JP3400139B2 - オレフィン系重合体の積層微孔性フィルム、その製法およびその用途 - Google Patents

オレフィン系重合体の積層微孔性フィルム、その製法およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オレフィン系重合体の
微孔性積層フィルムに関するものであって、より詳しく
は、引張強度に優れ、低い透過性遮断温度(閉塞温度)
を有する微孔性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】電池用セパレータとして、ポリプロピレ
ンの微孔性フィルムが使用されることは特公昭46−4
0119号公報に記載されているように、本出願前に知
られている。このフィルムは、ポリプロピレンが本来有
する剛性に加えて、微孔構造が貫通孔であることから、
フィルムに腰があり(剛性に優れる)、電池組立時の機
械的ストレスに対する抵抗性に優れ、セパレータ適性が
良く、使い易いとともに、製造時の不良率の少ないフィ
ルムである。このポリプロピレン微孔性フィルムは電解
液と電解質を微孔中に含有した状態で常温付近では良好
な電気伝導性を示すが、高温領域では電気抵抗が増大す
る特性を示すことが知られている。
【0003】この性質は、セパレータとして用いた電池
が短絡等で異常電流が流れたときに、電池内部の熱抵抗
により温度が上昇する結果、更に内部抵抗が増大し、過
大電流が流れるのを阻止する機能が期待できるが、ポリ
プロピレンの場合、180℃以上でないとそのための十
分な内部抵抗の増大はないとされている。近年、電池の
高性能化が進むことにより、小さな容積の中に大エネル
ギーを貯蔵することになったこともあり、異常電流が流
れたときにその阻止機能を比較的低温領域においてセパ
レータにも求めることは安全性の観点から当然の成り行
きである。
【0004】そこで、このような機能(短絡時等の電流
遮断機能)を期待し、更にその強化と低温化を目的とし
た技術として、粘度平均分子量30万以下のポリエチレ
ンと粘度平均分子量100万以上のポリエチレンの混合
物を用いた微孔性フィルムからなる電池用セパレータが
提案されている(特開平2−21559号公報)。この
発明は、実施例によれば、粘度平均分子量20万の高密
度ポリエチレン17重量%と粘度平均分子量300万の
ポリエチレン83重量%との混合物(実施例1)、およ
び粘度平均分子量25万の低密度ポリエチレン17重量
%と粘度平均分子量300万のポリエチレン83重量%
とからなる混合物(実施例2)を一軸延伸することによ
って、厚さ25μm、気孔率80%のポリエチレン微孔
フィルムからなる電池用セパレータを作製している。
【0005】また、この発明の関連技術として、特開昭
63−276533号公報には、超高分子量ポリエチレ
ン微多孔膜と補強用多孔性基材とが間欠的な部分で融着
されている積層膜が開示されている。この発明の実施例
においては、超高分子量ポリエチレン微多孔膜の厚さが
4μmであり、この程度の厚さでは、電池用セパレータ
として用いた場合、電池を組み立てる工程で破膜しやす
く実用的でない。
【0006】さらに、特開平3−105851号公報に
は、重量平均分子量が70万以上の超高分子量ポリエチ
レンを1重量%以上含有し、重量平均分子量/数平均分
子量が10〜300のポリエチレン組成物からなるリチ
ウム電池用のセパレータが開示されている。この発明の
実施例においては、前記高分子量ポリエチレンは、いず
れも少量成分として使用されており、ポリエチレンの全
体量に対して、13.3重量%(実施例1)の割合で用
いられているにすぎない。そして、この発明における上
記ポリエチレン組成物は、重量平均分子量/数平均分子
量が10〜300と比較的広い分子量分布のものを使用
しており、得られるセパレータの強度は、2.0Kg/
10mm幅(厚みから換算すると、2000Kg/cm
2 )のものが得られている。
【0007】また、特開平5−25305号公報には、
重量平均分子量70万以上の超高分子量ポリエチレンの
1〜69重量%と、高密度ポリエチレンの98〜1重量
%と低密度ポリエチレンの1〜30重量%を含有する成
分の重量平均分子量/数平均分子量が10〜300であ
る組成物、あるいは、前記超高分子量ポリエチレン30
ないし90重量%と、低密度ポリエチレン10〜70重
量%からなる組成物を二軸延伸して得られた電池用セパ
レータ用途を目的としたポリエチレン微多孔膜の技術が
開示されている。この発明においても、実施例に示され
たセパレータの特性は、引張破断強度が、3成分系での
最大値がMD方向で920Kg/cm2 、TD方向で7
20Kg/cm2 、2成分系での最大値が両方向ともに
720Kg/cm2 である。
【0008】さらに、これらの先行技術の基本的な考え
方は、主要部分の汎用分子量の高密度ポリエチレンもし
くは低密度ポリエチレン成分で、電流遮断温度の低温化
を図り、さらに少量の超高分子量ポリエチレンを加える
ことで、二軸延伸特性を付与し、同時に、フィルム強度
を確保するものである。しかし、フィルム強度が充分高
く、電流遮断温度の低い、セパレータとして用いるに適
したフィルムは未だ得られていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】そこで、本発明の
