JP4255158B2 - 感光性樹脂組成物およびプリント配線板 - Google Patents

感光性樹脂組成物およびプリント配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソルダーレジスト、めっきレジスト、層間樹脂絶縁層等に使用される感光性樹脂組成物およびプリント配線板に関し、特に、熱サイクル特性に優れる感光性組成物およびこれを用いたプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プリント配線板では、表層に露出した導体回路を保護する目的や、電子部品を搭載する導体パッド表面に供給したはんだ体の流出やブリッジを防ぐ目的から、最外層としてソルダーレジスト層を形成する。
ソルダーレジスト層を形成する際には、基板上の導体回路全体を覆うようにソルダーレジスト層を設けた後、ICチップと接続するために形成された導体パッド部分を露出させるために開口を設けると共に他の導体回路は保護し、この開口にICチップと接続するためのはんだバンプと呼ばれる球状あるいは突起状のはんだ体を形成する。この際、形成したソルダーレジスト層は、ソルダーダムとして機能する。
【0003】
このようなソルダーレジスト層としては、Pbマイグレーションが発生しにくいノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートを主成分とする組成物を使用することが望ましい。
しかしながら、このソルダーレジスト層は、可撓性に欠ける樹脂を主成分としているので、ヒートサイクル試験時に導体層との熱膨張率の差に起因したクラックが発生しやすいという問題があった。
【0004】
また、ソルダーレジスト組成物に限らず、導体回路を積層する際に導体回路の間に形成される層間樹脂絶縁層などにおいても、上記ソルダーレジスト組成物と同様の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術が抱える上述した問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、ソルダーレジスト層や層間樹脂絶縁層などに使用することができる、ヒートサイクル条件下での耐クラック性や導体回路との密着性に優れた感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤および分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなることを特徴とする。
上記分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、下記の化学式(1)で表される化合物であることが望ましい。
【0007】
【化3】
Figure 0004255158
【0008】
(式中、nは、0または1、a、bは、1または2を表す。)
【0010】
上記感光性樹脂組成物は、導体回路を被覆するソルダーレジスト層や層間樹脂絶縁層として形成されていてもよく、また、導体回路間にあってめっきレジストとして形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明のプリント配線板は、導体回路を形成した基板上に感光性樹脂層が形成されたプリント配線板において、上記感光性樹脂層は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤および分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物からなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤および分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーからなることに特徴がある。
この感光性樹脂組成物を硬化して得られる樹脂層は、P原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物を含んでいることから可撓性が高く、エポキシ樹脂自身の有するもろさを改善することができる。また、熱膨張率を低くすることができるため、この感光性樹脂組成物上に導体層を形成した際、上記導体層と上記感光性樹脂組成物の熱膨張率差に起因したクラックの発生を抑制することができる。
さらに、P原子を有する化合物は金属との密着性にも優れるため、上記感光性樹脂組成物と接触する導体回路の上記感光性樹脂組成物に対する密着性を改善することができる。
【0013】
このような構成のレジスト組成物を用いて形成したソルダーレジスト層、めっきレジスト、層間樹脂絶縁層を有する本発明のプリント配線板は、ヒートサイクル試験においても、これらソルダーレジスト層、層間樹脂絶縁層などにクラックが発生せずヒートサイクル特性に優れる。また、導体回路との密着性にも優れるため、剥離が発生しにくい。
【0014】
上記P原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、上記P原子を有するものであれば特に限定されないが、例えば、化合物中にフォスフィン酸またはフォスフォン酸を有し、化合物の一端にアクリル酸またはメタクリル酸のエステル構造を有するものが望ましい。
このような(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、上記化学式(1)、上記化学式(2)などで表される化合物が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。具体的には、例えば、日本化薬社製のKAYAMER PM−2、KAYAMER PM−21、などが挙げられる。
【0024】
これらの化合物中のフォスフィン酸またはフォスフォン酸は、金属との密着性を改善し、また、直鎖分子は可撓性を与える。
【0025】
このP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの配合量は、樹脂マトリックスの全固形分に対して0.5〜20重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの配合量が20重量%を超えると、紫外線等を露光した場合に硬化が進行しすぎて開口部にショルダーや未開口が生じ、一方、0.5重量%未満であると、可撓性が低下してクラックの発生を抑制することができず、また、金属との密着性が低下してしまうからである。
【0026】
上記エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂とアクリル酸やメタクリル酸などとを反応させることにより得られるものである。
反応に用いられる上記エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0027】
