JP3349538B2 - 半導電性又は導電性複合体、その製造方法及び用途 - Google Patents

半導電性又は導電性複合体、その製造方法及び用途

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JP3349538B2
JP3349538B2 JP2820393A JP2820393A JP3349538B2 JP 3349538 B2 JP3349538 B2 JP 3349538B2 JP 2820393 A JP2820393 A JP 2820393A JP 2820393 A JP2820393 A JP 2820393A JP 3349538 B2 JP3349538 B2 JP 3349538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導電性又は導電性複
合体に関し、詳しくは、体積抵抗率が107〜1013Ω
・cmの範囲にある半導電性有機重合体、又は体積抵抗率
が10-2〜107 Ω・cmの範囲にある導電性有機重合体
が絶縁性重合体からなる多孔質膜の有する連続孔の壁面
に沿つて連続した膜状乃至フイルム状に析出せしめられ
て複合化されている半導電性又は導電性複合体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】導電性材料と絶縁性材料としての有機重
合体からなる複合体は、従来、種々提案されており、ま
た、種々の用途に広く用いられている。このような複合
体において、従来、導電性材料としては、カーボンや、
金、銀、銅、鉄、ニツケル等の金属粉、或いは酸化スズ
等の酸化物が用いられており、これらを種々の有機重合
体中に分散させて、複合体としている。
【0003】このような従来の複合体に用いられている
上記導電性材料は、いずれも粒子状や短繊維状であるの
で、それらが導電性を発現するためには、マトリツクス
を構成する重合体材料に相当量を配合して、導電性材料
が相互に接触して、導電経路が連続することが必要であ
る。しかし、有機重合体中に導電性材料を多量に配合す
れば、得られる複合体を成形して得られる成形品の物性
が劣化し、例えば、成形品が割れやすく、或いは脆い。
【0004】また、体積抵抗率が106 〜1013Ω・cm
の範囲の半導電性領域にある上述したような複合体は、
一般に、その製造時における体積抵抗率のばらつきが大
きく、品質管理が非常に困難である。更に、上述したよ
うな複合体においては、無機物質である導電性材料とマ
トリツクスを形成する絶縁性有機重合体の間の密着性が
一般によくなく、その界面に非密着部、即ち、空洞部の
生成がみられ、この部分に水分等が吸着されて、体積抵
抗率が湿度によつて変化するという不都合も生じる。こ
れらの問題は、いずれも、用いる導電性材料がその形状
において粒子状や短繊維状であることに起因している。
【0005】一方、導電性有機材料と重合体材料とから
なる複合体については、例えば、特開昭60−1453
95号公報、特開昭60−148011号公報、特開昭
60−148012号公報等に開示されているように、
アニリン等の単量体を多孔質膜中で酸化重合させて、導
電性ポリアニリンのような導電性有機重合体を生成さ
せ、これを多孔質膜に複合化させる方法が提案されてい
る。しかし、かかる方法によつて得られる複合体におい
ては、上記導電性有機重合体は粉体状であつて、その粒
子間の接触によつてはじめて導電性を得るものであり、
導電機構からは、前述した無機質の導電性材料を重合体
中に分散させてなる複合体と同じであり、従つて、前述
した問題は依然として解決されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性材料
と絶縁性有機重合体とからなる従来の複合体における上
述した問題を解決するためになされたものであつて、そ
れより得られる成形品が機械的物性にすぐれており、体
積抵抗率が106 〜1013Ω・cmの半導電性領域にあ
り、更に、製造時にその体積抵抗率のばらつきが少な
く、また、体積抵抗率が環境安定性にもすぐれる半導電
性材料と絶縁性有機重合体からなる半導電性複合体を提
供することを目的とし、更に、本発明は、上記半導電性
材料をドーピングして、導電性材料とした導電性複合体
を提供することをも目的とする。また、本発明は、かか
る複合体を用いる電子写真用転写体を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による半導電性複
合体は、一般式(I)
【0008】
【化12】
【0009】(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中
のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構造
単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+
n=1である。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
アミン構造単位からなる有機重合体が絶縁性重合体から
なる多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フ
イルム状に形成せしめられていることを特徴とする。
【0010】また、本発明による導電性複合体は、一般
式(I)
【0011】
【化13】
【0012】(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中
のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構造
単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+
n=1である。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
アミン構造単位からなる有機重合体であつて、酸解離定
数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸によつてドーピン
グされている導電性有機重合体が絶縁性重合体からなる
多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フイル
ム状に形成せしめられていると共に、上記多孔質膜が加
熱、圧着されていることを特徴とする。
【0013】本発明において、上記有機重合体及び脱ド
ープ状態の導電性有機重合体は、溶剤に可溶性のポリア
ニリンであり、前記一般式(I)で表わされるものであ
る。かかるポリアニリンの製造、脱ドーピング方法、溶
剤への溶解性等については、特開平3−28229号公
報に詳細に記載されている。特に、本発明において用い
るポリアニリンは、脱ドープ状態において457.9nm
の波長の光で励起して得られるレーザー・ラマンスペク
トルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、16
00cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動のラマ
ン線の強度Iaと1600cm-1よりも低波数にあらわれ
る骨格延伸振動のラマン線強度Ibの比Ia/Ibが1.
