JP4215879B2 - プリント配線板、被処理体及びプリント配線板の製造方法 - Google Patents

プリント配線板、被処理体及びプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
導体回路上の粗化層を均一に形成させ、絶縁層との膨れ、剥離を起こさない、かつ、導体回路の断線などを起こさない信頼性、接続性に優れたプリント配線板とその製造方法を提案する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルドアップ多層配線板は、例えば、特開平9−130050号に開示されている方法によって製造されている。
【0003】
すなわち、ビルドアップ多層配線板の導体回路の表面に無電解めっきにより、粗化層を形成させて、ロールコーターや印刷にて層間絶縁樹脂を塗布した後、この樹脂を露光、現像して、層間導通のためのバイアホール開口部を形成させて、UV硬化、本硬化を経て層間樹脂絶縁層を形成する。さらに、その層間絶縁層に酸化剤などにより粗化処理を施し、粗化面にパラジウムなどの触媒を付け、薄い無電解めっき膜を形成し、そのめっき膜上にドライフィルムにてパターンを形成し、電解めっきで厚付けしたのち、アルカリでドライフィルムを剥離除去し、エッチングして導体回路を作り出させる。これらを繰り返すことにより、ビルドアップ多層配線板が得られる。
【0004】
また、このビルドアップ多層配線板の製造方法において、導体回路の表面に粗化面を形成させるには、無電解めっきで粗化層を形成させる以外に、導体回路をソフトエッチングしてその表面に粗化面を形成させる方法が、提案されている。
【0005】
更に、その粗化面上に、スズ層を形成させることにより、導体回路と層間絶縁樹脂との密着を確保するという方法がある。このような粗化層は、ソルダーレジスト層形成にも使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者が検討したところ、絶縁層を形成した後や、絶縁層上にめっき膜を形成した後に、絶縁層やめっき膜が膨れたり、剥がたりすることを見出した。特に、層間絶縁樹脂層が膨れたり、剥がれたりすると、層間絶縁層上に形成された導体回路に断線などが引き起こされる。
【0007】
本発明は、このような問題を解決し、絶縁層やめっき膜の膨れ、剥がれを防止し、接続性及び信頼性に優れたプリント配線基板とその製造方法を提案する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と前記基板上の導体回路とを備える、プリント配線板において、導体回路が金属下地層から形成されており、前記金属下地層が金属層を備えており、前記金属下地層上に粗化面が設けられており、前記金属下地層上に絶縁樹脂層が設けられており、前記粗化面の形成に先立ち、前記金属層が50 250 ℃の間の少なくとも 1 種の温度で、かつ、前記温度を少なくとも 10 分保持することによって加熱処理されており、前記金属層の加熱処理後であって、前記粗化面の形成前に、前記金属層の表面が、0.15〜1.00( グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETER による数値 )の光沢度を有しており、前記粗化面の凹凸の段差は 1 10 μ m の最大高さ (Ry) で表されていることを特徴とする、プリント配線板、かかるプリント配線板を得るための被処理体及びかかるプリント配線板の製造方法に係るものである。
【0009】
本発明者は、随意研究した結果、次のような事実を知見した。
絶縁層やめっき膜が膨れたり、剥がれたりする部分では、導体回路表面の凹凸の段差が、最大高さRyで、1μm未満であった。しかしながら、膨れや剥がれが発生していない部分では、導体回路表面の凹凸の最大高さRyは、1〜10μmであった。
【0010】
このような知見の下、本発明者は、絶縁層やめっき膜を加熱処理する際、凹凸の最大高さRyが1μm未満の部分は、絶縁層が熱によって収縮すると、絶縁層がこの収縮応力に耐えられなり、絶縁層自体やその上のめっき膜に膨れや剥がれが引き起こされることを突き止めた。
【0011】
本発明は、導体回路として働き、均一な凹凸の粗化面を有する、金属下地層を基板上に形成し、この金属下地層を絶縁樹脂層の下地として働らかせることにより、絶縁樹脂層やその上のめっき層の膨れや、剥がれを防止できるという知見に基づくものである。
【0012】
本発明者は、更に詳細に検討したところ、基板上に無電解めっき等による金属層を形成し、この金属層を加熱処理し、その後、この金属層をエッチング処理するか、金属層上に粗化層を設けることにより、金属下地層を形成することで、金属下地層の表面に均一な凹凸の粗化面が形成されることを知見した。
【0013】
このような熱処理は、金属層の表面および金属層内の水分、吸蔵水素を排出するとともに、金属層の酸化度を一様にし、その後に形成される金属下地層の粗化面の凹凸が不均一になるのを防止することができる。このため、このような金属下地層上に設けられた絶縁樹脂層には、膨れや剥がれが発生しなくなる。また、このようにして設けられた絶縁樹脂層上に形成される導体回路には、断線などが発生せず、導通不良が起こらない。
【0014】
また、本発明者の研究によれば、前述の熱処理を行った金属層表面の光沢度は、0.15〜1.00の範囲であることが分かった。つまり、いいかえると、本発明者は、金属層の光沢度を0.15〜1.00の範囲内にすることで、金属下地層の表層に形成される粗化面の凹凸を均一にし得ることを解明した。
【0015】
金属下地層表層の粗化面は、金属層をエッチングするか、あるいは、金属層上に無電解めっきを析出させることにより形成することができる。図1は、エッチングにより形成された金属下地層の縦断面図である。図2は、無電解めっきの析出により形成された金属下地層の縦断面図である。
【0016】
図1に示す金属下地層101の粗化面102は、基板103上に設けられた金属層104の表面をエッチングすることによって形成される。一方、図2に示す金属下地層105の粗化面106は、基板103上に設けられた金属層107の表面に、無電解めっき等からなる粗化層108を析出させることによって形成される。
【0017】
前述した金属層の光沢度が0.15未満のとき、ソフトエッチング等で金属層に粗化面を形成しようとしても、金属層が過剰にエッチングされ、金属層表面に均一な凹凸が創出できず、このため、前述した問題が発生する。また、0.15未満の光沢度の金属層には、内部に水分や吸臓水素が残留しており、この金属層上に無電解めっきで粗化層を形成したとしても、金属層内の金属結晶が大きいため、金属層自身が脆く、粗化層の凹凸が剥がれる。
