本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。以下では、まず、基板装置の一例としての発光基板100について説明する。次いで、発光基板100を製造する製造装置10、発光基板100を製造する製造方法、及び本実施形態の作用について説明する。
なお、下記の説明で用いるX方向、−X方向、Y方向、−Y方向、Z方向(上方)及び−Z方向(下方)は、図中に示す矢印方向である。また、X(−X)方向、Y(−Y)方向、Z(−Z)方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。また、各図に示す各部材における各部分同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比や、各部材同士のX方向、Y方向、Z方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
《発光基板100》
まず、発光基板100の構成を説明する。図1及び図2には、発光基板100の構成が示されている。
発光基板100は、図1及び図2に示されるように、プリント基板102(基板の一例)と、プリント基板102に置かれた(搭載された)発光素子200(素子の一例)と、を有している。プリント基板102は、図1に示されるように、例えば、X方向に長くされた板状に形成されている。なお、本実施形態では、プリント基板102に発光素子200を置くことを「搭載」という場合がある。
発光素子200としては、図1に示されるように、例えば、X方向(一方向の一例)に長く形成された発光素子(例えば、LEDチップ)が用いられる。この発光素子200は、図2に示されるように、長手方向(X方向)とは交差する断面における形状(断面形状)がT字状にされている。この発光素子200は、T字の横棒部分を構成する頭部210と、T字の縦棒部分を構成する脚部250と、を有している。
頭部210は、側断面視(−X方向視)にて、脚部250から左右方向(Y、−Y方向)に張り出す張出部213、214を有している。したがって、側断面視にて、脚部250の左右方向の幅(Y方向長さ)は、頭部210の左右方向の幅よりも狭くなっている。これにより、脚部250の下面259の面積は、頭部210の表面(上面)219の面積よりも小さくされている。
頭部210の表面219には、発光点218、回路パターン(図示省略)が設けられている。発光点218は、頭部210の表面219の一端部(具体的には、張出部213の表面)にX方向(長手方向)に沿って複数配置されている。なお、各図では、複数の発光点218を線状に図示する場合がある。
さらに、発光素子200の長手方向(X方向)の両端部における頭部210の表面219には、位置決め用マーク270及びパッド280が設けられている(図5C参照)。位置決め用マーク270は、発光素子200を位置決めするためのマークである。パッド280は、配線が接続される接続部分である。なお、パッド280も、発光素子200の位置決めに用いてもよい。具体的には、後述するように、予め定められた基準位置(例えば、図5Cの符号TAで示す位置)に対する位置決め用マーク270及びパッド280の位置に基づき、発光素子200を移動させて、発光素子200を予め定められた位置に位置決めする。
発光素子200は、長手方向(X方向)とは交差する断面における高さ(Z方向長さ)が幅方向の長さ(Y方向長さ)よりも大きくなっている。具体的には、発光素子200の寸法は、一例として、長さ(X方向長さ)6mm、高さ(Z方向長さ)300μm、頭部210の幅(Y方向長さ)130μm、脚部250の幅(Y方向長さ)100μmとされている。なお、発光素子200の寸法は、上記の寸法に限られるものではない。
そして、発光素子200は、図2に示されるように、側断面視にて、複数の発光点218が形成された張出部213側が対向するように、プリント基板102の長手方向(X方向)に沿って、図1に示されるように、千鳥状に複数配置されている。
具体的には、複数の発光素子200によって、X方向に沿って間隔をおいて配置された2つの列を形成している。2つの列のそれぞれは、プリント基板102の長手方向端部(X方向端部)から−X方向に数えて、奇数番目の発光素子200と、偶数番目の発光素子200と、で構成されている。そして、プリント基板102の長手方向端部(X方向端部)から−X方向に数えて、n番目(最終番目を除く)の発光素子200の長手方向端部(−X方向端部)と、n+1番目の発光素子200の長手方向端部(X方向端部)とが、Y方向に見て重なって配置されている。
《発光素子200の変形例》
発光素子200は、断面T字状に形成されていたが、これに限られない。例えば、発光素子200としては、断面L字状であってもよい。したがって、発光素子200としては、例えば、張出部214が設けられていない構成であってもよい。また、発光素子200は、上下方向に長さを有する断面四角形状(例えば、長方形状、平行四辺形状)であってもよい。
《製造装置10》
次に、発光基板100を製造する製造装置10の構成を説明する。図3及び図4には、それぞれ、製造装置10の構成の一部が示されている。
製造装置10は、図3に示されるように、発光素子200を製造する素子製造装置300を備えている。また、製造装置10は、図4に示されるように、発光素子200を供給する供給部13と、発光素子200を位置決めする素子位置決め装置20と、プリント基板102を位置決めする基板位置決め装置40と、を備えている。
さらに、製造装置10は、供給部13から素子位置決め装置20へ発光素子200を移送する移送装置50と、素子位置決め装置20で位置決めされた発光素子200を基板位置決め装置40で位置決めされたプリント基板102へ移送する移送装置60と、を備えている。なお、発光素子200は、前述のように、断面T字状に形成されているが、図3及び図4では、発光素子200の形状を簡略化して示している。
[素子製造装置300]
素子製造装置300は、図3に示されるように、発光素子200を把持する把持装置302と、トレイ401、402が載せられる台304と、台304をX方向及びY方向へ移動させる移動機構306と、を備えている。
トレイ401、402は、上下方向を厚み方向とする板状(扁平状)であって、平面視にて略四角形状をしている。このトレイ401、402は、ウエハ14から切り出された複数の発光素子200が載せられる載せ部として機能する。トレイ401、402には、複数の発光素子200のそれぞれが載せられる凹部406が複数形成されている。なお、載せ部としては、トレイ401、402に限られず、箱状のケースなどであってもよい。
