さ280μmの金
属製印刷マスク20を載置した(図1(D)。金属製印
刷マスク20にはスルーホール36上に開口径650μ
mの開口20aを設けてある。
【0030】このマスク20を用いて印刷を行い、スル
ーホール36に充填剤40を充填する。これと同時に、
スルーホールのランド36aとプレーン導体層34bの
間の隙間35bへ充填剤40を充填する(図2(E)参
照)。
【0031】充填剤の充填後に、図2(F)に示すよう
に熱硬化させる。ここで、本実施例では、充填剤中に熱
硬化性樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂が含ま
れている。このビスフェノール型エポキシ樹脂の加熱温
度と粘度との関係を図10に示す。図中に示すように、
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、100℃〜110℃
にて粘度が最低になるため、上述したように熱硬化温度
を当該100℃〜110℃に設定する。実施例1では、
充填剤を105℃で20分間熱硬化する。なお、熱硬化
性樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂以外の樹脂
が用いられる場合には、当該熱硬化性樹脂の最も粘度が
下がる温度で加熱する。
【0032】加熱初期においてビスフェノール型エポキ
シ樹脂の粘度が最小になるため、該ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂が無機粒子と共に、導電層34bとスルーホ
ールランド36aとの間の隙間35bに流れ込み、該隙
間35bを満たす。上述した20分の加熱後期、即ち、
熱硬化の際に、充填剤40内部から樹脂が染み出て、無
機粒子を有しない樹脂層40αが形成されるが、該樹脂
層40αは、導電層34b、スルーホールランド36a
の表面よりも上側に形成される。
【0033】次に、図2(G)に示すように、該基板3
0に#300のスクリーン印刷版22を載置し、金属製
印刷マスク20を用いて印刷したと同じ材質の充填剤4
1をフロント面に印刷して120℃、20分間熱硬化さ
せ、さらに同充填剤41をバック面にスクリーン印刷
し、120℃、40分間熱硬化させる(図2(H))。
【0034】(5)前記(4)の処理を終えた基板30
を、#400 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベ
ルトサンダー研磨により、スルーホールランド36a及
びプレーン導体層34bの表面に樹脂充填剤が残らない
ように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による
傷を取り除くためのバフ研磨をSiC砥粒にて行った。
このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様
に行った。この研磨工程において、無機粒子を有しない
樹脂層40αが除去される。次いで、100 ℃で1時間、
150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填剤40、4
1を硬化した。このようにして、スルーホール36等に
充填された樹脂充填剤40の表層部およびスルーホール
ランド36aなどの上面の粗化層を除去して、基板30
の両面を図3(I)に示すように平滑化した。
【0035】(6)前記(5)の処理で露出したスルー
ホールランド36a、プレー導体層34b上面に図3
(J)に示すように、厚さ 2.5μmのCu−Ni−P合金か
らなる粗化層(凹凸層)42を形成し、さらに、粗化層
42の表面に厚さ 0.3μmのSn層(図示せず)を設け
た。その形成方法は以下のようである。基板30を酸性
脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウム
と有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与
し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニ
ッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナト
リウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤0.1g/
l、pH=9からなる無電解めっき浴にてめっきを施
し、プレーン導体層34b上面およびスルーホールのラ
ンド36a上面にCu−Ni−P合金の粗化層42を形成し
た。ついで、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0m
ol/l、温度50℃、pH=1.2 の条件でCu−Sn置換反応
させ、粗化層42の表面に厚さ0.3μmのSn層を設け
た。
【0036】(7)上述した組成物Bの層間樹脂絶縁剤
調製用の原料組成物を攪拌混合し、粘度1.5 Pa・sに調
整して層間樹脂絶縁剤(下層用)を得た。次いで、上述
した組成物Aの無電解めっき用接着剤調製用の原料組成
物を攪拌混合し、粘度7Pa・sに調整して無電解めっき
用接着剤溶液(上層用)を得た。
【0037】(8)前記(6)の基板30(図3
(J))の両面に、図3(K)に示すように前記(7)
で得られた粘度 1.5Pa・sの層間樹脂絶縁剤(下層用)
44を調製後24時間以内にロールコータで塗布し、水平
状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベ
ーク)を行う。次いで、前記(7)で得られた粘度7Pa
・sの感光性の接着剤溶液(上層用)46を調製後24時
間以内に塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃
で30分の乾燥(プリベーク)を行い、厚さ35μmの接着
剤層50を形成した。
【0038】(9)前記(8)で接着剤層50を形成し
た基板30の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォ
トマスクフィルム(図示せず)を密着させ、超高圧水銀
灯により 500mJ/cm2 で露光した。これをDMTG溶液
でスプレー現像し、さらに、当該基板を超高圧水銀灯に
より3000mJ/cm2 で露光し、100 ℃で1時間、120 ℃で
1時間、その後 150℃で3時間の加熱処理(ポストベー
ク)をすることにより、図4(L)に示すようにフォト
マスクフィルムに相当する寸法精度に優れた85μmφの
開口(バイアホール形成用開口)48を有する厚さ35μ
mの層間樹脂絶縁層(2層構造)50を形成した。な
お、バイアホールとなる開口48には、スズめっき層を
部分的に露出させた。
【0039】(10)開口48が形成された基板30
を、クロム酸に19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層50の
表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することに
より、図4(M)に示すように当該層間樹脂絶縁層50
の表面を粗化面51とし、その後、中和溶液(シプレイ
社製)に浸漬してから水洗いした。さらに、粗面化処理
(粗化深さ3μm)した該基板30の表面に、パラジウ
ム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹
脂絶縁層50の表面およびバイアホール用開口48の内
壁面に触媒核を付けた。
【0040】(11)以下に示す組成の無電解銅めっき
水溶液中に基板を浸漬して、図4(N)に示すように粗
面全体に厚さ0.6 μmの無電解銅めっき膜52を形成し
た。 〔無電解めっき水溶液〕 EDTA 150 g/l 硫酸銅 20 g/l HCHO 30 ml/l NaOH 40 g/l α、α’−ビピリジル 80 mg/l PEG 0.1 g/l 〔無電解めっき条件〕70℃の液温度で30分
【0041】(12)前記(11)で形成した無電解銅
めっき膜52上に市販の感光性ドライフィルムを張り付
け、マスクを載置して、100 mJ/cm2 で露光、0.8 %炭
酸ナトリウムで現像処理し、図5(O)に示すように厚
さ15μmのめっきレジスト54を設けた。
【0042】(13)ついで、レジスト非形成部分に以
下の条件で電解銅めっきを施し、図5(P)に示すよう
に厚さ15μmの電解銅めっき膜56を形成した。 〔電解めっき水溶液〕 硫酸 180 g/l 硫酸銅 80 g/l 添加剤(アトテックジャパン製、カパラシドGL) 1 ml/l 〔電解めっき条件〕 電流密度 1A/dm2 時間 30分 温度 室温
【0043】(14)図5(Q)に示すようにめっきレ
ジスト54を5%KOHで剥離除去した後、めっきレジ
スト54下の無電解めっき膜52を硫酸と過酸化水素の
混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっ
き膜52と電解銅めっき膜56からなる厚さ18μmの導
体回路58及びバイアホール60を形成した。
【0044】さらに、70℃で800g/lのクロム酸
に3分間浸漬して、導体回路58、バイアホール60間
の無電解めっき用接着剤層表面を1μmエッチング処理
し、表面のパラジウム触媒を除去した。
【0045】(15)導体回路58を形成した基板30
を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエ
ン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホ
ウ酸31g/l、界面活性剤0.1g/lからなるpH
=9の無電解めっき液に浸漬し、図6(R)に示すよう
に該導体回路58及びバイアホール60の表面に厚さ3
μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層62を形成し
た。粗化層62をEPMA(蛍光X線分析装置)で分析
したところ、Cu98mol%、Ni1.5mol%、
P0.5mol%の組成比を示した。ついで、ホウフッ
化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、
温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応
させ、粗化層62の表面に0.3μmの厚さのSn層を
設けた(Sn層については図示しない)。
【0046】(16)(2)〜(14)の工程を繰り返
すことにより、さらに上層の導体回路を形成する。即
ち、基板30の両面に、層間樹脂絶縁剤(下層用)をロ
ールコ一夕で塗布し、絶縁剤層144を形成する。ま
た、この絶縁剤層144の上に無電解めっき用接着剤
(上層用)をロールコ一タを用いて塗布し、接着剤層1
46を形成する(図6(S)参照)。絶縁剤層144お
よび接着剤層146を形成した基板30の両面に、フォ
トマスクフィルムを密着させ、露光・現像し、開口(バ
イアホール形成用開口)148を有する層間樹脂絶縁層
