JP3367725B2 - 導電性複合ポリウレタンフォームシート及びその製造方法 - Google Patents

導電性複合ポリウレタンフォームシート及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導電性複合ポリウレタ
ンフォームシート(以下、導電性複合シートという)及
びその製造方法、特にピロール系化合物等共役二重結合
を有する化合物(以下、「重合性化合物」という)のポ
リマーによって、連泡型ポリウレタンフォーム(以下、
「連泡型フォーム」という)のセル表面を被覆した導電
性複合ポリウレタンフォーム(以下、「導電性複合フォ
ーム」という)を熱成形して得られる導電性複合シート
及びその製造方法、更に、長尺状導電性複合シートの連
続的な製造方法に関し、本発明の導電性複合シートは、
良好な導電性を有し、可撓性を持ち、機械的強度も高
く、帯電防止性梱包・包装材、圧力センサ及び圧力スイ
ッチ、コンデンサー、並びにポリマー電池用電極等とし
て好適である。
【0002】
【従来の技術】導電性複合材料は、静電気障害や電磁波
障害等の対策材料として多くの用途に使われている。従
来の導電性複合材料は、導電性フィラーと有機ポリマー
との混合物をシート状に成形することにより製造されて
いる。導電性フィラーとしては、金属、カーボンブラッ
ク等の粉末或いはファイバー、及びポリピロール、ポリ
チオフェン、ポリアニリン等の導電性ポリマーなどがあ
り、最近では導電性、安定性等に優れた導電性ポリマー
が多用されている。有機ポリマーとしては、ポリエステ
ル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリビニ
ルアルコール等が使われている。
【0003】上記の導電性ポリマーを導電性成分として
用いている導電性複合材料としては、例えば、 電解重合法により導電性ポリマーを析出させてステ
ンレス複合シートを得る方法(特開昭62−91529
号公報)、 化学重合法により合成した導電性ポリマーを、炭素
粉末及びポリエステル粉末等の結着剤と混合し、加熱、
加圧成形して複合シートを得る方法(特開昭62−41
166号公報)、 導電性ポリマーと熱融着性繊維を主成分として凝
集、成形することにより複合シートを製造する方法(特
開平4−292804号公報)、 溶媒可溶型導電性ポリマーを合成し、これを有機溶
媒に溶解し、キャスティング法によりシート化する方
法、 触媒を含むポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ポリオレフィン等からなるフィルム表面上でピロー
ル、アニリン等を重合させて導電性複合シートを得る方
法、等が知られている。
【0004】一般に、粉末或いはファイバー状の導電性
ポリマーを、非導電性の樹脂に混在させて高導電率の導
電性材料を得るためには、導電性ポリマー相互を十分に
接触させる必要があるが、導電性ポリマーは通常不融不
溶なものであるため、相互に十分接触させるためにはか
なり多量に混在させる必要がある。しかし、多量の導電
性ポリマーを添加した場合、機械的強度等の物性が低下
する傾向にあり、また、ポリピロール等の導電性ポリマ
ーは価格が高く、得られる導電性材料のコストが高いも
のとなる。更に、上記の各方法では連続的な製造は容易
ではなく、それに加えてそれぞれ下記の問題点を有して
いる。
【0005】(1) 電解重合法を利用して導電性の複合シ
ートを得る方法では、コストが高く、シートの大きさが
制限される。 (2) 結着剤を用いて加熱、加圧成形して得られる複合シ
ートは、機械的強度が不十分である。 (3) 熱融着性繊維を用いる場合は、導電性ポリマーを合
成し、ラテックスを調製し、凝集、乾燥した後加圧成形
する必要があり、プロセスがかなり複雑であるうえ、連
続的な製造が難しい。 (4) キャスティング法を利用する場合は、相当量の有機
溶媒を使用するため環境上の問題がある。 (5) 樹脂フィルム上に導電性ポリマー層を形成した場合
は、導電性となるのは表層のみであり、内部は絶縁体の
ままであるため導電性の優れた材料は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を