目的は、引張強度に優れるとともに、電流遮断機能に優
れたフィルムを提供することにある。さらに本発明の他
の目的は、機械的ストレスに対する抵抗が十分であるた
め、正負両極間に配置して渦巻状に巻回する際、あるい
は渦巻状物を電池ケースに収納する際に破れたり、裂け
たりすることが著しく改善された電池用セパレータを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために提案されたものであって、特定の高分子量
ポリオレフィン二軸延伸微孔性フィルム層と、特定の微
孔性のエチレン系重合体フィルム層とからなり、かつ、
膜厚、引張強度、透気性が失われる温度を規定した微孔
性積層フィルムに重要な技術的特徴を有するものであ
る。すなわち、本発明によれば、極限粘度[η]が5d
l/g以上の高分子量ポリオレフィンからなり、引張強
度が1,000Kg/cm2 以上で厚さが10μm以上
の二軸延伸微孔性フィルム層(A) と、フィルムの透気性
が失われる温度(以下、閉塞温度という)が140℃以
下で厚さが5μm以上の二軸延伸エチレン系重合体微孔
性フィルム層と、からなり、全層の厚さが60μm以下
であることを特徴とする積層微孔性フィルムが提供され
る。
【0011】さらに、本発明によれば、上記微孔性積層
フィルムからなる引張強度等の特性に優れた電池用セパ
レータが提供される。
【0012】
【発明の具体的説明】本発明の微孔性積層フィルムは、
極限粘度[η]が5dl/g以上の高分子量ポリオレフ
ィンからなり、引張強度が1,000Kg/cm2 以上
で厚さが10μm以上の二軸延伸微孔性フィルム層(A)
と、フィルムの閉塞温度が140℃以上で厚さが5μm
以上の二軸延伸エチレン系重合体微孔性フィルム層(B)
とを積層したものであってかつ、全層の厚さが60μ
m以下に構成されることによって特徴付けられる。
【0013】本発明によって提供される微孔性積層フィ
ルムは、引張強度が著しく大きく、電気抵抗率が小さい
こと、さらに寸法安定性、特に高温(105℃)での寸
法安定性が優れていることが重要な特徴である。このよ
うな優れた物性を有する微孔性積層フィルムは、電池用
セパレータ、特にリチウムイオン電池用セパレータとし
ての用途に好適である。すなわち、リチウムイオン電池
用セパレータに求められる物性としては、強度が大き
く、大電流が流れた時の電流遮断温度がある程度低いこ
と、また高温寸法安定性に優れていることが必要であ
り、さらに電池性能に直接影響を与える電気抵抗率が使
用可能範囲の上限以下で、できるだけ小さいことが好ま
しい。本発明の微孔性積層フィルムは、これらの要望特
性をことごとく満足するものである。
【0014】これに対して、フィルムの強度が小さい
と、電池組立時の作業中に破損して生産性が悪くなり、
また、大電流が流れた時に電流が遮断されないと、リチ
ウム電池の場合は180℃程度でリチウム電極が溶解し
て発火してしまうし、さらに、105℃程度の温度でフ
ィルムが収縮してしまうと、電極両端部が露出してしま
うため、正極と負極が短絡する虞があり、電池の安全性
の点で問題がある。また、電気抵抗率が大きいと電池性
能を悪化させる。
【0015】本発明の微孔性積層フィルムは、前記特性
に加えて、平均細孔径が0.01ないし0.5μm、好
ましくは、0.05ないし0.2μmであること、空孔
率が30ないし70%、好ましくは、35ないし60%
であること、ガーレー秒数が50ないし2000秒/1
00cc、好ましくは、100ないし1500秒/10
0cc、さらに好ましくは、100ないし1000秒/
100ccである特性を有する。
【0016】本発明における前記特性は、下記の方法に
よって測定されたものである。
【0017】〈極限粘度〉本明細書中での極限粘度はデ
カリン溶媒にて135℃で測定する値である。測定法は
ASTM D4020に基づいて行う。
【0018】〈膜厚の測定〉東京精密株式会社製膜厚測
定機ミニアックス(型式DH−150型)にて測定し
た。
【0019】〈平均細孔径〉走査型電子顕微鏡による1
0,000倍程度の拡大倍率で観察することにより求め
る。
【0020】〈空孔率〉試料重量を測定し、フィルムの
密度を0.95g/cm3 として、緻密フィルムとして
の厚みを計算で求め、上述の膜厚測定機による値との関
係で求めた。 ここで、TO は膜厚測定機で求めた実際のフィルムの厚
み、そして、TW は重量から計算した空孔率0%のフィ
ルムの厚みである。
【0021】〈引張強度〉オリエンテック社製引張試験
機テンシロン(型式RTM100型)で室温(23℃)
で行った。試料形状はJIS1号ダンベルであり、クラ
ンプ間距離は80mmで引張速度は20mm/分であ
る。本発明に規定する引張強度は、フィルムの全方向に
わたって前述した値を保持されなければならない。
【0022】〈フィルムの電気抵抗率と閉塞温度〉予
め、乾燥窒素雰囲気下(水分量50ppm以下)で無水
過塩素酸リチウムの1mole/ιの溶液をモレキュラ
ーシーブ(和光純薬製:4A)で脱水処理した炭酸プロ
ピレンを溶媒として調製した。この溶液を、減圧操作を
利用して、フィルムに含浸した。このフィルムをニッケ
ル電極に挟み、昇温下でインピーダンスメーター(三田
無線研究所製:モデルD−52S)でフィルムの電気抵
抗率を測定した。装置、測定法はラマンらの報告(F.
