JPH06263828A - アクリル系軟質多層構造樹脂の製造方法 - Google Patents

アクリル系軟質多層構造樹脂の製造方法

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JPH06263828A
JPH06263828A JP5080077A JP8007793A JPH06263828A JP H06263828 A JPH06263828 A JP H06263828A JP 5080077 A JP5080077 A JP 5080077A JP 8007793 A JP8007793 A JP 8007793A JP H06263828 A JPH06263828 A JP H06263828A
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JP
Japan
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polymer
layer
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multilayer structure
latex
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JP5080077A
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English (en)
Inventor
Mitsuo Otani
三夫 大谷
Takao Hoshiba
孝男 干場
Koichi Nokura
耕一 野倉
Hideaki Haino
英明 拝野
Yuzuru Ito
譲 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 Tgが30℃以下である少なくとも1層の重
合体層[A]10〜90重量部と、Tgが−20〜50
℃である少なくとも1層の重合体層[B]10〜90重
量部との組み合わせからなり、かつ最外層が重合体層
[B]である多層構造重合体を乳化重合し、得られた重
合体ラテックスを−5℃以下の温度で共晶点以下まで完
全に凍結し、次いで融解、脱水することにより、ラテッ
クスから多層構造重合体を取り出すことを特徴とするア
クリル系軟質多層構造樹脂およびこれらのアクリル系軟
質樹脂を二種以上ブレンドすることにより得られるアク
リル系軟質樹脂組成物。 【効果】 成形が容易であり、常温で良好な柔軟性、屈
曲耐久性を有するとともに良好な透明性および優れた耐
候性を有し、射出成形材料、シート、フィルム、チュー
ブ等幅広い用途に最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアクリル系軟質多層構造
樹脂(以下アクリル系軟質樹脂と称す)および樹脂組成
物の製造方法に関し、更に詳しくは成形が容易であり、
常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有するとともに良好
な透明性および優れた耐候性を有し、射出成形材料、シ
ート、フィルムおよびチューブ等幅広い用途に用いるこ
とができ、一例を挙げると軟質塩化ビニルの代替え用途
としてのデスクマット、血液等の医療用バック、医療用
チューブ等に最適なアクリル系軟質樹脂および樹脂組成
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、代表的な軟質樹脂としては軟質塩
化ビニル、ウレタン樹脂があり、特に軟質塩化ビニルは
デスクマット、血液等の医療用バックなど広い用途に用
いられている。しかるに、軟質塩化ビニルには軟質化の
ために多量の可塑剤や老化防止用安定剤が含まれ、医療
用途ではこれら添加剤の人体への影響が懸念されてお
り、また塩化ビニルは再生処理が難しく、焼却の際には
塩素ガス等が発生するため埋設処理されているのが現状
であり、これに代わるものが広く望まれてきた。
【0003】本発明のアクリル系軟質樹脂および樹脂組
成物は現時点では、我々の知る限り存在せず、広い分野
から待ち望まれてきた全く新しい樹脂であると言える。
本発明のアクリル系軟質樹脂および樹脂組成物は、従来
の軟質塩化ビニルに含まれる可塑剤等を全く含まずに常
温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有することから、人体
への影響の懸念がなく医療用途への展開が期待されると
ともに、透明性および耐候性に著しく優れることからよ
り広い分野への展開の可能性を有している。
【0004】しかるに本発明のアクリル系軟質樹脂およ
び樹脂組成物となる多層構造重合体は、乳化重合法によ
り重合体ラテックスとして得られるが、重合体のTg
(ガラス転移温度)が低いことから、従来のラテックス
から重合体を取り出す一般的な方法としての、塩化アル
ミニウム、硫酸マグネシウム等の無機塩を添加し凝固さ
せる方法、硫酸等の酸を添加し凝固させる方法および噴
霧乾燥方法では、凝固段階で重合体が融着し取扱いが困