上記ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラックまたはクレゾールノボラックのグリシジルエーテルなどが挙げられ、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂自身は、耐熱性、耐薬品性に優れるが靱性が低い上、金属との密着性が悪いが、本発明では、上記P原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを感光性樹脂組成物中に配合するため、このようなエポキシ樹脂の持つ欠点を改善することができる。
【0028】
本発明で使用されるエポキシ樹脂の硬化剤としては、酸無水物、アミン系硬化剤、イミダゾール硬化剤から選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。
特に、イミダゾール硬化剤は、その硬化物が耐薬品性や耐熱性に優れるため有利である。また、イミダゾール硬化剤としては、25℃で液状であるイミダゾール硬化剤を用いることが望ましい。粉末では均一混練が難しく、液状の方が均一に混練できるからである。
このような液状イミダゾール硬化剤としては、例えば、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(四国化成社製、1B2MZ)、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製、2E4MZ−CN)、4−メチル−2−エチルイミダゾール(四国化成社製、2E4MZ)などが挙げられる。
このイミダゾール硬化剤の添加量は、上記感光性樹脂組成物の総固形分に対して1〜10重量%とすることが望ましい。この理由は、添加量がこの範囲内であれば均一混合しやすいからである。
【0029】
なお、本発明のソルダーレジスト組成物は、溶剤としてグリコールエーテル系溶剤などを用い、その粘度を25℃で1〜10Pa・sとすることが好ましく、2〜3Pa・sとすることがより好ましい。
このように25℃で1〜10Pa・sの粘度に調整した感光性樹脂組成物を用いて形成した感光性樹脂層は、樹脂分子鎖同志の隙間が小さく、この隙間を移動するPbの拡散(鉛のマイグレーション)が少なくなる結果、プリント配線板のショート不良が低減される。また、上記ソルダーレジスト組成物の粘度が25℃で1〜10Pa・sであるので、基板を垂直に立てた状態で両面同時に塗布してもその組成物が垂れることはなく、上記状態での良好な塗布が可能となる。ところが、上記ソルダーレジスト組成物の粘度が25℃で10Pa・sを超えると、粘性が上がりすぎ、ロールコータによる塗布ができないので、10Pa・s以下が好ましい。
【0030】
さらに、溶剤としてグリコールエーテル系溶剤を使用したソルダーレジスト組成物からなるソルダーレジスト層は、遊離酸素が発生しないので、銅パッド表面を酸化させない。また、人体に対する有害性も少ない。
上記グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、下記の一般式(9)に示す化学構造を有するものが望ましく、具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)から選ばれる少なくとも1種を用いることがより望ましい。これらの溶剤は、30〜50℃程度の加温により重合開始剤であるベンゾフェノンやミヒラーケトンを完全に溶解させることができるからである。
CH3 O−(CH2 CH2 O)n −CH3 ・・・・(9)
(上記式中、nは1〜5の整数である。)
このグリコールエーテル系溶剤は、感光性樹脂組成物の全重量に対して10〜40重量%含有させることが好ましい。
【0031】
本発明の感光性樹脂組成物中には、無機粒子または樹脂粒子が含有されていてもよい。
これらの粒子が存在すると、感光性樹脂組成物の硬化収縮を抑制することができる。また、上記粒子を溶解除去または分解除去することにより粗化面を形成することができ、この粗化面に無電解めっきや電気めっきを施すことにより、導体回路を形成することができる。
上記無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、ドロマイトなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂粒子としては、例えば、アミン系硬化剤で硬化されたエポキシ樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂)、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粒子の粒径としては、0.1〜10μmが望ましい。
【0032】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含有していることが望ましい。この重合体は、25℃で液状であり、クレゾールノボラックエポキシ樹脂(メタ)アクリレートと相溶しやすく、レベリング作用、消泡作用を持つからである。
このため、上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含有するソルダーレジスト層は、表面平滑性に優れ、はじきや気泡による凹凸もない。また、この重合体は、感光性樹脂成分との相溶性を有しており、樹脂成分中に分散して透光性を低下させないので、現像残りが発生しにくい。
【0033】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、炭素数1〜10のアルコールとアクリル酸、メタクリル酸もしくはその誘導体とのエステルの重合体であることが望ましい。上記炭素数1〜10のアルコールとしては、例えば、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、アミルアルコール等の一価アルコール、1,2−エタンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。これらのなかでは、炭素数3〜8のアルコールが好ましい。
【0034】
また、上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体は、クレゾールノボラック樹脂との相溶性に優れており、特に、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種からなるものが望ましい。2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートは、分岐しているため界面活性作用を付与することができ、めっきレジストがゴミなどに弾かれるのを防止することができる。また、ブチル(メタ)アクリレートは、レベリング作用や消泡作用を担い、エチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、相溶性を向上させると考えられる。上記4種の(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で重合させたものを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記4種の(メタ)アクリレートから選ばれる2種以上のアクリレートを共重合させたものを単独で使用してもよく、これらを混合して使用してもよい。
