JP2004285411A - 電着塗装装置 - Google Patents

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Hideaki Hara
秀 明 原
Toshinori Watanabe
辺 俊 典 渡
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Abstract

【課題】電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるように塗料液を攪拌して電着塗装する際に、塗装不良の原因となる液面浮遊物を入槽時に付着させないようにする。
【解決手段】塗料液の表面流(8U)に運ばれて電着槽(3)の出槽側から入槽側へ向かって流される気泡等の液面浮遊物が、電着槽(3)内に入槽する被塗物(W)が塗料液の液面と接触するゾーン(Z)に到達する前に、その液面浮遊物を電着槽(3)の側壁方向へ押し流して槽外に排出させる液面浮遊物排出手段(10)を設けた。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるように塗料液を攪拌する電着塗装装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車ボディなどの被塗物をコンベアで搬送しながら電着塗装を行う場合に、電着槽底部に塗料成分が沈降しないように、塗料液を槽底側と液面側で反対方向に流れる循環流を形成して塗料液を攪拌している。
そして従来は、電着槽内に入槽する被塗物が塗料液の液面と接触する入槽ゾーンにおいて、被塗物表面に気泡やスラッジなどの液面浮遊物が付着しないように、塗料液の表面流を被塗物の移動方向と同じ方向に流して、入槽ゾーンに浮かぶ液面浮遊物を出槽側へ押し流していた。
しかしながら、この場合は被塗物と塗料液の相対速度が遅くなり、しかも、液面浮遊物が被塗物と同じ方向に流れるため、その被塗物の水平部、たとえばルーフやフードの上に乗った状態で滞留しやすく、塗装不良の原因となるという問題点が指摘されていた。
【0003】このため最近では、電着塗装中に液面浮遊物が被塗物の水平部に滞留しないように、電着槽内における塗料液の表面流を被塗物の移動方向と逆方向に流して塗料液を攪拌する電着塗装装置が提案されている。
この電着塗装装置は、電着槽の入槽側にサブタンクが形成され、電着槽の槽底には入槽側から出槽側に向う槽底流を形成するノズルが配されると共に、液面近傍には出槽側から入槽側に向う表面流を形成するノズルが配されている。
【0004】そして、サブタンクにオーバフローされた塗料液を各ノズルからタンク内に循環供給することにより塗料液を攪拌すると共に、電着槽内における塗料液の表面流を被塗物の移動方向と逆方向に流して、同一方向に流した場合に比して被塗物と塗料液との相対速度を速くすることにより、ゴミ等が被塗物の水平部に乗っても滞留せずにすぐに流されるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液面浮遊物が塗料液の表面流に運ばれて電着槽の出槽側から入槽側へ向かって流されるため、被塗物表面は液面浮遊物が浮いた液面を通過しなければ入槽させることができず、したがって、被塗物の表面に液面浮遊物が付着して塗装不良を起こしやすいという問題が残る。
【0006】例えば、塗料液の液面に浮いている気泡が入槽時に被塗物内部に入ると、内側に気泡溜まりが形成されてスケと称する未塗装の部分ができたり、塗料液の液面に浮いているスラッジやゴミが入槽時に被塗物の内外を問わずその表面に付着すると、スラッジなどの上から電着塗膜が形成されてブツと称する塗装不良を生じることとなる。
したがって、塗装効率を向上させれば液面浮遊物による塗装不良を生じ易くなり、液面浮遊物による塗装不良をなくそうとすると塗装効率を犠牲にせざるを得ない。
【0007】そこで本発明は、塗装不良の原因となる液面浮遊物を入槽時に付着させないようにすることを技術的課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるように塗料液を攪拌する電着塗装装置において、塗料液の表面流に運ばれて電着槽の出槽側から入槽側へ向かって流される気泡等の液面浮遊物が、電着槽内に入槽する被塗物が塗料液の液面と接触するゾーンに到達する前に、その液面浮遊物を電着槽の側壁方向へ押し流して槽外に排出させる液面浮遊物排出手段を備えていることを特徴とする。
【0009】本発明によれば、電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるので、同一方向に流れる場合に比して、被塗物と表面流の相対速度が速くなり、被塗物表面に接触する塗料液の流量が実質的に増大されて塗装効率が向上される。
また、気泡等の液面浮遊物は塗料液の表面流に運ばれて電着槽の出槽側から入槽側へ向かって流されることになるが、その液面浮遊物は、電着槽内に入槽する被塗物が塗料液の液面と接触するゾーンに到達する前に、電着槽の側壁方向へ押し流されて槽外に排出される。
したがって、被塗物が入槽する際に塗料液の液面と接触するゾーンには、液面浮遊物は存在せず、被塗物内部に気泡溜まりができてスケを生じたり、スラッジが付着してブツを生じたりすることもない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本発明に係る電着塗装装置を示す説明図、図2はその側面図、図3はその背面側から見た断面図、図4はその平面図、図5及び図6は他の実施形態を示す平面図である。
【0011】図1に示す電着塗装装置1は、コンベア2で搬送される自動車ボディなどの被塗物Wを電着槽3に浸漬して、被塗物Wを槽内電極(図示せず)と反対極性(例えばアース電位)に維持して電着槽3内を移動させながら、塗料液中の樹脂イオンを被塗物Wの表面に析出させるものである。
【0012】電着槽3内には、その側壁5R、5L及び槽底5Bに沿って塗料液を噴射する多数のノズル6U、6Dが形成されたライザー管7が配され、液面近傍に位置するノズル6U…が入槽側に向って塗料液を噴射するように配され、槽底近傍に位置するノズル6D…が出槽側に向って塗料液を噴射するように配されている。
【0013】これにより、電着槽3内には、槽底側に被塗物Wの移動方向と同じ方向に流れる塗料液の槽底流8Dが形成されると共に、その流れが出槽側端部で上向きに反転し、液面側に被塗物Wの移動方向と逆方向に流れる塗料液の表面流8Uが形成されて塗料液が攪拌され、表面流8Uは電着槽3の入槽側に形成されたサブタンク9にオーバーフローされるようになっている。
