JP3853142B2 - ソルダーレジスト組成物およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソルダーレジスト組成物およびプリント配線板の製造方法に関し、特に、ロールコータで塗布しやすく、鉛のマイグレーションが少ないソルダーレジスト組成物とこのソルダーレジスト組成物を用いたプリント配線板の製造方法について提案する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板は、その最表層部にソルダーレジスト層が形成されている。このソルダーレジスト層は、表層に露出した導体回路を保護する機能、および電子部品を搭載するパッド表面に供給したはんだ体(例えば、はんだバンプ)のはんだ流出やはんだブリッジを防ぐダムとしての機能、を持つものである。
【0003】
このようなソルダーレジスト層を形成するための樹脂組成物としては、例えば特開昭63-286841号(USP4902726号)公報に開示されているような、エポキシアクリレートとイミダゾール硬化剤をセロソルブアセテートに溶解させ、その粘度を 0.1〜0.2 Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物などが用いられている。
また、特開昭62−23036 号公報には、アルカリ現像タイプのソルダーレジスト組成物が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭63-286841号公報に記載の樹脂組成物をソルダーレジスト層として使用すると、パッド上に形成されるはんだ体(はんだバンプ等)から鉛イオンがソルダーレジスト層内を拡散し(この現象を鉛のマイグレーションという)、パッド間の導通を招いて、ショートを引き起こすという問題があった。
また、特開昭62-23036号公報に記載の樹脂組成物をソルダーレジスト層として使用する場合も、やはり上記現象を招き、ショートを引き起こすという問題があった。
【0005】
一方で、上記樹脂組成物を銅パターンに塗布してこれを乾燥すると、このような樹脂層下の銅パターンは酸化し、ニッケル−金めっきを施す際に、この銅パターンの酸化層が溶解して、いわゆるハロー現象と呼ばれる変色が発生するという問題があった。
【0006】
また、上記樹脂組成物をソルダーレジスト層として使用すると、このようなソルダーレジスト層は、ヒートサイクルによって剥離が生じやすいという問題があった。
【0007】
さらに、プリント配線板は両面配線板が基本仕様であり、この場合、ソルダーレジスト組成物は両面に塗布しなければならない。そのため、最良の塗布形態として、配線基板を垂直に立てた状態でロールコータの一対の塗布用ロールのロール間に挟み、その基板の両面にソルダーレジスト組成物を同時に塗布する方法がある。しかし、この方法を採用すると、従来技術にかかる上記ソルダーレジスト組成物は粘度が低すぎて垂れてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、従来技術が抱える上述した各種問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、ロールコータで塗布しやすく、鉛のマイグレーションが少ないソルダーレジスト組成物を開発することにある。また本発明の他の目的は、ハロー現象やヒートサイクルによるソルダーレジスト層の剥離のないプリント配線板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に述べるような知見を得た。即ち、
前述の特開昭63-286841号公報に記載の樹脂組成物は、粘度が低く(0.1〜0.2Pa・s)、分子鎖間に隙間が存在し、これを乾燥させて露光硬化しても硬化率は低く、この隙間が残存する。そのため、この隙間を鉛イオンが移動するのではないかと考えられる。
【0010】
また、特開昭62−23036 号公報に記載の樹脂組成物は、エポキシ基にカルボン酸を導入しており、アルカリ現像するにあたり、分子鎖を化学的に切断するため、現像面が荒れてしまい、この荒れた面から鉛イオンが拡散するのではないかと考えられる。
【0011】
さらに、溶剤としてセロソルブアセテートを含む上記樹脂組成物は、−COORが分解して遊離酸素(O)を生じるので、これが銅表面を酸化させているものと考えられる。
【0012】
本発明は、このような知見に基づいて開発されたものであり、その要旨構成は、以下のとおりである。
(1)ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH 3 O・(CH 2 CH 2 O) n −CH 3 (n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなるソルダーレジスト組成物である。
【0013】
なお、上記(1)に記載のソルダーレジスト組成物において、アクリル酸エステルの重合体は、分子量
500〜5000であって、アクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素数1〜10のアルコールとのエステルの重合体であることが好ましい。
さらに、上記(1)に記載のソルダーレジスト組成物において、前記イミダゾール硬化剤は、25℃で液状であることが好ましい。
【0014】
(2)導体回路を形成した配線基板の表面にソルダーレジスト層を有するプリント配線板の製造方法において、
前記ソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH3O・(CH2CH2O)n−CH3(n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなるソルダーレジスト組成物を硬化させて形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
(3) 導体回路を形成した配線基板に対し、その表面にソルダーレジスト層を設けると共にこのソルダーレジスト層に設けた開口部から露出する前記導体回路の一部をパッドとして形成し、そのパッド上にはんだ体を供給保持してなるプリント配線板の製造方法において、
前記ソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH3O・(CH2CH2O)n−CH3(n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなるソルダーレジスト組成物を硬化させて形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【0015】
なお、上記(2)または(3)に記載のプリント配線板の製造方法において、前記ソルダーレジスト層に含まれるアクリル酸エステルの重合体は、好ましくは分子量500〜5000であって、アクリル酸もしくはメタクリル酸と炭素数1〜10のアルコールとのエステルの重合体であることがより好ましい。
さらに、上記(2)または(3)に記載のプリント配線板の製造方法において、前記導体回路の表面には、粗化層が形成されてなることが好ましく、その粗化層は、銅−ニッケル−リンからなる合金層であることが望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のソルダーレジスト組成物は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤とアクリル酸エステルの重合体とを主成分とする樹脂組成物である点に一の特徴がある。
それ故に、この樹脂組成物を硬化したソルダーレジスト層は、耐熱性、耐アルカリ性に優れ、はんだが溶融する温度(200℃前後)でも劣化しないし、ニッケルめっきや金めっきのようなめっき液で分解することもない。また、上記ソルダーレジスト組成物は、溶剤現像が可能であるので、アルカリ現像のように現像面が荒れることもない。
【0017】
本発明のソルダーレジスト組成物は、溶剤としてグリコールエーテル系溶剤を用い、その粘度を25℃で 0.5〜10Pa・s、より好ましくは2〜3Pa・sとした点に他の特徴がある。
このように25℃で 0.5Pa・s以上の粘度に調整したソルダーレジスト組成物によれば、得られるソルダーレジスト層は、樹脂分子鎖同志の隙間が小さく、この隙間を移動するPbの拡散(鉛のマイグレーション)が少なくなる結果、プリント配線板のショート不良が低減される。また、上記ソルダーレジスト組成物の粘度が25℃で 0.5Pa・s以上であれば、基板を垂直に立てた状態で両面同時に塗布してもその組成物が垂れることはなく、良好な塗布が可能となる。ところが、上記ソルダーレジスト組成物の粘度が25℃で10Pa・sを超えると、ロールコータによる塗布ができないので、その上限を10Pa・sとした。