0以上であることが好ましい。更に、本発明において用
いるポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドン中、
30℃で測定した極限粘度が〔η〕が0.40dl/g以上で
あることが好ましい。かかるレーザー・ラマンスペクト
ル特性を有するポリアニリンは、特開平3−28229
号公報に詳細に記載されているように、従来より知られ
ているポリアニリンに比べて、高分子量であり、溶剤可
溶性である点で区別され、更に、構造的にも区別され得
る。
【0014】本発明において用いる上記キノンジイミン
構造単位及びフエニレンジアミン構造単位からなる重合
体であつて、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性で
あり、所定の極限粘度と前述したレーザー・ラマンスペ
クトル特性を有するポリアニリン(以下、脱ドープされ
たポリアニリンという。)は、特開平3−28229号
公報に詳細に記載されているように、酸解離定数 pKa値
が3.0以下であるプロトン酸の存在下に溶剤中にてアニ
リンに温度を5℃以下、好ましくは0℃以下の温度に保
持しつつ、標準水素電極を基準とする還元半電池反応に
おける起電力として定められる標準電極電位が0.6V以
上である酸化剤の水溶液をアニリン1モル当りに、酸化
剤の1モルを、酸化剤1分子を還元するのに必要な電子
数で割つた量として定義される当量で、2当量以上、好
ましくは2〜2.5当量徐々に加えて、上記プロトン酸に
てドープされたアニリンの酸化重合体(以下、ドープさ
れたポリアニリンという。)を生成させ、次いで、この
ドープされたポリアニリンを塩基性物質によつて脱ドー
プすることによつて得ることができる。
【0015】このように、プロトン酸の存在下にアニリ
ンを酸化重合してポリアニリンを得、次いで、このポリ
アニリンを脱ドープして得られるポリアニリンは、高分
子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解する。かか
る有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、 N,N−ジメチルホルムア
ミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、スルホラン等を挙げることができる。
溶解度は、脱ドープされたポリアニリンの平均分子量や
溶剤にもよるが、重合体の0.5〜100%が溶解し、1
〜30重量%の溶液を得ることができる。特に、脱ドー
プされたポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドン
に高い溶解性を示し、通常、重合体の20〜100%が
溶解し、3〜30重量%溶液を得ることができる。しか
し、テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶
液、60%ギ酸水溶液、アセトニトリル等には溶解しな
い。
【0016】前記一般式(I)で表わされるポリアニリ
ンの体積抵抗率は、そのポリアニリンにおける酸化還元
の度合い、即ち、前記一般式(I)におけるm及びnの
値によつて調整することができる。ポリアニリンを還元
することによつて、mを低減させ、nを増大させること
ができ、逆に、酸化すれば、mを増大させ、nを低減さ
せることができる。一般的には、還元によつて体積抵抗
率は減少し、酸化すれば、体積抵抗率は増大する傾向が
ある。
【0017】前記一般式(I)で表わされるポリアニリ
ンの体積抵抗率は、その形態によつて変わり得る。例え
ば、ポリアニリンがフイルムであるときは、還元状態で
10 7 Ω・cmであり、酸化状態で1013Ω・cmであり、
粉末であるときは、還元状態で106 Ω・cmであり、酸
化状態で109 Ω・cmである。従つて、前記一般式
(I)で表わされるポリアニリンの体積抵抗率は、その
形態の選択と酸化還元の度合いの調整によつて、106
Ω・cmから1013Ω・cmの範囲で任意に調整することが
できる。但し、本発明においては、膜状乃至フイルム状
に析出したポリアニリンであるため、107 Ω・cmから
1013Ω・cmの範囲となる。ポリアニリンの酸化還元の
度合いは、脱ドープしたポリアニリンを還元剤で還元
し、その際に、用いる還元剤のポリアニリンに対する当
量比を選択することによつて調整することができる。
【0018】ポリアニリンの酸化還元の度合いは、ポリ
アニリンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させた溶
液の電子スペクトルから評価することができる。溶剤可
溶性のポリアニリンのN−メチル−2−ピロリドン溶液
の電子スペクトルは、340nmと640nmとに極大
吸収を有する。ポリアニリンを完全に還元すれば、64
0nmの吸収が消失し、340nmの吸収の強度が増す
ので、640nmの吸収はキノンジイミン構造に由来
し、340nmの吸収はフエニレンジアミン構造に由来
するものと考えられる。
【0019】そこで、それぞれの波長における吸光度を
640 及びA340 とするとき、ポリアニリンの酸化の度
合いは、便宜的に次式で表わされる酸化度指数ODI
(Oxi-dation Degree Index)によつて数値化することが
できる。 ODI=A640 /A340 ポリアニリンが完全に還元された場合は、A640 =0で
あるから、ODI=0である。アニリンの酸化重合の
後、アルカリ処理によつて脱ドープしたポリアニリンの