克服するものであり、少量の導電性ポリマーを、シート
体内部にまで連続的に存在させることにより 良好な導
電性を実現するとともに、機械的強度が高く、可撓性も
十分な導電性複合シート及びその製造方法を提供するこ
とを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本第1発明の導電性複合
シートの製造方法は、連泡型フォームのセル表面に酸化
剤溶液を塗布し、その後、真空乾燥により該酸化剤溶液
の溶媒を完全に除去し、次いで、重合性化合物を気相雰
囲気下で上記酸化剤付着後の連泡型フォームのセル表面
上で重合させて、該セル表面上に上記化合物の導電性電
子共役系ポリマー層を形成させ、その後、これを溶媒中
に浸漬し未反応の上記酸化剤及び上記化合物を抽出除去
し、次いで、真空乾燥することにより上記溶媒を除去し
て得られる導電性複合フォームを、140〜200℃の
温度において熱成形することを特徴とする。
【0008】また、第2発明の導電性複合シートの連続
的製造方法は、長尺状連泡型フォームを搬送しつつ、以
下の工程を順次行うことにより連続的に導電性複合シー
トを製造する方法であって、上記工程とは、上記ポリウ
レタンフォームのセル表面に酸化剤溶液を塗布する工
程、該酸化剤溶液が塗布されたフォームを真空乾燥する
ことにより、該酸化剤溶液の溶媒を完全に除去する工
程、重合性化合物を気相雰囲気下で上記酸化剤付着後の
ポリウレタンフォームのセル表面上で重合させて、該セ
ル表面上に上記化合物の導電性電子共役系ポリマー層を
形成させる工程、これを溶媒中に浸漬し未反応の上記酸
化剤及び上記化合物を抽出除去する工程、これを真空乾
燥することにより上記溶媒を除去し、導電性複合フォー
ムを形成する工程、及び上記導電性複合フォームを14
0〜200℃の温度において熱成形する工程であること
を特徴とする。
【0009】更に、第3発明は、上記第1又は第2発明
の導電性複合シートの製造方法において、金属網を、2
枚の上記導電性複合フォームで挟み、その後、熱成形を
行うことを特徴とする。また、第4発明は、上記第1、
2又は第3発明の導電性複合シートの製造方法におい
て、厚さ1〜30mmの上記導電性複合フォームを、1
40〜200℃の温度、80〜150kg/cm2 の圧
力で20秒〜3分間熱成形することを特徴とする。
【0010】基材となる上記「連泡型フォーム」は、多
数の気泡、即ち、小孔が連続している(即ち、多数のセ
ルが互いに連通している)成形体(シート状、板状体、
その他の形状を問わない)であり、軟質ポリエーテル系
のオープンセル構造の発泡体が好ましい。
【0011】上記第1及び第2発明において、上記「酸
化剤」は、「重合性化合物」に対して重合活性を有する
ものであればよく、例えば、公知の鉄(III)塩〔FeC
3、Fe(ClO4 3 、Fe(BF4 3 及びFe
2 (SiF6 3 等〕、銅(II)塩、ルテニウム(III)
塩、モリブデン(V) 塩、タングステン(VI)塩、マンガン
(VII) 塩等を用いることができ、このうち、特にFeC
3 及びFe(ClO43 等が好ましい。また、「酸
化剤溶液」として、「溶媒」にFeCl3 とともにFe
Cl2 を溶解したものを用いることができる。FeCl
3 に対するFeCl2 のモル比は0.01〜1.0、特
に0.05〜0.5の範囲が好ましい。FeCl2 を加
えると、FeCl3 のみを使用した場合に比べ、化合物
の初期重合反応速度を抑制することができ、フォーム全
体に均一に「導電性電子共役系ポリマー層」が形成さ
れ、得られる導電性複合シートの導電性も向上する。こ
のモル比が0.01未満では上記反応速度抑制の効果が
低く、1.0を越えるとFeCl3 及びFeCl2 が溶
液中に析出し易くなり好ましくない。
【0012】上記「重合性化合物」としては、ピロール
系、チオフェン系等の複素5員環系化合物(単環非置換
化合物、単環置換誘導体、5員環が複数連なった化合物
及びこの置換誘導体等)を用いることができる。好まし
くはピロール系化合物(ピロール、ピロール誘導体及び
2,2’−ビピロール及び2,2’−ビピロール誘導体
等)が使用され、更に好ましくはピロール環骨格構造の
2,5位置に置換基を有さないピロール化合物が使用さ