移動機構306は、台304をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402の複数の凹部406のうち、発光素子200を載せる対象となる凹部406を、予め定められたピックオフ位置に位置させる。
把持装置302は、ウエハ14から切り出された複数の発光素子200を1つずつ把持して、トレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に搬送する。なお、複数の発光素子200は、後述するように、ウエハ14から切り出された状態において、粘着シート290(図5B参照)の粘着面290Aに貼り付けられている。また、各発光素子200の長手方向(X方向)両端部には、後述するように、ウエハ14から切り出された状態において、位置決め用マーク270及びパッド280が形成されている(図5C参照)。なお、図5Cには、発光素子200の長手方向(X方向)一端部側の位置決め用マーク270及びパッド280が図示されている。
具体的には、把持装置302は、図3に示されるように、発光素子200を把持する把持機構310と、発光素子200を突上げる突上機構320と、ウエハ14を保持する保持部342と、保持部342をX方向及びY方向へ移動させる移動機構344と、把持装置302の各部の動作を制御する制御部359と、を有している。
移動機構344は、保持部342をX方向及びY方向へ移動させることで、把持対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置(撮像位置の一例)に位置させる。ピックアップ位置は、把持対象の発光素子200が把持機構310によって把持される把持位置である。また、ピックアップ位置は、把持対象の発光素子200が後述のカメラ350で撮像される撮像位置でもある。発光素子200のピックアップ位置への位置決めは、後述するように、カメラ350を用いて行われる。なお、図5Bにおいて、符号PTで示す位置がピックアップ位置であり、符号200Pで示す発光素子がピックアップ位置に位置する発光素子である。
突上機構320は、図5Bに示されるように、円筒部330と、ニードル322(突上部の一例)と、吸引部324と、駆動部326(図3参照)と、を有している。
円筒部330の上壁には、ニードル322が突き出される貫通孔332が形成されている。円筒部330の上壁の上面には、図5A及び図5Bに示されるように、ウエハ14が貼り付けられた粘着シート290を吸着するための吸着溝334が形成されている。円筒部330の内部には、貫通孔332と通じる空洞部336が形成されている。空洞部336及び吸着溝334は、円筒部330の側壁に形成された通路338を介して吸引部324と接続されている。
ニードル322は、把持機構310が発光素子200を把持する際に、ピックアップ位置(撮像位置)に移動された発光素子200を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる突上部の一例である。ニードル322は、上端部が先細りとなる円柱状に形成されている。また、ニードル322の直径Dは、例えば、数百μmとされ、ニードル322の上端部の直径は、数十μmとされている。なお、ニードル322は、ピックアップ位置に位置する発光素子200の長手方向(X方向)に沿って複数配置されている。
駆動部326は、貫通孔332を通じて円筒部330から上方へ突出する突出位置と、円筒部330の空洞部336に収納される収納位置との間で、ニードル322を移動させる。
把持機構310は、図3に示されるように、筐体311と、アーム312と、把持部370と、駆動部360と、吸引部318と、を有している。筐体311は、上部の−Y方向側の側面に開口313を有する箱状に形成されている。アーム312は、筐体311の開口313から−Y方向側へ突出している。
アーム312の基端部は、駆動部360に水平方向(X方向)に移動可能に支持されている。アーム312の先端部には、上下方向に伸縮する伸縮部315を介して、把持部370が取り付けられている。
把持部370は、ニードル322によって突上げられた発光素子200を把持する把持部である。具体的には、把持部370は、図6に示されるように、発光素子200の長手方向(X方向)に沿って長さを有する本体372と、本体372の長手方向両端部に設けられ発光素子200のX方向側の稜線285に突き当たる突当部374と、を有している。
突当部374は、本体372の下面373と発光素子200の上面との間に隙間を有した状態で、発光素子200の稜線285と突き当たる突当面375を有している。
本体372の内部には空洞377が形成され、本体372の下面373には、空洞377と通じる複数の貫通孔378が形成されている。本体372の上部は、ホース399を介して吸引部318(図3参照)と接続されている。
把持機構310では、ニードル322で突上げられた発光素子200の稜線285を各突当部374の突当面375に突き当てた状態で、複数の貫通孔378を通じて吸引部318により発光素子200を吸引することで、把持部370が1つの発光素子200を把持する。把持部370が発光素子200を把持した状態で、伸縮部315を縮めることで発光素子200が粘着シート290から剥離される。そして、アーム312をX方向に移動させると共に、伸縮部315を伸長させることで、発光素子200がトレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に載せられる。
ここで、粘着シート290の粘着力は、シートの全面において均一ではないため、発光素子200が粘着シート290から剥離される剥離性(剥離されやすさ)が部分的に異なる。例えば、粘着シート290において粘着力が低い部分では、発光素子200が粘着シート290の粘着面290Aから剥離しやすく、粘着面290A上で倒れ(傾き)を生じやすい。また、粘着シート290において粘着力が低い部分では、複数の発光素子200が粘着面290Aから剥離されて、一度に把持部370で搬送される場合もある。一方、粘着シート290において粘着力が高い部分では、発光素子200が把持部370に把持されずに粘着シート290に残ったままとなりやすい。なお、粘着シート290において粘着力の低い部分と高い部分の部分は、まとまりのある範囲で分布することが、経験上分かっている。例えば、粘着シート290は、Y方向に連続して複数配置された発光素子200が貼り付けられた範囲で、粘着力の低い部分又は、高い部分となっている。すなわち、粘着シート290は、Y方向に連続して複数配置された発光素子200が貼り付けられた範囲で、粘着力の差が小さくされている。