【0035】
例えば、上記4種の(メタ)アクリレートを全て使用する場合、2−エチルヘキシルアクリレート/ブチルアクリレートの重量比は40/60〜60/40が望ましく、(2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートとの混合物)/エチルアクリレートの重量比は90/10〜97/3が望ましく、(2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートとの混合物)/ヒドロキシエチルアクリレートの重量比は95/5〜99/1が望ましい。
【0036】
このような(メタ)アクリル酸エステルの重合体の分子量が、500〜5000程度が好ましいのは、この範囲では、25℃において液状であり、ソルダーレジストを調製する際、感光性樹脂と混合しやすいからである。分子量が5000を超えると粘度が高くなり、レベリング作用や消泡作用が低下する。逆に分子量が500未満では、レベリング作用や消泡作用がみられない。特に望ましい(メタ)アクリル酸エステルの重合体の分子量は、2000〜3000である。この範囲では、粘度が250〜550cps(25℃)となり、さらに感光性樹脂組成物をを調製しやすくなるからである。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステルの重合体の添加量は、感光性樹脂成分100重量部に対して0.1〜5重量部が望ましく、0.2〜1.0重量部がより望ましい。0.1重量部未満であると、レベリング作用や消泡作用が低下し、気泡に起因するPbマイグレーションやクラックが発生しやすく、逆に、5重量部を超えると、ガラス転移点が低下して耐熱性が低下するからである。
【0038】
以上説明した感光性樹脂組成物には、その他に、各種消泡剤やレベリング剤、耐熱性や耐塩基性の改善と可撓性付与のために熱硬化性樹脂、解像度改善のために感光性モノマーなどを添加することができる。
さらに、感光性樹脂組成物には、色素や顔料を添加してもよい。配線パターンを隠蔽できるからである。この色素としてはフタロシアニングリーンを用いることが望ましい。
【0039】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。このビスフェノール型エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型のエポキシ樹脂とがあり、耐塩基性を重視する場合には前者が、低粘度化が要求される場合(塗布性を重視する場合)には後者が好ましく用いられる。
【0040】
上記感光性モノマーとしては、例えば、多価アクリル系モノマーを用いることができる。多価アクリル系モノマーとしては、例えば、下記の式(10)に示すような化学構造を有するものが望ましい。下記の式(10)で示した化合物としては、例えば、日本化薬製のDPE−6A等が挙げられる。
【0041】
【化11】
Figure 0004255158
【0042】
本発明のソルダーレジスト組成物には、重合開始剤(反応促進剤)として、ベンゾフェノン(BP)の他に、ミヒラーケトン(MK)や下記の式(11)の化学構造を有する化合物を添加することが望ましく、光増感剤として下記の式(12)の化学構造を有する化合物を添加することが望ましい。これらの化合物は入手しやすく、また人体に対する安全性も高いからである。
【0043】
【化12】
Figure 0004255158
【0044】
【化13】
Figure 0004255158
【0045】
ベンゾフェノン(BP)とミヒラーケトン(MK)とを同時に添加する場合には、30〜70℃に加熱したグリコールエーテル系溶媒に同時に溶解させて均一混合し、他の成分と混合することが望ましい。溶解残渣がなく、完全に溶解できるからである。
【0046】
本発明のプリント配線板は、基板の両面に複数の導体回路が形成され、これらの導体回路間に感光性樹脂からなる層間樹脂絶縁層が形成されるとともに、最上層の導体回路上にも感光性樹脂からなるソルダーレジスト層が形成されたプリント配線板であって、
上記層間樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤、樹脂粒子もしくは無機粒子ならびに分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物を含み、
上記ソルダーレジスト層は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤、ビスフェノール型エポキシ樹脂および分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物を含み、
上記層間樹脂絶縁層の表面に粗化面が形成されていることに特徴がある。
【0047】
本発明のプリント配線板において、上記感光性樹脂層の厚さは、5〜50μmが望ましい。
上記プリント配線板においては、上記感光性樹脂層は、導体回路を被覆するソルダーレジストであってもよく、また、導体回路間に存在するめっきレジストであってもよい。さらに、複数の層からなる導体回路の間に形成する層間樹脂絶縁層であってもよい。
【0048】
次に、本発明のプリント配線板を製造する一方法について説明する。
(1) まず、コア基板の表面に内層銅パターン(導体回路)が形成された配線基板を作製する。
このコア基板に対する導体回路を形成する際には、銅張積層板を特定パターン状にエッチングする方法、ガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、セラミック基板、金属基板などの基板に無電解めっき用接着剤層を形成し、この無電解めっき用接着剤層表面を粗化して粗化面とした後、無電解めっきを施す方法、または、上記粗化面全体に無電解めっきを施し、めっきレジストを形成し、めっきレジスト非形成部分に電解めっきを施した後、めっきレジストを除去し、エッチング処理を行って、電解めっき膜と無電解めっき膜からなる導体回路を形成する方法などを用いることができる。
【0049】
さらに、上記配線基板の導体回路の表面には、粗化面または粗化層を形成することができる。
ここで、上記粗化面または粗化層は、研磨処理、エッチング処理、黒化還元処理およびめっき処理のうちのいずれかの方法により形成されることが望ましい。これらの処理のうち、黒化還元処理を行う際には、NaOH(20g/l)、NaClO2 (50g/l)、Na3 PO4 (15.0g/l)を含む水溶液からなる黒化浴(酸化浴)、および、NaOH(2.7g/l)、NaBH4 (1.0g/l)を含む水溶液からなる還元浴を用いて粗化面を形成する方法が望ましい。
