JP3412184B2 - 膜状合成ゼオライト - Google Patents

膜状合成ゼオライト

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JP3412184B2 JP10763193A JP10763193A JP3412184B2 JP 3412184 B2 JP3412184 B2 JP 3412184B2 JP 10763193 A JP10763193 A JP 10763193A JP 10763193 A JP10763193 A JP 10763193A JP 3412184 B2 JP3412184 B2 JP 3412184B2
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、膜状合成ゼオライトに
関する。更に詳しくは、気体分離膜などとして有効に用
いられる膜状合成ゼオライトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、気体分離膜として高分子材料
などの有機質膜が用いられてきたが、それには耐熱性や
耐薬品性に問題がみられた。そこで近年は、無機質膜が
研究されており、その中でも膜状のゼオライトが注目さ
れている。
【0003】具体的には、特開昭59-213615号公報、同6
0-28826号公報、同60-129119号公報、同63-291809号公
報などの膜状ゼオライトの製造法が開示されているが、
これらの方法ではいずれもアルミナ等の基板を必要とし
ており、この内特開昭63-291809号公報記載の方法で
は、アルミナ基板を多孔質の基板として用いている。こ
のような基板を用いることは、他の基板上への展開がで
きないなど分離膜としての使用範囲が限定されたり、分
離膜の重量が増加するなどの問題点があるため好ましく
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
ミナ多孔質基板などの基板を用いることなく製造し得る
膜状合成ゼオライトを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明により、SiO 2 源、
Al 2 O 3 源、アルカリ金属酸化物源(、結晶化剤)および水
よりなる合成母液から水熱合成され、合成時にゼオライ
ト単独で自立しており、ゼオライトがモルデナイト、ア
ナルサイムまたはZSM-5である膜状合成ゼオライトが提
供される。
【0006】このような膜状合成ゼオライトは、合成母
液がSiO2源、Al2O3源、アルカリ金属酸化物源および
水、好ましくはこれらに更に結晶化剤を添加したものか
らなり、アルカリ金属酸化物/SiO2モル比が0.1〜0.8で
あり、結晶化剤/SiO 2 モル比が0.5以下である水性混合物
を耐圧容器中に封入し、160〜200℃の水熱合成温度に保
持することにより、製造時に基板などを必要とすること
なく、それ自体で膜状に形成された状態で製造される。
【0007】シリカ源としては、シリカゾル、けい酸ナ
トリウム水溶液(水ガラスの水溶液を含む)、シリカ粉
末、けい酸など任意のものを用いることができるが、好
ましくはシリカゾル、けい酸ナトリウム水溶液が用いら
れる。
【0008】アルミナ源としては、アルミン酸ナトリウ
ムに由来するAl2O3が好んで用いられる。更に、アルカ
リ金属酸化物源としては、ナトリウム、カリウムなどの
酸化物が用いられ、シリカ源として水ガラスNa2O・nSiO
2などが、またアルミナ源としてアルミン酸ナトリウムN
a2O・Al2O3が用いられた場合には、アルカリ金属酸化物
源を兼ねることができる。なお、これらの金属酸化物
は、水酸化物の形で添加することもできる。
【0009】以上の各必須成分の水性混合物よりなる合
成母液中には、テンプレート剤(構造規制剤)とも呼ばれ
ている結晶化剤を加えることもでき、これはSiO2/Al2O3
比や合成温度などと共に、ゼオライトの結晶構造に大き
く寄与する因子の一つを構成している。かかる結晶化剤
