JPH0841687A - 電着塗装装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電着槽内に貯溜した塗料液の液面に発生する
泡やその泡に吸着されたゴミが被塗物の表面に付着して
電着不良を生ずることを防止する。 【構成】 電着槽４内に貯溜した塗料液Ｐの液面に発生
する泡を無端ベルト９の表面に吸着させて液面上方に移
送するベルトコンベア８が、オーバーヘッドコンベア１
の片持ち式ハンガ２に載せられて電着槽４に入槽した被
塗物３とハンガ２の吊元との間に生ずる空間Ｅ内に配設
されると共に、その空間Ｅ内に無端ベルト９の表面に吸
着した泡を除去する泡取り器１３が配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オーバーヘッドコンベ
アのハンガに載せて連続的に移送される被塗物を電着槽
に入槽させてその槽内に貯溜した塗料液中に浸漬する電
着塗装装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車の電着塗装装置は、被塗物となる
自動車ボディをオーバーヘッドコンベアのハンガに載せ
て移送しながら電着槽内に貯溜された塗料液に浸漬する
ようになっており、前記ハンガとしては、自動車ボディ
の載せ降ろしを容易にするためにハンガフレームの片側
面が開放されたＣ形ないしＬ形の片持ちハンガを用いた
ものがある（実公平４−４４６２０号，実公平４−１７
５６６号公報）。

【０００３】ところで、電着槽内に貯溜した塗料液中に
は電気分解による細かい気泡が発生し、また、自動車ボ
ディが電着槽に入槽する際には、そのボディ内部から空
気が出て塗料液中に気泡が発生し、それらが塗料液の液
面で弾けてその液面に多量の泡を生じさせる。また、塗
料液に浸漬した自動車ボディのルーフ部内側に空気が溜
まっているとその部分に電着不良が生ずるので、自動車
ボディを塗料液中でハンガと一体的に傾けたり、あるい
は電着槽の側壁に設けたライザー管からボディ内部に向
かって塗料液を噴射するなどして、ルーフ部内側に溜ま
った空気を強制的に追い出すこともあり、その追い出さ
れた空気が塗料液中を気泡となって液面に達し、その液
面に泡を生じさせる。更に、電着槽の槽底には、その槽
内に貯溜した塗料液を攪拌して顔料の沈降・沈澱を防止
するために塗料液を勢い良く噴射するライザー管が設け
られており、そのライザー管から塗料液が噴射される際
にも気泡が発生する。

【０００４】こうして塗料液の液面に多量の泡が発生す
ると、その泡が電着槽に入槽する自動車ボディの表面に
付着して電着不良を生ずるおそれがある。また、液面に
発生した泡に、自動車ボディの表面に付着して塗料液中
に持ち込まれた鉄粉などのゴミが吸着され、そのゴミが
泡と一緒に電着槽から出槽する自動車ボディの表面に付
着して電着塗膜にブツを発生させるおそれもある。殊に
電着塗装に用いる塗料液には界面活性剤が含まれている
ので泡が発生しやすく、また、一旦発生した泡はなかな
か消えにくいので、泡やゴミの付着よる電着不良が生じ
やすい。このため、電着槽に貯溜した塗料液の液面に
は、その槽内に設けたライザー管から噴射される塗料液
の噴流で、電着槽の入槽側から出槽側に向かう表面流を
生じさせて、液面に発生した泡を電着槽の出槽側へ押し
流し、その出槽側に設けたサブタンク内にオーバーフロ
ーする塗料液と一緒にサブタンク内へ落とし込むように
している（実公平３−４２０３９号公報）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、表面流は、塗
料液の液面に発生した泡を電着槽の入槽側から出槽側に
向かって押し流すだけにすぎず、液面に泡が発生するこ
とを防止したり、発生した泡を消したりするものではな
いから、電着槽に入槽する自動車ボディの表面に泡が付
着して電着不良を生ずるおそれは完全に解消されない。
殊に、表面流が乱れたり弱まったりすると、液面に浮遊
する泡がサブタンクへ流し去られずに滞留するおそれが
ある。そこで本出願人は、塗料液の液面上方に沿って高
電圧を印加した電極を設け、その電極と液面との間に生
ずる電界の作用によって液面に発生した泡を消す消泡手
段を提案したが（実開平４−９２５６１号公報）、この
手段は、高電圧を使用するので安全性に多大の配慮を払
わなければならず、設備費も嵩むという問題があった。