C. Laman et al., J. Electrochme. Soc., Vol.140, 51
-53 (1993) )に基づいた。常温(23℃)での電気抵
抗率をフィルムの電気抵抗率、抵抗率が急激に増大した
温度を閉塞温度とした。電気抵抗率は、電極の材質形状
構造、電解液・電解質の種類によって異なるが、本方法
での測定値では80Ωcm2 /枚以下であれば、電池のセ
パレータ適性を有すると考えられる。
【0023】〈透気性の測定(ガーレー試験)〉JIS
P 8117に準じ、フィルムをB型ガーレーデンソ
メーター(Gurley Densometer:東洋精機製作所製)によ
り測定した。
【0024】〈メルトフローレート:MFR〉ASTM
D1238に記載された方法で、ポリエチレンに相当
する方法で求めた。
【0025】〈破膜温度〉フィルムを内径5cmの金枠
に固定し、所定の温度に保持されたシリコンオイル槽に
投入し、5分間保持し、この間に目視で破損が確認され
たものを破膜とし、その温度を破膜温度とした。
【0026】<積層フィルムの構成(A) 高分子量ポリオレフィン二軸延伸微孔性フィルム層 本発明の積層微孔性フィルムの(A) 層を構成する高分子
量ポリオレフィンとは、デカリン溶媒135℃における
極限粘度[η]が5dl/g以上、好ましくは、5ない
し30dl/g、さらに好ましくは、10ないし30d
l/gの範囲のものである。[η]が5dl/g未満の
ものは、低ポリマー濃度では成形が困難となる虞れがあ
り、一方[η]が30dl/gを超えるものは、詳しく
は後述する炭化水素系可塑剤(B)を添加しても、均一
な混合物をつくることが難しいばかりでなく、溶融粘度
が高くなり、成形性に劣ることとなる。
【0027】このような高分子量ポリオレフィンとして
は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン等を重合した単独重合体または共重合体が挙げら
れ、とくに、エチレン−α−オレフィン共重合体などの
エチレンを主体とする超高分子量ポリオレフィンが好ま
しい。
【0028】(B) エチレン系重合体微孔性フィルム層 本発明の積層微孔性フィルムの(B) 層を構成するエチレ
ン系重合体としては、高圧重合法によって製造される、
密度が0.915g/cm3 ないし0.930g/cm
3 の範囲であって、メルトフローレート(MFR:g/
10min)が0.1ないし50の低密度ポリエチレ
ン、もしくはエチレンと、プロピレン、ブテン−1など
のα−オレフィンや酢酸ビニルなどのビニルモノマーと
の共重合体、および/または、低圧重合法によって製造
される、密度が0.950g/cm 3 ないし0.980
g/cm3 の範囲であって、メルトフローレート(MF
R:g/10min)が0.5ないし30の高密度ポリ
エチレンが用いられる。
【0029】このような高密度ポリエチレンとは、エチ
レンや、エチレンと少量のα−オレフィンを、いわゆる
チーグラー触媒により重合して得られるものをいい、極
限粘度[η]が少なくとも5dl/gの超高分子量ポリ
エチレンを含むものである。共重合の際に用いられるα
−オレフィンとは、プロピレン、1−ブテンなどであ
り、その含有量は5重量%以下が好ましい。
【0030】また、本発明のエチレン系重合体として
は、極限粘度[η]が2.0ないし10.0dl/gの
エチレンと炭素数4ないし8のα−オレフィンからなる
共重合体であって、そのα−オレフィン含有量が、その
共重合体の1000炭素原子当たり1.0ないし7.5
個であるエチレン・α−オレフィン共重合体も使用され
る。中でも、極限粘度[η]が2.0ないし10.0d
l/gのエチレンと炭素数4ないし8のα−オレフィン
からなる共重合体であって、そのα−オレフィン含有量
が、その共重合体の1000炭素原子当たり1.0ない
し5.0個であるエチレン・α−オレフィン共重合体が
好ましく使用される。
【0031】炭素数4ないし8のα−オレフィンとは、
ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、
ヘキセン−1、オクテン−1等の1種または2種以上の
組み合わせが挙げられるが、4−メチルペンテン−1、
ヘキセン−1、オクテン−1等の炭素数6ないし8のα
−オレフィンが少なくとも一成分として用いられている
ことが好適である。
【0032】重合体中のα−オレフィン含有量が100
0炭素原子当たり1.0個未満であるときは、フィルム
が融点以上で流動しやすいため、耐破膜特性が改良され
ず、逆に7.5以上になるときは、機械強度が所望のレ
ベルまで達しないおそれがある。
【0033】<微孔性フィルムの調製> <(A) 層原反シートの調製>本発明の(A) 層を構成する
高分子量ポリオレフィンの二軸延伸フイルムは、下記の