としては、テトラ低級アルキルアンモニウムハライド、
ベンジルトリメチルアンモニウムハライドなどによって
代表される第4級アンモニウムハライドまたは対応する
水酸化物などが一般に用いられる。
【0010】水性混合物を形成する各成分の内、Al
2O3、SiO2、H2Oの各成分は、160〜175℃未満および175
〜200℃の各温度条件下で、それぞれ図1および図2に
示されるようなモル比で用いられ、また金属酸化物およ
び結晶化剤は、SiO2に対してそれぞれ次のようなモル比
で用いられて、膜状の合成ゼオライトであるモルデナイ
ト(MOR)、アナルサイム(ANA)またはZSM-5を形成させ
る。この範囲外のモル比で用いられた場合には、温度条
件にもよるが、後記各比較例の結果に示されるように粉
末状となり、膜状の合成ゼオライトを形成させない。 (1)膜状モルデナイト形成条件アルカリ 金属酸化物/SiO2=0.1〜0.8 結晶化剤/SiO2=0〜0.5 (2)膜状アナルサイム形成条件アルカリ 金属酸化物/SiO2=0.1〜0.8 結晶化剤/SiO2=0〜0.5 (3)膜状 ZSM-5 形成条件アルカリ 金属酸化物/SiO2=0.1〜0.8 結晶化剤/SiO2=0.01〜0.5
【0011】このように、アルカリ金属酸化物/SiO2
結晶化剤/SiO2のモル比では、生成物の種類如何および
温度条件を問わず一定の範囲内にあるが、SiO2/Al2O3
H2O/SiO2のモル比では、生成物の種類および温度条件に
よって、それぞれの範囲が選択される。
【0012】膜状合成ゼオライトを得るには、水性混合
物を耐圧容器中に封入し、160〜200℃の範囲内の好まし
い温度に約24〜60時間保持する水熱合成が行われるが、
その際膜状合成ゼオライトは、粉末ゼオライトの上面に
形成される。
【0013】粉末ゼオライト上に形成された膜状の合成
ゼオライトは、数ミクロン乃至数100ミクロンの厚さを
有する膜状物であり、それの細孔径は他の無機質膜と比
べて格段に均一である。また、それの構造は、X線回折
測定の結果からモルデナイト、アナルサイムまたはZSM-
5であることが確認された。
【0014】
【発明の効果】合成母液がアルカリ金属酸化物/SiO2
ル比が0.1〜0.8であり、結晶化剤/SiO 2 モル比が0.5以下
のSiO2源、Al2O3源、アルカリ金属酸化物源および水か
らなる水性混合物を、耐圧容器中で水熱合成することに
より、合成時にゼオライト単独で自立しており、かつそ
れがモルデナイト、アナルサイムまたはZSM-5である膜
状合成ゼオライトを、アルミナ多孔質基板などを用いる
ことなく得ることができる。得られた膜状合成ゼオライ
トは、分離膜、吸着剤、触媒などとして用いることがで
きる。
【0015】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0016】実施例1 シリカ源として水ガラスを、アルミナ源としてアルミン
酸ナトリウムを、また結晶化剤として(n-C4H9)4NBrを用
い、 SiO2/Al2O3=97.7 Na2O/SiO2=0.46 (n-C4H9)4NBr/SiO2=0.10 H2O/SiO2=196 のモル比の水性混合物を調製し、それを耐圧容器中に封
入し、170℃に48時間保持した。反応終了後、生成物を
デカンテーションして固液分離し、120℃で24時間乾燥
させた。
【0017】実施例2 シリカ源としてけい酸ナトリウムを、アルミナ源として
アルミン酸ナトリウムを、また結晶化剤として(n-C4H9)
4NBrを用い、 SiO2/Al2O3=20.3 Na2O/SiO2=0.58 (n-C4H9)4NBr/SiO2=0.10 H2O/SiO2=118 のモル比の水性混合物を調製し、それを耐圧容器中に封
入し、170℃に48時間保持した。反応終了後、生成物を
デカンテーションして固液分離し、120℃で24時間乾燥
させた。
【0018】実施例3 シリカ源として水ガラスを、アルミナ源としてアルミン
酸ナトリウムを、また結晶化剤として(n-C4H9)4NBrを用