また、めっき処理により粗化層を形成する際には、硫酸銅(1〜40g/l)、硫酸ニッケル(0.1〜6.0g/l)、クエン酸(10〜20g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10〜100g/l)、ホウ酸(10〜40g/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.01〜10g/l)を含むpH=9の無電解めっき浴にて無電解めっきを施し、Cu−Ni−P合金からなる粗化層を形成する方法が望ましい。
この範囲で析出する被膜の結晶構造は針状構造になるため、アンカー効果に優れるからである。この無電解めっき浴には上記化合物に加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。
エッチング処理方法としては、アゾール類の第二銅錯体および有機酸からなるエッチング液を酸素共存下で作用させ、導体回路表面を粗化する方法などが挙げられる。
【0050】
なお、コア基板には、通常、スルーホールが形成され、このスルーホールを介して表面と裏面の配線層が電気的に接続されている。
また、スルーホールおよびコア基板の導体回路間には樹脂が充填され、平滑性が確保されていてもよい。
【0051】
さらに、コア基板には、その内層に導体回路を有していてもよい。上記内層導体回路は、コア基板を貫通するスルーホールによりコア基板表面の導体回路と接続される。
さらに、スルーホール内には、金属粒子、無機粒子および樹脂粒子を含む樹脂組成物が充填され、その充填樹脂を被覆する導体層が表面に形成されていてもよい。この導体層に、その上に形成するバイアホールを接続させることができるからである。
【0052】
(2) 次に、上記(1) で作製した基板の上に、層間樹脂絶縁層を形成する。
上記層間樹脂絶縁層としては特に限定されるものではないが、本発明の感光性樹脂組成物を層間樹脂絶縁材として用いることが望ましい。
【0053】
(3) 上記(2) で形成した感光性樹脂組成物層などを乾燥した後、必要に応じてバイアホール用開口を設ける。
このとき、バイアホール用開口は、露光、現像してから熱硬化することにより、またはレーザー加工を行うことにより形成する。
【0054】
(4) 次に、硬化した層間樹脂絶縁層を粗化処理する。粒子が配合された感光性樹脂組成物を層間樹脂絶縁層として使用した場合には、上記感光性樹脂組成物の表面に存在する粒子を酸、酸化剤、または、アルカリ等により溶解または分解して除去し層間樹脂絶縁層表面を粗化する。
上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、蟻酸や酢酸などの有機酸などが挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用いることが望ましい。
また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液が望ましい。
【0055】
(5) 次に、層間樹脂絶縁層を粗化した配線基板に触媒核を付与する。
触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムが好ましい。
【0056】
(6) 次に、無電解めっき用接着剤層表面に無電解めっきを施し、粗化面全面に、その粗面に沿って凹凸を有する薄膜の無電解めっき膜を形成する。このとき、無電解めっき膜の厚みは、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜3μmがより望ましい。
つぎに、無電解めっき膜上にめっきレジストを形成する。
めっきレジスト組成物としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、その他に、市販品のドライフィルムを使用することもできる。
【0057】
(7) 次に、基板を10〜35℃、望ましくは15〜30℃の水で水洗する。
10〜35℃の水で水洗するのは、水洗温度が35℃を超えると水が揮発し、無電解めっき膜の表面が乾燥して酸化してしまい、電解めっき膜が析出しないからである。そのため、この後のエッチング処理により、無電解めっき膜が溶解してしまい、導体が存在しない部分が生じてしまう。一方、10℃未満では水に対する汚染物質の溶解度が低下し、洗浄力が低下してしまう。特に、バイアホールのランドの径が200μm以下になると、めっきレジストが水をはじくため、水が揮発しやすく、電解めっきの未析出という問題が発生しやすい。
なお、洗浄水の中には、各種の界面活性剤、酸、アルカリを添加しておいてもよい。また、洗浄後に硫酸などの酸で洗浄してもよい。
【0058】
(8) 次に、めっきレジスト非形成部に電解めっきを施し、導体回路およびバイアホールを形成する。
ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
【0059】
(9) さらに、めっきレジストを除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去して、独立した導体回路とする。
【0060】
(10)次に、導体回路の表面に粗化層または粗化面を形成する。
上記粗化層または粗化面の形成は、上記(1) において説明した方法を用いることにより行う。
【0061】
(11)次に、この基板上に層間樹脂絶縁層として、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を用いて樹脂組成物の層を形成する。
(12)さらに、 (3)〜(9) の工程を繰り返してさらに上層の導体回路を設け、その上にはんだパッドとして機能する平板状の導体パッドやバイアホールなどを形成することにより、多層配線基板を得る。
(13)ついで、導体パッドとバイアホール表面に粗化層または粗化面を設ける。上記粗化層または粗化面の形成は、上記(1) において説明した方法を用いることにより行う。
【0062】
(14)次に、こうして得られた多層配線基板の両面に、上記した本発明の感光性樹脂組成物を用いてソルダーレジスト層を形成する。
ソルダーレジスト層を形成する際には、上記配線基板を垂直に立てた状態で、ロールコータの一対の塗布用ロールのロール間に上記配線基板を挟み、ロールにより下側から上側へ搬送して多層配線基板の両面にソルダーレジスト組成物を同時に塗布する方法(以下、ロールコート法という)をとることが望ましい。その理由は、現在のプリント配線板の基本仕様は両面であり、カーテンコート法(樹脂を滝のように上から下へ流し、この樹脂の「カーテン」に基板をくぐらせて塗布する方法)では、片面しか塗布できないからである。前述したソルダーレジスト組成物は、粘度を25℃で1〜10Pa・sとすることができるため、このような粘度のソルダーレジスト組成物を使用すれば、多層配線基板を垂直に立てて塗布しても、ソルダーレジスト組成物が基板上を流れず、またソルダーレジスト組成物の転写状態も良好である。
