JP3381692B2 - 半導体吸着コレットおよびダイボンド装置 - Google Patents

半導体吸着コレットおよびダイボンド装置

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JP3381692B2
JP3381692B2 JP34744799A JP34744799A JP3381692B2 JP 3381692 B2 JP3381692 B2 JP 3381692B2 JP 34744799 A JP34744799 A JP 34744799A JP 34744799 A JP34744799 A JP 34744799A JP 3381692 B2 JP3381692 B2 JP 3381692B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体吸着コレッ
ト及びダイボンド装置に関し、更に詳しくは、半導体素
子を真空吸着して移送する半導体吸着コレットの改良、
及び、この半導体吸着コレットを用いたダイボンド装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】図12は、従来の自動ダイボンド装置
(自動ダイボンダー)に使用されているボンディングコ
レットの形状を示した斜視図である。図中の1がコレッ
ト、50、51、52、53はテーパー面であり、対向
する二組のテーパー面によりテーパー部を形成してい
る。7は、このテーパー部により形成される角錐台形空
間の頂点中央部付近に軸方向に設けられた空気路であ
る。
【0003】このコレット1は、半導体ウエハをダイシ
ングして得られた半導体チップ(ペレット)を移送する
ためのものであり、減圧手段を用いて空気路7からその
内部を減圧することにより、各テーパー面により位置決
めを行いつつ、半導体チップを真空吸着することができ
る。
【0004】第13図は、上記コレット1が半導体チッ
プ2を吸着する際の様子を示した斜視図である。ダイボ
ンド装置は半導体チップ2の位置決めを概略の精度で行
うプリアライメント(プリセンタリング)手段を備え、
被移送物である半導体チップは、プリアライメントテー
ブル(プリセンタリングテーブル)上で予めアライメン
トされている。この半導体チップ2の上方から、開口部
を下向きにしたコレット1を下降させて吸着する。つま
り、半導体チップ2に被せる様にコレット1を移動させ
て半導体チップ1を吸着する。
【0005】この時、半導体チップ2の上角部四辺(即
ち、上面と各側面により形成される4つの稜線)と、コ
レット1のテーパー部内面との接触により位置決めを行
う。その力学的原理は、テーパー面50、51、52及
び53により、コレット1の上下方向の力がX−Y平面
方向に半導体チップ2をスライドさせる方向の力に変換
され、最終的に4つのテーパー面と半導体チップ2の上
角部四辺が接触するというものである。従って、半導体
チップ2のコレット1に対する相対的な位置は、4カ所
の線接触部の力学的バランスの良いところで決まり、X
−Y方向位置及びX−Y平面上でのθ回転方向について
正確な位置決めを行うことができる。
【0006】位置決めが完了するとコレット1が上昇
し、半導体チップ2はボンディングテーブルまで移送さ
れて、ボンディングテーブル上の基板などの被実装部材
に移載され実装される。ここで、コレット1が位置決め
完了前に上昇動作を開始すれば、高精度のダイボンド実
装を得ることができない。このため、コレット1の上昇
は、予め定められた位置決め時間、即ち、半導体チップ
1の吸着開始から上記力学的バランスが安定するまでの
時間が経過した後に行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の自動ダイボンド
装置では、コレット1が半導体チップ2に被さった状態
で、半導体チップ2とコレット1の相対的な位置関係を
外部から確認することができないため、これらの相対位
置を調整することが困難であった。この相対位置の偏り
の程度によっては、半導体チップ2が傾いた状態で移載
されてしまい、高精度のダイボンド実装を行うことがで
きないという問題があった。
【0008】また、コレット1による位置決め時間は、
この相対位置の偏りによる影響を受ける場合がある。こ
のため、相対位置を調整することが困難な場合には、コ
レット1による位置決めのための待ち時間を調整するこ