150を形成した後、該層間樹脂絶縁層150の表面を
粗面とする(図6(T)参照)。その後、該粗面化処理
した該基板30の表面に、無電解銅めっき膜152を形
成する(図7(U)参照)。引き続き、無電解銅めっき
膜152上にめっきレジスト154を設けた後、レジス
ト非形成部分に電解銅めっき膜156を形成する(図7
(V)参照)。そして、めっきレジスト154をKOH
で剥離除去した後、めっきレジスト154下の無電解め
っき膜152を溶解除去し導体回路158及びバイアホ
ール160を形成する。さらに、該導体回路158及び
バイアホール160の表面に粗化層162を形成し、多
層プリント配線板を完成する(図8(W)参照)。な
お、この上層の導体回路を形成する工程においては、S
n置換は行わなかった。
【0047】(17)そして、上述した多層プリント配
線板にはんだバンプを形成する。先ず、基板30にソル
ダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃
で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、
1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG現像
処理した。さらに、80℃で1時間、100℃で1時
間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱
処理し、図8(X)に示すようにパッド部分に対応する
開口部71を設けた(開口径200μm)ソルダーレジ
スト層(厚み20μm)70を形成した。
【0048】(18)引き続き、ソルダーレジスト層を
補強用の樹脂組成物をソルダーレジストの開口群の周囲
に塗布し、1000mJ/cm2 で露光し、さらに80
℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、1
50℃で3時間の条件で加熱処理し、図9(Y)に示す
ように厚さ40μmの補強層78を形成した。
【0049】(19)次に、ソルダーレジスト層70及
び補強層78を形成した基板30を、塩化ニッケル30
g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナ
トリウム10g/lからなるpH=5の無電解ニッケル
めっき液に20分間浸漬して、図9(Z)に示すように
開口部71に厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成
した。さらに、その基板30を、シアン化金カリウム2
g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリ
ウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lから
なる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬し
て、ニッケルめっき層上に厚さ0.03μmの金めっき
層74を形成した。
【0050】(20)そして、ソルダーレジスト層70
の開口部71に、はんだペーストを印刷して、200℃
でリフローすることによりはんだバンプ76を形成し、
はんだパンプを有するプリント配線板を製造した。
【0051】(実施例2)本実施例は、実施例1と同様
であるが、上述したCの樹脂充填剤調製用の原料組成物
として以下のものを使用した。また、スルーホール上の
マスク開口径を600μmとした。
【0052】〔樹脂組成物〕ビスフェノールF型エポ
キシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U)10
0重量部、表面にシランカップリング剤がコーティング
された平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子(アドマテッ
ク製、CRS 1101−CE、) 170重量部、レベリング剤(サ
ンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を攪拌混合す
ることにより、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜
49,000cps に調整して得た。
【0053】〔硬化剤組成物〕イミダゾール硬化剤
(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0054】(実施例3)本実施例は、実施例1と同様
であるが、上述したCの樹脂充填剤調製用の原料組成物
として以下のものを使用した。また、スルーホール上の
マスク厚さを300μmとした。本実施例では、中空ガ
ラス粒子を使用しているため、研磨しやすく最適な実施
形態である。
【0055】〔樹脂組成物〕ビスフェノールF型エポ
キシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U)10
0重量部、平均粒径 3.0μmのSiO2 中空球状粒子 150
重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS
4)1.5 重量部を攪拌混合することにより、その混合物
の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整して得
た。
【0056】〔硬化剤組成物〕イミダゾール硬化剤
