JP3363747B2 - 自動二輪車のフルトランジスタ式点火システム - Google Patents

自動二輪車のフルトランジスタ式点火システム

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JP3363747B2
JP3363747B2 JP18086397A JP18086397A JP3363747B2 JP 3363747 B2 JP3363747 B2 JP 3363747B2 JP 18086397 A JP18086397 A JP 18086397A JP 18086397 A JP18086397 A JP 18086397A JP 3363747 B2 JP3363747 B2 JP 3363747B2
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彰 中谷
一郎 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車のエン
ジンの点火システムに関し、詳しくはフルトランジスタ
式のスティック型イグニッションコイルを使用した点火
システム(装置)に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、ガソリンエンジンを搭載している自動二輪車の点火
システムは、図6,図7に図示するように、エンジンE
から少し離れた位置の車体(フレーム等)Fにイグニッ
ションコイル10を配設し、このイグニッションコイル
10の高圧端子(出力端子)10A側から、各点火プラ
グSに高圧コード11を介して電気を供給するよう構成
されている。
【0003】最近では、スペースおよび使用条件等の条
件に関して比較的恵まれた四輪自動車では、最も進んだ
形態のフルトランジスタ式の点火システムが採用されつ
つある。即ち、四輪自動車に採用されているフルトラン
ジスタ式では、イグニッションコイルの一次側の電流の
断続をイグナイターにおこなわせ、各点火プラグ自体に
直接あるいはその近傍にそれぞれスティック型のイグニ
ッションコイルを配設し、これらの各イグニッションコ
イルに、エンジンコントロールユニットの制御で、イグ
ナイターから点火用の低圧電流を供給するよう構成され
ている。この点火システムの場合、イグニッションコイ
ルと点火プラグが直結あるいは近接しているため、高圧
コードがなくなり、あるいは高圧コードの距離が極端に
短くなることから、高圧側の電気抵抗の低減により良好
な火花性能が得られ、また、電波障害を防止できる点で
優れている。このスティック型イグニッションコイルの
先行技術として、特開平8−213258号公報があ
る。
【0004】しかし、上記利点があるものの、自動二輪
車の場合、上記スティック型のイグニッションコイルを
点火プラグに直接配設したフルトランジスタ式の点火シ
ステムを採用することができ難い。
【0005】その大きな理由は、エンジンのシリンダヘ
ッド部分に空間的に殆ど余裕がないため、上記四輪自動
車のようなスティック型のイグニッションコイルを点火
プラグ上に直接配設すると、熱による影響を受けて、実
現することはでき難い。しかも、四輪自動車に比べて、
エンジンの許容最高回転数および常用回転数域が大幅に
高くなる(約2倍程度になる)ことから、従来のスティ
ック型のイグニッションコイルでは、高速域において充
分な火花性能が得られず、またスペースの狭さと相まっ
てイグニッションコイルの温度上昇が予想される、とい
う点である。
【0006】特に、高速域において充分な火花性能を得
ようとして、単に従来より大電流をイグニッションコイ
ルに流すよう構成すれば、点火プラグ自体が発熱する上
に、この比較的大きな電流が頻繁に流れるため、イグニ
ッションコイル自体も発熱して温度が上昇し、点火プラ
グおよびイグニッションコイルの耐熱性を考えると実施
することが難しい。
【0007】本発明は、このような現況に鑑みおこなわ
れたもので、高速回転域においても良好な火花性能が得
られ且つシリンダヘッド周囲に空間的に余裕のない自動
二輪車にも、実現できるようなフルトランジスタ式のス
ティック型イグニッションコイルを具備した点火システ
ムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本請求項1記載の発明に
かかる自動二輪車の点火システムは、点火プラグの接続
端子に一端が取着されイグナイターから一次電流を適宜
タイミングで供給されるスティック型イグニッションコ
イルを具備する自動二輪車のフルトランジスタ式点火シ
ステムであって、上記イグニッションコイルのコイル抵
抗値を低くして大きな電流を流すよう構成するととも
に、点火制御をおこなうエンジンコントロールユニット
