JP2004022295A - セパレータおよびその製造方法ならびに蓄電素子 - Google Patents

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小山 裕
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Abstract

【課題】過充電防止機能の安定性に優れたセパレータおよびその製造方法、ならびにそのセパレータを用いて構成された蓄電素子を提供する。
【解決手段】導電性高分子に対する親和性を向上させる表面処理が施された多孔質基材に、導電性高分子の溶液を含浸・乾燥させて、導電性高分子が保持されたセパレータを得る。その多孔質基材は、絶縁性高分子材料を主体とする多孔質コア(ポリエチレン製不織布等)の表面に高極性樹脂材料(塩素化ポリプロピレン等)を被覆してなる。また、少なくとも一種は導電性高分子である二種以上の高分子を含む溶液からフィルムを形成し、そのフィルムから導電性高分子以外の少なくとも一種の高分子を除去することによりフィルムに細孔を形成し、導電性高分子材料を構造主体とする多孔質セパレータを得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性高分子を含有するセパレータおよびその製造方法、ならびにそのセパレータを用いて構成された蓄電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】二次電池は、充電器の故障や誤使用等により過充電されることがある。このような過充電の程度が著しくなると、電池性能の低下や電池の変形等の不具合が生じることがある。
かかる事態を回避するために、正極と負極の間に導電性高分子を含むセパレータを介在させた二次電池が提案されている。このような二次電池では、過充電電圧が所定値を超えると導電性高分子の導電性が発現して両極が短絡することにより、それ以上の電圧上昇を防止することが可能である(以下、この機能を「過充電防止機能」という。)。例えば特開平2−199769号公報には、導電性高分子含有セパレータを正極と負極の間に配置することにより過充電防止機能を付与した二次電池が開示されている。この公報に記載のセパレータでは、ポリプロピレン製不織布等の絶縁性多孔質基材の表面に導電性高分子層が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、セパレータ本来の基本性能を維持しつつ、上記のように電圧が所定値を超えた際にセパレータ中の導電性高分子の導電性発現を利用して両極を短絡させるには、適当量の導電性高分子がセパレータの全域に亘って保持されていることが望ましい。
しかし、従来の導電性高分子含有セパレータは、導電性高分子がセパレータの外面部分(セパレータシートの表側部分および/または裏側部分)に偏在しており、その内方部分(中心部分)に保持されている導電性高分子量は外面部分と比較して希薄であった。このため、従来の導電性高分子含有セパレータを有する二次電池の過充電防止機能は、かかるセパレータ内方部分における導電性高分子保持量の希薄さによって制限されていた。また、セパレータの内方部分の導電性高分子濃度(体積当たりの保持量)が少なすぎると、その部分で導電経路が途切れがちとなり、過充電防止機能が十分に発揮されない虞があるため好ましくない。
【0004】
一方、一般的な方法(例えば、導電性高分子を含む溶液を含浸させる方法がある。以下、単に含浸法ともいう。)によってセパレータの内方部分に十分量の導電性高分子を供給し、保持させようとすると、逆にセパレータの外面部分に保持される導電性高分子量が過剰となり好ましくない。導電性高分子量が過剰であると、その部分でセパレータの空孔率が減少しがちとなり、セパレータ本来の基本性能が損なわれる虞がある。かかるセパレータを用いた電池では、内部抵抗(特に電解質抵抗)の増大や充放電特性の低下といった不都合が生じ易くなる。
【0005】
本発明は、従来の導電性高分子含有セパレータに関する上述した問題点を解決すべく創出されたものである。その目的は、セパレータ本来の基本性能(電解質抵抗性等)を維持しつつ、従来よりも信頼性の高い過充電防止機能を備えた導電性高分子含有セパレータおよびその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、そのようなセパレータを用いて構成された非水電解液二次電池その他の蓄電素子を提供することである。
なお、本明細書中において「蓄電素子」とは、電池(リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等)およびキャパシタ(電気二重層キャパシタ等)の双方を包含する概念である。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明者は、部分的(典型的にはセパレータの外面部分)に偏在させることなく、セパレータの全域(外面部分から内方部分まで)に亘って適当量の導電性高分子を略均等に保持させるための一つの手段として、セパレータを構成する絶縁性多孔質基材に対する導電性高分子の親和性を向上させることに着目した。