【0018】
金属層の光沢度が1.00を越えたときは、導体回路の酸化度合いが進行しすぎているため、ソフトエッチング等で粗化面を形成しようとしても、エッチングされない部分があり、均一な凹凸が形成されない。また、無電解めっきで粗化層を形成しようとしても、触媒が付かないために、未反応になったり、反応が停止したりして、凹凸が不均一になり、前述の問題が起きる。
【0019】
本発明によれば、加熱処理されており、しかも、0.15〜1.00の光沢度を有している金属層から、導体回路として機能する金属下地層が形成される。このような金属層から形成される金属下地層は、その表層に均一な凹凸の粗化面を有することになるので、絶縁樹脂層の下地として良好に働き、絶縁樹脂層が加熱によって収縮しても、絶縁樹脂層の膨れや剥離の発生を著しく抑制することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる金属層は、種々の金属、種々の方法を用いて形成することができる。例えば、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウム及びスズからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を用い、無電解めっき、電解めっき、等により形成することができる。このような金属層は、2層以上で設けることもできる。
【0021】
本発明にかかる金属下地層は、このような金属層を用いて、種々の方法によって形成することができる。かかる金属下地層は、その表面に均一な凹凸の粗化面を有する。かかる金属下地層は、その上に形成された絶縁樹脂層が熱処理によって収縮しても、その収縮応力を抑制することができるような均一な凹凸面を有しており、絶縁樹脂層やその上のめっき層の膨れや剥がれを防止し、絶縁樹脂層上の導体回路の断線などを著しく抑制する。
【0022】
かかる金属下地層は、金属層の表面自体を処理することによって、その表面に均一な凹凸を有する粗化面を形成したり、金属層上に粗化層を設けて、この粗化層の表面に均一な凹凸を有する粗化面を形成することによって得られる。
【0023】
例えば、金属層にソフトエッチング等の種々のエッチング処理を施すことによって、金属層の表面に粗化面を形成した金属下地層を得ることができる。かかるエッチング処理としては、第二銅錯体と有機酸とによる処理、酸化処理、酸化還元処理などを挙げることができる。
【0024】
特に、エッチング処理としては、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液による処理が好ましい。かかるエッチング液を用いれば、多孔質状の粗化面や、窪みと稜線などが絡み合った粗化面が形成される。この粗化面は、複数の錨状部と窪み部と稜線とを有し、錨状部と窪み部と稜線とが分散形成されており、隣り合う錨状部が稜線によって繋がっているとともに、窪み部が錨状部と稜線によって囲まれている。このような粗化面は、アンカー効果の高く、その後に形成される絶縁樹脂層やバイアホールを介した上層の導体回路との密着性に優れる。
【0025】
金属下地層の粗化面に現れる凹凸の段差は、最大高さRyで、1〜10μmで形成されるのがよい。特に、2〜7μmで形成するのがよい。その理由としては、絶縁樹脂層と金属下地層との密着性が良いからである。
【0026】
また、例えば、金属層上に無電解めっき等のめっき処理を施し、粗化層を形成させることで、金属下地層上に粗化面を形成することができる。かかる粗化層としては、銅−ニッケル−リンからなる合金粗化層が挙げられ、このような粗化層は、無電解めっき法によって形成することができる。かかる粗化層の形状には、針状、多孔質状、針状と多孔質状の混在したものなどがある。かかる粗化層の凹凸面の段差も、最大高さRyが、1〜10μm、特に、2〜7μmで形成するのがよい。絶縁樹脂層と金属下地層との密着性が良いからである。
【0027】
本発明では、かかる金属下地層は、金属層の加熱処理後に形成することができる。加熱処理によって、金属層内に残留した不純物が排除されていれば、金属層の表面をエッチングしたり、金属層上にめっき等からなる粗化層を形成することで、均一な凹凸の粗化面を有する金属下地層が形成されるからである。
【0028】
また、本発明では、金属下地層を形成するための金属層は、その表面の光沢度が0.15〜1.00になるように調整される。金属層の酸化度を均一にすることにより、その後に形成される金属下地層の粗化面の凹凸を安定化せさることができるからである。
【0029】
金属層の光沢度を0.15〜1.00の範囲にするためには、熱処理方法を用いることができる。熱処理によって、金属層内に残留した水分や吸臓水素などが排出でき、かつ、光沢度を一様にすることができるからである。
【0030】
かかる熱処理では、金属層の温度を、常温(20〜30℃)から上昇させて、所定の熱処理温度で保持させるのが好ましい。また、かかる熱処理温度は、50〜250℃で行うのが好ましい。更に、熱処理温度は、10分以上一定に保持させるほうがよい。特に、熱処理温度は、80〜200℃で、30分〜2時間で保持するのが望ましい。その理由としては、光沢度が一様になりやすいのと、熱処理によって金属層内の余分な物質などを確実に排除できるからである。
【0031】
熱処理条件は、金属下地層の形成方法、凹凸の段差の最大高さRy、生産条件やコストなど、さまざまな要因により異なるが、50〜250℃の熱処理温度と10分以上の温度ホールド時間は、基本的に変わらない。熱処理条件によっては、金属層は、所定温度で一定時間保持した後、更に高い温度で、再度、所定時間保持させてもよい。熱処理条件の具体例を一つ挙げると、80℃/30分+100℃/30分+150℃/60分がある。
【0032】
本発明では、光沢度の測定には、グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETERを用いることができる。かかる機器を用いる場合、最初に光沢度の原点測定を行う。備え付けの原点測定用の白いサンプルと黒いサンプルとを交互に測定して、所定の光沢度の数値に補正して、原点調整を行う。調整後、熱処理を終えた金属層の光沢度を測定する。
【0033】
このようにして、基板上で、所定の光沢度を有するように熱処理された金属層は、プリント配線板を得るための被処理体として機能する。かかる被処理体は、前述したように、金属層の表面に直接粗化面が形成されるか、又は金属層上に粗化層が形成されて、金属下地層となり、この金属下地層上に絶縁樹脂層が設けられ、本発明のプリント配線板が得られる。