【0018】
ここで、上記ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとしては、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルを、アクリル酸やメタクリル酸などと反応させたエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0019】
上記イミダゾール硬化剤は、種々のものを使用できるが、25℃で液状であることが望ましい。粉末では均一混練が難しく、液状の方が均一に混練できるからである。このようなイミダゾール硬化剤としては、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(品名:1B2MZ、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(品名:2E4MZ−CN)、4−メチル−2−エチルイミダゾール(品名:2E4MZ)を用いることができるが、いずれも25℃においては液状ではないので、本願発明で用いる際には加熱等によって液状にして用いることが好ましい。このイミダゾール硬化剤の添加量は、上記ソルダーレジスト組成物の総固形分に対して1〜10重量%とすることが望ましい。この理由は、添加量がこの範囲内であれば均一混合しやすいからである。
【0020】
上記ソルダーレジスト組成物は、溶剤としてグリコールエーテル系溶剤を使用しているので、このような組成物を用いたソルダーレジスト層は、遊離酸素が発生せず、銅パッド表面を酸化させない。また、人体に対する有害性も少ない。このようなグリコールエーテル系溶剤としては、下記構造式のもの、特に望ましくは、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。これらの溶剤は、30〜50℃程度の加温により反応開始剤であるベンゾフェノンやミヒラーケトンを完全に溶解させることができるからである。
CH3O-(CH2CH2O) n −CH3 (n=1〜5)
このグリコールエーテル系溶剤は、ソルダーレジスト組成物の全重量に対して10〜40wt%がよい。
【0021】
以上説明したようなソルダーレジスト組成物には、その他に、各種消泡剤やレベリング剤、耐熱性や耐塩基性の改善と可撓性付与のために熱硬化性樹脂、解像度改善のために感光性モノマーなどを添加することができる。さらに、ソルダーレジスト組成物には、色素や顔料を添加してもよい。配線パターンを隠蔽できるからである。この色素としてはフタロシアニングリーンを用いることが望ましい。
【0022】
特に、本発明では、ソルダーレジスト組成物には、分子量 500〜5000程度のアクリル酸エステルの重合体を添加することが望ましい。この重合体は、25℃で液状であり、クレゾールノボラックエポキシ樹脂アクリレートと相溶しやすく、レベリング作用、消泡作用を持つからである。このため、形成されたソルダーレジスト層は、表面平滑性に優れ、はじきや気泡による凹凸もない。また、この重合体は、感光性樹脂成分との相溶性を有しており、樹脂成分中に分散して透光性を低下させないので、現像残りが発生しにくい。
【0023】
本発明に用いられるアクリル酸エステルの重合体は、炭素数1〜10のアルコール、およびアクリル酸、メタクリル酸もしくはその誘導体とのエステルの重合体であることが望ましい。本発明に用いられる炭素数1〜10、好ましくは炭素数3〜8のアルコールとしては、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、アミルアルコール等の一価アルコール、1,2-エタンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。
【0024】
このアクリル酸エステルの重合体は、クレゾールノボラックエポキシ樹脂アクリレートとの相溶性に優れており、特に、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA)から選ばれるいずれか少なくとも1種以上のアクリル酸エステルの重合体が望ましい。2-エチルヘキシルアクリレートは、分岐しているため界面活性作用を付与でき、めっきレジストがゴミなどに弾かれることを防止する。また、ブチルアクリレートは、レベリング作用や消泡作用を担い、エチルアクリレートおよびヒドロキシエチルアクリレートは、相溶性を向上させると考えられる。前記4種のアクリレートは、それぞれ単独で重合させたものを単独または2種以上を併用するか、あるいは、前記4種のアクリレートから選ばれる2種以上のアクリレートを共重合させたものを単独または混合して使用してもよい。
【0025】
例えば、前記4種のアクリレートを全て使用する場合、それらの重量組成比は、2-エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレートは40/60〜60/40が望ましく、2-エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの混合物/エチルアクリレートは90/10〜97/3、2-エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの混合物/ヒドロキシエチルアクリレートは95/5〜99/1が望ましい。
【0026】
このようなアクリル酸エステルの重合体の分子量は 500〜5000程度が好ましい。この範囲では、25℃において液状であり、ソルダーレジストを調製する際、感光性樹脂と混合しやすい。分子量が5000を超えると粘度が高くなり、レベリング作用や消泡作用が低下する。逆に分子量が 500未満では、レベリング作用や消泡作用がみられない。さらに、特に望ましいアクリル酸エステルの重合体の分子量は、2000〜3000である。この範囲では粘度が 250〜550cp(25℃)となり、さらにソルダーレジストを調製しやすくなる。
【0027】
アクリル酸エステルの重合体の添加量は、感光性樹脂成分 100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは 0.2〜1.0 重量部とすることが望ましい。 0.1重量部未満であるとレベリング作用や消泡作用が低下し、気泡に起因するPbマイグレーションやクラックが発生しやすく、逆に、5重量部を超えるとガラス転移点が低下して耐熱性が低下するからである。
【0029】
なお、添加成分として挙げた上記熱硬化性樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。このビスフェノール型エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型のエポキシ樹脂があり、耐塩基性を重視する場合には前者が、低粘度化が要求される場合(塗布性を重視する場合)には後者がよい。
【0030】
また、添加成分として挙げた上記感光性モノマーとしては、多価アクリル系モノマーを用いることができる。多価アクリル系モノマーは、解像度を向上させることができるからである。例えば、下記化学式1および化学式2に示すような構造の多価アクリル系モノマーが望ましい。ここで、化学式1は日本化薬製のDPE−6Aであり、化学式2は共栄社化学製のR−604である。
【0031】
【化1】
【化2】
【0032】
さらに、ソルダーレジスト組成物には、ベンゾフェノン(BP)やミヒラーケトン(MK)を添加してもよい。これらは、開始剤、反応促進剤として作用するからである。
このBPとMKは、30〜70℃に加熱したグリコールエーテル系溶媒に同時に溶解させて均一混合し、他の成分と混合することが望ましい。溶解残渣がなく、完全に溶解できるからである。
【0033】
本発明のプリント配線板の製造方法は、導体回路を形成した配線基板の表面にソルダーレジスト層を有するプリント配線板を製造するに当たって、前記ソルダーレジスト層を前述した本発明にかかるソルダーレジスト組成物を硬化させたもので構成したことを特徴とする。即ち、前記ソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含む樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする。