【0007】
すなわち、セパレータを構成する絶縁性多孔質基材(ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが典型例として挙げられる)に対する導電性高分子材料の親和性は一般に低い。このため、導電性高分子を含む溶液をセパレータ(絶縁性多孔質基材)に含浸させても、その溶液中の導電性高分子が多孔質基材の内方部分まで浸透し難い。結果として、導電性高分子はセパレータの外面部分に偏って保持される。
また、親和性が低いことに関連して、絶縁性多孔質基材に対する導電性高分子の密着性(接着性)も一般に低い。このため、前述の含浸法等によってセパレータ(絶縁性多孔質基材)に導電性高分子を付着させても、その導電性高分子の結合力は弱く、多孔質基材から剥離しがちであった。かかる導電性高分子の剥離が著しくなってくると、導電性高分子の偏在化を助長するとともに、過充電防止機能が経時的に低下しやすくなる。また、その過充電防止機能の再現性も低くなることがある。
【0008】
そこで本発明者は鋭意工夫の末、上記親和性の向上を実現したセパレータ製造方法を開発した。
本発明により提供される一つのセパレータ製造方法は、多孔質基材に導電性高分子が保持された構成のセパレータを製造する方法に関する。この製造方法では、まず、絶縁性高分子材料を主体とする多孔質基材であって、導電性高分子との親和性を向上させる表面処理が施された多孔質基材を用意する。その多孔質基材に導電性高分子を含む溶液(導電性高分子溶液)を含浸させる。その含浸させた溶液から溶媒を除去して、多孔質基材に導電性高分子が保持された構成のセパレータを得る。
なお、本明細書中で多孔質体(多孔質基材等)について「表面」とは、その多孔質体を構成する材料自体の表面をいう。すなわち、その多孔質体の表側の面および裏側の面のみならず、多孔質体の内方(内部)に存在する表面をも含む意味である。
【0009】
かかる方法によると、多孔質基材と導電性高分子との密着性に優れたセパレータを製造することができる。このようなセパレータは、基材から導電性高分子が剥離し難いことから、その機能(過充電防止機能等)の安定性に優れる。本発明によると、例えば、ポリオレフィン製不織布等の一般的な材料を用いる場合にも、これに前記表面処理を施し、導電性高分子溶液を含浸させて乾燥させるといった手軽な方法によって、実用上十分な耐久性および/または再現性を有するセパレータを製造し得る。
【0010】
導電性高分子との親和性を向上させる表面処理が施された多孔質基材の好適例としては、多孔質基材の表面が、その多孔質基材を構成する絶縁性高分子材料よりも高極性の樹脂材料によって被覆されているものが挙げられる。例えば、絶縁性高分子材料からなる多孔質体(多孔質コア)の表面を極性の高い樹脂材料で被覆した構成の多孔質基材が挙げられる。一般に、多孔質基材を構成する絶縁性高分子材料に比べて、導電性高分子の極性は高い。したがって、絶縁性高分子材料(多孔質コア)と導電性高分子との間に高極性の樹脂材料を介在させることにより、多孔質基材(絶縁性高分子材料)と導電性高分子とを好適に密着させることができる。
【0011】
導電性高分子の溶液を構成する溶媒としては、この導電性高分子を溶解させるとともに、多孔質基材を膨潤させる性質を有するものが好ましい。溶媒で膨潤した多孔質基材の表面に導電性高分子溶液を付着させ、この状態から導電性高分子溶液を乾燥させる(溶媒を除去する)ことにより、多孔質基材に導電性高分子をさらに密着性よく保持させることができる。
【0012】
本発明により提供される他の一つのセパレータ製造方法では、絶縁性高分子材料を主体とする多孔質基材を用意する。その多孔質基材に導電性高分子の溶液を含浸させる。ここで導電性高分子溶液を構成する溶媒としては、前記多孔質基材を膨潤させる性質を有するものを使用する。その含浸された溶液から溶媒を除去して、多孔質基材に導電性高分子が保持された構成のセパレータを得る。
かかる製造方法によると、溶媒で膨潤した多孔質基材の表面に導電性高分子溶液を付着させ、この状態から導電性高分子溶液を乾燥させる(溶媒を除去する)ことにより、多孔質基材に導電性高分子を密着性よく保持させることができる。
【0013】
また、本発明により提供される他の一つのセパレータ製造方法では、二種以上の高分子が溶媒に溶解または分散した混合組成物を用意する。それらの高分子のうち少なくとも一種は導電性高分子である。その混合組成物からフィルムを形成する。形成されたフィルムから、そのフィルムを構成する高分子のうち導電性高分子以外の少なくとも一種を除去する。これによりフィルムに細孔を形成する。このようにして、導電性高分子を構造材料とするフィルムに細孔が形成されたセパレータ(多孔質フィルム型セパレータ)を得る。
