JPH06228405A - 耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物

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JPH06228405A
JPH06228405A JP4222293A JP4222293A JPH06228405A JP H06228405 A JPH06228405 A JP H06228405A JP 4222293 A JP4222293 A JP 4222293A JP 4222293 A JP4222293 A JP 4222293A JP H06228405 A JPH06228405 A JP H06228405A
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三夫 大谷
Koichi Nokura
耕一 野倉
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 メタクリル酸メチル50〜95重量%、N
−シクロヘキシルマレイミドおよび、またはアルキル基
の炭素数が2〜4であるN−アルキルマレイミド5〜4
0重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30
重量%からなる単量体混合物を重合して得られる共重合
体[I]10〜99重量部と、軟質重合体層と硬質重合
体層よりなる多層構造重合体である弾性共重合体[II]
1〜90重量部からなることを特徴とする耐熱耐衝撃性
メタクリル系樹脂組成物である。 【効果】 本発明の耐熱耐衝撃性メタクリル系樹脂組
成物は、高い耐熱性と初期の耐衝撃性に優れるとともに
耐候性試験後においても衝撃強度および色相の双方を満
足する優れた耐侯性を有し、射出成形品、シート・フィ
ルムおよびこれらの加工品に最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性耐衝撃性メタクリ
ル系樹脂組成物に関し、更に詳しくは高い耐熱性と良好
な耐衝撃性を有し、耐候性試験後においても優れた光学
的性質および衝撃強度を保持することを特徴とする耐熱
性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル樹脂は無色透明で美しい外観
と耐候性を有し、成形が容易なことから、ルーバー、テ
ールランプ、レンズ、テーブルウェアー等電気部品、車
両部品、光学用途、装飾、雑貨、看板に幅広く用いられ
ているが衝撃に対する強度は必ずしも充分ではなく、ま
た耐熱性の要求もあり、これら双方の改良、改質が数多
く検討されている段階である。すなわち、現在の汎用の
耐衝撃性メタクリル樹脂は汎用のメタクリル樹脂に衝撃
性を付与するゴム系の微粒子を均一に分散させており、
透明性および耐候性の面からゴム系微粒子としてアクリ
ル酸ブチル重合体あるいはブタジエン−アクリル酸ブチ
ル共重合体が広く用いられている。
【0003】これらゴム系の微粒子は当然のことながら
熱変形温度が低く、より高い衝撃強度を得ようとすれば
するほど得られる耐衝撃性樹脂の耐熱性は低下する。そ
れ故、基体樹脂として汎用のメタクリル樹脂に替えて、
耐熱性のメタクリル樹脂とゴム系の微粒子の混合により
耐熱性を有する耐衝撃性樹脂が検討されている。しかる
に、一般的に耐熱性のメタクリル樹脂は、汎用のメタク
リル樹脂に比べ屈折率が高く透明性を保持しようとする
とゴム系の微粒子自体の屈折率も上げる必要があり、ア
クリル酸ブチル重合体系ではスチレン等の添加割合が多
くなり逆に衝撃強度が上がらないという問題が生じた
り、またゴム系の微粒子としてブタジエン−アクリル酸
ブチル共重合体を用いた場合には衝撃強度は満足される
が耐候性試験においてアクリル酸ブチル重合体系耐衝撃
性樹脂に比べると色相が低下しやすい等の問題があり、
双方とも満足されるものがないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性が高
く良好な耐衝撃性を有し、耐候性試験後においても優れ
た光学的性質および衝撃強度を保持する耐熱性耐衝撃性
メタクリル系樹脂組成物を見い出すことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐熱性が
高く良好な耐衝撃性を有し、耐候性試験後においても優
れた光学的性質および衝撃強度を保持する耐熱性耐衝撃
性メタクリル系樹脂組成物に関し鋭意研究した結果、メ
タクリル酸メチル、N−シクロヘキシルマレイミドおよ
び、またはアルキル基の炭素数が2〜4であるN−アル
キルマレイミドを主成分とする共重合体と、軟質重合体
層がイソプレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体
からなる特定の多層構造重合体である弾性共重合体から
なる耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物を見い出だ
し本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、メタクリル酸メチル50
〜95重量%、N−シクロヘキシルマレイミドおよび、