とも困難となり、高精度のダイボンド実装を行うことが
できないという問題があった。
【0009】さらに、ダイシング後の半導体チップ2は
その角部(即ち、隣接する2側面により形成される4つ
の稜線部)が脆く、コレット1との接触や、横方向スラ
イド時の摺動抵抗により、ボンディングツール1のテー
パー部4及び5により形成される四つの角部において、
半導体素子2の角部にカケ、割れ等の破損が発生しやす
いなどの問題点があった。
【0010】ここで、実願平1−55604号(実開平
2−14631号)には、半導体チップの位置決め精度
を高めつつ、その角部の破損を防ぐことを目的としたボ
ンディングコレットに関する記載がある。このボンディ
ングコレットは、その角錐部を、外側から順に第1のテ
ーパー面、半導体チップ上面と平行な支持面、第2のテ
ーパー面により構成し、且つ、第1のテーパー面の四角
を切り欠いて構成されている。
【0011】このボンディングコレットは、半導体チッ
プの集積回路には関係のない不使用領域を上記支持面に
接触させ、位置決め時の水平精度を向上させるものであ
り、切り欠き部は第1のテーパー面にのみ形成される。
このため、コレットが半導体チップに被さった状態で、
半導体チップの位置を確認することはできない。また、
半導体チップの角部にボンディングコレットが当接する
ため半導体チップ角部、特に角部の上角(即ち、隣接す
る側面と上面の3面により形成される角部上端の頂部)
の破損等の問題があった。
【0012】本発明は、上述のような問題点を解決しよ
うとするものであり、ダイボンド装置等の調整を容易に
する半導体吸着コレットを提供することを一つの目的と
し、また、この半導体吸着コレットを用いて、プリアラ
イメント手段による半導体チップのアライメント調整、
あるいは位置決め時間の調整等を容易にしたダイボンド
装置を実現することを一つの目的とする。
【0013】また、本発明は、半導体チップの破損を防
止し、あるいは軽減した半導体吸着コレット又はダイボ
ンド装置を提供することを一つの目的とする。特に、半
導体チップ角部上端の破損を防止等する半導体吸着コレ
ット等を提供することを一つの目的とする。
【0014】さらに、高精度・高品質のダイボンド実装
を行うことができるダイボンド装置を提供することを一
つの目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による半導体吸着
コレットは、開口部より半導体チップを吸着する吸着空
間を形成する2組のテーパー面からなり、吸着させる半
導体チップの対向する上角部を1組のテーパー面に線接
触させるとともに、もう1組のテーパー面を吸着方向に
稜線を有する凸面として形成し、半導体チップの他方の
対向する上角部を各稜線に点接触させるテーパー部と、
吸着空間を減圧するための空気路と、隣接する2つのテ
ーパー面の切り欠きにより吸着空間角部に形成され、半
導体チップ角部の上角を構成する上面及び両側面を露出
させる切り欠き窓とを備えて構成される。この様な構成
により、吸着された半導体チップ角部の上角を形成する
3面、即ち、隣接する2側面と上面を外部から確認する
ことができ、吸着された半導体素子の角部をテーパー面
に接触させることなく移送できる。
【0016】また、本発明による半導体吸着コレット
は、上記テーパー部を構成する各テーパー面の両端に切
り欠きが形成され、少なくとも1つのテーパー面の両端
部に互いに幅の異なる切り欠きが形成される。
【0017】また、本発明による半導体吸着コレット
は、凸面として形成されたテーパー面と、他のテーパー
面とのテーパー角が異なるように構成される。
【0018】また、本発明による半導体吸着コレット
は、上記テーパー部が、少なくとも1つの上記テーパー
面を有する第1の分割本体部と、他の上記テーパー面を
有する第2の分割本体部と、第1、第2のテーパー部片
間に介在させて吸着空間の気密性を保持する気密部材か
らなる。
【0019】また、本発明によるダイボンド装置は、プ
リアライメントテーブル上で半導体チップをプリアライ
メントするプリアライメント手段と、プリアライメント
された半導体チップを吸着し移送する上記半導体吸着コ
レットを備えて構成される。このような構成により、プ
リアライメント調整等が容易になり、高精度のダイボン
ド実装を行うことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1. 図1は、本発明による半導体吸着コレットの一例を示し
