JP2006342372A - 電着塗装方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塗装品質が良好な塗膜を形成することのできる新規な電着塗装方法およびそのための装置を提供する。
【解決手段】 電着槽(1)に入れた電着液(7)中で被塗物(9)を移動させながら電着塗装する方法において、電着液(7)を被塗物(9)の移動方向(A)と同じ方向(または反対方向)に進行させながら電着液(7)の進行方向(B)に対して垂直な断面にて電着槽(1)の周方向(C)に回転させることによって、電着液(7)を撹拌する。この結果、電着液(7)は好ましくはスパイラル状に回転撹拌される。
【選択図】図1

Description

本発明は電着塗装方法およびそのような方法を実施するための装置に関する。
電着塗装は、一般的に知られているように、水性塗料を含む電着液(即ち、電着塗料液)中に導電性の被塗物を浸漬し、被塗物を一方の電極として電着塗料液中の他方の電極との間に電圧を印加し、被塗物と反対の電荷を帯びた塗膜形成成分を被塗物表面に電着させることによって被塗物を塗装するものである。
このような電着塗装は他の塗装方法に比べて自動化が容易であり、塗料の被塗物へのつきまわり性が良く、均一な厚さの塗膜が得られ、塗料の損失が少なく、環境に対する負荷が小さく、安全性が高いなどの利点があり、例えば自動車ボディの下塗りなどの塗装ラインに用いられている。
塗装ラインでは被塗物を電着液中に沈めて浸漬した状態で電着液中を移動させ、その後、電着液から取り出すようにして搬送しており、被塗物を電着液中に浸漬している間に電着塗装が施される。このとき、電着液より比重の大きい塗料成分の沈降防止、異物(いわゆるゴミブツ)の付着防止および気泡の除去などの観点から、電着液を撹拌するのが一般的である(例えば特許文献1および2を参照のこと)。
特開2001−20094号公報 特開2002−206195号公報
従来、電着液の撹拌は電着槽内の電着液が被塗物の移動方向を含む面内において電着槽の一方の端部から他方の端部に亘って槽全体で回転するようにして実施している。このような撹拌方式としては、被塗物が移動する表面域および中間域においては電着液を被塗物の移動方向と同じ方向に流し、被塗物が達しない底面域においてはこれと反対方向に流して槽全体で回転させる方式(例えば特許文献1を参照のこと)と、表面域から中間域においては電着液を移動方向と反対方向に流し、底面域においては移動方向と同じ方向に流して槽全体で回転させる方式(例えば特許文献2を参照のこと)とが知られている。本明細書においては、前者の方式を順流回転撹拌方式と呼び、後者の方式を対向流回転撹拌方式と呼ぶものとする。
しかしながら、従来の順流回転撹拌方式では、被塗物が移動する表面域および中間域において、被塗物と電着液とが同じ方向に流れるため被塗物に対する電着液の相対速度が小さくなる。この結果、撹拌効果が小さくなって、ゴミブツ(被塗物に予め付着していた鉄粉などのゴミおよび電着液に含まれる樹脂材料や顔料などが固まって形成されるブツの総称)が被塗物に付着し、外観仕上がりに悪影響を与えるという問題がある。他方、従来の対向流回転撹拌方式では、被塗物が移動する表面域および中間域において、被塗物と電着液とが反対方向に流れるため被塗物に対する電着液の相対速度が大きくなるので、撹拌効果が小さくなるという問題はない。しかし、従来の対向流回転撹拌方式では、被塗物を電着液に沈める際に被塗物の表面、特に上面が電着液の表面域流れと対向衝突するので、表面浮遊物(電着液表面の浮遊物、例えば気泡などの総称)が被塗物に付着し易く、塗装不良が生じ得るという別の問題がある。