難となったり、凝固温度を低下させると重合体収率が著
しく低下する等多くの問題があり工業的に好ましい製造
方法ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアクリル系軟
質樹脂および樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳し
くは成形が容易であり、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久
性を有するとともに良好な透明性および優れた耐候性を
有し、射出成形材料、シート、フィルム、チューブ等幅
広い用途に用いることができるアクリル系軟質樹脂およ
び樹脂組成物となる多層構造重合体を乳化重合により重
合体ラテックスとして得、次いでこのラテックスから重
合体を容易に取り出す方法に関し、従来の方法では多層
構造重合体のTgが低いことから凝固段階で重合体が融
着し取扱いが困難となったり、凝固温度を低下させこと
による重合体収率の低下等の問題を解決する製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、成形が容
易であり、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有すると
ともに良好な透明性および優れた耐候性し、射出成形材
料、シート、フィルムおよびチューブ等幅広い用途に用
いることができるアクリル系軟質樹脂および樹脂組成物
の製造方法に関し鋭意研究した結果、特定の軟質重合体
層の組み合わせからなる多層構造重合体を見い出だすと
ともに、乳化重合により得られたTgの低い多層構造重
合体ラテックスを凍結し、次いで融解、脱水する方法に
よりラテックスから重合体を容易に、収率良く取り出せ
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明はアルキル基の炭素数が1〜
12である少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステ
ル30〜99.9重量%、アルキル基の炭素数が1〜8
である少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステル
0〜70重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0
〜30重量%、多官能架橋性単量体および、または多官
能グラフト単量体0.1〜10重量%からなる単量体混
合物を重合してなるTgが30℃以下である少なくとも
1層の重合体層[A]10〜90重量部と、アルキル基
の炭素数が1〜12である少なくとも1種のアクリル酸
アルキルエステル30〜99重量%、アルキル基の炭素
数が1〜8である少なくとも1種のメタクリル酸アルキ
ルエステル1〜70重量%、これらと共重合可能な不飽
和単量体0〜30重量%からなる単量体混合物を重合し
てなるTgが−20〜50℃である少なくとも1層の重
合体層[B]10〜90重量部との組み合わせからな
り、かつ最外層が重合体層[B]である多層構造重合体
を乳化重合し、得られた重合体ラテックスを−5℃以下
の温度で共晶点以下まで完全に凍結し、次いで融解、脱
水することにより、ラテックスから多層構造重合体を取
り出すことを特徴とするアクリル系軟質多層構造樹脂の
製造方法により達成される。
【0008】本発明の多層構造重合体は公知の乳化重合
法により製造される。乳化重合に使用される乳化剤の種
類と量は、重合系の安定性、目的とする粒子径等によっ
て選択されるが、アニオン界面活性剤、カチオン界面活
性剤、ノニオン界面活性剤等公知の乳化剤を単独または
併用して用いることができ、特にアニオン界面活性剤が
好ましい。乳化重合に使用される重合開始剤としても特
に限定されず、パースルフェート系あるいはレドックス
系の開始剤が用いられる。また、必要に応じてアルキル
メルカプタン等の連鎖移動剤が用いられる。
【0009】乳化重合において、単量体、乳化剤、重合
開始剤、連鎖移動剤等は、一括添加法、分割添加法、連
続添加法等の任意の方法により添加される。
【0010】本発明の多層構造重合体は、多官能架橋性
単量体および、または多官能グラフト単量体0.1〜1
0重量%を含む本発明の単量体混合物を重合してなる少
なくとも1層の重合体層[A]10〜90重量部と多官
能架橋性単量体および多官能グラフト単量体を含まない
本発明の単量体混合物を重合してなる少なくとも1層の
重合体層[B]10〜90重量部との組み合わせからな
る多層構造重合体であり、かつ最外層が重合体層[B]
であることを特徴とし、重合体層[A]と重合体層
[B]の最適な組み合わせが良好な成形性、優れた柔軟
性、屈曲耐久性を与える。重合体層[A]が90重量部
を超えると成形性が悪くなり好ましくなく、逆に重合体
層[B]が90重量部を超えるとベトツキが生じ取扱い
が難しくなる。
【0011】一方、多層構造重合体の最外層は重合体層
[B]であり、良好な成形性を得るためには全量に対す
る最外層の割合が10重量部以上が好ましく、更にn−
オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等の
連鎖移動剤が好ましく用いられる。
【0012】本発明の多層構造重合体での重合体層
[A]はアルキル基の炭素数が1〜12である少なくと
も1種のアクリル酸アルキルエステル30〜99.9重
量%、アルキル基の炭素数が1〜8である少なくとも1
種のメタクリル酸アルキルエステル0〜70重量%、こ
れらと共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多官
能架橋性単量体および、または多官能グラフト単量体
0.1〜10重量%により構成されるTgが30℃以下
の重合体である。重合体層[A]を構成するアクリル酸
アルキルエステルの組成割合は30〜99.9重量%、
より好ましくは40〜90重量%であり、30重量%未
満では柔軟性、屈曲耐久性が低下し好ましくない。ま
た、多官能架橋性単量体および、または多官能グラフト
単量体は0.1〜10重量%であり、0.1重量%未満
ではベトツキが生じる場合があり、10重量%を超える
と屈曲耐久性が低下して好ましくない。重合体層[A]
単独のTgは30℃以下、好ましくは25℃以下、さら
に好ましくは0℃以下であり、30℃を超えると柔軟
性、屈曲耐久性が低下し好ましくない。
【0013】一方、重合体層[B]はアルキル基の炭素
数が1〜12である少なくとも1種のアクリル酸アルキ
ルエステル30〜99重量%、アルキル基の炭素数が1
〜8である少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエス
テル1〜70重量%、これらと共重合可能な不飽和単量
体0〜30重量%により構成されるTgが−20〜50
℃の重合体である。重合体層[B]を構成するアクリル
酸アルキルエステルの組成割合は30〜99重量%、よ
り好ましくは40〜90重量%であり、30重量%未満
では重合体層[A]と同様柔軟性、屈曲耐久性が低下し
好ましくない。また重合体層[B]単独のTgは−20
〜50℃、好ましくは−10〜40℃であり、重合体層
[A]との組成比率が物性に大きく影響するが、50℃
を超えると柔軟性、屈曲耐久性が低下し好ましくなく、
−20℃以下では重合体ラテックスからの重合体の取り
出しが難しい。多層構造重合体中の各重合体層[A]お
よび重合体層[B]に関して、各層の単量体の種類、組
成比率は同一であっても、異なっていてもよいが、より
良好な透明性を得るためには各重合体層間の屈折率の差
の最大値が、0.003以下であることが好ましい。
【0014】本発明でいう各重合体層のTg(ガラス転
移温度)とは、通常知られている FOXの式: 1/Tg=a1 /Tg1 +a2 /Tg2
+a3 /Tg3 +・・ に従い計算により求めたものであり、式中のTg1 、T
2 およびTg3 は各重合体層を構成する単量体を単独
で重合した際に得られる重合体のガラス転移温度(PO
LY−MER HANDBOOK,THIRD EDI
TION,Wiley Inter−scienceに
記載されている値)を表し、式中のa1 、a2 およびa
3 は各重合体層を構成する単量体単位の重量分率を表
す。
【0015】また、多層構造重合体のTgはこれら各重
合体層のTgの重量平均により求めた。
【0016】本発明の多層構造重合体で用いられるアク
リル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数
が1〜12である少なくとも1種であり、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸シクロヘ
キシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられ単独または併
用して用いられ、好ましくはアクリル酸エチル、アクリ
ル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルである。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の
炭素数が1〜8である少なくとも1種でありメタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロ
ピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が
挙げられ単独または併用して用いられ、好ましくはメタ
クリル酸メチルである。これらと共重合可能な不飽和単
量体としては、ブタジエン、イソプレン、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、N−シクロヘキシルマレイミ
ド、N−エチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミ
ド、N−フェニルマレイミド、N−オルソクロロフェニ
ルマレイミド等が挙げられ、それらは単独または併用し
て用いられる。また、多官能架橋性単量体としては、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等