た図であり、吸着開口部を正面とした場合の正面図、平
面図及び側面図が示されている。図中の1がコレット、
3は切り欠き、4は切り欠き窓である。50〜53は、
テーパー部を形成する4つのテーパー面である。対向す
るテーパー面50、51が、半導体チップのY方向の位
置決めを行い、対向するテーパー面52、53が、半導
体チップのX方向の位置決めを行う。
【0021】コレット1は、テーパー部により角錐様の
吸着空間(凹部)が形成されており、その最深部分に形
成された空気路7からの減圧により、吸着開口部から半
導体チップを吸着することができる。本実施の形態で
は、吸着開口部に平行な断面が長方形で、その辺が奥へ
行くほど短くなり、線で終わる吸着空間の場合を例に説
明するが、平行断面の形状は吸着する半導体チップの形
状に依存して決められ、また、半導体チップの非挿入領
域の形状は重要でなく、吸着空間は角錐、角錐台、その
他の形状であってもよい。
【0022】切り欠き窓4は、コレット角部(吸着空間
の角部)の吸着開口部側に設けられ、外部から吸着空間
内部を確認することができる4つの覗き窓である。ここ
では、テーパー面50〜53を形成するテーパー壁を、
互いに結合される両端部において所定幅だけ切り落とし
た形状とすることにより、コレットの角部(つまり各テ
ーパー面の相互結合部)に切り欠き窓4を設けている。
この切り欠き幅をこれらテーパー壁の最大厚み未満とす
ることにより、テーパー壁の厚みが前記切り欠き幅より
も小さくなる吸着開口部及びその周辺部に切り欠き窓4
を形成できる。
【0023】図2は、上記コレット1が半導体チップ2
を吸着する際の様子を示した斜視図である。すなわち、
ダイボンド装置のプリアライメントテーブル上で予めプ
リアライメントされた半導体チップ2に対し、コレット
1を下降させ、吸着開口部から被せる様にして吸着する
時の様子を示している。
【0024】この図では、切り欠き窓4が、半導体チッ
プの吸着位置よりも高い位置にまで設けられているた
め、吸着され、或いは吸着されつつある半導体チップの
角部を切り欠き窓を介して外部から観察することができ
る。この時、半導体チップ角部の上角(角部の上端であ
る頂部)を形成する上面及び2側面の合計3面をともに
観察することができる。換言すれば、半導体チップの角
部とともに上角部2辺を観察することができる。また、
脆い半導体チップ2の角部(特に角部の上角)をコレッ
ト1内面に接触させることなくコレット1に吸着するこ
とができる。
【0025】通常、ダイボンド装置では、プリアライメ
ントテーブル上でボンディングコレット1が下降する位
置は固定であり、プリアライメント手段によって半導体
チップ2のプリアライメントされる位置が機械的調整ま
たはセンタリング量のデータ入力により変更できる。こ
のため、コレット1が被さった状態で半導体チップ2の
位置を確認できれば、半導体チップ2のプリアライメン
ト位置の調整が容易となり、微調整を繰り返し行うこと
によりプリアライメント位置を精度良く調整することが
できる。
【0026】また、プリアライメント精度が向上するこ
とにより、吸着時におけるテーパー面との接触による半
導体チップ2のスライド量を減少させることができる。
このため、吸着後におけるコレット1に対する半導体チ
ップ2の位置決め精度の向上は、単なるプリアライメン
ト精度の向上分に止まらず、より高精度の相対的位置決
めを実現できる。
【0027】また、コレット1が被さった状態で半導体
チップ2を確認することができるので、力学的バランス
が安定するまでの時間、即ち、位置決め時間の調整が容
易となる。さらに、吸着時のスライド量を減少させるこ
とにより、位置決め時間を短縮することができるため、
位置決め精度を向上させ、或いはボンディング装置のス
ループットを向上させることができる。
【0028】なお、本実施の形態では、ダイボンド装置
に使用されるダイボンディングコレットの場合の例につ
いて説明したが、本発明による半導体吸着コレットは、
半導体チップを真空吸着して移送する装置に適用するこ
とができ、ダイボンド装置におけるボンディングコレッ
トに限定されない。
【0029】実施の形態2. 実施の形態1では、全てのテーパー面が平面として形成
される場合について説明したが、実施の形態2では、一
部のテーパー面が平面により形成されない場合について
説明する。
