JP3410504B2 - 軟質多層構造樹脂およびその製造法 - Google Patents

軟質多層構造樹脂およびその製造法

Info

Publication number
JP3410504B2
JP3410504B2 JP08007893A JP8007893A JP3410504B2 JP 3410504 B2 JP3410504 B2 JP 3410504B2 JP 08007893 A JP08007893 A JP 08007893A JP 8007893 A JP8007893 A JP 8007893A JP 3410504 B2 JP3410504 B2 JP 3410504B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
layer
weight
soft
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08007893A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06263829A (ja
Inventor
三夫 大谷
孝男 干場
耕一 野倉
英明 拝野
譲 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP08007893A priority Critical patent/JP3410504B2/ja
Publication of JPH06263829A publication Critical patent/JPH06263829A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3410504B2 publication Critical patent/JP3410504B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軟質多層構造樹脂(以下
軟質樹脂と称す)および樹脂組成物に関し、更に詳しく
は成形が容易であり、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性
を有するとともに組成によっては優れた透明性を有し、
射出成形材料、シート、フィルムおよびチューブ等幅広
い用途に用いることができる軟質樹脂および樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、代表的な軟質樹脂としては軟質塩
化ビニル、ウレタン樹脂があり、特に軟質塩化ビニルは
デスクマット、血液等の医療用バックなど広い用途に用
いられている。しかるに、軟質塩化ビニルには軟質化の
ために多量の可塑剤や老化防止用安定剤が含まれ、医療
用途ではこれら添加剤の人体への影響が懸念されてお
り、また塩化ビニルは再生処理が難しく、焼却の際には
塩素ガス等が発生するため埋設処理されているのが現状
であり、これに代わるものが広く望まれてきた。
【0003】本発明の軟質樹脂および樹脂組成物は、従
来の軟質塩化ビニルに含まれる可塑剤等を全く含まずに
常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有することから、人
体への影響の懸念なく医療用途への展開が期待されると
ともに、組成によっては優れた透明性を有することか
ら、より広い分野への展開の可能性を有している。
【0004】しかるに本発明のアクリル系軟質樹脂およ
び樹脂組成物となる多層構造重合体は、乳化重合法によ
り重合体ラテックスとして得られるが、重合体のTg
(ガラス転移温度)が低いことから、従来のラテックス
から重合体を取り出す一般的な方法としての、塩化アル
ミニウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を添加し凝固さ
せる方法、硫酸等の酸を添加し凝固させる方法および噴
霧乾燥方法では、凝固段階で重合体が融着し取扱いが困
難となったり、凝固温度を低下させると重合体収率が著
しく低下する等多くの問題があり工業的に好ましい製造
方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は軟質樹脂およ
びその製造方法に関し、更に詳しくは軟質塩化ビニル等
での可塑剤を含まず、成形が容易であり、常温で良好な
柔軟性、屈曲耐久性を有するとともに組成によっては優
れた透明性を有し、射出成形材料、シート、フィルム、
チューブ等幅広い用途に用いることができる軟質樹脂お
よび樹脂組成物、および多層構造重合体を乳化重合によ
り重合体ラテックスとして得、次いでこのラテックスか
ら重合体を容易に取り出す方法に関し、従来の方法では
多層構造重合体のTgが低いことから凝固段階で重合体
が融着し取扱いが困難となったり、凝固温度を低下させ
ことによる重合体収率の低下等の問題を解決する製造方
法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、軟質塩化
ビニル等での可塑剤を含まず、成形が容易であり、常温
で良好な柔軟性、屈曲耐久性、優れた透明性を有し、射
出成形材料、シート、フィルムおよびチューブ等幅広い
用途に用いることができる軟質樹脂および樹脂組成物に
関し鋭意研究した結果、特定の軟質重合体層の組み合わ
せからなる多層構造重合体を見い出だし本発明を完成す
るに至った。
【0007】即ち、本発明は共役ジオレフィン単独、
またはそれとアルキル基の炭素数が1〜12である少な
くとも1種のアクリル酸アルキルエステルからなる単量
体混合物20〜100重量%、アルキル基の炭素数が1