が、エンジンの圧縮工程でのみ点火をおこない排気工程
で点火をおこなわないよう制御すべく構成し、上記圧縮
工程での点火は、上記エンジンコントロールユニットに
対し、エンジンの圧縮工程のタイミングを知らせるセン
サーが、カム軸の軸端部に形成された凸部を検知するこ
とによっておこなうよう構成し且つ、上記点火プラグ
が配設されているエンジン上部のプラグホールの走行方
向の前側の壁面に、プラグホールからシリンダヘッドを
貫通して外気側に連通する空気導入用の貫通孔を、前方
で下がった傾斜穴で構成し、プラグホール内に冷却風を
導くように構成したことを特徴とする。
【0009】しかして、このように構成された自動二輪
車のフルトランジスタ式点火システムによれば、抵抗値
を低くしてその分大きな電流がイグニッションコイルに
流れるため、エンジンの高速回転域においても良好な火
花性能が得られるとともに、従来圧縮工程と排気工程の
両方でおこなわれていた点火が、本来点火が必要な圧縮
工程でのみおこなわれるため、電流が大きくなった分だ
けイグニッションコイルでの発熱が増加しようとする
が、単位回転数当たりの発熱の回数(発熱頻度)が半分
になり、その分イグニッションコイルの発熱を抑制する
ことができる。このため、回転数が大幅に高い且つスペ
ース的に狭い自動二輪車にも、性能的に優れた、フルト
ランジスタ式のスティック型のイグニッションコイルを
採用することが可能となる。また、本請求項1の如く、
エンジンコントロールユニットへ、エンジンの圧縮工程
のタイミングを知らせるセンサーが、カム軸の軸端部に
形成された凸部を検知することによって、該圧縮工程を
検出するよう構成されていると、ノイズの少ない状態で
の検出が可能となる点で優れた構成となる。また、カム
軸を焼結合金製にする場合には容易に凸部を形成するこ
とができ、かかる場合には機械加工の必要がない点で優
れた構成となる。さらに、エンジンの回転数が高回転に
なる自動二輪車の走行状態においては、エンジンの前方
を向いて開口している貫通孔から導入される温度の低い
空気(冷却風)がイグニッションコイルとプラグホール
との間に形成されている空間を通過して、上方に流れる
ことから、イグニッションコイルは周囲から冷却される
ことになり、高回転数域においても、良好に冷却をおこ
なうことができる。加えて、この貫通孔が、前方で下が
った傾斜穴によって形成されているため、プラグホール
に水等が侵入した場合にも、外部に排出することができ
る。
【0010】本請求項2記載の発明にかかる自動二輪車
の点火システムは、点火プラグの接続端子に一端が取着
されイグナイターから一次電流を適宜タイミングで供給
されるスティック型イグニッションコイルを具備する自
動二輪車のフルトランジスタ式点火システムであって、
上記イグニッションコイルのコイル抵抗値を低くして大
きな電流を流すよう構成するとともに、点火制御をおこ
なうエンジンコントロールユニットが、エンジンの圧縮
工程でのみ点火をおこない排気工程で点火をおこなわな
いよう制御すべく構成し、上記圧縮工程での点火は、上
記エンジンコントロールユニットに対し、エンジンの圧
縮工程のタイミングを知らせるセンサーが、カム軸に形
成された凹部を検知することによっておこなうよう構成
且つ、上記点火プラグが配設されているエンジン上
部のプラグホールの走行方向の前側の壁面に、プラグホ
ールからシリンダヘッドを貫通して外気側に連通する空
気導入用の貫通孔を、前方で下がった傾斜穴で構成し、
プラグホール内に冷却風を導くように構成したことを特
徴とする。
【0011】しかして、このように構成された自動二輪
車のフルトランジスタ式点火システムによれば、抵抗値
を低くしてその分大きな電流がイグニッションコイルに
流れるため、エンジンの高速回転域においても良好な火
花性能が得られるとともに、従来圧縮工程と排気工程の
両方でおこなわれていた点火が、本来点火が必要な圧縮
工程でのみおこなわれるため、電流が大きくなった分だ
けイグニッションコイルでの発熱が増加しようとする
が、単位回転数当たりの発熱の回数(発熱頻度)が半分
になり、その分イグニッションコイルの発熱を抑制する
ことができる。このため、回転数が大幅に高い且つスペ
ース的に狭い自動二輪車にも、性能的に優れた、フルト
ランジスタ式のスティック型のイグニッションコイルを
採用することが可能となる。また、本請求項2の如く、
エンジンコントロールユニットへ、エンジンの圧縮工程
のタイミングを知らせるセンサーが、カム軸に形成され
た凹部を検知することによって、該圧縮工程を検出する
よう構成されていると、検出部分をコンパクトに構成す
ることができ、しかもカム軸が鋳造製の場合には簡単に
形成することができる構成となる。さらに、エンジンの
回転数が高回転になる自動二輪車の走行状態において