そこで、把持装置302では、粘着シート290の粘着力(粘着シート290からの発光素子200の剥離性)に応じて、ニードル322が発光素子200を突上げる突上高さを自動調整する構成とされている。具体的には、粘着シート290の粘着力の高い部分では、ニードル322の突上高さを高くし、粘着シート290の粘着力の低い部分では、ニードル322の突上高さを低くする。
ニードル322の突上高さを高くすると、粘着シート290の粘着面290Aが上側へ凸状に変形するため、発光素子200が粘着シート290から剥離されやすい一方、突上げられた発光素子200に隣接する発光素子200が傾きやすくなる。ニードル322の突上高さを低くした場合では、粘着シート290の粘着面290Aが変形しにくく、突上げられた発光素子200に隣接する発光素子200が傾きにくい。
以下、粘着シート290の粘着力に応じて、ニードル322の突上高さを自動調整する具体的な構成について説明する。
図3に示されるように、把持装置302は、さらに、発光素子200を撮像する撮像部の一例としてのカメラ350と、把持機構310の把持部370が発光素子200を把持したか否かを検知する検知部の一例としてのカメラ353と、を備えている。
カメラ350は、図5Bに示されるように、ピックアップ位置の上方に配置されており、その周囲に図示しない環状光源を備えている。このカメラ350は、ピックアップ位置に位置する発光素子200がカメラ350の撮像範囲に入るように、下方を向いている。そして、カメラ350は、粘着シート290の粘着面290A上の複数の発光素子200のうちピックアップ位置(撮像位置の一例)に移動された発光素子200を撮像する。なお、発光素子200がピックアップ位置に移動されたことは、移動機構344の駆動量から判断される。
粘着シート290の粘着力が弱く、発光素子200が粘着シート290の粘着面290A上で傾いている(倒れている)場合には、カメラ350の環状光源が発した光が発光素子200に反射した反射光が、カメラ350に入らなくなるため、画像が暗化(濃化)して、発光素子200が認識(撮像)できなくなる。換言すると、カメラ350は、ピックアップ位置に発光素子200が位置する(存在する)にも拘わらず、発光素子200を認識できなくなる。
カメラ350は、制御部359と接続されており、ピックアップ位置の発光素子200が認識できたか否かの情報がカメラ350から制御部359へ送られる。具体的には、カメラ350が発光素子200を認識できた場合には、発光素子200が撮像された撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合には、発光素子200が認識できない暗化した撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。
そして、制御部359は、発光素子200が撮像された撮像画像を取得した場合に、突上機構320の駆動を制御し、以下のように、突上機構320を動作させる。すなわち、ニードル322は、カメラ350が発光素子200を認識できた場合に、予め設定された突上高さで発光素子200の下面を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる。
制御部359が、発光素子200が認識できない暗化した撮像画像を取得した場合には、駆動部326の駆動を停止した状態に維持し、且つ予め設定された突上高さの設定値を低く変更する。
この結果、ニードル322は、カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合に、発光素子200を突上げず、ニードル322の予め設定された突上高さの設定値(基準値)が低い値に変更される。
そして、次にピックアップ位置に移動された発光素子200を、カメラ350が認識できた場合には、ニードル322は、低い値に変更された突上高さで発光素子200の下面を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる。
一方、次にピックアップ位置に移動された発光素子200を、カメラ350が認識できなかった場合には、ニードル322の突上げは行われず、突上高さの設定値がさらに低い値に変更される。
なお、低い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を高い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を低い値に変更後は、設定値を高い値に変更する後述の条件を満たすまで、ピックアップ位置に順次移動された発光素子200の下面を、突上高さを低くした状態で(低い値に変更された突上高さにて)、突上げる。なお、設定値を高い値に変更する条件とは、後述するように、把持部370がピックアップ位置で突上げられた発光素子200を把持できなかった場合である。
なお、カメラ350は、発光素子200をピックアップ位置へ位置決めするための機能も有している。具体的には、カメラ350は、発光素子200のうち、発光素子200の長手方向(X方向)一端部側の位置決め用マーク270及びパッド280を撮像する構成となっている。すなわち、図5Cに示されるように、発光素子200の長手方向(X方向)一端部側の位置決め用マーク270及びパッド280が、カメラ350の撮像範囲に入るようになっている。なお、図5Cでは、符号350Aで指し示す正方形にて、カメラ350の撮像範囲(視野)が示されている。
したがって、本実施形態では、発光素子200を認識できた場合には、具体的には、位置決め用マーク270及びパッド280が撮像された撮像画像が制御部359へ送られる。制御部359は、予め定められた基準位置(例えば、符号TAで示す位置)に対する位置決め用マーク270及びパッド280の位置に基づき、発光素子200を位置決めする。すなわち、当該基準位置から位置決め用マーク270及びパッド280の位置がずれている場合には、制御部359は、そのずれ量分、移動機構344の駆動制御により、把持対象の発光素子200をX方向及びY方向へ移動させる。
