JPH05287162A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH05287162A
JPH05287162A JP8882792A JP8882792A JPH05287162A JP H05287162 A JPH05287162 A JP H05287162A JP 8882792 A JP8882792 A JP 8882792A JP 8882792 A JP8882792 A JP 8882792A JP H05287162 A JPH05287162 A JP H05287162A
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JP
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weight
polymer
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methyl methacrylate
rubber
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JP8882792A
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English (en)
Inventor
Hiroki Hatakeyama
宏毅 畠山
Masao Inoue
雅勇 井上
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、耐候性、成形性に優れ、かつ温水白
化性、成形加工時の熱着色性、金属腐食性に優れた耐衝
撃性の樹脂組成物を提供する。 【構成】 還元粘度が0.1を超えるメチルメタクリレ
ート系重合体(A)、特定の基を有する乳化剤を用いて
乳化重合されたゴム含有重合体(B)、還元粘度が0.
1以下であるメタクリル樹脂からなる熱可塑性樹脂組成
物。 【効果】 メタクリル樹脂の持つ優美な外観を損なうこ
となく、優れた成形性、成形加工時の安定性を有する熱
可塑性樹脂組成物が得られる。。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性、耐候性、成形
性に優れ、かつ温水白化性、成形加工時の熱着色性、金
属腐食性に優れた耐衝撃性の樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂は、その優美な外観と卓
越した耐候性の故に商業的に多量に使用されているが、
耐衝撃性に劣り、取扱い時に問題となる場合がある。そ
のため耐衝撃性の向上をはかるべく、ゴム質を導入する
方法が種々提案されている。しかし、ほとんどの場合、
メタクリル樹脂の持つ優美な外観、成形時の熱安定成、
成形加工性が損なわれ実用に供することは困難である。
例えば、透明性を損なうことなく耐衝撃性を向上させる
方法として、特公昭54−18298号公報や特開昭6
3−77963号公報のようなアクリル酸エステルを主
成分とするグラフト共重合体をメタクリル樹脂にブレン
ドする方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
54−18298号の方法は、Tダイ等を用いてフィル
ム化したときに薄物が成形できなかったり、厚みムラが
生じやすい欠点を有し、一方、特開昭63−77963
号の方法はTダイを用いてフィルム化が可能で成形性に
優れているが、成形加工時の熱着色性、金属付着性に劣
り、また得られるフィルム等の成形品は温水接触時に白
化を起こし、実用上問題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上の状
況に鑑み、メタクリル樹脂の持つ優美な外観を損なうこ
となく、優れた成形性、成形加工時の安定性を有する樹
脂組成物を提供するべく鋭意検討した結果、特定構造を
有する乳化剤を用いて重合されたポリマーラテックスを
特定の濃度範囲にある硫酸マグネシウム水溶液と接触さ
せることにより得られる特定の共重合体を配合すること
で、上記問題点のない樹脂組成物となることを見い出し
本発明の到達した。
【0005】即ち、本発明は下記に示されるメチルメタ
クリレート系重合体(A)0.1〜20重量部、ゴム含
有重合体(B)5〜99.9重量部、メタクリル樹脂
(C)0〜49.9重量部からなり、(A)〜(C)の
合計量が100重量部である熱可塑性樹脂組成物であ
る。 (A)メチルメタクリレート系重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重
合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重
量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gを
クロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が