【0034】
本発明の製造方法によるプリント配線板において、配線基板は、特には限定されないが、表面が粗化処理された樹脂絶縁材上にめっきレジストが形成され、そのめっきレジストの非形成部分にパッドを含む導体回路が形成された、いわゆるアディティブプリント配線板、ビルドアップ多層プリント配線板であることが望ましい。
このような配線基板にソルダーレジスト組成物を塗布する場合、ソルダーレジスト層の開口径は、導体パッド径よりも大きくすることができる。これにより、樹脂であるめっきレジストは、はんだ体とはなじまずに該はんだ体を弾くため、はんだ体のダムとして作用する。また逆に、ソルダーレジスト層の開口径をパッドの径よりも小さくし、パッドの一部をソルダーレジスト層で被覆することも可能である。この場合は、パッドの粗化層がソルダーレジストに食い込み、ソルダーレジスト層とパッドが密着し、パッドの剥離を抑制することができる。
【0035】
本発明のプリント配線板の製造方法において、ソルダーレジスト層の厚さは、5〜30μmとすることが望ましい。薄すぎるとはんだ体のダムとしての効果が低下し、厚すぎると現像処理しにくいからである。
【0036】
また、本発明のプリント配線板の製造方法としてさらに好適な構成は、図3および図24に示すように、導体回路を形成した配線基板に対し、その表面にソルダーレジスト層を設けると共にこのソルダーレジスト層に設けた開口部から露出する前記導体回路の一部をパッドとして形成し、そのパッド上にはんだ体を供給保持してなるプリント配線板の製造方法において、前記ソルダーレジスト層を本発明にかかるソルダーレジスト組成物を硬化させたもので構成すると共に、前記導体回路の表面には粗化層が形成されている構造である。
このような構造のプリント配線板では、パッド(ICチップや電子部品を搭載する部分)を含む導体回路の表面に形成した粗化層がアンカーとして作用するので、導体回路とソルダーレジスト層が強固に密着している。また、パッド表面に供給保持されるはんだ体の密着性も改善される。
また、特に、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートは、剛直骨格を持つため、耐熱性、耐塩基性には優れるが、フレキシビリティーに欠けるため、高温、多湿条件下での剥離が生じやすい。この点、導体回路の表面に粗化層を形成した上記構成によれば、このような剥離を防止することができる。
【0037】
ここで、上記粗化層は、研磨処理、エッチング処理、酸化還元処理およびめっき処理のいずれかにより形成されることが望ましい。これらの処理のうち、酸化還元処理は、NaOH(10g/l)、NaCl02(40g/l)、Na3PO4(6g/l)を酸化浴(黒化浴)、NaOH(10g/l)、NaBH4 (5g/l)を還元浴として用い、めっき処理は、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/lおよび界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の銅−ニッケル−リンめっき用の無電解めっき浴を用いることが望ましい。
特に、銅−ニッケル−リンめっきによる合金層の粗化層は、針状構造でソルダーレジスト層内にくい込むので、そのアンカー効果によってソルダーレジスト層との密着性向上に寄与するからである。また、この粗化層は、電気導電性であるので、パッド表面にはんだ体を形成しても除去する必要がない。
【0038】
前記粗化層を構成する合金層の組成は、銅、ニッケル、リンの割合で、それぞれ90〜96wt%、1〜5wt%、 0.5〜2wt%であることが望ましい。これらの組成割合のときに、針状の構造を有するからである。また、前記粗化層の厚さは、0.5〜7μmであることが望ましい。厚すぎても薄すぎてもソルダーレジスト層やはんだ体との密着性が低下するからである。
【0039】
なお、パッド上にはんだ体を供給保持する場合には、そのパッド表面にニッケル−金めっきを施しておくとよい。ニッケル層は、銅との密着性を改善し、また金との密着性にも優れ、金層ははんだ体との馴染みがよいからである。
はんだ体は、層状であってもよく、ボール状のいわゆる「はんだバンプ」であってもよい。
【0040】
次に、本発明にかかるプリント配線板を製造する一方法について説明する。
(1)まず、コア基板の表面に内層銅パターンを形成した配線基板を作製する。
このコア基板への銅パターンの形成は、銅張積層板をエッチングして行うか、あるいは、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板、セラミック基板、金属基板などの基板に無電解めっき用接着剤層を形成し、この接着剤層表面を粗化して粗化面とし、ここに無電解めっきを施して行う方法がある。さらに必要に応じて、上記配線基板に無電解めっき用接着剤層を形成し、この層にバイアホール用開口を設け、その層表面を粗化し、ここに無電解めっきを施して銅パターンとバイアホールを形成する工程を繰り返して多層化した配線基板とすることができる。
なお、コア基板には、スルーホールが形成され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層を電気的に接続することができる。
【0041】
(2)次に、前記 (1)で作製した配線基板の上に、層間樹脂絶縁材層を形成する。
特に本発明では、層間樹脂絶縁材として前述した無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。この無電解めっき用接着剤は、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、酸あるいは酸化剤に難溶性の未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。
上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、▲1▼平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、▲2▼平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、▲3▼平均粒径が10μm以下の耐熱性粉末樹脂粉末と平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末との混合物、▲4▼平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、▲5▼平均粒径0.1〜0.8μmの耐熱性樹脂粒子と平均粒径 0.8μmを超え平均粒径2μm未満の耐熱性樹脂粒子との混合物、から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望ましい。これらは、より複雑なアンカーを形成できるからである。
【0042】
(3)前記(2) で形成した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、必要に応じてバイアホール形成用開口を設ける。感光性樹脂の場合は、露光,現像してから熱硬化することにより、また、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化したのちレーザー加工することにより、前記接着剤層にバイアホール形成用の開口部を設ける。
【0043】
(4)次に、硬化した前記接着剤層の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を酸あるいは酸化剤によって溶解除去し、接着剤層表面を粗化処理する。
ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用いることが望ましい。
【0044】
(5)次に、接着剤層表面を粗化した配線基板に触媒核を付与する。
触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムがよい。
【0045】
(6)次に、触媒核を付与した配線基板にめっきレジストを形成する。
めっきレジスト組成物としては、特にクレゾールノボラックやフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、他に市販品を使用することもできる。
【0046】
(7)次に、めっきレジスト非形成部に無電解めっきを施し、パッドを含む導体回路、ならびにバイアホールを形成してプリント配線板を製造する。
