JP3420348B2 - Al合金製構造部材の製造方法 - Google Patents
Al合金製構造部材の製造方法Info
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C1/00—Making non-ferrous alloys
- C22C1/04—Making non-ferrous alloys by powder metallurgy
- C22C1/0408—Light metal alloys
- C22C1/0416—Aluminium-based alloys
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はAl合金製構造部材の製
造方法、特に、Al合金粉末よりなる粉末プレフォーム
に加熱処理を施し、次いで前記粉末プレフォームに加圧
下で成形固化加工を施してAl合金製構造部材を得る方
法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種製造方法として、非平衡相
を備えたAl合金粉末を用い、微細金属組織を有する構
造部材を得る粉末鍛造法が公知である(例えば、特開平
5−279767号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来法の場合、加熱処
理において、粉末プレフォームを室温から鍛造温度ま
で、平均昇温速度R≧333K/min にて急速昇温を行
っている。 【0004】このような急速昇温を行う理由は、粉末プ
レフォームの熱履歴を少なくし、また粉末プレフォーム
から急速に水素を放出させてその水素により粉末プレフ
ォームを包んでその酸化を防止することにある。 【0005】しかしながら、構造部材における金属組織
の一層の微細化を狙って、Al合金粉末として、示差走
査熱量測定における20K/min の昇温速度で発熱量C
がC≧10J/gである非平衡相を備えたものを用いた
場合、従来法と同等の急速昇温を行うと、粉末プレフォ
ームにおいて相変化が均一に行われず、その結果、構造
部材の金属組織が不均一となるため、その機械的特性が
低い、という問題を生じる。 【0006】この問題を解決するためには相変化中にお
ける平均昇温速度を従来法の場合よりも下げることが必
要である。一方、相変化後においては、水素の放出を急
速に発生させることが必要であるから、それに対応し得
るように平均昇温速度を上げることが望ましい。 【0007】本発明は、前記のように特定されたAl合
金粉末を用いて構造部材を得るに当り、加熱処理条件を
特定することによって機械的特性の優れた構造部材を得
ることのできる、前記製造方法を提供することを目的と
する。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、Al合金粉末
よりなる粉末プレフォームに加熱処理を施し、次いで前
記粉末プレフォームに加圧下で成形固化加工を施してA
l合金製構造部材を得るに当り、前記Al合金粉末とし
て、示差走査熱量測定における20K/min の昇温速度
で発熱量CがC≧10J/gである非平衡相を備えたも
のを用い、前記加熱処理において、前記Al合金粉末の
発熱開始温度をTx(K)としたとき、TxからTx+
A(ただし、A≧30K)までの平均昇温速度R2 をR
2 ≦60K/min に設定し、また前記成形固化加工の加
工温度をTw(K)としたとき、Tw−B(ただし、B
≧30K、またTw−B>Tx+A)からTwまでの平
均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設定することを
特徴とする。 【0009】 【作用】TxからTx+Aの温度領域は非平衡相の相変
化温度域であり、この温度域の平均昇温速度R2 を前記
のように設定すると、粉末プレフォームにおいて非平衡
相の相変化が均一に行われ、その結果、構造部材の金属
組織が均一化される。平均昇温速度R1 の下限値は、構
造部材における金属組織の粗大化抑制上、20K/min
であることが望ましい。 【0010】一方、相変化後の平均昇温速度R4 を前記
のように設定すると、粉末プレフォームから水素を急速
に放出させて、その酸化を確実に回避することができ
る。平均昇温速度R2 の上限値は、粉末プレフォーム内
部における温度の不均一化を防ぐ、といった理由から1
20K/min であることが望ましい。 【0011】 【実施例】組成がAl91Fe6 Ti1 Si2 (数値の単
位は原子%)である溶湯を調製し、その溶湯を用いてエ
アアトマイジング法の適用下Al合金粉末を製造した。
次いで、Al合金粉末に分級処理を施して、粒径が45
μm以下のAl合金粉末を得た。 【0012】このAl合金粉末について示差走査熱量測
定(DSC)を行ったところ、このAl合金粉末は、図
1に示すように非平衡相(過飽和固溶体)を備え、その
非平衡相は、20K/min の昇温速度において発熱量C
がC=19.56J/gであり、また発熱開始温度Tx
がTx=687.6K(414.6℃)であることが判
明した。 〔実施例1〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、各温
度領域に応じて平均昇温速度を変えた加熱処理を施し、
その後各粉末プレフォームに粉末鍛造(成形固化加工)
を施して複数の構造部材を得た。 【0013】各粉末プレフォームにおいて、成形圧力は
600MPa、寸法は直径78mm、高さ20mmであり、