またはアルキル基の炭素数が2〜4であるN−アルキル
マレイミド5〜40重量%、これらと共重合可能な不飽
和単量体0〜30重量%からなる単量体混合物を重合し
て得られる共重合体[I]10〜99重量部と、弾性共
重合体[II]1〜90重量部からなり、該弾性共重合体
[II]は、イソプレン9.9〜90重量%とアルキル基
の炭素数が1〜12である少なくとも1種のアクリル酸
アルキルエステル9.9〜90重量%、これらと共重合
可能な不飽和単量体0〜30重量%、多官能架橋性単量
体および、または多官能グラフト単量体0.1〜10重
量%からなる単量体混合物を重合してなる少なくとも1
層の軟質重合体層10〜90重量部と、アルキル基の炭
素数が1〜4である少なくとも1種のメタクリル酸アル
キルエステル50〜100重量%、これらと共重合可能
な不飽和単量体0〜50重量%、多官能架橋性単量体お
よび、または多官能グラフト単量体0〜5重量%からな
る単量体混合物を重合してなる少なくとも1層の硬質重
合体層10〜90重量部との組み合わせからなり、かつ
最外層は多官能架橋性単量体および多官能グラフト単量
体を含有せず重合してなる該硬質重合体層よりなる多層
構造重合体であることを特徴とする耐熱性耐衝撃性メタ
クリル系樹脂組成物に関する。
【0007】本発明で用いる共重合体[I]は、メタク
リル酸メチル50〜95重量%、N−シクロヘキシルマ
レイミドおよび、またはアルキル基の炭素数が2〜4で
あるN−アルキルマレイミド5〜40重量%、これらと
共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%からなる単量
体混合物を重合して得られる共重合体であって、本発明
の樹脂組成物に耐熱性を付与する作用を有する。
【0008】共重合体[I]中の各構成単位の割合は、
共重合体[I]の耐熱性、耐候性、透明性、および弾性
共重合体[II]との相溶性などから、いずれの単量体成
分も上記の範囲が最適であり、この範囲外では耐熱性、
耐候性、透明性等に問題が生じる。
【0009】さらに詳しくは、メタクリル酸メチルが5
0重量%未満では機械的強度および耐候性が低下し、9
5重量%を超えると耐熱性の向上が小さい。N−シクロ
ヘキシルマレイミドおよび、またはアルキル基の炭素数
が2〜4であるN−アルキルマレイミドは耐熱性の向上
に寄与し、他のマレイミドに比べ良好な色相、耐候性が
得られる。
【0010】また、これらと共重合可能な不飽和単量体
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のア
クリル酸エステル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベ
ンジル等のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等、およびN−
フェニルマレイミド、N−オルソクロロフェニルマレイ
ミド、N−メチルマレイミドが挙げられ、それらは単独
または併用して用いられる。
【0011】共重合体[I]は、上記単量体混合物をラ
ジカル重合開始剤の存在化、懸濁重合、塊状重合、溶液
重合等公知の重合方法により製造することができる。
【0012】本発明の弾性共重合体[II]は、多層構造
重合体であって、公知の乳化重合法が用いられる。乳化
重合に使用される乳化剤の種類と量は、重合系の安定
性、目的とする粒子径等によって選択されるが、アニオ
ン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性
剤等公知の乳化剤を単独または併用して用いることがで
き、特にアニオン界面活性剤が好ましい。乳化重合に使
用される重合開始剤としても特に限定されず、パースル
フェート系あるいはレドックス系の開始剤が用いられ
る。また、必要に応じてアルキルメルカプタン等の連鎖
移動剤が用いられる。
【0013】乳化重合において、単量体、乳化剤、重合
開始剤、連鎖移動剤等は、一括添加法、分割添加法、連
続添加法等の任意の方法により添加される。
【0014】乳化重合により得られたそれぞれの重合体
ラテックスを均一混合した後、析出凝固させる方法は特
に限定されず、塩析法、酸析法、噴霧法および凍結法等
が可能である。
【0015】本発明の多層構造重合体は、少なくとも1
層以上の軟質重合体層10〜90重量部と少なくとも1
層以上の硬質重合体層10〜90重量部からなり、かつ
最外層が硬質重合体層であることを特徴とし、軟質重合
体層が10重量部未満では衝撃強度が低くて好ましくな
く、また逆に硬質重合体層が10重量部未満では汎用の
メタクリル樹脂等との混練性が低下し好ましくない。
【0016】多層構造重合体での軟質重合体層はイソプ
レンとアルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも
1種のアクリル酸アルキルエステルにより構成される。
軟質重合体層を構成するイソプレンの組成割合は9.9
〜90重量%、より好ましくは35〜80重量%であ
り、10重量%未満では耐候性試験において衝撃強度が
低下する場合が生じ、また90重量%を超えると耐候性
試験で黄色味の着色が見られ色相が変化して好ましくな
い。もう一方のアクリル酸アルキルエステルの組成割合
は軟質重合体層を構成するイソプレンとのバランスによ