カメラ353は、図5Dに示されるように、ピックアップ位置からピックオフ位置へ発光素子200を搬送する把持部370の移動経路中に配置されている。このカメラ353は、発光素子200を把持する把持部370がカメラ353の撮像範囲に入るように、上方を向いている。そして、カメラ353は、ピックアップ位置からピックオフ位置へ移動する把持部370を撮像する。
カメラ353は、制御部359と接続されており、把持部370が、ピックアップ位置で突上げられた発光素子200を把持した否かの情報が制御部359に送られる。具体的には、把持部370がピックアップ位置の発光素子200を把持した場合には、把持部370及び発光素子200が撮像された画像が制御部359に送られる。粘着シート290の粘着力が強く、把持部370がピックアップ位置の発光素子200を把持できなかった場合には、把持部370のみが撮像された撮像画像が制御部359に送られる。
そして、制御部359は、把持部370及び発光素子200が撮像された撮像画像を取得した場合に、把持部370のピックオフ位置への移動を継続して、当該発光素子200をピックオフ位置に位置する凹部406に載せられる。
制御部359が、把持部370のみが撮像された撮像画像を取得した場合には、把持部370をピックアップ位置へ戻し、且つ次の発光素子200をピックアップ位置に移動させる。このとき、ニードル322の突上高さの設定値を高い値に変更する。なお、把持部370及び発光素子200が撮像された撮像画像であるか、把持部370のみが撮像された撮像画像であるかは、例えば、制御部359において画像処理を行うことで判断される。
そして、次にピックアップ位置に移動された発光素子200を、カメラ350が認識できた場合には、ニードル322は、高い値に変更された突上高さで発光素子200の下面を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる。
なお、高い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を低い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を高い値に変更後は、設定値を低い値に変更する条件を満たすまで、ピックアップ位置に順次移動された発光素子200の下面を、突上高さを高くした状態で(高い値に変更された突上高さにて)、突上げる。なお、設定値を低い値に変更する条件とは、前述のように、カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合である。
[供給部13]
図4に示されるように、供給部13は、トレイ401、402が載せられる台15と、台15をX方向及びY方向へ移動させる移動機構17と、を備えている。供給部13では、移動機構17が台15をX方向及びY方向へ移動させることで、トレイ401、402上の搭載対象である発光素子200を、移送装置50による予め定められたピックアップ位置に位置させるようになっている。
[移送装置50]
図4に示されるように、移送装置50は、発光素子200を保持する保持具としてのコレット57と、コレット57が装着されコレット57が発光素子200を保持するための吸引力を発生させる吸引器52と、吸引器52を移動させる移動機構53と、を備えている。
具体的には、吸引器52の吸引ノズル54にコレット57が装着されている。コレット57には、吸引ノズル54と通じる吸引口(図示省略)が形成されている。
移送装置50では、吸引器52が、供給部13におけるピックアップ位置に位置する発光素子200の例えば上面をコレット57に突き当てた状態で、吸引器52により発光素子200を吸引することで、コレット57に発光素子200を保持する。
そして、移送装置50では、発光素子200をコレット57に保持した状態で、移動機構53によって吸引器52がY方向に移動することで(一点鎖線の矢印参照)、後述の位置決め台30のプレート34上に発光素子200を移送するようになっている。なお、移送装置50の移動機構53としては、例えば、X方向、Y方向及びZ方向に移動する機構を備えた三軸ロボットが用いられる。
[素子位置決め装置20]
図4に示されるように、素子位置決め装置20は、発光素子200が置かれる(載せられる)位置決め台30と、位置決め台30に置かれた発光素子200を予め定められた位置決め位置に位置決めする位置決め部材22と、位置決め部材22をX方向及びY方向へ移動させる移動機構29と、を備えている。
位置決め台30は、上部に開口部33を有する円筒部32と、円筒部32の開口部33に設けられたプレート34と、円筒部32の内部空間の空気を吸引して該内部空間を負圧にする吸引装置36と、を備えている。プレート34には、複数の吸引孔38が形成されている。この複数の吸引孔38は、プレート34を貫通しており、円筒部32の内部空間と通じている。
位置決め部材22は、図4に示されるように、板状をしており、本体22Aと、本体22AからX方向に延び出た一対の爪部22Bと、を備えて構成されている。一対の爪部22Bは、その間に発光素子200を配置可能にY方向に離れて設けられている。なお、位置決め部材22は、プレート34に吸着されて移動抵抗を受けないように、プレート34に対して非接触な状態を保って移動するようになっている。
位置決め部材22では、発光素子200の脚部250の側面252(図2参照)の一方に対して、爪部22Bを突き当てて、発光素子200を移動させ、予め定められた位置に発光素子200を位置決め(位置出し)するようになっている。
また、本実施形態では、一対の爪部22Bのいずれか一方を選択して発光素子200の位置決めを行うようになっている。従って、位置決め部材22としては、一対の爪部22Bの一方を有さない構成であってもよい。
[基板位置決め装置40]
図4に示されるように、基板位置決め装置40は、プリント基板102をX方向に搬送する一対の搬送部材(例えば、コンベア)42を備えている。一対の搬送部材42は、その間にプリント基板102が導入可能にY方向に離れて配置されている。
基板位置決め装置40では、一対の搬送部材42の間に導入されたプリント基板102が、一対の搬送部材42に対してX方向、Y方向、Z方向に位置決めされるようになっている。そして、一対の搬送部材42がプリント基板102をX方向に搬送することで、プリント基板102は、後述のコレット70に対してY方向に位置決めされた状態で、X方向へ相対移動するようになっている。