が、また多官能グラフト単量体としては、アリルメタク
リレート、アリルアクリレート、アリルマレエート、ア
リルフマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシア
ヌレート等が挙げられ、それらは単独または併用して用
いられる。
【0017】本発明の多層構造重合体は、これら各層ご
との単量体混合物を逐次乳化重合することにより、重合
体ラテックスとして得られる。
【0018】本発明においては、重合体ラテックスから
重合体の分離方法として、凍結、融解方法を用いること
が最も重要な特徴の一つである。従来、工業的に広く用
いられている無機塩を添加し凝固させる方法、硫酸等の
酸を添加し凝固させる方法および噴霧乾燥方法では、T
gの高い重合体からなるラテックスでは特に問題は無い
が、本発明のようにTgの低い重合体からなるラテック
スにおいては凝固段階で重合体が融着し取扱いが困難と
なったり、また凝固温度を低下させると重合体収率が著
しく低下する等多くの問題があり、本発明においては好
ましい方法とは言えない。
【0019】本発明の凍結方法としては、公知の空気凍
結法、接触凍結法、浸漬凍結法、噴霧凍結法等いずれの
方法でもよく特に限定されず、また生産効率、コストと
の兼ね合いで瞬間凍結、急速凍結および緩慢凍結のいず
れであってもよいが、少なくとも−5℃以下の温度で共
晶点以下まで完全に凍結させることが必要であり、完全
に凍結させないと重合体の収率が低下し好ましくない。
【0020】本発明の融解方法としては、Tgの低い重
合体であることから凍結した後、0℃〜多層構造重合体
の最外層の重合体のTg+20℃(最外層の重合体のT
gが0℃以下の場合は0℃〜10℃)の温度範囲で融解
しすることが好ましく、さらに好ましくは最外層の重合
体のTg±10℃の温度範囲である。融解温度がこれよ
りも高い場合、得られた重合体が融着して凝固物が一体
化するので好ましくない。洗浄、脱水温度も同様であ
る。このようにしてラテックスから分離して得られた本
発明の重合体凝固物は乳化剤の残存が非常に少ないこと
から光学特性に優れ、取扱性の非常に良好な粉末であ
る。
【0021】本発明のアクリル系軟質樹脂および樹脂組
成物とは、上記の多層構造重合体ラテックスの凝固物粉
末、異なる多層構造重合体ラテックス混合物の凝固物粉
末、および異なる多層構造重合体凝固物粉末の混合物、
あるいはこれらのペレット等いずれであってもよい。
【0022】本発明のアクリル系軟質樹脂および樹脂組
成物は良好な成形性を有し、射出成形材料として、また
押出機によりシート、フィルムおよびチューブ等にその
まま加工される。本発明のアクリル系軟質樹脂および樹
脂組成物により得られる射出成形品、シート、フィルム
およびチューブ等これらの加工品は常温で良好な柔軟
性、屈曲耐久性を有するとともに良好な透明性および優
れた耐候性を有する。
【0023】本発明のアクリル系軟質樹脂および樹脂組
成物には硬質のメタクリル系樹脂に通常用いられる紫外
線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、染顔料等を必要に応じて
添加することができる。用途によっては軟質塩化ビニル
に用いられている可塑剤等の添加も可能である。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例における「%」および「部」は全て「重量%」お
よび「重量部」であり、使用する単量体、重合開始剤、
連鎖移動剤等の略称は下記のものが使用される。メタク
リル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、
アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸ブチル(B
A)、スチレン(ST)、メタクリル酸アリル(ALM
A)、エチレングリコールジメタアクリレート(EGD
MA)、n−オクチルメルカプタン(nOM)。
【0025】横線(−)は同一層を形成するために用い
られる単量体等を分けるのに使用され、斜線(/)は層
が異なることを意味する。
【0026】実施例に示した諸物性の測定は下記の方法
に従って実施した。 (1)Tg(ガラス転移点) ;FOXの式にに従い計
算で求めた値。 (2)柔軟性・屈曲耐久性 ;100回の折り曲げ試
験でクラックの発生が無く、初期の形態を保持している
かを判定。(2mm厚) (3)伸び率 ;ASTM−D638
(3mm厚) (4)全光線透過率、ヘイズ ;ASTM−D1003
(3mm厚) (5)粒子径 ;電子顕微鏡で測定。 (6)耐侯性テスト ;促進暴露試験、暴露時
間1000hrs 上記(2)〜(4)を評価 サンシャインウェザーメーター(スガ試験機、WEL−
SUN−HC) 実施例 1 還流冷却器付き耐圧反応容器に、イオン交換水250
部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.75部
を仕込み、窒素雰囲気下で攪拌しながら75℃に昇温
後、BA30.6部、MMA28.8部、ALMA0.