は、エンジンの前方を向いて開口している貫通孔から導
入される温度の低い空気がイグニッションコイルとプラ
グホールとの間に形成されている空間を通過して、上方
に流れることから、イグニッションコイルは周囲から冷
却されることになり、高回転数域においても、良好に冷
却をおこなうことができる。加えて、この貫通孔が、前
方で下がった傾斜穴によって構成されているため、プラ
グホールに水等が侵入した場合にも、外部に排出するこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】 また、上記請求項2記載の自動二
輪車のフルトランジスタ式点火システムにおいて、請求
項3記載の如く、カム軸に形成された凹部が、カム軸の
スラスト受け部分に形成されていると、シリンダヘッド
部分の油分等の影響をもろに受けることがなく、且つシ
ール性の点でも容易に配設できることになる。
【0013】さらに、上記請求項1〜3のいずれか1の
項に記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火システ
ムにおいて、請求項4記載の如く、前記イグニッション
コイルのコイル抵抗値が、従来の自動二輪車の場合の約
1/2程度の、1.0オーム〜1.2オーム程度である
と、現実的な好ましい実施形態となる。
【0014】さらに、上記請求項1〜4のいずれか1の
項に記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火システ
ムにおいて、請求項5記載の如く、前記イグニッション
コイルの下端の接続端子部分は、前記点火プラグの上端
の接続端子に直接接続されていると、高圧コードが不要
な構成となり、好ましい構成となる。
【0015】また、上記請求項1〜5のいずれか1の項
に記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火システム
において、請求項6記載の如く、カム軸が、吸気バルブ
を駆動するカム軸であってもよい。
【0016】
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例にかかる自動二輪車の
フルトランジスタ式点火システムについて図面を参照し
ながら具体的に説明する。
【0018】この実施例では、自動二輪車の4サイクル
DOHC型エンジンに適用した場合を例に説明する。
【0019】図1(a)は本発明の実施例にかかる4サ
イクルDOHC型エンジンのシリンダヘッド部分の構成
を示す断面図、(b)はイグニッションコイルの平断面
形状を示す(a)のI−I矢視図である。
【0020】図1において、1はイグニッションコイル
で、図1(a)に図示するように、このイグニッション
コイル1の下端の接続端子部分は点火プラグSの上端の
接続端子に直接接続されている。従って、この実施例の
場合、高圧コードは不要となっている。
【0021】このイグニッションコイル1は、この実施
例の場合、高回転数域においても良好な火花性能が得ら
れるよう、コイル抵抗値を従来の二輪自動車の場合の約
1/2程度の低い値にし、具体的には、1.0〜1.2
オーム(Ω)程度ものを使用して、従来の約2倍程度の
大電流を流すよう構成されている。
【0022】そして、上記点火プラグSとイグニッショ
ンコイル1は、図1(b)に図示するように、シリンダ
ヘッドHに形成されている円筒状のプラグホール5内に
収容されている。
【0023】このプラグホール5の内径に対して、イグ
ニッションコイル1の外径はやや寸法的に小さくなって
おり、且つ平断面形状が図1(b)に図示するように、
概略歯車形状をしていることから、イグニッションコイ
ル1の外周とプラグホール5の内周との間には、ばね座
金状の空間Rが形成されている。
【0024】そして、図1(a)に図示するように、上
記プラグホール5の前方(自動二輪車に搭載された状態
において走行方向を言う;図1において左方(図1の矢
印Fの方向を参照))の壁面には、プラグホール5から
シリンダヘッドHを貫通して外気側に連通する通風穴6
が形成され、自動二輪車が走行状態において前方からの
空気を積極的に導入できるよう構成されている。また、
この通風穴6は、図1(a)に図示するように、前方で
下がった傾斜穴に形成され、プラグホール5に水等が進
入した場合には外部に排出することができるよう構成さ
れている。この実施例では、一つのプラグホール5につ
き1の通風穴6が形成されているが、より大きな冷却効
果が必要な場合には複数の通風穴を設けてもよい。ま
た、この場合、水等の排出用の穴とは別に設けてもよ
い。
【0025】ところで、上述したようにエンジンEのシ
リンダヘッドHの各シリンダに形成されたプラグホール