ODIは、通常、0.8程度である。従つて、前述したポ
リアニリンの還元状態及び酸化状態をODIで表わせ
ば、還元状態では、ODI=0.01〜0.1程度、酸化状
態では、ODI=0.7〜0.8程度である。ODIが0.1
から0.7の間のポリアニリンは、前記したように、ポリ
アニリンの還元処理時に用いる還元剤のポリアニリンに
対する当量比によつて自由に制御することができる。
【0020】このようなポリアニリンの還元のために
は、抱水ヒドラジン、フエニルヒドラジン等のヒドラジ
ン類、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチ
ウム等の金属水素化物、水素等が好適に用いられる。有
機溶剤、特に、N−メチル−2−ピロリドンに溶解する
が、N−メチル−2−ピロリドンを還元しない点から、
フエニルヒドラジンが最も好ましく用いられる。
【0021】他方、ポリアニリンの酸化のために用いら
れる酸化剤は、前記一般式(I)におけるフエニレンジ
アミン構造単位を酸化し得るものであれば任意である
が、標準水素電極を基準とする還元半電池反応における
起電力として定められる標準電極電位が0.3V以上であ
る酸化剤が特に好適に用いられる。例えば、穏和な酸化
剤である酸化銀が好ましく用いられる。酸素吹き込みも
有用である。強力な酸化剤として、例えば、過マンガン
酸カリウムや重クロム酸カリウム等も用いることができ
るが、その使用に際しては、ポリアニリンの劣化をもた
らさないようにする必要がある。
【0022】本発明において用いる体積抵抗率が107
〜1013Ω・cmの範囲にある有機重合体は、上記のよう
にして得ることができる。次に、本発明において用いる
導電性有機重合体は、上記脱ドープされたポリアニリン
を酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸によつ
てプロトン酸ドーピングすることによつて得ることがで
きる。又は脱ドープされたポリアニリンを還元して、O
DIを0.1以下とした後、酸解離定数 pKa値が4.8以下
であるプロトン酸と酸化剤とを含む溶液によつて酸化ド
ーピングすることによつても得ることができる。このよ
うにして得られる導電性有機重合体は、通常、その体積
抵抗率が10-2〜107 Ω・cmの範囲にある。
【0023】本発明による複合体は、絶縁性有機重合体
からなる連続孔を有する多孔質膜に上記ポリアニリンを
溶剤に溶解させてなるポリアニリン溶液を含浸させた
後、上記溶剤を蒸発させ、上記多孔質膜の連続孔の壁面
に沿つて上記ポリアニリンを連続した膜状乃至フイルム
状に析出させることによつて得ることができる。本発明
において、ポリアニリン溶液は、脱ドープ状態のもので
あつてもよく、また、酸解離定数 pKa値が4.8以下であ
るプロトン酸を含み、ポリアニリンと組み合わせても
(即ち、ポリアニリンがドープ状態のものであつても)
溶液状態を維持できる溶液であつてもよい。ポリアニリ
ンと組み合わせても溶液状態を維持できるようなプロト
ン酸は、前述した特開平3−28229号公報に記載さ
れている。
【0024】本発明において、ポリアニリン溶液を含浸
させる多孔質膜は、連続孔を有するものであれば、特に
制約されない。多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて、ポリ
アニリンを連続した膜状乃至フイルム状に析出させた後
に、この多孔質膜を加熱圧着して、より高強度の複合体
を得るには、多孔質膜は、熱可塑性樹脂からなるもので
あることが好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフエニレンオ
キサイド、ノリル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポ
リフエニレンスルフイド、ポリエステル、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリフツ化ビニル、ポリフツ化ビニリ
デン、エチレン・四フツ化エチレン共重合体、ポリテト
ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン
・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリ
エーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリ(4−メチル
ペンテン)等を挙げることができる。後述するように、
本発明において、電子写真用転写体としての複合体に
は、表面エネルギーの小さいフツ素樹脂系の多孔質膜を
用いるのが望ましい。
【0025】本発明において、連続孔を有する多孔質膜
の製造は、特に限定されるものではない。従つて、例え
ば、溶融押出によるフイルム成形時に押出速度よりもフ
イルム引取速度を非常に高くして高配向フイルムを製造
し、このフイルムを熱処理した後、延伸して、結晶ラメ
ラ間隙を広げて孔形成する乾式製膜法や、溶剤に重合体
を溶解させ、これに添加剤を加え、この溶液をキヤステ
イングし、凝固浴中に浸漬して、相転換法により行なう
湿式製膜法、或いは添加物を均一分散させてフイルムを
製造した後、このフイルムから上記添加剤を溶解させ、
除去することによつて多孔化し、更に、このフイルムを
延伸することによつて多孔質膜化する方法、フイルムに
高エネルギー線を照射した後、その飛跡をエツチングし
て貫通孔とする方法等、種々の方法を採用することがで
きる。
【0026】本発明において、ポリアニリン溶液を多孔