れ、この化合物としては、ピロール、N−メチルピロー
ル、N−エチルピロール、N−フェニルピロール、3,
5−ジメチルピロール、3−メトキシピロール、3−メ
チル−N−メチルピロール等を挙げることができる。上
記気相重合法は常圧又は減圧下で行うことができる。こ
の反応温度は0〜80℃が好ましく、通常は室温下で行
う。
【0013】連泡型フォームのセル表面に塗布される酸
化剤は、使用するフォームを100重量部とした場合に
20〜160重量部、特に70〜160重量部の範囲が
好ましい。酸化剤が20重量部未満では、導電性複合フ
ォームの導電性が低く、160重量部を越えると酸化反
応に寄与しなかった残余の酸化剤或いは反応後の酸化剤
の残査が、上記フォーム及びシート中に取り込まれて物
性が低下することがあるため好ましくない。連泡型フォ
ームのセル表面に塗布された酸化剤は、酸化剤溶液を塗
布後真空乾燥により溶媒を完全に除去したものの重量か
ら、酸化剤塗布前のフォームの重量を減ずることにより
定量することができる。
【0014】上記「溶媒」は、連泡型フォームに対する
親和性に優れるとともに、フォームを溶解せず、且つ酸
化剤を溶解させる有機溶媒である。例えば、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられ
るが、その中でも低沸点の溶媒であるメタノール、エタ
ノールが好ましい。この酸化剤溶液濃度は5〜30重量
%が好ましく、このうち特に10〜20重量%の範囲が
好ましい。
【0015】前記第2発明の導電性複合シートの連続製
造方法は、例えば、図1に示すように、長尺状の連泡型
フォームからなる板状体(処理前の板状体)1をローラ
を用いて連続的に搬送しつつ、以下の如く処理を行うも
のである。まず、上記連泡型フォーム板状体1を酸化剤
溶液Fを収容する酸化剤溶液槽2内に浸漬し、そのセル
表面に酸化剤溶液を塗布する。その後、この酸化剤溶液
が塗布された板状体を真空乾燥装置3内に導入すること
により真空乾燥する。それにより該酸化剤溶液の溶媒を
完全に除去する。次いで、重合性化合物Pを反応槽4内
に導入するとともに、上記板状体をこの反応槽4内に連
続的に搬送する。
【0016】これにより、気相雰囲気下で、上記化合物
を、上記酸化剤付着後の連泡型フォーム板状体1のセル
表面上で重合させて、該セル表面上に上記化合物の導電
性電子共役系ポリマー層を形成させる。その後、これを
溶媒槽5内に収容された溶媒S中に連続的に浸漬し、未
反応の上記化合物P及び上記酸化剤を抽出除去する。次
いで、これを真空乾燥槽6内に導入して上記溶媒を除去
して、連続的に導電性複合フォーム1aを製造する。そ
の後、所定温度に設定された、2本の所定間隔を有する
加熱圧縮成形ロール7間を通過させることによって、所
望の厚さの導電性複合シート1bとすることができる。
【0017】導電性複合フォームの厚さは1〜30mm
の範囲内であり、特に5〜20mmの範囲が好ましい。
この厚さが1mm未満の場合には、熱成形後のシートの
組織が緻密なものとならず、機械的強度の低いシートと
なる。一方、30mmを越える場合には、熱成形時に熱
がフォーム内部にまで十分伝わらず、厚さ方向に均質な
シートが得られず、機械的強度も低下する。熱成形の温
度は140〜200℃の範囲であればよく、特に160
〜180℃が好ましい。140℃未満では熱成形が不十
分となり、熱成形時の形態、寸法が十分維持されず、2
00℃を越えると、ポリウレタンフォームが熱劣化する
ことがあり、導電率及び機械的強度が低下する。
【0018】本発明では、第3発明のように、「金属
網」と導電性複合シートとの積層シートとすることもで
き、現用の銅網、炭素繊維クロス単体等の導電性材料と
比較してEMI効果の高い製品が得られる。尚、金属網
との積層シートの場合、2枚の導電性複合フォームで金
属網を挟んで熱成形する方法ばかりでなく、用途、目的
によっては、金属網の片側のみに導電性複合フォームを
積層して熱成形する方法であってもよい。
【0019】熱成形の時間は、20秒〜3分間の範囲
で、特に1〜2分間が好ましい。金属網が積層されない
場合は、20秒未満では、熱成形が不充分となり、3分
を越えると、導電性複合フォームの一部が劣化し始め
る。また、金属網が積層される場合は、20秒未満で