ここで、高分子の少なくとも一種をフィルムから「除去する」とは、除去対象である高分子(除去対象高分子)の含有量を、その除去によってフィルムに細孔が形成される程度に減らすことをいう。すなわち、フィルムに含まれる除去対象高分子の量を実質的にゼロにする場合のみを意味するものではない。
【0014】
かかる製造方法により得られた多孔質フィルム型セパレータは、導電性高分子を構造主体とするので、その全域に亘って(内方部分にも)十分な量の導電性高分子を含有している。したがって、過充電防止性能の安定性(信頼性)が良好である。また、導電性高分子溶液を単純に成膜する等の手法により得られた非多孔質フィルムとは異なり、本発明の方法により得られたセパレータは、導電性高分子を構造材料としながら多孔質である。したがって、セパレータ本来の基本性能を維持しつつ、安定した過充電防止機能を示すことができる。
【0015】
混合組成物から形成されたフィルム(混合フィルム)から除去対象高分子を除去するにあたっては、その除去対象高分子を溶解させ得るとともに導電性高分子を溶解し難い有機溶媒によって、混合フィルムから除去対象高分子を抽出することが好ましい。また、熱分解や酸化分解等の方法によって混合フィルムから除去対象高分子を除去してもよい。
【0016】
本発明により提供される他の一つのセパレータ製造方法では、導電性高分子を第一の溶媒に溶解させた溶液を用意する。この溶液に第二の溶媒を添加する。第二の溶媒としては、第一の溶媒と均一に混合し得るものであって、かつ、導電性高分子を溶かし難いものを選択する。この第二の溶媒を添加することにより導電性高分子の溶解性を低下させて、溶液から導電性高分子を析出させる。その析出した導電性高分子をシート状に成形することにより、多孔質シート状のセパレータを得る。
【0017】
かかる製造方法により得られたセパレータ(析出型多孔質セパレータ)は、導電性高分子を構造材料とし、多孔質状に形成されている。したがって、本発明に係る多孔質フィルム型セパレータと同様に、セパレータ本来の基本性能を維持しつつ、安定した過充電防止機能を示すことができる。
【0018】
本発明によると、上述したいずれかの方法により製造されたセパレータが提供される。このセパレータは、セパレータ本来の基本性能を維持しつつ、安定した過充電防止機能を示し得る。したがって、各種の蓄電素子(典型的には二次電池)において、過充電防止機能を有するセパレータとして好適に用いることができる。特に好ましい適用対象は、非水電解液を用いた二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)である。また、本発明のセパレータは一次電池の構成材料としても用いることができる。
【0019】
さらに本発明は、このようなセパレータを用いて構成された蓄電素子を提供する。この蓄電素子が非水電解液を用いた二次電池である場合には、かかるセパレータを使用することによる効果がよく発揮されるので好ましい。特に好ましい適用対象はリチウムイオン二次電池である。蓄電素子の種類に応じて、その蓄電素子が適正に使用される場合の電圧範囲の上限(充電終止電圧)よりも高い電圧で導電性を発現する導電性高分子を用いたセパレータを選択するとよい。また、その蓄電素子に用いられている電解液が変質(分解等)する電圧よりも低い電圧で導電性を発現する導電性高分子を用いたセパレータが好ましく使用される。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0021】
本発明に使用する導電性高分子は、イオンの可逆的なドーピングおよび脱ドーピングによって、所定の電圧(スイッチング電圧)以上で導電性を発現するとともに、その電圧より低い領域では実質的に絶縁性を示すものである。例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリピリジン、ポリイソチアナフテン、ポリアンスラキノン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンスルフィド等の一般的な導電性高分子の一種または二種以上を用いることができる。
【0022】
セパレータの使用目的(蓄電素子の種類)に応じて、以下の条件:(1).その蓄電素子の充電終止電圧よりも高い電圧で導電性を発現する;(2).その蓄電素子に用いられている電解液が変質(分解等)する電圧よりも低い電圧で導電性を発現する;の少なくとも一方(好ましくは両方)の条件を満たす導電性高分子を使用することが好ましい。例えば、本発明をリチウムイオン二次電池に適用する場合、セパレータに含有させる導電性高分子の好ましい例としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレンおよびポリパラフェニレンが挙げられる。特に好ましい導電性高分子はポリチオフェンである。
【0023】
本発明の主な実施形態は、(I).導電性高分子が多孔質基材に保持された構成のセパレータ(導電性高分子保持型セパレータ)を製造するもの、(II).導電性高分子を構造材料とするフィルムに細孔が形成された構成のセパレータ(多孔質フィルム型セパレータ)を製造するもの、(III).導電性高分子溶液から析出させた導電性高分子によりセパレータ(析出型多孔質セパレータ)を製造するもの、に大別することができる。
