JP3807068B2 - 電着塗装装置および電着塗装方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディや自動車部品の塗装ラインに設置されるフルディップまたはハーフディップの浸漬型電着塗装装置および浸漬型電着塗装方法に関し、特に塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置および電着塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディの塗装には、下塗り塗装、中塗り塗装および上塗り塗装からなる3コート塗装系が採用されているが、このうちの下塗り塗装工程には、たとえば脱脂処理、化成処理あるいは電着塗装などの工程において、自動車ボディを処理液または塗料液中に全没させるディッピング塗装法が広く用いられている。
【0003】
この種のディッピング塗装法においては、連続的に搬送される自動車ボディを所定の時間だけ全没させる必要があるため、処理槽や塗料槽には大量の処理液や塗料液が収容されている。
【0004】
なかでも、電着塗料液は、低固形分に希釈されているので、常時あるいは間欠的に攪拌しないと顔料沈降が生じ、また槽内収容量が大量であることから、いったん顔料が沈降すると再分散させるのはきわめて困難である。電着塗料液において顔料の分散が不均一であると、塗膜の光沢が変動し、これが上塗り塗膜にまで影響を及ぼすことになる。
【0005】
また、電気泳動作用により塗膜形成を行う電着塗装においては、塗膜形成時、すなわちディッピング時に被塗面で反応ガスが発生し、この気泡をそのまま放置すると析出中の塗膜内に残留して塗膜欠陥になる。この意味からも、槽内の電着塗料液に適当な流速を与え、これにより反応ガスを被塗面から除去する必要がある。
【0006】
さらに、電着塗装においては、塗膜形成時に反応熱が生じるため、被塗面近傍の塗料温度が上昇し塗膜抵抗が低下するが、これを放置すると局部的に厚膜になる。電着膜厚が不均一であると、塗膜表面品質、たとえば鮮映性や塗り肌も不均一となる他、厚膜すぎるとコスト的にも問題がある。したがって、被塗面に適温の塗料液を送って冷却する意味からも、槽内攪拌が必要となる。
【0007】
一方、塗装工程の前工程である溶接工程では、車体パネルをスポット溶接やアーク溶接などにより接合して組み立てるので、スポット溶接時のスパッタ等の金属粉が自動車ボディに付着したまま塗装工程に搬入される。電着塗装工程の前処理工程では、このような異物を洗浄するために多段の洗浄工程が設けられているが、微細な金属粉や室内に付着した異物を完全に洗い落とすことはできない。
【0008】
こうした金属粉が電着槽内に持ち込まれると、これが自動車ボディの特に水平部などに再付着し、電着塗膜内に入りこんで塗膜欠陥を引き起こすことになる。このため、被塗面に付着しようとする金属粉などの異物を除去し、また濾過器により槽外へ排出する意味からも、槽内攪拌が利用されている。
【0009】
このように、顔料沈降の防止あるいは顔料分散の均一化、気泡や熱の除去および異物の付着防止などの諸観点から、電着槽内の攪拌が行われている。
【0010】
この種の槽内攪拌については、従来より特開平6−272091号公報、特開平6−272092号公報、特開平8−41687号公報等に記載された塗料循環方式が知られている。
【0011】
従来の塗料循環方式による槽内攪拌は、概ね以下のとおりである。
すなわち、図6に示されるように、被塗物である自動車ボディBは、ハンガHに搭載され、電着塗料液Lが投入された電着槽1内へ、オーバーヘッドコンベアCにより一定速度で搬入される。
【0012】
電着槽1における自動車ボディBは、約30°の角度で入槽し、3分以上の全没時間を確保して槽内を通過したのち、約30°の角度で出槽する。この間、カチオン型電着塗料では、電着槽1の側壁および底壁に配置された図外の電極板を介して、電着塗料Lに300V前後の直流電圧が印加され、これによりアース側であるボディBとの間で塗料粒子の電気泳動が生じ、ボディBの内外板や袋構造内面に電着塗膜が形成される。
【0013】
従来の槽内攪拌は、大きく2つの循環系が設けられている。その一つは、電着槽1の出槽部に設けられたオーバーフロータンクTから塗料液Lを吸引し、濾過後にこれを槽内のノズル21から吐出する循環系2であり、他の一つは、電着槽1自体から塗料液Lを吸引し、濾過後に再び槽内のノズル31から吐出する循環系3である。図において二重矢印で示すように、何れの循環系2,3も、槽内に大きな塗料液Lの循環が生じるようにノズル21,31から吐出され、この大きな塗料液の循環によって槽内攪拌が行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電着塗装装置のように、表面流方向とボディBの移動方向とを同一方向とすると、ボディBによって持ち込まれたゴミが入槽部において電着槽1全体に拡がる傾向がきわめて強く、しかも、オーバーフロータンクTに至るまでの間、ボディBの移動にともなって浮遊するので、電着塗膜が形成される際にこうしたゴミが塗膜内に埋没するといった問題があった。
【0015】
また、表面流方向とボディBの移動方向とを同一方向とすると、上述した気泡や反応熱の除去効果を維持するためには、液流とボディBとの相対速度を一定以上に設定する必要があり、これにより攪拌に要するエネルギーが多大となるという問題もあった。
【0016】
そこで、本願出願人は、電着槽内の液流方向をボディの移動方向に対して対向させるとともに、電着槽1の入槽側にオーバーフロータンクTを配置することを先に提案した。こうすることで、液流とボディとの相対速度が速くなり気泡や反応熱の除去効果が高まるとともに、ボディによって持ち込まれたゴミを入槽部からそのままオーバーフロータンクTへ排出することができる。
【0017】
ところが、この種の液流対向型電着塗装においては、その表面流が電着槽の出槽部から入槽部に向かって流下するので、出槽部側で生じて液面に浮上した泡も入槽部側に向かって流れてくる。このため、ボディが入槽する際に流下してきた泡を巻き込んでしまい、適切な塗膜が形成されないといった問題があった。
【0018】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置および電着塗装方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成するために、請求項1記載の電着塗装装置は、電着槽の塗料液に浸漬された被塗物と電極との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装装置において、少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流を前記被塗物の移動方向に対して対向する方向とする循環系と、前記被塗物の入槽部より液流方向上流側であって前記塗料液の液面を挟んだ領域に、少なくとも前記電着槽の幅方向に延在して設けられた泡ガイド板とを有することを特徴とする。
【0020】
この請求項1記載の電着塗装装置では、被塗物の入槽部より液流方向上流側であって塗料液の液面を挟んだ領域に、少なくとも電着槽の幅方向に延在して泡ガイド板が設けられているので、電着槽の出槽部側で生じて液面に浮遊した気泡が入槽部側に向かって流れてきても、この気泡は泡ガイド板によって遮られ、少なくとも被塗物の入槽部を回避することとなる。これにより、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0021】