【0014】また、サブタンク9はポンプPが介装された塗料循環系Cを介して各ノズル6U、6Dに接続され、電着槽3からサブタンク9にオーバーフローされた塗料液が濾過された後、各ノズル6U、6Dに循環供給されるようになされている。
【0015】また、電着槽3には、塗料液の表面流8Uに運ばれて電着槽3の出槽側から入槽側へ向かって流される気泡等の液面浮遊物が、電着槽3内に入槽する被塗物Wが塗料液の液面と接触する入槽ゾーンZに到達する前に、その液面浮遊物を電着槽3の側壁5R、5U方向へ押し流して槽外に排出させる液面浮遊物排出手段10が形成されている。
【0016】この液面浮遊物回収手段10は、電着槽3の側壁5Rに形成されたオーバーフロー用開口部11と、該開口部11からオーバーフローされた塗料液により押し流された液面浮遊物を回収する回収槽12を備えている。
オーバーフロー用開口部11は、前記入槽ゾーンZに対して表面流8Uの流れの上流側に、側壁5Rをその部分だけ切欠いて、または、横長のスリット状の開口を穿設して形成されている。
また、開口部11の下縁の高さは、通常運転時の塗料液の喫水線より低く設計され、電着塗装している間は必ず塗料液の位置水頭により開口部11から回収槽12にオーバーフローされる自然流が形成されるようになっている。
【0017】回収槽12は、フィルタF及びポンプPを介装した配管13を介して前記塗料循環系Cに接続され、オーバーフローされた塗料液に含まれる液面浮遊物をフィルタFで除去した後、ノズル6U、6Dから循環供給するようになされている。
このポンプPは、回収槽12の水位をモニタする液面センサ14の検出信号に基づき、その液面を予め設定した上限以下に維持する液面調整ポンプとして機能し、電着槽3及び回収槽12の塗料液面間に所定の落差が確保される。
【0018】これにより、電着槽3からオーバーフロー用開口部11を通り予め設定された所定の流量以上で回収槽12に落とし込まれるので、電着槽3の出槽側から入槽側へ向う表面流8Uの表層部分に、入槽ゾーンZの手前側で表面流8Uの流れから反れてオーバーフロー用開口部11に向って斜めに流れる表層流8Tが形成され、液面浮遊物はこの表層流8Tに押し流されて回収槽12へ落とし込まれることになる。
【0019】なお、オーバーフロー用開口部11を形成した側壁5Rの反対側の側壁5Lには、必要に応じて、オーバーフロー用開口部11へ向って液面浮遊物を押し流す噴流を形成する噴射ノズル15…が配されている。
本例では、噴射ノズル15…を液中に配して塗料液を噴射するようにしているが、このノズル15…は、液面上から塗料液やエアを噴射する場合であっても良い。
これにより、液面浮遊物は、オーバーフロー用開口部11に向って斜めに流れる表層流8Tのみならず、噴射ノズル15により形成される噴流によってもオーバーフロー用開口部11に向って押し流されるので、より確実に、回収槽12へ落とし込まれる。
【0020】以上が本発明の構成例であって、次にその作用を説明する。
まず、塗料循環系Cの各ポンプP、Pを稼動させて各ノズル6U、6Dから塗料液を夫々の方向に噴射させ、表面流8U及び槽底流8Dを形成すると共に、電着槽3内の塗料液の液面を通常運転時の喫水線に維持して入槽側のサブタンク9や側壁5Rに形成された回収槽12に電着塗料をオーバーフローさせ、オーバーフローされた塗料液を各ノズル6U、6Dに循環供給させておく。
【0021】この状態で、被塗物Wをコンベア2で搬送しながら、電着槽3に入槽させる。
このとき、電着層3内にはその出槽側から入槽側へ向かう塗料液の表面流8Uが形成されており、電着槽3の側壁5Rにオーバーフロー用開口部11が形成されて塗料液がオーバーフローされているので、表面流8Uの表層部分に、入槽ゾーンZの手前側で表面流8Uの流れから反れてオーバーフロー用開口部11に向う斜め方向の流れが形成される。
【0022】これにより、気泡等の液面浮遊物が表面流8Uに運ばれて電着槽3の出槽側から入槽側へ流されてくるが、入槽ゾーンZの手前までくると、オーバーフロー用開口部11に向う斜め方向の流れに押し流されて回収槽12へ落とし込まれることになる。
したがって、電着槽3内に入槽する被塗物Wが塗料液の液面と接触する入槽ゾーンZには、液面浮遊物が侵入せず、入槽時に被塗物W内に気泡が入ったり、その表面にスラッジが付着することもないので、塗装不良が生じにくくなる。
【0023】そして、被塗物Wを搬送しながら電着塗装を行えば、被塗物Wが移動する電着槽3の上層部の流れは被塗物Wの移動方向と逆方向であるから、その相対速度は、被塗物Wの移動速度と塗料液の流速の和に等しくなり、塗料液を被塗物Wの移動方向と同じ方向に流すよりも速くなる。
したがって、液面浮遊物が被塗物の水平部、たとえばルーフやフードの上に滞留しにくく、被塗物の水平部に乗っても滞留せずにすぐに流されることとなる。
【0024】なお、上述の説明では、液面浮遊物排出手段10を構成するオーバーフロー用開口部11を片方の壁面5Rに形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図5に示すように、オーバーフロー用開口部11、回収槽12及び噴射ノズル15…からなる液面浮遊物排出手段10を両側の壁面5R及び5Lに齟齬して形成しても良い。
さらに、図6に示すように、噴射ノズルを15…を使用せずに、オーバーフロー用開口部11及び回収槽12からなる液面浮遊物排出手段10を両側の壁面5R及び5Lに形成する場合は、これらを齟齬させることなく対向する位置に形成しても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるので、同一方向に流す場合に比して被塗物と表面流の相対速度が速くなり液面浮遊物が被塗物等の被塗物の水平部、たとえばルーフやフードの上に滞留しにくく、また、水平部に乗ってもすぐに流されるため塗装不良を生じにくいだけでなく、さらに、被塗物が入槽する際に塗料液の液面と接触するゾーンには液面浮遊物は存在しないので、入槽時に被塗物に液面浮遊物が付着することによる塗装不良を生ずることがないという大変優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電着塗装装置を示す説明図。
【図2】その側面図。
【図3】その背面側から見た断面図。
【図4】その平面図。
【図5】他の実施形態を示す平面図。
【図6】他の実施形態を示す平面図。
【符号の説明】
1………電着塗装装置
2………コンベア
W………被塗物
3………電着槽
5R、5L………側壁
5B………槽底
6U、6D………ノズル
8U………表面流
8D………槽底流
Z………入槽ゾーン
10………液面浮遊物排出手段
11………オーバーフロー用開口部
12………回収槽