5内に配設された各イグニッションコイル1の「−」
(マイナス)側の端子は、図2に図示するように、それ
ぞれ、低圧の電気コード30によって、エンジンコント
ロールユニット20の接続端子20a〜20dに接続さ
れ、また各イグニッションコイル1の「+」(プラス)
側の端子は、バッテリーのプラス側に接続されている。
【0026】この図2に図示するエンジンコントロール
ユニット20は、所謂イグナイターを一体に内蔵した形
式のもので、このエンジンコントロールユニット20
は、出力回路21,ワンボード型のマイクロコンピュー
タ22,定電圧回路25,電圧検知回路27,クランク
軸信号用波形整形器28,カム軸信号用波形整形器2
9,A/D変換器31から構成されている。
【0027】そして、上記出力回路21の各接続端子2
1a〜21dが上記エンジンコントロールユニット20
の接続端子20a〜20dに接続されるとともに、出力
回路21の入力端子21f〜21iは、マイクロコンピ
ュータ22の出力端子22a〜22dに接続され、該マ
イクロコンピュータ22から供給される電気信号によっ
て出力回路21のいずれかのパワートランジスタ(点火
しようとするシリンダに対応するパワートランジスタ)
を動作させて、そのパワートランジスタと接続されてい
る接続端子(20a〜20dのいずれか)の点火用の低
圧電流をON−OFFできるよう構成されている。
【0028】上記ワンボード型マイクロコンピュータ2
2は、制御回路(演算回路)22A,ROM(リードオ
ンリメモリ)22B,RAM(ランダムメモリ)22C
を具備する。そして、マイクロコンピュータ22の入力
端側は、マイクロコンピュータ22に定電圧を供給する
定電圧回路25、スタータスイッチ26への電圧を検知
する電圧検知回路27、検出された電気信号を波形整形
してクランク軸信号として出力するクランク軸信号用波
形整形器28、検出された電気信号を波形整形してカム
軸信号として出力するカム軸信号用波形整形器29、検
出されたスロットルの開度に関する電気信号をA/D変
換(アナログ・デジタル変換)して出力するA/D変換
器31に、それぞれ電気的に接続されている。
【0029】そして、上記定電源回路25の入力端は、
イグニッションスイッチおよびヒューズを介して、ま
た、上記電圧検知回路27はスタータスイッチ26を介
して、それぞれバッテリーのプラス端子に接続されてい
る。
【0030】また、上記クランク軸信号用波形整形器2
8はエンジンのクランク軸に配設された回転数センサー
32に、またカム軸信号用波形整形器29はエンジンの
カム軸に配設されている回転数センサー33に、さらに
A/D変換器31はエンジンの気化器のスロットルの開
度を検出するスロットル開度センサーに、それぞれ電気
的に接続されている。
【0031】そして、上記カム軸に配設されている回転
数センサー33は、この実施例では、図3あるいは図4
に図示するように、エンジンEのシリンダヘッドH部分
に配設されている排気系と吸気系の2本のカム軸のうち
のいずれか一方のカム軸(この実施例では吸気系のカム
軸)34の斜め上方に近接してシリンダヘッドカバーに
一体的に配設されている。具体的には、図4に図示する
ように、カム軸34の周方向の一部に凹部34aを形成
し、この凹部34aの通過を上記回転数センサー33が
検出するよう構成されている。このようにカム軸34に
凹部34aを形成し、この凹部34aを検出するよう構
成すると、凸部を検出するよう構成した場合に比べてコ
ンパクトにできる点で優れ、また、カム軸34のカムス
ラスト受け部分(図3のII−II矢視部分参照) 35に凹
部34aを形成することができる点で優れた構成とな
る。つまり、カムスラスト受け部分35に凹部34aを
形成すると、径の大きい部分に被検出手段である凹部3
4aが形成されるためよりタイミング的により正確な検
出が実施できる点で、またオイルの影響を受け難くなる
点で、優れた構成を実現できる。
【0032】しかし、一方、図5に図示するように、カ
ム軸34の周方向の一部に凸部34bを形成し回転数セ
ンサー33で検出するよう構成すると、検出に際しノイ
ズが少なくなる点で、且つ、該カム軸34を焼結合金製
にした場合には何らの機械加工もすることなく凸部が形
成できる点で、優れた構成となる。そして、カム軸34
に凸部を形成する場合には、カムブラケット(スラスト
力受け)としての機能を阻害しないように、図5に図示
するように、カムスラスト受け部分を内包するカムブラ
ケット部分36(図3参照)を避けて形成する必要があ
る。なお、図5に示す実施例の場合には、図3において
カム軸34の端部(図3の III−III 矢視部分参照) に
配設されている。
【0033】また、上記エンジンコントロールユニット