【0030】図3は、本発明による半導体吸着コレット
の他の例を示した図である。対向するテーパー面52、
53は、その幅方向中央付近において所定角度を有して
交差する2平面により、吸着方向の稜線を有する凸面と
してそれぞれ形成されている。半導体チップ2のX方向
の位置決めは、この吸着方向の稜線と半導体チップの辺
(上角部)との交点における点接触(微少幅の線接触を
含む)によって行われる。
【0031】テーパー面52、53は平面で形成されて
いないため、対向するテーパー面間の距離はテーパー面
の幅方向において一定でなく、テーパー面の一部のみが
半導体チップに接触して位置決めおよび移送を行う。つ
まり、半導体チップのテーパー面52、53との接触幅
は、テーパー面52、53に対向する半導体チップの辺
の幅よりも小さい。これにより、接触による半導体チッ
プの破損(特に上角部の辺における破損)発生率の低減
に効果がある。
【0032】もう1組のテーパー面50、51は、実施
の形態1の場合と同様に平面で形成されており、テーパ
ー面間の距離はテーパー面の幅方向において略一定であ
る。すなわち、半導体チップの幅がテーパー面50、5
1との接触線幅となり、広い接触線幅をもって位置決め
を行うことができる。これにより、テーパー面50、5
1でY方向だけでなくθ方向の位置決めも行うことがで
きるので、4つのテーパー面により、半導体チップ1の
X−Y方向位置及びX−Y平面上でのθ回転方向につい
て位置決めを行うことができる。この場合、より幅の広
いテーパー面50、51によりθ回転方向の位置決めを
行うこと、すなわち、より幅の狭いテーパー面52、5
3を凸面とすることが望ましい。
【0033】なお、本実施の形態では、テーパー面5
2、53が2平面で形成される凸面の場合について説明
したが、本発明による半導体吸着コレットは、これに限
定されるものではない。すなわち、テーパー面が凸部を
有し、半導体チップ1との接触幅をテーパー面の幅より
も狭くする形状であれば足りる。例えば、テーパー面に
Rを取り、幅方向に滑らかな凸部を有する曲面として形
成してもよい。また、各テーパー面は、ともに吸着空間
の深さ方向(吸着方向)の形状変化は本発明において重
要でく、各テーパー面の傾斜が深さ方向で変化してもよ
い。
【0034】また、本実施の形態では、対向する1組の
テーパー面がともに凸面の場合について説明したが、4
つのテーパー面のうちの少なくとも1面を凸面として構
成すれば、少なくとも半導体チップの1辺について上記
効果を得ることができる。
【0035】さらに、本実施の形態では、テーパー面の
幅方向中央付近に稜線がある例について説明したが、本
発明はこの様な場合に限られない。稜線の位置を調節す
ることにより、以下に説明する実施の形態3と同様の効
果を得ることもできる。
【0036】実施の形態3. 実施の形態3では、接触可能な範囲が規制された半導体
チップを移送するために使用されるテーパー面の切り欠
き幅が異なるコレットについて説明する。
【0037】図4は、半導体吸着コレットにより移送さ
れる半導体チップ2の一例を示した図であり、密着イメ
ージセンサなどで使用される受光部を有する半導体チッ
プが示されている。図中の20はダイシング後の半導体
チップのアウトライン、21は半導体チップ上パターン
のガードリング、22は直線的に配列された受光部であ
る。
【0038】受光部22の配列と同一方向に、この様な
半導体チップ2を直線的に配列させて基板上に実装する
ことにより、多数の受光部からなるイメージセンサを構
成することができる。この場合、隣接する半導体チップ
2上の受光部22間のピッチを小さくする必要があり、
半導体チップ2の両端に位置する受光部22はダイシン
グライン(即ち、ダイシング後のアウトライン20)と
接近してレイアウトされる。
【0039】半導体チップのアウトライン20とガード
リング21の間にあるスクライブラインは、半導体チッ
プの集積回路には関係のない不使用領域である。上述の
理由により、半導体チップ2両端部の受光部22付近で
は、この不使用領域が極端に狭くなっており、この様な
部分にコレット1を当接させると、カケなどの破損が発
生した場合に半導体チップ2の作動に影響を与える可能
性が高い。逆に、受光部22の配列のない部分について
はスクライブラインが広く、コレット1の当接によるカ
ケなどの破損が発生しても、受光部を含む半導体素子の
作動上の問題は発生しない。