また粉末鍛造において、鍛造温度(加工温度)TwはT
w=823K、鍛造圧力は800MPaであり、さらに
各構造部材の寸法は直径80mm、高さ17mmであった。 【0014】加熱処理においては、図2に示すように、
室温RTから発熱開始温度Txまでの平均昇温速度R1
がR1 =80K/min に制御され、TxからTx+A
(ただし、A=30K)までの平均昇温速度R2 が40
K/min ≦R2 ≦80K/minの範囲で変化するように
制御され、Tx+Aから鍛造温度Tw−B(ただし、B
=30K)までの平均昇温速度R3 がR3 =80K/mi
n に制御され、Tw−BからTwまでの平均昇温速度R
4 が40K/min ≦R4 ≦80K/min の範囲で変化す
るように制御された。 【0015】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各平均昇温速度R1 〜R4 と、引張強
さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係を求めたとこ
ろ、表1の結果を得た。 【0016】 【表1】表1から明らかなように、A=30KおよびB=30K
において、平均昇温速度R2 をR2 ≦60K/min に設
定し、また平均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設
定すると、試験片3〜8のように機械的特性を大いに向
上させることができる。 【0017】このような効果が得られる理由は次の通り
である。即ち、TxからTx+Aまでの温度領域は非平
衡相の相変化温度域であり、この温度域の平均昇温速度
R2を前記のように設定すると、粉末プレフォームにお
いて非平衡相の相変化が均一に行われるので構造部材の
金属組織が均一化され、また相変化後の平均昇温速度R
4 を前記のように設定すると、粉末プレフォームから水
素を急速に放出させて、その酸化を確実に回避すること
ができるのである。 〔実施例2〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、各温
度領域に応じて平均昇温温度を変えた加熱処理を施し、
その後各粉末プレフォームに粉末鍛造を施して複数の構
造部材を得た。 【0018】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法はそれぞれ実施例1の場
合と同一である。 【0019】加熱処理においては、図2に示すように、
RTからTxまでの平均昇温速度R 1 が30K/min ≦
R1 ≦100K/min の範囲で変化するように制御さ
れ、TxからTx+A(ただし、A=30K)までの平
均昇温速度R2 がR2 =50K/min に制御され、Tx
+AからTw−B(ただし、B=30K)までの平均昇
温速度R3 が30K/min ≦R3 ≦100K/min の範
囲で変化するように制御され、Tw−BからTwまでの
平均昇温速度R4 がR4 =80K/min に制御された。 【0020】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各平均昇温速度R1 ,R3 と、引張強
さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係を求めたとこ
ろ、表2の結果を得た。 【0021】 【表2】表2から明らかなように、A=30KおよびB=30K
において、平均昇温速度R2 をR2 ≦60K/min に設
定し、また平均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設
定すると、平均昇温速度R1 ,R3 を変化させても、前
記試験片1〜10のようにその機械的特性は優秀であ
り、したがって平均昇温速度R1 ,R3 は構造部材の機
械的特性に殆ど影響を与えないことが判る。ただし、平
均昇温速度R3 を遅くすると、試験片8,10のように
強度がやや低下し、一方、伸びは向上する、といった傾
向が見られる。 〔実施例3〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、図2
に示すように平均昇温速度の変化点Tx+AおよびTw
−Bを変えた加熱処理を施し、その後各粉末プレフォー
ムに粉末鍛造を施して複数の構造部材を得た。 【0022】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法は実施例1の場合と同一
である。 【0023】加熱処理においては、図2に示すように、
RTからTxまでの平均昇温速度R 1 がR1 =100K
/min に制御され、TxからTx+Aまでの平均昇温速
度R 2 がR2 =50K/min に制御され、Tx+Aから
Tw−Bまでの平均昇温速度R3 がR3 =50K/min
または80K/min に制御され、Tw−BからTwまで
の平均昇温速度R4 がR4 =100K/min に制御され
た。 【0024】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各昇温速度R3 、Tx+AおよびTw−
Bと、引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係
を求めたところ、表3の結果を得た。 【0025】 【表3】表3から明らかなように、平均昇温速度R2 ≦60K/
min で、また平均昇温速度R4 ≧60K/min 、といっ