い、 SiO2/Al2O3=87.2 Na2O/SiO2=0.48 (n-C4H9)4NBr/SiO2=0.10 H2O/SiO2=200 のモル比の水性混合物を調製し、それを耐圧容器中に封
入し、170℃に48時間保持した。反応終了後、生成物を
デカンテーションして固液分離し、120℃で24時間乾燥
させた。
【0019】以上の実施例1〜3では、ステンレス鋼製
外筒中にテフロン製内筒を収納し、ステンレス鋼製蓋を
したマホウびん様容器(ただし、真空部分なし)が耐圧容
器として用いられ、そのテフロン製内筒の丸底部分に粉
末状のゼオライトが堆積し、その上面に膜状のゼオライ
トが形成された。これらは、それの粉砕物のX線回折の
結果から、それぞれモルデナイト、アナルサイムまたは
ZSM-5であることが確認された。
【0020】比較例1 シリカ源として水ガラスを、アルミナ源としてアルミン
酸ナトリウムを、また結晶化剤として(n-C4H9)4NBrを用
い、 SiO2/Al2O3=102 Na2O/SiO2=0.10 (n-C4H9)4NBr/SiO2=0.10 H2O/SiO2=39.8 のモル比の水性混合物を調製し、それを耐圧容器中に封
入し、170℃に48時間保持した。反応終了後、生成物を
デカンテーションして固液分離し、120℃で24時間乾燥
させた。
【0021】比較例2 シリカ源として水ガラスを、アルミナ源としてアルミン
酸ナトリウムを、また結晶化剤として(n-C4H9)4NBrを用
い、 SiO2/Al2O3=10.8 Na2O/SiO2=0.51 (n-C4H9)4NBr/SiO2=0.10 H2O/SiO2=111 のモル比の水性混合物を調製し、それを耐圧容器中に封
入し、170℃に48時間保持した。反応終了後、生成物を
デカンテーションして固液分離し、120℃で24時間乾燥
させた。
【0022】これらの比較例では、いずれも粉末状のア
ナルサイムしか得られなかった。
【0023】実施例4〜10 実施例1において、水熱合成条件を種々に変更し、いず
れも膜状のモルデナイトを得た。 SiO2/ Na2O (n-C3H7)4NBr H2O/ 実施例 Al2O3 /SiO2 /SiO2 SiO2 温度(℃) 時間(hrs) 4 111 0.45 0.10 149 170 48 5 109 0.48 〃 97.4 〃 〃 6 96.4 0.51 〃 79.5 〃 〃 7 97.9 0.46 〃 58.7 〃 〃 8 80 0.47 0.12 200 180 36 9 112 0.48 0.09 190 〃 〃 10 121 0.49 0.10 142 〃 〃
【0024】実施例11〜25 実施例2において、水熱合成条件を種々に変更し、いず
れも膜状のアナルサイムを得た。 SiO2/ Na2O (n-C3H7)4NBr H2O/ 実施例 Al2O3 /SiO2 /SiO2 SiO2 温度(℃) 時間(hrs) 11 9.95 0.66 0.10 120 170 48 12 30.1 0.52 〃 79.6 〃 〃 13 10.2 0.60 〃 79.0 〃 〃 14 108 0.45 〃 68.9 〃 〃 15 10.0 0.57 〃 69.6 〃 〃 16 40.1 0.50 〃 59.8 〃 〃 17 10.1 0.64 〃 59.5 〃 〃 18 96.9 0.48 〃 49.6 〃 〃 19 40.0 0.51 〃 49.9 〃 〃 20 10.0 0.64 〃 49.7 〃 〃 21 60.1 0.47 〃 39.9 〃 〃 22 60.0 0.48 〃 29.9 〃 〃 23 20.1 0.54 〃 149 180 36 24 20.2 0.58 〃 118 〃 〃 25 10.1 0.63 〃 119 〃 〃
【0025】実施例26〜52 実施例3において、水熱合成条件を種々に変更し、いず