また、この請求項1記載の電着塗装装置では、少なくとも電着槽における塗料液の表面流を被塗物の移動方向に対して対向する方向とする循環系を有しているので、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。このこと、すなわち相対速度が高くなることは、逆に言えば液流速度を顔料沈降のない速度まで低下させることができることに他ならず、循環系の能力を必要最小限まで低下させることで省エネを達成することができる。
【0022】
請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板が設けられる塗料液の液面を挟んだ領域とは、液面から鉛直方向の上下それぞれにある幅をもった領域を言い、換言すれば、泡ガイド板の下端縁が液面からある深さだけ浸漬するとともに、泡ガイド板の上端縁が液面からある高さだけ露出することを意味する。泡ガイド板の下端縁をある深さだけ浸漬させるのは、液面に浮上しようとする気泡までも遮るためであり、泡ガイド板の上端縁をある高さだけ露出するのは、液面に浮上した大きな泡までも遮るためと、遮った泡が当該泡ガイド板を乗り越えるのを防止するためである。
【0023】
請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板の電着槽の幅方向の延在長さは、少なくとも被塗物の幅だけあれば良い。要するに、入槽しようとする被塗物が、液流上流側から流下した泡を巻き込まなければ良いので、たとえば入槽部の上流側の直近に泡ガイド板を設ける場合には、被塗物の幅とほぼ同じ長さに形成することができる。ただし、入槽部からある程度離れた位置に泡ガイド板を設ける場合には、泡ガイド板によって遮られた泡がその後の液流方向によっては入槽部へ向かうことも考えられるので、被塗物の幅よりも大きく設定することが望ましい。
【0024】
(2) また、請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板の液流方向に対する設置角度は特に限定されないが、請求項2記載の電着塗装装置では、前記泡ガイド板は、前記塗料液の表面流に対して、傾斜して設けられていることを特徴とする。ここで言う傾斜とは、泡ガイド板の延在方向と塗料液の表面流の方向とが直角ではないことを意味し、両者が直角方向に対してある角度だけ傾斜していることを意味する。泡ガイド板を表面流に対して傾斜させることにより、当該泡ガイド板の表面にも塗料液の表面流方向の成分を有する流れが生じるので、泡ガイド板によって捕捉された泡がこの流れに乗って下流側へ流れることになる。したがって、泡ガイド板の表面で泡が滞留したまま乾燥し、これがゴミの原因となることが防止される。
【0025】
(3) 上記発明において、泡ガイド板によって遮られた下流側の表面流は、成り行きとしても良いが、請求項3記載の電着塗装装置は、前記泡ガイド板より液流方向下流側の塗料液に、液流方向上流側と同一方向の表面流を生じせしめるノズルが設けられていることを特徴とする。泡ガイド板で入槽部の表面流が遮られたとしても、ノズルによって上流側と同一方向の表面流が生じるので、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0026】
(4) 請求項3記載の電着塗装装置において、ノズルの設置位置は特に限定されず泡ガイド板とは別に設けても良いし、請求項4記載の電着塗装装置のように泡ガイド板に設けても良い。泡ガイド板は入槽部を遮るように液面領域に延在しているので、ここにノズルを設ける方が簡便である。
【0027】
(5) また、請求項3記載の電着塗装装置において、ノズルの設置深さについては、請求項5記載のように、塗料液の液面から10cm〜30cmの深さとすることが好ましい。10cmより浅いと、ノズルから噴射される塗料液が液面に飛散し、新たな泡の発生を引き起こしたり、被塗物に付着してブツの原因となるおそれもあり、逆に30cmより深いと、入槽部において適切な表面流が生じ難くなる。
【0028】
(6) 上記発明において、電着槽の構造は特に限定されないが、請求項6記載の電着塗装装置では、前記電着槽のオーバーフロー槽が、少なくとも前記電着槽の被塗物の入槽側に設けられていることを特徴とする。電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設ければ、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物や上述した泡をそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」や「泡」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0029】
(7) 上記発明において、電着槽における塗料液の全体としての流れは特に限定されず、少なくとも表面流が被塗物の移動方向に対向すればよい。したがって、表面流を被塗物の移動方向に対向する方向とし、底面流を被塗物の移動方向とする循環液流も本発明に含まれるが、請求項7記載の電着塗装装置では、前記循環系は、前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とする循環系を含むことを特徴とする。
【0030】
電着槽における塗料液の全体としての流れを一の方向とすることで、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0031】
(8)上述した目的は、以下の電着塗装方法によっても達成することができる。すなわち、請求項8記載の電着塗装方法は、電着槽の塗料液に被塗物を浸漬しながら当該被塗物と前記塗料液との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装方法において、少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流方向と前記被塗物の移動方向とを対向させるとともに、前記被塗物の入槽部より液流方向上流側の液面近傍の塗料液を、前記入槽部を迂回させながら前記入槽部の液流方向下流側へ導くことを特徴とする。
【0032】
この請求項8記載の電着塗装方法では、被塗物の入槽部より液流方向上流側の液面近傍の塗料液を、入槽部を迂回させながら入槽部の液流方向下流側へ導くので、電着槽の出槽部側で生じて液面に浮遊した気泡が入槽部側に向かって流れてきても、この気泡は入槽部を迂回し、これにより、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0033】
また、この請求項8記載の電着塗装方法では、少なくとも電着槽における塗料液の表面流方向と被塗物の移動方向とを対向させるので、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。このこと、すなわち相対速度が高くなることは、逆に言えば液流速度を顔料沈降のない速度まで低下させることができることに他ならず、循環系の能力を必要最小限まで低下させることで省エネを達成することができる。特に、電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設ければ、被塗物の入槽時に持ち込まれたゴミをそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」などの塗膜欠陥をより減少させることができる。
【0034】