なお、基板位置決め装置40は、プリント基板102上において発光素子200を搭載する搭載位置に、銀(Ag)を含むエポキシ系等の接着剤を塗布するためのディスペンサー等の塗布装置(図示省略)を有している。
[移送装置60]
図4に示されるように、移送装置60は、発光素子200を保持する保持具としてのコレット70と、コレット70が装着されコレット70が発光素子200を保持するための吸引力を発生させる吸引器62と、吸引器62を移動させる移動機構63と、を備えている。
具体的には、吸引器62の吸引ノズル64にコレット70が装着されている。コレット70には、吸引ノズル64と通じる吸引口(図示省略)が形成されている。
移送装置60では、コレット70に発光素子200の例えば稜線271、272(図2参照)を突き当てた状態で、吸引器62により発光素子200を吸引することで、コレット70に発光素子200を保持する。また、移送装置60では、吸引器62による吸引を停止することにより、コレット70による発光素子200の保持状態が解除される。
移動機構63は、吸引器62をY方向に移動させることにより、コレット70をプリント基板102に対してY方向へ相対移動させるようになっている。すなわち、本実施形態では、移動機構63によってコレット70がY方向に移動し、基板位置決め装置40の搬送部材42によってプリント基板102がX方向に移動することで、コレット70をプリント基板102に対してX方向、Y方向に相対移動させるようになっている。
また、移動機構63は、吸引器62を上下方向(Z方向)に移動させることにより、コレット70をプリント基板102に対して上下方向(Z方向)へ相対移動させるようになっている。本実施形態では、発光素子200をコレット70に保持した状態で、コレット70をプリント基板102に対して、X方向、Y方向に相対移動させた後、コレット70を下方(−Z方向)に降下させることで(一点鎖線の矢印参照)、発光素子200をプリント基板102に搭載するようになっている。
なお、移動機構63としては、例えば、Y方向及びZ方向に移動可能な二軸ロボットが用いられる。
《発光基板100の製造方法》
本実施形態に係る発光基板100の製造方法は、発光素子200を製造する素子製造工程と、製造された発光素子200をプリント基板102に搭載する搭載工程と、を有している。
[素子製造工程]
素子製造工程は、形成工程と、撮像工程と、突上工程と、剥離工程と、検知工程と、を有している。
〈形成工程〉
形成工程は、ウエハ14(半導体基板)から発光素子200を切り出すことで発光素子200を形成する工程である。この形成工程では、図7に示されるように、まず、GaAs等で形成されたウエハ14の表面に複数の発光点218を形成する。次に、ウエハ14における発光素子200として形成される部分で通電させて、発光点218の光量を検出し、当該部分が良品であるか否かを判別する。なお、図7では図示を省略しているが、ウエハ14の表面には、位置決め用マーク270及びパッド280(図5D参照)も形成される。
次に、例えばエッチングによって、ウエハ14の表面に第一溝14Aを形成する。次に、ウエハ14の表面にダイシング用粘着シート295を貼り付けてから、例えば、ダイシングブレード等の切削部材11による切削によって、ウエハ14の裏面に第二溝14Bを形成する。
次に、図8に示されるように、ウエハ14の裏面に粘着シート290を貼り付けてから、ウエハ14の表面からダイシング用粘着シート295を剥離する。
以上により、断面T字状の発光素子200が切り出される(形成される)。なお、発光素子200は、その幅方向(Y方向)及び長手方向(X方向)に沿って粘着シート290に複数貼り付けられた状態となっている。また、各発光素子200におけるY方向側端部に、具体的には張出部213(図7参照)に発光点218が形成されている。
〈撮像工程〉
撮像工程は、カメラ350が発光素子200を撮像する工程である。撮像工程では、まず、移動機構344が、ウエハ14を保持した保持部342をX方向及びY方向へ移動させることで、把持対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置に移動させる(図3及び図5B参照)。
次に、カメラ350が、粘着シート290の粘着面290A上の複数の発光素子200のうちピックアップ位置(撮像位置の一例)に移動された発光素子200を撮像する。
そして、ピックアップ位置の発光素子200が認識できたか否かの情報が、カメラ350から制御部359へ送られる。具体的には、カメラ350が発光素子200を認識できた場合には、発光素子200が撮像された撮像画像(情報)が、制御部359へ送られる。カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合には、発光素子200が認識できない暗化した撮像画像(情報)が制御部359へ送られる。
〈突上工程〉
突上工程は、発光素子200をニードル322で突上げる工程である。なお、ニードル322が発光素子200を突上げる突上位置は、ピックアップ位置に位置する発光素子200の幅方向中央に対して、把持対象の発光素子200に隣接する他の発光素子200とは反対側の位置に設定されている。
また、素子製造工程では、形成工程後に、撮像工程、突上工程、剥離工程及び検知工程が繰り返されることで、ウエハ14(粘着シート290)の一端から他端に向けて発光素子200の幅方向(−Y、Y方向)に順番に並んでいる発光素子200を、この順番で突上げていく。順番としては、図10の矢印で示されるように、ウエハ14におけるX方向端部側かつ−Y方向側端部側からジグザグに進む順番とされる。すなわち、ウエハ14のX方向側から数えて奇数列(以下、単に「奇数列」という)では、ウエハ14の−Y方向端部からY方向への順番で突上げ、ウエハ14のX方向側から数えて偶数列(以下、単に「偶数列」という)では、ウエハ14のY方向端部から−Y方向への順番で突上げる。なお、ウエハ14の外周部分で不完全な形状で形成された素子199は、発光素子200として使用されないため、把持対象とならない。
このように、素子製造工程では、ウエハ14の一端から他端に向けて順番に発光素子200が剥離されるため、把持対象となる発光素子200は、ピックアップ位置に位置するの発光素子200の片側のみ(Y方向又は−Y方向)に存在する。