れも膜状のZSM-5を得た。 SiO2/ Na2O (n-C3H7)4NBr H2O/ 実施例 Al2O3 /SiO2 /SiO2 SiO2 温度(℃) 時間(hrs) 26 80.2 0.51 0.10 199 170 48 27 59.7 0.52 〃 201 〃 〃 28 50.7 0.53 〃 199 〃 〃 29 79.0 0.46 〃 149 〃 〃 30 50.6 0.50 〃 〃 〃 〃 31 97.0 0.47 〃 119 〃 〃 32 30.0 0.55 〃 〃 〃 〃 33 87.3 0.45 〃 99.8 〃 〃 34 50.8 0.47 〃 99.3 〃 〃 35 79.6 0.50 〃 80.3 〃 〃 36 40.2 0.48 〃 79.5 〃 〃 37 80.0 0.46 〃 69.8 〃 〃 38 30.2 0.54 〃 69.3 〃 〃 39 80.1 0.49 〃 59.8 〃 〃 40 60.0 0.46 〃 59.9 〃 〃 41 78.8 0.48 〃 203 180 36 42 69.3 0.49 〃 198 〃 〃 43 60.3 0.50 〃 199 〃 〃 44 48.8 0.52 〃 196 〃 〃 45 39.1 0.49 〃 〃 〃 〃 46 89.2 0.45 〃 146 〃 〃 47 30.0 0.48 〃 149 〃 〃 48 97.2 0.50 〃 118 〃 〃 49 30.6 0.53 〃 117 〃 〃 50 95.9 0.48 〃 99.9 〃 〃 51 80.3 0.50 〃 99.4 〃 〃 52 68.7 0.50 〃 99.6 〃 〃
【図面の簡単な説明】
【図1】水熱合成温度160〜175℃未満における各種膜状
ゼオライト形成可能なSiO2/Al2O3仕込みモル比-H2O/SiO
2仕込みモル比の関係を示すグラフである。
【図2】水熱合成温度175〜200℃における各種膜状ゼオ
ライト形成可能なSiO2/Al2O3仕込みモル比-H2O/SiO2
込みモル比の関係を示すグラフである。
【図3】本発明に係る膜状モルデナイトの粉砕物のX線
回折パターンである。
【図4】本発明に係る膜状アナルサイムの粉砕物のX線
回折パターンである。
【図5】本発明に係る膜状ZSM-5の粉砕物のX線回折パ
ターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 39/00 - 39/54 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2源、Al2O3源、アルカリ金属酸化物
    源および水よりなり、アルカリ金属酸化物/SiO2モル比
    が0.1〜0.8である合成母液から160〜200℃で水熱合成さ
    れ、合成時にゼオライト単独で自立しており、ゼオライ
    トがモルデナイトまたはアナルサイムである膜状合成ゼ
    オライト。
  2. 【請求項2】 SiO2源、Al2O3源、アルカリ金属酸化物
    源、結晶化剤および水よりなり、アルカリ金属酸化物/S
    iO2モル比が0.1〜0.8であり、結晶化剤/SiO 2 モル比が0.
    5以下である合成母液から160〜200℃で水熱合成され、
    合成時にゼオライト単独で自立しており、ゼオライトが
    モルデナイトまたはアナルサイムである膜状合成ゼオラ
    イト。
  3. 【請求項3】 SiO2源、Al2O3源、アルカリ金属酸化物
    源、結晶化剤および水よりなり、アルカリ金属酸化物/S
    iO2モル比が0.1〜0.8であり、結晶化剤/SiO2モル比が0.
    01〜0.5である合成母液から160〜200℃で水熱合成さ
    れ、合成時にゼオライト単独で自立しており、ゼオライ
    トがZSM-5である膜状合成ゼオライト。
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Title
佐野庸司,ZSM−5ゼオライト膜の合成,第6回ゼオライト研究発表会講演予稿集,日本,1990年11月29日,p.110−111

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