は、導電性複合フォームと金属網とが十分に一体化せ
ず、3分を越えると、上記同様導電性複合フォームの一
部が劣化し始める。熱成形の圧力は、80〜150kg
/cm2 の範囲で、特に100〜120kg/cm2
好ましい。金属網が積層されない場合は、80kg/c
2 未満では、導電性複合シートの緻密性があまり良く
なく、120kg/cm2 を越えると、分解反応を生じ
ることがある。また、金属網が積層される場合は、80
kg/cm2 未満では、上記同様導電性複合シートの緻
密性があまり良くないとともに、導電性複合フォームと
金属網とが十分に一体化せず、150kg/cm2 を越
えると、分解反応を生じることがある。
【0020】熱成形の際、導電性複合フォーム或いは同
フォームと金属網との積層物の表裏両面を、2枚の耐熱
性及び離型性の高い素材からなるフィルム、例えば、ポ
リイミドフィルム(デュポン社製、商品名「カプトン」
等)で挟んで圧縮成形すると、フォーム表面が直接高温
に晒されることがなく、また、離型性が良好であり、表
面の綺麗な導電性複合シートが得られるため好ましい。
【0021】第5発明の導電性複合シートは、連泡型フ
ォームと、重合性化合物を気相重合させることにより、
上記フォームのセル表面上に形成される導電性電子共役
系ポリマー層と、からなる導電性複合フォームを、14
0〜200℃の温度において熱成形して得られ、厚さが
0.1〜1.0mm、導電率が0.01〜5S/cmで
あることを特徴とする。また、第6発明は上記導電性複
合シートが、長尺状シートであることを特徴とする。導
電性複合シートの厚さを上記範囲とするのは、帯電防止
性梱包・包装材、圧力センサ及び圧力スイッチ、コンデ
ンサー、並びにポリマー電池用電極等として好適な厚さ
であるためであり、また、導電率を上記範囲とするの
は、本発明の製造方法により得られる導電性複合シート
の導電率がこの範囲であることと、導電率が0.01S
/cm未満では十分な導電性が得られないためである。
【0022】更に、第7発明の導電性複合シートは、連
泡型フォームと、重合性化合物を気相重合させることに
より、上記フォームのセル表面上に形成される導電性電
子共役系ポリマー層と、からなる導電性複合フォームの
2枚で金属網を挟み、その後、熱成形して得られること
を特徴とする。また、第8発明は、上記導電性複合シー
トが、2枚の長尺の上記導電性複合フォームで、長尺の
上記金属網を挟み、その後、熱成形して得られる長尺状
積層シートであることを特徴とする。上記長尺状の導電
性複合フォーム及び長尺の金属網とは、必ずしも幅、長
さが同一でなくてもよく、また、金属網は連続していな
くてもよいが、通常は長尺の上記フォームと長尺の金属
網とが同時に供給されて一体に積層されるものであり、
全幅及び長さに渡って均一な構成である製品が好まし
い。
【0023】
【作用】ポリウレタンフォームは加熱、加圧することに
よりシート状に成形することができるため、ポリウレタ
ンフォームを担体として、ポリピロール等の導電性ポリ
マーとの複合フォームを形成し、この複合フォームを熱
成形することにより、容易に導電性複合シートを製造す
ることができる。その場合に、本発明の製造方法のよう
に、連泡型のフォームを使用し、ピロール等の重合性化
合物を気相雰囲気下に重合させれば、少量の導電性ポリ
マーによって、実質的にフォーム全体に連続した均一な
導電層が形成される。本発明の導電性複合シートは、こ
の導電性複合フォームを加熱圧縮して成形されるもので
あるが、その際、フォームが熱溶融して流動することは
ないため、導電性ポリマーからなる連続層が破断される
ことはなく、得られる導電性複合シートにおいても連続
した導電層が維持される。そのため、得られる導電性複
合シートは優れた導電性を有する。
【0024】また、本発明の製造方法では、フォームの
セル表面上に予め重合触媒である酸化剤皮膜を形成し、
その表面にピロール等の重合性化合物を気体状で導入し
て、重合させるため、導電性ポリマー層のフォームセル
表面への密着性に優れ、良好な導電性が長期間維持され
るものであリ、また、可撓性に優れ、機械的強度も大で
ある。しかも酸化剤の含有量、重合反応時間及び反応温
度等によって、導電性複合シートの導電率を自由に調整