質膜に含浸させる方法は、何ら限定されるものではな
く、通常、多孔質膜を溶液に浸漬することによつて行な
われる。浸漬時間は、通常、10秒から1時間、好まし
くは、1分から10分程度である。用いる多孔質膜によ
つては、多孔質膜がポリアニリン溶液に濡れないことが
ある。このような場合には、多孔質膜を濡らすことがで
きると共に、ポリアニリンを溶解させるために用いた溶
剤と混和性を有する適宜の有機溶剤にて予め多孔質膜を
濡らしておき、その後に、多孔質膜をポリアニリン溶液
に浸漬すればよい。
【0027】次いで、このように、ポリアニリン溶液を
含浸させた多孔質膜を加熱し、有機溶剤を蒸発させるこ
とによつて、ポリアニリンを多孔質膜の連続孔の壁面に
沿つて相互に接触するように、連続した膜状乃至フイル
ム状に析出させることができる。ここに、上記加熱乾燥
のための温度は、用いた多孔質膜の素材にもよるが、通
常、80〜180℃、好ましくは100〜130℃の温
度である。
【0028】必要に応じて、このように、溶剤を蒸発さ
せた後、多孔質膜に再度、又は繰り返して、ポリアニリ
ン溶液を含浸させ、乾燥させることによつて、多量のポ
リアニリンを多孔質膜中に導入し、複合体全体としての
体積抵抗率を調整することができる。ここに、用いるポ
リアニリン溶液の濃度は特に限定されるものではない
が、通常、0.1〜15重量%の範囲である。
【0029】多孔質膜の素材によつては、ポリアニリン
溶液の溶剤に溶解するものもあるので、そのような場合
には、多孔質膜の非溶剤と上記ポリアニリンの溶解のた
めに用いた溶剤との混合溶剤を用いればよい。このよう
にして得られる本発明による複合体は、連続孔を有する
多孔質膜とポリアニリンとからなり、多孔質膜を形成す
る絶縁性の有機重合体がマトリツクスとしての連続相を
形成し、このマトリツクス中の連続孔の壁面に沿つて、
ポリアニリンが膜状乃至フイルム状の形態で存在する。
また、本発明によれば、必要に応じて、上記多孔質膜を
形成する熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度にて、
その多孔質膜を、連続孔の壁面に沿つて形成せしめられ
たポリアニリンと共に加熱加圧することによつて、一層
高強度の複合体を得ることができる。この加熱加圧によ
つて、多孔質膜は透明化することもある。このように多
孔質膜をポリアニリンと共に加熱加圧する場合、熱可塑
性樹脂のガラス転移点以上の温度にて行なう必要があ
る。多孔質膜の孔部分を熱可塑性樹脂を溶融させること
によつて塞ぐことを目的とする場合には、熱可塑性樹脂
の融点付近の温度にて加熱加圧する必要がある。この場
合には、得られる複合体は、多くの場合、透明なフイル
ム状となる。実際の加熱温度は、用いる熱可塑性樹脂の
種類に応じて、そのガラス転移点、融点、分解点等を考
慮して決められるが、余りに高い温度で加熱加圧処理す
るときは、複合化しているポリアニリンの導電性が低下
するので、通常、加熱温度は、350℃以下、好ましく
は、300℃以下であり、加圧圧力は、通常、1〜50
kgf/cm2 、好ましくは1〜10kgf/cm2の範囲である。
【0030】本発明によれば、脱ドープ状態のポリアニ
リンを用いたときのポリアニリンの体積抵抗率は107
〜1013Ω・cmの範囲にあり、ドープ状態のポリアニリ
ンの体積抵抗率は10-2〜107 Ω・cmの範囲にあり、
従つて、本発明によれば、ポリアニリンのドープ状態の
有無やドーピング率等を調整することによつて、ポリア
ニリンの体積抵抗率を1013〜10-2Ω・cmの範囲で制
御でき、かくして、得られる複合体の体積抵抗率をも幅
広い範囲で制御することができる。
【0031】このようにして得られる本発明による複合
体は、特に、電子写真用転写体として好適に用いること
ができる。電子写真用転写体は、電子写真プロセスによ
つて感光体上に形成されたパターン乃至画像に対応する
静電潜像にトナーを付着させて得られたトナー画像(顕
像)を紙、樹脂フイルム等の画像定着基材上に転写する
ために、感光体と画像定着基材との間に配設される中間
部材である。
【0032】このような転写体の素材として、従来、二
種のものが知られている。一つは絶縁性材料であり、他
の一つは半導電性材料である。絶縁性材料を用いる場合
は、感光体上のトナーを転写した転写体が感光体から離
れるときに剥離放電が発生し、放電模様が生じたり、ト
ナーが飛散したりして、画像が乱れやすいので、これを
防止するために、その帯電電圧が高くならないように、
通常、例えば、ポリフツ化ビニリデンのような誘電率の
高い材料が用いられる。しかし、このように、誘電率の
高い材料を用いるときは、トナーの離脱性がよくないの
で、トナーが転写されやすいように、表面エネルギーの
小さい材料と組み合わせることが必要である。また、ト
ナーを転写するためには、表面電位を制御するために、
除電装置が不可欠である。
【0033】一方、転写体の材料として、半導電性材料
を用いる場合は、トナーの転写は容易であり、除電装置
が不要であり、装置費用を低減させることができるの
で、半導電性材料は、転写体の材料として有望であると
考えられている。電子写真用転写体のためのの半導電性
材料は、体積抵抗率が106 〜1013Ω・cmの範囲にあ
ることが必要である。体積抵抗率がこの範囲にある半導
電性材料は、従来、炭素を分散させた樹脂や、或いはイ
オン伝導性の半導電性樹脂等によつて製造されている。
しかし、前者には、前述したような問題があるので、高
品質の複写画像を得ることが困難である。他方、イオン
伝導性の半導電性樹脂は、例えば、フエノール樹脂のよ