【0034】
本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。以下の方法は、セミアディティブ法によるものであるが、フルアディティブ法を採用してもよい。
【0035】
まず、基板の表面に導体回路を形成した配線基板を作成する。基板としては、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板等の樹脂絶縁基板、銅張り積層板、セラミック基板、金属基板等が用いられる。
【0036】
これらの基板に絶縁層を形成し、この絶縁層表面を粗化して粗化面とし、この粗化面全体に薄付けの無電解めっきを施し、めっきレジストを形成し、めっきレジスト非形成部分に厚付けの電解めっきを施した後、めっきレジストを除去し、エッチング処理して、電解めっき膜と無電解めっき膜とからなる下層導体回路を形成する。導体回路は、いずれも銅パタ−ンがよい。
【0037】
このようにして得られた基板には、下層導体回路あるいはスルーホールにより、凹部が形成される。その凹部を埋めるために、樹脂充填剤等を印刷などで塗布し、乾燥した後、不要な樹脂充填剤を研磨により研削して、下層導体回路を露出させたのち、樹脂充填剤を本硬化させる。
【0038】
次いで、下層導体回路に粗化面を設ける。形成される粗化面は、エッチング処理、研磨処理、酸化処理、酸化還元処理により形成された粗化面又はめっき被膜により形成された粗化面が望ましい。凹凸面の段差の最大高さRyは、1〜10μmで形成されるのがよい。
【0039】
なお、本発明では、かかる下層導体回路を均一な凹凸面を有する金属下地層から形成することができる。この場合、まず、前述したような電解めっき膜と無電解めっき膜とからなる金属層を形成し、その後、この金属層を熱処理する。熱処理温度は、50〜250℃で、10分以上ホールドさせるのがよい。次いで、熱処理した金属層の表面を粗化するか、金属層上に粗化層を設けることによって、表面に均一な凹凸面を有する金属下地層を形成する。この金属下地層は、導体回路として機能するとともに、絶縁樹脂層の下地として働く。
【0040】
次に、導体回路の粗化面上に絶縁樹脂層を設ける。かかる絶縁樹脂層は、無電解めっき用接着剤を用いて形成することができる。かかる無電解めっき用接着剤は、熱硬化性樹脂を基剤とし、特に硬化処理された耐熱性樹脂粒子、酸や酸化剤に溶解する耐熱性樹脂粒子、無機粒子や繊維質フィラー等を、必要により含ませることができる。かかる絶縁樹脂層が下層導体回路と上層導体回路との間に設けられる場合、層間樹脂絶縁層となる。
【0041】
熱硬化性樹脂基剤としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。なお、熱硬化基の一部を感光化する場合は、熱硬化基の一部をメタクリル酸やアクリル酸等と反応させてアクリル化させたものが好ましい。中でも、エポキシ樹脂のアクリレートが最適である。かかるエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0042】
また、かかる熱硬化性樹脂基剤には、ポリエーテルスルフォンやポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂を添加することができる。
【0043】
耐熱性樹脂粒子としては、 (1)平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、 (2)平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、 (3)平均粒径が2〜10μm以下の耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、 (4)平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に、平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末及び無機粉末の少なくとも1種を付着させた疑似粒子、 (5)平均粒径が0.8 を越え2.0 μm未満の耐熱性樹脂粉末と平均粒径が0.1 〜0.8 μmの耐熱性樹脂粉末との混合物、及び (6)平均粒径が0.1 〜1.0 μmの耐熱性樹脂粉末からなる群より選ばれる少なくとも1種の粒子を用いるのが望ましい。これらの粒子は、より複雑なアンカ−を形成するからである。また、これらの粒子により得られる粗化面は、0.1 〜20μmの最大高さ(Ry)を有することができる。
【0044】
酸や酸化剤に溶解する耐熱性樹脂粒子としては、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂)、エポキシ樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂をアミン系硬化剤で硬化させたものが最適)、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等からなる耐熱性樹脂粒子を用いることができる。かかる耐熱性樹脂粒子の混合比は耐熱性樹脂からなるマトリックスの固形分の5〜50重量%、望ましくは10〜40重量%がよい。
【0045】
かかる絶縁樹脂層は、複数層にしてもよい。例えば、下層を無機粒子や繊維質フィラーと樹脂基剤とからなる補強層とし、上層を無電解めっき用接着剤層とすることができる。また、平均粒径0.1 〜2.0 μmの酸や酸化剤に溶解する耐熱性樹脂粒子を酸や酸化剤に難溶性の耐熱性樹脂中に分散させて下層とし、無電解めっき用接着剤層を上層としてもよい。
【0046】
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク等を使用できる。繊維質フィラーとしては、炭酸カルシウムのウイスカー、ホウ酸アルミニウムのウイスカー、アラミド繊維、炭素繊維等の少なくとも1種を使用できる。
【0047】
粗化し触媒核を付与した層間絶縁樹脂上の全面に薄付けの無電解めっき膜を形成する。この無電解めっき膜は、無電解銅めっきがよく、厚みは、0.5〜5μm、より望ましくは1〜3μmとする。なお、無電解銅めっき液としては、常法で採用される液組成のものを使用でき、例えば、硫酸銅:29g/L、炭酸ナトリウム:25g/L、EDTA:140 g/L、水酸化ナトリウム:40g/L、37%ホルムアルデヒド: 150mL、(PH=11.5)からなる液組成のものがよい。
【0048】