本発明は上記従来の問題点に鑑み、塗装品質が良好な塗膜を形成することのできる新規な電着塗装方法およびそのための装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの要旨においては、電着槽に入れた電着液中で被塗物を移動させながら電着塗装する方法において、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させながら電着液の進行方向に対して垂直な断面にて電着槽の周方向に回転させることによって、電着液を撹拌することを特徴とする方法が提供される。この結果、電着液の進行方向への流れ成分と周方向への流れ成分とが合わさって、好ましくはスパイラル状または螺旋状の流線を有する電着液流れ(または旋回流)を形成するようにして電着液が回転撹拌される(以下、本発明の撹拌方式を便宜的にスパイラル状回転撹拌方式というものとする)。
従来、被塗物に対する電着液の相対速度は順流回転撹拌方式および対向流回転撹拌方式のいずれを採用するかによって極端に相違し、また、被塗物の移動速度の大きさがそのまま相対速度の大きさに影響する。これに対して本発明の電着塗装方法によれば、スパイラル状回転撹拌方式によって電着液は被塗物の移動方向に対して斜めに流れるので、電着液を被塗物の移動方向と同じ方向(順方向)および反対方向(対向方向)のいずれの方向に進行させても相対速度が極端に相違することがなく、また、被塗物の移動速度を変更しても相対速度に及ぼす影響は比較的小さく、これらの結果、安定した撹拌効果を得ることができる。これにより、従来の順流回転撹拌方式において問題となる被塗物へのゴミブツの付着を効果的に防止し、良好な外観仕上がりを得ることができる。
また従来、電着液の表面域流れは順流回転撹拌方式および対向流回転撹拌方式のいずれによっても被塗物の移動方向と平行な方向、即ち電着槽の長手方向に一方の端部から他方の端部まで流れ、表面浮遊物は電着槽の他方の端部に到達するまで浮遊し続け得る。これに対して本発明の電着塗装方法によれば、スパイラル状回転撹拌方式によって電着液は被塗物の移動方向に対して斜めに流れるので、電着液の表面域流れは被塗物の移動方向に対して傾斜した方向に一方の側部から他方の側部まで流れ、被塗物を電着液に沈める際に被塗物の表面、特に上面を電着液の表面域流れと対向衝突させることなく、表面浮遊物をより速やかに流し去ることができる。これにより、従来の対向流撹拌方式において問題となる表面浮遊物の付着を効果的に防止し、塗装不良の発生を低減することができる。
更に、本発明の電着塗装方法によれば、周方向への流れ成分によって電着槽の底部から上方へ向かう流れが存在するため、塗料成分の沈降を防止することが可能である。
加えて、本発明の電着塗装方法によれば、スパイラル状回転撹拌方式によって電着液は進行方向に対して斜め方向に、より詳細には電着液の進行方向への流れ成分と周方向への流れ成分を合わせた方向に流れるので、電着槽全体に亘って一様な電着液流れを形成し、整流状態(即ち、一方向に流れる状態)を確保することができる。
本発明のもう1つの要旨においては、電着液中で被塗物を移動させながら電着塗装するための装置であって、
電着液が入れられる電着槽と、
電着液を電着槽内で撹拌する撹拌手段と
を備え、
この撹拌手段は、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させながら電着液の進行方向に対して垂直な断面にて電着槽の周方向に回転させることを特徴とする装置が提供される。
このような装置は本発明の上記電着塗装方法を実施するために用いられ、これと同様の効果を奏する。
本発明の1つの態様においては、撹拌手段として電着液を電着槽内に吐出するノズルが用いられる。ノズルから供給される電着液の吐出力によって電着液の流れが形成されるので、ノズルの吐出方向を適切に設定することにより、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させながら電着槽の周方向に回転させ、好ましくはスパイラル状の流線を有する電着液流れを形成することができる。このようなノズルは電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させ、かつ電着槽の周方向に回転させるように方向付けて用いることが好ましいが、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させるように方向付けたノズルと、電着液を電着槽の周方向に回転させるように方向付けたノズルとを併せて用いてもよい。