することもできる。更に、長尺状連泡型フォームを搬送
しつつ、順次各工程を行うことにより連続的に導電性複
合シートを製造する方法の場合は、長尺のシート状導電
性複合シートを効率良く製造でき、大量生産に極めて適
する。
【0025】尚、酸化剤としてFeCl3 を用い、Fe
Cl2 を加えない場合は、反応当初の酸化作用は高いも
のの、酸化の進行と共にFeCl2 が生成するため、比
較的速やかに酸化作用の低下が見られるのに対し、Fe
Cl3 に予めFeCl2 を加えた場合は、反応当初の酸
化作用はやや低下するものの、その後の低下が少なく平
均すれば全反応工程を通じてほぼ一定の酸化電位が維持
され、優れた導電性を有する皮膜が形成される。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 50×50×10(厚さ)mmの大きさのポリエーテル
系ポリウレタンフォーム(株式会社イノアックコーポレ
ーション製、商品名「CF−40」、密度;25)を、
FeCl3 とFeCl2 との混合物のメタノール溶液
(12重量%、FeCl3 に対するFeCl2 のモル
比:0.29)に浸漬し、これを取り出した後、真空乾
燥(100mmHg、25℃、4時間)してメタノール
を完全に除去、回収した。次いで、この混合塩が付着し
たフォームを反応器内に静置した後、反応器中にピロー
ルガスを導入し、20℃で24時間暴露、反応させた。
その後、フォームを5回メタノール洗浄し、未反応の混
合塩及びピロールガスを抽出除去した。次いで、真空乾
燥(100mmHg、25℃、4時間)によって溶剤を
除去し、導電性複合フォーム(導電率:2.2×10-4
S/cm)を製造した。この導電性複合フォームを2枚
のポリイミドフィルム(デュポン社製、商品名「カプト
ン」、厚さ;25μm)で挟んで、温度180℃、圧力
100kg/cm2 で1分間圧縮成形し、厚さ0.43
mmの導電性複合シートを得た。表面抵抗計(三菱油化
社製、商品名「MCD−TESTER」)により測定し
た表面抵抗は200Ωであった。
【0027】実施例2 ポリウレタンフォームをポリエーテル系ポリウレタンフ
ォーム(株式会社イノアックコーポレーション製、商品
名「EL−60S」、密度;60)とし、厚さを20m
mとした他は、実施例1と同様にして導電性複合フォー
ム(ポリウレタンフォームのセル表面に塗布されたFe
Cl3 及びFeCl2 の量は、フォーム100重量部に
対して160重量部、導電率:9.0×10-4S/c
m)を得、実施例1と同様にして厚さ0.96mmの導
電性複合シートを得た。上記と同様にして測定した表面
抵抗は50Ωであった。表1に実施例1及び2で得られ
た導電性複合シートの物性を示す。また、実施例2で得
られた導電性複合シートのサイクリックボルタメトリー
(十進電流軸)を測定した。その結果を図2に示す。更
に、ポリウレタンフォームの厚さを3.6mmとし、F
eCl3 及びFeCl2 の量を62重量部とした他は、
実施例2と同様にして導電性複合フォーム(導電率:
2.1×10-3S/cm)を得、実施例2と同様にして
厚さ0.06mmの導電性複合シート(導電率:0.1
S/cm)を得た。その導電率の空気中における安定性
を測定した。その結果を図3に示す。尚、各物性の測定
は下記の方法によった。また、サイクリックボルタメト
リーの測定条件は下記の通りである。
【0028】(1) 各物性の測定方法 (a) 厚さ:マイクロメーター (b) 引張強度:JIS K 6402 (c) 伸び率: 同 上 (d) 導電率:四端子法 (e) ポリピロール含有率:重量の増加を測定 (f) 熱減量率:熱分析法(熱重量測定)(セイコー電子
工業社製、型式「TG/DTA220」を使用)
【0029】(2) サイクリックボルタメトリーの測定条
件 (a) 試料:上記実施例2で得られた導電性複合シート (b) 試料極表面積:1cm2 (c) 参照極:SCE (d) 電解液:LiClO4 (e) 温度:26℃ (f) 自然電位測定時間:10秒 (g) 自然電位測定サンプリング間隔:1秒 (h) 本測定サンプリング間隔:1秒 (i) 初期電位:自然電位 (j) 初期電位保持時間:10秒 (k) カソード側分極巾:2500mV (l) アノード側分極巾:2500mV (m) 掃引速度:100mV/秒 (n) 初期掃引方向:アノード方向