次に、このように形成した無電解めっき膜上に感光性樹脂フィルム(ドライフィルム)をラミネートし、この感光性樹脂フィルム上に、めっきレジストパターンが描画されたフォトマスク(ガラス基板がよい)を密着させて載置し、露光し、現像処理することにより、めっきレジストパターンを配設した非導体部分を形成する。
【0049】
次に、無電解銅めっき膜上の非導体部分以外に電解めっき膜を形成し、導体回路とバイアホールとなる導体部を設ける。電解めっきとしては、電解銅めっきを用いることが望ましく、その厚みは、5〜20μmがよい。
【0050】
さらに、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液にて無電解めっき膜を除去し、無電解めっき膜と電解めっき膜の2層からなる独立した金属層を得る。なお、非導体部分に露出した粗化面上のパラジウム触媒核は、クロム酸、硫酸過水等により溶解除去する。
【0051】
パラジウムを除去して金属層を形成したプリント基板を熱処理する。この際、温度は50〜250℃の間の少なくとも1種で、かつ、その温度を10分以上ホールドさせるのがよい。また、熱処理を異なった温度で、2回以上ホールドさせてもよい。
【0052】
次いで、この表層の金属層に粗化面を形成させ、均一な凹凸面を有する金属下地層を形成する。かかる粗化面は、アゾール類の第二銅錯体と有機酸の水溶液からなるエッチング液を金属層表面にスプレイするか、かかるエッチング液に金属層を浸漬し、バブリングすることによって、形成させるか、あるいは、他のエッチング処理、酸化処理、酸化還元処理によって形成させることができる。また、かかる粗化面は、銅−ニッケル−リンからなる合金粗化層を、めっきを用いて金属層上に形成させることによって、形成することができる。
【0053】
かかる金属下地層は、前述したように、導体回路として機能するとともに、層間絶縁樹脂層の下地として機能するが、次に述べるようなソルダーレジスト層の下地としても機能する。
【0054】
次いで、このようにして得られた上層導体回路上にソルダーレジスト層を形成する。ソルダーレジスト層の厚さは、5〜40μmがよい。薄すぎるとソルダーダムとして機能せず、厚すぎると開口しにくくなる上、半田体と接触し半田体に生じるクラックの原因となるからである。
【0055】
ソルダーレジスト層としては、種々の樹脂を使用でき、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートをアミン系硬化剤やイミダゾール硬化剤などで硬化させた樹脂を使用できる。
【0056】
特に、ソルダーレジスト層に開口を設けて半田バンプを形成する場合には、「ノボラック型エポキシ樹脂もしくはノボラック型エポキシ樹脂のアクリレート」からなり、「イミダゾール硬化剤」を硬化剤として含むものが好ましい。
【0057】
このような構成のソルダーレジスト層は、鉛のマイグレーション(鉛イオンがソルダーレジスト層内を拡散する現象)が少ないという利点を持つ。しかも、このソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートをイミダゾール硬化剤で硬化した樹脂層であり、耐熱性、耐アルカリ性に優れ、はんだが溶融する温度(200 ℃前後)でも劣化しないし、ニッケルめっきや金めっきのような強塩基性のめっき液で分解することもない。
【0058】
しかしながら、このようなソルダーレジスト層は、剛直骨格を持つ樹脂で構成されるので剥離が生じやすい。本発明にかかる粗化面は、このような剥離を防止できるため有利である。
【0059】
ここで、上記ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとしては、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルを、アクリル酸やメタクリル酸などと反応させたエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0060】
上記イミダゾール硬化剤は、25℃で液状であることが望ましい。液状であれば均一混合できるからである。このような液状イミダゾール硬化剤としては、1-ベンジル−2-メチルイミダゾール(品名:1B2MZ )、1-シアノエチル−2-エチル−4-メチルイミダゾール(品名:2E4MZ-CN)、4-メチル−2-エチルイミダゾール(品名:2E4MZ )を用いることができる。
【0061】
このイミダゾール硬化剤の添加量は、上記ソルダーレジスト組成物の総固形分に対して1〜10重量%とすることが望ましい。この理由は、添加量がこの範囲内にあれば均一混合がしやすいからである。
【0062】
上記ソルダーレジストの硬化前組成物は、溶媒としてグリコールエーテル系の溶剤を使用することが望ましい。このような組成物を用いたソルダーレジスト層は、遊離酸素が発生せず、銅パッド表面を酸化させない。また、人体に対する有害性も少ない。
【0063】
このようなグリコールエーテル系溶媒としては、下記構造式のもの、特に望ましくは、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。これらの溶剤は、30〜50℃程度の加温により反応開始剤であるベンゾフェノンやミヒラーケトンを完全に溶解させることができるからである。
CHO−(CHCHO)−CH(n=1〜5)
このグリコールエーテル系の溶媒は、ソルダーレジスト組成物の全重量に対して10〜40重量%がよい。
【0064】
以上説明したようなソルダーレジスト組成物には、その他に、各種消泡剤やレベリング剤、耐熱性や耐塩基性の改善と可撓性付与のために熱硬化性樹脂、解像度改善のために感光性モノマーなどを添加することができる。
【0065】
例えば、レベリング剤としてはアクリル酸エステルの重合体からなるものがよい。また、開始剤としては、チバガイギー製のイルガキュアI907、光増感剤としては日本化薬製のDETX−Sがよい。
【0066】
さらに、ソルダーレジスト組成物には、色素や顔料を添加してもよい。配線パターンを隠蔽できるからである。この色素としてはフタロシアニングリーンを用いることが望ましい。
【0067】
添加成分としての上記熱硬化性樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。このビスフェノール型エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂があり、耐塩基性を重視する場合には前者が、低粘度化が要求される場合(塗布性を重視する場合)には後者がよい。
【0068】