〜8である少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエス
テル、芳香族ビニル化合物、および不飽和ニトリルより
なる群から選ばれた1種または2種以上の単量体0〜8
0重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30
重量%、多官能架橋性単量体およびまたは多官能グラ
フト単量体0〜10重量%からなる単量体混合物を重合
してなるTgが25℃以下である少なくとも1層の重合
体層[A]10〜90重量部と、アルキル基の炭素数が
1〜12である少なくとも1種のアクリル酸アルキルエ
ステルからなる単量体混合物20〜99.9重量%、ア
ルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも1種のメタ
クリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、およ
び不飽和ニトリルよりなる群から選ばれた1種または2
種以上の単量体0〜80重量%、これらと共重合可能な
不飽和単量体0〜30重量%、多官能架橋性単量体およ
または多官能グラフト単量体0.1〜10重量%か
らなる単量体混合物を重合してなるTgが25℃以下で
ある少なくとも1層の重合体層[B]0〜80重量部
と、アルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも1
種のアクリル酸アルキルエステル20〜99重量%、ア
ルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも1種のメタ
クリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、およ
び不飽和ニトリルよりなる群から選ばれた1種または2
種以上の単量体1〜80重量%、これらと共重合可能な
不飽和単量体0〜30重量%からなる単量体混合物を重
合してなるTgが00℃である少なくとも1層の重
合体層[C]10〜90重量部との組み合わせからなる
多層構造重合体であり、かつ最外層が重合体層[C]で
あることを特徴とする軟質多層構造樹脂およびこれら
の軟質多層構造樹脂を二種以上ブレンドすることにより
得られる軟質樹脂組成物により達成される。
【0008】本発明の多層構造重合体は公知の乳化重合
法が用いられる。乳化重合に使用される乳化剤の種類と
量は、重合系の安定性、目的とする粒子径等によって選
択されるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤等公知の乳化剤を単独または併
用して用いることができ、特にアニオン界面活性剤が好
ましい。乳化重合に使用される重合開始剤としても特に
限定されず、パースルフェート系あるいはレドックス系
の開始剤が用いられる。また、必要に応じてアルキルメ
ルカプタン等の連鎖移動剤が用いられる。乳化重合にお
いて、単量体、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤等は、
一括添加法、分割添加法、連続添加法等の任意の方法に
より添加される。
【0009】乳化重合により得られたそれぞれの重合体
ラテックスを均一混合した後、析出凝固させる方法は
後述する凍結法によって行なわれる
【0010】本発明の多層構造重合体は、多官能架橋性
単量体単独、またはそれと多官能グラフト単量体0〜1
0重量%を含む本発明の単量体混合物を重合してなる少
なくとも1層の実質的に架橋あるいはグラフトした重合
体層[A]10〜90重量部と、組成の異なる重合体層
[B]0〜80重量部、および多官能架橋性単量体およ
び多官能グラフト単量体を含まない本発明の単量体混合
物を重合してなる少なくとも1層の重合体層[C]10
〜90重量部との組み合わせからなる多層構造重合体で
あり、かつ最外層が重合体層[C]であることを特徴と
し、重合体層[A]、[B]と重合体層[C]の最適な
組み合わせが良好な成形性、優れた柔軟性、屈曲耐久性
を与える。重合体層[A]、[B]の総量が90重量部
を超えると成形性が悪くなり好ましくなく、逆に重合体
層[C]が90重量部を超えるとベトツキが生じ取扱い
が難しくなる。
【0011】一方、多層構造重合体の最外層は重合体層
[C]であり、良好な成形性を得るためには全量に対す
る最外層の割合が10重量部以上が好ましく、更にn−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の
連鎖移動剤が好ましく用いられる。
【0012】本発明の多層構造重合体での重合体層
[A]は共役ジオレフィン単独、またはそれとアルキル
基の炭素数が1〜12である少なくとも1種のアクリル
酸アルキルエステルからなる単量体混合物20〜100
重量%、アルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも
1種のメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化
合物、および不飽和ニトリルよりなる群から選ばれた1
種または2種以上の単量体0〜80重量%、これらと共
重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多官能架橋性
単量体単独、またはそれと多官能グラフト単量体0〜1
0重量%からなる単量体混合物を重合してなるTgが
℃以下である実質的に架橋された重合体であり、架橋
重合体、グラフト重合体およびこれらの混合重合体のい