本突上工程では、制御部359は、発光素子200が撮像された撮像画像を取得した場合に、突上機構320の駆動を制御し、以下のように、突上機構320を動作させる。
すなわち、図5Bに示されるように、突上機構320の吸引部324が、円筒部330の上壁に形成された貫通孔332及び吸着溝334を通じて、粘着シート290を吸引することで、円筒部330の上壁に粘着シート290を吸着する。
次に、ニードル322を駆動部326により駆動して、ニードル322を予め設定された突上高さに上昇させる。これにより、図9Aに示されるように、発光素子200の幅方向中央に対して、把持対象の発光素子200に隣接する他の発光素子200とは反対側で、発光素子200の下面を予め設定された突上高さにて粘着シート290の粘着面290Aごとニードル322が突上げる。なお、図5B及び図9Aは、ウエハ14における偶数列の発光素子200を突上げる場合を図示している。
このように、突上工程では、カメラ350が発光素子200を認識できた場合に、ニードル322が、予め設定された設定値(基準値)の突上高さで発光素子200の下面を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる。
一方、制御部359が、発光素子200が認識できない暗化した撮像画像を取得した場合には、突上機構320の駆動を停止した状態に維持し、且つ予め設定された突上高さの設定値を低く変更する。すなわち、カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合に、ニードル322は、発光素子200を突上げず、ニードル322の予め設定された突上高さの設定値が低い値に変更される。
次いで、前述の撮像工程と同様に、移動機構344によって、保持部342をX方向及びY方向へ移動させることで、図9Bに示されるように、突上げられなかった発光素子200(200X)に隣接する次の把持対象である発光素子200(以下、次の発光素子200Yという)をピックアップ位置に移動させる(移動工程)。
次いで、前述の撮像工程と同様に、カメラ350が次の発光素子200Yを撮像し、次の発光素子200が認識できたか否かの情報が、カメラ350から制御部359へ送られる(認識工程)。
この結果、次の発光素子200Yをカメラ350が認識できた場合には、図9Cに示されるように、ニードル322は、低い値に変更された突上高さで次の発光素子200Yの下面を粘着シート290の粘着面290Aごと突上げる。
次の発光素子200Yもカメラ350が認識できなかった場合には、ニードル322の突上げは行われず、突上高さの設定値がさらに低い値に変更される(変更工程)。そして、カメラ350が発光素子200を認識して発光素子200の突上げが行われるまで、前述の移動工程、認識工程、変更工程が繰り返される。
なお、低い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を高い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を低い値に変更後に、突上工程が実行される際には、設定値を高い値に変更する条件を満たすまで、突上高さを低くした状態で(低い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げる。
〈剥離工程〉
剥離工程は、突上工程にて突上げられた発光素子200を把持して、当該発光素子200を粘着シート290の粘着面290A上から剥離する工程である。この剥離工程では、突上工程にて突上げられた発光素子200の稜線285を、把持部370における各突当部374の突当面375に突き当てた状態で、複数の貫通孔378を通じて吸引部318により発光素子200を吸引することで、把持部370が発光素子200を把持する(図6及び図3参照)。
次に、把持部370が発光素子200に対する吸引を維持した状態で、伸縮部315を縮めることで発光素子200を粘着シート290から剥離する。
〈検知工程〉
検知工程は、剥離工程において発光素子200が把持されたか否かを検知する工程である。検知工程では、剥離工程にて粘着シート290の粘着面290A上から剥離された発光素子200を搬送する。具体的には、検知工程では、剥離工程にて剥離された発光素子200を把持した把持部370のアーム312をX方向に移動させることで、ピックアップ位置からピックオフ位置へ向けて発光素子200を搬送する。
次に、ピックアップ位置からピックオフ位置へ移動する把持部370の移動経路中において、カメラ353が把持部370を撮像する。
次に、把持部370がピックアップ位置の発光素子200を把持した否かの情報が制御部359に送られる。具体的には、把持部370がピックアップ位置の発光素子200を把持した場合には、把持部370及び発光素子200が撮像された画像(情報)が制御部359に送られる。把持部370がピックアップ位置の発光素子200を把持できなかった場合には、把持部370のみが撮像された撮像画像(情報)が制御部359に送られる。
制御部359は、把持部370及び発光素子200が撮像された撮像画像を取得した場合に、把持部370のピックオフ位置への移動を継続し、伸縮部315を伸長させることで、発光素子200をトレイ401、402におけるピックオフ位置に位置する凹部406に載せる。そして、前述の撮像工程に移行し、撮像工程、突上工程、剥離工程及び検知工程が繰り返される。
制御部359が、把持部370のみが撮像された撮像画像を取得した場合には、把持部370をピックアップ位置へ戻る。さらに、ニードル322の突上高さの設定値を高い値に変更する。そして、前述の撮像工程に移行し、撮像工程、突上工程、剥離工程及び検知工程が繰り返される。
なお、高い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を低い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を高い値に変更後に、突上工程が実行される際には、設定値を低い値に変更する条件を満たすまで、突上高さを高くした状態で(高い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げる。
〈素子製造工程の補足〉
素子製造工程では、ウエハ14におけるX方向端部側かつ−Y方向側端部側からジグザグに進む順番で突上げられた発光素子200を、この順番かつ交互にトレイ401、402の凹部406に載せる。