6部、1%KPS水溶液6部を仕込んで60分間反応さ
せて重合を完了した。続いて1%KPS水溶液4部を仕
込んだ時点で、BA20部、MMA20部、nOM0.
1部からなる単量体混合物を60分かけて連続添加し、
次いで60分間保持して重合を完了させ2層構造重合体
[a−1]ラテックスを得た。各層の重合終了後ラテッ
クスをサンプリングし、電子顕微鏡観察で新しい粒子の
生成がなく完全に逐次重合が行われていることを確認し
た。得られたラテックスの粒子径は0.09μmであっ
た。このラテックスの組成は、表1の[a−1]に相当
する。
【0027】得られたラテックスをステンレス製容器に
入れ、冷凍庫中、−20℃温度条件下で完全に凍結させ
た。凍結したラテックスを20℃のイオン交換水で融解
させた後、瀘別して2層構造重合体[a−1]を分離し
た。さらにイオン交換水で水洗脱水を3回繰り返した
後、20℃で10時間真空乾燥した。
【0028】乾燥後、得られた2層構造重合体[a−
1]を50φのシート押出機を用いてシリンダー温度1
70℃で熔融混練しロール温度30℃で2mmおよび3
mm板厚のシートを得た。得られたシートから試験片を
切りだし評価した結果を表2に示す。透明性、色相は極
めて良好であり、柔軟性および屈曲耐久性に優れ、折り
曲げ白化、高温白化は全く認められなかった。この試験
片をサンシャインウエザーメーターで1000時間の促
進曝露テストを行ったところ、柔軟性、屈曲耐久性、伸
び率の低下および透明性の変化は無かった。
【0029】得られた結果から本発明によるアクリル系
軟質樹脂は柔軟性、屈曲耐久性に優れるとともに、良好
な透明性および優れた耐候性を有していることが分か
る。
【0030】また、これらのシートと同一組成のペレッ
トからの射出成形品もシートと同様の結果を示した。 実施例2〜8 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造重合体[a−2]〜[a−5]の
ラテックスを得た。これらのラテックスから凍結、融解
条件を変えて得た多層構造重合体の結果を、これら重合
体の層数、組成、粒子径とともに表1に示す。得られた
各多層構造重合体および異なる多層構造重合体を混合し
てなるアクリル系軟質樹脂および樹脂組成物から得られ
た2mmおよび3mm板厚のシートの評価結果を表2に
示す。このようにして得られた多層構造重合体は取扱い
性の良好な凝固物粉末であり、押し出し安定性も良好で
あった。さらに、これら実施例で得られたシートは柔軟
性、屈曲耐久性に優れるとともに折り曲げ白化、高温白
化は全く認められず、良好な透明性および優れた耐候性
を有しており本発明を満足するものである。また、これ
らの押出板と同一組成のペレットからの射出成形品も押
出板と同様の結果を示した。 比較例1〜4 多層構造重合体[a−1]および[a−3]のラテック
スを本発明の凍結、融解条件を外れた範囲で処理した場
合、あるいは凍結以外の凝固方法で処理した場合の結果
を表3に示す。これらの方法ではラテックスからうまく
取り出せなかったり、得られた多層構造重合体の取扱い
性が難しく、押し出し安定性が悪い等の結果を示した。 比較例5〜6 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造重合体[b−1]〜[b−2]の
ラテックスを得た。これらのラテックスを本発明の凍
結、融解方法で得た多層構造重合体の結果を、これら重
合体の層数、組成、粒子径とともに表1に示す。得られ
た各多層構造重合体から得られた2mmおよび3mm板
厚のシートの評価結果を表3に示す。これら比較例で得
られたシートは成形性、柔軟性、屈曲耐久性などのいず
れかにおいて劣り、本発明を満足するものではなかっ
た。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明はアクリル系軟質多層構造樹脂お
よび樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは成形
が容易であり、常温で良好な柔軟性、屈曲耐久性を有す
るとともに良好な透明性および優れた耐候性を有し、射
出成形材料、シート、フィルム、チューブ等幅広い用途
に最適であるアクリル系軟質多層構造樹脂および樹脂組
成物の製造方法であり、従来の方法を用いた際には生じ
ていた数多くの問題を解決し、目的とする多層構造重合
体を容易に取り出すことが出来る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 51/00 LKS 7308−4J (72)発明者 拝野 英明 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 伊藤 譲 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が1〜12である少