り成り立ち、樹脂の透明性の保持においては硬質重合体
層の屈折率により決定される。
【0017】それ故、アクリル酸アルキルエステルの組
成割合は9.9〜90重量%であり、より好ましくは2
0〜65重量%である。イソプレンとは逆に9.9重量
%未満では耐候性試験において色相が変化して好ましく
なく、90重量%を越えると衝撃強度が低下する場合が
生じて好ましくない。ここで用いられるアクリル酸アル
キルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12
である少なくとも1種であり、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸
ベンジル等が挙げられ、好ましくはアクリル酸ブチル、
アクリル酸−2−エチルヘキシルである。 これらと共
重合可能な不飽和単量体としては、1,3-ブタジエン、2,
3-ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メ
タクリル酸ベンジル、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等、およびN−シクロヘキシルマレイミド、N−
t−ブチルマレイミドなどのアルキル基の炭素数が2〜
4であるN−アルキルマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド、N−オルソクロロフェニルマレイミド、N−メチ
ルマレイミド、が挙げられ、それらは単独または併用し
て用いられる。
【0018】また、多官能架橋性単量体および多官能グ
ラフト単量体は0.1〜10重量%であり、多官能架橋
性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジビニルベンゼン等が、また多官能グラフト単量体
としては、アリルメタクリレート、アリルアクリレー
ト、アリルマレエート、アリルフマレート、ジアリルフ
マレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられ、それ
らは単独または併用して用いられる。
【0019】多層構造重合体での硬質重合体層には、透
明性および耐候性の面からアルキル基の炭素数が1〜4
の少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステル50
〜100重量%が用いられ、特に好ましくはメタクリル
酸メチルである。これらと共重合可能な単量体としては
不飽和単量体0〜50重量%であり、また多官能架橋性
単量体および多官能グラフト単量体は0〜5重量%であ
りアクリル酸アルキルエステルを含む軟質重合体層で用
いられた全ての単量体が単独または併用して使用でき
る。
【0020】一方、多層構造重合体の最外層は汎用のメ
タクリル樹脂との相溶性の点から硬質重合体層からな
り、全量に対する最外層の割合が10重量部以上が好ま
しい。最外層を構成する単量体は、上記硬質重合体と同
様、透明性および耐候性の面からアルキル基の炭素数が
1〜4の少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステ
ル50〜100重量%が用いられ、特に好ましくはメタ
クリル酸メチルである。また、これらと共重合可能な単
量体としては、不飽和単量体0〜50重量%であり、多
官能架橋性単量体および多官能グラフト単量体を除く上
記硬質重合体層で用いられた全ての単量体が使用でき
る。更に、汎用のメタクリル樹脂との相溶性の面からn
−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等
の連鎖移動剤が好ましく用いられる。
【0021】本発明の多層構造重合体である弾性共重合
体[II]は、これら各層ごとの単量体混合物を逐次乳化
重合することにより、重合体ラテックスとして得られ
る。
【0022】本発明の耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂
組成物を構成する共重合体[I]と弾性共重合体[II]
の配合割合は、共重合体[I]10〜99重量部に対し
弾性共重合体[II]1〜90重量部、より好ましくは共
重合体[I]30〜90重量部に対し、弾性共重合体
[II]70〜10重量部であり、共重合体[I]が10
重量部未満では、耐熱性、流動性に劣り、共重合体
[I]が99重量部を超えると耐衝撃性が劣る。
【0023】本発明の耐熱性耐衝撃性メタクリル樹脂組
成物により得られる射出成形品、シート・フィルムおよ
びこれらの加工品は、高い耐熱性と良好な耐衝撃性を有
し、色相等の光学的性質、衝撃強度双方の耐候性に優れ
たものである。
【0024】メタクリル系樹脂に通常用いられる紫外線
吸収剤、酸化防止剤、滑剤、染顔料等を必要に応じて添
加することができる。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例における「%」および「部」は全て「重量%」お
よび「重量部」であり、使用する単量体、重合開始剤、
連鎖移動剤等の略称は下記のものが使用される。メタク
リル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、
アクリル酸エチル(EA)、アクリル酸ブチル(B
A)、イソプレン(IP)、1,3−ブタジエン(B
D)、スチレン(St)、メタクリル酸アリル(ALM
A)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDM
A)、n−オクチルメルカプタン(nOM)。
【0026】横線(−)は同一層を形成するために用い
られる単量体等を分けるのに使用され、斜線(/)は層
がことなることを意味する。
【0027】実施例に示した諸物性の測定は下記の方法
に従って実施した。 (1)HDT ;ASTM−D648(264psi) (2)アイゾット衝撃強度(ノッチ付き);ASTM−D256 (3)全光線透過率、ヘイズ ;ASTM−D1003(3mm厚) (4)測色値b ;ハンター測色色差計(3mm厚) (5)粒子径 ;電子顕微鏡で測定。 (6)耐侯性テスト ;促進暴露試験、暴露時間1000hrs (サンシャインウェザーメーター) 上記(2)〜(4)を評価。 実施例1 共重合体[I−1] 還流冷却器付き耐圧重合槽に、懸濁分散剤を含む純水1
00部を仕込み、次いでメタクリル酸メチル78部、ア
クリル酸メチル2部、N−シクロヘキシルマレイミド2
0部、ラウロイルパーオキサイド0.4部、n−オクチ
ルメルカプタン0.15部、滑剤としてステアリルアル
コール0.1部の混合溶液を仕込み、攪拌しながら窒素
で雰囲気を置換した後、80℃に昇温し2時間、次いで
95℃で1時間重合して、水洗、乾燥しビーズ状重合物
を得た。 弾性共重合体[II−1] 還流冷却器付き耐圧反応容器に、蒸留水140部、ステ
アリン酸ナトリウム0.4部、N−ラウロイルザルコシ
ン酸ナトリウム0.4部、ピロリン酸ナトリウム0.5
部、硫酸第一鉄0.005部、デキストロース0.2部
を仕込み、次いでアクリル酸ブチル27部、メタクリル
酸アリル0.7部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ
ーオキシド0.15部を加え、耐圧反応容器内を窒素置
換した後イソプレン43部を加え、60℃に昇温し2時
間重合した。
【0028】次いで、得られたラテックスにロンガリッ
ト0.12部、蒸留水60部を加え、50℃に降温した
後、メタクリル酸メチル22部、アクリル酸エチル1
部、N−シクロヘキシルマレイミド7部、キュメンハイ
ドロパーオキシド0.10部、およびn−OM0.06
部からなる単量体混合物を120分かけて連続的に添加
し、添加終了後120分間保持して2層構造の弾性共重
合体[II−1]を得た。得られたラテックスの粒子径は
0.13μmであった。
【0029】得られたラテックスをステンレス製容器に
入れ、冷凍庫中、−20℃温度条件下で凍結させた。凍
結したラテックスを50℃で融解させた後、瀘別して弾
性共重合体[II−1]を分離した。さらに蒸留水で水洗
脱水を3回繰り返した後、60℃−10時間乾燥した。
【0030】共重合体[I−1]70部と弾性共重合体
[II−1]30部を混合し、50φのシート押出機を用
いてシリンダー温度250℃で熔融混練し、3mm板厚
の押出板を得た。得られた押出板から試験片を切りだし
評価した結果を表−1に示す。この試験片をサンシャイ
ンウエザーメーター(スガ試験機、WEL−SUN−H
C)で2000時間の加速曝露テストを行ったところ、
アイゾット衝撃強度の低下および色相の変化は非常に少
なかった。
【0031】得られた結果から、本発明による樹脂組成
物は初期の耐衝撃性に優れるとともに、耐候性試験後に
おいても良好な衝撃強度および色相の保持性示し、耐侯
性が明らかに改良されていることが判る。 実施例2〜8 共重合体[I−2]〜[I−4] 実施例1と同様の方法により、組成、耐熱性、流動性等
のそれぞれ異なる共重合体[I−2]〜[I−4]を得
た。これら共重合体の組成は表−1に示す。 共重合体[I−5] 共重合体[I−5]は多層構造の弾性共重合体と同様の
乳化重合で製造し、弾性共重合体とラテックス状態で混
合した後、凝固させて取り出し使用した。 弾性共重合体[II−2]〜[II−5] 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造の弾性共重合体[II−2]〜[II
−5]を得た。これら弾性重合体の層数、組成、粒子径
は表2に示す。
【0032】得られた各共重合体と各弾性共重合体の混
合割合を変えて、実施例1と同様の方法により50φの
シート押出機を用いて得られた3mm板厚の押出板の評
価結果を表3に示す。これら実施例で得られた押出板の
アイゾット衝撃強度および色相は本発明を満足するもの
であるとともに、双方の耐候性も良好であった。また、
これらの押出板と同一組成のペレットからの射出成形品
も押出板と同様の結果を示した。
【0033】得られた結果から、本発明による樹脂組成
物は初期の耐衝撃性に優れるとともに、耐候性試験後に
おいても良好な衝撃強度および色相の保持性示し、耐侯
性が明らかに改良されていることが判る。 比較例1〜6 共重合体[I−6] 実施例1と同様の方法により、組成の異なる共重合体
[I−6]を得た。この共重合体の組成は表1に示す。 弾性共重合体[II−6]〜[II−7] 実施例1と同様の方法により、層数、組成、粒子径のそ