ここで、上記無電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
【0047】
(8)次に、必要に応じて、導体回路の表面に粗化層を形成する。
ここで、銅−ニッケル−リン合金層による粗化層を形成する場合は、この合金層は無電解めっきにより析出させる。
この合金の無電解めっきとしては、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
【0048】
(9)次に、前記(8) の処理を終えたプリント配線板の両面に、本発明にかかるソルダーレジスト組成物を塗布する。
特に本発明では、図2に示すように、プリント配線板の両面にソルダーレジスト層を塗布する際に、前記プリント配線板を垂直に立てた状態でロールコータの一対の塗布用ロールのロール間に挟み、下側から上側へ搬送させて基板の両面にソルダーレジスト組成物を同時に塗布することが望ましい。この理由は、現在のプリント配線板の基本仕様は両面であり、カーテンコート法(樹脂を滝のように上から下へ流し、この樹脂の”カーテン”に基板をくぐらせて塗布する方法)では、片面しか塗布できないからである。前述した本発明のソルダーレジスト組成物は、両面同時に塗布する上記方法のために有利に使用できる。即ち、本発明のソルダーレジスト組成物は、粘度が25℃で1〜10Pa・sであるため、基板を垂直に立てて塗布しても流れず、また転写も良好である。
【0049】
(10)次に、ソルダーレジスト組成物の塗膜を60〜80℃で5〜60分間乾燥し、この塗膜に、開口部を描画したフォトマスクフィルムを載置して露光、現像処理することにより、導体回路のうちパッド部分を露出させた開口部を形成する。このようにして開口部を形成した塗膜を、さらに80℃〜150℃で1〜10時間の熱処理により硬化させる。これにより、開口部を有するソルダーレジスト層は導体回路の表面に設けた粗化層と密着する。
ここで、前記開口部の開口径は、パッドの径よりも大きくし、パッドを完全に露出させる程度にすることができる。この場合、フォトマスクがずれてもパッドがソルダーレジストで被覆されることはなく、またソルダーレジストがはんだ体に接触せず、はんだ体にくびれが生じないため、はんだ体にはクラックが発生しにくくなる。また逆に、ソルダーレジスト層の開口径をパッドの径よりも小さくし、パッドの一部をソルダーレジスト層で被覆することも可能である。この場合は、パッドの粗化層がソルダーレジストに食い込み、ソルダーレジスト層とパッドが密着し、パッドの剥離を抑制することができる。
【0050】
(11)次に、前記開口部から露出した前記パッド部上にニッケルめっき、金めっきを施す。ニッケルめっきや金めっきの具体的なめっき液組成は公知であり、例えば、槇書店発行、神戸徳蔵著、「NPシリーズ 無電解めっき」(1990年9月30日発行)などに詳述されている。
【0051】
(12)次に、前記開口部から露出した前記パッド部上にはんだ体を供給する。
はんだ体の供給方法としては、はんだ転写法や印刷法を用いることができる。ここで、はんだ転写法は、プリプレグにはんだ箔を貼合し、このはんだ箔を開口部分に相当する箇所のみを残してエッチングすることによりはんだパターンを形成してはんだキャリアフィルムとし、このはんだキャリアフィルムを、基板のソルダーレジスト開口部分にフラックスを塗布した後、はんだパターンがパッドに接触するように積層し、これを加熱して転写する方法である。一方、印刷法は、パッドに相当する箇所に貫通孔を設けたメタルマスクを基板に載置し、はんだペーストを印刷して加熱処理する方法である。
【0052】
なお、上述した方法は、いわゆるフルアディテイブ法と呼ばれるプリント配線板の製造方法であり、この方法以外にもセミアディティブ法と呼ばれる方法を採用することができる。例えば、次のような方法でプリント配線板を製造することができる。
(1) 前述した方法における工程(5) を終えた基板に対し、全面に無電解めっき膜を形成する。
この無電解めっき膜としては無電解銅めっき膜がよく、その厚さは1〜5μmがよい。この理由は、無電解銅めっき膜は、めっきリードとして機能し、かつエッチングで除去しやすいからである。
(2) 無電解めっき膜上に感光性のドライフィルムを熱圧着させ、次いでフォトマスクフィルムを密着させて露光し、アルカリや溶剤などで現像処理し、めっきレジストを設ける。
(3) 無電解めっき膜をめっきリードとして電解めっきを行い、レジスト非形成部分に電解めっき膜を形成する。
この電解めっき膜の厚さは、5〜20μmがよい。
(4) めっきレジストをアルカリや溶剤で剥離した後、硫酸−過酸化水素の混合水溶液、あるいは過硫酸塩の水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅などの水溶液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去し、パッド含む導体回路、バイアホールを形成する。
(5) 以下、前述した方法における工程 (8)〜(12)を経て、ソルダーレジスト層およびはんだバンプを形成する。
【0053】
【実施例】
(参考例1)
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされてなる銅張積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。この銅張積層板の銅箔8を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に内層銅パターン4を形成した(図1(b)参照)。
【0054】
(2) 前記(1)で内層銅パターン4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、その基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/l、pH=9からなる無電解めっき浴にてめっきを施し、銅導体回路3の全表面にCu−Ni−P合金の厚さ 2.5μmの粗化層(凹凸層)を形成した(但し、この粗化層は図示しない)。
そしてさらに、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき浴に50℃で1時間浸漬し、前記Cu−Ni−P合金粗化層の表面に厚さ 0.3μmのスズ置換めっき層を形成した(但し、このスズ置換めっき層は図示しない)。
【0055】
(3) DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)に溶解したクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を70重量部、ポリエーテルスルフォン(PES)30重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)4重量部、感光性モノマーであるカプロラクトン変成トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成製、商品名:アロニックスM325 )10重量部、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)5重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.5 重量部、さらにこの混合物に対してエポキシ樹脂粒子の平均粒径 5.5μmのものを35重量部、平均粒径 0.5μmのもの5重量部を混合した後、NMP(ノルマルメチルピロリドン)を添加しながら混合し、ホモディスパー攪拌機で粘度12Pa・sに調整し、続いて3本ロールで混練して感光性接着剤溶液(層間樹脂絶縁材)を得た。
【0056】
(4) 前記(3) で得た感光性接着剤溶液を、前記(2) の処理を終えた基板の両面に、ロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分間の乾燥を行い、厚さ60μmの接着剤層2を形成した。
【0057】
(5) 前記(4) で接着剤層2を形成した基板の両面に、バイアホールが描画されたフォトマスクフィルムを載置し、紫外線を照射して露光した。
