JP4209006B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板と下層導体回路と層間樹脂絶縁層と上層導体回路とを備えている多層プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルドアップ多層配線板の製造方法としては、特開平9−130050号公報に開示されているような方法が知られている。
【0003】
かかる方法では、導体回路の表面に、導体回路と絶縁樹脂との密着性を改善するため、銅−ニッケル−リン(Cu−Ni−P)からなる針状合金を無電解めっきにより析出させて、合金粗化層を形成する。この合金粗化層の表面には、層間絶縁樹脂を塗布し、露光、現像し、層間導通のためのバイアホール開口部を形成し、UVキュア、本硬化を経て、層間樹脂絶縁層を形成する。更に、その層間樹脂絶縁層の表面を粗化処理し、この粗化面にパラジウム等の触媒を付けて、薄い無電解めっき膜を形成する。その後、その膜上にドライフィルムにてパターンを形成し、電解めっきで膜を厚付けした後、アルカリでドライフィルムを剥離除去し、エッチングして、導体回路を作製する。かかる操作を繰り返すことにより、ビルドアップ多層配線板を得ることができる。
【0004】
Cu−Ni−P合金からなる合金粗化層を析出させた後、その合金層に銅−スズ(Cu−Sn)置換反応を施し、スズ層(Sn層)を形成することで、導体回路と層間絶縁樹脂との密着性を高めることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにして形成されるSn層上の層間樹脂絶縁層は、クラックを発生させることがある。特に、かかるクラックがバイアホール部に発生すると、バイアホール部の接続不良を引き起こす。
【0006】
本発明の目的は、樹脂絶縁層にクラックを発生させず、バイアホール部の接続性に優れた多層プリント配線板を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と下層導体回路と樹脂絶縁層とを備えている多層プリント配線板を得るにあたり、
(a)基板上に下層導体回路を設ける工程、
(b)下層導体回路の表面に粗化層を設ける工程、
(c)粗化層上にスズ層を設ける工程、
(d)スズ層の表面を、バブリングを用いて湯洗する工程、
(e)スズ層上に樹脂絶縁層を設ける工程
を備える、多層プリント配線板の製造方法に係るものである。
【0008】
本発明者は、樹脂絶縁層のクラック発生を防止するため、種々のプリント配線板を試作し、検討した。
【0009】
意外にも、本発明者は、Cu−Sn置換後、Sn層表面にスズ不定比化合物〔SnO(1+x) 、x=0、1、2等の整数〕が不純物として生成していることを見出した。
【0010】
かかる化合物について詳細に検討したところ、本発明者は、かかる化合物が、絶縁樹脂を塗布する際、樹脂絶縁層中に入り込むことによって、硬化後の樹脂絶縁層にクラックを発生させることを突き止めた。
【0011】
本発明者等は、かかる化合物を除去する種々の手段を検討した。その結果、本発明者は、Cu−Sn置換後、形成されたSn層を、エアーバブリングを用いて湯洗することによって、Sn不純物がSn層表面から除去され、樹脂絶縁層のクラック発生を防止できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明では、Sn層を、バブリングを用いて湯洗することによって、スズ不定比化合物等のSn不純物等が、Sn層表面から除去されるので、かかるSn不純物等によって生じる樹脂絶縁層のクラック発生を防止することができる。
【0013】
本発明によれば、バイアホール周辺部における樹脂絶縁層のクラックを有効に防止でき、バイアホール部での断線を引き起こすことがなく、接続信頼性に優れた多層プリント配線板が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、バブリングを用いてSn層を湯洗することによって、Sn層表面に存在するSn不純物をSn層表面から除去することができる。
【0015】
かかるSn不純物としては、スズ不定比化合物〔SnO(1+x) 、x=0、1、2等の整数〕が挙げられる。かかるスズ不定比化合物は、SnO2 、SnO3 、SnO4 等が種々の割合で混ざった状態でSn層上に生成する。
【0016】
また、本発明では、かかる湯洗によって、Sn層表面に残留する未反応の物質や、ゴミ等の残留物をSn層表面から除去することができる。
【0017】
本発明にかかるSn層表面の湯洗では、Sn不純物等をSn層表面から除去することができる限り、特定の条件に限定されることなく、種々の条件を採用することができる。
【0018】
また、かかる湯洗は、複数の湯洗槽を用いて、繰り返し行うことによって、Sn不純物の除去率を高めることができる。
【0019】
なお、湯洗の条件によっては、Sn層表面が極度に酸化することがある。このため、湯洗の際、Sn層の浸漬時間、バブリング流量及び湯洗の温度等の因子を調節するのが好ましい。
【0020】
特に、エアーバブリングを用いた湯洗にて、Sn不純物等を除去すると、Sn層表面が酸化されることが多い。Sn層が酸化されて、着色すると、Sn層上に層間絶縁樹脂を塗布した後、バイアホ−ル形成用開口を設けるために、層間絶縁樹脂を露光した時、Sn層に光が吸収されて、反射角度が変わり、バイアホ−ル部にアンダ−カットが発生してしまう。
【0021】