具体的には、例えば、図10に示されるように、複数の発光素子200のうち、奇数列のY方向に並んだ発光素子200A、200B、200C、200Dでは、発光素子200Aをトレイ401に載せ、次に、発光素子200Bをトレイ402に載せ、次に、発光素子200Cをトレイ401に載せ、次に、発光素子200Dをトレイ402に載せる。このように、複数の発光素子200を順番且つ交互に載せる。
また、素子製造工程では、ウエハ14の一端から他端に向けて順番にニードル322で突上げられた発光素子200を、ウエハ14における発光点218の向き(図10参照)のまま、図11に示されるように、トレイ401、402の凹部406に載せる。すなわち、搬送工程では、発光素子200を回転させることなく、発光点218が発光素子200におけるY方向側に位置する状態でトレイ401、402の凹部406に載せる。
以上のように、ウエハ14から切り出された発光素子200をトレイ401、402の凹部406に載せることで、発光素子200がプリント基板102に実装できる状態となり、発光素子200が製造される。なお、当該素子製造工程は、発光素子200を製造する製造方法の一例である。
本実施形態では、図3及び図11に示されるように、トレイ401、402は、Y方向に沿って並んで配置されていたが、図12に示されるように、X方向に沿って並んで配置されていてもよい。
[搭載工程]
搭載工程では、まず、発光点218が互いに異なる向きになるように、トレイ402をトレイ401に対して相対回転させる。具体的には、図13に示されるように、トレイ401上の発光素子200の発光点218がY方向を向いているのに対して、トレイ402上の発光素子200の発光点218が−Y方向を向くように、相対回転させる。すなわち、トレイ402をトレイ401に対して、180度相対回転させる。
なお、トレイ402をトレイ401に対して相対回転させればよいので、実際に回転させるトレイは、トレイ402及びトレイ401のどちらか一方でも、トレイ401及びトレイ402の両方であってもよい。トレイ401及びトレイ402の両方を回転させる場合は、例えば、トレイ401及びトレイ402のそれぞれを90度ずつ回転させてもよい。
本実施形態では、図4に示されるように、トレイ401上の発光素子200の発光点218と、トレイ402上の発光素子200の発光点218と、が異なる向きを向いた状態で、トレイ401、402を供給部13の台15に載せる。なお、本実施形態では、図4に示されるように、トレイ401、402は、X方向に沿って並んで配置されているが、Y方向に沿って並んで配置されていてもよい。
そして、トレイ401、402における発光点218の向きのままトレイ401及びトレイ402の発光点218をプリント基板102に置く。また、プリント基板102上において、前述の図10に示す順番で発光素子200が並ぶように、トレイ401、402の発光素子200をプリント基板102に置く。
具体的には、以下のようにトレイ401、402の発光素子200がプリント基板102に置かれる。
すなわち、図4に示されるように、まず、供給部13において、移動機構17が台15をX方向及びY方向へ移動させることで、搭載対象の発光素子200を予め定められたピックアップ位置に位置させる。
次に、供給部13のピックアップ位置に位置する発光素子200を、移送装置50が位置決め台30のプレート34上に移送して、プレート34上に発光素子200を置く。
次に、プレート34上に置かれた発光素子200を、位置決め部材22によって、プレート34上の予め定められた位置決め位置に移動させて位置決め(位置出し)する。
次に、基板位置決め装置40において、一対の搬送部材42がプリント基板102を位置決めする。なお、このプリント基板102の位置決めは、発光素子200の位置決めの後に行う必要は無く、発光素子200の位置決めの前又は同時に行っても良い。
次に、塗布装置(図示省略)によって、プリント基板102の発光素子200の搭載位置に接着剤を塗布する。
素子位置決め工程で位置決めされた発光素子200を移送装置60によってプリント基板102の発光素子200の搭載位置に移送する。
なお、複数の発光素子200が、プリント配線基板44に対して千鳥状に配置される。すなわち、上記搭載工程が、発光素子200の数に応じて行われる。なお、本実施形態では、例えば、トレイ401の複数の発光素子200をプリント基板102のY方向一方側(図13の下側)に間隔をおいて一列に配置した後、トレイ402の複数の発光素子200をプリント基板102のY方向他方側(図13の上側)に間隔をおいて一列に配置する。すなわち、本実施形態では、例えば、プリント基板102の長手方向一端102Aから数えて奇数番目にあたる搭載位置T1、T3、T5・・・に配置した後、当該一端102Aから数えて偶数番目にあたる搭載位置T2、T4・・・に配置することで、千鳥状に配置する。具体的には、図10における発光素子200A、200Cが搭載位置T1、T3に配置され、図10における発光素子200B、200Dが搭載位置T2、T4に配置される。
以上の工程を経て発光基板100が製造される。
《本実施形態の作用》
本実施形態では、撮像工程において、カメラ350が発光素子200を認識できなかった場合に、ニードル322の予め設定された突上高さの設定値が低い値に変更される。次に、ニードル322で発光素子200を突上げる際には、ニードル322は、低い値に変更された突上高さで突上げる。
このように、自動的に、ニードル322の突上高さが変更される(低くされる)ため、作業者が装置を停止してニードル322の突上高さを変更する場合(低くする場合)に比べ、装置の稼働率の低下が抑制される。これにより、発光基板100の製造効率の低下が抑制される。
また、本実施形態では、低い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を高い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を低い値に変更後に、突上工程が実行される際には、突上高さを低く維持した状態で(低い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げる。
ここで、発光素子200が粘着シート290から剥離しやすい部分(粘着シート290において粘着力の低い部分)は、まとまりのある範囲で分布することが、経験上分かっている。例えば、粘着シート290は、Y方向に連続して複数配置された発光素子200が貼り付けられた範囲で、粘着力の低い部分となっている。