添加成分としての上記感光性モノマーとしては、多価アクリル系モノマーを用いることができる。多価アクリル系モノマーは、解像度を向上させることができるからである。例えば、多価アクリル系モノマーが望ましい。ここで、日本化薬製のDPE−6Aであり、共栄社化学製のR−604である。
【0069】
また、これらのソルダーレジスト組成物は、25℃で0.5〜10Pa・s、より望ましくは1〜10Pa・sがよい。ロールコータで塗布しやすい粘度だからである。ソルダ−レジスト形成後、開口部を形成する。その開口は、露光、現像処理により形成する。開口径は、80〜150μmの範囲である。
【0070】
その後、ソルダーレジスト層形成後に、開口部に無電解めっきにてニッケルめっき層を形成させる。ニッケルめっき液の組成の例として、硫酸ニッケル4.5g/L、次亜リン酸ナトリウム25g/L、クエン酸ナトリウム40g/L、ホウ酸12g/L、チオ尿素0.1g/L(PH=11)がある。脱脂液により、ソルダーレジスト層開口部、表面を洗浄し、パラジウムなどの触媒を開口部に露出した導体部分に付与し、活性化させた後、めっき液に浸漬し、ニッケルめっき層を形成させる。
【0071】
ニッケルめっき層の厚みは、0.5〜20μmで、特に3〜10μmの厚みが望ましい。それ以下では、半田バンプとニッケルめっき層の接続が取れにくい、それ以上では、開口部に形成した半田バンプが収まりきれず、剥がれたりする。
【0072】
ニッケルめっき層形成後、金めっきにて金めっき層を形成させる。厚みは、0.01〜0.1μmであり、望ましくは0.03μm前後である。
【0073】
【実施例】
図面を参照して、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例)
A.無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物(上層用接着剤)
〔樹脂組成物▲1▼〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
【0074】
〔樹脂組成物▲2▼〕
ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 1.0μmのものを 7.2重量部、平均粒径 0.5μmのものを3.09重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
【0075】
〔硬化剤組成物▲3▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP 1.5重量部を攪拌混合して得た。
【0076】
B.層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物(下層用接着剤)
〔樹脂組成物▲1▼〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
【0077】
〔樹脂組成物▲2▼〕
ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのものを 14.49重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
【0078】
〔硬化剤組成物▲3▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP1.5 重量部を攪拌混合して得た。
【0079】
C.樹脂充填剤調製用の原料組成物
〔樹脂組成物▲1▼〕
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310 、YL983U) 100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmのSiO球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を攪拌混合することにより、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整して得た。
【0080】
〔硬化剤組成物▲2▼〕
イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
【0081】
D.プリント配線板の製造
図3〜22は、本発明の一例のプリント配線板を製造工程に従って示す断面図である。
図3に示すように、厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔2がラミネートされている銅張積層板3を出発材料とした。
【0082】
まず、図4に示すように、この銅張積層板3に、ドリルによって削孔4を設け、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に内層銅パターン5とスルーホール6を形成した。
【0083】
(2) 内層銅パターン5およびスルーホール6を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(10g/L),NaClO(40g/L), NaPO(6g/L)、還元浴として、NaOH(10g/L),NaBH(6g/L)を用いた酸化−還元処理により、図5に示すように、内層銅パターン5およびスルーホール6の表面に粗化面7,8,9を設けた。
【0084】
(3) Cの樹脂充填剤調製用の原料組成物を混合混練して樹脂充填剤を得た。
(4) 前記(3) で得た樹脂充填剤を、調製後24時間以内に基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより、内層銅パターン5間あるいはスルーホール6内に充填し、70℃,20分間で乾燥させ、他方の面についても同様にして、樹脂充填剤を内層銅パターン5間あるいはスルーホール6内に充填し、70℃,20分間で加熱乾燥させた。
【0085】
(5) 前記(4) の処理を終えた基板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン5の表面7やスルーホール6のランド表面8を樹脂充填剤が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
【0086】
次いで、100 ℃で1時間、120 ℃で3時間、 150℃で1時間、 180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤を硬化した。
【0087】