方法によって製造することができる。すなわち、前記高
分子量ポリオレフィン(A) と、後述する炭化水素系可塑
剤(C) とを、(A) 20ないし75重量部と、(C) 80な
いし25重量部とからなるように配合し、溶融混合し、
ついで冷却固化することにより、原反シートを得る。
(A) と(C) との組成比は、上述の範囲にあれば特に限定
されないが、好ましくは、組成物(A) が20ないし50
重量%(混合物全体を100%とする)、特に好ましく
は20ないし40重量%の範囲にある。前記高分子量ポ
リオレフィン(A) と炭化水素系可塑剤(C) との溶融混練
は、たとえば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、
リボンブレンダー、タンブラーブレンダーで混合後、一
軸押出機、二軸押出機等のスクリュー押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサー等で、通常、融点以上、300
℃以下の温度で行い得る。
【0034】ポリマーの融点以下の混練は、混合物の粘
度が高く、均一に混合できない虞がある。また、300
℃以上の温度での溶融混練では、ポリマーの劣化がおこ
り、好ましくない。特に好ましい溶融混練温度は160
ないし250℃の範囲である。原反シートへの成形は、
通常、T−ダイを装着した押出機による押出成形が好ま
しく、また生産性は劣るものの、圧縮成形による方法で
もよい。溶融混練はシートの成形に先だってあらかじめ
行ってもよいし、スクリュー押出機等で溶融混練しなが
ら、ダイより原反シートを押し出す連続法で行ってもよ
い。圧縮成形による場合は予め溶融混練を別途行い、シ
ート状の形状付与を圧縮成形にて行う。原反シートの厚
みは延伸時にチャックで挟み操作するため、0.05m
mないし5mmの範囲にあることが好ましい。
【0035】前記炭化水素系可塑剤(C) とは、沸点が高
分子量ポリオレフィン(A) の融点を超えるもので、好ま
しくは沸点が高分子量ポリオレフィン(A) の融点+10
℃以上、また融点が一般的に110℃以下のものであ
り、110℃以上の温度で溶融混練することにより、容
易に、高分子量ポリオレフィン(A) と分散し、均一な混
合物をつくる分子量2000以下の室温固体の炭化水素
系可塑剤であって、好ましくは、分散性の観点から、分
子量400以上、1000以下のパラフィン系ワックス
を例示することができる。
【0036】パラフィン系ワックスとしては、具体的に
はドコサン、トリコサン、テトラコサン、トリアコンタ
ン等の炭素数22以上のn−アルカンあるいはそれらを
主成分とした低級n−アルカン等の混合物、石油から分
離生成されたいわゆるパラフィンワックス、エチレンお
よびエチレンと他のα−オレフィンとを重合して得られ
る低分子量重合体である中・低圧法ポリエチレンワック
ス、高圧法ポリエチレンワックス、エチレン共重合ワッ
クス、あるいは中・低圧法ポリエチレン、高圧法ポリエ
チレン等のポリエチレンを熱減成により分子量を低下さ
せたワックス及びそれらワックスの酸化物あるいは変性
物等の酸化ワックスまたは変性ワックスが例示される。
本発明にいうところの融点は、ASTM D3417に
より、示差走査型熱量計(DSC)により測定した値で
ある。
【0037】<(A) 層原反シートから炭化水素系可塑剤
(C) の抽出>前記方法にて調製されたシートは、この
後、90℃以下、好ましくは80℃以下の温度で、炭化
水素系可塑剤(C) が実質的に残存しないように抽出除去
処理を施される。かかる炭化水素系可塑剤(C) を抽出除
去することの出来る溶剤(D) としては、n−ヘキサン、
シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デ
カン、n−ドデカンのような炭化水素系低分子量溶剤が
適している。
【0038】なお、原反シートからの炭化水素系可塑剤
の抽出は、このように、フィルムの延伸前に行ってもよ
いが、必ずしもこの時点で行わなくてもよく、延伸中、
および延伸後のいずれの時点で行ってもよい。抽出除去
に当たっては、約50から60℃前後の温度下で行うの
が、処理速度を向上させるため好ましいことである。
【0039】抽出除去処理温度の上限はポリオレフィン
原反シートの軟化点であり、これは炭化水素系可塑剤
(C) の種類、ポリマー(A) と炭化水素系可塑剤(C) の組
成によっても、多少異なるが、80から85℃の範囲に
ある。シートの軟化点以上での長時間による抽出除去処
理は、炭化水素系可塑剤(C) との共存下で高分子量ポリ
オレフィンが結晶化することによって形成された、二軸
延伸性に優れた球晶構造からなる、好適な構造を変化さ
せるため好ましくない。原反シートを非拘束状態(自由