ずれかからなる重合体層である。
【0013】重合体層[A]を構成する共役ジオレフィ
ン単独、またはそれとアルキル基の炭素数が1〜12で
ある少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステルから
なる単量体混合物の割合は20〜100重量%、より好
ましくは40〜90重量%であり、20重量%未満では
柔軟性、屈曲耐久性が低下し好ましくない。多官能架橋
性単量体および、またはそれと多官能グラフト単量体は
0〜10重量%であり、共役ジオレフィンが重合体層中
20重量%以上の場合は多官能架橋性単量体等が0%で
も実質的に架橋されるが、逆に共役ジオレフィンが重合
体層中20重量%未満の場合は0.1重量%以上の添加
が好ましい。架橋が不十分であるとベトツキが生じて好
ましくなく、10重量%を超えると屈曲耐久性が低下し
て好ましくない。重合体層[A]単独のTgは25℃以
下、好ましくは0℃以下であり、25℃を超えると柔軟
性、屈曲耐久性が低下し好ましくない。
【0014】また重合体層[B]はアルキル基の炭素数
が1〜12である少なくとも1種のアクリル酸アルキル
エステルからなる単量体混合物20〜99.9重量%、
アルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも1種のメ
タクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、お
よび不飽和ニトリルよりなる群から選ばれた1種または
2種以上の単量体0〜80重量%、これらと共重合可能
な不飽和単量体0〜30重量%、多官能架橋性単量体お
よび、または多官能グラフト単量体0.1〜10重量%
からなる単量体混合物を重合してなるTgが25℃以下
である架橋重合体であり、重合体層[A]と同様の性質
を有するが、場合によっては存在しなくともよい。
【0015】一方、重合体層[C]はアルキル基の炭素
数が1〜12である少なくとも1種のアクリル酸アルキ
ルエステル20〜99重量%、アルキル基の炭素数が1
〜8である少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエス
テル、芳香族ビニル化合物、および不飽和ニトリルより
なる群から選ばれた1種または2種以上の単量体1〜8
0重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30
重量%からなる単量体混合物を重合してなるTgが0
0℃の非架橋重合体である。
【0016】重合体層[C]を構成するアクリル酸アル
キルエステルの組成割合は20〜99重量%、より好ま
しくは40〜90重量%であり、20重量%未満では重
合体層[A]および[B]と同様柔軟性、屈曲耐久性が
低下し好ましくない。また重合体層[C]単独のTg
〜50℃であり、重合体層[A]および[B]との組
成比率が物性に大きく影響するが、0℃を超えると柔
軟性、屈曲耐久性が低下し好ましくなく、0未満では
重合体ラテックスからの重合体の取り出しが難しい。多
層構造重合体中の各重合体層[A]、[B]および重合
体層[C]に関して、各層の単量体の種類、組成比率は
同一であっても、異なっていてもよいが、より良好な透
明性を得るためには各重合体層間の屈折率の差の最大値
が、0.003以下であることが好ましい。
【0017】本発明でいう各重合体層のTg(ガラス転
移温度)とは、通常知られている FOXの式:1/Tg=Σ(ai/Tgi)(i=1,
2,3,・・・) に従い計算により求めたものであり、式中のTgi は
各重合体層を構成するi番目の単量体を単独で重合した
際に得られる重合体のガラス転移温度(POLYMER
HANDBOOK,THIRD EDITION,W
iley Interscienceに記載されている
値)を表し、式中のai は各重合体層を構成するi番
目の単量体単位の重量分率を表わす。
【0018】本発明の多層構造重合体で用いられる共役
ジオレフィンとしては1,3−ブタジエン、イソプレン
などが代表的である。アクリル酸アルキルエステルとし
ては、アルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも
1種であり、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキ
シル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノ
ニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル
等が挙げられ単独または併用して用いられ、好ましくは
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2
−エチルヘキシルである。メタクリル酸アルキルエステ
ルとしては、アルキル基の炭素数が1〜8である少なく
とも1種でありメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、
メタクリル酸ベンジル等が挙げられ単独または併用して
用いられ、好ましくはメタクリル酸メチルである。芳香
族ビニル化合物の代表例は、スチレンであり、その他α
−メチルスチレン、ビニルトルエンが挙げられる。不飽
和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリルが挙げられる。これらと共重合可能な不飽和単量
体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド、N−オルソクロロフェニルマレイミド等