このようにして形成されるバイアホ−ル部のアンダ−カットは、層間樹脂絶縁層の表面を粗化後、薄い無電解めっき層を形成時に、アンダ−カット部分にめっきが回り込み、バイアホ−ル周辺の層間絶縁樹脂が浮いてしまい、配線の断線を引き起こす。
【0022】
また、Sn層が更に酸化されると、Sn層自体が脆くなって、クロム酸等による酸処理を行う際、バイアホ−ル開口部に露出したSn層を通して、導体回路を溶解させて、バイアホ−ル底部で断線が起こる。
【0023】
かかるSn層表面の酸化を防止するには、湯洗の条件として、浸漬時間を0.1〜5分とし、バブリング流速を1気圧に換算して50L/分以内、好ましくは10〜50L/分にして、30〜60℃の湯洗温度で洗浄するのがよい。かかる範囲内の浸漬時間、バブリング流速及び温度で湯洗すれば、Sn層の洗浄効果を保った上で、Sn層の酸化を抑えることができる。
【0024】
なお、バブリングに用いる気体は、空気、酸素、窒素及び希ガスからなる群より選ばれる少なくとも1種がよい。Sn層の酸化を抑制するには、窒素や希ガス等の不活性な気体を用いるのが好ましい。
【0025】
本発明の多層プリント配線板の製造方法について、例示しながら詳述する。
(1)まず、コア基板の表面に内層銅パターンを形成することで、下層導体回路を得る。コア基板上に銅パターンを形成するには、銅張積層板をエッチングするか、又はガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、銅張り積層板、セラミック基板、金属基板等の基板上に、無電解めっき用接着剤層を形成し、かかる接着剤層の表面を粗化して粗化面とし、この粗化面に無電解めっきを施す方法がある。
【0026】
(2)本発明では、このようにして形成される下層導体回路の表面に粗化層を形成する。かかる粗化層を形成するには、無電解めっきを施したり、酸化(黒化)−還元処理等のエッチングやソフトエッチングする方法が用いられる。
【0027】
無電解めっきによって形成される粗化層には、針状合金からなる合金粗化層、多孔質の合金粗化層、これらの形状が組み合わされた合金粗化層、針状合金からなる合金粗化層と多孔質の合金粗化層とが混在している合金粗化層等のCu−Ni−Pからなる合金粗化層等が含まれる。形成された粗化層には、適切な流体を吹き付けて、粗化層上のゴミや残留物を除去するのがよい。
【0028】
多孔質の合金粗化層とは、Cu−Ni−Pからなる合金粗化層によって導体回路表面が覆われており、かかる合金粗化層の表面に微孔が形成されている合金粗化層をいう。微孔は、直径が0.1〜10μmで、数が3,000,000〜300,000,000個/cm2 の範囲で形成されるのが好ましい。
【0029】
なお、コア基板には、スルーホールが形成され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層を電気的に接続することができる。また、スルーホール及びコア基板の導体回路間には、樹脂を充填し、平滑性を確保してもよい。
【0030】
(3)次に、(2)で形成した粗化層上に、本発明にかかるSn層を形成する。かかるSn層は、種々の方法を用いて粗化層上に設けることができる。かかる方法には、置換めっき、無電解めっき、電解めっき、スパッタ、真空蒸着等を挙げることができる。例えば、粗化層が銅導体を含有するとき、Sn層は、Cu−Sn置換反応を用いた無電解置換めっきによって、粗化層上に設けられる。
【0031】
(4)次いで、Sn層表面を、バブリングを用いて湯洗する。かかる湯洗では、種々の条件を採用することができるが、上述したように、Sn層表面の酸化を防止するには、所定の条件を採用するのが好ましい。
【0032】
(5)湯洗したSn層上に層間樹脂絶縁層を形成する。層間樹脂絶縁層の形成には、Sn層上に層間樹脂絶縁材を塗布すればよい。層間樹脂絶縁材としては、無電解めっき用接着剤を用いるのが望ましい。
【0033】
(6)塗布した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、必要に応じて、バイアホール形成用開口を設けることができる。かかる接着剤層が感光性樹脂の場合は、露光、現像してから熱硬化することにより、また、かかる接着剤層が熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化した後、レーザー加工することにより、かかる接着剤層にバイアホール形成用の開口部を設けることができる。
【0034】
(7)次に、硬化した接着剤層の表面は、粗化処理することができる。この粗化処理は、接着剤層に予め混入させておいたエポキシ樹脂粒子を、酸又は酸化剤によって溶解除去することにより、行うことができる。
【0035】
ここで、酸としては、リン酸、塩酸、硫酸等の無機酸、又は蟻酸や酢酸等の有機酸を用いることができる。特に、有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させ難いからである。酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)を用いることが望ましい。
【0036】
(8)次に、接着剤層表面を粗化した配線基板には、触媒核を付与することができる。触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイド等を用いるのが望ましい。一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために、加熱処理を行うことが望ましい。かかる加熱処理に適切な触媒核には、パラジウムを挙げることができる。