20は、上記カム軸34に配設された回転数センサー3
3からの信号を受け取って、各シリンダの圧縮行程を検
出する。そして、各シリンダが圧縮行程の所定の過程
(例えば、上死点前13度)において、それぞれ各シリ
ンダに対応して設けられている出力回路21のパワート
ランジスタに電気信号を与え、対応するイグニッション
コイル1に通電している一次電流をON−OFF操作
し、点火プラグを点火するべく制御するよう構成されて
いる。
【0034】しかして、上述のように構成された自動二
輪車のフルトランジスタ式点火システムは、以下のよう
に作用する。以下、上記エンジンコントロールユニット
のマイクロコンピュータのROM内に内蔵されているプ
ログラムの内容とともに、このシステムの作用を説明す
る。
【0035】ライダーがスタータスイッチを操作する
と、スタータが回転してエンジンが始動し、当然のこと
クランク軸およびカム軸34等もそれに伴って回転す
る。そして、カム軸34に付設されている回転数センサ
ー33が上記凹部34a(あるいは凸部34b)の通過
を検出し、その旨の電気信号をエンジンコントロールユ
ニット20のマイクロコンピュータ22に伝達する。マ
イクロコンピュータ22は、この電気信号を受け取る
と、この電気信号から各シリンダの圧縮行程のタイミン
グを演算し、各シリンダの圧縮行程の所定の点火時期に
合わせて、そのシリンダに対応する出力回路21のパワ
ートランジスタに電気信号(制御信号)を与え、対応す
るイグニッションコイル1に通電している一次電流をO
N−OFF操作し、そのシリンダの点火プラグを点火す
る。一方、上記エンジンコントロールユニット20は、
各シリンダの排気行程においては、上述した点火制御
(点火操作)はおこなわない。
【0036】従って、この点火システムでは、4サイク
ルエンジンの圧縮行程でのみ点火をおこなうよう制御を
なし、一般におこなわれる排気行程での点火はおこなわ
ないよう制御する。この結果、点火に際し、従来の自動
二輪車に比べて2倍程度の大電流が流れるため、イグニ
ッションコイル1での一回当たりの発熱量は、2倍程度
になるものの、排気行程での点火がおこなわれないこと
から、全体の発熱量は従来の自動二輪車の場合と比べて
増加しない。
【0037】しかも、点火のタイミングが、各圧縮行程
毎となるため、点火間隔が2倍に延びることから、圧縮
行程と排気行程の両方で点火する場合に比べて点火直前
の温度が低下することから、より温度条件的には良好に
なる。
【0038】しかも、エンジンの回転数が高回転になる
自動二輪車の走行状態においては、エンジンの前方を向
いて開口している上記通風穴6から導入される温度の低
い空気がイグニッションコイル1とプラグホール5との
間に形成されている空間を通過して、上方に流れる(図
1の矢印X参照)ことから、イグニッションコイル1は
周囲から冷却されることになり、高回転数域において
も、良好に冷却をおこなうことができる。
【0039】上記実施例では、4サイクルDOHC型エ
ンジンに適用した場合について説明したが、4サイクル
SOHC型エンジンであっても、あるいはその他の形式
のエンジンにも適用できることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】しかして、本発明にかかる自動二輪車の
フルトランジスタ式点火システムによれば、高圧コード
を省略でき、高圧側の電気抵抗が低減でき良好な火花性
能が得られるフルトランジスタ式のスティック型のイグ
ニッションコイルを自動二輪車にも採用することが可能
となる。
【0041】この結果、エンジンのシリンダヘッド上方
の複雑に配置されている高圧コード群(図7参照)を廃
止することができ、シリンダヘッド上方域が外観的にス
ッキリした自動二輪車を得ることができ、しかも組立て
が容易となり且つ組立て工数を削減することができる。
【0042】また、この点火システムの採用により、よ
り高性能で低燃費且つ排気ガスの綺麗な自動二輪車用エ
ンジンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の実施例にかかる4サイクル
DOHC型エンジンのシリンダヘッド部分の構成を示す
断面図、(b)はイグニッションコイルの平断面形状を
示す(a)のIV−IV矢視図である。
【図2】 この自動二輪車のフルトランジスタ式点火シ
ステムの構成を示すブロック図である。
【図3】 エンジンの平面的配置構成を示す図1のI−
I矢視平面図である。
【図4】 カム軸の回転数センサーの配置構造を示す図
3のII-II 矢視断面図である。
【図5】 図4とは別の実施例にかかるカム軸の回転数
センサーの配置構造を示す図3のIII −III 矢視断面図
である。
【図6】 従来の点火システムを採用した自動二輪車の