(9) また、請求項9記載の電着塗装方法は、前記入槽部における塗料液の表面流を、液流方向上流側と同一方向とすることを特徴とする。こうすることで、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0035】
(10) 上記本発明の電着塗装方法においても、電着槽における塗料液の全体としての流れは特に限定されず、少なくとも表面流と被塗物の移動方向とが対向すればよい。したがって、表面流を被塗物の移動方向に対向する方向とし、底面流を被塗物の移動方向とする循環液流も本発明に含まれるが、請求項10記載の電着塗装方法は、前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを、前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とすることを特徴とする。
【0036】
電着槽における塗料液の全体としての流れを一の方向とすることで、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0037】
(11) 上述した本発明の電着塗装装置および浸漬式表面処理方法における被塗物の浸漬法には、被塗物を全没させるフルディップ法と、被塗物の一部を浸漬するハーフディップ法とが含まれる。
【0038】
また、本発明の電着塗装装置および浸漬式表面処理方法は、自動車ボディ、自動車部品など、各種金属製部品のカチオン型またはアニオン型電着塗装に適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1〜10記載の発明によれば、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0040】
こうした効果に加え、請求項2記載の発明によれば、泡ガイド板の表面で泡が滞留したまま乾燥し、これがゴミの原因となることが防止される。
【0041】
また、請求項3および9記載の発明によれば、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、適切な位置にかつ簡便にノズルを設置することができる。
【0043】
また、請求項5記載の発明によれば、塗料液の飛散がなく、しかも適切な表面流が生じるノズルを提供することができる。
【0044】
請求項6記載の発明によれば、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物や泡をそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができるので、「ブツ」や「泡」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0045】
請求項7および10記載の発明によれば、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の電着塗装装置の第1実施形態を示す断面図、図2は同じく平面図、図3は図1のIII-III 線に沿う断面図、図4は図1のIV部の拡大断面図である。
【0047】
本実施形態の電着塗装装置は、長い船状の電着槽1を有し、この電着槽1内に電着塗料液Lが満たされている。被塗物である自動車ボディBは、図3に示す如き片持ち型塗装ハンガHに搭載された状態でオーバーヘッドコンベアCにより一定速度で搬入されるが、電着槽1内へボディBを全没させるために、オーバーヘッドコンベアCは、電着槽1の入槽側で約20°〜40°の下向き傾斜とされ、電着槽有効範囲においてはボディBが全没する高さを保ち、出槽側で約20°〜40°の上向き傾斜とされている。図1においては、図の左側が入槽部であり右側が出槽部である。
【0048】
電着槽有効範囲、つまりボディBが全没する範囲の電着槽1の長さは、たとえば3分以上の全没時間が確保されるように設定されている。ボディBが入槽されると、カチオン型電着塗料では、電着槽1の側壁および底壁に配置された電極板4(図3参照)を介して、電着塗料Lに300V前後の直流電圧が印加され、これによりアースされたボディBとの間で塗料粒子の電気泳動が生じ、ボディBの内外板や袋構造内面に電着塗膜が形成される。
【0049】
また、電着槽1の入槽部側の外部には、オーバーフロータンク(オーバーフロー槽)Tが設けられており、電着槽1とオーバーフロータンクTとの間の堰T1を越えた電着塗料液Lは当該オーバーフロータンクTへ流入する。したがって、電着槽1の液面は堰T1の高さで決定される。
【0050】
このオーバーフロータンクTには、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル21を有する第1の電着液循環装置2が設けられており、オーバーフロータンクTの電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の出槽部の表面近傍においてノズル21から入槽部側へ向かって吐出される。
【0051】
この第1の電着液循環装置2のノズル21は、電着槽1の出槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として出槽側の液面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、表面を流れる表面流は、主としてこれらのノズル21からの吐出力によって生じることとなる。
【0052】
これに対して、第2の電着液循環装置3は、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル31を有し、電着槽1の入槽部側の底面の電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の出槽部の底面近傍においてノズル31から入槽部側へ向かって吐出される。
【0053】
この第2の電着液循環装置3のノズル31は、電着槽1の出槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として出槽側の底面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、底面を流れる底面流は、主としてこれらのノズル31からの吐出力によって生じることとなる。
【0054】
そして、これら第1および第2の電着液循環装置2,3によって、電着槽1の液流全体としては、図1に矢印で示すように出槽部から入槽部へ向かう一の方向とされて、堰T1に至った電着塗料液Lは、当該堰T1を越えてオーバーフロータンクTに流れ込むことになる。
【0055】
本実施形態の電着塗装装置では、ボディBの入槽部の液流方向上流側、図1で言えば右側の液面に、泡ガイド板5が、ステー5aに支持されて設けられている。この泡ガイド板5は、図2〜図4に示すように、電着槽1の一方の側縁、図2ではボディBの進行方向の左側の側縁から、右側の側縁の近くまで延在して設けられており、同図に示すように泡ガイド板5の先端と電着槽1の右側の側縁との間には、電着塗料液Lの迂回路となるべき隙間Sが形成されている。この隙間Sは、図3に示す塗装ハンガHのアームが通過できる長さとされ、これにより泡ガイド板5を電着槽1の液面に設けた状態でもボディおよび塗装ハンガHは干渉することなく通過できる。ただし、泡ガイド板5の先端は、図3に示すようにボディBの幅より極力長く延在することが好ましい。
【0056】