0.1l/gを超えるメチルメタクリレート系重合体。 (B)ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、他
の共重合性ビニル系単量体0〜40重量%および共重合
性の架橋性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混
合物を、乳化剤としてその分子中に−PO32、−PO
2M(但しMはアルカリ金属またはアルカリ土類金属)
で表される基を有する化合物を用いて乳化重合して得ら
れる弾性共重合体100重量部(固形分)の存在下にメ
タクリル酸エステル50〜100重量%と、これと共重
合可能な他のビニル単量体0〜50重量%からなる単量
体またはその混合物10〜1000重量部を乳化重合さ
せることにより得られる重合体であって、かつ該乳化重
合ラテックスを0.1〜30重量%の濃度の硫酸マグネ
シウム水溶液と接触させることによって回収されたゴム
含有重合体。 (C)メタクリル樹脂 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステ
ル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニ
ル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とからなり、
重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム10
0mlに溶解し、25℃で測定)が0.1l/g以下で
あるメタクリル樹脂。
【0006】本発明におけるメチルメタクリレート系重
合体(A)は、メタクリル酸メチル50〜100重量%
と、これと共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重
量%よりなり、生成重合体の還元粘度(重合体0.1g
をクロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が
0.1l/gを超えるように重合した重合体であり、成
形性に対し重要な役割を示す成分である。メチルメタク
リレート系重合体(A)の還元粘度は重要であり、還元
粘度が0.1l/g以下であれば目的とする成形性は得
られない。特に好ましい還元粘度の範囲は0.2〜1.2
l/gである。
【00007】本発明に用いられるメチルメタクリレー
ト系重合体(A)においてメタクリル酸メチルと共重合
可能な他のビニル単量体としてはアクリル酸アルキルエ
ステル、メタクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル
化合物、ビニルシアン化合物等を使用することができ
る。
【0008】アクリル酸アルキルエステルとしては、ア
ルキル基の炭素数が2〜10個のものが好ましく、例え
ばアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシ
ル、アクリル酸オクチルおよびアクリル酸−2−エチル
ヘキシル等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステ
ルとしては、アルキル基の炭素数が2〜4個のものが使
用でき、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルおよ
びメタクリル酸ターシャリブチル等が挙げられる。
【0009】また、芳香族ビニル化合物としてはスチレ
ン、α−置換スチレン、核置換スチレンおよびその誘導
体、例えばα−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニ
ルトルエン等が挙げられる。さらに、ビニルシアン化合
物としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が
挙げられる。
【0010】重合開始剤としては、通常の過硫酸塩など
の無機開始剤または有機過酸化物、アゾ化合物等を単独
で用いるか、あるいは上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水
素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアル
デヒドスルホキシレート等を組み合わせ、レドックス系
開始剤として用いることもできる。開始剤として好まし
い過硫酸塩は過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム等であり、有機過酸化物としては、t−
ブチルハイドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキサ
イド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等である。
共重合体の分子量および分子量分布は、加工性付与効果
に対して重要な因子であり、目的に応じて適当な連鎖移
動剤を使用することができる。
【0011】重合は開始剤の分解温度以上にて、通常の
乳化重合条件で行うことができ、目的に応じて1段また