【0037】
(9)次に、無電解めっき用接着剤表面に無電解めっきを施し、粗化面全面に無電解めっき膜を形成することができる。無電解めっき膜の厚みは、0.5〜5μmが適切である。
【0038】
(10)次に、この無電解めっき膜上にめっきレジストを形成し、めっきレジスト非形成部に5〜20μmの厚みの電解めっきを施し、上層導体回路及びバイアホールを形成することができる。ここで、電解めっきとしては、銅めっきを用いるのが望ましい。
【0039】
(11)更に、めっきレジストを除去した後、硫酸と過酸化水素との混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等のエッチング液で無電解めっき膜を溶解除去して、独立した導体回路を形成することができる。
【0040】
(12)次いで、上層導体回路及びバイアホールの表面に、(2)と同様に、粗化層を形成することができる。
【0041】
(13)次に、この基板上に、(3)と同様にして、Sn層を設け、(4)と同様にして、Sn層表面を湯洗し、(5)のようにして、無電解めっき用接着剤層を形成することができる。
【0042】
(14)更に、(6)〜(12)の工程を繰り返し、更に上層の導体回路を設けて、片面が3層で両面が6層の多層プリント配線板を得ることができる。
【0043】
(15)これらの工程により形成された多層プリント配線板の表面に、粗化層を形成するこができる。この粗化層には、前述したように流体を吹きつけて、粗化層からゴミ等を除去するのがよい。
【0044】
ゴミ等を除去した後、この基板上には、ソルダーレジスト層を設けることができる。ソルダーレジスト層としては、ノボラック型エポキシ樹脂からなる樹脂組成物が望ましい。Pbのマイグレーションを防止できるからである。
【0045】
なお、ノボラック型エポキシ樹脂からなる樹脂組成物は、靱性が低く、クラックが発生し易い。このため、ソルダーレジスト層を設ける前に、基板表面の導体回路の粗化層上にSn層を設け、このSn層の表面をバブリングを用いて湯洗することができる。粗化層とソルダーレジスト層との密着性が向上し、Sn層表面のSn不純物を除去することによって、ソルダーレジスト層のクラック発生が防止され、特に有利である。
【0046】
以上の説明は、セミアティティブ法と呼ばれる方法により形成した例である。本発明では、無電解めっき用接着剤層を粗化した後、触媒核を付与し、めっきレジストを設け、無電解めっきを行い導体回路を形成する、いわゆるフルアディティブ法も使用することが可能である。
【0047】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明を実施例及び比較例に基づいて、詳細に説明する。図1は、本発明にかかる一例の配線板の縦断面図である。図2は、本発明にかかるSn層を示す部分的な拡大図である。
【0048】
実施例
A.無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物(上層用接着剤)
〔樹脂組成物▲1▼〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部と、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )3.15重量部と、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部と、NMP 3.6重量部とを攪拌混合して得た。
【0049】
〔樹脂組成物▲2▼〕
ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部と、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 1.0μmのもの 7.2重量部と、平均粒径 0.5μmのものを3.09重量部とを混合した後、更に、NMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
【0050】
〔硬化剤組成物▲3▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部と、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部と、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部と、NMP 1.5重量部とを攪拌混合して得た。
【0051】
B.層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物(下層用接着剤)
〔樹脂組成物▲1▼〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部と、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部と、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部と、NMP 3.6重量部とを攪拌混合して得た。
【0052】
〔樹脂組成物▲2▼〕
ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部と、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのもの 14.49重量部とを混合した後、更に、NMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