本実施形態に係る泡ガイド板5は、図2に示すように電着塗料液Lの表面流の直角方向に対して僅かな角度θだけ傾斜して設けられている。これは、同図に示すように電着槽1の出槽部から入槽部に向かって流れる表面流をスムーズに間隙Sに導くためであり、これにより泡ガイド板5で捕捉された泡が、当該泡ガイド板5に付着して乾燥し、ゴミの原因となるのを防止する。
【0057】
また、泡ガイド板5は、図4に示すように、液面から10〜20cmだけ浸漬されるとともに、液面からも同じくらいの寸法だけ露呈して設けられている。こうした値は、特に限定はされないが、電着槽1の液面が不安定である場合には、その変動量をも含んだ値とすることが望ましい。
【0058】
本実施形態の電着塗装装置では、さらに泡ガイド板5に複数のノズル6が設けられている。このノズル6は、図4に示すように、泡ガイド板5に沿って設けられた塗料パイプ6aに、電着槽1の幅方向に対して所定の間隔をもって設けられた枝パイプ6bの先端に装着されており、塗料パイプ6aの基端には、図示は省略するが、塗料の圧送ポンプなどが設けられてノズル6から電着塗料液Lを吐出するようになっている。各ノズル6の吐出方向は、図2に示すように、上流側の表面流と同様にオーバーフロータンクTへ向かう方向とされ、これにより泡ガイド板5で遮られた入槽部にも同じ方向の表面流が生じることになる。
【0059】
本実施形態では、ノズル6の設置深さMを10〜30cmとしている。これは、10cmより浅く設定すると液面に塗料液Lが飛び散り、新たな泡が生じたり、あるいは飛散した塗料が入槽中のボディBに付着するおそれがあるからである。また、30cmより深く設置すると、目的とする良好な表面流が得難く、したがって10〜30cm程度としている。ただし、本発明ではこうした具体的数値は何ら限定されない。
【0060】
次に作用を説明する。
第1の電着液循環装置2のポンプPを駆動し、オーバーフロータンクTの電着塗料液Lを吸引する。この電着塗料液Lは、フィルタFによって濾過され、熱交換器Eによって適切な温度に調節されたのち、複数のノズル21から電着槽1の出槽部の表面近傍へ吐出される。また、第2の電着液循環装置3のポンプPを駆動し、電着槽1の入槽部の底面近傍の電着塗料液Lを吸引する。この電着塗料液Lは、フィルタFによって濾過され、熱交換器Eによって適切な温度に調節されたのち、複数のノズル31から電着槽1の出槽側の底面近傍へ吐出される。これらのノズル21,32からの塗料液Lの吐出力により、電着槽1全体として出槽部から入槽部へ向かう一方向の大きな液流が生じる。
【0061】
こうして攪拌されている電着塗料液LにボディBを浸漬すると、その表面で生じる反応熱によって気泡が発生し、液面に浮上して泡となって表れる。そして、出槽部から入槽部へ向かう表面流に乗って、この泡も入槽部へ向かって流れてくるが、泡ガイド板5によって堰き止められ、図2に示すように入槽部を迂回するようにして隙間Sを通過しながら、最後はオーバーフロータンクTへ流れ出ることになる。これにより、入槽時の泡の巻き込みが防止できる。
【0062】
また、入槽部には、ノズル6によってボディBに対向する液流が形成されているので、当該入槽部においても、ボディと塗料液との相対速度が大きくなり、その結果、ボディBへのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、ボディ表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0063】
第2実施形態
図5は本発明の電着塗装装置の他の実施形態を示す断面図であり、本実施形態の電着塗装装置は、電着槽1の全体としての液流を一方向ではなく、いわゆる循環式としている点が、上述した第1実施形態と相違する。第1実施形態と共通する構成部材には同一の符号を付すが、同図に示すように、本実施形態の第2の電着液循環装置3は、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル31を有し、電着槽1の出槽部側の底面の電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の入槽部の底面近傍においてノズル31から出槽部側へ向かって吐出される。
【0064】
この第2の電着液循環装置3のノズル31は、電着槽1の入槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として入槽側の底面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、底面を流れる底面流は、主としてこれらのノズル31からの吐出力によって生じることとなる。
【0065】
その他の構成については第1実施形態と同じであるが、これら第1および第2の電着液循環装置2,3によって、電着槽1の液流全体としては、図5に矢印で示すように表面流については、出槽部から入槽部へ向かう方向とされて、堰T1に至った電着塗料液Lは、当該堰T1を越えてオーバーフロータンクTに流れ込むことになる。これに対して、底面流については、入槽部から出槽部へ向かう方向とされている。したがって、電着槽1全体としては反時計廻りの大きな液流が生じる。
【0066】
このように全体の液流を変えても、表面流については第1実施形態と同じであり、したがって泡ガイド板5による泡の巻き込み防止効果は第1実施形態と同様である。
【0067】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電着塗装装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のIII-III 線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV部拡大断面図である。
【図5】本発明の電着塗装装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】従来の電着塗装装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電着槽
2…第1の電着液循環装置
3…第2の電着液循環装置
4…電極
5…泡ガイド板
6…ノズル
B…自動車ボディ(被塗物)
C…オーバーヘッドコンベア
T…オーバーフロータンク(オーバーフロー槽)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車ボディや自動車部品の塗装ラインに設置されるフルディップまたはハーフディップの浸漬型電着塗装装置および浸漬型電着塗装方法に関し、特に塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置および電着塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディの塗装には、下塗り塗装、中塗り塗装および上塗り塗装からなる3コート塗装系が採用されているが、このうちの下塗り塗装工程には、たとえば脱脂処理、化成処理あるいは電着塗装などの工程において、自動車ボディを処理液または塗料液中に全没させるディッピング塗装法が広く用いられている。
【0003】
この種のディッピング塗装法においては、連続的に搬送される自動車ボディを所定の時間だけ全没させる必要があるため、処理槽や塗料槽には大量の処理液や塗料液が収容されている。
【0004】
なかでも、電着塗料液は、低固形分に希釈されているので、常時あるいは間欠的に攪拌しないと顔料沈降が生じ、また槽内収容量が大量であることから、いったん顔料が沈降すると再分散させるのはきわめて困難である。電着塗料液において顔料の分散が不均一であると、塗膜の光沢が変動し、これが上塗り塗膜にまで影響を及ぼすことになる。