このようにして、図6に示すように、スルーホール6等に充填された樹脂充填剤11の表層部および内層銅パターン5の上面の粗化面7を除去して、基板両面を平滑化し、樹脂充填剤11と内層銅パターン5の側面やスルーホール6のランド部の側面とが粗化面7a,8aを介して強固に密着し、また、スルーホール6の内壁10の表面と樹脂充填剤11とが粗化面9を介して強固に密着した配線基板13を得た。即ち、この工程により、樹脂充填剤11の表面と内層銅パターン5の表面とが同一平面となる。
【0088】
(6) 内層銅パターン5を形成したプリント配線板13を、アルカリ脱脂してソフトエッチングして、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅3.2×10−2モル/L、硫酸ニッケル3.9×10−3モル/L、錯化剤5.4×10−2モル/L、次亜りん酸ナトリウム3.3×10−1モル/L、ホウ酸5.0×10−1モル/L、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィール465)0.1g/L、PH=9からなる無電解めっき液に浸漬し、浸漬後、1分後に、4秒当たり1回に割合で縦振動および横振動させて、図7に示すように、導体回路およびスルーホールのランドの表面にCu−Ni−Pからなる針状合金の被覆層と粗化層を設けた。
【0089】
さらに、ホウフッ化スズ0.1モル/L、チオ尿素1.0モル/L、温度35℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、その後、温度50℃、バブリングには、空気を用い、流量30L/分、浸漬時間0.5分で湯洗槽を2段にして湯洗を行い、Sn残さを除去し、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(図示していない)。
【0090】
(7) Bの層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物を攪拌混合し、粘度1.5 Pa・sに調整して層間樹脂絶縁剤(下層用)を得た。
次いで、Aの無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物を攪拌混合し、粘度7Pa・sに調整して無電解めっき用接着剤溶液(上層用)を得た。
【0091】
(8) 前記(6) の基板16の両面に、前記(7) で得られた粘度 1.5Pa・sの層間樹脂絶縁剤(下層用)を調製後24時間以内にロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベーク)を行い、次いで、前記(7) で得られた粘度7Pa・sの感光性の接着剤溶液(上層用)を調製後24時間以内に塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベーク)を行い、図8に示すような、厚さ35μmの接着剤層17を形成した。
【0092】
(9) 前記(8) で接着剤層17を形成した基板の両面に、図9に示すように、85μmφの黒円18が印刷されたフォトマスクフィルム19を密着させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cmで露光した。これをDMTG溶液でスプレー現像し、さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cmで露光し、100 ℃で1時間、120 ℃で1時間、その後 150℃で3時間の加熱処理(ポストベーク)をすることにより、図10に示すようなフォトマスクフィルム19に相当する寸法精度に優れた85μmφの開口20(バイアホール形成用開口)を有する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層17(2層構造)を形成した。なお、バイアホールとなる開口20には、スズめっき層を部分的に露出させた。
【0093】
(10)開口が形成された基板を、クロム酸に19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層17の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、図11に示すように、層間樹脂絶縁層17の表面及び開口20の表面に粗化面21,22を形成し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
【0094】
さらに、粗面化処理(粗化深さ6μm)した基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層の表面21およびバイアホール用開口の内壁面22に触媒核を付けた。
【0095】
(11)以下に示す組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、図12に示すように、粗面全体に厚さ0.6 μmの無電解銅めっき膜23を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 0.080 モル/L
硫酸銅 0.031 モル/L
HCHO 0.053 モル/L
NaOH 0.052 モル/L
α、α'−ビピリジル 80 mg/L
PEG 0.1 g/L
〔無電解めっき条件〕
65℃の液温度で20分
【0096】
(12)前記(11)で形成した無電解銅めっき膜23上に、図13に示すように、市販の感光性ドライフィルム24を張り付け、黒円25が印刷されたマスク26を載置して、100 mJ/cmで露光、0.8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、図14に示すような、厚さ15μmのめっきレジスト27を設けた。
【0097】
(13)ついで、レジスト非形成部分に、以下の条件で電解銅めっきを施し、図15に示すような、厚さ15μmの電解銅めっき膜28を形成した。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.25 モル/L
硫酸銅 0.26 モル/L
添加剤(アトテックジャパン製、カパラシドHL) 19.5 mL/L
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm
時間 65分
温度 22±2 ℃
【0098】
(14)めっきレジスト27を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト27下の無電解めっき膜23を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、図16に示すような、無電解銅めっき膜29と電解銅めっき膜28からなる厚さ18μmの金属層30(バイアホール部分31を含む)を形成した。