【0053】
〔硬化剤組成物▲3▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部と、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部と、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部と、NMP1.5 重量部とを攪拌混合して得た。
【0054】
C.樹脂充填剤調製用の原料組成物
〔樹脂組成物▲1▼〕
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U) 100重量部と、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部と、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部とを攪拌混合することにより、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整して得た。
【0055】
〔硬化剤組成物▲2▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0056】
D.プリント配線板の製造
(1) 図1に示すような厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂又はBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターン(導体回路)2とスルーホール3とを形成した。
【0057】
(2) 導体回路2及びスルーホール3を形成した基板を水洗し、乾燥した後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(10g/L),NaClO2 (40g/L), Na3PO4(6g/L)、還元浴として、NaOH(10g/L),NaBH4 (6g/L)を用いた酸化−還元処理により、導体回路2及びスルーホール3の表面に粗化面4,5を設けた。
【0058】
(3) Cの樹脂充填剤調製用の原料組成物を混合混練して樹脂充填剤を得た。
(4) 前記(3) で得た樹脂充填剤を、調製後24時間以内に基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより、導体回路2間及びスルーホール3内に充填して、70℃,20分間で乾燥させ、他方の面についても同様にして、樹脂充填剤を導体回路2間及びスルーホール3内に充填し、70℃,20分間で加熱乾燥させた。
【0059】
(5) 前記(4) の処理を終えた基板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、導体回路2の表面やスルーホール3のランド表面に樹脂充填剤が残らないように研磨し、次いで、このベルトサンダー研磨による傷を取り除くために、バフ研磨した。かかる一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
【0060】
次いで、100 ℃で1時間、120 ℃で3時間、 150℃で1時間、 180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤を硬化した。このようにして、スルーホール等に充填された樹脂充填剤の表層部及び導体回路2上面の粗化面を除去して、基板両面を平滑化し、樹脂層6が導体回路2の側面と粗化面4を介して強固に密着しており、樹脂層7がスルーホール3の内壁面と粗化面5を介して強固に密着している配線板を得た。即ち、この工程により、樹脂層の表面と導体回路の表面とが同一平面となる。
【0061】
(6) このようにして導体回路2を形成したプリント配線板を、アルカリ脱脂して、ソフトエッチングした。次に、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した。その一方、硫酸銅3.2×10-2モル/L、硫酸ニッケル3.9×10-3モル/L、クエン酸ナトリウム5.4×10-2モル/L、次亜リン酸ナトリウム3.3×10-1モル/L、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィール465)1.1×10-4モル/L、PH=9からなる無電解めっき液を調製した。
【0062】
導体回路2は、このようにして調製した無電解めっき液に浸漬した。浸漬1分後に、4秒当たり1回に割合で縦振動させて、銅導体回路2及びスルーホール3のランドの表面をCu−Ni−Pからなる針状合金で被覆して、粗化層8を設けた。
【0063】
その後、導体回路2を、ホウフッ化スズ0.1モル/L、チオ尿素1.0モル/L、温度35℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、図2に示すように、粗化層8上に厚さ0.3μmのSn層9を形成した。
【0064】
次いで、Sn層9を、50℃の温度で湯洗した。湯洗には、30L/分の流量の空気によるバブリングを用い、0.5分の浸漬時間で、湯洗槽を2段にして、Sn不純物を除去した。
【0065】