このようなノズルは電着槽の両側部および底部ならびに電着槽内の電着液表面近傍のうちの少なくとも1つに設けられ得る。ノズルの吐出方向はその設置箇所に応じてそれぞれ調整され、設置するノズルのタイプ、個数および吐出圧力などは所望のスパイラル状回転撹拌状態が得られるように適宜選択され得る。
本発明の好ましい態様において、電着槽からオーバーフローする電着液を受けるためのオーバーフロー槽が、電着槽の両側部のうち電着液の表面域流れの下流側に位置する方の側部に設けられる(以下、側部に位置するオーバーフロー槽をサイドオーバーフロー槽とも言う)。サイドオーバーフロー槽を表面域流れ下流側側部に設けることによって、上述のように電着液の表面域流れに乗って一方の側部から他方の側部まで流れた表面浮遊物を速やかに効率よく除去することができる。
上記に加えて、またはこれに代えて、電着槽からオーバーフローする電着液を受けるためのオーバーフロー槽を、電着槽の両端部のうち電着液の進行方向において下流側に位置する方の端部に設けてよい(以下、端部に位置するオーバーフロー槽をエンドオーバーフロー槽とも言う)。エンドオーバーフロー槽を電着液進行方向下流側端部に設けることによって、この端部近傍において電着液および電着液中の浮遊物が滞留することを防止することができる。
尚、本発明において電着槽の「側部」とは被塗物の移動方向に略平行な長手方向に沿って対向して延在する槽壁部分を意味する。また電着槽の「端部」とは被塗物の移動方向に略垂直な幅方向に沿って対向して延在する槽壁部分を意味する。
本発明の好ましい態様において、電着槽内の電着液を吸引するための吸込み口が、電着槽の両側部のうち電着液の底面域流れの下流側に位置する方の側部(これは上記表面域流れ下流側側部と対向する側部である)の近傍で電着槽底部に設けられる(以下、側部に位置する吸込み口をサイドサクション口とも言う)。サイドサクション口を底面域流れ下流側側部の近傍で電着槽底部に設けることによって、電着槽底部に沈降するゴミブツを速やかに効率よく除去することができる。
上記に加えて、またはこれに代えて、電着槽内の電着液を吸引するための吸込み口を、電着槽の両端部のうち電着液の進行方向において下流側に位置する方の端部の近傍で電着槽底部に設けてよい(以下、端部に位置する吸込み口をエンドサクション口とも言う)。エンドサクション口を電着液進行方向下流側端部に設けることによって、電着槽底部に沈降するゴミブツを滞留させることなく効率よく除去することができる。
オーバーフロー槽に受けた電着液および吸込み口から吸引した電着液は、必要に応じてゴミブツを除去した後、電着槽内へ供給することによって循環使用することが好ましい。
本発明によれば、スパイラル状回転撹拌方式によって電着液は被塗物の移動方向に対して斜めに流れるので、安定した撹拌効果が得られ、これにより、被塗物へのゴミブツの付着を効果的に防止し、良好な外観仕上がりを得ることができる。また、表面浮遊物をより速やかに流し去ることができ、これにより、表面浮遊物の付着を効果的に防止し、塗装不良の発生を低減することができる。更に、周方向への流れによって、塗料成分の沈降を防止することが可能である。加えて、電着槽全体に亘って一様な電着液流れを形成して、整流状態を確保することができる。
本発明の1つの実施形態における電着塗装方法および装置について、図面を参照しながら以下に詳述する。
図1〜4を参照して、本実施形態における電着塗装装置20は電着槽1と、電着槽1の底部に設けられたノズル11aおよび電着槽1の両側部にそれぞれ設けられたノズル11bおよび11cとを備える(図中、ノズルを黒丸にて模式的に示す)。電着槽1の長手方向に沿って延在する側部は、例えば自動車ボディなどの被塗物9(図2(b)参照)の移動方向Aに対して略平行であり、電着槽1の幅方向に沿って延在する端部は移動方向Aに対して略垂直である。この電着槽1には電着液7が満たされ、電着液7はノズル11a、11bおよび11cから電着槽1内に吐出される。ノズル11a、11bおよび11cは少なくとも1つの加圧ポンプ(図示せず)と接続されたエゼクタノズルであってよい。
これらノズル11a、11bおよび11cは電着液7の撹拌手段として機能する。電着液7はノズル11a、11bおよび11cから電着槽1内に吐出される吐出力によって、進行方向Bに進行しながら、これに垂直な断面において(図4参照)電着槽1の周方向Cに回転し、スパイラル状の流線を有する電着液流れを形成する。この結果、電着液7はスパイラル状に回転撹拌される(図1参照)。図示する態様においては、電着液の進行方向Bは被塗物の移動方向Aと反対方向であり、電着槽の周方向Cは進行方向Bを向いて時計回り方向である。
ノズル11a、11bおよび11cの吐出方向は上記のような所望のスパイラル状の電着液流れを形成するようにそれぞれ設定される。図示する態様においては、被塗物の移動方向Aに対してノズル11aは右斜め後方に、ノズル11bは下斜め後方に、ノズル11cは上斜め後方に吐出方向がそれぞれ向くように方向付けられる。更に、ノズル11a、11bおよび11cの少なくとも1つを複数個設ける場合(例えば図示する態様ではそれぞれ2列づつ、合計10個づつ設けている)、個々の設置箇所に応じて(例えば列毎に)吐出方向を微調整してよい。
また、本実施形態の電着塗装装置20は電着槽1の側部に設けられたサイドオーバーフロー槽3と、電着槽1の端部に設けられたエンドオーバーフロー槽5とを備え、電着槽1の側部および端部からオーバーフローする電着液がオーバーフロー槽3および5にそれぞれ流入するようになっている。サイドオーバーフロー槽3は、電着槽1の対向する両側部のうち電着液7の表面域流れの下流側(図4を参照して電着槽の周方向Cの上方下流側)に位置する方に設けられ、これにより表面浮遊物を速やかに効率よく除去することができる。また、エンドオーバーフロー槽5は電着槽1の対向する両端部のうち電着液の進行方向Bにおいて下流側に位置する方に設けられ、これにより電着液7が滞留することを緩和および好ましくは防止することができる。
オーバーフロー槽3および5に回収した電着液は、フィルタなどの濾過器に通して表面浮遊物を除去した後にポンプで加圧し、適宜、熱交換器などにより温度調節し、バルブなどにより流量調節して、ノズル11a、11bおよび11cを通じて電着槽1内へ供給する。これにより、オーバーフローした電着液7を循環使用することができる。
更に、本実施形態の電着塗装装置20は電着槽1の底部において、電着槽1の端部近傍に設けられたサイドサクション口13と、電着槽1の端部近傍に設けられたエンドサクション口15とを備える(これらは図1中に図示せず)。サイドサクション口13は、電着槽1の対向する両側部のうち電着液7の底面域流れの下流側(図4を参照して電着槽の周方向Cの下方下流側)に位置する方に設けられ、これにより電着槽1の底部に沈降するゴミブツを速やかに効率よく除去することができる。また、エンドサクション口15は電着槽1の対向する両端部のうち電着液の進行方向Bにおいて下流側に位置する方に設けられ、これにより電着槽1の底部に沈降するゴミブツを滞留させることなく効率よく除去することができる。
サクション口13および15から吸引した電着液は、フィルタなどの濾過器に通してゴミブツを除去した後、オーバーフロー槽3および5に回収した電着液と同様にして、ノズル11a、11bおよび11cを通じて電着槽1内へ供給する。これにより、電着液7を循環使用することができると共に、電着槽1の底部に沈降して滞留し得る塗料成分を吸引して再使用できるので電着液7をより一層効果的に撹拌することが可能となる。