うなイオン伝導性の樹脂は、湿度等の環境変動に対する
体積抵抗率の変動が大きく、例えば、相対湿度が90%
と10%のときとでは、3桁乃至5桁のように大きく変
動する。
【0034】しかしながら、本発明による半導電性又は
導電性複合体は、電子伝導性であるポリアニリンの膜乃
至フイルムを有するので、複合体の体積抵抗率は、湿度
等の環境変化に対して安定であり、また、その値も、電
子写真用転写体として必要な106 〜1013Ω・cmの範
囲にすることが容易である。また、多孔質膜を形成する
ための材料として、表面エネルギーの小さい材料を用い
ることによつて、得られる複合体の表面エネルギーを低
下させることができ、トナーの残留性を低く抑えること
ができる。また、熱可塑性樹脂を多孔質膜の材料とする
ことによつて、得られる複合体は、溶融可能であつて、
ヒートシールや加熱プレスによつてベルト状に加工する
こともできる。
【0035】
【発明の効果】本発明による半導電性又は導電性複合体
は、絶縁性のマトリツクス中に電子伝導性のポリアニリ
ンの膜乃至フイルムを有しており、従つて、水分による
環境変化に対して安定であり、体積抵抗率の変化もな
い。また、本発明による半導電性又は導電性複合体にお
いては、多孔質膜を形成する有機重合体がマトリツクス
を形成しているので、機械的強度にすぐれている。
【0036】本発明によれば、体積抵抗率の値を106
〜1013Ω・cmの範囲に調整することが容易であつて、
マトリツクスを形成する有機重合体からなる多孔質膜と
して、表面エネルギーの低い多孔質膜を用いることによ
つて、電子写真用転写体として好適に用いることができ
る複合体を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0038】参考例1 (アニリンの酸化重合によるドープされたポリアニリン
の製造)攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた
10リットル容量セパラブル・フラスコに蒸留水600
0g、36%塩酸360ml及びアニリン400g(4.2
95モル)をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させ
た。別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水
1493gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を
加え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶
液を上記セパラブル・フラスコに加え、フラスコ全体を
低温恒温槽にて−4℃まで冷却した。次に、ビーカー中
にて蒸留水2293gにペルオキソ二硫酸アンモニウム
980g(4.295モル)を加え、溶解させて、酸化剤
水溶液を調製した。フラスコ全体を低温恒温槽で冷却し
て、反応混合物の温度を−3℃以下に保持しつつ、攪拌
下にアニリン塩の酸性水溶液に、チユービングポンプを
用いて、直管アダプターから上記ペルオキソ二硫酸アン
モニウム水溶液を1ml/分以下の割合にて徐々に滴下し
た。最初、無色透明の溶液は、重合の進行に伴つて緑青
色から黒緑色となり、次いで、黒緑色の粉末が析出し
た。
【0039】この粉末析出時に反応混合物において温度
の上昇がみられるが、反応系内の温度を−3℃以下に抑
えた。かくして、7時間を要して、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に1時間、−
3℃以下の温度にて攪拌を続けた。得られた重合体粉末
を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥し
て、黒緑色の重合体粉末430gを得た。これを直径1
3mm、厚さ700μmのデイスクに加圧成形し、フアン
・デル・ポー法によつて、その電導度を測定したとこ
ろ、14S/cmであつた。 (ドープされた導電性ポリアニリンのアンモニアによる
脱ドーピング)上記ドープされているポリアニリン粉末
350gを2Nアンモニア水4リットル中に加え、オー
トホモミキサーにて回転数5000rpm にて5時間攪拌
した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。ブフナ
ーろうとにて粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌しなが
ら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返して洗浄
し、続いて、濾液が無色になるまでアセトンにて洗浄し
た。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥して、黒
褐色の脱ドープしたポリアニリン粉末280gを得た。
【0040】このポリアニリンはN−メチル−2−ピロ
リドンに可溶性であつて、溶解度は同溶剤100gに対
して8g(7.4%)であつた。また、これを溶剤として
30℃で測定した極限粘度〔η〕は1.23であつた。こ
のポリアニリンは、ジメチルスルホキシド及びジメチル
ホルムアミドには1%以下の溶解度であつた。テトラヒ
ドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸
水溶液及びアセトニトリルには実質的に溶解しなかつ
た。
【0041】この脱ドープされたポリアニリンの粉末を
デイスク状に成形した試料について、励起波長457.9