【0099】
(15)得られた金属層30,31を加熱処理した。処理温度とこの温度での保持時間は、150℃、30分であった。この時の金属層表面の光沢度は、グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETERを用いて測定した結果、0.56であった。
【0100】
この金属層に、(6) と同様の処理を行い、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、図17に示すような、金属層30,31上に粗化面32を形成し、金属下地層を形成した。さらに、金属下地層の表面をSn置換した(図示していない)。この金属下地層は導体回路として機能する。
【0101】
(16)また、前記(7) 〜(15)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の金属層及び金属下地層を形成し、図18に示すような多層配線基板を得た。
【0102】
(17)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6 g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604 )3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A ) 1.5g、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を 0.2g加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 、60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3によった。
【0103】
(18)前記(16)で得られた多層配線基板の両面に、図19に示すように、上記ソルダーレジスト組成物33を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、図20に示すように、円パターン34(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルム35を密着させて載置し、1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG現像処理した。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、図21に示すように、はんだパッド部分36(バイアホールとそのランド部分37を含む)を開口した(開口径 200μm)ソルダーレジスト層38(厚み20μm)を形成した。
【0104】
(19)次に、図21に示すソルダーレジスト層を形成した基板39を、塩化ニッケル30g/L、次亜リン酸ナトリウム10g/L、クエン酸ナトリウム10g/LからなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、図22に示すように、開口部36,37に厚さ5μmのニッケルめっき層40を形成した。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/L、塩化アンモニウム75g/L、クエン酸ナトリウム50g/L、次亜リン酸ナトリウム10g/Lからなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層40上に厚さ0.03μmの金めっき層41を形成した。
【0105】
(20)そして、ソルダーレジスト層38の開口部36,37に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローすることによりはんだバンプ42(はんだ体)を形成し、はんだバンプ42を有するプリント配線板43を製造した。
【0106】
(比較例1)
実施例と異なるのは、粗化面の形成前の加熱処理を45℃/30分で行なった点であり、それ以外の条件は、実施例と同一である。金属層の光沢度は、0.10であった。
【0107】
(比較例2)
実施例と異なるのは、粗化面の形成前の加熱処理を100℃/30分+150℃/30分+280℃/1時間で行なった点であり、それ以外の条件は、実施例と同一である。金属層の光沢度は、1.24であった。
【0108】
以上、実施例および比較例で製造されたプリント配線板について、金属層の光沢度、絶縁層の膨れの発生率、絶縁層の剥がれの発生率、及び層間絶縁層上に形成された導体回路の断線の有無の計4項目について、比較した。結果を表1に示す。実施例では、光沢度は0.15〜1.0の範囲に抑えられ、層間絶縁層の膨れ、剥がれおよび導体回路の断線の発生はなかった。
【0109】
【表1】
Figure 0004215879
*1 グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー社製 GAMMODEL 144 DENSITOMETERにて測定した。
*2 層間絶縁層形成後、表層を目視にて観察した。
*3 めっき膜形成後、に表層を目視で観察した。
*4 ヒートサイクル試験液槽125℃ 3min / -55℃ 3min 条件にて100cycles後に目視で確認した。
【0110】
【発明の効果】
本発明によれば、加熱処理されており、しかも、0.15〜1.00の光沢度を有している金属層から、均一な凹凸面を有する金属下地層が形成される。このような金属下地層は、導体回路として機能するとともに、絶縁樹脂層の下地としても働き、金属下地層と絶縁樹脂層とが金属下地層上の均一な凹凸の粗化面を介して強固に密着する。このため、本発明では、導体回路上の絶縁樹脂層が加熱によって収縮しても、絶縁樹脂層の膨れや剥離の発生が著しく抑制され、接続性及び信頼性に極めて優れたプリント配線板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一例の金属下地層の縦断面図である。
【図2】本発明にかかる他の例の金属下地層の縦断面図である。