は多段で重合することができる。共重合体の回収は、通
常塩析あるいは酸析凝固後、濾過水洗して粉末状で回収
するか、あるいは噴霧乾燥、凍結乾燥を行い粉末状で回
収することができる。
【0012】本発明においては、メチルメタクリレート
系重合体(A)が本発明の熱可塑性樹脂組成物中に0.
1重量部未満であると十分な成形性が得られず、またメ
チルメタクリレート系重合体(A)が20重量部を超え
ると樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、かえって成形性
が悪くなり好ましくない。
【0013】本発明におけるゴム含有重合体(B)は、
樹脂組成物中に優れた耐衝撃性および伸度を付与する作
用を有し、アクリル酸アルキルエステルをゴムの主成分
として含む多層構造を有するグラフト共重合体である。
本発明におけるゴム含有重合体(B)は、アクリル酸ア
ルキルエステル50〜99.9重量%、これと共重合可
能なビニル単量体0〜50重量%および共重合性の架橋
性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物を少
なくとも1段以上で共重合させて弾性共重合体を得、次
いでその弾性共重合体100重量部存在下にメタクリル
酸エステル50〜100重量%と、これと共重合可能な
他のビニル単量体0〜50重量%とからなる単量体また
は単量体混合物10〜1000重量部を少なくとも1段
以上で重合させることにより得られる。
【0014】弾性共重合体中のアクリル酸アルキルエス
テルが50重量%未満では、耐衝撃性改良効果が少な
い。弾性共重合体中の架橋性単量体が0.1重量%未満
では十分な架橋効果が得られず、また10重量%を超え
ると架橋が強すぎて弾性共重合体の弾性的性質を損なう
ため耐衝撃性が低下し好ましくない。
【0015】ここで用い得るアクリル酸アルキルエステ
ルとしては、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸
アルキルエステルであり、そのうちアクリル酸ブチル、
アクリル酸−2−エチルヘキシル等が特に好ましい。弾
性共重合体を得るに際しては、50重量%未満の他の共
重合性のビニル系単量体を共重合させることができる。
ここで用いる他の共重合性のビニル系単量体としてはメ
タクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸
シクロヘキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、ス
チレン、アクリロニトリルなどが好ましい。
【0020】アクリル酸アルキルエステルを主成分とす
る単量体または単量体混合物を重合する際に、この共重
合体を架橋する必要がある。用いる架橋性単量体として
は特に限定する必要はないが、好ましくはエチレングリ
コールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリ
レート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−
ブタンジオールジアクリレート、アクリル酸アリル、メ
タクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベン
ゼン、アリルソルベート、マレイン酸ジアリル、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、アリルシンナメー
ト等が挙げられ、これらを単独または組み合わせて用い
ることができる。
【0021】弾性共重合体にグラフトさせる単量体とし
ては、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体また
は単量体混合物をアクリル酸エステルを主成分とする弾
性共重合体100重量部に対し10〜1000重量部を
少なくとも1段以上で重合することができ、好ましい範
囲は20〜200重量部である。グラフトさせる量が1
0重量部未満ではゴム含有重合体が良好な粉体として回
収が難しく、またグラフトさせる量が500重量を超え
ると目的とする耐衝撃性が得られないため好ましくな
い。
【0022】ゴム含有重合体(B)の割合は、熱可塑性
樹脂組成物100重量部中5〜99.9重量部である。
ゴム含有重合体(B)の割合が5重量部未満では、耐衝
撃性およびフィルム伸度が低下する。
【0023】メタクリル酸エステルと共重合可能な単量
体としてはメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸ア
ルキルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル等のアクリル酸アルキルエステル類、スチレンおよび
その誘導体、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリ
ル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルトル
エンなどが挙げられ、好ましくはアクリル酸メチル、ア
クリル酸エチルなどのアクリル酸アルキルエステル類が
挙げられる。
【0024】本発明中のゴム含有重合体(B)は特定構
造を有する乳化剤を用いて乳化重合で製造する。本発明
において使用する乳化剤は分子中に上述の一般式(I)
で表されるリン酸エステル塩またはそれらの混合物、あ
るいは一般式(II)で表されるリン酸エステル塩または
それらの混合物であり、好ましくはモノ−n−ブチルフ
ェニルペンタオキシエチレンリン酸、ジ−n−ブチルフ
ェニルペンタオキシエチレンリン酸、モノ−n−ペンチ
ルフェニルヘキサオキシエチレンリン酸、ジ−n−ペン
チルフェニルヘキサオキシエチレンリン酸、モノ−n−
ヘプチルフェニルペンタオキシエチレンリン酸、ジ−n
−ヘプチルフェニルペンタオキシエチレンリン酸、モノ
−n−ペンチルオキシヘプタオキシエチレンリン酸、ジ
−n−ペンチルオキシヘプタオキシエチレンリン酸、モ
ノ−n−ヘキシルオキシペンタオキシエチレンリン酸、
ジ−n−ヘキシルオキシペンタオキシエチレンリン酸の
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられ
る。アルカリ金属としてはナトリウムまたはカリウム、
アルカリ土類金属としてはカルシウムまたはバリウムが
好ましい。これらのリン酸エステル塩は1種を単独でま
たはモノエステルとジエステルを混合して使用すること
ができる。また、上記のリン酸エステル塩の使用量は重
合させる単量体の種類、重合条件等と密接に関連し一概
に決定することはできないが、本発明においては単量体
100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは
0.5〜5重量部の範囲である。
【0025】重合開始の方法は特に限定されていない
が、ラジカル重合開始剤としては例えばベンゾイルパー
オキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化水
素等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ
化合物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫
酸化合物、過塩素酸化合物、過ホウ酸化合物、過酸化物
と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレド
ックス系開始剤が挙げられる。そして、前記単量体およ
び重合開始剤等は一括添加法、分割添加法、連続添加法
あるいはモノマー添加法、エマルジョン添加法等公知の
任意の方法で添加されてもよい。
【0026】また、反応をスムーズに進めるために反応
系を窒素置換するとか、残存単量体を除去するために反
応終了後反応系を昇温するとか、特別な触媒を添加する
とかの方法がとられてもよい。
【0027】本発明はポリマーラテックスからポリマー
を回収する操作において、特定濃度の硫酸マグネシウム
の水溶液を用いることを特徴とする。ポリマーラテック
スからポリマーを回収する操作において、用いる硫酸マ
グネシウムの水溶液の濃度は0.1〜30重量%、より
好ましくは1〜15重量%である。0.1重量%以下で
は安定にポリマーを回収できない場合があり、また30
重量%を超えるとコスト的に費用が増大し、回収ポリマ
ー中に残存する量も多くなり共に好ましくない。回収に
用いる硫酸マグネシウムは、単独で用いることが好まし
いが、必要に応じて他の物質、例えば他の無機塩や酸類
と併用することは十分可能である。
【0028】回収操作は個別に調整したポリマーラテッ
クスと硫酸マグネシウム水溶液を連続的に接触させても
よい。一方、バッチ式に行ってもよい。接触させる温度
は特に限定されないが、30〜100℃の範囲が好まし
い。ポリマーラテックスと硫酸マグネシウム水溶液を接
触させ、凝析したスラリー状ポリマーは1〜100倍程
度の水で水洗し、50〜100℃の範囲の温度条件下に
乾燥させ、粉体状のポリマーとして回収することができ
るが、スラリー状ポリマーからの回収方法は特に限定さ
れない。
【0029】特定の構造を有する乳化剤を用いて調整し
たラテックスと硫酸マグネシウムを接触させる本発明の
方法によれば、2価の陽イオンであるマグネシウムイオ
ンの作用によって比較的少量の塩析剤を添加するのみで
ポリマーの回収が可能であり、かつ回収されたポリマー
中に硫酸マグネシウムが残存する量は極く微量である
(微量のマグネシウムイオンが残存しても、乳化剤のア
ニオン基と反応してマグネシウム塩を形成することが考
えられる。例えばステアリン酸マグネシウムのようにそ
れ自体熱安定剤として用いられることから窺えるよう
に、一般にマグネシウム塩は耐熱性に優れており、それ
自体ポリマーに悪影響を与えることはないと考えられ
る。)。よって、回収されたポリマーは金属腐食性が小
さく着色度合いも小さい。従って、凝固工程において装
置の腐食ならびに成形材料として用いたときの成形装置
の腐食および成形品の着色という問題が解決できるので
ある。