【0063】
(15)この後、ソルダーレジスト組成物の塗膜を60〜80℃で5〜50分間乾燥し、この塗膜に、開口部を描画したフォトマスクフィルムを載置して露光、現像処理することにより、導体回路のうちパッド部分を露出させた開口部を形成する。このようにして開口部を形成した塗膜を、さらに80〜150℃で1〜10時間の熱処理することにより硬化させる。これにより、開口部を有する感光性樹脂層(ソルダーレジスト層)は導体回路の表面に設けた粗化層と密着する。
【0064】
ここで、上記開口部の開口径は、パッドの径よりも大きくすることができ、パッドを完全に露出させてもよい。このようにすることにより、フォトマスクがずれてもパッドがソルダーレジストで被覆されることはなく、またソルダーレジスト層がはんだ体に接触せず、はんだ体にくびれが生じないため、クラックが発生しにくくなる。
【0065】
また、逆に、上記開口部の開口径は、パッドの径よりも小さくすることもできる。このようにすることにより、パッド表面の粗化層とソルダーレジスト層とがより密着する。また、いわゆるセミアディティブ法を採用する場合は、無電解めっき用接着剤の粗化層の深さが浅くなり(1〜3μm)、まためっきレジストがないのでパッドが剥離やすいが、ソルダーレジストの開口部の開口径を、パッドの径よりも小さくして、パッドの一部をソルダーレジスト層で被覆することにより、パッドの剥離を抑制することができる。
【0066】
(16)次に、上記開口部から露出した上記はんだパッド部の上に「ニッケル−金」からなる金属層を形成する。
【0067】
(17)次に、上記開口部から露出した上記はんだパッド部上にはんだ体を供給する。
はんだ体の供給方法としては、はんだ転写法やはんだ印刷法を用いることができる。上記はんだ転写法とは、プリプレグにはんだ箔を貼合し、このはんだ箔を開口部分に相当する箇所のみを残してエッチングすることによりはんだパターンを形成してはんだキャリアフィルムとし、上記工程により作製した基板のソルダーレジスト開口部分にフラックスを塗布した後、このはんだキャリアフィルムを、はんだパターンがパッドに接触するように積層し、これを加熱して転写する方法である。また、はんだ印刷法とは、パッドに相当する箇所に貫通孔を設けたメタルマスクを基板に載置し、はんだペーストを印刷して加熱処理し、はんだ層を形成する方法である。
【0068】
【実施例】
(実施例1)
A.上層の無電解めっき用接着剤組成物の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液35重量部、感光性モノマー(日本化薬社製KAYAMER PM−2)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)0.5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)3.6重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0069】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのもの7.2重量部および平均粒径0.5μmのもの3.09重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0070】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)2重量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー I−907)2重量部、光増感剤(日本化薬社製、DETX−S)0.2重量部およびNMP1.5重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0071】
B.下層の層間樹脂絶縁剤の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液35重量部、感光性モノマー(日本化薬製 KAYAMER PM−2)4重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)0.5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)3.6重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0072】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、および、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのもの14.49重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0073】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)2重量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー I−907)2重量部、光増感剤(日本化薬社製、DETX−S)0.2重量部およびNMP1.5重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0074】
C.樹脂充填剤の調製
1)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、3本ロールで混練して、その粘度が23±1℃で45000〜49000cps(45〜49Pa・s)の樹脂充填剤を調製した。
なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0075】
D.プリント配線板の製造方法
(1) 厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔8がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図1(a)参照)。まず、この銅貼積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板1の両面に下層導体回路4とスルーホール9を形成した。
【0076】
(2) スルーホール9および下層導体回路4を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(20g/l)、NaClO2 (50g/l)、Na3 PO4 (15g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(2.7g/l)、NaBH4 (1.0g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール9を含む下層導体回路4の全表面に粗化面4a、9aを形成した(図1(b)参照)。