(7) Bの層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物を攪拌混合し、粘度1.5 Pa・sに調整して層間樹脂絶縁剤(下層用)を得た。次いで、Aの無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物を攪拌混合し、粘度7Pa・sに調整して無電解めっき用接着剤溶液(上層用)を得た。
【0066】
(8) 前記(6) の基板の両面に、前記(7) で得られた粘度 1.5Pa・sの層間樹脂絶縁剤(下層用)を調製後24時間以内にロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベーク)を行い、次いで、前記(7) で得られた粘度7Pa・sの感光性の接着剤溶液(上層用)を調製後24時間以内に塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分乾燥(プリベーク)し、厚さ35μmの層間樹脂絶縁層10を形成した。
【0067】
(9) 前記(8) で層間樹脂絶縁層10を形成した基板の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cm2 で露光した。これをDMTG溶液でスプレー現像し、さらに、この基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 で露光し、100 ℃で1時間、120 ℃で1時間、その後 150℃で3時間の加熱処理(ポストベーク)をすることにより、層間樹脂絶縁層9に、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた85μmφの開口11(バイアホール形成用開口)を開けた。なお、バイアホールとなる開口11には、スズめっき層9を部分的に露出させた。
【0068】
(10)開口11が形成された基板を、クロム酸に19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層10の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することで、この層間樹脂絶縁層10の表面を粗化面12とし、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
【0069】
更に、粗面化処理(粗化深さ6μm)したこの基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層10の表面およびバイアホール用開口11の内壁面に触媒核を付けた。
【0070】
(11)以下に示す組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗化面12の全体に厚さ0.6 μmの無電解銅めっき膜を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150 g/L
硫酸銅 20 g/L
HCHO 30 mL/L
NaOH 40 g/L
α、α’−ビピリジル 80 mg/L
PEG 0.1 g/L
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
【0071】
(12)前記(11)で形成した無電解銅めっき膜上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100 mJ/cm2 で露光し、0.8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジストを設けた。
【0072】
(13)次いで、レジスト非形成部分に以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した。
〔電解めっき水溶液〕
【0073】
(14)めっきレジストを5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜13と電解銅めっき膜14からなる厚さ18μmの導体回路15(バイアホール16を含む)を形成した。
【0074】
(15)(6) と同様の処理を行い、Cu−Ni−Pからなる粗化層17を形成し、さらにその表面にSn置換を行った。
(16)図示してはいないが、前記(7) 〜(15)の工程を繰り返すことで、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た。但し、Sn置換は行わなかった。
【0075】
(17)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67gと、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0gと、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6 gと、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604 )3gと、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A ) 1.5gと、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71gとを混合し、更に、この混合物に対して、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2gと、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製) 0.2gとを加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト用組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3によった。