【0030】本発明におけるメタクリル樹脂(C)は、
炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステ
ルを少なくとも50重量%を含有する単量体を重合して
得られる重合体であり、メタクリル酸メチルが最も好ま
しい。メタクリル酸エステルが50重量%未満であれば
フィルム、シート成形時の成形性が悪く、またフィルム
の透明性も悪化する。
【0031】また、還元粘度が0.1l/gを超えると
流動性が悪化し好ましくない。メタクリル樹脂(C)の
重合方法は特に限定されるものではなく、通常公知の懸
濁重合、乳化重合法等の各種方法が適用される。
【0032】本発明は、こうして得られたメチルメタク
リレート系重合体(A)、メタクリル樹脂(C)および
ゴム含有重合体(B)からなる熱可塑性樹脂組成物であ
り、メタクリル樹脂の持つ本来の性質を失うことなく、
成形加工性に極めて優れたものである。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、メチルメ
タクリレート系重合体(A)、メタクリル樹脂(C)お
よび(B)を溶融混練することによって得られる。溶融
混練に先立って、各々の所定量を必要に応じて安定剤、
滑剤、染料、顔料、充填剤等と共にV型ブレンダー、ヘ
ンシェルミキサー等の粉体(ペレット)混合機を用いて
十分均一に混合されていることが必要であり、然る後に
バンバリーミキサー、プラフトグラフ、ミキシングロー
ル、スクリュー型押出機等を用いて160〜280℃で
溶融混練される。かくして得られた本発明の熱可塑性樹
脂組成物は射出成形機、押出成形機を用いて成形するこ
とにより、透明性、表面光沢、耐衝撃性の優れた成形品
を得ることができる。
【0034】また、本発明の熱可塑性組成物はTダイ
法、インフレーション法、カレンダー法等の溶融押出法
を採用することにより、優れた透明性、耐候性、耐温水
白化性、加工時の熱安定性、表面光沢を有するフィルム
状成形物とすることができる。溶融押出を行うに当たっ
ての好ましい温度は180〜260℃である。本発明の
熱可塑性組成物から得られるフィルム状成形物は、その
優れた物性をいかして鋼板、プラスチックシート、木材
等に接着あるいはラミネートすることにより、それらの
耐候性と装飾的効果を向上させることができる。
【0035】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは各々
「重量部」、「重量%」を表す。また、実施例中の金属
腐食性、温水白化性、着色度は以下の方法で求めた。 (1)金属腐食性:押出ペレット中に鏡面研磨した一般
軟鋼を入れ、250℃で60分間保持し、表面を観察し
た。 ○……表面の変化なし △……表面の金属光沢がわずかに低下 ×……表面の金属光沢が失われた (2)温水白化性:フィルムを100℃の温水に浸漬し
て30分間保持し、表面を観察した。 ○……ほとんど変化なし △……わずかに白化 ×……白化が著しい (3)着色度:フィルムを20枚重ねて、目視で判断し
た。 ○……着色なし △……わずかに黄着色 ×……黄着色著しい
【0036】実施例1 (a)メチルメタクリレート系重合体(A)の製造 反応容器に窒素置換したイオン交換水200部を仕込
み、乳化剤としてオレイン酸カリ1部、過硫酸カリ0.
3部を仕込んだ。続いてメタクリル酸メチル40部、ア
クリル酸n−ブチル10部、n−オクチルメルカプタン
0.005部を仕込み、窒素雰囲気下65℃にて3時間
攪拌し重合を完結させた。引き続いてメタクリル酸メチ
ル48部、アクリル酸n−ブチル2部からなる単量体混
合物を2時間に渡り滴下し、滴下終了後2時間保持を行
い重合を完結させた。得られたラテックスを0.25%
硫酸水溶液に添加し、重合体を酸析後脱水、水洗、乾燥
し、粉体状で重合体を回収した。得られた共重合体の還
元粘度ηSP/Cは0.38l/gであった。
【0037】(b)ゴム含有重合体(B)の製造 反応容器に下記のような割合の原料を仕込み、窒素雰囲
気下50℃で4時間攪拌を行いながら重合を完結させ、
弾性体ラテックスを得た。 アクリル酸ブチル(BA) 77部 スチレン 22.7部 メタクリル酸アリル 0.3部 モノ−n−ペンチルフェニルヘキサオキシエチレン リン酸ナトリウムとジ−n−ペンチルフェニルヘキ サオキシエチレンリン酸ナトリウムの1:1混合物 (以下、乳化剤Aという) 1.5部 脱イオン水 300部 過硫酸カリ 0.3部 リン酸二ナトリウム12水塩 0.5部 リン酸水素ナトリウム2水塩 0.3部 この弾性体ラテックス100重量部(固形分として)を
反応容器に取り、攪拌しながら十分窒素置換した後、8
0℃に昇温してナトリウムフォルムアルデヒドスルフォ
キシレート0.125部、水2部からなる水溶液を添加
後、温度を80℃に保ちながらメタクリル酸メチル60
部、n−オクチルメルカプタン0.05部、t−ブチル
ハイドロパーオキシド0.125部からなる混合物を2
時間に渡り滴下後2時間保持し重合を完結させた。得ら
れた共重合体ラテックスを1.5%硫酸マグネシウム水
溶液に添加し、塩析後脱水、水洗、洗浄を行い粉体状で