【0024】
まず、(I).導電性高分子保持型セパレータおよびその製造方法について説明する。
多孔質基材としては、例えば、従来の一般的な蓄電素子においてセパレータとして用いられている絶縁性高分子製不織布や絶縁性高分子製微多孔質フィルム等に、導電性高分子の親和性を向上させる表面処理を施したものを用いることができる。その多孔質基材の主体をなす絶縁性高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルが例示される。本発明にとり好適な多孔質基材としては、絶縁性高分子材料(例えばポリエチレンおよび/またはポリプロピレン)製の不織布(多孔質コア)に前記表面処理を施したものが挙げられる。
【0025】
かかる表面処理としては、(1).多孔質基材(絶縁性高分子材料)および導電性高分子の双方に対して良好な密着性(接着性)を示し得る樹脂材料によって多孔質コアの表面を被覆する処理、(2).多孔質基材(絶縁性高分子材料)に酸化処理やコロナ放電処理等を施してその表面の極性を高める処理、(3).多孔質基材(絶縁性高分子材料)の表面を腐食させて凹凸を付与する処理等を採用することができる。
【0026】
好ましく用いられる多孔質基材としては、絶縁性高分子材料からなる多孔質コア(ポリオレフィン製不織布等)の表面を、その絶縁性高分子材料よりも高極性の樹脂材料(高極性樹脂材料)で被覆したものが挙げられる。多孔質コアの表面に被覆される高極性樹脂材料としては、多孔質コアを構成する絶縁性高分子材料(典型的にはポリオレフィン等の低極性材料)の種類に応じて、その絶縁性高分子に極性基(ハロゲン原子、水酸基等)が導入された構造の樹脂材料等を用いることができる。絶縁性高分子材料がポリオレフィンである場合、その表面を被覆する(表面に付着させる)樹脂材料の好適例としては塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0027】
このような高極性樹脂材料で多孔質コアの表面を被覆する好ましい方法としては、高極性樹脂材料を適当な溶媒に溶解させて表面処理溶液を調製し、この溶液を多孔質コアに含浸させ、次いで含浸させた溶液を乾燥させる方法が例示される。表面処理溶液の溶媒としては、高極性樹脂材料を溶解させるとともに、多孔質コア(絶縁性高分子材料)を膨潤させる性質を有する有機溶媒が好ましく用いられる。このことによって表面処理の効果をさらに向上させ得る。例えば、多孔質コアを構成する絶縁性高分子材料がポリオレフィンである場合、これを膨潤させる溶媒として、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチル等の塩素化アルキル類またはこれらを主体とする混合溶媒を選択することができる。特に限定するものではないが、多孔質コアに付着させる(その表面を被覆する)高極性材料の質量は、多孔質コアの質量を1として、例えば0.1〜10(好ましくは0.5〜5)程度とすることができる。
【0028】
かかる表面処理が施された多孔質基材に含浸させる導電性高分子溶液としては、その導電性高分子の濃度が0.1〜20質量%(より好ましくは0.5〜10質量%)程度である溶液が好ましく用いられる。導電性高分子の濃度が低すぎると導電経路が形成され難くなることがある。また、導電性高分子の濃度が高すぎるとセパレータの空孔率が小さくなりすぎることがある。
導電性高分子溶液の溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、アニソール等の一般的な有機溶媒を用いることができる。また、この導電性高分子を溶解させる性質とともに多孔質基材(特に絶縁性高分子材料)を膨潤させる性質を有する溶媒を用いてもよい。この場合には、多孔質基材に導電性高分子をさらに密着性よく保持させ得る。例えば、絶縁性高分子材料がポリオレフィンであり、高極性樹脂材料が塩素化ポリオレフィンである場合に好ましく用いられる混合溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、塩化メチル等の塩素化アルキル類またはこれらを主体とする混合溶媒が挙げられる。その後、多孔質基材に含浸された溶液を乾燥させることにより、多孔質基材に導電性高分子が保持(付着)されたセパレータが得られる。
【0029】
多孔質基材に保持させる導電性高分子の質量は、多孔質基材の質量を1として、例えばほぼ0.1以上(典型的には0.1〜10程度)とすることができ、ほぼ0.3以上(典型的には0.3〜5程度)とすることが好ましい。また、多孔質コアの質量を1として、例えば0.1〜10程度とすることができ、0.5〜5程度とすることが好ましい。導電性高分子の保持量が少なすぎる(導電性高分子の濃度が低すぎる)と、本発明により得られる効果(例えば、所定の条件で安定的に導電経路を形成する効果)が少なくなることがある。
【0030】