端)で抽出除去処理を行った場合、原反シートは収縮す
る。この収縮は、面積比で30%までの程度であれば、
続く二軸延伸工程での延伸特性を損なうものではない
が、原反が反って、皺が入ることがあり、これはテンタ
ーに装着する際、クリップミスなどを起こして操作上好
ましいものではない。したがって、原反シートからの可
塑剤の抽出除去は少なくとも一方向を拘束状態(固定
端)で行うことが好ましい。
【0040】抽出除去処理後の、シートへの炭化水素系
可塑剤(C) の残存の有無は、炭化水素系可塑剤(C) が結
晶性であれば、示差走査型熱量計(DSC)により、融
点の大小有無で確認することが出来るし、ソックスレー
抽出器をもちいて、高分子量ポリオレフィン(A) を溶解
しない、かつ炭化水素系可塑剤(C) を溶解し得る適当な
溶剤、例えば炭化水素系可塑剤がパラフィンワックスで
あれば、例えば、沸騰n−ヘキサンのようなものを用い
て、原反シートを処理することにより、その重量の減少
から確認することもできる。
【0041】<二軸延伸>上述の方法で得られた炭化水
素系可塑剤(C) を抽出除去した、あるいは含有したシー
トは135℃未満の温度で二軸延伸される。延伸温度の
下限は60℃である。60℃以下の温度での延伸では到
達可能な延伸倍率が低い値に留まるため、高強度を発現
することが困難である。また延伸応力も大きく延伸操作
上、不利である。延伸温度が135℃以上の場合には微
孔性構造をとらず、緻密構造となるため、135℃が延
伸温度の上限である。好ましい延伸温度は90ないし1
30℃である。
【0042】延伸開始に当たって、シートを加熱して延
伸温度に調製する前段階で、長時間、80℃以上の温度
に暴露することは好ましくない。延伸は原反シートを8
0℃以上に加熱した後、5分以内、好ましくは3分以内
に開始されるべきである。調製された原反シートを二軸
延伸する方法は、テンター法による同時もしくは逐次二
軸延伸、あるいは、ロール等により縦方向に延伸後、テ
ンターにより横方向に延伸する逐次二軸延伸法が挙げら
れる。延伸倍率が縦方向、横方向それぞれ6倍以上の場
合には多段延伸が好ましい。この時、延伸温度は、13
5℃を超えない範囲で前段の延伸工程から後段の延伸工
程に向かって温度を上昇させていってもよい。押し出さ
れた原反シートを延伸する際には、前述したように、ダ
イより押し出された溶融状態のシートが冷却されて延伸
温度に入ったときに、炭化水素系可塑剤(C) を抽出除去
し、ついで、延伸を行う方法もあるが、本発明に於いて
は、シート状溶融混合物を、一旦、炭化水素系可塑剤
(C) とともに冷却固化した後、炭化水素系可塑剤(C) を
抽出除去し、再度加熱し、上記延伸温度内で延伸するの
が好ましい。
【0043】また二軸延伸する際の延伸倍率は、通常、
縦方向が3以上、好ましくは、5ないし8倍、横方向が
3倍以上、好ましくは、5倍ないし8倍である。超薄膜
の作製を目的とするときには、縦方向、横方向ともに1
0倍以上の延伸倍率が好ましい。延伸倍率が20倍を超
えると、延伸により作製される高分子量二軸延伸フィル
ムの厚さは、空孔率、原反シートの組成にもよるが40
0分の1以下になるため超極薄フィルム(膜厚1μ以
下)の製作に適している。
【0044】ポリオレフィンフィルムの調製に先だっ
て、ポリマー(A) には炭化水素系可塑剤(C) に加えて、
耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、アンチブロッキング
剤、スリップ剤、顔料、染料、界面活性剤、無機充填剤
等、通常ポリオレフィンに添加して使用される各種添加
剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合しておいても
よい。かくして得られる高分子量ポリオレフィンの二軸
延伸微孔性フィルムは、引張強度が1000Kg/cm
2 以上のものである。
【0045】本発明においては、厚さは10μm以上、
好ましくは15ないし55μmのものである。本発明の
好適な用途であるセパレータとして用いる場合は、好ま
しくは15ないし30μmの範囲である。延伸前に可塑
剤を抽出した場合は、0.1ないし0.5μの比較的平
均細孔径の限定された葉脈状の微孔性構造を有してい
る。葉脈状組織とは、まさに広葉樹の葉脈見本状の組織
を指すものである。すなわち、葉脈の分類中で、羽状網
状もしくは掌状葉脈状に極めて類似している。これらの
葉脈組織は、中心骨格を形成する中央脈を中心に骨格の
中を網目状に配列している、いわゆる脈とに分類され
る。そして、これらの葉脈の上に微細な組織が発達し、
微孔性構造を形成している。
【0046】ポリオレフィンの一軸延伸物は、分子鎖を
最小単位として結晶と非結晶から構成される、マイクロ