【0030】
【表1】
【0031】表1の結果によれば、実施例1及び2いず
れの導電性複合シートも、使用したポリウレタンフォー
ムの相違による物性の差はあるものの、いずれもポリピ
ロールが約11重量%含有されているにもかかわらず、
導電性皮膜の形成による引張強度及び伸び率等の物性が
大きく損なわれることはなく、しかも導電率は極めて高
く、優れた導電性材料であることが分かる。また、実施
例2のシートのサイクリックボルタメトリーの測定結果
では、酸化還元電位が明瞭に観察され、10回繰り返し
て測定してもサイクルの変化が小さく、ポリマー電池の
電極としても使用し得るものである。更に、実施例2と
ほぼ同様にして得られた導電性複合シートを、空気中に
2ケ月近く静置した後の導電率は、初期の半分程度維持
されており、絶対値も0.04〜0.05S/cm程度
であって優れた導電性が維持されているのが分かる。
【0032】実施例3 金属網(銅製、厚さ:0.27mm、100メッシュ)
を実施例2で得られた2枚の導電性複合フォームで挟ん
で、温度180℃、圧力100kg/cm2 で2分間圧
縮成形し、3層の複合シート(全シート厚さ:0.68
mm)を得た。これは半可撓性シートであった。この複
合シートのEMI効果を、電磁シールド特性試験器(ア
ンリツ社製、型式「MA8602B」)によって測定
し、スペクトラムアナライザー(横河ヒューレット・パ
ッカード社製、型式「8560A」)によって数値を読
み取った。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】表2の結果によれば、磁界では実施例3の
複合シートと銅網単体とは同レベルであるが、電界では
複合シートの方が5dB、EMI効果が高いことが分か
る。尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すも
のに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種
々変更した実施例とすることができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の導電性複合シートの製造方法で
は、簡易な設備、操作によって導電性及び機械的強度等
に優れた導電性複合シート、特に長尺の導電性複合シー
トを連続的に製造することができる。本発明の導電性複
合シートは、良好な導電性が長期間維持され、機械的強
度も大きく、可撓性を有する。また、サイクリックボル
タメトリーの測定において、酸化還元電位が明瞭に観察
され、繰り返し測定しても変化が小さいため、新型のポ
リマー電池の電極等として応用することも期待できる。
更に、本発明の導電性複合シートを利用して金属或いは
炭素繊維クロス等と積層させた導電性複合シートを製造
することもでき、それらは電気分野で使用されている現
用の導電性シート、具体的には、銅網、炭素繊維クロス
単体等と比較してEMI効果が高く、電磁波シールド
(EMIシールド)を目的としたシール材、パッキン材
(移動電話等)等として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性複合シートを連続的に製造する方法を示
す模式図である。
【図2】実施例2で製造された導電性複合シートのサイ
クリックボルタメトリーの測定結果を示すグラフであ
る。
【図3】実施例2と同様にして製造された導電性複合シ
ートの導電率の空気中における安定性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1;連泡型フォームからなる板状体、F;酸化剤溶液、
2;酸化剤溶液槽、3;真空乾燥装置、P;重合性化合
物、4;反応槽、5;溶媒槽、S;溶媒、6;真空乾燥
槽、1a;導電性複合フォーム、7;加熱圧縮成形ロー
ル、1b;導電性複合シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 79/04 C08L 79/04 H01B 5/16 H01B 5/16 13/00 501 13/00 501P 503 503Z (56)参考文献 特開 昭63−191822(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連泡型ポリウレタンフォームのセル表面