が挙げられる。また、多官能架橋性単量体としては、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等
が、また多官能グラフト単量体としては、アリルメタク
リレート、アリルアクリレート、アリルマレエート、ア
リルフマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシア
ヌレート等が挙げられ、それらは単独または併用して用
いられる。
【0019】本発明の多層構造重合体は、これら各層ご
との単量体混合物を逐次乳化重合することにより、重合
体ラテックスとして得られる。
【0020】本発明においては、重合体ラテックスから
重合体の分離方法として、凍結、融解方法を用いること
が最も重要な特徴の一つである。従来、工業的に広く用
いられている無機塩を添加し凝固させる方法、硫酸等の
酸を添加し凝固させる方法および噴霧乾燥方法では、T
gの高い重合体からなるラテックスでは特に問題は無い
が、本発明のようにTgの低い重合体からなるラテック
スにおいては凝固段階で重合体が融着し取扱いが困難と
なったり、また凝固温度を低下させると重合体収率が著
しく低下する等多くの問題があり、本発明においては好
ましい方法とは言えない。
【0021】本発明の凍結方法としては、公知の空気凍
結法、接触凍結法、浸漬凍結法、噴霧凍結法等いずれの
方法でもよく特に限定されず、また生産効率、コストと
の兼ね合いで瞬間凍結、急速凍結および緩慢凍結のいず
れであってもよいが、少なくとも−5℃以下の温度で共
晶点以下まで完全に凍結させることが必要であり、完全
に凍結させないと重合体の収率が低下し好ましくない。
【0022】本発明の融解方法としては、Tgの低い重
合体であることから凍結した後、0℃〜多層構造重合体
の最外層の重合体のTg+20℃(最外層の重合体のT
gが0℃以下の場合は0℃〜10℃)の温度範囲で融
ることが好ましく、さらに好ましくは最外層の重合体
のTgア10℃の温度範囲である。融解温度がこれより
も高い場合、得られた重合体が融着して凝固物が一体化
するので好ましくない。洗浄、脱水温度も同様である。
このようにしてラテックスから分離して得られた本発明
の重合体凝固物は乳化剤の残存が非常に少ないことから
光学特性に優れ、取扱性の非常に良好な粉末である。
【0023】本発明の軟質樹脂および樹脂組成物とは、
上記の多層構造重合体ラテックスの凝固物粉末、異なる
多層構造重合体ラテックス混合物の凝固物粉末、および
異なる多層構造重合体凝固物粉末の混合物、あるいはこ
れらのペレット等いずれであってもよい。
【0024】本発明の軟質樹脂および樹脂組成物は良好
な成形性を有し、射出成形材料として、また押出機によ
りシート、フィルムおよびチューブ等にそのまま加工さ
れる。本発明の軟質樹脂および樹脂組成物により得られ
る射出成形品、シート、フィルムおよびチューブ等これ
らの加工品は、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有す
るとともに、重合体層の組成によっては良好な透明性を
有する。
【0025】本発明の軟質樹脂および樹脂組成物には一
般的な硬質樹脂に通常用いられる紫外線吸収剤、酸化防
止剤、滑剤、染顔料等を必要に応じて添加することがで
きる。用途によっては軟質塩化ビニルに用いられている
可塑剤等の添加も可能である。
【0026】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例における「%」および「部」は全て「重量%」お
よび「重量部」であり、使用する単量体、重合開始剤、
連鎖移動剤等の略称は下記のものが使用される。メタク
リル酸メチル(MMA)、アクリル酸エチル(EA)、
アクリル酸ブチル(BA)、スチレン(ST)、アクリ
ロニトリル(AN)、メタクリル酸アリル(ALM
A)、イソプレン(IP)、ブタジエン(BD)、エチ
レングリコールジメタアクリレート(EGDMA)、n
−オクチルメルカプタン(nOM)、n−ドデシルメル
カプタン(nDM)。
【0027】横線(−)は同一層を形成するために用い
られる単量体等を分けるのに使用され、斜線(/)は層
がことなることを意味する。
【0028】実施例に示した諸物性の測定は下記の方法
に従って実施した。 (1)Tg(ガラス転移点) ;FOXの式にに従い計
算で求めた値。 (2)柔軟性・屈曲耐久性 ;100回の折り曲げ試
験でクラックの発生が無く、初期の形態を保持している
かを判定。(2mm厚) (3)伸び率 ;ASTM−D638
(3mm厚) (4)全光線透過率、ヘイズ ;ASTM−D1003
(3mm厚) (5)粒子径 ;電子顕微鏡で測定。 実施例1 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水140
部、ステアリン酸ナトリウム1.0部、ピロリン酸ナト
リウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部、デキストロ
ース0.2部を仕込み、次いでBA44.3部、ALM
A0.7部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
シド0.15部を加え、耐圧反応容器内を窒素置換した
後IP25部を加え、60℃に昇温し2時間重合した。
【0029】次いで得られたラテックスにロンガリット
0.12部、イオン交換水60部を加え50℃に降温し
た後、BA13部、MMA15部、ST2部、キュメン
ハイドロパーオキシド0.10部、およびn−OM0.