フィブリルとその集合体であるフィブリルとから構成さ
れていることは、ピーターリン(A. Peterlin, Colloid
and Polymer Science, Vol.253, page 809-823(1975)
)によって明らかにされている。 マイクロフィブリ
ルは100ないし300オングストローム(0.01な
いし0.03μm)程度の幅を持った繊維状の組織であ
り、フィブリルはマイクロフィブリルが集合して構成さ
れる、幅1000ないし3000オングストローム
(0.1ないし0.3μm)のさらに大きな繊維状組織
である。
【0047】すなわち、フィブリルが円弧状の主骨格、
すなわち中央脈を形成し、その開口部の中を、さらにマ
イクロフィブリル網目状に脈を形成していることがわか
っている。フイブリルより形成される円弧状の開口の径
は約3ないし10μmである。また、その開口部の中の
マイクロフィブリルよりなる網目状の組織の発達が不十
分の場合には、フィブリルより形成される開孔が平均細
孔径となる。この場合、フィルムは電池セパレータとし
て用いたときに、電極からの脱落活物質の通過を許すた
めに、不適当である。また、延伸前に可塑剤を抽出した
フィルムの空孔率は、40ないし80%、好ましくは、
50ないし75%であり、ガーレー秒数は、50ないし
1000秒/100cc、好ましくは、50ないし40
0秒/100ccである。
【0048】延伸後に可塑剤を抽出したフィルムは、マ
イクロフイブリルのみによって構成される、極めて微細
な紙漉き状の組織であって、平均細孔径が、0.01な
いし0.2μmである。フィルムの空孔率は、30ない
し60%、好ましくは、35ないし55%であり、ガー
レー秒数は、100ないし2000秒/100cc、好
ましくは、100ないし1000秒/100ccであ
る。
【0049】<(B) 層原反シートの調製>(B) 層を構成
するエチレン系重合体微孔性フィルムの調製も、前記
(A) 層と重合体が異なるだけで、実質的に同様の方法で
行うことができる。(B) 層の微孔性フィルムを製造する
場合にも、(A) 層の場合と同様に、炭化水素系可塑剤の
抽出は、フィルムの延伸前、延伸中、あるいは延伸後の
いずれの時点で行ってもよいが、閉塞性を高めるために
は、延伸後に抽出するのが好ましい。得られる微孔性フ
ィルムの厚さは、5μm以上、好ましくは、5ないし2
0μmであり、平均細孔径、空孔率、ガーレー秒数は、
(A) 層と同じである。
【0050】<積層フィルムの調製>微孔性積層フィルムの調製法 無孔フィルムの場合、フィルムの積層には、通常、ウェ
ットラミネーション、ドライラミネーション、ホットメ
ルトラミネーション等の方法が使用されるが、本フィル
ムは、微孔構造を保有するため、処理条件によってはフ
ィルムの持つ本来の優れた微孔構造を破壊してしまう恐
れがある。そのため本発明においては、微孔構造を損な
わずに、優れた密着力を得るために、微量の炭化水素系
可塑剤を溶解した溶剤を使用し、浸漬したフィルムから
溶媒のみを乾燥することによって積層を行うのが好まし
い。
【0051】具体的な積層方法としては、(1) 高分子量
ポリオレフィン(A) と炭化水素系可塑剤(C) との混合物
から得られた前記微孔性フィルムと、エチレン系重合体
(B) と炭化水素系可塑剤(C) の混合物から得られた前記
微孔性フィルムとを積層し、ポリエチレンの融点以下の
温度で圧着させ、炭化水素系可塑剤(C) を溶かして接合
させる方法、(2) 可塑剤抽出前のフィルムをかさねて、
或いは可塑剤抽出後のフィルムと可塑剤抽出前のフィル
ムをかさねて一対の金枠にフィルムの全方向或いはフィ
ルムの一方向を固定し、可塑剤抽出溶剤中で可塑剤の抽
出処理を行い、その後、微量に可塑剤を溶解した可塑剤
抽出処理溶剤を乾燥する方法、(3) 可塑剤抽出後のフィ
ルムを、一対の金枠を使用して、一方向或いは全方向を
固定し、微量の可塑剤を溶解した溶剤に浸漬後、溶剤の
みを乾燥する方法、さらには、(4) 第1の層を構成する
高分子量ポリオレフィン(A) と炭化水素系可塑剤(C) と
を、組成比が、(A) 15ないし50重量部と、炭化水素
系可塑剤(C) 85ないし50重量部とからなるように配
合し、溶融混合したものと、また、第2の層を構成する
エチレン系重合体(B) 、とくに、低密度ポリエチレン(B
1)および/または高密度ポリエチレン(B2)と炭化水素系
可塑剤(C) とを、組成比が、(B1)および/または(B2)2
0ないし50重量部と炭化水素系可塑剤(C) 50ないし
80重量部とからなるように配合し、溶融混合したもの
を、共押出し、得られたシートから、延伸前、延伸中、
または延伸後の少なくともいずれかの時点で炭化水素系
可塑剤を抽出するすることによって微孔性のフィルムを
得る方法、等を挙げることができる。