このようにして、電着液7をオーバーフローおよび吸引しつつスパイラル状に回転撹拌しながら、被塗物9(図2(b)参照)を適当な搬送手段によって、電着槽1の電着液7に沈め、浸漬した状態で電着液7中を移動させ、その後、電着液7から取り出すように搬送する。被塗物9を電着液7中に浸漬している間に被塗物9に電着塗装が施される。使用する電着液および電着条件は、所望の電着塗装が被塗物9に施されるように適宜選択および設定され得るであろう。
以上、本発明の1つの実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の改変が可能である。
例えば、上記の態様では電着液の進行方向Bを被塗物の移動方向Aと反対方向としたが、同じ方向としてもよく、この場合でも被塗物へのゴミブツの付着を効果的に防止し、良好な外観仕上がりを得ることができる。
また、上記の態様では電着槽の周方向Cは進行方向Bを向いて時計回り方向としたが、反時計回り方向としても実質的に同様の効果を得ることができる。
また、上記の態様では電着槽1の底部にノズル11aを設け、電着槽1の両側部にノズル11bおよび11cをそれぞれ設けたが、ノズルを設置する場所および個数については、電着液7を被塗物の移動方向Aと同じまたは反対の方向に進行させながら電着槽の周方向Cに回転させ得る限り特に限定されず、電着槽の両側部および底部ならびに電着槽内の電着液表面近傍のうちの少なくとも1つに設けられていればよい。
例えば、上記の態様におけるノズル11a〜11cに加えて、図5(a)および(b)に示すように電着槽1内の電着液7の表面近傍にノズル11dを設けることができる。より詳細には、図5(b)に示すように、被塗物9を片側から保持するハンガー17(このようなハンガーはC型ハンガーとも呼ばれる)を用いる場合、電着槽1内の電着液7の表面近傍に配管19を設けることができ、この配管19にノズル11dを取り付けて電着液7を吐出させることができる。ノズル11dはノズル11a、11bおよび11cと同様のものであってよく、これらと共に電着液7の撹拌手段として機能する。ノズル11dの吐出方向もノズル11a、11bおよび11cと同様、所望のスパイラル状の電着液流れを形成するように設定される。図示する態様においては、被塗物9の移動方向Aに対してノズル11dは左斜め後方に向くように方向付けられ、また、ノズル11dを複数個設ける場合(例えば図示する態様では2列で、合計10個設けている)、個々の設置箇所に応じて(例えば列毎に)吐出方向を微調整してよい。
更に、上記の態様ではノズル11a、11bおよび11c(ならびに場合により設けられるノズル11d)はいずれも進行方向Bと周方向Cとを合わせた斜め方向の流れを形成するように方向付けた撹拌手段として用いたが、電着液を進行方向に進行させるように方向付けたノズルと、電着液を周方向に回転させるように方向付けた別個のノズルとを併せて撹拌手段として用いてもよい。
加えて、ノズルに代えて、所定の方向に流れを形成することができる任意の適切な他の手段を用いることもできる。そのような手段には、例えばライザー、撹拌翼などが挙げられる。
また、上記の態様では電着槽1の両側部と底部との間の接続部分は角部を形成するものとして図示したが(図4参照)、図6に示すように滑らかな湾曲部分Rとして形成されていることが好ましい。このような湾曲部分Rは整流効果を奏し得る。
また、上記の態様ではサイドオーバーフロー槽3とエンドオーバーフロー槽5とを別個に設けたが、これらは一体的に構成されていても実質的に同様の効果を得ることができる。あるいは、サイドオーバーフロー槽3のみとし、エンドオーバーフロー槽5は省略しても十分な効果を得ることができる。またあるいは、好ましさは劣るものの、従来の撹拌方式で用いられている既存の電着塗装設備を利用して、サイドオーバーフロー槽3を省略し、エンドオーバーフロー槽5のみとしてもよい。既存の電着塗装設備において、エンドオーバーフロー槽は電着液の進行方向において下流側に位置する端部に設けられ得るが、電着液の進行方向Bを被塗物の移動方向Aと反対方向とする場合には電着槽の両端部に設けられていてよい。