【0040】図5は、この様な半導体チップの移送に適
した半導体吸着コレットの一例を示した図である。テー
パー面52、53の一端(図では下側)の切り欠き幅
は、テーパー面50、51の両端の切り欠き幅と同一で
あるが、他端(図では上側)の切り欠き幅が、これらの
切り欠き幅よりも大きくなっている。
【0041】この切り欠き幅が大きい部分を、半導体チ
ップのスクライブラインの狭い部分に一致させれば、テ
ーパー面52、53をスクライブラインの広い部分、す
なわち、受光素子22がレイアウトされていない部分に
のみ接触させることができる。これによって、テーパー
面50〜53をスクライブラインの狭い部分には接触さ
せることなく、コレット1による半導体チップの位置決
め、吸着及び移送を行うことができる。
【0042】なお、本実施の形態では、受光部を有する
イメージセンサ用の半導体チップを移送するためのコレ
ットを例に説明したが、本発明はこれに限定されるもの
でない。例えば、接触可能な範囲が制限された半導体チ
ップや、接触個所により受けるダメージの異なる半導体
チップの移送に本発明による半導体吸着コレットを適用
することができる。
【0043】また、テーパー面52、53の一端の切り
欠き幅を他端よりも大きくした場合について説明した
が、本発明はこれに限定されるものでない。すなわち、
全テーパー面の切り欠き部(8個)を全て等幅にするの
ではなく、一部(1又は2以上)の切り欠き幅を適宜大
きくし、あるいは小さくすることにより、半導体チップ
のテーパー面との接触位置を適切な位置に調整するとい
う本発明の効果が得られる。
【0044】例えば、テーパー面52、53の両端の切
り欠き幅を大きくすることにより、半導体チップ2の辺
の中央部付近で接触させることもできる。また、テーパ
ー面50、51のいずれか一面と、テーパー部52、5
3のいずれか一面に幅の広い切り欠きを設けることもで
きる。ただし、幅の広い切り欠きはいずれか一方のテー
パー部のみに設けることが、他方のテーパー部でX−Y
平面上でのθ回転方向について正確な位置決めを行える
点で望ましい。
【0045】実施の形態4. 実施の形態4では、対向するテーパー面ごとにテーパー
角を異ならせた半導体吸着コレットについて説明する。
【0046】図6〜図8は、コレット1が半導体チップ
と接触し、半導体チップが位置決めされるときの力学的
関係を説明するためのイメージ断面図である。図中の1
はコレット、2は半導体チップ、6は例えばダイボンド
装置のプリアライメントテーブル、φa及びφbはコレ
ット1の軸方向の中心線とテーパー面との角度である。
また、Fdはボンディングツールが上方から下降する
力、Fsはコレット1が半導体チップ2と接触し、半導
体チップ2を横方向へスライドさせようとする力、Fp
はこの時の半導体チップ2にかかる下方向へ押さえつけ
ようとする力を示している。
【0047】図6に示した様に、コレット1に下降する
力Fdが加わると、半導体チップ2を横方向へスライド
させる力Fsが発生する。そして、対向する両テーパー
面に半導体チップ2が接触した時点でスライド方向の力
Fsが相殺されるため、第7図に示した様に、対向する
テーパー角φaが等しくなるように構成される。
【0048】図8は、テーパー角として図7の角度φa
よりも小さい角度φbを採用した場合を示した図であ
る。テーパー角を小さくすることによって、押さえつけ
る力Fpを小さくし、スライド方向の力Fsを大きくす
ることができる。
【0049】図9は、本発明による半導体吸着コレット
の一例を示した図である。図中のφxはコレット1の軸
方向の中心線とテーパー面52、53とのテーパー角、
φyはコレット1の軸方向の中心線とテーパー面50、
51とのテーパー角であり、テーパー角φxはφyより
も大きい。
【0050】すなわち、このコレットは、幅の狭いテー
パー面52、53を凸面とした図3のコレットにおい
て、テーパー面52、53のテーパー角φxをテーパー
面50、51のテーパー角φyよりも小さく形成したも
のである。
【0051】上述の通り、より幅の狭いテーパー面5
2、53を凸面とし、より幅の広いテーパー部50、5
1によってθ回転方向の位置決めを行う場合、テーパー
面50、51による位置決めは長い範囲の線接触で位置
決めをするため比較的安定であるが、テーパー面52、
53による位置決めは点接触又は微小幅接触にて行われ
るため、比較的不安定になりやすい。
【0052】このため、幅の狭いテーパー面52、53
のテーパー角を小さくして、X方向の位置決めする力F
sを、Y方向の位置決めする力Fsよりも大きくするこ
とにより、点接触又は微小幅接触による影響をテーパー
角により調整し、スライド方向の位置決めバランスを改
善することができる。
【0053】なお、本実施の形態では、幅の狭いテーパ
ー面が凸面として形成される場合の例について説明した
が、本発明はこれに限定されるものでない。長方形の半
導体チップの場合、短辺における位置決めが比較的不安
定になりやすいため、短辺側のテーパー角を小さくする
ことにより、同様の効果が得られる。
【0054】さらに、本発明は半導体チップが長方形の
場合に限定されず、例えば、底面形状が略正方形の場合
でも、半導体チップの位置決めする方向に優先順位があ
り、その方向の位置決めする力を、別のもう1方の方向
の位置決めをする力より大きくすることもできる。
【0055】実施の形態5. 実施の形態5では、分解してメンテナンスを行うことが
できるコレットの構造について説明する。
【0056】図10は、本発明による本発明による半導
体吸着コレットの他の例を示した斜視図である。図中の
11、12は分割本体部、13は気密用パッキン、14
は、組立用ネジである。このコレットは、外形形状及び
外形サイズが図1に示したコレットとほぼ同様である
が、コレット自体が分割構造となっている。すなわち、
分割本体部11、12は、パッキン13を介してネジ1
4により係合されてコレットを構成している。
【0057】図11は、このコレットを分解し、コレッ
トを構成する各部品を示した分解図である。分割本体1
1は、半導体チップの位置決めを行うための一つのテー
パー面を有する部品であり、分割本体12は、3つのテ
ーパー面を含む部品である。7は半導体チップを真空吸
着するための空気路である。パッキン13は分割本体1
1、12を組み合わせた場合に、吸着開口部、切り欠き
窓及び空気路7以外の気密を保つためのパッキンであ
り、空気路7を塞がないように二つの部品に分かれてい
る。
【0058】通常、角錐コレットは、そのテーパー部を
半導体チップに当接させて位置決めを行うため、繰り返
し使用するとテーパー部が磨耗したり、テーパー部に傷
が生じたりする。これにより、テーパー部による半導体
チップの位置決めが滑らかに行われなくなるなど、その
状態で製品に半導体チップを実装した場合、実装精度に
悪影響を与える。
【0059】また、磨耗したり、傷が発生したテーパー
部は研磨することにより再生できるが、テーパー面が向
かい合う構造のためその研磨は容易でないことから、従
来は、傷の発生したコレットは廃棄していた。
【0060】コレットの少なくとも1テーパー面を他の
テーパー面から取り外し可能な構造、すなわち、分解可
能な構造とすることにより、テーパー面の研磨を行うこ
とが容易となる。このため、テーパー面が摩耗しあるい
はテーパー面に傷が発生したコレットを生成することが
できる。また、テーパー面を常に理想的な状態とするこ
とができるため、ダイボンディングの実装精度を向上さ
せることができる。さらに、同一のコレットを長期間使
用することができるので経済的である。
【0061】なお、本実施の形態では、コレットを1つ
のテーパー面と3つのテーパー面に分割する場合の例に
ついて説明したが、例えば、それぞれ2つのテーパー面
に分割する場合であってもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明による半導体吸着コレットは、開
口部より半導体チップを吸着する吸着空間を形成する
組のテーパー面からなり、吸着させる半導体チップの対
向する 上角部を1組のテーパー面に線接触させるととも
に、もう1組のテーパー面を吸着方向に稜線を有する凸
面として形成し、半導体チップの他方の対向する上角部
を各稜線に点接触させるテーパー部と、吸着空間を減圧
するための空気路と、隣接する2つのテーパー面の切り
欠きにより吸着空間角部に形成され、半導体チップ角部
の上角を構成する上面及び両側面を露出させる切り欠き
窓とを備えることにより、吸着された半導体チップ角部
の上角を形成する3面を外部から確認することができ、
半導体チップの位置決め精度を向上させることができ
る。また、吸着された半導体素子の角部をテーパー面に
接触させることなく移送でき、半導体チップの破損を低
減することができる。
【0063】また、本発明によるダイボンド装置は、切
り欠き窓を有する半導体吸着コレットを備えることによ
り、プリアライメント等の調整を容易とし、また、ダイ
ボンド実装の精度、歩留まりを向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による半導体吸着コレットの一例を示
した図である(実施の形態1)。
【図2】 図1に示したコレットが半導体チップを吸着
する際の様子を示した斜視図である。
【図3】 本発明による半導体吸着コレットの他の例を
示した図である(実施の形態2)。
【図4】 半導体吸着コレットにより移送される半導体
チップの一例を示した図である(実施の形態3)。
【図5】 図4に示した半導体チップの移送に適した半
導体吸着コレットの一例を示した図である。
【図6】 コレットが半導体チップと接触し、半導体チ
ップが位置決めされるときの力学的関係を説明するため
のイメージ断面図である(実施の形態4)。
【図7】 図6に続き、力学的関係を説明するためのイ
メージ断面図である。
【図8】 図7に続き、力学的関係を説明するためのイ
メージ断面図である。
【図9】 本発明による半導体吸着コレットの一例を示
した図である。
【図10】 本発明による半導体吸着コレットの他の例
を示した斜視図である(実施の形態5)。
【図11】 図10のコレットを構成する各部品を示し
た分解図である。
【図12】 従来の自動ダイボンド装置(自動ダイボン
ダー)に使用されているボンディングコレットの形状を
示した斜視図である。
【図13】 図12に示したボンディングコレットが半
導体チップを吸着する際の様子を示した斜視図である。
【符号の説明】
1:半導体吸着コレット 11、12:分割
本体部 13:気密用パッキン 14:組立用ネジ 2:半導体チップ 20: アウトラ
イン 21:ガードリング 22:受光部 3:切り欠き 4:切り欠き窓 50、51:Y方向位置決め用テーパー部 52、53:X方向位置決め用テーパー部 6:プリアライメントテーブル 7:通気路 φx:X方向位置決め用のテーパー角 φy:Y方向位置決め用のテーパー角 φa、φb:対向する1組のテーパー面のテーパー角 Fd:ボンディングツールが下降する力 Fs:半導体チップが横方向にスライドする力 Fp:半導体チップが押さえつけられる力

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口部より半導体チップを吸着する吸着
    空間を形成する2組のテーパー面からなり、吸着させる
    半導体チップの対向する上角部を1組のテーパー面に線
    接触させるとともに、もう1組のテーパー面を吸着方向
    に稜線を有する凸面として形成し、半導体チップの他方
    の対向する上角部を各稜線に点接触させるテーパー部
    と、 吸着空間を減圧するための空気路と、 隣接する2つのテーパー面の切り欠きにより吸着空間角
    部に形成され、半導体チップ角部の上角を構成する上面
    及び両側面を露出させる切り欠き窓とを備えた半導体吸
    着コレット。
  2. 【請求項2】 上記テーパー部を構成する各テーパー面
    の両端に切り欠きが形成され、少なくとも1つのテーパ
    ー面の両端部に互いに幅の異なる切り欠きが形成された
    請求項1に記載の半導体吸着コレット。
  3. 【請求項3】 凸面として形成されたテーパー面と、他
    のテーパー面とのテーパー角が異なる請求項1に記載の
    半導体吸着コレット。
  4. 【請求項4】 上記テーパー部が、少なくとも1つの上
    記テーパー面を有する第1の分割本体部と、他の上記テ
    ーパー面を有する第2の分割本体部と、第1、第2のテ
    ーパー部片間に介在させて吸着空間の気密性を保持する
    気密部材からなる請求項1から3のいずれか一項に記載
    の半導体吸着コレット。
  5. 【請求項5】 プリアライメントテーブル上で半導体チ
    ップをプリアライメントするプリアライメント手段と、
    プリアライメントされた半導体チップを吸着し移送する
    請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体吸着コレ
    ットとを備えたダイボンド装置。
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