エンジンおよびその周辺の配置構成を示す部分側面図で
ある。
【図7】 従来の点火システムを採用した自動二輪車の
エンジンおよび高圧コードとイグニッションコイル等の
配置構成を示す部分平面図である。
【符号の説明】
S…点火プラグ E…エンジン 1…イグニッションコイル 20…エンジンコントロールユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀内 勇二 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 特開 昭57−206771(JP,A) 特開 平8−226367(JP,A) 実開 平7−78642(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火プラグの接続端子に一端が取着され
    イグナイターから一次電流を適宜タイミングで供給され
    るスティック型イグニッションコイルを具備する自動二
    輪車のフルトランジスタ式点火システムであって、 上記イグニッションコイルのコイル抵抗値を低くして大
    きな電流を流すよう構成するとともに、点火制御をおこ
    なうエンジンコントロールユニットが、エンジンの圧縮
    工程でのみ点火をおこない排気工程で点火をおこなわな
    いよう制御すべく構成し、 上記圧縮工程での点火は、上記エンジンコントロールユ
    ニットに対し、エンジンの圧縮工程のタイミングを知ら
    せるセンサーが、カム軸の軸端部に形成された凸部を検
    知することによっておこなうよう構成し且つ、上記点火プラグが配設されているエンジン上部の
    プラグホールの走行方向の前側の壁面に、プラグホール
    からシリンダヘッドを貫通して外気側に連通する空気導
    入用の貫通孔を、前方で下がった傾斜穴で構成し、プラ
    グホール内に冷却風を導くように構成した ことを特徴と
    する自動二輪車のフルトランジスタ式点火システム。
  2. 【請求項2】 点火プラグの接続端子に一端が取着され
    イグナイターから一次電流を適宜タイミングで供給され
    るスティック型イグニッションコイルを具備する自動二
    輪車のフルトランジスタ式点火システムであって、 上記イグニッションコイルのコイル抵抗値を低くして大
    きな電流を流すよう構成するとともに、点火制御をおこ
    なうエンジンコントロールユニットが、エンジンの圧縮
    工程でのみ点火をおこない排気工程で点火をおこなわな
    いよう制御すべく構成し、 上記圧縮工程での点火は、上記エンジンコントロールユ
    ニットに対し、エンジンの圧縮工程のタイミングを知ら
    せるセンサーが、カム軸に形成された凹部を検知するこ
    とによっておこなうよう構成し且つ、上記点火プラグが配設されているエンジン上部の
    プラグホールの走行方向の前側の壁面に、プラグホール
    からシリンダヘッドを貫通して外気側に連通する空気導
    入用の貫通孔を、前方で下がった傾斜穴で構成し、プラ
    グホール内に冷却 風を導くように構成した ことを特徴と
    する自動二輪車のフルトランジスタ式点火システム。
  3. 【請求項3】 前記カム軸に形成された凹部が、カム軸
    のスラスト受け部分に形成されていることを特徴とする
    請求項2記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火シ
    ステム。
  4. 【請求項4】 前記イグニッションコイルのコイル抵抗
    値が、従来の自動二輪車の場合の約1/2程度の、1.
    0オーム〜1.2オーム程度であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1の項に記載の自動二輪車のフル
    トランジスタ式点火システム。
  5. 【請求項5】 前記イグニッションコイルの下端の接続
    端子部分は、前記点火プラグの上端の接続端子に直接接
    続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1の項に記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火シ
    ステム。
  6. 【請求項6】 前記カム軸が、吸気バルブを駆動するカ
    ム軸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
    の項に記載の自動二輪車のフルトランジスタ式点火シス
    テム。
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