【0005】
また、電気泳動作用により塗膜形成を行う電着塗装においては、塗膜形成時、すなわちディッピング時に被塗面で反応ガスが発生し、この気泡をそのまま放置すると析出中の塗膜内に残留して塗膜欠陥になる。この意味からも、槽内の電着塗料液に適当な流速を与え、これにより反応ガスを被塗面から除去する必要がある。
【0006】
さらに、電着塗装においては、塗膜形成時に反応熱が生じるため、被塗面近傍の塗料温度が上昇し塗膜抵抗が低下するが、これを放置すると局部的に厚膜になる。電着膜厚が不均一であると、塗膜表面品質、たとえば鮮映性や塗り肌も不均一となる他、厚膜すぎるとコスト的にも問題がある。したがって、被塗面に適温の塗料液を送って冷却する意味からも、槽内攪拌が必要となる。
【0007】
一方、塗装工程の前工程である溶接工程では、車体パネルをスポット溶接やアーク溶接などにより接合して組み立てるので、スポット溶接時のスパッタ等の金属粉が自動車ボディに付着したまま塗装工程に搬入される。電着塗装工程の前処理工程では、このような異物を洗浄するために多段の洗浄工程が設けられているが、微細な金属粉や室内に付着した異物を完全に洗い落とすことはできない。
【0008】
こうした金属粉が電着槽内に持ち込まれると、これが自動車ボディの特に水平部などに再付着し、電着塗膜内に入りこんで塗膜欠陥を引き起こすことになる。このため、被塗面に付着しようとする金属粉などの異物を除去し、また濾過器により槽外へ排出する意味からも、槽内攪拌が利用されている。
【0009】
このように、顔料沈降の防止あるいは顔料分散の均一化、気泡や熱の除去および異物の付着防止などの諸観点から、電着槽内の攪拌が行われている。
【0010】
この種の槽内攪拌については、従来より特開平6−272091号公報、特開平6−272092号公報、特開平8−41687号公報等に記載された塗料循環方式が知られている。
【0011】
従来の塗料循環方式による槽内攪拌は、概ね以下のとおりである。
すなわち、図6に示されるように、被塗物である自動車ボディBは、ハンガHに搭載され、電着塗料液Lが投入された電着槽1内へ、オーバーヘッドコンベアCにより一定速度で搬入される。
【0012】
電着槽1における自動車ボディBは、約30°の角度で入槽し、3分以上の全没時間を確保して槽内を通過したのち、約30°の角度で出槽する。この間、カチオン型電着塗料では、電着槽1の側壁および底壁に配置された図外の電極板を介して、電着塗料Lに300V前後の直流電圧が印加され、これによりアース側であるボディBとの間で塗料粒子の電気泳動が生じ、ボディBの内外板や袋構造内面に電着塗膜が形成される。
【0013】
従来の槽内攪拌は、大きく2つの循環系が設けられている。その一つは、電着槽1の出槽部に設けられたオーバーフロータンクTから塗料液Lを吸引し、濾過後にこれを槽内のノズル21から吐出する循環系2であり、他の一つは、電着槽1自体から塗料液Lを吸引し、濾過後に再び槽内のノズル31から吐出する循環系3である。図において二重矢印で示すように、何れの循環系2,3も、槽内に大きな塗料液Lの循環が生じるようにノズル21,31から吐出され、この大きな塗料液の循環によって槽内攪拌が行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電着塗装装置のように、表面流方向とボディBの移動方向とを同一方向とすると、ボディBによって持ち込まれたゴミが入槽部において電着槽1全体に拡がる傾向がきわめて強く、しかも、オーバーフロータンクTに至るまでの間、ボディBの移動にともなって浮遊するので、電着塗膜が形成される際にこうしたゴミが塗膜内に埋没するといった問題があった。
【0015】
また、表面流方向とボディBの移動方向とを同一方向とすると、上述した気泡や反応熱の除去効果を維持するためには、液流とボディBとの相対速度を一定以上に設定する必要があり、これにより攪拌に要するエネルギーが多大となるという問題もあった。
【0016】
そこで、本願出願人は、電着槽内の液流方向をボディの移動方向に対して対向させるとともに、電着槽1の入槽側にオーバーフロータンクTを配置することを先に提案した。こうすることで、液流とボディとの相対速度が速くなり気泡や反応熱の除去効果が高まるとともに、ボディによって持ち込まれたゴミを入槽部からそのままオーバーフロータンクTへ排出することができる。
【0017】
ところが、この種の液流対向型電着塗装においては、その表面流が電着槽の出槽部から入槽部に向かって流下するので、出槽部側で生じて液面に浮上した泡も入槽部側に向かって流れてくる。このため、ボディが入槽する際に流下してきた泡を巻き込んでしまい、適切な塗膜が形成されないといった問題があった。
【0018】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、塗料液面に浮遊する電着泡の被塗物への付着を防止できる電着塗装装置および電着塗装方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
(1) 上記目的を達成するために、請求項1記載の電着塗装装置は、電着槽の塗料液に浸漬された被塗物と電極との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装装置において、少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流を前記被塗物の移動方向に対して対向する方向とする循環系と、前記被塗物の入槽部より液流方向上流側であって前記塗料液の液面を挟んだ領域に、少なくとも前記電着槽の幅方向に延在して設けられた泡ガイド板とを有することを特徴とする。
【0020】
この請求項1記載の電着塗装装置では、被塗物の入槽部より液流方向上流側であって塗料液の液面を挟んだ領域に、少なくとも電着槽の幅方向に延在して泡ガイド板が設けられているので、電着槽の出槽部側で生じて液面に浮遊した気泡が入槽部側に向かって流れてきても、この気泡は泡ガイド板によって遮られ、少なくとも被塗物の入槽部を回避することとなる。これにより、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0021】
また、この請求項1記載の電着塗装装置では、少なくとも電着槽における塗料液の表面流を被塗物の移動方向に対して対向する方向とする循環系を有しているので、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。このこと、すなわち相対速度が高くなることは、逆に言えば液流速度を顔料沈降のない速度まで低下させることができることに他ならず、循環系の能力を必要最小限まで低下させることで省エネを達成することができる。
【0022】
請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板が設けられる塗料液の液面を挟んだ領域とは、液面から鉛直方向の上下それぞれにある幅をもった領域を言い、換言すれば、泡ガイド板の下端縁が液面からある深さだけ浸漬するとともに、泡ガイド板の上端縁が液面からある高さだけ露出することを意味する。泡ガイド板の下端縁をある深さだけ浸漬させるのは、液面に浮上しようとする気泡までも遮るためであり、泡ガイド板の上端縁をある高さだけ露出するのは、液面に浮上した大きな泡までも遮るためと、遮った泡が当該泡ガイド板を乗り越えるのを防止するためである。
【0023】