06部からなる単量体混合物を120分かけて連続的に
添加し、添加終了後120分間保持して2層構造重合体
[a−1]を得た。得られたラテックスの粒子径は0.
08μmであった。
【0030】得られたラテックスをステンレス製容器に
入れ、冷凍庫中、−20℃温度条件下で凍結させた。凍
結したラテックスを30℃で融解させた後、瀘別して2
層構造重合体[a−1]を分離した。さらに水洗脱水を
3回繰り返した後、30℃−10時間乾燥した。乾燥
後、得られた重合体[a−1]は取扱い性の良好な白色
粉末であり、50φのシート押出機を用いてシリンダー
温度170℃で融混練しロール温度30℃で2mmお
よび3mm板厚のシートを得た。得られたシートから試
験片を切りだし評価した結果を表2に示す。透明性、色
相は極めて良好であり、柔軟性および屈曲耐久性に優
れ、折り曲げ白化、高温白化は全く認められなかった。
【0031】得られた結果から、本発明による軟質樹脂
は柔軟性、屈曲耐久性に優れるとともに、優れた透明性
を有していることが分かる。
【0032】また、これらのシートと同一組成のペレッ
トからの射出成形品もシートと同様の結果を示した。 実施例2〜5 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造重合体[a−2]〜[a−4]を
得た。これら重合体の組成、粒子径は表1に示す。また
得られた各多層構造重合体および異なる多層構造重合体
を混合してなるアクリル系軟質樹脂および樹脂組成物か
ら得られた2mmおよび3mm板厚のシートの評価結果
を表2に示す。これら実施例で得られたシートは柔軟
性、屈曲耐久性に優れるとともに折り曲げ白化、高温白
化は全く認められず、良好な透明性を有しており本発明
を満足するものである。また、これらの押出板と同一組
成のペレットからの射出成形品も押出板と同様の結果を
示した。 実施例6 還流冷却器付き耐圧反応容器に、ポリブタジエンラテッ
クス(固形分50%)80部、イオン交換水230部、
ラウロイル硫酸ナトリウム5部を仕込み、窒素雰囲気下
で攪拌しながら60℃に昇温後,1%過硫酸カリウム水
溶液20部、次いでMMA30部,BA14部、ST1
6部およびn−DM0.2部からなる単量体混合物の1
/4を一括して仕込み60分間反応させた。続いて残り
の全ての単量体混合物を120分かけて連続添加し、次
いで60分間保持して重合を完了させ2層構造重合体
[a−5]ラテックスを得た。得られたラテックスの粒
子径は0.21μmであった。得られたラテックスをス
テンレス製容器に入れ、冷凍庫中、−30℃温度条件下
で凍結させた。凍結したラテックスを30℃のイオン交
換水で融解させた後、瀘別して2層構造重合体[a−
5]を分離した。さらに水洗脱水を3回繰り返した後、
40℃−10時間真空乾燥した。
【0033】乾燥後、得られた重合体[a−5]は取扱
い性の良好な白色粉末であり、50φのシート押出機を
用いてシリンダー温度170℃で融混練しロール温度
40℃で2mmおよび3mm板厚のシートを得た。得ら
れたシートから試験片を切りだし評価した結果を表2に
示す。透明性、色相は極めて良好であり、柔軟性および
屈曲耐久性に優れ、折り曲げ白化、高温白化は全く認め
られなかった。
【0034】得られた結果から、本発明による軟質樹脂
は柔軟性、屈曲耐久性に優れるとともに、良好な透明性
を有していることが分かる。
【0035】また、これらのシートと同一組成のペレッ
トからの射出成形品もシートと同様の結果を示した。 実施例7 実施例6と同様の方法により、ポリブタジエンラテック
スに代えて、ポリイソプレンラテックス(固形分50
%)を用い組成、粒子径のそれぞれ異なる多層構造重合
体[a−6]を得た。この重合体の組成、粒子径は表1
に示す。また実施例6と同様の方法により得られた2m
mおよび3mm板厚のシートの評価結果を表2に示す。
【0036】得られたシートは柔軟性、屈曲耐久性に優
れるとともに折り曲げ白化、高温白化は全く認められ
ず、優れた透明性を有しており本発明を満足するもので
ある。また、これらの押出板と同一組成のペレットから
の射出成形品も押出板と同様の結果を示した。 比較例1〜4 多層構造重合体[a−1]および[a−3]のラテック
スを本発明の凍結、融解条件を外れた範囲で処理した場
合、あるいは凍結以外の凝固方法で処理した場合の結果
を表3に示す。これらの方法ではラテックスからうまく
取り出せなかったり、得られた多層構造重合体の取扱い
性が難しく、押し出し安定性が悪い等の結果を示した。 比較例5〜7 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造重合体[b−1]〜[b−3]を
得た。これら重合体の層数、組成、粒子径は表1に示
す。得られた各多層構造重合体から得られた2mmおよ
び3mm板厚のシートの評価結果を表3に示す。これら
比較例で得られたシートは成形性、柔軟性、屈曲耐久性
などのいずれかにおいて劣り本発明を満足するものでは
なかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】本発明の軟質樹脂および樹脂組成物は、
成形が容易であり、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を
有するとともに組成によっては優れた透明性を有し、射
出成形材料、シート、フィルムおよびチューブ等これら
の加工品に最適である。