(6) 露光した基板をDMTG(トリエチレングリコールジメチルエーテル)溶液でスプレー現像することにより、接着剤層2に 100μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯にて3000mJ/cm2 で露光し、100℃で1時間、その後 150℃で5時間にて加熱処理することにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール形成用開口6)を有する厚さ50μmの接着剤層2を形成した。なお、バイアホールとなる開口6には、スズめっき層を部分的に露出させる。
【0058】
(7) 前記(5) (6) でバイアホール形成用開口6を形成した基板を、クロム酸に2分間浸漬し、接着剤層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去して、当該接着剤層の表面を粗化し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした(図1(c) 参照)。
【0059】
(8) 前記(7) で粗面化処理(粗化深さ20μm)を行った基板に対し、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、接着剤層2およびバイアホール用開口6の表面に触媒核を付与した。
【0060】
(9) DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)1.6 g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、商品名:R604 )3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、商品名:DPE6A )1.5 gを混合し、混合液Aを調製した。
一方で、光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.2 gを40℃に加温した3gのDMDGに溶解させて混合液Bを調製した。上記混合液Aと上記混合液Bを混合攪拌して液状レジスト組成物を得た。
【0061】
(10)上記(8) で触媒核付与の処理を終えた基板の両面に、上記液状レジスト組成物をロールコータを用いて塗布し、60℃で30分の乾燥を行い、厚さ30μmのレジスト層を形成した。
【0062】
(11)前記レジスト層にパターンが描画されたマスクを積層し、紫外線を照射して露光した。
(12)前記(11)で露光した後、レジスト層をDMTGで溶解現像し、基板上に導体回路パターン部の抜けためっきレジスト3を形成し、さらに、これを超高圧水銀灯にて6000mJ/cm2 で露光した。そしてさらに、このめっきレジスト3を、 100℃で1時間、その後、 150℃で3時間にて加熱処理することにより、前記接着剤層2の上に形成した永久レジスト3とする。
【0063】
(13)永久レジスト3を形成した基板に、予め、めっき前処理(具体的には硫酸処理等および触媒核の活性化)を施し、その後、無電解銅めっき浴による銅めっきを行い、レジスト非形成部に厚さ15μm程度の無電解銅めっきを析出させて、外層銅パターン5、バイアホール7を形成することにより、アディティブ法による導体層を形成した(図1(d) 参照)。
(14)ついで、導体層を形成した基板を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体層の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を形成した(図1(e) 参照)。
【0064】
(15)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を 46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)1.6 g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、商品名:R604 )3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、商品名:DPE6A ) 1.5g、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を0.2 g加えて、粘度を25℃で 2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3によった。
【0065】
(16)(14)までの工程で得た基板を、垂直に立てた状態で図2に示すロールコーター18の一対の塗布用ロール19間に挟み、該基板の表面に前記(15)で得たソルダーレジスト組成物を2回塗布し、厚さ20μmの樹脂層を形成した。ここで、1回目の塗布では75℃,20分間の乾燥を行い、2回目の塗布では75℃,30分間の乾燥を行った。
(17)次いで、前記基板の表面に樹脂層を形成した後、該樹脂層を1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。
さらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、パッド部分が開口した(開口径 200μm)ソルダーレジスト層(厚み20μm)14を形成した(図1(f) 参照)。
【0066】
(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/l、グリシン20g/l、硝酸鉛2mg/lからなるpH=5.5 の無電解ニッケルめっき液に30分間浸漬して、開口部に厚さ4μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lからなるpH=5の無電解金めっき液に90℃の条件で30分間浸漬して、ニッケルめっき層15上に厚さ0.05μmの金めっき層16を形成した(図1(g) 参照)。
(19)そして、ソルダーレジスト層14の開口部に、はんだペーストを印刷して(半田転写法でもよい) 200℃でリフローすることによりはんだバンプ17を形成し、はんだバンプ17を有するプリント配線板を製造した(図1(h) 参照)。
【0067】
(比較例1)
ソルダーレジスト組成物として、実施例1(15)の組成物にDMDGを14g加えて、粘度を0.2Pa・sに調整したものを用いたこと以外は、参考例1と同様にして(16)までの処理を実施した。
しかしながら、上記ソルダーレジスト組成物は、粘度が低すぎて垂れやすく、配線基板を垂直に立てた状態にして両面同時に塗布することができなかった。そこで、配線基板を水平にしてカーテンコート法により上記ソルダーレジスト組成物を塗布し、参考例1と同様にしてはんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
【0068】
(比較例2)
参考例1(15)において、70%固形分のクレゾールノボラック型エポキシアクリレートを用いて、粘度を15Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、はんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
この比較例2では、ソルダーレジスト組成物の粘度が高すぎるために、ソルダーレジスト層の表面に凹凸が発生した。
【0069】
(比較例3)
ソルダーレジスト組成物として、特開昭63−286841号公報に記載の実験番号1−1の組成物(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、セロソルブアセテート、ベンゾフェノン、ミヒラーケトンを含む粘度0.2Pa・sのソルダーレジスト組成物)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして(16)までの処理を実施した。
しかしながら、上記ソルダーレジスト組成物は、粘度が低すぎて垂れやすく、配線基板を垂直に立てた状態にして両面同時に塗布することができなかった。
そこで、特開昭63−286841号公報に準じてカーテンコート法により、配線基板の表面に上記ソルダーレジストを塗布し、以後、上記参考例1と同様にしてはんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
【0070】
(比較例4)
ソルダーレジスト組成物として、特開昭62−23036号公報に記載の組成物を使用し、ソルダーレジスト層の現像処理をアルカリ現像としたこと以外は、参考例1と同様にしてはんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
【0071】