請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板の電着槽の幅方向の延在長さは、少なくとも被塗物の幅だけあれば良い。要するに、入槽しようとする被塗物が、液流上流側から流下した泡を巻き込まなければ良いので、たとえば入槽部の上流側の直近に泡ガイド板を設ける場合には、被塗物の幅とほぼ同じ長さに形成することができる。ただし、入槽部からある程度離れた位置に泡ガイド板を設ける場合には、泡ガイド板によって遮られた泡がその後の液流方向によっては入槽部へ向かうことも考えられるので、被塗物の幅よりも大きく設定することが望ましい。
【0024】
(2) また、請求項1記載の電着塗装装置において、泡ガイド板の液流方向に対する設置角度は特に限定されないが、請求項2記載の電着塗装装置では、前記泡ガイド板は、前記塗料液の表面流に対して、傾斜して設けられていることを特徴とする。ここで言う傾斜とは、泡ガイド板の延在方向と塗料液の表面流の方向とが直角ではないことを意味し、両者が直角方向に対してある角度だけ傾斜していることを意味する。泡ガイド板を表面流に対して傾斜させることにより、当該泡ガイド板の表面にも塗料液の表面流方向の成分を有する流れが生じるので、泡ガイド板によって捕捉された泡がこの流れに乗って下流側へ流れることになる。したがって、泡ガイド板の表面で泡が滞留したまま乾燥し、これがゴミの原因となることが防止される。
【0025】
(3) 上記発明において、泡ガイド板によって遮られた下流側の表面流は、成り行きとしても良いが、請求項3記載の電着塗装装置は、前記泡ガイド板より液流方向下流側の塗料液に、液流方向上流側と同一方向の表面流を生じせしめるノズルが設けられていることを特徴とする。泡ガイド板で入槽部の表面流が遮られたとしても、ノズルによって上流側と同一方向の表面流が生じるので、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0026】
(4) 請求項3記載の電着塗装装置において、ノズルの設置位置は特に限定されず泡ガイド板とは別に設けても良いし、請求項4記載の電着塗装装置のように泡ガイド板に設けても良い。泡ガイド板は入槽部を遮るように液面領域に延在しているので、ここにノズルを設ける方が簡便である。
【0027】
(5) また、請求項3記載の電着塗装装置において、ノズルの設置深さについては、請求項5記載のように、塗料液の液面から10cm〜30cmの深さとすることが好ましい。10cmより浅いと、ノズルから噴射される塗料液が液面に飛散し、新たな泡の発生を引き起こしたり、被塗物に付着してブツの原因となるおそれもあり、逆に30cmより深いと、入槽部において適切な表面流が生じ難くなる。
【0028】
(6) 上記発明において、電着槽の構造は特に限定されないが、請求項6記載の電着塗装装置では、前記電着槽のオーバーフロー槽が、少なくとも前記電着槽の被塗物の入槽側に設けられていることを特徴とする。電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設ければ、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物や上述した泡をそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」や「泡」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0029】
(7) 上記発明において、電着槽における塗料液の全体としての流れは特に限定されず、少なくとも表面流が被塗物の移動方向に対向すればよい。したがって、表面流を被塗物の移動方向に対向する方向とし、底面流を被塗物の移動方向とする循環液流も本発明に含まれるが、請求項7記載の電着塗装装置では、前記循環系は、前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とする循環系を含むことを特徴とする。
【0030】
電着槽における塗料液の全体としての流れを一の方向とすることで、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0031】
(8)上述した目的は、以下の電着塗装方法によっても達成することができる。すなわち、請求項8記載の電着塗装方法は、電着槽の塗料液に被塗物を浸漬しながら当該被塗物と前記塗料液との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装方法において、少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流方向と前記被塗物の移動方向とを対向させるとともに、前記被塗物の入槽部より液流方向上流側の液面近傍の塗料液を、前記入槽部を迂回させながら前記入槽部の液流方向下流側へ導くことを特徴とする。
【0032】
この請求項8記載の電着塗装方法では、被塗物の入槽部より液流方向上流側の液面近傍の塗料液を、入槽部を迂回させながら入槽部の液流方向下流側へ導くので、電着槽の出槽部側で生じて液面に浮遊した気泡が入槽部側に向かって流れてきても、この気泡は入槽部を迂回し、これにより、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0033】
また、この請求項8記載の電着塗装方法では、少なくとも電着槽における塗料液の表面流方向と被塗物の移動方向とを対向させるので、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。このこと、すなわち相対速度が高くなることは、逆に言えば液流速度を顔料沈降のない速度まで低下させることができることに他ならず、循環系の能力を必要最小限まで低下させることで省エネを達成することができる。特に、電着槽の入槽側にオーバーフロー槽を設ければ、被塗物の入槽時に持ち込まれたゴミをそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができ、これにより「ブツ」などの塗膜欠陥をより減少させることができる。
【0034】
(9) また、請求項9記載の電着塗装方法は、前記入槽部における塗料液の表面流を、液流方向上流側と同一方向とすることを特徴とする。こうすることで、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0035】
(10) 上記本発明の電着塗装方法においても、電着槽における塗料液の全体としての流れは特に限定されず、少なくとも表面流と被塗物の移動方向とが対向すればよい。したがって、表面流を被塗物の移動方向に対向する方向とし、底面流を被塗物の移動方向とする循環液流も本発明に含まれるが、請求項10記載の電着塗装方法は、前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを、前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とすることを特徴とする。
【0036】
電着槽における塗料液の全体としての流れを一の方向とすることで、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0037】
(11) 上述した本発明の電着塗装装置および浸漬式表面処理方法における被塗物の浸漬法には、被塗物を全没させるフルディップ法と、被塗物の一部を浸漬するハーフディップ法とが含まれる。
【0038】