【０００６】上述の事情に鑑み、本発明は、高電圧など
使用しない安全な手段によって液面に発生した泡を確実
に除去できるようにすることを技術的課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、オーバーヘッドコンベアの片持ち式ハ
ンガに載せて連続的に移送される被塗物を電着槽に入槽
させてその槽内に貯溜した塗料液に浸漬する電着塗装装
置において、電着槽内に貯溜した塗料液の液面に発生す
る泡を無端ベルトの表面に吸着させて前記液面上方に移
送するベルトコンベアが、その一端側を電着槽の入槽側
に向け、他端側を電着槽の出槽側に向けて、電着槽に入
槽せられた被塗物とその被塗物を載せた片持ち式ハンガ
の吊元との間に生ずる空間内に納まる高さに配設される
と共に、当該ベルトコンベアによって前記液面上方に移
送される泡を前記無端ベルトの表面から除去する泡取り
器が前記空間内に納まる高さに配設されていることを特
徴とする。

【０００８】

【作用】本発明によれば、電着槽内に貯溜した塗料液の
液面に発生する泡が、ベルトコンベアの無端ベルトの表
面に吸着されて塗料液の液面上方に移送され、その液面
上方で泡取り器によって無端ベルトの表面から除去され
る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって具体的
に説明する。図１は本発明の第一実施例を示す側面図、
図２はその正面図、図３は本発明の第二実施例を示す正
面図、図４は泡取り器の変形例を示す図である。

【００１０】図１及び図２に示す電着塗装装置は、オー
バーヘッドコンベア１の片持ち式ハンガ２に載せて連続
的に移送される自動車ボディ等の被塗物３を電着槽４に
入槽させてその槽内に貯溜した塗料液Ｐに浸漬するよう
になっている。電着槽４には、その槽内からサブタンク
５内へオーバーフローした塗料液をポンプ６で電着槽４
に圧送してその槽底に設けたライザー管７から噴射させ
る塗料循環系が形成されると共に、塗料液Ｐの液面位置
に、その液面に発生する泡を無端ベルト９の表面に吸着
させて液面上方に移送するベルトコンベア８が配設され
ている。

【００１１】ベルトコンベア８は、Ｃ形ないしＬ形の片
持ちハンガ２の開放面と対向する電着槽４の左右一方の
側壁４ｃ側から電着槽４の幅方向に向かって幅広に形成
された無端ベルト９を前後一対のベルト車１０及び１１
に掛け回した構造で成り、ベルト車１０が設けられた一
端側を電着槽４の入槽側４ａに向けて塗料液Ｐの液中に
浸漬させ、ベルト車１１が設けられた他端側を電着槽４
の出槽側４ｂに向けて塗料液Ｐの液面上方に突出させた
傾斜状態に配設されると共に、そのコンベア８全体が、
電着槽４に入槽した被塗物３とその被塗物３を載せた片
持ち式ハンガ２の吊元との間に生ずる空間Ｅ内に納まる
高さに配設されている。なお、ベルト車１１は、モータ
１２により、無端ベルト９をベルト車１１に対してその
上方側から進入させてその下方側へ退出させる方向に回
転駆動される。

【００１２】無端ベルト９の本体は、不織布のように繊
維を乱雑な方向に絡み合わせた通気性の良い布帛状シー
トで形成されて、液面に浮かんだ泡が表面に吸着しやす
く、且つ吸着した泡が離脱しにくい構造になっている。
なお、布帛状シートの材質としては、例えば、海面など
に流出した廃油を繊維に吸着させて濾し取るオイル・ス
キマー（oil skimmer)などが好適である。