このようにして製造したプリント配線板について、ソルダーレジスト組成物の塗布性を確認し、また、HAST試験(High Acceleration Stress Test)を実施し、試験後の、はんだバンプ間のショートの有無をチェッカで測定した。なお、HAST試験条件は、湿度85%、温度 135℃、印加電圧 3.3V、48時間とした。また、目視によるハロー現象の有無を確認し、さらに、−55〜125℃で1000回のヒートサイクル試験を実施し、光学顕微鏡によりソルダーレジスト層の剥離の有無を確認した。
これらの結果を表1に示す。
【0072】
参考例1では、配線基板を立てた状態にしてロールコータによりソルダーレジスト組成物を塗布する場合、その塗布性は良好であった。これに対し、ソルダーレジスト組成物の粘度が低すぎる比較例1やその粘度が高すぎる比較例2では、そのソルダーレジスト組成物の塗布性は悪かった。
また参考例1では、鉛のマイグレーションは確認されず、このマイグレーションの有無に起因するHAST試験後のショート不良の発生はなかった。これに対し、比較例2、4では、実施例1と同じ組成のソルダーレジスト組成物を使用していてもその粘度が低いので、鉛のマイグレーションが確認され、HAST試験後にショート不良が発生した。
さらに参考例1では、グリコールエーテル系溶剤を使用しているので、導体回路を酸化させることはなくハロー現象やヒートサイクルによるソルダーレジスト層の剥離は観察されなかった。これに対し、セロソルブアセテートを使用している比較例3では、ハロー現象やヒートサイクルによる剥離が観察された。
【0073】
【表1】
【0074】
(実施例1)
A.無電解めっき用接着剤組成物の調製
(1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのものを7.2重量部、平均粒径0.5μmのものを3.09重量部を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(3)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ−CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX−S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。
これらを混合して無電解めっき用接着剤組成物を調製した。
【0075】
B.下層の層間樹脂絶縁剤の調製
▲1▼.クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMPを3.6 重量部を攪拌混合した。
▲2▼.ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのものを14.49 重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
▲3▼.イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP1.5 重量部を攪拌混合した。
これらを混合して、2層構造の層間樹脂絶縁層を構成する下層側の絶縁剤層として用いられる樹脂組成物を調製した。
【0076】
C.樹脂充填剤の調製
▲1▼.ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310, YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径 1.6μmのSiO2 球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする) 170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5 重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cps に調整した。
▲2▼.イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5 重量部。
これらを混合して樹脂充填剤10を調製した。
【0077】
D.アクリル酸エステル重合体の製造例1
キシレン溶媒中に2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートを重量比で53:47の割合で混合し、ジメチルアニリン(3級アミン)を開始剤として用い、50℃に加熱して常法により共重合させた。また、同様にしてエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートをそれぞれ単独で重合させた。
2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの共重合体、エチルアクリレートの重合体、ヒドロキシエチルアクリレートの重合体を重量比で2−エチルヘキシルアクリレート:ブチルアクリレート:エチルアクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート=49:42:6:3となるようにそれぞれ混合して、キシレンを加熱除去した。
得られた組成物は、メタノールに対する再沈を試みたが、ポリマーが沈降せず、分子量は約2000〜3000程度であると推定される。
得られた組成物について、FT−IRスペクトル、 1H−NMR、13C−NMRを測定した。その結果を図25、図26、図27に示す。これらのIRおよびNMRのデータより、合成物はアクリル酸エステルの重合体であることが裏付けられた。
【0078】
〔測定装置および測定条件〕
▲1▼FT−IR
装置:パーキンエルマー1650
測定法:透過法(KRS−5)
試料を重クロロホルムに溶解してピリジン−d5を5滴加えて室温にて測定を行った。
【0079】
E.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図4参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっき処理してスルーホール9を形成し、さらに、銅箔8を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に内層銅パターン4を形成した。
【0080】
(2) 内層銅パターン4およびスルーホール9を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(10g/l)、NaClO2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)、還元浴として、NaOH(10g/l),NaBH4 (6g/l)を用いた酸化−還元処理により、内層銅パターン4およびスルーホール9の表面に粗化層11を設けた(図5参照)。
【0081】
(3) 樹脂充填剤10を、基板の片面にロールコータを用いて塗布することにより、導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、70℃,20分間で乾燥させ、他方の面についても同様にして樹脂充填剤10を導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、70℃,20分間で加熱乾燥させた(図6参照)。
【0082】
(4) 前記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120 ℃で3時間、 150℃で1時間、 180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤10を硬化した(図7参照)。
【0083】
このようにして、スルーホール9等に充填された樹脂充填剤10の表層部および内層導体回路4上面の粗化層11を除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填剤10と内層導体回路4の側面とが粗化層11を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面と樹脂充填剤10とが粗化層11を介して強固に密着した配線基板を得た。即ち、この工程により、樹脂充填剤10の表面と内層銅パターン4の表面が同一平面となる。ここで、充填した硬化樹脂のTg点は155.6℃、線熱膨張係数は44.5×10-6/℃であった。
【0084】
(5) 前記(4) の処理で露出した内層導体回路4およびスルーホール9のランド上面に厚さ 2.5μmのCu−Ni−P合金からなる粗化層(凹凸層)11を形成し、さらに、その粗化層11の表面に厚さ 0.3μmのSn層を設けた(図8参照、但し、Sn層については図示しない)。