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 譲 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株式会社クラレ内 (56)参考文献 特開 昭52−121690(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 285/00

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジオレフィン単独、またはそれとア
    ルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも1種のア
    クリル酸アルキルエステルからなる単量体混合物20〜
    100重量%、アルキル基の炭素数が1〜8である少な
    くとも1種のメタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビ
    ニル化合物、および不飽和ニトリルよりなる群から選ば
    れた1種または2種以上の単量体0〜80重量%、これ
    らと共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多官能
    架橋性単量体およびまたは多官能グラフト単量体0〜
    10重量%からなる単量体混合物を重合してなるTgが
    25℃以下である少なくとも1層の重合体層[A]10
    〜90重量部と、 アルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも1種の
    アクリル酸アルキルエステルからなる単量体混合物20
    〜99.9重量%、アルキル基の炭素数が1〜8である
    少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステル、芳香
    族ビニル化合物、および不飽和ニトリルよりなる群から
    選ばれた1種または2種以上の単量体0〜80重量%、
    これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多
    官能架橋性単量体およびまたは多官能グラフト単量体
    0.1〜10重量%からなる単量体混合物を重合してな
    るTgが25℃以下である少なくとも1層の重合体層
    [B]0〜80重量部と、 アルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも1種の
    アクリル酸アルキルエステル20〜99重量%、アルキ
    ル基の炭素数が1〜8である少なくとも1種のメタクリ
    ル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、および不
    飽和ニトリルよりなる群から選ばれた1種または2種以
    上の単量体1〜80重量%、これらと共重合可能な不飽
    和単量体0〜30重量%からなる単量体混合物を重合し
    てなるTgが00℃である少なくとも1層の重合体
    層[C]10〜90重量部との組み合わせからなる多層
    構造重合体であり、かつ最外層が重合体層[C]である
    ことを特徴とする軟質多層構造樹脂。
  2. 【請求項2】 重合体層[A]および重合体層[B]
    が、架橋重合体、グラフト重合体およびこれらの混合重
    合体のいずれかからなる重合体層である請求項1記載の
    軟質多層構造樹脂。
  3. 【請求項3】 各重合体層[A]、[B]、[C]間の
    屈折率の差の最大値が、0.003以下である請求項1
    または2に記載の軟質多層構造樹脂。
  4. 【請求項4】 全量に対する最外層の割合が10重量部
    以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟質多
    層構造樹脂。
  5. 【請求項5】 多層構造重合体の粒子径が0.01〜
    0.5μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    軟質多層構造樹脂。
  6. 【請求項6】 内層が重合体層[A]、外層が重合体層
    [C]よりなる二層構造重合体であるか、内層が重合体
    層[A]、中間層が内層とは組成の異なる重合体層
    [A]または[B]、および外層が重合体層[C]より
    なる三層構造重合体である請求項1〜5のいずれか1項
    記載の軟質多層構造樹脂。
  7. 【請求項7】 各層間に任意の軟質重合体層が存在し得
    る請求項記載の軟質多層構造樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の軟
    質多層構造樹脂を二種以上ブレンドすることにより得ら
    れる軟質樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 多層構造重合体を乳化重合し、得られた
    重合体ラテックスを−5℃以下の温度で共晶点以下まで
    完全に凍結し、次いで融解、脱水することにより、ラテ
    ックスから多層構造重合体を取り出すことを特徴とする
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の軟質多層構造樹脂
    または軟質樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 凍結したラテックスの融解温度が、0
    ℃〜最外層の重合体のTg+20℃(最外層の重合体の
    Tgが0℃以下の場合は0℃〜10℃)の範囲である請