Claims (5)

  1. 電着槽内における塗料液の表面流が被塗物の移動方向と逆方向に流れるように塗料液を攪拌する電着塗装装置において、
    塗料液の表面流に運ばれて電着槽の出槽側から入槽側へ向かって流される気泡等の液面浮遊物が、電着槽内に入槽する被塗物が塗料液の液面と接触するゾーンに到達する前に、その液面浮遊物を電着槽の側壁方向へ押し流して槽外に排出させる液面浮遊物排出手段を備えていることを特徴とする電着塗装装置。
  2. 前記液面浮遊物排出手段が、前記電着槽の側壁に形成されたオーバーフロー用開口部と、該開口部からオーバーフローされた塗料液により押し流された液面浮遊物を回収する回収槽を備えた請求項1記載の電着塗装装置。
  3. 前記オーバーフロー用開口部へ向って前記液面浮遊物を押し流す噴流を形成する噴射ノズルを備えた請求項2記載の電着塗装装置。
  4. 前記回収槽に、電着槽から前記回収槽にオーバーフローされる塗料液の流量が予め設定された所定の流量以上に維持されるように該回収槽内の液面を調整する液面調整ポンプを備えた請求項2記載の電着塗装装置。
  5. 前記オーバーフロー用開口部が前記表面流の流れ方向から見て電着槽の左右両側に齟齬して形成された請求項2記載の電着塗装装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007284750A (ja) * 2006-04-18 2007-11-01 Parker Engineering Kk 浸漬型表面処理装置
JP2012144769A (ja) * 2011-01-11 2012-08-02 Fuji Heavy Ind Ltd 電着塗装装置及び電着塗装方法

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