【0076】
(18)前記(16)で得られた多層配線板の両面に、上記ソルダーレジスト用組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルムを密着させて載置し、1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。そして、更に、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、はんだパッド部分18(バイアホールとそのランド部分を含む)を開口した(開口径 200μm)ソルダーレジスト層19(厚み20μm)を形成した。
【0077】
(19)次に、ソルダーレジスト層19を形成した基板を、塩化ニッケル2.31×10-1モル/L、次亜リン酸ナトリウム2.84×10-1モル/L、クエン酸ナトリウム1.55×10-1モル/LからなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層20を形成した。更に、その基板を、シアン化金カリウム7.61×10-3モル/L、塩化アンモニウム1.87×10-1モル/L、クエン酸ナトリウム1.16×10-1モル/L、次亜リン酸ナトリウム1.70×10-1モル/Lからなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層20上に厚さ0.03μmの金めっき層21を形成した。
【0078】
(20)そして、ソルダーレジスト層19の開口部18に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローすることにより、はんだバンプ22(はんだ体)を形成し、はんだバンプを有するプリント配線板23を製造した。
【0079】
比較例
基本的に実施例と同一であるが、Sn層を湯洗しなかった。
【0080】
以上、実施例及び比較例で製造されたプリント配線板について、層間樹脂絶縁層のクラック発生の有無を観察した。実施例のプリント配線板では、層間樹脂絶縁層にクラックの発生は認められなかったが、比較例のプリント配線板では、クラックが発生した。
【0081】
【発明の効果】
本発明では、Sn層を、バブリングを用いて湯洗することによって、スズ不定比化合物等のSn不純物等が、Sn層表面から除去されるので、かかるSn不純物等によって生じる樹脂絶縁層のクラック発生を防止することができる。
【0082】
本発明によれば、バイアホール周辺部における樹脂絶縁層のクラックを有効に防止でき、バイアホール部での断線を引き起こすことがなく、接続信頼性に優れた多層プリント配線板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一例のプリント配線板の縦断面図である。
【図2】本発明にかかるSn層を示す部分的な拡大図である。
【符号の説明】
1 基板
2,15 導体回路
3 スルーホール
4,5 粗化面
6,7 樹脂層
8,17 粗化層
9 Sn層
10 層間絶縁樹脂層
11 開口
12 粗化面
13 無電解銅めっき膜
14 電解銅めっき膜
16 バイアホール
18 はんだパッド部分
19 ソルダーレジスト層
20 ニッケルめっき層
21 金めっき層
22 はんだバンプ
23 プリント配線板
Claims (7)
- 基板と下層導体回路と樹脂絶縁層とを備えている多層プリント配線板を得るにあたり、
(a)基板上に下層導体回路を設ける工程、
(b)下層導体回路の表面に粗化層を設ける工程、
(c)粗化層上にスズ層を設ける工程、
(d)スズ層の表面を、バブリングを用いて湯洗する工程、
(e)スズ層上に樹脂絶縁層を設ける工程
を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。 - 湯洗はCu−Ni−P合金粗化層の銅−スズ置換後のスズ層表面のスズ不純物を除去することを特徴とする、請求項1記載の多層プリント配線板の製造方法。
- スズ不純物はスズ不定比化合物であることを特徴とする、請求項2記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 湯洗はエアーバブリングを用いる湯洗によって行うことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 湯洗の条件は、0.1〜5分の浸漬時間とし、バブリング流速を1気圧に換算して50L/分以内又は10〜50L/分にして、30〜60℃の湯洗温度での洗浄であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項記載の多層プリント配線板の製造方法。
- スズ層の表面を、複数の湯洗槽を用いて繰り返し湯洗することを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 樹脂絶縁層上に上層導体回路を設け、下層導体回路と前記上層導体回路とを、バイアホールによって電気的に接続することを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項記載の多層プリント配線板の製造方法。
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