た条件で、一方の変化点Tx+Aにおいて、A≧30K
に設定し、また他方の変化点Tw−Bにおいて、B≧3
0Kに設定すると、試験片3〜5,8〜10のように機
械的特性を大いに向上させることができる。 〔実施例4〕各種Al合金組成の溶湯を調製し、各溶湯
を用いてエアアトマイジング法の適用下Al合金粉末を
製造した。次いで、各Al合金粉末に分級処理を施し
て、粒径が45μm以下のAl合金粉末を得た。 【0026】各Al合金粉末を用いて複数の粉末プレフ
ォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに加熱処理
を施し、その後各粉末プレフォームに粉末鍛造を施して
複数の構造部材を得た。 【0027】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法は実施例1の場合と同一
である。 【0028】加熱処理においては、図3に示すように、
2つの加熱パターンP1 ,P2 が採用された。一方の加
熱パターンP1 は実施例に対応するもので、RTからT
xまでの平均昇温速度R1 がR1 =80K/min に制御
され、TxからTx+A(ただし、A=30K)までの
平均昇温速度R2 がR2 =50K/min に制御され、T
x+AからTw−B(ただし、B=30K)までの平均
昇温速度R3 がR3 =80K/min に制御され、Tw−
BからTwまでの平均昇温速度R4 がR4 =100K/
min に制御された。他方の加熱パターンP2 は比較例に
対応するもので、RTからTw−Bまでの平均昇温速度
R5 がR5 =120K/min に制御され、Tw−Bから
Twまでの平均昇温速度R6 がR6 =100K/min に
制御された。 【0029】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行った。 【0030】表4は、各種試験片の組成、示差走査熱量
測定における20K/min の昇温速度での非平衡相の発
熱量C、発熱開始温度Tx、適用された加熱パターン、
引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃値を示す。 【0031】 【表4】表4から明らかなように、前記発熱量CがC≧10J/
gである非平衡相を有するAl合金粉末を用いる場合に
おいて、加熱パターンP1 を採用すると、試験片1〜4
のように機械的特性を大いに向上させることができる。 【0032】前記Al合金粉末を用いた場合において、
加熱パターンP2 を採用すると、試験片1a〜4aのよ
うに機械的特性は低くなる。 【0033】また前記発熱量CがC<10J/gである
場合には、加熱パターンP1 ,P2に関係なく試験片
5,5a,6,6aのように機械的特性が低い。 【0034】本発明は、内燃機関用構造部材、例えばコ
ンロッドの製造に適用される。 【0035】 【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た手段を採用することによって、機械的特性の優れたA
l合金製構造部材を得ることができる。
造方法、特に、Al合金粉末よりなる粉末プレフォーム
に加熱処理を施し、次いで前記粉末プレフォームに加圧
下で成形固化加工を施してAl合金製構造部材を得る方
法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種製造方法として、非平衡相
を備えたAl合金粉末を用い、微細金属組織を有する構
造部材を得る粉末鍛造法が公知である(例えば、特開平
5−279767号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来法の場合、加熱処
理において、粉末プレフォームを室温から鍛造温度ま
で、平均昇温速度R≧333K/min にて急速昇温を行
っている。 【0004】このような急速昇温を行う理由は、粉末プ
レフォームの熱履歴を少なくし、また粉末プレフォーム
から急速に水素を放出させてその水素により粉末プレフ
ォームを包んでその酸化を防止することにある。 【0005】しかしながら、構造部材における金属組織
の一層の微細化を狙って、Al合金粉末として、示差走
査熱量測定における20K/min の昇温速度で発熱量C
がC≧10J/gである非平衡相を備えたものを用いた
場合、従来法と同等の急速昇温を行うと、粉末プレフォ
ームにおいて相変化が均一に行われず、その結果、構造
部材の金属組織が不均一となるため、その機械的特性が
低い、という問題を生じる。 【0006】この問題を解決するためには相変化中にお
ける平均昇温速度を従来法の場合よりも下げることが必
要である。一方、相変化後においては、水素の放出を急
速に発生させることが必要であるから、それに対応し得
るように平均昇温速度を上げることが望ましい。 【0007】本発明は、前記のように特定されたAl合
金粉末を用いて構造部材を得るに当り、加熱処理条件を
特定することによって機械的特性の優れた構造部材を得
ることのできる、前記製造方法を提供することを目的と
する。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、Al合金粉末
よりなる粉末プレフォームに加熱処理を施し、次いで前
記粉末プレフォームに加圧下で成形固化加工を施してA
l合金製構造部材を得るに当り、前記Al合金粉末とし
て、示差走査熱量測定における20K/min の昇温速度
で発熱量CがC≧10J/gである非平衡相を備えたも