【0052】微量の可塑剤を溶解する溶剤としては、炭
化水素系可塑剤を溶解可能なヘプタン、ヘキサン、塩化
メチレンやアルコール類等の溶剤を使用することができ
る。炭化水素系可塑剤の濃度は、通常1wt%以下が適
当である。1wt%をこえると炭化水素系可塑剤によっ
て微孔が目詰まりを起こし、電気抵抗率に悪影響を及ぼ
す虞がある。また、炭化水素系可塑剤を使用しない場合
には、層間の密着力が小さく、各層が剥れやすい。ま
た、可塑剤濃度が高すぎると、引張強度や破膜温度が低
下する原因になる虞がある。
【0053】積層フィルムにおける積層する層数は、本
発明の目的を達成する上では、二層あるいは三層が適当
であり、積層操作も容易である。積層フィルムの種類と
しては、目的に応じて、高分子量ポリオレフィン層から
は強度保持や低電気抵抗率を、エチレン系重合体層から
は低閉塞温度や耐破膜性を選択し、適当なフィルムを積
層することができる。
【0054】例えば、三層積層フィルムの外側の二層に
低電気抵抗率の強度保持層を選択し、中間層に低閉塞温
度で耐破膜性のあるフィルムを選択することなどができ
る。積層フィルムの密着力(引き剥し力)は、テンシロ
ン引張試験機(オリエンティック社製)を使用し、18
0度引き剥し法により、幅1cmの積層フィルムの各層
を引き剥す力を測定した。引き剥し力は、通常高い方が
よいが、20g/cmを超えると人為的には容易には剥
せなかった。
【0055】本発明における微孔性の積層フィルムは、
特に、下記の特性を有するものであることが好ましい。 (a)平均細孔径 :0.01ないし0.5μm、好まし
くは0.05ないし0.2μm (b)空 孔 率 :30ないし70%、好ましくは35
ないし60% (c)ガーレー秒数:50ないし2000秒/100c
c,好ましくは100ないし1500秒/100、さら
に好ましくは、100ないし1000秒/100cc (d)電気抵抗率 :80Ωcm2 /枚以下、好ましく
は、15ないし60Ωcm2 /枚
【0056】<微孔性積層フィルムの熱処理>前記微孔
性積層フィルムは、用途によっては、寸法安定性、引張
弾性率や引張強度を改良するために熱処理をすることが
できる。延伸操作を終了したフィルムを一旦60℃以下
の温度に冷却し、この後、定長拘束下で80ないし15
0℃の範囲の温度で処理することが好ましい。熱処理を
行うための熱媒体は、空気、窒素ガスなどの気体やポリ
エチレンを溶解、変性しない水、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールのような液体が用いられ
る。好適な処理温度は140℃付近であるが、処理時間
を選ぶことによりこの温度に制限されない。上述の処理
により、空孔率は若干低下しフィルムは処理前に比べ
て、薄くなる。
【0057】<積層微孔性フィルムの表面処理>前記積
層微孔性フィルムは、用途によっては、表面処理を施
し、水等との親和性を改善することができる。特に、ポ
リエチレンは水との親和性に乏しいため、このような処
理は用途によっては欠くことができないものである。表
面処理を行う方法としては、コロナ放電処理、プラズマ
放電処理、電子線処理等が挙げられる。また、アクリル
酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、酢酸ビニル等
のカルボン酸ビニルエステルおよびこれらの混合物から
なる群より選択された親水性基を有するビニル単量体で
フイルムを前処理し、更に、その後電子線照射処理する
方法も特に有効である。親和性の改善の度合いは水の表
面張力を利用した接触角によって示される。例えば、協
和界面科学株式会社製自動接触角計:型式CA−Z型等
によって、行うことができる。これらの処理によって得
られる親和性は、接触角で90度以下、好ましくは80
度以下、更に好ましくは70度以下である。
【0058】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に
説明する。以下実施例及び比較例での部及び%は他に特
定のない限り、すべて重量規準である。
【0059】実施例1 表1に、使用した原料、原料組成およびフィルム調製条
件を示す。まず、原料ポリマーとパラフィンワックス
(融点:69℃、分子量:460)を、表1に示したポ
リマー濃度になるように配合した。次にこの混合物に、
プロセス安定剤として、組成物の総量に対して0.5%
の3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシト
ルエン(BHT)を添加し、この混合物を二軸スクリュ
ータイプの溶融混練機ラボプラストミル(東洋精機製作
所製:形式20R200型)で均一な溶融混練物とし
た。この時の条件は、溶融混練温度190℃でスクリュ