本実施形態に用いる多孔質基材は、前記表面処理(例えば、多孔質コアの表面を高極性材料で被覆する処理)が施されていることから、その表面と導電性高分子および/または導電性高分子溶液との親和性が向上している。このため、多孔質基材に導電性高分子溶液を含浸させたとき、その溶液および導電性高分子を多孔質基材の各部に(例えば内方部分まで)よく浸透させることができる。したがって、セパレータの厚み全体に亘って比較的均一な濃度で導電性高分子を保持させることが容易である。例えば、セパレータの外面部分における導電性高分子の濃度(単位体積当たりの保持量)を100として、セパレータの内方部分における導電性高分子の濃度が50以上(好ましくは70以上、より好ましくは90以上)となる程度に、セパレータの厚みに対する導電性高分子の濃度のバラツキを抑制することが可能である。本発明によると、セパレータの厚み方向に対する導電性高分子の濃度のバラツキが上記範囲に抑制されたセパレータを提供し得る。また、本発明の製造方法によると、セパレータの内方部分に付着させる導電性高分子の濃度を容易に制御することができる。
【0031】
また、本発明の他の実施形態では、多孔質基材を膨潤させる性質を有する溶媒に導電性高分子を溶解させた溶液を用いて、多孔質基材に導電性高分子を保持させる。例えば、多孔質基材を構成する絶縁性高分子材料がポリオレフィンである場合には、これを膨潤させる有機溶媒として、クロロホルム、ジクロロメタンまたはこれらを主体とする混合溶媒を選択することができる。本実施形態によると、多孔質基材に表面処理を施す工程を省略した場合にも、導電性高分子と多孔質基材との密着性が改善されたセパレータを製造し得る。
【0032】
特に限定するものではないが、このようにして得られた導電性高分子保持型セパレータの空孔率(セパレータ全体の平均値。以下同じ。)は、10〜90体積%(より好ましくは30〜70体積%)の範囲にあることが好ましい。この空孔率は、例えばセパレータの体積とその構成材料(樹脂)の比重から計算により求めることができる。
これらの実施形態は、厚さ10μm以上(典型的には10〜30μm)のセパレータの製造に対して特に好ましく適用される。このような厚さのセパレータでは外面部分と内方部分との間で導電性高分子の付着量の差が大きくなりやすいところ、これらの実施形態によると、基材に導電性高分子溶液を含浸させて乾燥させるという手軽な方法によって付着量の差の少ない導電性高分子保持型セパレータを製造することができる。
【0033】
次に、(II).多孔質フィルム型セパレータおよびその製造方法について説明する。
このタイプのセパレータは、少なくとも一種の導電性高分子を含む二種以上の高分子が溶媒に溶解または分散した混合組成物を用いて製造することができる。この混合組成物は、二種以上の導電性高分子を含んでもよく、導電性高分子および絶縁性高分子を含有してもよい。この混合組成物からフィルムを形成する方法(成膜方法)としては、キャスティングによる方法、ロールコーター、バーコーター、ドクターブレード等を用いて塗布・乾燥させる方法等の一般的な製膜方法を採用することができる。得られたフィルム(混合フィルム)には、混合組成物に含まれていた複数の高分子が、通常はその混合組成物の組成にほぼ対応する組成比で含有されている。
【0034】
次いで、この混合フィルムに含まれる複数の高分子のうち少なくとも一種の高分子(除去対象高分子)をフィルムから除去する。この除去対象高分子は、混合フィルムに含まれる高分子のうち、少なくとも一種の導電性高分子を除いた高分子から選択される。すなわち、除去後に得られた多孔質フィルムには、少なくとも一種の導電性高分子がなお含有されている。
【0035】
混合組成物から形成された混合フィルムは、除去対象高分子を含む分散相が、他の高分子の一種または二種以上を含む連続相中に分散している構造を有するとよい。かかる構造を有する場合には、(1).混合フィルムから除去対象高分子を除去しやすい、(2).除去により形成される細孔の形状や分布を制御しやすい、(3).除去後に得られたセパレータが機械的強度に優れたものとなりやすい、等のうち一または二以上の効果を実現し得る。
【0036】
混合フィルムから除去対象高分子を除去する方法としては、除去対象高分子を溶解し得る性質を有し、かつ除去対象ではない導電性高分子を溶解し難い有機溶媒を用いて、混合フィルムを抽出する方法が好適である。かかる除去方法を実施しやすくするために、除去対象高分子としては、アセトン等の一般的な有機溶媒に対して良好な溶解性を示すものを選択するとよい。また、電解液に用いられる有機溶媒(例えば、リチウムイオン二次電池ではジエチルカーボネート等)に対して良好な溶解性を示す除去対象高分子も好ましく選択される。好ましい除去対象高分子としては、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が例示される。
【0037】