nmで照射して得たレーザー・ラマンスペクトルを図1
に示す。また、レーザー励起光の波長を変化させて、1
400〜1700cm-1の範囲について、ラマンスペクト
ルを測定した結果を図2に示す。励起波長を488.0n
mから476.5nmを経て457.9nmへと短波長側に
変化させるにつれて、Ia/Ibが変化し、457.9n
mでは、1.0以上となつており、488.0nmのときと
比べて、Ia/Ib強度が逆転していることが示され
る。
【0042】実施例1 N−メチル−2−ピロリドン90gにフエニルヒドラジ
ン1.49gを溶解させ、次いで、これに参考例1にて得
た脱ドープされたポリアニリン粉末10gを攪拌下に溶
解させて、均一な溶液を調製した。このとき、溶液は、
青色から褐色に変化し、同時に、窒素ガスの発生が確認
された。この溶液をG2ガラスフイルターにて減圧濾過
した。得られた10重量%のポリアニリン溶液20gに
N,N−ジメチルホルムアミド162gを加えて、N−メ
チル−2−ピロリドン/ジメチルホルムアミド(重量比
1/9)混合溶剤からなるポリアニリン溶液とした。こ
のポリアニリン溶液30gをとり、これにポリフツ化ビ
ニリデンからなる多孔質膜(ミリポア社製メンブランフ
イルターHVHP09050、孔径0.45μm)を浸漬
したまま、これを吸引鐘中に入れ、アスピレータで減圧
にして、脱気し、多孔質膜の内部まで十分に含浸される
ようにした。30分後、青色に染まつた多孔質膜を取出
し、120℃で10分間乾燥させた後、高抵抗率計(三
菱油化(株)製ハイレスタIP)を用いて体積抵抗率を
測定したところ、2×1013Ω・cmであつた。尚、ポリ
フツ化ビニリデン膜の体積抵抗率は4×1014Ω・cmで
あつた。この膜をインパルスシール機によつて加熱加圧
したところ、膜は透明な青色のフイルム状となり、体積
抵抗率は8×1013Ω・cmであつた。
【0043】実施例2 p−トルエンスルホン酸1.58gをN−メチル−2−ピ
ロリドン14.2g中に攪拌下に溶解させた。実施例1で
調製した10重量%ポリアニリン溶液15gを攪拌下に
上記溶液に少量ずつ加えて、ドーパントを含むポリアニ
リン溶液を調製した。このドーパントを含むポリアニリ
ン溶液21gにジメチルホルムアミド170gを加え、
N−メチル−2−ピロリドン/ジメチルホルムアミド
(重量比1/9)混合溶液を調製した。この後、実施例
1と同様にして、上記ポリアニリン溶液をポリフツ化ビ
ニリデンからなる多孔質膜に含浸させ、乾燥させて、黄
緑色の複合体を得た。この複合体を空気中に3日間放置
し、ポリアニリンを空気酸化させた後の体積抵抗率は3
×1011Ω・cmであつた。
【0044】実施例3 実施例2と全く同様にして複合体を得、これを更にポリ
アニリン溶液に含浸し、乾燥する操作を4回繰り返した
後、3日後に体積抵抗率を測定したところ、2×109
Ω・cmであつた。更に、この膜をインパルスシール機に
よつて加熱加圧したところ、膜は透明な緑色のフイルム
状となり、体積抵抗率は5×109 Ω・cmであつた。
【0045】実施例4 実施例1と全く同様にして、還元状態のポリアニリンの
溶液をポリフツ化ビニリデンからなる多孔質膜の内部に
含浸させた後、乾燥させて、青色の多孔質膜を得た。酸
化ドーピング溶液として、エタノール73.3gに30重
量%過酸化水素水溶液16.7gとp−トルエンスルホン
酸1水和物10gを溶解させたものを調製した。
【0046】この溶液50gをシヤーレに入れ、上記多
孔質膜を30分間浸漬した後、取出し、エタノール洗浄
し、次いで、60℃で10分間乾燥させた。この膜の体
積抵抗率は1×1011Ω・cmであつた。更に、この膜を
インパルスシール機によつて加熱加圧したところ、膜は
透明な緑色のフイルム状となり、体積抵抗率は6×10
11Ω・cmであつた。
【0047】実施例5 実施例1と全く同様にして、還元状態のポリアニリンを
析出させた多孔質膜をインパルスシール機によつて加熱
加圧して、青色の透明なフイルムを得た。このフイルム
を実施例4にて調製した酸化ドーピング溶液に3時間浸
漬し、この後、実施例4と同様に処理した。得られたフ
イルムの体積抵抗率は2×1012Ω・cmであつた。
【0048】実施例6 実施例1で調製した10重量%の還元脱ドープ状態ポリ
アニリン溶液100gをとり、攪拌しながら、その中へ
N−メチル−2−ピロリドン100gを加え、5重量%
ポリアニリン溶液を調製した。この溶液150gをシャ
−レにとり、ポリプロピレンからなる多孔膜(セラニー
ズ社製セルガード2500、孔径0.25×0.075μ
m)を浸漬し、これを吸引鐘中に入れ、アスピレータで
減圧した。10分後に膜を取り出し、120℃で3分間
乾燥して、均一な青色の膜を得た。この膜の体積抵抗率
は4.2×1012Ω・cmであつた。尚、ポリプロピレン膜
の体積抵抗率は3.0×1016Ω・cmであつた。
【0049】実施例7 p−トルエンスルホン酸1.58gをN−メチル2−ピロ
リドン14.2 g中に攪拌下に溶解させた。実施例1で調
製した10重量%ポリアニリン溶液15gを攪拌下に上
記溶液に少量ずつ加えて、ドーパントを含むポリアニリ
ン溶液を調製した。この後、実施例6と同様にして、上
記ポリアニリン溶液をポリプロピレンからなる多孔質膜
に含浸させ、乾燥させて、黄緑色の複合体を得た。この
複合体を空気中に3日間放置し、ポリアニリンを空気酸
化させた。体積抵抗率は4.6×10 11Ω・cmであつた。
【0050】実施例8 エタノール256.7gにp−トルエンスルホン酸35g
を加え、攪拌下に溶解させた。この溶液に30%過酸化