    求項記載の軟質多層構造樹脂または軟質樹脂組成物の
    製造方法。
JP08007893A 1993-03-15 1993-03-15 軟質多層構造樹脂およびその製造法 Expired - Fee Related JP3410504B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08007893A JP3410504B2 (ja) 1993-03-15 1993-03-15 軟質多層構造樹脂およびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08007893A JP3410504B2 (ja) 1993-03-15 1993-03-15 軟質多層構造樹脂およびその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06263829A JPH06263829A (ja) 1994-09-20
JP3410504B2 true JP3410504B2 (ja) 2003-05-26

Family

ID=13708186

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08007893A Expired - Fee Related JP3410504B2 (ja) 1993-03-15 1993-03-15 軟質多層構造樹脂およびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3410504B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1705195A1 (en) * 2003-12-02 2006-09-27 Kaneka Corporation Imide resin, and production method and use thereof
JP2006328332A (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Kaneka Corp イミド化メタクリル系樹脂組成物およびこれを用いる成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06263829A (ja) 1994-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
IE57758B1 (en) Impact modifier and thermoplastic resin compositions using the same
JPH04356502A (ja) アクリル系重合体凝固組成物、その製法およびその成形物
JPS5818380B2 (ja) ジユウゴウタイソセイブツ
EP1752493B1 (en) Thermoplastic elastomer composition
JP3563166B2 (ja) 透明熱可塑性樹脂組成物
JP3410504B2 (ja) 軟質多層構造樹脂およびその製造法
JP3391834B2 (ja) 耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物
JP3342082B2 (ja) アクリル系軟質多層構造樹脂および樹脂組成物
JPH07300547A (ja) メタクリル系耐衝撃性樹脂組成物の製造方法
JPH10338792A (ja) メタクリル系樹脂組成物およびそれを用いた積層物
JP3310362B2 (ja) 耐衝撃性樹脂組成物
JPH06263828A (ja) アクリル系軟質多層構造樹脂の製造方法
JP3366363B2 (ja) メタクリル系耐衝撃性改良剤及び耐衝撃性樹脂組成物
JP3090844B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその積層物
JP3366362B2 (ja) メタクリル系耐衝撃性改良剤および樹脂組成物
JP3602262B2 (ja) 多層構造アクリル系重合体及びその製造方法並びに該重合体を用いたメタクリル樹脂組成物の製造方法及びその樹脂組成物。
JPH1081805A (ja) 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
WO2004035683A1 (ja) アクリルフィルムおよびその積層品
JP2002060439A (ja) 多層構造共重合体及びメタクリル系樹脂組成物
JP3009379B2 (ja) アクリル系重合体凝固物およびその成形物
JPH05140410A (ja) メタクリル系耐衝撃性樹脂組成物
EP1535963A1 (en) Acrylic resin composition
JPH0781062B2 (ja) 耐衝撃性メタクリル樹脂組成物
JPS62164749A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH05287162A (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090320

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100320

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110320

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees