本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。以下では、まず、受光素子200について説明する。次いで、受光素子200を製造する素子製造装置300、受光素子200を製造する製造方法、及び本実施形態の作用について説明する。
なお、下記の説明で用いる+X方向、-X方向、+Y方向、-Y方向、+Z方向(上方)及び-Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、下記の説明では、+-を付さない「X方向」を、「+X方向及び-X方向の両方向」又は「+X方向及び-X方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。+-を付さない「Y方向」を、「+Y方向及び-Y方向の両方向」又は「+Y方向及び-Y方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。+-を付さない「Z方向」を、「+Z方向及び-Z方向の両方向」又は「+Z方向及び-Z方向のいずれか一方向」という意味で用いる場合がある。さらに、X方向、Y方向、Z方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部材における各部分同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比や、各部材同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
《受光素子200》
まず、受光素子200について説明する。図1及び図2には、受光素子200の構成が示されている。なお、受光素子200は、「素子」の一例である。
受光素子200は、図1及び図2に示されるように、X方向に延びている。具体的には、受光素子は、図2に示されるように、X方向に長くされた直方体形状に形成されている。したがって、X方向は、受光素子200の長手方向といえる。また、Y方向は、受光素子200の短手方向であり、受光素子200の幅方向である。なお、X方向は、「一方向」の一例である。
この受光素子200は、長手方向(X方向)と交差する端面202の形状が矩形状にされている。換言すれば、受光素子200は、X方向視にて、矩形状に形成されている。なお、受光素子200は、X方向に断面視した場合でも矩形状に形成されている。
受光素子200は、図1に示されるように、上面203に受光部218を有している。受光部218は、受光素子200が受光する機能を発揮するための部分であり、「機能部」の一例である。機能部は、素子の機能を発揮する部分である。換言すれば、機能部が破損すると、素子の機能を発揮できないようになる部分が機能部である。なお、図2では、受光部218の図示を省略している。
受光素子200は、図2に示されるように、長手方向(X方向)とは交差する幅方向(Y方向)に沿う2つの稜線275を有している。この2つの稜線275は、上面203の長手方向(X方向)の両端に配置されている。さらに、受光素子200は、長手方向(X方向)に沿う2つの稜線295を有している。この2つの稜線295は、上面203の幅方向(Y方向)の両端に配置されている。この2つの稜線295及び2つの稜線275は、下面205からのZ方向の距離が同じとされている。換言すれば、2つの稜線295と2つの稜線275とは、同じ高さに配置されている。なお、2つの稜線275は、「2つの稜線」の一例であり、2つの稜線295は、「他の2つの稜線」の一例である。
受光素子200の寸法は、一例として、長さ(X方向長さ)18mm、高さ(Z方向長さ)0.2mm、幅(Y方向長さ)0.24mmとされている。なお、受光素子200の寸法は、上記の寸法に限られるものではない。
受光素子200の材料として、例えば、シリコン(Si)が用いられている。シリコンは、半導体材料として用いられるヒ化ガリウム等に比べ、Z方向へ凸状に曲げ変形しやすい性質を有している。換言すれば、受光素子200は、Z方向へ凸状に変形可能な材料で構成されている。
受光素子200は、図1に示されるように、例えば、プリント基板102の長手方向(X方向)に沿って、一列に複数配置されることで、受光基板100を構成する。なお、受光基板100としては、受光素子200が、プリント基板102の長手方向(X方向)に沿って、千鳥状に配置される構成であってもよい。
《受光素子200の変形例》
受光素子200は、端面202(X方向視)及びX方向の断面視が矩形状に形成されていたが、これに限られない。例えば、受光素子200としては、端面202(X方向視)及びX方向の断面視が、例えば、T字状やL字状(逆L字状含む)に形成されたものであってもよい。
《素子製造装置300》
次に、受光素子200を製造する素子製造装置300について説明する。図3には、素子製造装置300の構成が示されている。
素子製造装置300は、図3に示されるように、保持装置302と、トレイ401、402と、台304と、移動機構306と、を備えている。
〈トレイ401、402、台304及び移動機構306〉
図3に示されるように、台304は、トレイ401、402が載せられる台である。トレイ401、402は、上下方向を厚み方向とする板状(扁平状)であって、平面視にて略四角形状をしている。このトレイ401、402は、ウエハ14から切り出された複数の受光素子200が載せられる載せ部として機能する。トレイ401、402には、複数の受光素子200のそれぞれが載せられる凹部406が複数形成されている。なお、載せ部としては、トレイ401、402に限られず、箱状のケースなどであってもよい。
移動機構306は、台304をX方向及びY方向へ移動させる機構である。この移動機構306は、台304をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402の複数の凹部406のうち、受光素子200を載せる対象となる凹部406を、予め定められたピックオフ位置に位置させる。
〈保持装置302〉
保持装置302は、受光素子200を保持する装置である。具体的には、保持装置302は、ウエハ14から切り出された複数の受光素子200を1つずつ保持して、トレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に搬送する。なお、複数の受光素子200は、後述するように、ウエハ14から切り出された状態において、粘着シート290(図4及び図12参照)の粘着面290Aに貼り付けられている。なお、粘着シート290は、「粘着材」の一例である。
さらに具体的には、保持装置302は、図3に示されるように、支持部342と、移動機構344と、突上機構320と、保持機構310と、カメラ350と、カメラ353と、制御部359と、を有している。
〈支持部342及び移動機構344〉
図3に示されるように、支持部342は、ウエハ14を支持する機能を有する部分である。移動機構344は、支持部342をX方向及びY方向へ移動させる機構である。この移動機構344は、支持部342をX方向及びY方向へ移動させることで、ピックアップ位置を含む、予め定められたピックアップ領域(以下、単に「ピックアップ領域」という場合がある)に、受光素子200を移動させる。
なお、ピックアップ領域に移動された受光素子200は、後述するように、カメラ350を用いて、ピックアップ位置へ位置決めされる。換言すれば、移動機構344は、精密にピックアップ位置に受光素子200を移動させる機構ではなく、ピックアップ位置を含むピックアップ領域に受光素子200を移動させる機構である。移動機構344は、例えば、予め設定された移動量で、受光素子200を移動させることで、受光素子200をピックアップ領域に移動させる。
ピックアップ位置は、保持対象の受光素子200が保持機構310によって保持される保持位置である。また、ピックアップ位置は、保持対象の受光素子200がカメラ350で撮像される撮像位置でもある。なお、図4において、符号PTで示す位置がピックアップ位置であり、符号200Pで示す受光素子がピックアップ位置に位置する受光素子である。
〈突上機構320〉
突上機構320は、受光素子200を突き上げる機構であり、「突上部」の一例である。具体的には、突上機構320は、図4に示されるように、筒部330と、突上部材としてのニードル322と、吸引部324と、駆動部326(図3参照)と、を有している。
筒部330の上壁には、ニードル322が突き出される貫通孔332が形成されている。筒部330の内部には、貫通孔332と通じる空洞部336が形成されている。空洞部336は、筒部330の側壁に形成された通路338を介して吸引部324と接続されている。
ニードル322は、図3に示される保持機構310の後述の保持部370が受光素子200を保持する際に、図17に示されるように、ピックアップ位置に位置する受光素子200を粘着シート290ごと突き上げる部材である。具体的には、ニードル322は、2つの稜線275が後述の保持部370の一対の第一突当面375に突き当たった状態で(図5、図15参照)、受光素子200を粘着シート290ごと突き上げる。さらに具体的には、ニードル322は、2つの稜線275が一対の第一突当面375に突き当たり、且つ、吸引機構318(図3参照)が受光素子200を吸引した状態で(図16参照)、受光素子200を粘着シート290ごと突き上げる(図17参照)。これにより、受光素子200及び粘着シート290が+Z方向(上方)に反る。換言すれば、ニードル322は、受光素子200及び粘着シート290が+Z方向(上方)に反るように、受光素子200を粘着シート290ごと突き上げる。なお、受光素子200が+Z方向(上方)に反るとは、受光素子200の長手方向中央部が、+Z方向(上方)へ凸状に変形するように反る状態をいう。
ニードル322は、上端部が先細りとなる円柱状に形成されている。また、ニードル322の直径D(図4参照)は、例えば、数百μmとされ、ニードル322の上端の直径は、数十μmとされている。なお、貫通孔332及びニードル322は、図17に示されるように、ピックアップ位置に位置する受光素子200の長手方向(X方向)に沿って複数(例えば3つ)配置されている。
駆動部326(図3参照)は、貫通孔332を通じて筒部330から上方へ突出する突出位置と、筒部330の空洞部336に収納される収納位置との間で、ニードル322を移動させる。なお、前述では、突上機構320を「突上部」の一例として説明したが、ニードル322自体を「突上部」の一例と把握してもよい。
〈保持機構310〉
保持機構310は、受光素子200を保持する機構である。具体的には、保持機構310は、図3に示されるように、筐体311と、アーム312と、駆動部360と、保持具340と、を有している。
{筐体311と、アーム312と、駆動部360}
筐体311は、上部の-Y方向側の側面に開口313を有する箱状に形成されている。アーム312は、筐体311の開口313から-Y方向側へ突出している。
アーム312の基端部は、駆動部360に水平方向(X方向)に移動可能に支持されている。アーム312の先端部には、上下方向に伸縮する伸縮部315を介して、後述の保持部370が取り付けられている。この伸縮部315が伸長することで、保持部370が降下する。伸縮部315が縮むことで、保持部370が上昇する。
{保持具340}
図3に示される保持具340は、受光素子200を保持する具である。具とは、手段を意味する。したがって、保持具340は、受光素子200を保持する保持手段ともいえる。保持具340は、具体的には、保持部370と、吸引機構318と、を有している。
保持部370は、保持具340において、受光素子200を保持する機能を有する部分である。具体的には、保持部370は、粘着シート290上の受光素子200を保持する機能を有している。さらに具体的には、保持部370は、ニードル322によって突き上げられる受光素子200を保持する機能を有している(図17及び図18参照)。
保持部370は、図5に示されるように、本体372と、形成部材371と、を有している。本体372及び形成部材371は、X方向に沿って長さを有している。本体372の長手方向両端部(X方向両端部)には、-Z方向(下方)に突出する一対の突当部374が形成されている。一対の突当部374は、受光素子200の2つの稜線275に突き当たる一対の第一突当面375を有している。一対の第一突当面375は、互いが対向する対向方向(-X、+X方向)及び-Z方向(下方)を向く傾斜面で構成されている。一対の第一突当面375の上端のX方向の距離375Lは、受光素子200の長さ(X方向長さ)よりも短くなっている。
保持具340では、ピックアップ位置に位置する受光素子200の上方に保持部370が位置する状態(図14参照)において、伸縮部315の伸長により、保持部370を降下させることで(図15参照)、受光素子200の2つの稜線275に一対の第一突当面375が突き当る。なお、一対の第一突当面375は、「一対の第一面」の一例である。
図6に示されるように、本体372の短手方向両端部(Y方向両端部)には、-Z方向(下方)に突出する一対の突当部394が形成されている。一対の突当部394は、受光素子200の2つの稜線295に突き当たる一対の第二突当面395を有している。一対の第二突当面395は、互いが対向する対向方向(-Y、+Y方向)及び-Z方向(下方)を向く傾斜面で構成されている。一対の第二突当面395の上端のY方向の距離395Lは、受光素子200の幅(Y方向長さ)よりも短くなっている。なお、一対の第二突当面395は、「一対の第二面」の一例である。
一対の第二突当面395は、一対の第一突当面375よりも+Z方向(上方)に配置されている。換言すれば、保持部370が受光素子200に対して+Z方向側(上方側)から接近した場合に、一対の第二突当面395が2つの稜線295に突き当たる前に、一対の第一突当面375が2つの稜線275に突き当たる構成とされている。また、2つの稜線275が一対の第一突当面375に突き当たった受光素子200が、+Z方向(上方)に反った場合に、一対の第二突当面395が当該受光素子200の2つの稜線295に突き当たる構成とされているともいえる。
ここで、図15における受光素子200及び保持部370の拡大図とも言える図5を用いて、2つの稜線275に一対の第一突出面375が突き当たったときの受光素子200と保持部370の位置関係について説明する。このとき、保持部370の一対の突当部374の下端374Aは、受光素子200の上面203よりも下方に位置している。また、保持部370の一対の突当部394の下端394Aは、受光素子200の上面203よりも上方に位置している。つまり、保持部370の一対の突当部394の下端394Aと、受光素子200の上面203は離間しているため、これらの間で隙間が形成されている。この隙間により、保持部370の一対の突当部374及び一対の突当部394、並びに受光素子200の上面203で囲まれる空間は、外部と通じている。
本体372は、図5及び図6に示されるように、一対の突当部374の間、及び一対の突当部394の間に、-Z方向(下方)に開口する凹溝392が形成されている。換言すれば、本体372の下端部に凹溝392が形成されることで、一対の突当部374と一対の突当部394とが形成されている。そして、凹溝392の周縁部に、一対の第一突当面375及び一対の第二突当面395が形成されている。凹溝392の周縁部とは、具体的には、凹溝392の-Y方向側、+Y方向側、-X方向側、及び+X方向側の縁部である。
また、凹溝392は、底が平面とされている。換言すれば、凹溝392は、平面状の底面393を有している。底面393は、-Z方向(下方)側を向く面である。さらに、底面393は、鏡面加工されている。鏡面加工は、例えば、研磨により行われる。したがって、底面393は、例えば、本体372の他の部分よりも表面粗さが小さい。なお、凹溝392の底とは、凹溝392における開口に対する奥側の部分を意味し、底面393は、凹溝392の奥側の面を意味する。したがって、凹溝392の底とは、必ずしも、凹溝392の-Z方向(下方)側の部分を意味するものではない。
本体372には、図5に示されるように、Z方向に貫通する複数の吸引孔378が形成されている。複数の吸引孔378は、X方向に沿って配置されている。各吸引孔378の下端部は、底面393で開口している。各吸引孔378の上端部は、本体372の上面で開口している。
形成部材371は、本体372との間に空洞377を形成する部材である。この形成部材371は、本体372の+Z方向側(上方側)に設けられており、本体372の上面との間に空洞377を形成している。空洞377の下部は、複数の吸引孔378と通じている。空洞377の上部は、吸引管399を介して吸引機構318(図3参照)と接続されている。
吸引機構318は、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、凹溝392内の空気を吸引する機能を有している。換言すれば、吸引機構318は、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、一対の第一突当面375の間であって、且つ一対の第二突当面395の間の空気を吸引する機能を有している。これにより、受光素子200が+Z方向(上方)へ吸引される。すなわち、吸引機構318は、受光素子200を+Z方向(上方)へ吸引する機能を有しているといえる。なお、空気は、「気体」の一例である。気体の一例としては、窒素などであってもよい。また、+Z方向(上方)は、「吸引方向」の一例である。
本実施形態では、一対の第一突当面375が受光素子200の2つの稜線275に突き当たった状態で、突上機構320による受光素子200の突き上げと、吸引機構318による受光素子200の上方への吸引とによって、受光素子200が、+Z方向(上方)に反る(図17参照)。そして、+Z方向(上方)に反った受光素子200の2つの稜線295に、一対の第二突当面395が突き当る(図18参照)。さらに、吸引機構318による受光素子200の上方への吸引によって、一対の第一突当面375が2つの稜線275に突き当たり且つ一対の第二突当面395が2つの稜線295に突き当った状態が維持される。換言すれば、吸引機構318による受光素子200の上方への吸引によって、受光素子200が、+Z方向(上方)に反った状態が維持される。
このように、吸引機構318の吸引により、一対の第一突当面375が2つの稜線275に突き当たり且つ一対の第二突当面395が2つの稜線295に突き当った状態を維持することで、保持部370は、粘着シート290上に配置された受光素子200を1つ保持する。
さらに、保持部370が受光素子200を保持した状態で、伸縮部315を縮めて保持部370を上昇させることで、受光素子200が粘着シート290から剥離される(図20参照)。換言すれば、吸引機構318の吸引により、受光素子200が+Z方向(上方)に反った状態が維持されたまま、保持部370が上昇して受光素子200が粘着シート290から剥離される。なお、保持機構310の具体的な動作については、後述する。
本実施形態では、さらに、吸引機構318は、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、凹溝392内へ空気を供給する機能を有している。換言すれば、吸引機構318は、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、一対の第一突当面375の間であって、且つ一対の第二突当面395の間へ空気を供給する機能を有している。具体的には、ピックアップ位置に位置する受光素子200の上方に保持部370が位置する状態において、保持部370が降下して保持部370が受光素子200に接近する際に、吸引機構318は、凹溝392内へ空気を供給することで、受光素子200の上面203に空気を供給する(図14参照)。換言すれば、保持部370が受光素子200を保持する前において、吸引機構318は、受光素子200の上面203に空気を供給する。さらに言えば、吸引機構318が吸引を開始する前に、受光素子200の上面203に空気を供給する。なお、吸引機構318は、「吸引部」の一例であり、「供給部」の一例でもある。
吸引機構318としては、例えば、吸引ポンプ等の吸引装置(図示省略)と、供給ポンプ等の供給装置(図示省略)と、を有し、吸引管399との接続が、当該吸引装置と当該供給装置とに切り替えられる機構とされる。なお、吸引機構318としては、単一のポンプを有し、当該ポンプの駆動を切り替えることで、空気の吸引と、空気の供給とを切り替える構成であってもよい。
〈制御部359、カメラ350及びカメラ353〉
図3に示される制御部359は、保持装置302の各部の動作を制御する機能を有している。カメラ350は、粘着シート290の粘着面290A上の受光素子200を撮像する撮像部である。具体的には、カメラ350は、ピックアップ領域に移動された受光素子200をピックアップ位置へ位置決めするために、当該受光素子200を認識する機能を有している。
カメラ350は、図4に示されるように、ピックアップ位置の+Z方向(上方)に配置されている。このカメラ350は、移動機構344によってピックアップ領域に移動された受光素子200がカメラ350の撮像範囲に入るように、-Z方向(下方)を向いている。換言すれば、前述のピックアップ領域がカメラ350の撮像範囲に入るように、カメラ350の撮像範囲が設定されている。なお、カメラ350は、その周囲に、-Z方向(下方)を照明する環状光源を備えている。
そして、カメラ350は、粘着シート290の粘着面290A上の複数の受光素子200のうち、ピックアップ領域に移動された受光素子200を撮像する。これにより、受光素子200の長手方向(X方向)一端部に設けられた位置決め用マーク(図示省略)が撮像される。
カメラ350は、制御部359と接続されており、ピックアップ領域に位置する受光素子200が認識できたか否かの情報がカメラ350から制御部359へ送られる。具体的には、カメラ350が受光素子200を認識できた場合には、位置決め用マーク(図示省略)を含む受光素子200が撮像された撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。
そして、制御部359は、予め定められた基準位置に対する位置決め用マークの位置に基づき、受光素子200をピックアップ位置に位置決めする。すなわち、当該基準位置から位置決め用マークの位置がずれている場合には、制御部359は、そのずれ量分、移動機構344の駆動制御により、保持対象の受光素子200をX方向及びY方向へ移動させる。
ここで、受光素子200が粘着シート290の粘着面290A上で傾いている(倒れている)場合には、傾いていない場合と比較して、カメラ350の環状光源が発した光が受光素子200に反射した反射光は、減少してカメラ350に入る。このため、カメラ350は、画像が暗化(濃化)して、受光素子200が認識(撮像)できなくなる場合がある。換言すると、カメラ350は、ピックアップ位置に受光素子200が位置する(存在する)にも拘わらず、受光素子200を認識できなくなる場合がある。すなわち、カメラ350が受光素子200を認識できなかった場合には、受光素子200が認識できない暗化した撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。
一方、カメラ353は、保持機構310の保持部370が保持する受光素子200を撮像する撮像部である。具体的には、カメラ353は、図7に示されるように、ピックアップ位置からピックオフ位置へ受光素子200を搬送する保持部370の移動経路中に配置されている。このカメラ353は、受光素子200を保持する保持部370がカメラ353の撮像範囲に入るように、上方を向いている。そして、カメラ353は、ピックアップ位置からピックオフ位置へ移動する保持部370を撮像する。
カメラ353は、制御部359と接続されており、保持部370が、受光素子200を保持しているか否かの情報が制御部359に送られる。具体的には、保持部370が、粘着シート290から剥離した受光素子200を保持している場合には、保持部370及び受光素子200が撮像された画像が制御部359に送られる。保持部370が、粘着シート290から受光素子200を剥離できず、受光素子200を保持していない場合には、保持部370のみが撮像された撮像画像が制御部359に送られる。
保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像は、例えば、受光素子200で光が乱反射することで、図8に示されるように、受光素子200の下面205の部分WAで白く光った撮像画像GAである。保持部370のみが撮像された撮像画像は、例えば、光が乱反射せずに、図9に示されるように、全体が暗化した撮像画像GBである。
そして、制御部359は、保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像GAを取得した場合に、保持部370のピックオフ位置への移動を継続し、受光素子200をトレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に載せる。制御部359が、保持部370のみが撮像された撮像画像GBを取得した場合には、後述する再搬送動作を実行する構成とされている。なお、カメラ353が保持部370により保持された受光素子200を撮像するとき、受光素子200は、上方に反った状態を維持している。しかし、受光素子200の反り量は小さいため、保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像は、図8に示されるように、受光素子200の下面205の部分WAで白く光った撮像画像GAとなる。
《受光素子200の製造方法》
本実施形態に係る受光素子200の製造方法は、準備工程と、形成工程と、位置決め工程と、保持工程と、剥離工程と、搬送工程と、を有している。保持工程における保持動作は、保持方法の一例を実行する動作に相当する。
〈準備工程〉
準備工程では、保持具340を有する前述の素子製造装置300を準備する。
〈形成工程〉
形成工程は、半導体基板としてのウエハ14から受光素子200を切り出すことで受光素子200を形成する工程である。形成工程では、例えば、以下のように、受光素子200を切り出す。
すなわち、形成工程では、まず、図10に示されるように、シリコンで形成されたウエハ14の表面に複数の受光部218を形成する。なお、ウエハ14の表面には、位置決め用マーク(図示省略)も形成される。次に、ウエハ14の下面(裏面)に粘着シート290を貼り付ける。
次に、図11及び図12に示されるように、ダイシングブレード等の切削部材によって、ウエハ14の上面(表面)からウエハ14を切削して、ウエハ14を分割することで、X方向に長さを有する受光素子200を形成する。受光素子200は、図11及び図12に示されるように、X方向及びY方向に複数配置された二次元状にウエハ14から切り出される。受光素子200は、X方向に長さを有しているため、X方向に配置された数よりも、Y方向に配置された数が多くなっている。したがって、ウエハ14を切削する切削数は、X方向における数よりも、Y方向における数が多くなっている。
次に、図13に示されるように、粘着シート290をX方向及びY方向に拡張する。具体的には、粘着シート290は、ウエハ14の外側に位置する粘着シート290の部分が把持されて、外側に向けて略均等な力で引っ張られる。換言すると、ウエハ14は、その略中心から放射状に拡張される。これにより、複数の受光素子200の各々の間には、Y方向に隙間SYが形成され、X方向に隙間SXが形成される。前述のように、ウエハ14の切削数は、X方向における数よりも、Y方向における数が多くなっているため、隙間SYの数が隙間SXの数が多くなり、且つ、各隙間SYのY方向幅は、各隙間SXのX方向幅よりも狭くなる。各隙間SYのY方向幅は、例えば21μmとされている。各隙間SXのX方向幅は、例えば、250μmとされている。なお、粘着シート290をX方向及びY方向に拡張することで、ウエハ14は、Y方向に長い楕円形状になる。
〈位置決め工程〉
位置決め工程は、受光素子200をピックアップ位置に位置決めする工程である。なお、位置決め工程では、後述のように、カメラ350が受光素子200を撮像するため、撮像工程ともいえる。
位置決め工程では、まず、図3に示される移動機構344が、ウエハ14を支持した支持部342をX方向及びY方向へ移動させることで、保持対象の受光素子200を、ピックアップ位置を含むピックアップ領域に移動させる(図4参照)。
次に、カメラ350が、粘着シート290の粘着面290A上の複数の受光素子200のうち、ピックアップ領域に移動された受光素子200を撮像する。
そして、カメラ350が受光素子200を認識できた場合には、位置決め用マーク(図示省略)を含む受光素子200が撮像された撮像画像(情報)が、制御部359へ送られる。制御部359は、予め定められた基準位置に対する位置決め用マークの位置に基づき、受光素子200をピックアップ位置に位置決めする位置決め動作を実行する。すなわち、当該基準位置から位置決め用マークの位置がずれている場合には、制御部359は、そのずれ量分、移動機構344の駆動制御により、保持対象の受光素子200をX方向及びY方向へ移動させる。これにより、受光素子200がピックアップ位置に位置決めされる。そして、後述の保持工程が実行される。
カメラ350が受光素子200を認識できなかった場合には、受光素子200が認識できない暗化した撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。この場合では、当該受光素子200を、再度、撮像する。換言すれば、カメラ350が、ピックアップ領域に移動された受光素子200を撮像した結果、受光素子200を認識できなかった場合には、その撮像から予め定められた時間経過後に、再度、当該受光素子200を撮像する。
この結果、カメラ350が受光素子200を認識できた場合には、前述の位置決め動作を実行する。再度、カメラ350が受光素子200を認識できなかった場合には、後述の廃棄動作を実行する。また、カメラ350が受光素子200を認識できなかった場合には、例えば、予め設定された突上高さの設定値を低く変更する。これにより、次に、突上機構320が受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げる際に、低い値に変更された突上高さで受光素子200が突き上げられる。突上機構320の突上高さを低くすると、粘着シート290が変形しにくく、突き上げられた受光素子200に隣接する、次に保持される受光素子200が傾きにくくなる。このため、カメラ350が受光素子200を認識しやすくなる。
なお、前述では、受光素子200の長手方向一端部の位置決め用マークを認識していたが、これに限られない。例えば、受光素子200の長手方向の両端部に位置決め用マーク(図示省略)を設け、カメラ350を一対設けて、一対のカメラ350のそれぞれで、受光素子200の長手方向の一端部及び他端部の位置決め用マーク(図示省略)を認識する構成であってもよい。
〈保持工程〉
保持工程は、保持具340で受光素子200を保持する工程である。この保持工程は、位置決め工程において位置決め動作が実行された後に実行される。具体的には、保持工程は、供給工程と、第一突当工程と、吸引工程と、第二突当工程と、を有している。
{供給工程}
供給工程は、受光素子200の上面203に空気を供給する工程である。供給工程では、伸縮部315(図3参照)の伸長により、保持部370を-Z方向(下方)へ移動させることで、図14に示されるように、ピックアップ位置に位置決めされた受光素子200に保持部370を接近させる(矢印DO参照)。吸引機構318は、保持部370の受光素子200に対する接近動作中に、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、凹溝392内へ空気を供給する(図14の矢印EK参照)。
このように、当該受光素子200に保持部370を接近させながら凹溝392内へ空気を供給することで、受光素子200の上面203に空気を供給する。これにより、受光素子200の上面203に載った異物が吹き飛ばされる。異物としては、例えば、ウエハ14や受光素子200の欠片などがある。受光素子200の欠片は、例えば、前述の形成工程におけるウエハ14の切削の際に形成されたひび割れ(クラック)が、保持工程、剥離工程及び搬送工程を経ることで大きくなって発生する。受光素子200の欠片は、例えば、剥離工程及び搬送工程の際に、次工程以降に保持される受光素子200の上面203に載る。
凹溝392内への空気の供給は、受光素子200の2つの稜線275に保持部370の一対の第一突当面375を突き当てる(第一突当工程)と停止される。すなわち、本実施形態では、供給工程は、第一突当工程の完了前に実行される。なお、供給工程は、第一突当工程の完了後に実行されてもよい。具体的には、例えば、ピックアップ位置に位置決めされた受光素子200の2つの稜線275を、保持部370の一対の第一突当面375に突き当てた状態で、受光素子200の上面203に空気を供給してもよい。このとき、Y方向視で、受光素子200の上面203と、保持部370の突当部394の下端394Aとの間には隙間があるため(図5、図15参照)、この隙間から受光素子200の上面203に載った異物を、保持部370の一対の突当部374及び一対の突当部394、並びに受光素子200の上面203で囲まれる空間の外部に吹き飛ばすことができる。なお、供給工程は、少なくとも吸引工程における吸引開始前に実行されればよい。
{第一突当工程}
第一突当工程は、図15に示されるように、受光素子200の2つの稜線275に保持部370の一対の第一突当面375を突き当てる工程である。第一突当工程では、伸縮部315の伸長により、保持部370をさらに-Z方向(下方)へ移動させることで、ピックアップ位置に位置決めされた受光素子200の2つの稜線275に、保持部370の一対の第一突当面375を突き当てる。当該2つの稜線275に一対の第一突当面375に突き当てた状態は、第一突当工程の後の工程において維持される。
{吸引工程}
吸引工程は、保持具340の吸引機構318が一対の第一突当面375の間の空気を吸引する工程である。吸引工程では、図16に示されるように、具体的には、吸引機構318(図3参照)が、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、凹溝392内の空気を吸引する。これにより、吸引機構318は、一対の第一突当面375の間且つ、一対の第二突当面395の間の空気を吸引する。
吸引工程は、供給工程の後であって、第一突当工程の後に実行される。すなわち、吸引工程では、ピックアップ位置に位置決めされた受光素子200の2つの稜線275に、保持部370の一対の第一突当面375を突き当てた状態で、凹溝392内の空気を吸引する。
また、吸引工程では、突上機構320の吸引部324が、筒部330の貫通孔332を通じて、粘着シート290を吸引する。これにより、粘着シート290が筒部330の上面に吸着される。なお、突上機構320の吸引部324の吸引開始は、吸引機構318による吸引開始と同時であってもよいし、吸引機構318による吸引開始よりも早くても、遅くてもよい。
{第二突当工程}
第二突当工程は、受光素子200の2つの稜線295に保持部370の一対の第二突当面395を突き当てる工程である。第二突当工程は、吸引工程における吸引開始後に実行される工程である。なお、第二突当工程では、後述のように、受光素子200をニードル322で突き上げるため、第二突当工程は、受光素子200を突き上げる突上工程ともいえる。
第二突当工程では、前述の吸引工程における吸引の開始後に、図17に示されるように、受光素子200が+Z方向(上方)に反るように、突上機構320が受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げることで、図18に示されるように、2つの稜線295に一対の第二突当面395を突き当てる。
具体的には、第二突当工程では、ニードル322を駆動部326(図3参照)により駆動して、ニードル322を予め設定された突上高さに上昇させる。これにより、受光素子200の下面を予め設定された設定値(基準値)の突上高さにて粘着シート290ごとニードル322が突き上げる。これにより、受光素子200の長手方向中央部が+Z方向に凸状になるように、受光素子200が反り、2つの稜線295に一対の第二突当面395が突き当たる。
この第二突当工程では、受光素子200の稜線275に保持部370の第一突当面375を突き当て、且つ受光素子200の稜線295に保持部370の第二突当面395に突き当てた状態で、吸引機構318による受光素子200の吸引を維持することで、保持部370が受光素子200を保持した状態が維持される。
以上のように、保持工程では、供給工程と、第一突当工程と、吸引工程と、第二突当工程とを実行することで、保持部370が受光素子200を保持する。
〈剥離工程〉
剥離工程は、受光素子200を粘着シート290の粘着面290A上から剥離する工程である。この剥離工程では、保持部370が、受光素子200の上方に反った状態での保持を維持したまま、伸縮部315を縮めることで、図19及び図20に示されるように、保持部370を上昇させて、受光素子200を粘着シート290から剥離する。
〈搬送工程〉
搬送工程は、剥離工程にて粘着シート290から剥離された受光素子200をピックオフ位置へ搬送する工程である。なお、搬送工程では、剥離工程にて受光素子200が剥離されたか否かを検知するため、検知工程ともいえる。
搬送工程では、まず、剥離工程にて粘着シート290の粘着面290A上から剥離された受光素子200を保持した保持部370のアーム312をX方向に移動させることで、ピックアップ位置からピックオフ位置へ向けて受光素子200を搬送する(図7参照)。
次に、ピックアップ位置からピックオフ位置へ移動する保持部370の移動経路中において、カメラ353が保持部370を撮像する。
次に、保持部370が、粘着シート290から剥離した受光素子200を保持している場合には、保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像GA(情報)が制御部359に送られる。保持部370が、粘着シート290から受光素子200を剥離できず、受光素子200を保持していない場合には、保持部370のみが撮像された撮像画像GB(情報)が制御部359に送られる。換言すれば、保持部370が、受光素子200を保持しているか否かの情報が制御部359に送られる。さらに言えば、受光素子200が粘着シート290から剥離されたか否かの情報が制御部359に送られる。
制御部359は、保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像GA(図8参照)を取得した場合に、保持部370のピックオフ位置への移動を継続し、伸縮部315を伸長させ且つ吸引機構318による吸引を停止することで、受光素子200をトレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に載せる。
制御部359が、保持部370のみが撮像された撮像画像GB(図9参照)を取得した場合には、再搬送動作を実行する。再搬送動作では、まず、前述の位置決め工程を実行する。当該位置決め工程において、カメラ350が受光素子200を認識できた場合には、受光素子200がピックアップ位置に位置決めされ、前述の保持工程、前述の剥離工程、及び本搬送工程が実行される。本搬送工程において、再度、保持部370のみが撮像された撮像画像GBを取得した場合には、後述の廃棄動作を実行する。なお、再度、保持部370のみが撮像された撮像画像GBを取得した場合において、保持部370及び受光素子200が撮像された撮像画像GAを取得するまで、予め設定された複数回、再搬送動作を繰り返してもよい。
また、再搬送動作における位置決め工程において、カメラ350が受光素子200を認識できなかった場合にも、後述の廃棄動作を実行する。この場合では、例えば、予め設定された突上高さの設定値を高く変更する。これにより、次に、突上機構320が受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げる際に、高い値に変更された突上高さで受光素子200が突き上げられる。突上機構320の突上高さを高くすると、粘着シート290が上側へ凸状に変形するため、受光素子200が粘着シート290から剥離されやすくなる。
〈廃棄動作〉
廃棄動作では、受光素子200がピックアップ位置に存在するものとして、保持工程を実行し、且つ、保持部370を廃棄位置へ移動させて、吸引機構318による吸引を停止する。これにより、ピックアップ位置に受光素子200が存在する場合に、受光素子200が廃棄位置において、収容部としての廃棄トレイ(図示省略)に廃棄される。
このように、受光素子200を廃棄することで、当該受光素子200が粘着シート290に残ることが抑制される。この結果、次の保持工程で、2つの受光素子200を保持部370で保持すること(2個取り不具合)が抑制される。
〈素子製造工程の補足〉
素子製造工程では、形成工程後に、位置決め工程、突上工程、剥離工程及び検知工程が繰り返されることで、ウエハ14(粘着シート290)の一端から他端に向けて受光素子200の幅方向(Y方向)に順番に並んでいる各列の受光素子200を、トレイ401、402の凹部406に載せる。
以上のように、ウエハ14から切り出された受光素子200をトレイ401、402の凹部406に載せることで、受光素子200がプリント基板102に実装できる状態となり、受光素子200が製造される。
《本実施形態の作用》
本実施形態では、供給工程において、受光素子200に保持部370を接近させながら凹溝392内へ空気を供給することで、受光素子200の上面203に空気を供給する。これにより、受光素子200の上面203に載った異物が吹き飛ばされる。このため、空気の供給を行わず、空気の吸引のみを行う場合に比べ、受光素子200の上面203に載った異物による受光部218の損傷が抑制される。なお、受光素子200に保持部370を接近させながら凹溝392内へ空気を供給するため、受光素子200の上面203に当たる空気の量は、変化する(保持部370が受光素子200に近づくに連れ、上面203に当たる空気の量が増える)。このため、保持部370と受光素子200の上面203との間隔を一定にして凹溝392内へ空気を供給する場合に比べ、受光素子200の上面203に載った異物が吹き飛ばしやすい。
また、本実施形態では、吸引機構318は、保持部370の受光素子200に対する接近動作中に、吸引管399、空洞377及び複数の吸引孔378を通じて、凹溝392内へ空気を供給する。すなわち、吸引機構318は、空気を吸引する際に用いる吸引孔378を通じて空気を供給する。したがって、吸引機構318が、吸引孔378とは別の孔を通じて空気を供給する場合に比べ、保持部370に形成される孔の数が低減される。さらに言えば、吸引機構318は、吸引管399、空洞377を含めた経路において、空気を吸引する場合と同じ経路にて、空気を供給する。このため、吸引機構318が、空気を吸引する際の経路と異なる経路にて空気を供給する場合に比べ、当該経路の数が低減される。
また、本実施形態では、第一突当工程において、受光素子200の2つの稜線275に保持部370の一対の第一突当面375を突き当てたとき、保持部370の一対の突当部394の下端394Aは、受光素子200の上面203よりも上方に位置している。ここで、保持部370の一対の突当部394の下端394Aが、受光素子200の上面203と同じ位置、又は上面203よりも下方に位置していている構成(第六比較例)では、当該受光素子200の短手方向(幅方向)の隣に位置する他の受光素子200に一対の突当部394の下端394Aが接触する場合が発生し得る。これは、粘着シート290を拡張した後の受光素子200同士の隙間SYの短手方向幅が狭い(例えば21μm)からである(図13参照)。これに対し、受光素子200同士の隙間SXの長手方向幅は広い(例えば250μm)。このため、第一突当工程において、受光素子200の2つの稜線275に保持部370の一対の第一突当面375を突き当てたとき、保持部370の一対の突当部374は、当該受光素子200の長手方向の隣に位置する他の受光素子200に接触することはない。換言すると、保持部370の一対の突当部374の下端374Aは、受光素子200の上面203よりも下方に位置させることができる。