したがって、突上高さを継続して低く維持した状態で(低い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げていくことで、ニードル322の突上高さを低くして突上げる対象が次の素子のみである場合に比べ、素子の把持成功率(剥離成功率)が上がる。
また、本実施形態では、検知工程において、制御部359が、把持部370のみが撮像された撮像画像を取得した場合に、ニードル322の突上高さの設定値を高い値に変更する。
このように、自動的に、ニードル322の突上高さが変更される(高くされる)ため、作業者が装置を停止してニードル322の突上高さを変更する場合(高くする場合)に比べ、装置の稼働率の低下が抑制される。これにより、発光基板100の製造効率の低下が抑制される。
また、本実施形態では、高い値に変更された突上高さの設定値は、設定値を低い値に変更する条件を満たすまでは、変更された状態を維持する。すなわち、突上高さの設定値を高い値に変更後に、突上工程が実行される際には、突上高さを高く維持した状態で(高い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げる。
ここで、発光素子200が粘着シート290から剥離しにくい部分(粘着シート290において粘着力の高い部分)は、まとまりのある範囲で分布することが、経験上分かっている。例えば、粘着シート290は、Y方向に連続して複数配置された発光素子200が貼り付けられた範囲で、粘着力の高い部分となっている。
したがって、突上高さを継続して高く維持した状態で(高い値に変更された突上高さにて)、ニードル322が発光素子200を突上げていくことで、ニードル322の突上高さを高くして突上げる対象が次の素子のみである場合に比べ、素子の把持成功率(剥離成功率)が上がる。
本実施形態では、突上工程において、図9に示されるように、発光素子200の幅方向中央に対して、把持対象の発光素子200に隣接する他の発光素子200とは反対側で、発光素子200の下面を粘着シート290ごとニードル322が突上げる。
ここで、図14に示されるように、発光素子200の幅方向中央で発光素子200の下面を粘着シート290ごとニードル322が突上げる場合(比較例)では、粘着シート290が持ち上がる影響を受けて、隣接する発光素子200が倒れる場合がある。
また、当該比較例では、図15に示されるように、粘着シート290が持ち上がる影響を受けて、隣接する発光素子200も一緒に持ち上がる場合もある。
これに対して、本実施形態では、発光素子200の幅方向中央に対して、把持対象の発光素子200に隣接する他の発光素子200とは反対側で、発光素子200の下面を粘着シート290ごとニードル322が突上げるので、隣接する他の発光素子200が粘着シート290の持ち上がりの影響を受けにくい。このため、隣接する他の発光素子200の倒れや、持ち上がりが抑制される。
また、本実施形態では、搬送工程において、発光素子200を、ウエハ14における発光点218の向き(図10参照)のまま、図11に示されるように、トレイ401、402の凹部406に載せる。その後、図13に示されるように、搭載工程において、発光点218が互いに異なる向きになるように、トレイ402をトレイ401に対して相対回転させる。そして、トレイ401、402における発光点218の向きのままトレイ401及びトレイ402の発光点218をプリント基板102に置く(搭載する)。
ここで、ウエハ14から発光素子200を直接プリント基板102に搭載する場合(比較例)では、プリント基板102の一端102Aから数えて偶数番目にあたる搭載位置T2、T4・・・に配置する際に、発光素子200を置く毎に回転させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、トレイ401、402における向きのまま発光素子200をプリント基板102に置けばよいので、発光素子200を個別に向きを変える必要がなく、発光素子200の向きを変える時間が短縮される。
また、本実施形態では、プリント基板102上において、前述の図10に示す順番で発光素子200が並ぶように、トレイ401、402の発光素子200をプリント基板102に置く。
このため、単一のウエハ14における複数の発光素子200をランダムにプリント基板102に置く、又は、異なるウエハ14の発光素子200をプリント基板102に置く場合に比べ、光量などの特性が近似している発光素子200が順番にプリント基板102に並べられる。これにより、発光基板100における光量の調整時間が短縮される。
《変形例》
本実施形態では、検知部の一例として、カメラ353を用いたが、これに限られない。検知部としては、例えば、把持部370が把持した発光素子200を検知する光センサを用いてもよい。
本実施形態では、トレイ402をトレイ401に対して180度相対回転させていたが、これに限られない。例えば、一の発光素子200の長手方向に対して、他の発光素子200の長手方向が90度を向くように、複数の発光素子200をプリント基板102に搭載する場合では、トレイ402をトレイ401に対して90度相対回転させるようにされる。すなわち、プリント基板102に搭載する発光素子200の向きによって、トレイ402をトレイ401に対して相対回転させる角度が決定される。なお、一の発光素子200の長手方向に対して、他の発光素子200の長手方向が90度を向く配置とは、例えば、平面視にて、発光素子200が例えばL字状にプリント基板102に配置される場合が考えられる。
また、本実施形態では、素子として発光素子200を用いたが、これに限られない。素子としては、例えば、受光素子であってもよい。受光素子の場合は、機能部が、受光点となる。なお、機能部は、特定の機能を発揮する部分であればよい。
本実施形態では、ウエハ14の一端から他端に向けて順番に並んでいる発光素子200を、この順番かつ交互にトレイ401、402に載せていたが、これに限らない。例えば、順番どおりではなく、ランダムな順番でトレイ401、402に発光素子200を載せてもよい。また、例えば、トレイ401、402の一方に連続して発光素子200を載せてもよい。
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。