    なくとも1種のアクリル酸アルキルエステル30〜9
    9.9重量%、アルキル基の炭素数が1〜8である少な
    くとも1種のメタクリル酸アルキルエステル0〜70重
    量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30重量
    %、多官能架橋性単量体および、または多官能グラフト
    単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物を重合
    してなるTgが30℃以下である少なくとも1層の重合
    体層[A]10〜90重量部と、アルキル基の炭素数が
    1〜12である少なくとも1種のアクリル酸アルキルエ
    ステル30〜99重量%、アルキル基の炭素数が1〜8
    である少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステル
    1〜70重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0
    〜30重量%からなる単量体混合物を重合してなるTg
    が−20〜50℃である少なくとも1層の重合体層
    [B]10〜90重量部との組み合わせからなり、かつ
    最外層が重合体層[B]である多層構造重合体を乳化重
    合し、得られた重合体ラテックスを−5℃以下の温度で
    共晶点以下まで完全に凍結し、次いで融解、脱水するこ
    とにより、ラテックスから多層構造重合体を取り出すこ
    とを特徴とするアクリル系軟質多層構造樹脂の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 重合体層[A]のTgが25℃以下であ
    り、重合体層[B]のTgが−10〜40℃である請求
    項1記載のアクリル系軟質多層構造樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 各重合体層のTgの重量平均により求め
    た多層構造重合体のTgが30℃以下である請求項1、
    2記載のアクリル系軟質多層構造樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 各重合体層[A]および重合体層[B]
    間の屈折率の差の最大値が、0.003以下である請求
    項1〜3記載のアクリル系軟質多層構造樹脂の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 アクリル酸アルキルエステルがアクリル
    酸エチル、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸−2−エ
    チルヘキシルであり、メタクリル酸アルキルエステルが
    メタクリル酸メチルである請求項1〜4記載のアクリル
    系軟質多層構造樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 全量に対する最外層の割合が10重量部
    以上である請求項1〜5記載のアクリル系軟質多層構造
    樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 多層構造重合体の粒子径が0.01〜
    0.5μmである請求項1〜6記載のアクリル系軟質多
    層構造樹脂の製造方法。
  8. 【請求項8】 内層が重合体層[A]、外層が重合体層
    [B]よりなる二層構造重合体であるか、内層が重合体
    層[A]、中間層が内層とは組成の異なる重合体層
    [A]、および外層が重合体層[B]よりなる三層構造
    重合体である請求項1〜7記載のアクリル系軟質多層構
    造樹脂の製造方法。
  9. 【請求項9】 各層間に任意の軟質重合体層が存在し得
    る請求項8記載のアクリル系軟質多層構造樹脂の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のアクリル系軟質多層構
    造樹脂を二種以上混合することにより得られるアクリル
    系軟質樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 凍結したラテックスの融解温度が、0
    ℃〜最外層の重合体のTg+20℃(最外層の重合体の
    Tgが0℃以下の場合は0℃〜10℃)の範囲である請
    求項1〜10記載のアクリル系軟質多層構造樹脂または
    軟質樹脂組成物の製造方法。
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