れぞれ異なる多層構造の弾性共重合体[II−6]〜[II
−7]を得た。これら重合体の層数、組成、粒子径は表
2に示す。
【0034】得られた各共重合体と各弾性共重合体の混
合割合を変えて3mm板厚の押出板を試作評価した結果
を表4に示す。これら比較例で得られた押出板の加速暴
露での耐候性試験で、アイゾット衝撃強度および色相の
双方を満足する結果は得られなかった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】本発明の耐熱耐衝撃性メタクリル系樹脂
組成物は、高い耐熱性と初期の耐衝撃性に優れるととも
に耐候性試験後においても衝撃強度および色相の双方を
満足する優れた耐侯性を有し、射出成形品、シート・フ
ィルムおよびこれらの加工品に最適である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル50〜95重量%、
    N−シクロヘキシルマレイミドおよび、またはアルキル
    基の炭素数が2〜4であるN−アルキルマレイミド5〜
    40重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体0〜3
    0重量%からなる単量体混合物を重合して得られる共重
    合体[I]10〜99重量部と、弾性共重合体[II]1
    〜90重量部からなり、該弾性共重合体[II]は、イソ
    プレン9.9〜90重量%とアルキル基の炭素数が1〜
    12である少なくとも1種のアクリル酸アルキルエステ
    ル9.9〜90重量%、これらと共重合可能な不飽和単
    量体0〜30重量%、多官能架橋性単量体および、また
    は多官能グラフト単量体0.1〜10重量%からなる単
    量体混合物を重合してなる少なくとも1層の軟質重合体
    層10〜90重量部と、アルキル基の炭素数が1〜4で
    ある少なくとも1種のメタクリル酸アルキルエステル5
    0〜100重量%、これらと共重合可能な不飽和単量体
    0〜50重量%、多官能架橋性単量体および、または多
    官能グラフト単量体0〜5重量%からなる単量体混合物
    を重合してなる少なくとも1層の硬質重合体層10〜9
    0重量部との組み合わせからなり、かつ最外層は多官能
    架橋性単量体および多官能グラフト単量体を含有せず重
    合してなる該硬質重合体層よりなる多層構造重合体であ
    ることを特徴とする耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 軟質重合体層がイソプレン35〜80重
    量%とアルキル基の炭素数が1〜12である少なくとも
    1種のアクリル酸アルキルエステル20〜65重量%、
    これらと共重合可能な不飽和単量体0〜30重量%、多
    官能架橋性単量体および、または多官能グラフト単量体
    0.1〜10重量%からなる単量体混合物を重合してな
    る請求項1記載の耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 弾性共重合体[II]において、全量に対
    する最外層の割合が10重量部以上である請求項1,2
    記載の耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 多層構造重合体の粒子径が0.01〜
    0.5μmである請求項1〜3記載の耐熱性耐衝撃性メ
    タクリル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 アクリル酸アルキルエステルがアクリル
    酸ブチルである請求項1〜4記載の耐熱性耐衝撃性メタ
    クリル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 弾性共重合体[II]において、内層が軟
    質重合体層、外層が硬質重合体層よりなる二層構造重合
    体である請求項1〜5記載の耐熱性耐衝撃性メタクリル
    系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 弾性共重合体[II]において、内層が硬
    質重合体層、中間層が軟質重合体層、および外層が硬質
    重合体層よりなる三層構造重合体である請求項1〜5記
    載の耐熱耐性衝撃性メタクリル系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 弾性共重合体[II]において、内層が軟
    質重合体層、第二層が硬質重合体層、第三層が軟質重合
    体層、外層が硬質重合体層よりなる四層構造重合体であ
    る請求項1〜5記載の耐熱性耐衝撃性メタクリル系樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 弾性共重合体[II]において、各層間に
    任意の重合体層が存在し得る請求項6〜8記載の耐熱性
    耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物。
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