本実施形態では、第二突当工程において、受光素子200の長手方向中央部が+Z方向に凸状になるように受光素子200が反り、2つの稜線295に一対の第二突当面395が突き当たる。
ここで、保持部370が、一対の第二突当面395を有せず、一対の第一突当面375のみを有する構成(第一比較例)では、受光素子200が上方へ反った場合に、受光部218が保持部370の底面393に接触する場合がある。これに対して、本実施形態では、上方へ沿った受光素子200の2つの稜線295に一対の第二突当面395が突き当たるので、受光部218への保持部370の接触が抑制される。この結果、受光部218の損傷が抑制される。
また、本実施形態では、第二突当工程において、突上機構320が、受光素子200が上方に反るように、受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げる。これにより、突上機構320が、受光素子200が反らないように受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げる場合(第四比較例)に比べ、受光素子200及び粘着シート290の変形より受光素子200と粘着シート290との間でX方向にずれが生じやすく、受光素子200が剥離されやすい。このため、第四比較例に比べ、粘着シート290上からの受光素子200の剥離の不良が抑制される。
また、本実施形態では、剥離工程において、保持部370が、受光素子200が上方に反った状態に維持したまま、図19及び図20に示されるように、保持部370を上昇させて、受光素子200を粘着シート290から剥離する。
これにより、突上機構320が、受光素子200が反っていない状態で保持部370を上昇させて、受光素子200を粘着シート290から剥離する場合(第五比較例)に比べ、受光素子200及び粘着シート290の変形より受光素子200と粘着シート290との間でX方向にずれが生じやすく、受光素子200が剥離されやすい。このため、第五比較例に比べ、粘着シート290上からの受光素子200の剥離の不良が抑制される。
また、本実施形態では、図21に示されるように、凹溝392は、底面393が平面状に形成されている。ここで、図22に示されるように、底面393が湾曲した面で形成されている構成(第二比較例)では、底面393において、光が乱反射しやすく、乱反射した反射光がカメラ353に入射すると考えられる。このため、底面393の部分(WAに相当)で白く光った撮像画像GA(図8参照)となる場合がある。これにより、保持部370が受光素子200を保持していないにもかかわらず、受光素子200を保持していると誤認識するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、図21に示されるように、凹溝392は、底面393が平面状に形成されているので、第二比較例に比べ、底面393で光が乱反射しにくく、保持部370が受光素子200を保持していない場合には、全体が暗化した撮像画像GB(図9参照)となる。このため、第二比較例に比べ、保持部370を下側から撮像して受光素子200の保持を認識する場合における誤認識が抑制される。
また、本実施形態では、底面393は、鏡面加工されている。このため、底面393が粗面(仕上げ加工を施していない面)である構成(第三比較例)に比べ、底面393で光が乱反射しにくく、保持部370が受光素子200を保持していない場合には、全体が暗化した撮像画像GB(図9参照)となる。このため、第三比較例に比べ、保持部370を下側から撮像して受光素子200の保持を認識する場合における誤認識が抑制される。
《変形例》
なお、本実施形態では、素子の一例として受光素子200を用いたが、これに限られない。素子の一例としては、例えば、発光素子であってもよい。発光素子の場合は、機能部が、発光部となる。
また、本実施形態では、一対の第一突当面375が2つの稜線275に突き当たり且つ一対の第二突当面395が2つの稜線295に突き当った状態で、保持部370が受光素子200を保持する構成とされていたが、これに限られない。例えば、一対の第二突当面395が当該受光素子200の2つの稜線295に対して隙間を有した状態で、受光素子200が保持される構成であってもよい。この構成では、例えば、一対の第二突当面395は、想定(具体的には例えばニードル322のストローク)を超えて受光素子200が+Z方向(上方)に反った場合において、一対の第二突当面395が2つの稜線295に突き当てるようなっている。換言すれば、本変形例は、一対の第二突当面395が、底面393に突き当たる前に受光素子200の2つの稜線295に突き当たり得る構成となっている。
本実施形態では、供給工程において、受光素子200に保持部370を接近させながら凹溝392内へ空気を供給することで、受光素子200の上面203に空気を供給していたが、これに限られない。受光素子200の上面203に空気を供給せずに、受光素子200に保持部370を接近させる構成であってもよい。
また、本実施形態では、吸引機構318は、空気を吸引する際に用いる吸引孔378を通じて空気を供給していたが、これに限られない。たとえば、吸引機構318が、吸引孔378とは別の孔を通じて空気を供給する構成であってもよい。また、吸引機構318は、吸引管399、空洞377を含めた経路において、空気を吸引する場合と同じ経路にて、空気を供給していたが、これに限られない。例えば、吸引機構318が、空気を吸引する際の経路と異なる経路にて空気を供給する構成であってもよい。
本実施形態では、第二突当工程において、突上機構320が、受光素子200が上方に反るように、受光素子200の下面を粘着シート290ごと突き上げていたが、これに限られない。例えば、吸引機構318の吸引力のみで、受光素子200が上方に反るように構成してもよい。
また、本実施形態では、図21に示されるように、凹溝392は、底面393が平面状に形成されていたが、これに限られない。例えば、図22に示されるように、底面393が湾曲した面で形成されている構成であってもよい。
また、本実施形態では、底面393が鏡面加工されていたが、これに限られない。例えば、底面393が粗面(表面加工を施していない面)である構成であってもよい。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。