【0077】
(3) 樹脂充填剤10を、基板の片面にロールコータを用いて塗布することにより、下層導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、70℃、20分間の条件で乾燥させた後、他方の面についても同様にして樹脂充填剤10を導体回路4間あるいはスルーホール9内に充填し、70℃、20分間の条件で加熱乾燥させた(図1(c)参照)。
【0078】
(4) 上記(3) の処理を終えた基板の片面を、#600 のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターン4の表面やスルーホール9のランド表面に樹脂充填剤10が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填剤10を硬化した。
【0079】
このようにして、スルーホール9や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材10の表層部および下層導体回路4の表面を平坦化し、樹脂充填材10と下層導体回路4の側面4aとが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール9の内壁面9aと樹脂充填材10とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図1(d)参照)。この工程により、樹脂充填剤10の表面と下層導体回路4の表面が同一平面となる。ここで、充填した硬化樹脂のTg点は155.6℃、線熱膨張係数は44.5×10-6/℃であった。
【0080】
(5) 上記(4) の処理で露出した内層導体回路4およびスルーホール9のランド上面に、厚さ2.5μmのCu−Ni−P合金からなる粗化層(凹凸層)11を形成し、さらに、その粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(図2(a)参照、但し、Sn層については図示しない)。
その形成方法は以下のようである。即ち、硫酸銅(8g/l)、硫酸ニッケル(0.6g/l)、クエン酸(15g/l)、次亜リン酸ナトリウム(29g/l)、ホウ酸(31g/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.1g/l)を含む水溶液からなるpH=9の無電解銅めっき浴に基板を浸漬し、浸漬1分後に、4秒あたりに1回の割合で縦および横方向に振動させて、下層導体回路およびスルーホールのランドの表面に、Cu−Ni−Pからなる針状合金の粗化層11を設けた。さらに、ホウフッ化スズ(0.1mol/l)、チオ尿素(1.0mol/l)を含む温度50℃、pH=1.2のめっき浴を用い、Cu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた。
【0081】
(6) 基板の両面に、Bの無電解めっき用接着剤(粘度:1.5Pa・s)をロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、無電解めっき用接着剤層2aを形成した。
さらにこの無電解めっき用接着剤層2aの上にAの無電解めっき用接着剤(粘度:7Pa・s)をロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、接着剤層2bを形成し、厚さ35μmの無電解めっき用接着剤層2を形成した(図2(b)参照)。
【0082】
(7) 上記(6) で無電解めっき用接着剤層2を形成した基板1の両面に、直径85μmの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2 強度で露光した後、DMDG溶液でスプレー現像した。この後、さらに、この基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2 強度で露光し、100℃で1時間、150℃で5時間の加熱処理を施し、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた直径85μmのバイアホール用開口6を有する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層2を形成した(図2(c)参照)。なお、バイアホールとなる開口には、スズめっき層を部分的に露出させた。
【0083】
(8) バイアホール用開口6を形成した基板を、800g/lのクロム酸を含む溶液に70℃で19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層2の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、層間樹脂絶縁層2の表面を粗面(深さ3μm)とし、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした(図2(d)参照)。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口6の内壁面に触媒核を付着させた。
【0084】
(9) 次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜12を形成した(図3(a)参照)。このとき、めっき膜が薄いため無電解めっき膜表面には、凹凸が観察された。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150 g/l
硫酸銅 20 g/l
HCHO 30 ml/l
NaOH 40 g/l
α、α’−ビピリジル 80 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.1 g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
【0085】
(10)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜12に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、めっきレジスト3を設けた(図3(b)参照)。
【0086】
(11)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜13を形成した(図3(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤 1 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 30 分
温度 室温
【0087】