    に酸化剤溶液を塗布し、その後、真空乾燥により該酸化
    剤溶液の溶媒を完全に除去し、次いで、共役二重結合を
    有する化合物を気相雰囲気下で上記酸化剤付着後の連泡
    型ポリウレタンフォームのセル表面上で重合させて、該
    セル表面上に上記化合物の導電性電子共役系ポリマー層
    を形成させ、その後、これを溶媒中に浸漬し未反応の上
    記酸化剤及び上記化合物を抽出除去し、次いで、真空乾
    燥することにより上記溶媒を除去して得られる導電性複
    合ポリウレタンフォームを、140〜200℃の温度に
    おいて熱成形することを特徴とする導電性複合ポリウレ
    タンフォームシートの製造方法。
  2. 【請求項2】 長尺状連泡型ポリウレタンフォームを搬
    送しつつ、以下の工程を順次行うことにより連続的に導
    電性複合ポリウレタンフォームシートを製造する方法で
    あって、 上記工程とは、上記ポリウレタンフォームのセル表面に
    酸化剤溶液を塗布する工程、該酸化剤溶液が塗布された
    ポリウレタンフォームを真空乾燥することにより、該酸
    化剤溶液の溶媒を完全に除去する工程、共役二重結合を
    有する化合物を気相雰囲気下で上記酸化剤付着後のポリ
    ウレタンフォームのセル表面上で重合させて、該セル表
    面上に上記化合物の導電性電子共役系ポリマー層を形成
    させる工程、これを溶媒中に浸漬し未反応の上記酸化剤
    及び上記化合物を抽出除去する工程、これを真空乾燥す
    ることにより上記溶媒を除去し、導電性複合ポリウレタ
    ンフォームを形成する工程、及び上記導電性複合ポリウ
    レタンフォームを140〜200℃の温度において熱成
    形する工程であることを特徴とする導電性複合ポリウレ
    タンフォームシートの製造方法。
  3. 【請求項3】 金属網を、2枚の上記導電性複合ポリウ
    レタンフォームで挟み、その後、熱成形を行うことを特
    徴とする請求項1又は2記載の導電性複合ポリウレタン
    フォームシートの製造方法。
  4. 【請求項4】 厚さ1〜30mmの上記導電性複合ポリ
    ウレタンフォームを、140〜200℃の温度、80〜
    150kg/cm2 の圧力で20秒〜3分間熱成形する
    ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の導電性複合
    ポリウレタンフォームシートの製造方法。
  5. 【請求項5】 連泡型ポリウレタンフォームと、共役二
    重結合を有する化合物を気相重合させることにより、上
    記ポリウレタンフォームのセル表面上に形成される導電
    性電子共役系ポリマー層と、からなる導電性複合ポリウ
    レタンフォームを、140〜200℃の温度において熱
    成形して得られ、厚さが0.1〜1.0mm、導電率が
    0.01〜5S/cmであることを特徴とする導電性複
    合ポリウレタンフォームシート。
  6. 【請求項6】 長尺状シートであることを特徴とする請
    求項5記載の導電性複合ポリウレタンフォームシート。
  7. 【請求項7】 連泡型ポリウレタンフォームと、共役二
    重結合を有する化合物を気相重合させることにより、上
    記ポリウレタンフォームのセル表面上に形成される導電
    性電子共役系ポリマー層と、からなる導電性複合ポリウ
    レタンフォーの2枚で金属網を挟み、その後、熱成形し
    て得られることを特徴とする導電性複合ポリウレタンフ
    ォームシート。
  8. 【請求項8】 2枚の長尺の上記導電性複合ポリウレタ
    ンフォームで、長尺の上記金属網を挟み、その後、熱成
    形して得られる長尺状積層シートであることを特徴とす
    る請求項7記載の導電性複合ポリウレタンフォームシー
    ト。
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