のを用い、前記加熱処理において、前記Al合金粉末の
発熱開始温度をTx(K)としたとき、TxからTx+
A(ただし、A≧30K)までの平均昇温速度R2 をR
2 ≦60K/min に設定し、また前記成形固化加工の加
工温度をTw(K)としたとき、Tw−B(ただし、B
≧30K、またTw−B>Tx+A)からTwまでの平
均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設定することを
特徴とする。 【0009】 【作用】TxからTx+Aの温度領域は非平衡相の相変
化温度域であり、この温度域の平均昇温速度R2 を前記
のように設定すると、粉末プレフォームにおいて非平衡
相の相変化が均一に行われ、その結果、構造部材の金属
組織が均一化される。平均昇温速度R1 の下限値は、構
造部材における金属組織の粗大化抑制上、20K/min
であることが望ましい。 【0010】一方、相変化後の平均昇温速度R4 を前記
のように設定すると、粉末プレフォームから水素を急速
に放出させて、その酸化を確実に回避することができ
る。平均昇温速度R2 の上限値は、粉末プレフォーム内
部における温度の不均一化を防ぐ、といった理由から1
20K/min であることが望ましい。 【0011】 【実施例】組成がAl91Fe6 Ti1 Si2 (数値の単
位は原子%)である溶湯を調製し、その溶湯を用いてエ
アアトマイジング法の適用下Al合金粉末を製造した。
次いで、Al合金粉末に分級処理を施して、粒径が45
μm以下のAl合金粉末を得た。 【0012】このAl合金粉末について示差走査熱量測
定(DSC)を行ったところ、このAl合金粉末は、図
1に示すように非平衡相(過飽和固溶体)を備え、その
非平衡相は、20K/min の昇温速度において発熱量C
がC=19.56J/gであり、また発熱開始温度Tx
がTx=687.6K(414.6℃)であることが判
明した。 〔実施例1〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、各温
度領域に応じて平均昇温速度を変えた加熱処理を施し、
その後各粉末プレフォームに粉末鍛造(成形固化加工)
を施して複数の構造部材を得た。 【0013】各粉末プレフォームにおいて、成形圧力は
600MPa、寸法は直径78mm、高さ20mmであり、
また粉末鍛造において、鍛造温度(加工温度)TwはT
w=823K、鍛造圧力は800MPaであり、さらに
各構造部材の寸法は直径80mm、高さ17mmであった。 【0014】加熱処理においては、図2に示すように、
室温RTから発熱開始温度Txまでの平均昇温速度R1
がR1 =80K/min に制御され、TxからTx+A
(ただし、A=30K)までの平均昇温速度R2 が40
K/min ≦R2 ≦80K/minの範囲で変化するように
制御され、Tx+Aから鍛造温度Tw−B(ただし、B
=30K)までの平均昇温速度R3 がR3 =80K/mi
n に制御され、Tw−BからTwまでの平均昇温速度R
4 が40K/min ≦R4 ≦80K/min の範囲で変化す
るように制御された。 【0015】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各平均昇温速度R1 〜R4 と、引張強
さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係を求めたとこ
ろ、表1の結果を得た。 【0016】 【表1】表1から明らかなように、A=30KおよびB=30K
において、平均昇温速度R2 をR2 ≦60K/min に設
定し、また平均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設
定すると、試験片3〜8のように機械的特性を大いに向
上させることができる。 【0017】このような効果が得られる理由は次の通り
である。即ち、TxからTx+Aまでの温度領域は非平
衡相の相変化温度域であり、この温度域の平均昇温速度
R2を前記のように設定すると、粉末プレフォームにお
いて非平衡相の相変化が均一に行われるので構造部材の
金属組織が均一化され、また相変化後の平均昇温速度R
4 を前記のように設定すると、粉末プレフォームから水
素を急速に放出させて、その酸化を確実に回避すること
ができるのである。 〔実施例2〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、各温
度領域に応じて平均昇温温度を変えた加熱処理を施し、
その後各粉末プレフォームに粉末鍛造を施して複数の構
造部材を得た。 【0018】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法はそれぞれ実施例1の場
合と同一である。 【0019】加熱処理においては、図2に示すように、
RTからTxまでの平均昇温速度R 1 が30K/min ≦
R1 ≦100K/min の範囲で変化するように制御さ
れ、TxからTx+A(ただし、A=30K)までの平
均昇温速度R2 がR2 =50K/min に制御され、Tx
+AからTw−B(ただし、B=30K)までの平均昇
温速度R3 が30K/min ≦R3 ≦100K/min の範
囲で変化するように制御され、Tw−BからTwまでの
平均昇温速度R4 がR4 =80K/min に制御された。 【0020】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各平均昇温速度R1 ,R3 と、引張強
さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係を求めたとこ
ろ、表2の結果を得た。 【0021】 【表2】表2から明らかなように、A=30KおよびB=30K
において、平均昇温速度R2 をR2 ≦60K/min に設
定し、また平均昇温速度R4 をR4 ≧60K/min に設
定すると、平均昇温速度R1 ,R3 を変化させても、前
記試験片1〜10のようにその機械的特性は優秀であ
り、したがって平均昇温速度R1 ,R3 は構造部材の機
械的特性に殆ど影響を与えないことが判る。ただし、平
均昇温速度R3 を遅くすると、試験片8,10のように
強度がやや低下し、一方、伸びは向上する、といった傾
向が見られる。 〔実施例3〕前記Al合金粉末を用いて複数の粉末プレ
フォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに、図2
に示すように平均昇温速度の変化点Tx+AおよびTw
−Bを変えた加熱処理を施し、その後各粉末プレフォー
ムに粉末鍛造を施して複数の構造部材を得た。 【0022】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法は実施例1の場合と同一
である。 【0023】加熱処理においては、図2に示すように、
RTからTxまでの平均昇温速度R 1 がR1 =100K
/min に制御され、TxからTx+Aまでの平均昇温速
度R 2 がR2 =50K/min に制御され、Tx+Aから
Tw−Bまでの平均昇温速度R3 がR3 =50K/min
または80K/min に制御され、Tw−BからTwまで
の平均昇温速度R4 がR4 =100K/min に制御され
た。 【0024】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行って、各昇温速度R3 、Tx+AおよびTw−
Bと、引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃値との関係
を求めたところ、表3の結果を得た。 【0025】 【表3】表3から明らかなように、平均昇温速度R2 ≦60K/
min で、また平均昇温速度R4 ≧60K/min 、といっ
た条件で、一方の変化点Tx+Aにおいて、A≧30K
に設定し、また他方の変化点Tw−Bにおいて、B≧3
0Kに設定すると、試験片3〜5,8〜10のように機
械的特性を大いに向上させることができる。 〔実施例4〕各種Al合金組成の溶湯を調製し、各溶湯
を用いてエアアトマイジング法の適用下Al合金粉末を
製造した。次いで、各Al合金粉末に分級処理を施し
て、粒径が45μm以下のAl合金粉末を得た。 【0026】各Al合金粉末を用いて複数の粉末プレフ
ォームを成形し、次いで各粉末プレフォームに加熱処理
を施し、その後各粉末プレフォームに粉末鍛造を施して
複数の構造部材を得た。 【0027】各粉末プレフォームにおける成形圧力およ
び寸法、また粉末鍛造における鍛造温度Twおよび鍛造
圧力、さらに各構造部材の寸法は実施例1の場合と同一
である。 【0028】加熱処理においては、図3に示すように、
2つの加熱パターンP1 ,P2 が採用された。一方の加
熱パターンP1 は実施例に対応するもので、RTからT
xまでの平均昇温速度R1 がR1 =80K/min に制御
され、TxからTx+A(ただし、A=30K)までの
平均昇温速度R2 がR2 =50K/min に制御され、T
x+AからTw−B(ただし、B=30K)までの平均
昇温速度R3 がR3 =80K/min に制御され、Tw−
BからTwまでの平均昇温速度R4 がR4 =100K/
min に制御された。他方の加熱パターンP2 は比較例に
対応するもので、RTからTw−Bまでの平均昇温速度
R5 がR5 =120K/min に制御され、Tw−Bから
Twまでの平均昇温速度R6 がR6 =100K/min に
制御された。 【0029】各構造部材より試験片を作製し、それら試
験片について引張り試験(室温)およびシャルピー衝撃
試験を行った。 【0030】表4は、各種試験片の組成、示差走査熱量
測定における20K/min の昇温速度での非平衡相の発
熱量C、発熱開始温度Tx、適用された加熱パターン、
引張強さ、伸びおよびシャルピー衝撃値を示す。 【0031】 【表4】表4から明らかなように、前記発熱量CがC≧10J/
gである非平衡相を有するAl合金粉末を用いる場合に
おいて、加熱パターンP1 を採用すると、試験片1〜4
のように機械的特性を大いに向上させることができる。 【0032】前記Al合金粉末を用いた場合において、
加熱パターンP2 を採用すると、試験片1a〜4aのよ
うに機械的特性は低くなる。 【0033】また前記発熱量CがC<10J/gである
場合には、加熱パターンP1 ,P2に関係なく試験片
5,5a,6,6aのように機械的特性が低い。 【0034】本発明は、内燃機関用構造部材、例えばコ
ンロッドの製造に適用される。 【0035】 【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た手段を採用することによって、機械的特性の優れたA
l合金製構造部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al合金粉末の示差走査熱量測定結果を示すグ