ー回転数は50回転/分、混練時間は10分間であっ
た。
【0060】この溶融混練物を溶融状態で取り出し、一
対のステンレス製のプレス板の間に入れて、金枠(スペ
ーサー:熱さ1mm)で厚みを調整し、それを素早く、
190℃に温度設定した熱プレス機の熱板挟んだ。5分
間圧縮した後、取り出して冷却固化し、プレスシートと
した。二軸延伸前にパラフィンワックスを抽出する場合
には、シートの周囲四辺を二枚の金枠で挟み、シートの
収縮を防ぐように固定し、80℃に加温したn−デカン
槽に約1分間放置した。この際に、パラフィンワックス
抽出除去を容易なものにするために、n−デカンは攪拌
された。次いで、二枚の金枠に固定した脱パラフィンワ
ックスシートを室温(20℃)のn−ヘキサン槽に浸漬
し、含浸しているn−デカンをn−ヘキサンに置換し
た。次いで、金枠に固定したシートを室温で減圧乾燥
し、脱パラフィンワックス乾燥シートを作成した。得ら
れた原反シートを示差走査型熱量計(DSC)により観
察したところ、69℃のパラフィンワックスの融点は認
められなかった。このシートを用いて二軸延伸を行っ
た。
【0061】二軸延伸後にパラフィンワックスを抽出す
る場合には、プレスシートをそのまま用いて二軸延伸を
行った。二軸延伸は、テンターチャック方式の東洋精機
製作所製二軸延伸ヘビー型を用いて行った。二軸延伸
は、同時二軸で行い、延伸速度は1.5m/minで行
った。延伸温度、倍率は表1に示した。得られた延伸フ
ィルムの物性は表2に示した。
【0062】 * a:ブテン、 b:4−メチルペンテン−1 ** HDPE(MFR:0.33)/LDPE(MFR:0.35)=80/20 (重量比)
【0063】
【表2】
【0064】実施例2 フィルムの積層は、ワックス抽出済の二枚のフィルムを
重ね合わせ、金枠に全方向固定し、パラフィンワックス
(融点:69℃、分子量:460)を1%含有する常温
のヘキサン中に5分間浸漬後、常温で自然乾燥を行っ
た。積層後のフィルムは、二層を引き剥す時の引き剥し
力が20ないし30g/cmであった。表3に積層フィ
ルムの物性を示す。
【0065】
【表3】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−182918(JP,A) 特開 平6−234181(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 H01M 2/14 - 2/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極限粘度[η]が5dl/g以上の高分
    子量ポリオレフィンからなり、引張強度が1,000K
    g/cm2 以上で厚さが10μm以上の二軸延伸微孔性
    フィルム層(A) と、 フィルム閉塞温度が140℃以下で厚さが5μm以上の
    二軸延伸エチレン系重合体微孔性フィルム層(B) とから
    なり、 全体の厚さが60μm以下であることを特徴とする積層
    微孔性フィルム。
  2. 【請求項2】 電気抵抗率が15ないし80Ωcm2
    枚である請求項1記載の積層微孔性フィルム。
  3. 【請求項3】 高分子量ポリオレフィンが高分子量ポリ
    エチレンである請求項1または2記載の積層微孔性フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 エチレン重合体が、密度0.950ない
    し0.970g/cm3高密度ポリエチレンである
    か、または該高密度ポリエチレン60重量部以上と、密
    度0.915ないし0.930g/cm 3 の低密度ポリ
    エチレン40重量部以下のブレンド物である請求項1な
    いしのいずれか1項記載の積層微孔性フィルム。
  5. 【請求項5】 エチレン系重合体が、極限粘度[η]
    が、2.0ないし10.0dl/gのエチレンと炭素数
    4ないし8のα−オレフィンとの共重合体であって、そ
    のα−オレフィン含有量が、その共重合体の1000炭
    素原子当たり1.0ないし7.5個である請求項1ない
    のいずれか1項記載の積層微孔性フィルム。
  6. 【請求項6】 積層微孔性フィルムの破膜温度が170
    ℃以上であって、電気抵抗率が40Ωcm2 /枚以下で
    ある請求項1ないしのいずれか1項記載の積層微孔性
    フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1ないしのいずれか1項記載の
    積層微孔性フィルムからなる電池用セパレータ。
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