また、本発明の電着塗装装置および浸漬式表面処理方法は、自動車ボディ、自動車部品など、各種金属製部品のカチオン型またはアニオン型電着塗装に適用することができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項1〜10記載の発明によれば、被塗物への気泡の巻き込みが防止され、塗膜欠陥の発生が防止される。
【0040】
こうした効果に加え、請求項2記載の発明によれば、泡ガイド板の表面で泡が滞留したまま乾燥し、これがゴミの原因となることが防止される。
【0041】
また、請求項3および9記載の発明によれば、入槽部においても、塗料液と被塗物との相対速度を高めることができ、その結果、被塗物へのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、被塗物表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、適切な位置にかつ簡便にノズルを設置することができる。
【0043】
また、請求項5記載の発明によれば、塗料液の飛散がなく、しかも適切な表面流が生じるノズルを提供することができる。
【0044】
請求項6記載の発明によれば、被塗物の入槽時に持ち込まれた異物や泡をそのままオーバーフロー槽へ流し出すことができるので、「ブツ」や「泡」などの塗膜欠陥を減少させることができる。
【0045】
請求項7および10記載の発明によれば、入槽部に被塗物によって持ち込まれたゴミだけでなく、電着槽内のゴミや気泡を速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができ、さらにはオーバーフローされずに沈降するゴミや凝集塗料なども電着槽内を循環することなく速やかにオーバーフロー槽へ流し出すことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の電着塗装装置の第1実施形態を示す断面図、図2は同じく平面図、図3は図1のIII-III 線に沿う断面図、図4は図1のIV部の拡大断面図である。
【0047】
本実施形態の電着塗装装置は、長い船状の電着槽1を有し、この電着槽1内に電着塗料液Lが満たされている。被塗物である自動車ボディBは、図3に示す如き片持ち型塗装ハンガHに搭載された状態でオーバーヘッドコンベアCにより一定速度で搬入されるが、電着槽1内へボディBを全没させるために、オーバーヘッドコンベアCは、電着槽1の入槽側で約20°〜40°の下向き傾斜とされ、電着槽有効範囲においてはボディBが全没する高さを保ち、出槽側で約20°〜40°の上向き傾斜とされている。図1においては、図の左側が入槽部であり右側が出槽部である。
【0048】
電着槽有効範囲、つまりボディBが全没する範囲の電着槽1の長さは、たとえば3分以上の全没時間が確保されるように設定されている。ボディBが入槽されると、カチオン型電着塗料では、電着槽1の側壁および底壁に配置された電極板4(図3参照)を介して、電着塗料Lに300V前後の直流電圧が印加され、これによりアースされたボディBとの間で塗料粒子の電気泳動が生じ、ボディBの内外板や袋構造内面に電着塗膜が形成される。
【0049】
また、電着槽1の入槽部側の外部には、オーバーフロータンク(オーバーフロー槽)Tが設けられており、電着槽1とオーバーフロータンクTとの間の堰T1を越えた電着塗料液Lは当該オーバーフロータンクTへ流入する。したがって、電着槽1の液面は堰T1の高さで決定される。
【0050】
このオーバーフロータンクTには、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル21を有する第1の電着液循環装置2が設けられており、オーバーフロータンクTの電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の出槽部の表面近傍においてノズル21から入槽部側へ向かって吐出される。
【0051】
この第1の電着液循環装置2のノズル21は、電着槽1の出槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として出槽側の液面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、表面を流れる表面流は、主としてこれらのノズル21からの吐出力によって生じることとなる。
【0052】
これに対して、第2の電着液循環装置3は、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル31を有し、電着槽1の入槽部側の底面の電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の出槽部の底面近傍においてノズル31から入槽部側へ向かって吐出される。
【0053】
この第2の電着液循環装置3のノズル31は、電着槽1の出槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として出槽側の底面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、底面を流れる底面流は、主としてこれらのノズル31からの吐出力によって生じることとなる。
【0054】
そして、これら第1および第2の電着液循環装置2,3によって、電着槽1の液流全体としては、図1に矢印で示すように出槽部から入槽部へ向かう一の方向とされて、堰T1に至った電着塗料液Lは、当該堰T1を越えてオーバーフロータンクTに流れ込むことになる。
【0055】
本実施形態の電着塗装装置では、ボディBの入槽部の液流方向上流側、図1で言えば右側の液面に、泡ガイド板5が、ステー5aに支持されて設けられている。この泡ガイド板5は、図2〜図4に示すように、電着槽1の一方の側縁、図2ではボディBの進行方向の左側の側縁から、右側の側縁の近くまで延在して設けられており、同図に示すように泡ガイド板5の先端と電着槽1の右側の側縁との間には、電着塗料液Lの迂回路となるべき隙間Sが形成されている。この隙間Sは、図3に示す塗装ハンガHのアームが通過できる長さとされ、これにより泡ガイド板5を電着槽1の液面に設けた状態でもボディおよび塗装ハンガHは干渉することなく通過できる。ただし、泡ガイド板5の先端は、図3に示すようにボディBの幅より極力長く延在することが好ましい。
【0056】
本実施形態に係る泡ガイド板5は、図2に示すように電着塗料液Lの表面流の直角方向に対して僅かな角度θだけ傾斜して設けられている。これは、同図に示すように電着槽1の出槽部から入槽部に向かって流れる表面流をスムーズに間隙Sに導くためであり、これにより泡ガイド板5で捕捉された泡が、当該泡ガイド板5に付着して乾燥し、ゴミの原因となるのを防止する。
【0057】
また、泡ガイド板5は、図4に示すように、液面から10〜20cmだけ浸漬されるとともに、液面からも同じくらいの寸法だけ露呈して設けられている。こうした値は、特に限定はされないが、電着槽1の液面が不安定である場合には、その変動量をも含んだ値とすることが望ましい。
【0058】
本実施形態の電着塗装装置では、さらに泡ガイド板5に複数のノズル6が設けられている。このノズル6は、図4に示すように、泡ガイド板5に沿って設けられた塗料パイプ6aに、電着槽1の幅方向に対して所定の間隔をもって設けられた枝パイプ6bの先端に装着されており、塗料パイプ6aの基端には、図示は省略するが、塗料の圧送ポンプなどが設けられてノズル6から電着塗料液Lを吐出するようになっている。各ノズル6の吐出方向は、図2に示すように、上流側の表面流と同様にオーバーフロータンクTへ向かう方向とされ、これにより泡ガイド板5で遮られた入槽部にも同じ方向の表面流が生じることになる。