【図3】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図4】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図5】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図6】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図7】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図8】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図9】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図10】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図11】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図12】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図13】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図14】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図15】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図16】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図17】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図18】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図19】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図20】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図21】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【図22】本発明にかかる一例のプリント配線板の製造工程図である。
【符号の説明】
1,103 基板
2 銅箔
3 銅張積層板
4 削孔
5 内層銅パターン
6,48 スルーホール
7,7a,8,8a,9,32,102,106 粗化面
10 スルーホール内壁
13,16 配線基板
11,12 樹脂層
14,15,108 粗化層
17 接着剤層
18,24 黒円
19,35 フォトマスクフィルム
20 開口(バイアホール形成用開口)
23,29 無電解銅めっき膜
25 感光性ドライフィルム
26 マスク
27 めっきレジスト
28 電解銅めっき膜
30,31,104,107 金属層
33 ソルダーレジスト用組成物
34 円パターン(マスクパターン)
36 はんだパッド部分
37 バイアホールとそのランド部分
38 ソルダーレジスト層
39,43 プリント配線板
40 ニッケルめっき層
41 金めっき層
42 はんだバンプ(はんだ体)
101,105 金属下地層

Claims (8)

  1. 基板と前記基板上の導体回路とを備える、プリント配線板において、
    導体回路が金属下地層から形成されており、前記金属下地層が金属層を備えており、前記金属下地層上に粗化面が設けられており、前記金属下地層上に絶縁樹脂層が設けられており、前記粗化面の形成に先立ち、前記金属層が50 250 ℃の間の少なくとも 1 種の温度で、かつ、前記温度を少なくとも 10 分保持することによって加熱処理されており、前記金属層の加熱処理後であって、前記粗化面の形成前に、前記金属層の表面が、0.15〜1.00( グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETER による数値 )の光沢度を有しており、前記粗化面の凹凸の段差は 1 10 μ m の最大高さ (Ry) で表されていることを特徴とする、プリント配線板。
  2. 前記粗化面が、前記金属層のソフトエッチングによって形成されていることを特徴とする、請求項1記載のプリント配線板。
  3. 前記粗化面が、前記金属層上に析出させた無電解めっきによって形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のプリント配線板。
  4. 前記粗化面の凹凸の段差が2 7 μ mの最大高さ(Ry)で表されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のプリント配線板。
  5. 前記絶縁樹脂層上に上層導体回路が設けられており、前記金属下地層と前記上層導体回路とが、バイアホールによって電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のプリント配線板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のプリント配線板を得るための被処理体であって、
    被処理体が基板と前記基板上の金属層とを備えており、前記金属層が50 250 ℃の間の少なくとも 1 種の温度で、かつ、前記温度を少なくとも 10 分保持することによって加熱処理されており、前記金属層の表面が0.15〜1.00( グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETER による数値 )の光沢度を有していることを特徴とする、被処理体。
  7. 基板上の導体回路を備えている、プリント配線板を得るにあたり、
    (a)基板上に金属層を設ける工程
    (b)金属層を50 250 ℃の間の少なくとも 1 種の温度で、かつ、前記温度を少なくとも 10 分保持することによって加熱処理し、前記金属層の表面を0.10〜1.00( グラフィックアーツマニュファクチャリングカンパニー製 GAMMODEL 144 DENSITOMETER による数値 )の光沢度に制御し、前記金属層を含む金属下地層を形成する工程、及び
    (c)前記金属下地層の表面に粗化面を形成する工程であり、前記粗化面の凹凸の段差は 1 10 μ m の最大高さ (Ry) で表される工程
    を備えることを特徴とする、プリント配線板の製造方法。
  8. 前記粗化面の凹凸の段差が、 2 7 μ m の最大高さ (Ry) で表されることを特徴とする、請求項7記載のプリント配線板の製造方法。
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