また、上記の態様ではサイドサクション口13およびエンドサクション口15を用いたが、サイドサクション口13のみとし、エンドサクション口15は省略しても十分な効果を得ることができる。またあるいは、好ましさは劣るものの、従来の撹拌方式で用いられている既存の電着塗装設備を利用して、サイドサクション口13を省略し、エンドサクション口15のみとしてもよい。
本発明の1つの実施形態における電着塗装装置の概略斜視図であって、電着槽を透視して示す図である。 図1の実施形態における電着塗装装置の概略図であって、図2(a)は上面図、図2(b)は図2(a)および(c)のX−X線に沿って見た断面図、ならびに図2(c)は図2(b)のZ−Z線に沿って見た底面図である。 図1の実施形態における電着塗装装置の概略図であって、図3(a)は図2(a)および(c)のX’−X’線に沿って見た断面図、図3(b)は図2(a)および(c)のX’’−X’’線に沿って見た断面図である。 図1の実施形態における電着塗装装置の概略図であって、図2(a)および(c)ならびに図3(a)および(b)のY−Y線に沿って見た側方断面図である。 図1の実施形態における電着塗装装置の1つの改変例を説明する図であって、図5(a)は図2(a)に対応する図であり、図5(b)は図5(a)のY−Y線に沿って見た電着槽内部の側方断面図である。 図1の実施形態における電着塗装装置の1つの改変例を説明する図であって、図4に対応する図である(尚、簡素化のためノズルは図示せず)。
符号の説明
1 電着槽
3 サイドオーバーフロー槽
5 エンドオーバーフロー槽
7 電着液
9 被塗物
11a、11b、11c、11d ノズル
13 サイドサクション口(吸込み口)
15 エンドサクション口(吸込み口)
17 ハンガー
19 配管
20 電着塗装装置
A 被塗物の移動方向
B 電着液の進行方向
C 電着槽の周方向
R 湾曲部分

Claims (8)

  1. 電着槽に入れた電着液中で被塗物を移動させながら電着塗装する方法において、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させながら電着液の進行方向に対して垂直な断面にて電着槽の周方向に回転させることによって、電着液を撹拌することを特徴とする方法。
  2. 電着液中で被塗物を移動させながら電着塗装するための装置であって、
    電着液が入れられる電着槽と、
    電着液を電着槽内で撹拌する撹拌手段と
    を備え、
    該撹拌手段は、電着液を被塗物の移動方向と同じまたは反対の方向に進行させながら電着液の進行方向に対して垂直な断面にて電着槽の周方向に回転させることを特徴とする装置。
  3. 撹拌手段が電着液を電着槽内に吐出するノズルである、請求項2に記載の装置。
  4. ノズルが電着槽の両側部および底部ならびに電着槽内の電着液表面近傍のうちの少なくとも1つに設けられている、請求項3に記載の装置。
  5. 電着槽からオーバーフローする電着液を受けるためのオーバーフロー槽が、電着槽の両側部のうち電着液の表面域流れの下流側に位置する側部に設けられる、請求項2〜4のいずれかに記載の装置。
  6. 電着槽からオーバーフローする電着液を受けるためのオーバーフロー槽が、電着槽の両端部のうち電着液の進行方向において下流側に位置する端部に設けられる、請求項2〜5のいずれかに記載の装置。
  7. 電着槽内の電着液を吸引するための吸込み口が、電着槽の両側部のうち電着液の底面域流れの下流側に位置する側部の近傍で電着槽底部に設けられる、請求項2〜6のいずれかに記載の装置。
  8. 電着槽内の電着液を吸引するための吸込み口が、電着槽の両端部のうち電着液の進行方向において下流側に位置する端部の近傍で電着槽底部に設けられる、請求項2〜7のいずれかに記載の装置。
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