水素水58.3gを加えて、プロトン酸−酸化剤溶液を調
製した。この溶液150gをシャーレに取り、その中に
実施例6で得られたポリアニリンとポリプロピレンとの
複合膜を10分間浸漬した後、エタノールで洗浄し、6
0℃で10分間乾燥した。この膜の体積抵抗率は7.0×
106 Ω・cmであつた。また、この複合膜から引張試験
用1号形試験片(JIS K7113−1981)を作
製し、23℃の環境下でクロスヘッドスピード50mm/
分で元のポリプロピレン膜の延伸方向について引張試験
を行なつたところ、引張強度は1500Kgf/cm2 であつ
た。
【0051】実施例9 エタノール238.1gに42%テトラフルオロホウ酸9
5.24gを加え、攪拌下に溶解させた。この溶液に30
%過酸化水素水66.67gを加えて、プロトン酸−酸化
剤溶液を調製した。この溶液150gをシャーレに取
り、その中に実施例6で得られたポリアニリンとポリプ
ロピレンとの複合膜を10分間浸漬した後、エタノール
で洗浄し、60℃で10分間乾燥した。この膜の体積抵
抗率は6.6×107 Ω・cmであつた。
【0052】実施例10 実施例8と全く同様にして複合体を作製した後、ホット
プレスにて、136℃、3kgf/cm2 で3分間加熱圧着し
たところ、膜は透明なフイルム状になつた。この膜の体
積抵抗率は8.0×108 Ω・cmであつた。また、この膜
を実施例8と同様にして引張試験を行なつたところ、元
のポリプロピレン膜の延伸方向の引張強度は2000Kg
f/cm2 であつた。
【0053】実施例11 実施例8と全く同様にして作製した複合体を2枚重ね、
ホットプレスにて、141℃、5kgf/cm2 で5分間加熱
圧着したところ、単一の透明なフイルムになつた。この
膜の体積抵抗率は3.4×108 Ω・cmであつた。また、
この膜を実施例8と同様にして引張試験を行なつたとこ
ろ、元のポリプロピレン膜の延伸方向の引張強度は16
00kgf/cm2 であつた。
【0054】比較例1 実施例1で得られた10重量%のポリアニリン溶液をガ
ラス板状にキャスティングし、150℃で60分間加熱
乾燥させて、膜厚25μmの自立性ポリアニリンフイル
ムを得た。このポリアニリンフイルムを実施例8と同様
にして引張試験を行なつたところ、引張強度は800kg
f/cm2 であつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、脱ドープ状態で有機溶剤可溶性のポリアニ
リンを457.9nmの波長の光で励起したときのレーザ
ー・ラマンスペクトルである。
【図2】は、図1と同じポリアニリンを種々異なる励起
波長の光で励起したときのレーザー・ラマンスペクトル
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠村 俊彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−28229(JP,A) 特開 昭61−266435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/36

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなる有機重合体が絶縁性重合体から
    なる多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フ
    イルム状に形成せしめられていることを特徴とする半導
    電性複合体。
  2. 【請求項2】一般式(I) 【化2】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなる有機重合体であつて、酸解離定
    数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸によつてドーピン
    グされている導電性有機重合体が絶縁性重合体からなる
    多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フイル
    ム状に形成せしめられていると共に、上記多孔質膜が加
    熱、圧着されていることを特徴とする導電性複合体。
  3. 【請求項3】一般式(I) 【化3】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなる有機重合体であつて、脱ドープ
    状態において457.9nmの波長の光で励起して得られ
    るレーザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼ
    ンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあら
    われる骨格延伸振動のラマン線の強度Iaと1600cm
    -1よりも低波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強
    度Ibの比Ia/Ibが1.0以上である有機重合体が絶
    縁性重合体からなる多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿
    つて膜状乃至フイルム状に形成せしめられていることを
    特徴とする半導電性複合体。
  4. 【請求項4】一般式(I) 【化4】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、脱ドープ状態において457.