【００１３】塗料液Ｐの液面上方に突出したベルトコン
ベア８の他端側には、その他端側に移送される泡を無端
ベルト９の表面から除去する泡取り器１３が前記空間Ｅ
内に納まる高さに配設されている。泡取り器１３として
は、無端ベルト９の表面に沿って圧し当てられる硬質ゴ
ム製のスクレーパが用いられ、そのスクレーパで無端ベ
ルト９の表面から掻き取った泡をスクレーパの下方に沿
って配設した受槽１４内に落とし込んで回収するように
なっている。

【００１４】しかして、電着塗装を行う際には、電着槽
４の槽内に設けたライザー管７から噴射する塗料液の噴
流によって、電着槽４に貯溜された塗料液Ｐの液面に電
着槽４の入槽側４ａからサブタンク５を設けた出槽側４
ｂへ向かって流れる表面流を生じさせると共に、その液
面位置に配設したベルトコンベア８を稼働させる。これ
により、電着槽４の入槽側４ａから出槽側４ｂへ向かっ
て流れる表面流で運ばれる泡が、塗料液Ｐの液中に浸漬
したベルトコンベア８の一端側で無端ベルト９の表面に
打ち寄せてその表面に吸着され、液面上方に突出したベ
ルトコンベア８の他端側へ移送される。

【００１５】そして、ベルトコンベア８の他端側へ移送
された泡は、その他端側に設けた泡取り器１３で無端ベ
ルト９の表面から除去されて受槽１４へ廃棄される。ま
た、無端ベルト９の表面には、被塗物３に付着して塗料
液Ｐの液中に持ち込まれた鉄粉などのゴミも泡と一緒に
吸着され、そのゴミもスクレーパで成る泡取り器１３で
無端ベルト９の表面から掻き取られて泡と共に受槽１４
内へ落とし込まれるので、ブツによる電着不良も防止さ
れる。

【００１６】次に、図３に示す電着塗装装置は、電着槽
４内に貯溜した塗料液Ｐの液面に発生する泡を無端ベル
ト１９の表面に吸着させて液面上方に移送するベルトコ
ンベア１８が、電着槽４の左右一方の側壁４ｃ側から、
被塗物３とその被塗物を載せた片持ち式ハンガ２の吊元
との間に生ずる空間Ｅ内に向かって、電着槽４の幅方向
に配設され、そのコンベア８の下面側で、無端ベルト１
９が塗料液Ｐの液面に沿って平行に通過するようになっ
ている。つまり、無端ベルト１９は、三つのベルト車２
０，２１及び２２によって三角形に掛け回されており、
二つのベルト車２０及び２１は、塗料液Ｐの液面位置で
電着槽４の側壁４ｃ側と空間Ｅ側とに分かれて左右平行
に配設され、もう一つのベルト車２２は、電着槽４の側
壁４ｃ上方に配設されると共に、モータ（図示せず）に
より、無端ベルト１９をベルト車２２に対してその上方
側から進入させてその下方側へ退出させる方向に回転駆
動される。

【００１７】また、ベルト車２２が配設された電着槽４
の側壁４ｃ側には、ベルトコンベア１８によって塗料液
Ｐの液面上方に移送される泡を無端ベルト１９の表面か
ら除去する泡取り器１３が配設されている。この泡取り
器１３としては、繊維を乱雑な方向に絡み合わせた通気
性のある布帛状シートで成る無端ベルト１９本体の裏面
側から表面側に向かって圧縮エアを噴射するエアノズル
２４が無端ベルト１９の幅方向に沿って設けられたエア
ブロー配管２３を用いており、無端ベルト１９の表面に
吸着された泡やゴミなどがエアノズル２４から噴射する
圧縮エアによって払拭されるようになっている。また、
電着槽４の側壁４ｃの外側には、泡取り器１３で除去さ
れた泡を廃棄する受槽２５がベルト車２２と平行に沿っ
て配設されている。

【００１８】しかして、塗料液Ｐの液面に発生した泡や
その泡に吸着されたゴミは、ベルト車２０及び２１間を
液面と平行に通過する無端ベルト１９の表面に吸着され
て、ベルト車２２が配設された電着槽４の側壁４ｃの上
方に移送され、その上方に設けた泡取り器１３で無端ベ
ルト１９の表面から除去されて受槽２５へ廃棄されるの
で、被塗物の表面に泡やゴミが付着して生ずる電着不良
を防止することができる。