【0059】
本実施形態では、ノズル6の設置深さMを10〜30cmとしている。これは、10cmより浅く設定すると液面に塗料液Lが飛び散り、新たな泡が生じたり、あるいは飛散した塗料が入槽中のボディBに付着するおそれがあるからである。また、30cmより深く設置すると、目的とする良好な表面流が得難く、したがって10〜30cm程度としている。ただし、本発明ではこうした具体的数値は何ら限定されない。
【0060】
次に作用を説明する。
第1の電着液循環装置2のポンプPを駆動し、オーバーフロータンクTの電着塗料液Lを吸引する。この電着塗料液Lは、フィルタFによって濾過され、熱交換器Eによって適切な温度に調節されたのち、複数のノズル21から電着槽1の出槽部の表面近傍へ吐出される。また、第2の電着液循環装置3のポンプPを駆動し、電着槽1の入槽部の底面近傍の電着塗料液Lを吸引する。この電着塗料液Lは、フィルタFによって濾過され、熱交換器Eによって適切な温度に調節されたのち、複数のノズル31から電着槽1の出槽側の底面近傍へ吐出される。これらのノズル21,32からの塗料液Lの吐出力により、電着槽1全体として出槽部から入槽部へ向かう一方向の大きな液流が生じる。
【0061】
こうして攪拌されている電着塗料液LにボディBを浸漬すると、その表面で生じる反応熱によって気泡が発生し、液面に浮上して泡となって表れる。そして、出槽部から入槽部へ向かう表面流に乗って、この泡も入槽部へ向かって流れてくるが、泡ガイド板5によって堰き止められ、図2に示すように入槽部を迂回するようにして隙間Sを通過しながら、最後はオーバーフロータンクTへ流れ出ることになる。これにより、入槽時の泡の巻き込みが防止できる。
【0062】
また、入槽部には、ノズル6によってボディBに対向する液流が形成されているので、当該入槽部においても、ボディと塗料液との相対速度が大きくなり、その結果、ボディBへのゴミの付着をより効果的に防止することができる。また、ボディ表面で生じる気泡や熱を効果的に除去することができる。
【0063】
第2実施形態
図5は本発明の電着塗装装置の他の実施形態を示す断面図であり、本実施形態の電着塗装装置は、電着槽1の全体としての液流を一方向ではなく、いわゆる循環式としている点が、上述した第1実施形態と相違する。第1実施形態と共通する構成部材には同一の符号を付すが、同図に示すように、本実施形態の第2の電着液循環装置3は、吸引ポンプP、フィルタF、熱交換器Eおよび複数のノズル31を有し、電着槽1の出槽部側の底面の電着塗料液Lは、ポンプPで吸引され、フィルタFで濾過されたのち、熱交換器Eで適切な温度に調節され、電着槽1の入槽部の底面近傍においてノズル31から出槽部側へ向かって吐出される。
【0064】
この第2の電着液循環装置3のノズル31は、電着槽1の入槽部側の幅方向にわたって設けられた複数本のパイプ(図示省略)のそれぞれに装着され、電着塗料液Lの吐出方向が主として入槽側の底面に沿うように設けられている。つまり、電着槽1の全体としての液流のうち、底面を流れる底面流は、主としてこれらのノズル31からの吐出力によって生じることとなる。
【0065】
その他の構成については第1実施形態と同じであるが、これら第1および第2の電着液循環装置2,3によって、電着槽1の液流全体としては、図5に矢印で示すように表面流については、出槽部から入槽部へ向かう方向とされて、堰T1に至った電着塗料液Lは、当該堰T1を越えてオーバーフロータンクTに流れ込むことになる。これに対して、底面流については、入槽部から出槽部へ向かう方向とされている。したがって、電着槽1全体としては反時計廻りの大きな液流が生じる。
【0066】
このように全体の液流を変えても、表面流については第1実施形態と同じであり、したがって泡ガイド板5による泡の巻き込み防止効果は第1実施形態と同様である。
【0067】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電着塗装装置の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1のIII-III 線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV部拡大断面図である。
【図5】本発明の電着塗装装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】従来の電着塗装装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1…電着槽
2…第1の電着液循環装置
3…第2の電着液循環装置
4…電極
5…泡ガイド板
6…ノズル
B…自動車ボディ(被塗物)
C…オーバーヘッドコンベア
T…オーバーフロータンク(オーバーフロー槽)
Claims (10)
- 電着槽の塗料液に浸漬された被塗物と電極との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装装置において、
少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流を前記被塗物の移動方向に対して対向する方向とする循環系と、
前記被塗物の入槽部より液流方向上流側であって前記塗料液の液面を挟んだ領域に、少なくとも前記電着槽の幅方向に延在して設けられた泡ガイド板とを有することを特徴とする電着塗装装置。 - 前記泡ガイド板は、前記塗料液の表面流に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1記載の電着塗装装置。
- 前記泡ガイド板より液流方向下流側の塗料液に、液流方向上流側と同一方向の表面流を生じせしめるノズルが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の電着塗装装置。
- 前記ノズルは、前記泡ガイド板に設けられていることを特徴とする請求項3記載の電着塗装装置。
- 前記ノズルは、前記塗料液の液面から10cm〜30cmの深さに設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の電着塗装装置。
- 前記電着槽のオーバーフロー槽が、少なくとも前記電着槽の被塗物の入槽側に設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の電着塗装装置。
- 前記循環系は、前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とする循環系を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電着塗装装置。
- 電着槽の塗料液に被塗物を浸漬しながら当該被塗物と前記塗料液との間に電圧を印加して塗膜を形成する電着塗装方法において、
少なくとも前記電着槽における前記塗料液の表面流方向と前記被塗物の移動方向とを対向させるとともに、前記被塗物の入槽部より液流方向上流側の液面近傍の塗料液を、前記入槽部を迂回させながら前記入槽部の液流方向下流側へ導くことを特徴とする電着塗装方法。 - 前記入槽部における塗料液の表面流を、液流方向上流側と同一方向とすることを特徴とする請求項8記載の電着塗装方法。
- 前記電着槽における前記塗料液の全体としての流れを、前記電着槽の長手方向に沿った一の方向とすることを特徴とする請求項8または9記載の電着塗装方法。
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