    9nmの波長の光で励起して得られるレーザー・ラマン
    スペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格振動のう
    ち、1600cm-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振
    動のラマン線の強度Iaと1600cm-1よりも低波数に
    あらわれる骨格延伸振動のラマン線強度Ibの比Ia/
    Ibが1.0以上である有機重合体であつて、酸解離定数
    pKa値が4.8以下であるプロトン酸によつてドーピング
    されている導電性有機重合体が絶縁性重合体からなる多
    孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フイルム
    状に形成せしめられていると共に、上記多孔質膜が加
    熱、圧着されていることを特徴とする導電性複合体。
  5. 【請求項5】一般式(I) 【化5】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、溶剤可溶性である有機重合体
    を溶剤に溶解して溶液とし、この溶液を連続孔を有する
    熱可塑性樹脂からなる多孔質膜に含浸し、上記溶剤を加
    熱蒸発させ、上記多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて上記
    有機重合体を膜状乃至フイルム状に析出させることを特
    徴とする半導電性複合体の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(I) 【化6】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、溶剤可溶性である有機重合体
    を溶剤に溶解して溶液とし、この溶液を連続孔を有する
    熱可塑性樹脂からなる多孔質膜に含浸し、上記溶剤を加
    熱蒸発させ、上記多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて上記
    有機重合体を膜状乃至フイルム状に形成させた後、上記
    多孔質膜をその熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温
    度にて加熱加圧して、上記有機重合体を上記多孔質膜に
    複合化することを特徴とする半導電性複合体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】一般式(I) 【化7】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、溶剤可溶性である有機重合体
    を溶剤に溶解して溶液とし、この溶液を連続孔を有する
    熱可塑性樹脂からなる多孔質膜に含浸し、上記溶剤を加
    熱蒸発させ、上記多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて上記
    有機重合体を膜状乃至フイルム状に形成させた後、上記
    多孔質膜をその熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温
    度にて加熱加圧して、上記有機重合体を上記多孔質膜に
    複合化して半導電性複合体とし、次いで、この半導電性
    複合体を酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸
    の溶液中、又は酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプロ
    トン酸と酸化剤とを含む溶液中に浸漬し、上記有機重合
    体を導電性とすることを特徴とする導電性複合体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】一般式(I) 【化8】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、溶剤可溶性である有機重合体
    を溶剤に溶解して溶液とし、この溶液を連続孔を有する
    熱可塑性樹脂からなる多孔質膜に含浸し、上記溶剤を加
    熱蒸発させ、上記多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて上記
    有機重合体を膜状乃至フイルム状に形成させ、得られた
    多孔質膜を酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプロトン
    酸の溶液中、又は酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプ
    ロトン酸と酸化剤とを含む溶液中に浸漬し、上記有機重
    合体を導電性とした後、上記多孔質膜を上記熱可塑性樹
    脂のガラス転移温度以上の温度にて加熱加圧して、上記
    導電性有機重合体を上記多孔質膜に複合化することを特
    徴とする導電性複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】一般式(I) 【化9】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなり、溶剤可溶性である有機重合体
    と酸解離定数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸とを溶
    解して溶液とし、この溶液を連続孔を有する熱可塑性樹
    脂からなる多孔質膜に含浸し、上記溶剤を加熱蒸発さ
    せ、上記多孔質膜の連続孔の壁面に沿つて、上記プロト
    ン酸にてドーピングされた導電性有機重合体を膜状乃至
    フイルム状に形成させた後、上記多孔質膜をその熱可塑
    性樹脂のガラス転移温度以上の温度にて加熱加圧して、
    上記導電性有機重合体を上記多孔質膜に複合化すること
    を特徴とする導電性複合体の製造方法。
  10. 【請求項10】一般式(I) 【化10】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなる有機重合体が絶縁性重合体から
    なる多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フ
    イルム状に形成せしめられている半導電性複合体からな
    る電気抵抗膜を備えていることを特徴とする電子写真用
    転写体。
  11. 【請求項11】一般式(I) 【化11】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフエニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。) で表わされるキノンジイミン構造単位及びフエニレンジ
    アミン構造単位からなる有機重合体であつて、酸解離定
    数 pKa値が4.8以下であるプロトン酸によつてドーピン
    グされている導電性有機重合体が絶縁性重合体からなる
    多孔質膜の有する連続孔の壁面に沿つて膜状乃至フイル
    ム状に形成せしめられている導電性複合体からなる電気
    抵抗膜を備えていることを特徴とする電子写真用転写
    体。
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