ゴム含有重合体(B)を得た。
【0038】(c)メタクリル樹脂(C) メタクリル樹脂としてメタクリル酸メチル/アクリル酸
メチル=98/2で還元粘度ηSP/Cが0.06l/g
のものを用意した。 成形品の製造 上記のごとくして得られたメチルメタクリレート系重合
体(A)2部、ゴム含有重合体(B)48部、メタクリ
ル樹脂(C)50部をヘンシェルミキサーで混合した
後、40mmφのスクリュー型押出機(L/D=26)を
用いてシリンダー温度200〜260℃、ダイ温度25
0℃で溶融混練しペレット化した。得られたペレットを
80℃で1昼夜乾燥し、400mm幅のTダイを取り付け
た40mmφのスクリュー型押出機を用いて、シリンダー
温度200〜240℃、Tダイ温度250℃でフィルム
製膜を行った。得られたフィルムの金属腐食性、温水白
化性、着色度を表1に示す。
【0039】実施例2〜4、比較例1〜6 実施例1で使用された乳化剤、塩析剤(硫酸マグネシウ
ム)の種類および量を表1に示すように変えた以外は実
施例1と同様にしてフィルムを作成した。得られたフィ
ルムの評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】実施例5〜7 実施例1で得られたメチルメタクリレート系重合体
(A)、ゴム含有重合体(B)、メタクリル樹脂(C)
を使用し、表2に示す組成で実施例1と同様にして混
合、ペレット化、フィルム製膜を行った。得られたフィ
ルムの評価結果を表2に示す。
【0042】比較例7 実施例1で得られたゴム含有重合体(B)を50部、メ
タクリル樹脂(C)を50部使用し、メチルメタクリレ
ート系重合体(A)を使用せずに実施例1と同様にして
混合、ペレット化、フィルム製膜を行ったが、厚みムラ
がひどく、50μmのフィルムが製膜できなかった。
【0043】比較例8 実施例1で得られたメチルメタクリレート系重合体
(A)を10、メタクリル樹脂(C)を90部使用し、
ゴム含有重合体(B)を使用せずに実施例1と同様にし
て混合、ペレット化、フィルム製膜を行ったが、フィル
ムが脆く、巻き取り不能であった。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物は、メタクリル樹脂
の持つ優美な外観を損なうことなく、優れた成形性、成
形加工時の安定性を有するものであり、工業上優れた効
果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示されるメチルメタクリレート系
    重合体(A)0.1〜20重量部、ゴム含有重合体
    (B)5〜99.9重量部、メタクリル樹脂(C)0〜
    49.9重量部からなり、(A)〜(C)の合計量が1
    00重量部である熱可塑性樹脂組成物。 (A)メチルメタクリレート系重合体 メタクリル酸メチル50〜100重量%と、これと共重
    合可能な他のビニル単量体の少なくとも1種0〜50重
    量%とからなり、重合体の還元粘度(重合体0.1gを
    クロロホルム100mlに溶解し、25℃で測定)が
    0.1l/gを超えるメチルメタクリレート系重合体。 (B)ゴム含有重合体 アクリル酸アルキルエステル50〜99.9重量%、こ
    れと共重合可能な他の単量体0〜40重量%および共重
    合性の架橋性単量体0.1〜10重量%からなる単量体
    混合物を、乳化剤としてその分子中に−PO32、−P
    2M(但しMはアルカリ金属またはアルカリ土類金
    属)で表される基を有する化合物を用いて乳化重合して
    得られる弾性共重合体100重量部(固形分)の存在下
    にメタクリル酸エステル50〜100重量%と、これと
    共重合可能な他のビニル単量体0〜50重量%からなる
    単量体またはその混合物10〜1000重量部を乳化重
    合させることにより得られる重合体であって、かつ該乳
    化重合ラテックスを0.1〜30重量%の濃度の硫酸マ
    グネシウム水溶液と接触させることによって回収された
    ゴム含有重合体。 (C)メタクリル樹脂 炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸エステ
    ル50〜100重量%と、これと共重合可能な他のビニ
    ル単量体の少なくとも1種0〜50重量%とからなり、
    重合体の還元粘度(重合体0.1gをクロロホルム10
    0mlに溶解し、25℃で測定)が0.1l/g以下で
    あるメタクリル樹脂。
  2. 【請求項2】 ゴム含有重合体(B)製造時に使用され
    る乳化剤が下記一般式(I)で表されるリン酸エステル
    塩またはそれらの混合物である請求項第1項に記載の熱
    可塑性樹脂組成物。 【化1】
  3. 【請求項3】 乳化剤が下記式(II)で表されるリン酸
    エステル塩またはそれらの混合物である請求項第1項に
    記載の熱可塑性樹脂組成物。 【化2】
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