(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0057】(比較例)本比較例は、実施例1の多層プ
リント配線板の製造方法と同様であるが、図2(F)に
示した充填剤の熱硬化の工程で、コア基板を150°C
で20分間加熱した。実施例1、2、3と比較例の製造
方法に係る多層プリント配線板に対して、−55℃で3
0分、125℃で30分のヒートサイクルを500サイ
クル繰り返して、層間樹脂絶縁層のクラックの発生を確
認した。実施例1〜3ではクラックは無かったが、比較
例ではクラックの発生が確認された。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、製造工
程で発生する無機粒子の有しない樹脂層を基板平滑化の
際に除去するため、多層プリント配線板内に無機粒子の
有しない樹脂層が残らない。このため、多層プリント配
線板の層間樹脂絶縁層にクラックが発生することがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、図1(B)、図1(C)、図1
(D)は、本発明の1実施例に係る多層プリント配線板
の製造方法の工程図である。
【図2】図2(E)、図2(F)、図2(G)、図2
(H)は、本発明の1実施例に係る多層プリント配線板
の製造方法の工程図である。
【図3】図3(I)、図3(J)、図3(K)は、本発
明の1実施例に係る多層プリント配線板の製造方法の工
程図である。
【図4】図4(L)、図4(M)、図4(N)は、本発
明の1実施例に係る多層プリント配線板の製造方法の工
程図である。
【図5】図5(O)、図5(P)、図5(Q)は、本発
明の1実施例に係る多層プリント配線板の製造方法の工
程図である。
【図6】図6(R)、図6(S)、図6(T)は、本発
明の1実施例に係る多層プリント配線板の製造方法の工
程図である。
【図7】図7(U)、図7(V)は、本発明の1実施例
に係る多層プリント配線板の製造方法の工程図である。
【図8】図8(W)、図8(X)は、本発明の1実施例
に係る多層プリント配線板の製造方法の工程図である。
【図9】図9(Y)、図9(Z)は、本発明の1実施例
に係る多層プリント配線板の製造方法の工程図である。
【図10】熱硬化温度と粘度との関係を表すグラフであ
る。
【図11】図11(A)、図11(B)、図11
(C)、図11(D)、図11(E)及び図11(F)
は、従来技術に係る多層プリント配線板の製造方法の工
程図である。
【図12】図12(A)、図12(B)、図12
(C)、図12(D)は、多層プリント配線板の製造方
法の工程図である。
【符号の説明】
20 金属印刷マスク 20a、20b 開口 22 スクリーンマスク 30 コア基板 34a 導体パターン 34b プレーン導体層 3b 間隔 36 スルーホール 36a ランド 40 充填剤 41 充填剤 50 層間樹脂絶縁層 58 導体回路 60 バイアホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 3/28 H05K 3/40 H05K 3/46

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体層およびスルーホールを有するコア
    基板の表面および該スルーホール内に熱硬化性樹脂およ
    び無機粒子を有する充填剤を印刷充填した後、該充填剤
    を熱硬化させ、表面を研磨して平坦化し、ついで層間樹
    脂絶縁層を設ける多層プリント配線板の製造方法であっ
    て、前記導体層とスルーホールのランドとの間の隙間の幅が
    250μm以下であり、前記充填剤を印刷するためのマ
    スクの開口径が、スルーホールのランド径の1.1倍を
    超え、1.4倍以内であり、 前記熱硬化の際の温度を、樹脂の粘度が極小となる温度
    領域に調整することを特徴とする多層プリント配線板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 導体層およびスルーホールを有するコア
    基板の表面および該スルーホール内に熱硬化性樹脂およ
    び無機粒子を有する充填剤を印刷充填した後、該充填剤
    を熱硬化させ、表面を研磨して平坦化し、ついで層間樹
    脂絶縁層を設ける多層プリント配線板の製造方法であっ
    て、前記導体層とスルーホールのランドとの間の隙間の幅が
    250μm以下であり、前記充填剤を印刷するためのマ
    スクの開口径が、スルーホールのランド径の1.1倍を
    超え、1.4倍以内であり、 前記熱硬化性樹脂はビスフェノール型エポキシ樹脂であ
    り、その熱硬化の際の温度は、100℃〜110℃であ
    ることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記充填剤を印刷充填して、スルホール
    内を充填すると同時に導体層とスルーホールのランドと
    の間の隙間へ該充填剤を充填し、熱硬化させた後、さら
    に充填剤を表面に印刷して熱硬化させ、表面を研磨して
    平坦化する請求項1又は2に記載の多層プリント配線板
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記マスクの厚さは、200〜300μ
    mであることを特徴とする請求項1〜3に記載の多層プ
    リント配線板の製造方法。
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