JP3363196B2 - 電着塗装装置 - Google Patents

電着塗装装置

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JP3363196B2
JP3363196B2 JP05881893A JP5881893A JP3363196B2 JP 3363196 B2 JP3363196 B2 JP 3363196B2 JP 05881893 A JP05881893 A JP 05881893A JP 5881893 A JP5881893 A JP 5881893A JP 3363196 B2 JP3363196 B2 JP 3363196B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電着槽を有する電着塗装
装置に関し、特に電着槽内におけるブツ等が被塗物に付
着しないようにした電着塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体の塗装工程は、通常、電着塗
装による下塗り塗装工程と、それぞれ主として静電塗装
による中塗り及び上塗り塗装工程とを有している。自動
車車体は、予め前処理工程により車体に付着している油
類を除去すると共に鋼板面に化学的に安定な無機質膜
形成された後に、下塗り塗装工程としての電着工程に搬
送される。この電着塗装工程を通過した後の車体は、電
着塗膜を乾燥硬化するためにオーブンつまり乾燥炉内に
搬送され、次いで、中塗り塗装工程と上塗り塗装工程に
順次搬送される。このことは例えば自動車工学全書第1
9巻「自動車の製造方法」昭和55年4月20日;株式
会社山海堂発行の第202頁〜第208頁「塗装設備」
の項目の中で紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電着槽内に収容されて
いる電着液は、エポキシ樹脂等の樹脂材料や顔料等を含
んでおり、これらが固まってブツとなって電着液内に搬
入された被塗物の表面に付着したり、あるいは被塗物に
予め付着していた鉄粉等のゴミが被塗物の表面に付着す
ることがある。このようなゴミやブツが電着槽内で被塗
物に付着すると、塗装品質が良好とならず、塗装作業の
歩留りが良好とならない。
【0004】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、電着槽内に含有するゴミやブツ等
が被塗物に付着しないようにして塗装品質を向上させる
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1の発明は、底壁と、当該底壁の搬入端及び搬
出端に設けられた端壁と、搬送方向に沿って設けられる
左右の側壁とにより形成された電着槽を、被塗物を搬送
するコンベアの下方に配置し、当該電着槽内に前記被塗
物を搬入端側から搬入することによりオーバーフローし
た電着液をサブタンクに収容し、当該サブタンク内の電
着液を、経路中に少なくともポンプが設けられた第1循
環路により前記電着槽に戻すようにした電着塗装装置に
おいて、前記電着槽の搬入端の端壁下部に開口した吸入
口と、同電着槽の搬入端の端壁上部に下流側に向けて水
平に開口した吐出口とを、経路中に少なくともポンプが
設けられた第2循環路により連通し、前記吸入口から吸
い込まれた電着液を吐出口から吐出することにより、当
該電着液の表面部分に前記電着槽の長手方向に沿って流
れる循環流を生じさせるようにしたことを特徴とする電
着塗装装置である。請求項2の発明は、前記循環流は、
表面流速が秒速20cm以上となるように設定したこと
を特徴とする電着塗装装置である。
【0006】
【作用】サブタンク内の電着液を電着槽に戻す第1循環
路とは独立に、吸入口を電着槽の搬入端の端壁上部に、
吐出口を同電着槽の搬入端の端壁上部に開口した第2循
環路を設け、この第2循環路により電着槽内の電着液を
循環させるとき、電着槽内の電着液に表面部分が電着槽
に長手方向に沿って流れる循環流を生じさせるようにし
たので、電着槽内の電着液に含まれるゴミやブツ等は、
電着液の流れにより被塗物の表面に付着することが防止
されることになる。したがって、高品質の電着塗膜が形
成され、塗装品質が向上した。また、前記循環流の表面
流速を秒速20cm以上とすると、実用上、問題となら
ない程度の塗装品質が得られた。
【0007】
【実施例】図1は本発明の電着塗装装置の一実施例とし
ての電着槽を示す断面図である。被塗物としての車体W
を吊り下げた状態で搬送するコンベア10の下側には、
電着槽11が配置されており、この電着槽11は、底壁
12と、この底壁12の搬入側と搬出側の端部に上側に
向けて広がって形成された端壁13、14と、コンベア
10に沿う方向に設けられた左右の側壁15、16とを
有している。この電着槽11内には電着液Lが収容さ
れ、上端は開口されている。
【0008】被塗物である車体Wはコンベア10によっ
て搬入端側から電着液L内にどぶ付けされた後に、その
状態で電着液L内を進み、搬出端側から搬出される。こ
の搬出時に、車体によってオーバーフローされた電着液
Lを収容するために、電着槽11の下流側にはサブタン
ク17が配置されている。サブタンク17内の電着液L
を電着槽11内に戻すために、サブタンク17と電着槽
11との間には第1循環路18が接続されており、この
第1循環路18にはポンプP1 とフィルターF1 が設け
られている。そして、この第1循環路18の電着槽11