【００１９】なお、本発明の泡取り器１３としては、図
１ないし図３に示すものに限らず、例えば図４のよう
に、無端ベルト９又は１９を表裏両面側から挟み付ける
一対の押圧ローラ２６及び２７によって無端ベルト９又
は１９の表面に吸着した泡を押し消す構造のものでも良
い。また、ベルトコンベア８は、図１および図２に示す
ように全体が傾斜状態に配設されたものに限らず、当該
コンベア８の下面側で無端ベルト９が図３のように塗料
液Ｐの液面に沿って水平に通過するように配設しても良
い。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、設備費やランニングコ
ストが嵩まない簡易な手段により、電着槽の槽内に貯溜
した塗料液の液面に発生する泡を安全に且つ確実に除去
して、被塗物の表面に泡やゴミなどが付着して起こる電
着不良を確実に防止することができるという大変優れた
効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例を示す側面図。

【図２】その正面図。

【図３】本発明の第二実施例を示す正面図。

【図４】本発明に係る泡取り器の変形例を示す図。

【符号の説明】

１・・・オーバーヘッドコンベア ２・・・片持ち
式ハンガ ３・・・被塗物 ４・・・電着槽 ８・・・ベルトコンベア ９・・・無端ベ
ルト １３・・・泡取り器 １８・・・ベル
トコンベア １９・・・無端ベルト Ｐ・・・塗料液 Ｅ・・・空間

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オーバーヘッドコンベア（１）の片持ち
   式ハンガ（２）に載せて連続的に移送される被塗物
   （３）を電着槽（４）に入槽させてその槽内に貯溜した
   塗料液（Ｐ）に浸漬する電着塗装装置において、電着槽
   （４）内に貯溜した塗料液（Ｐ）の液面に発生する泡を
   無端ベルト（９）の表面に吸着させて前記液面上方に移
   送するベルトコンベア（８）が、その一端側を電着槽
   （４）の入槽側（4a）に向け、他端側を電着槽（４）の
   出槽側（4b）に向けて、電着槽（４）に入槽せられた被
   塗物（３）とその被塗物を載せた片持ち式ハンガ（２）
   の吊元との間に生ずる空間（Ｅ）内に納まる高さに配設
   されると共に、当該ベルトコンベア（８）によって前記
   液面上方に移送される泡を前記無端ベルト（９）の表面
   から除去する泡取り器（13）が前記空間（Ｅ）内に納ま
   る高さに配設されていることを特徴とする電着塗装装
   置。
2. 【請求項２】 前記ベルトコンベア（８）が、その一端
   側を前記塗料液（Ｐ）の液中に浸漬し、他端側を前記塗
   料液（Ｐ）の液面上方に突出させた傾斜状態に配設され
   ている請求項１記載の電着塗装装置。
3. 【請求項３】 オーバーヘッドコンベア（１）の片持ち
   式ハンガ（２）に載せて連続的に移送される被塗物
   （３）を電着槽（４）に入槽させてその槽内に貯溜した
   塗料液（Ｐ）に浸漬する電着塗装装置において、電着槽
   （４）内に貯溜した塗料液（Ｐ）の液面に発生する泡を
   無端ベルト（19）の表面に吸着させて液面上方に移送す
   るベルトコンベア（18）が、電着槽（４）の左右一方の
   側壁（4c）側から、電着槽（４）に入槽した被塗物
   （３）とその被塗物を載せた片持ち式ハンガ（２）の吊
   元との間に生ずる空間（Ｅ）内に向かって、電着槽
   （４）の幅方向に配設され、前記側壁（4c）側には、前
   記ベルトコンベア（18）によって塗料液（Ｐ）の液面上
   方に移送される泡を前記無端ベルト（19）の表面から除
   去する泡取り器（13）が配設されていることを特徴とす
   る電着塗装装置。
4. 【請求項４】 前記無端ベルト（９，19）の本体が繊維
   を乱雑な方向に絡み合わせた布帛状シートで形成されて
   いる請求項１乃至３記載の電着塗装装置。