JP2787472B2 - 良加工性高炭素熱延鋼材およびその製造方法 - Google Patents

良加工性高炭素熱延鋼材およびその製造方法

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JP2787472B2 JP17424389A JP17424389A JP2787472B2 JP 2787472 B2 JP2787472 B2 JP 2787472B2 JP 17424389 A JP17424389 A JP 17424389A JP 17424389 A JP17424389 A JP 17424389A JP 2787472 B2 JP2787472 B2 JP 2787472B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は良加工性高炭素熱延鋼材およびその製造方法
に関するものである。
(従来の技術) 一般に炭素(以下単にCという)を0.2%以上含有す
る炭素鋼(高炭素鋼)は硬度が高く、強度、靭性が大き
く、耐摩耗性に優れており、これらの特性を利用して、
刃物,歯車,ばね,構造部品等の広い分野に利用されて
いる。
ところでこの種の鋼材は熱間圧延後、層状の炭化物組
織(パーライト)を有し加工性が劣るため、炭化物を球
状化することで軟化させ加工性を確保する必要がある。
高炭素鋼の炭化物球状化方法としては、例えば特開昭
59−205417号公報に開示されているように、熱間圧延後
の冷却床にてパーライト変態を終了させ、引続き10%以
上の圧下率にて圧延し炭化物を変形破壊し、引続き巻取
りした鋼板をAc1点以下の温度に加熱し一定時間保持す
る方法がある。この方法によれば、それなりの効果があ
るが、熱間圧延後に変形加工を加え、また巻取りした鋼
板を一定時間加熱保持する必要があり、熱延ままではな
いという難点がある。
このようにパーライト組織は薄板,棒鋼,線材等の通
常の熱間圧延工程での製造条件では球状化させることは
困難である。したがって現在では、前述の他に、パーラ
イト組織を持つ鋼をさらに焼鈍することで対応してい
る。
このような焼鈍の例として、薄板製造工程における冷
間圧延性確保のための冷間圧延前の焼鈍、冷間圧延と冷
間圧延の間での焼鈍、薄板をある製品形状にプレスによ
り打ち抜く際の打ち抜き性を得るための焼鈍、棒鋼や軟
鋼における後工程での冷間加工性確保のための球状化焼
鈍が挙げられる。
通常これらの焼鈍は熱間圧延鋼材をAe1点直下あるい
は直上の温度に長時間加熱することによって行われる。
また特公昭55−37575号公報に見られるような熱延・冷
却後の徐冷による方法も提案されているが、この方法を
用いるには巻取後に徐冷ボックスなどの特殊な炉が必要
となる。
(発明が解決しようとする課題) 以上述べたように高C鋼では軟化を目的とした炭化物
球状化のための熱間圧延後の変形加工や長時間の焼鈍を
避けることができず、作業上、経済上不利益な点が多
い。
本発明は熱間圧延後、冷却ままで球状化炭化物組織を
持つ加工性に優れた高炭素熱延鋼材を得ること、さらに
は長時間の焼鈍工程をなくすことを目的としてなされた
ものである。
(課題を解決するための手段・作用) 本発明の要旨とするところは下記のとおりである。
(1) 炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼においてMn
を0.2%未満とし熱延ままで球状または塊状炭化物組織
を持つことを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材。
(2) 炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼においてMn
を0.2%未満とし、該鋼を熱間圧延後冷却する際にAe1
度から550℃までを平均冷却速度50℃/s以下で冷却する
ことを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材の製造方法。
(3) 炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼においてMn
を0.2%未満、またREM,Ca,Mgの一種類また2種類以上を
0.01%以下とし、該鋼を熱間圧延後冷却する際にAe1
度から550℃までを平均冷却速度50℃/s以下で冷却する
ことを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材の製造方法。
本発明の適用鋼の成分組成について先ず述べる。
本発明の適用鋼は炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼
であってMnは0.2%未満とする。また必要に応じてREM,C
a,Mgの1種または2種以上を0.01%以下含有し、残部は
Feおよび不可避不純物からなる。他の成分は規定する必
要はないが、Si:1.0%以下、S:0.02%以下、P:0.04%以
下を含有させることができる。
この様な成分を有する鋼を電気炉あるいは転炉等で溶
製し、連続鋳造あるいは造塊−分塊でスラブとし、熱片
スラブを直接または加熱して熱間圧延した後、Mn量に応