側の吐出口は、図示するように、電着槽11の底部側に
位置し、上流側に向けて水平方向に開口されている。し
たがって、この吐出口から流出した電着液によって、電
着槽11の底部側には上流側に向かう水平方向の流れが
形成される。
【0009】サブタンク17と電着槽11との間には、
更にもう1本の第1循環路21が接続されており、この
第1循環路21にもポンプP2 とフィルターF2 とが設
けられている。そして、この第1循環路21の電着槽1
1側の吐出口は、電着槽11の底部側に位置し、上流側
に向けて水平方向に開口されている。したがって、この
第1循環路21から流出する電着液によっても、電着槽
11の底部側には上流側に向かう流れが形成される。こ
第1循環路21には、熱交換器22が設けられ、外部
から供給される加熱媒体によって、第1循環路21を流
れる電着液は加熱される。
【0010】図示する塗装装置にあっては、電着槽11
の上流側の端壁13と底壁12とのなす角部に吸入口2
3を有し、端壁13の上部に下流側に向けて水平方向に
開口した吐出口24を有する第2循環路25が接続され
ており、この第2循環路25の経路中、ポンプP3
とフィルターF3とが設けられている。
【0011】この第2循環路25の吐出ロ24は上述し
たように、下流側に向けて水平方向に開口されているの
で、電着槽11内の電着液Lの上部は端壁14側つまり
下流側に向かう流れが形成され、底部には前述したよう
に、端壁13側つまり上流側に向かう流れが形成される
ので、これらの流れによって、電着液Lには長手方向に
沿う循環流Sが形成される。
【0012】そして、前述したポンプP1 、P2 、P3
によって、循環流Sの表面流速は秒速20cm以上に設
定されている。このような流速に設定すると、実用上、
問題とならない程度の塗装品質が得られた。
【0013】図2は表面流速と電着槽11内で被塗物に
付着するゴミやブツの量との関係を示す図であり、表面
流速を上昇させればさせる程、付着するゴミやブツの量
が減少し、秒速20cm以上とすれば、塗装品質に悪影
響を受けない程度の付着量となることが判明した。
【0014】また、図3は秒速20cmと10cmとに
ついて、電着槽11内での通電時間とゴミやブツの付着
件数とを測定した結果を示す図であり、表面流速を10
cmとした場合に比して表面流速を20cmとした場合
には格段にゴミやブツの付着件数が減少したことを示し
ている。
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、サブタ
ンク内の電着液を電着槽に戻す第1循環路とは独立に、
吸入口を電着槽の搬入端の端壁上部に、吐出口を同電着
槽の搬入端の端壁上部に開口した第2循環路を設け、こ
の第2循環路により電着槽内の電着液を循環させると
き、電着槽内の電着液に表面部分が電着槽に長手方向に
沿って流れる循環流を生じさせるようにしたので、実用
上問題とならない程度にゴミやブツ等の被塗物に対する
付着量が減少し、高品質の電着塗膜が形成され、塗装品
質が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明の一実施例に係る電着塗装装置を示す
断面図、
【図2】は電着液の表面流速と被塗物に付着するゴミや
ブツの量との関係を示すグラフ、
【図3】は電着槽内での被塗物に対する通電時間と被塗
物に付着するゴミやブツ等の数とを2種類の表面流速に
ついて求めた実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】10…コンベア、 11…電着槽、 12…底壁、13,14…端壁、 15,16…側壁、 17…サブタンク、18,21…第1循環路、 23…吸入口、 24…吐出口、 25…第2循環路、 L…電着液、P1,P2,P3…ポンプ、 S…循環流、 W…被塗物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平1−147263(JP,U) 特公 平4−54222(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底壁と、当該底壁の搬入端及び搬出端に
    設けられた端壁と、搬送方向に沿って設けられる左右の
    側壁とにより形成された電着槽を、被塗物を搬送するコ
    ンベアの下方に配置し、当該電着槽内に前記被塗物を搬
    入端側から搬入することによりオーバーフローした電着
    液をサブタンクに収容し、当該サブタンク内の電着液
    を、経路中に少なくともポンプが設けられた第1循環路
    により前記電着槽に戻すようにした電着塗装装置におい
    て、前記電着槽の搬入端の端壁下部に開口した吸入口と、同
    電着槽の搬入端の端壁上部に下流側に向けて水平に開口
    した吐出口とを、経路中に少なくともポンプが設けられ
    た第2循環路により連通し、前記吸入口から吸い込まれ
    た電着液を吐出口から吐出することにより、当該電着液
    の表面部分に前記電着槽の長手方向に沿って流れる循環
    流を生じさせ るようにしたことを特徴とする電着塗装装
    置。
  2. 【請求項2】 前記循環流は、表面流速が秒速20cm
    以上となるように設定したことを特徴とする請求項1に
    記載の電着塗装装置
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