ラフである。 【図2】加熱時間と加熱温度との関係の一例を示すグラ
フである。 【図3】加熱時間と加熱温度との関係の他例を示すグラ
フである。
ラフである。 【図2】加熱時間と加熱温度との関係の一例を示すグラ
フである。 【図3】加熱時間と加熱温度との関係の他例を示すグラ
フである。
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フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C22C 1/04
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 Al合金粉末よりなる粉末プレフォーム
に加熱処理を施し、次いで前記粉末プレフォームに加圧
下で成形固化加工を施してAl合金製構造部材を得るに
当り、前記Al合金粉末として、示差走査熱量測定にお
ける20K/min の昇温速度で発熱量CがC≧10J/
gである非平衡相を備えたものを用い、前記加熱処理に
おいて、前記Al合金粉末の発熱開始温度をTx(K)
としたとき、TxからTx+A(ただし、A≧30K)
までの平均昇温速度R2 をR2≦60K/min に設定
し、また前記成形固化加工の加工温度をTw(K)とし
たとき、Tw−B(ただし、B≧30K、またTw−B
>Tx+A)からTwまでの平均昇温速度R4 をR4 ≧
60K/min に設定することを特徴とする、Al合金製
構造部材の製造方法。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP19578394A JP3420348B2 (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | Al合金製構造部材の製造方法 |
US08/516,583 US5662863A (en) | 1994-08-19 | 1995-08-18 | Process for producing structural member of aluminum alloy |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19578394A JP3420348B2 (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | Al合金製構造部材の製造方法 |
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JPH0860268A JPH0860268A (ja) | 1996-03-05 |
JP3420348B2 true JP3420348B2 (ja) | 2003-06-23 |
Family
ID=16346898
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP19578394A Expired - Fee Related JP3420348B2 (ja) | 1994-08-19 | 1994-08-19 | Al合金製構造部材の製造方法 |
Country Status (2)
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JP (1) | JP3420348B2 (ja) |
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US5145503A (en) * | 1990-05-31 | 1992-09-08 | Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha | Process product, and powder for producing high strength structural member |
JPH0441602A (ja) * | 1990-06-05 | 1992-02-12 | Honda Motor Co Ltd | 高強度構造部材の製造方法および原料粉末集合体 |
DE4205836C1 (ja) * | 1992-02-26 | 1993-07-01 | Mercedes-Benz Aktiengesellschaft, 7000 Stuttgart, De | |
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JP2749761B2 (ja) * | 1993-08-09 | 1998-05-13 | 本田技研工業株式会社 | 高耐力・高靭性アルミニウム合金粉末の粉末鍛造方法 |
-
1994
- 1994-08-19 JP JP19578394A patent/JP3420348B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1995
- 1995-08-18 US US08/516,583 patent/US5662863A/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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US5662863A (en) | 1997-09-02 |
JPH0860268A (ja) | 1996-03-05 |
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