その形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/l、pH=9からなる無電解めっき浴にてめっきを施し、銅導体回路4上面およびスルーホール9のランド上面にCu−Ni−P合金の粗化層11を形成した。さらに、この基板に対し、 100℃で30分間、 120℃で30分間、 150℃で2時間の加熱処理を施し、10重量%硫酸水溶液、0.2mol/lのホウフッ酸水溶液で処理し、ついで、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、温度50℃、pH=1.2 の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
【0085】
(6) 前記(5) の基板の両面に、Bの層間樹脂絶縁剤(粘度1.5 Pa・s) をロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベーク)を行い、絶縁剤層2aを形成した。
さらにこの絶縁剤層2aの上にAの無電解めっき用接着剤(粘度7Pa・s)をロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥(プリベーク)を行い、接着剤層2bを形成した(図9参照)。
【0086】
(7)前記(6)で絶縁剤層2aおよび接着剤層2bを形成した基板の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cm2 で露光した。これをDMTG溶液でスプレー現像し、さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 で露光し、100℃で1時間、その後 150℃で5時間の加熱処理(ポストベーク)をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた85μmφの開口(バイアホール形成用開口6)を有する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層(2層構造)2を形成した(図10参照)。なお、バイアホールとなる開口には、スズめっき層を部分的に露出させた。
【0087】
(8) 開口が形成された基板を、800g/lのクロム酸に70℃で19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の接着剤層2bの表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、当該層間樹脂絶縁層2の表面を粗面(深さ3μm)とし、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした(図11参照)。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付けた。
【0088】
(9) 以下の組成の無電解銅めっき浴中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6 μmの無電解銅めっき膜12を形成した(図12参照)。さらに、この無電解めっき膜に対し、50℃で1時間、 100℃で30分間、 120℃で30分間、 150℃で2時間の加熱処理を施した。
〔無電解めっき液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
【0089】
(10)前記(9) で形成した無電解銅めっき膜12上に市販の感光性ドライフィルムを貼り付け、マスクを載置して、100 mJ/cm2 で露光、0.8 %炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト3を設けた(図13参照)。
【0090】
(11)ついで、10%硫酸水溶液で無電解めっき膜表面を処理した後、レジスト非形成部分に以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜13を形成した(図14参照)。さらに、この電解めっき膜に対し、50℃で30分間、80℃で30分間、 100℃で30分間、 120℃で30分間、 150℃で5時間の加熱処理を施した。
【0091】
(12)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去したのち10%硫酸水溶液で表面処理し、さらにそのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホールを含む)5を形成した。さらに、70℃で800g/l のクロム酸に3分間浸漬して、導体回路非形成部分に位置する導体回路間の無電解めっき用接着剤層の表面を1〜2μmにエッチング処理し、その表面に残存するパラジウム触媒を除去した(図15参照)。
【0092】
(13)導体回路5を形成した基板を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル 0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体回路5の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を形成した(図16参照)。このとき、形成した粗化層11をEPMA(蛍光X線分析装置)で分析したところ、Cu : 98mol%、Ni : 1.5 mol%、P: 0.5mol%の組成比であった。
さらに、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/l、温度50℃、pH=1.2 の条件でCu−Sn置換反応を行い、前記粗化層11の表面に厚さ 0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
【0093】
(14)前記 (6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層プリント配線板を得た。但し、Sn置換は行わなかった(図17〜22参照)。
【0094】
(15)一方、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000) 46.67重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)14.121重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6 重量部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604 )1.5 重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A ) 3.0重量部、Dで合成したアクリル酸エステル重合体 0.36 重量部を混合し、これらの混合物に対し、光開始剤としてイルガキュアI907 (チバガイギー製)2.0 重量部、光増感剤としてDETX-S(日本化薬製)0.2 重量部を加え、さらにDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)1.0重量部を加えて、粘度を25℃で 1.4±0.3Pa ・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、 DVL-B型)で 60rpmの場合はローターNo.4、6rpm の場合はローターNo.3によった。
【0095】
(16)前記(14)で得られた多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのフォトマスクフィルムを密着させて載置し、1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。そしてさらに、80℃で1時間、 100℃で1時間、 120℃で1時間、 150℃で3時間の条件で加熱処理し、はんだパッド部分(バイアホールとそのランド部分を含む)を開口した(開口径 200μm)ソルダーレジスト層(厚み20μm)14を形成した。
【0096】
(17)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lからなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上に厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0097】