混合組成物としては、例えば、一種類の導電性高分子(C)と一種類の絶縁性高分子(I)とを含有するものを用いることができる。この組成物を用いて形成された混合フィルムから絶縁性高分子(I)の一部または全部を除去することにより、導電性高分子(C)を構造材料の主体とする多孔質フィルムを得ることができる。後述する実施例3は、このような方法により多孔質フィルム型セパレータを製造した例である。この場合、混合フィルムは、導電性高分子(C)を連続相とし、この連続相に絶縁性高分子(I)が分散した構造を有することが好ましい。
【0038】
また、一種類の導電性高分子(C)と、第一の絶縁性高分子(I)および第二の絶縁性高分子(I)の二種類の絶縁性高分子とを含有する混合組成物を用いてもよい。この組成物を用いて形成された混合フィルムから第二の絶縁性高分子(I)の一部または全部を除去することにより、導電性高分子(C)および第一の絶縁性高分子(I)を構造材料の主体とする多孔質フィルムを得ることができる。後述する実施例4は、このような方法により多孔質フィルム型セパレータを製造した例である。この場合、混合フィルムは、導電性高分子(C)および/または第一の絶縁性高分子(I)を連続相とし、この連続相に第二の絶縁性高分子(I)が分散した構造を有することが好ましい。
【0039】
あるいは、第一の導電性高分子(C)および第二の導電性高分子(C)の二種類の導電性高分子を含有する混合組成物を用いてもよい。この組成物を用いて形成された混合フィルムから、第二の導電性高分子(C)の一部または全部を除去することにより、導電性高分子(C)を構造材料の主体とする多孔質フィルムを得ることができる。この場合、混合フィルムは、第一の導電性高分子(C)を連続相とし、この連続相に第二の導電性高分子(C)が分散した構造を有することが好ましい。
【0040】
特に限定するものではないが、このようにして得られた多孔質フィルム型セパレータの空孔率は、10〜90体積%(より好ましくは30〜70体積%)の範囲にあることが好ましい。また、その平均細孔径(セパレータ全体の平均値。以下同じ。)は、0.1〜10μm(より好ましくは1〜5μm)の範囲にあることが好ましい。この空孔率は、導電性高分子保持型セパレータの場合と同様にして求めることができる。また、平均細孔径は、例えば水銀圧入法により測定することができる。これらの特性値は、例えば、混合組成物の組成(除去対象高分子の含有量等)、混合フィルムの構造(除去対象高分子の分散状態等)、除去対象高分子をフィルムから除去する方法およびその除去割合等によって調節し得る。
【0041】
なお、特開平4−2065号公報には、導電性高分子からなる部材を正極と負極の間に配置する(セパレータの一部を導電性高分子製の部材で置き換える等)ことにより、過充電時に両極間に導電経路を形成する機能をもたせた二次電池が開示されている。しかし、この導電性高分子部材は基本的に「非多孔質」であるので、電池反応に関与するイオンがこの部材を通り抜けることができない。このため、導電性高分子部材の配置面積が大きくなると、充放電特性(特に急速な充放電に対する特性)の低下、容量の減少、内部抵抗の増大等のような、セパレータ本来の基本性能の低下を招くことがある。一方、導電性高分子部材の配置面積が少ないと過充電電流を逃す効果が小さくなる。
本発明に係る多孔質フィルム型セパレータは、導電性高分子を構造主体としながら多孔質である。このことによって、過充電防止効果とセパレータ本来の基本性能とを高度に両立させることができる。
【0042】
次に、(III).析出型多孔質セパレータおよびその製造方法につき説明する。
導電性高分子を溶解させる第一の溶媒としては、例えば、THF、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、アニソール等から選択されるいずれか一種の有機溶媒、または相互に均一に混合し得る二種以上の有機溶媒(混合溶媒)を用いることができる。導電性高分子の種類に応じて適切なもの(その導電性高分子の良溶媒)を選択すればよい。導電性高分子がポリチオフェンである場合には、第一の溶媒としてTHF、ジクロロメタン等が好ましく用いられる。
【0043】
第二の溶媒としては、第一の溶媒と均一に混合するとともに導電性高分子を溶かし難いものを用いる。例えば、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート類等から選択される一種の溶媒、または相互に均一に混合し得る二種以上の溶媒(混合溶媒)を用いることができる。導電性高分子の種類および第一の溶媒の組成に応じて適切なものを選択すればよい。この第二の溶媒の添加によって溶液に対する導電性高分子の溶解性が低下する結果、溶液から導電性高分子が析出する。導電性高分子がポリチオフェンであって第一の溶媒がTHFである場合、第二の溶媒としてはDEC、DMC、EMC等の鎖状カーボネート類等が好ましく用いられる。
【0044】
析出した導電性高分子を、沈殿・濾過等の操作によって溶液から回収する(第一の溶媒と第二の溶媒との混合溶媒から分離する)と、不織布状の多孔質体が得られる。この多孔質体をシート状に成形(例えばプレス成形)してセパレータを製造する。