(12)めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト3下の無電解めっき膜12を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜12と電解銅めっき膜13からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール7を含む)5を形成した。さらに、800g/lのクロム酸を含む70℃の溶液に3分間浸漬して、導体回路非形成部分に位置する導体回路間の層間樹脂絶縁層2の表面を1μmエッチング処理し、その表面に残存するパラジウム触媒を除去した(図3(d)参照)。
【0088】
(13)導体回路5を形成した基板を、硫酸銅(8g/l)、硫酸ニッケル(0.6g/l)、クエン酸(15g/l)、次亜リン酸ナトリウム(29g/l)、ホウ酸(31g/l)、界面活性剤(日信化学工業社製、サーフィノール465)(0.1g/l)を含む水溶液からなるpH=9の無電解銅めっき浴に基板を浸漬し、浸漬1分後に、4秒あたりに1回の割合で縦および横方向に振動させて、下層導体回路およびスルーホールのランドの表面に、Cu−Ni−Pからなる針状合金の粗化層11を設けた(図4(a)参照)。このとき、形成した粗化層11をEPMA(蛍光X線分析装置)で分析したところ、Cu:98モル%、Ni:1.5モル%、P:0.5モル%の組成比であった。
さらに、ホウフッ化スズ(0.1mol/l)、チオ尿素(1.0mol/l)を含む温度50℃、pH=1.2のめっき浴を用い、Cu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた。但し、Sn層については、図示しない。
【0089】
(14)上記 (6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た。但し、Sn置換は行わなかった(図4(b)〜図5(b)参照)。
【0090】
(15)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)6.67重量部、同じくビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコートE−1001−B80)6.67重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマー(日本化薬社製 KAYAMER PM−21)6重量部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄化学社製、商品名:ポリフローNo.75)0.36重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてイルガキュアI−907(チバガイギー社製)2.0重量部、光増感剤としてのDETX−S(日本化薬社製)0.2重量部、DMDG0.6重量部を加えることにより、粘度を25℃で1.4±0.3Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0091】
(16)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、200μmの直径の開口を形成した。
そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理してソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジストパターン層14を形成した。
【0092】
(17)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル(30g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10g/l)、クエン酸ナトリウム(10g/l)を含むpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層15を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(2g/l)、塩化アンモニウム(75g/l)、クエン酸ナトリウム(50g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10g/l)を含む無電解めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層15上に、厚さ0.03μmの金めっき層16を形成した。
【0093】
(18)この後、ソルダーレジスト層14の開口にはんだペーストを印刷して、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)17を形成し、はんだバンプ17を有する多層配線プリント基板を製造した(図5(c)参照)。
【0094】
(比較例1)
以下に示す成分組成のソルダーレジスト組成物を用いてソルダーレジスト層を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてはんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
DMDGに60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)14.12重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能性アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)1.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)6.0重量部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄化学社製、商品名:ポリフローNo.75)0.36重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてイルガキュアI−907(チバガイギー社製)2.0重量部、光増感剤としてのDETX−S(日本化薬社製)0.2重量部、DMDG1.0重量部を加えることにより、粘度を25℃で1.4±0.3Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
【0095】
(比較例2)
以下に示す成分組成の層間樹脂絶縁材組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてはんだバンプを有するプリント配線板を製造した。