(18)そして、ソルダーレジスト層14の開口部に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、はんだバンプ17を有するプリント配線板を製造した(図23参照)。
【0098】
このようにして製造したプリント配線板について、参考例1および比較例と同様にして、塗布性の確認、HAST試験、ハロー現象の確認、ヒートサイクル試験を行った。その結果を表1に併せて示す。
また、参考例1と実施例1のソルダーレジスト層について、光学顕微鏡を用いて気泡の有無を調べた。その結果、参考例1のソルダーレジスト層中には、気泡の残存が見られたが、実施例1のソルダーレジスト層中には、気泡は全くみられなかった。また、参考例1のソルダーレジスト層は失透していたが、実施例1のソルダーレジスト層は透光性を有しており、現像性は実施例1のソルダーレジスト層の方が優れていた。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のソルダーレジスト組成物によれば、ロールコータによる基板両面への同時塗布が可能であり、鉛のマイグレーションがない。また、表面平滑性に優れ、はじきや気泡による凹凸もない。さらに、アクリル酸エステルの重合体は、感光性樹脂成分との相溶性を有しており、樹脂成分中に分散して透光性を低下させないので、現像残りが発生しにくい。
それ故に、本発明のソルダーレジスト組成物を用いたプリント配線板の製造方法は、導体パッド表面に酸化膜を形成することもないため、ハロー現象やヒートサイクルによるソルダーレジスト層の剥離も生じることがない。さらに、はじきや気泡の形成がないので、ソルダーレジスト層の表面形状の凹凸を招くことがなく、ヒートサイクルによるクラックが生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプリント配線板の一製造工程を示す図である。
【図2】(a)は本発明にかかるソルダーレジストの塗布工程を示す図であり、(b)はその塗布工程に用いる塗布用ローラーの表面構造を示す図である。
【図3】本発明のプリント配線板にはんだ体を設けた状態を示す部分断面図であり、(a)はパッドの全表面がソルダーレジスト層の開口部内に露出している形態、(b)はパッドの一部表面がソルダーレジスト層の開口部内に露出している形態を示す。
【図4】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図5】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図6】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図7】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図8】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図9】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図10】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図11】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図12】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図13】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図14】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図15】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図16】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図17】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図18】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図19】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図20】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図21】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図22】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図23】発明にかかるプリント配線板の各製造工程を示す図である。
【図24】本発明のプリント配線板にはんだ体を設けた状態を示す他の部分断面図であり、(a)はパッドの全表面がソルダーレジスト層の開口部内に露出している形態、(b)はパッドの一部表面がソルダーレジスト層の開口部内に露出している形態を示す。
【図25】実施例2で合成したアクリル酸エステルの重合体のFT-IRスペクトルを示す図である。
【図26】実施例2で合成したアクリル酸エステルの重合体の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図27】実施例2で合成したアクリル酸エステルの重合体の13C-NMRスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 層間樹脂絶縁層(無電解めっき用接着剤層)
2a 絶縁材層
2b 接着剤層
3 めっきレジスト(永久レジスト)
4 内層導体回路(内層銅パターン)
5 外層導体回路(外層銅パターン)
6 バイアホール用開口
7 バイアホール(BVH)
8 銅箔
9 スルーホール
10 充填樹脂(樹脂充填剤)
11 粗化層
12 無電解銅めっき膜
13 電解銅めっき膜
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき層
16 金めっき層
17 はんだバンプ
18 ロールコーター
19 塗布用ローラー
20 ドクターバー
Claims (5)
- ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH3O・(CH2CH2O)n−CH3(n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなることを特徴とするソルダーレジスト組成物。
- 導体回路を形成した配線基板の表面にソルダーレジスト層を有するプリント配線板を製造する方法において、
前記ソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH3O・(CH2CH2O)n−CH3(n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなるソルダーレジスト組成物を硬化させて形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 導体回路を形成した配線基板に対し、その表面にソルダーレジスト層を設けると共にこのソルダーレジスト層に設けた開口部から露出する前記導体回路の一部をパッドとして形成し、そのパッド上にはんだ体を供給保持してなるプリント配線板の製造方法において、
前記ソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートと、イミダゾール硬化剤と、アクリル酸エステルの重合体とを含み、化学式:CH3O・(CH2CH2O)n−CH3(n=1〜5)で表されるグリコールエーテル系溶剤から選ばれる少なくとも1種を用いて粘度を25℃で0.5〜10Pa・sに調整してなるソルダーレジスト組成物を硬化させて形成してなることを特徴とするプリント配線板の製造方法。 - 前記導体回路の表面には、粗化層が形成されてなる請求項2または3に記載のプリント配線板の製造方法。
- 前記粗化層は、銅−ニッケル−リンからなる合金層である請求項4に記載のプリント配線板の製造方法。
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