じ平均冷却速度50℃/s以下で冷却することにより、その
後の熱処理なしで常に球状あるいは塊状炭化物組織を有
し、加工性の良い鋼板を得ることが可能となる。
以下、上記のような限定を行った理由について述べ
る。
Cを0.2%以上としたのは、0.2%未満では熱延後の炭
化物の量は少なくその組織を球状あるいは塊状組織とす
る要求が小さく、また、強度、硬度、耐摩耗性が劣化す
るためである。
Mnは炭化物を安定化させる元素であり、その含有量を
増加すると、熱間圧延後に得られた炭化物を球状あるい
は塊状化するには長時間の焼鈍が必要となり、熱間圧延
ままで球状あるいは塊状炭化物組織は得られなくなる。
そこで、かかることを無くし、熱間圧延ままで所望の炭
化物組織が得られるように研究したところ、Mn含有量が
0.2%未満になると炭化物の球状化あるいは塊状化速度
は著しく速くなり、熱間圧延ままで球状あるいは塊状炭
化物組織を得ることができることをつきとめ、Mn含有量
を0.2%未満に限定した。
熱間脆性をさらに改善したい場合には、REM,Ca,Mgの
1種類あるいは2種類以上を添加すると大きな効果が得
られる。ただし、その総含有量は0.01%以下である。
次に熱間圧延後の冷却条件を、Ae1温度から550℃まで
を平均冷却速度50℃/s以下と限定した理由について述べ
る。
鋼材を高温のオーステナイト域から冷却すると冷却速
度が比較的速い場合には層状炭化物組織が形成される
が、この層状炭化物組織は焼なましを行うことで球状あ
るいは塊状炭化物組織へと変化する。この過程は熱活性
化過程であるため温度の上昇に伴いその組織変化速度は
速くなるが、550℃未満ではその速度は著しく遅い。ま
た冷却中の温度がAe1温度以下となるまでは炭化物の析
出は起こらない。これらのことから、平均冷却速度を限
定する温度範囲をAe1温度から550℃までとした。
また、上記のようなMn量においては、Ae1温度から550
℃までを50℃/sを越える冷却速度で冷却すると、球状化
炭化物組織が得られないことから、本発明においてはAe
1温度から550℃までの平均冷却速度を50℃/s以下とし
た。
(実施例) 次に本発明の実施例を比較例と共に説明する。
第1表に供試材の化学成分,製造方法,製品形状,機
械的性質,球状化の度合を示す。
試料番号1〜10は熱延鋼板を製造した例であるが、ま
ず表に示す成分組成の鋼を溶製し、スラブ加熱温度:125
0℃,仕上温度:850℃で板厚3.2mmまで熱延した後、引張
試験により機械的特性の調査、さらに断面を顕微鏡観察
し、炭化物の球状化の程度を調査した。
試料番号11,12は線材の例を示すが、表に示す化学成
分の鋼を980℃の仕上圧延で10mmφの線材とし、空気中
で室温まで冷却した。この時のAe1温度から550℃までの
冷却速度は約1.5℃/sであった。このようにして製造し
た圧延材の引張試験による機械的特性の調査および炭化
物球状化度の調査を行った。
試料番号13,14は棒鋼の例を示すが、表に示す化学成
分の鋼を930℃の仕上圧延で30mmの丸棒鋼とし、空気中
で室温まで冷却した。このようにして製造した圧延材の
特性を同様に調査した。
試料番号1〜6,11,13は本発明法を適用して製造した
鋼材であるが、このように本発明法を適用することで熱
間圧延ままで球状あるいは塊状炭化物組織が得られるこ
とがわかる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明法を適用することで球状
化焼鈍などの特別な処理を行うことなく、熱延ままで球
状あるいは塊状炭化物組織を有する熱延鋼板を得ること
ができ、その工業的効果はきわめて大きい。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼におい
    てMnを0.2%未満とし熱延ままで球状または塊状炭化物
    組織を持つことを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材。
  2. 【請求項2】炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼におい
    てMnを0.2%未満とし、該鋼を熱間圧延後冷却する際にA
    e1温度から550℃までを平均冷却速度50℃/s以下で冷却
    することを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材の製造方
    法。
  3. 【請求項3】炭素を0.2%以上含有する高炭素鋼におい
    てMnを0.2%未満、またREM,Ca,Mgの1種類または2種類
    以上を0.01%以下とし、該鋼を熱間圧延後冷却する際に
    Ae1温度から550℃までを平均冷却速度50℃/s以下で冷却
    することを特徴とする良加工性高炭素熱延鋼材の製造方
    法。
JP17424389A 1989-07-07 1989-07-07 良加工性高炭素熱延鋼材およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2787472B2 (ja)

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