A.上層の無電解めっき用接着剤組成物の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液35重量部、感光性モノマー(東亜合成社製アロニックスM315)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)0.5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)3.6重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0096】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのもの7.2重量部および平均粒径0.5μmのもの3.09重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0097】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)2重量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー I−907)2重量部、光増感剤(日本化薬社製、DETX−S)0.2重量部およびNMP1.5重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0098】
B.下層の層間樹脂絶縁剤の調製
1)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、分子量:2500)の25%アクリル化物を80重量%の濃度でジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に溶解させた樹脂液35重量部、感光性モノマー(東亜合成社製アロニックスM315)4重量部、消泡剤(サンノプコ社製 S−65)0.5重量部およびN−メチルピロリドン(NMP)3.6重量部を容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
【0099】
2)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、および、エポキシ樹脂粒子(三洋化成社製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのもの14.49重量部を別の容器にとり、攪拌混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合し、別の混合組成物を調製した。
【0100】
3)イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)2重量部、光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー I−907)2重量部、光増感剤(日本化薬社製、DETX−S)0.2重量部およびNMP1.5重量部をさらに別の容器にとり、攪拌混合することにより混合組成物を調製した。
そして、1)、2)および3)で調製した混合組成物を混合することにより無電解めっき用接着剤を得た。
【0101】
このようにして製造した実施例1および比較例1〜2のプリント配線板について、−55〜125℃で1000回のヒートサイクル試験を実施し、層間樹脂絶縁層およびソルダーレジスト層におけるクラックの発生の有無を光学顕微鏡にて観察した。また、温度128℃、湿度85%、圧力2気圧で48時間放置し、層間樹脂絶縁層およびソルダーレジスト層を光学顕微鏡で観察して、剥離の有無を確認した。その結果を下記の表1に示した。
【0102】
【表1】
Figure 0004255158
【0103】
上記表1に示す結果から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物を用いたプリント配線板は、層間樹脂絶縁層やソルダーレジスト層の剥離は発生せず、ヒートサイクル条件下でのクラックの発生を抑制することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の感光性樹脂組成物によれば、ヒートサイクル条件下での耐クラック性および導体回路との密着性に優れる感光性樹脂組成物を提供するができる。
また本発明のプリント配線板によれば、ヒートサイクル条件下での耐クラック性および導体回路との密着性に優れるプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明にかかるプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明にかかるプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図3】(a)〜(d)は、本発明にかかるプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明にかかるプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明にかかるプリント配線板の製造工程の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 層間樹脂絶縁層(無電解めっき用接着剤)
2a 無電解めっき用接着剤層
2b 無電解めっき用接着剤層
3 めっきレジスト
4 下層導体回路(内層銅パターン)
5 上層導体回路
6 バイアホール用開口
7 バイアホール
8 銅箔
9 スルーホール
10 充填樹脂(樹脂充填剤)
11 粗化層
12 無電解めっき膜
13 電解めっき膜
14 ソルダーレジスト層
15 ニッケルめっき層
16 金めっき層
17 はんだバンプ

Claims (2)

  1. 基板の両面に複数の導体回路が形成され、これらの導体回路間に感光性樹脂からなる層間樹脂絶縁層が形成されるとともに、最上層の導体回路上にも感光性樹脂からなるソルダーレジスト層が形成されたプリント配線板であって、
    前記層間樹脂絶縁層は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤、樹脂粒子もしくは無機粒子ならびに分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物を含み、
    前記ソルダーレジスト層は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、硬化剤、ビスフェノール型エポキシ樹脂および分子中にP原子を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの反応物を含み、
    前記層間樹脂絶縁層の表面に粗化面が形成されていることを特徴とするプリント配線板。
  2. 前記層間樹脂絶縁層の表面に、前記樹脂粒子もしくは前記無機粒子を溶解除去又は分解除去することにより粗化面が形成されている請求項1に記載のプリント配線板。
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