【0045】
特に限定するものではないが、このようにして得られた析出型多孔質セパレータの空孔率は、10〜90体積%(より好ましくは30〜70体積%)の範囲にあることが好ましい。また、その平均細孔径は、0.1〜10μm(より好ましくは1〜5μm)の範囲にあることが好ましい。空孔率および平均細孔径の測定方法としては、多孔質フィルム型セパレータの場合と同様の方法を採用することができる。これらの特性値は、例えば、第一の溶媒および第二の溶媒の組成、溶液に含まれる導電性高分子の濃度、導電性高分子の析出条件(第二の溶媒の添加速度、そのときの攪拌状態等)、析出した導電性高分子の成形条件等によって調節し得る。
【0046】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0047】
<実施例1:導電性高分子保持型セパレータ(1)>
塩素化ポリオレフィンのトルエン溶液(日本製紙株式会社製の「スーパークロン(登録商標)L」を使用した。)をクロロホルムで希釈して、5質量%の塩素化ポリオレフィンを含有する表面処理用溶液を調製した。この溶液にポリエチレン製不織布(多孔質コア)を浸漬し、溶液から引き上げて乾燥させた。このようにして、ポリエチレン製不織布の表面に塩素化ポリオレフィンが被覆された多孔質基材を作製した。塩素化ポリオレフィンの被覆量は、ポリエチレン製不織布(多孔質コア)1質量部に対して約1.2質量部である。なお、ここで用いたポリエチレン製不織布の形状は、幅約58mm、長さ約800mm、厚さ約25μmである。
【0048】
3質量%のポリチオフェンを溶解させたTHF溶液(導電性高分子溶液)を用意した。この溶液に多孔質基材を浸漬し、溶液から引き上げて乾燥させた。このようにして、多孔質基材に導電性高分子が保持されたセパレータを作製した。このセパレータの空孔率は約40体積%である。また、導電性高分子の保持量は、多孔質コア1質量部に対して約1質量部(多孔質基材2.2質量部に対して約1質量部)である。
【0049】
<実施例2:導電性高分子保持型セパレータ(2)>
ポリチオフェンをジクロロメタンに溶解させて、ポリチオフェン濃度3質量%のジクロロメタン溶液(導電性高分子溶液)を用意した。実施例1で用いたものと同じポリエチレン製不織布をこの溶液に3分間浸漬した。これにより、多孔質基材(ポリエチレン製不織布)に導電性高分子溶液を含浸させるとともに、この多孔質基材を構成するポリエチレンをジクロロメタンにより膨潤させた。その後、導電性高分子溶液から多孔質基材を引き上げて乾燥させた。このようにして、多孔質基材に導電性高分子が保持されたセパレータを作製した。このセパレータの空孔率は約30体積%である。また、導電性高分子の保持量は、多孔質基材1質量部に対して約0.6質量部である。
【0050】
実施例3および実施例4では、次の溶液を用いてセパレータを作製した。
[溶液A]ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(エルフ・アトケム・ジャパン株式会社製の商品名「KYNAR2751」を使用した。)を、その10倍の質量のTHFに溶解させて調製した溶液(PVDF−HFP/THF溶液);
[溶液B]ポリスチレンを、その3倍の質量のDECに溶解させて調製した溶液;
[溶液C]ポリチオフェンをTHFに溶解させて調製した、ポリチオフェン濃度5質量%のTHF溶液(5%ポリチオフェン/THF溶液)。
【0051】
<実施例3:多孔質フィルム型セパレータ(1)>
上記溶液C(5%ポリチオフェン/THF溶液)と上記溶液A(PVDF−HFP/THF溶液)とを8:2の体積比で混合した。この混合組成物は、ポリマー換算で、ポリチオフェン:PVDF−HFPをほぼ6:4の質量比で含有する。これをキャスティングし、溶媒(THF)を揮発させて厚さ30μmのフィルム(混合フィルム)を形成した。この混合フィルムをアセトンに浸漬した。ここで、混合フィルムを形成する高分子のうち、PVDF−HFPはアセトンに溶解するが、ポリチオフェンはアセトンにほとんど溶解しない。これにより、混合フィルムからPVDF−HFPを抽出した。1時間の浸漬後、フィルムを引き上げて60℃で真空乾燥させたところ、フィルムには多数の細孔が形成されていた。この多孔質フィルムを幅約58mm、長さ約800mmにカットしたものをセパレータとして使用した。このセパレータの空孔率は約40体積%、平均細孔径は約3μmである。
【0052】
<実施例4:多孔質フィルム型セパレータの製造(2)>
上記溶液A,上記溶液Bおよび上記溶液Cを5:2:3の体積比で混合することにより、主として溶液A,Cからなる連続相中に、主として溶液Bからなる分散相が分散したスラリー状の混合組成物を調製した。この混合組成物は、ポリマー換算で、PVDF−HFP:ポリスチレン:ポリチオフェンを5:2:0.5の質量比で含有する。これをドクターブレードにて塗布し、乾燥させて厚さ30μmのフィルム(混合フィルム)を作製した。この混合フィルムをDECに浸漬した。ここで、混合フィルムを形成する高分子のうち、ポリスチレンはDECに溶解するが、ポリチオフェンおよびPVDF−HFPはDECにほとんど溶解しない。これにより、混合フィルムからポリスチレンを抽出した。1時間の浸漬後、フィルムを引き上げて60℃で真空乾燥させたところ、フィルムには多数の細孔が形成されていた。この多孔質フィルムを幅約58mm、長さ約800mmにカットしたものをセパレータとして使用した。このセパレータの空孔率は約50体積%、平均細孔径は約3μmである。
【0053】
<実施例5:析出型多孔質セパレータ(3)>
ポリチオフェンを当量のTHFに溶解させたポリチオフェン/THF溶液を調製した。この溶液にDECを、溶液中のTHFと当量だけ添加した。なおDECは、THFと均一に混合し得るとともにポリチオフェンをほとんど溶解させない有機溶媒である。これにより、THF/DEC混合溶媒からポリチオフェンを析出させた。析出したポリチオフェンを溶媒から分離し、これをプレスして、厚さ約30μm、空隙率35%、平均細孔径2μmの多孔質シート状に成形した。この多孔質シートを幅約58mm、長さ約800mmにカットしたものをセパレータとして使用した。
【0054】
<比較例1:非多孔質の導電性高分子フィルムを用いたセパレータ>
ポリチオフェンを当量のTHFに溶解させてポリチオフェン/THF溶液を調製した。この溶液をキャスティングして、ポリチオフェン単体からなるフィルムを作製した。このポリチオフェンフィルムは実質的に非多孔質であり、その厚さは約25μmである。
実施例1および2で用いたポリエチレン製不織布と、この非多孔質ポリチオフェンフィルムとを用いてセパレータを作製した。すなわち、図3に示すように、ポリエチレン製不織布10の長手方向の中央部を、長さ10cmに亘って非多孔質ポリチオフェンフィルム20で置き換えた。このようにして、ポリエチレン製不織布10と非多孔質ポリチオフェンフィルム20とを継ぎ合わせたセパレータ1を得た。
【0055】
<比較例2:導電性高分子保持型セパレータ>
導電性高分子溶液の溶媒として、ジクロロメタンに代えてTHF(ポリエチレンを実質的に膨潤させない溶媒)を使用した。その他の点については実施例2と同様にしてセパレータを作製した。
【0056】
<実施例6:セパレータの評価(1)>
実施例1,2および比較例2で得られたセパレータの断面を詳細に観察した。この結果を、セパレータの厚さ方向に対する導電性高分子の付着量として、図1に模式的に示す。
【0057】
図1に示すように、比較例2で得られたセパレータは、その外面部分に偏って導電性高分子が付着しており、内方部分では導電性高分子の付着量が少なかった。実施例1および実施例2で得られたセパレータは、比較例2のセパレータに比べて、外面部分と内方部分との間で導電性高分子の付着量の差が明らかに小さかった。実施例1では実施例2に比べてさらに良好な結果が得られた。なお、図中「スイッチング作動濃度」とは、所定条件で安定して導電経路を形成することのできる導電性高分子の濃度(基材に対する付着量)を概念的に示したものである。実施例1および実施例2のセパレータによると、内方部分の導電性高分子濃度を確実にスイッチング作動濃度以上とし、かつ、外面部分の導電性高分子濃度が高くなりすぎることを抑制することができる。
【0058】
また、図1には、実施例3〜5により得られたセパレータについての、外面部分と内方部分との導電性高分子濃度(付着量)の差を併せて(模式的に)示している。これらのセパレータも外面部分と内方部分との導電性高分子濃度の差は少ない。
【0059】
<実施例7:セパレータの評価(2)>
実施例1〜5および比較例1,2で得られたセパレータを用いてリチウムイオン二次電池を作製した。得られたリチウムイオン二次電池につき、その過充電時の挙動を調べた。
【0060】
[正極シートの作製]
LiFePO、カーボンブラック(CB)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN−メチルピロリドンとともに混合して正極活物質ペーストを調製した。このペーストは、LiFePO:CB:PVDFをほぼ85:10:5の質量比で含有する。厚さ約15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に上記で得られた正極活物質ペーストを塗布し、次いで全体の厚さが約37μmとなるようにプレスした。このようにして正極シートを作製した。
【0061】
[負極シートの作製]
カーボンブラック(CB)およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN−メチルピロリドンとともに混合して負極活物質ペーストを調製した。このペーストは、CB:PVDFをほぼ90:10の質量比で含有する。厚さ約15μmの銅箔(負極集電体)の両面に上記で得られた負極活物質ペーストを塗布し、次いで全体の厚さが約37μmとなるようにプレスした。このようにして負極シートを作製した。
【0062】
[電池の組み立て]
これらの正極シートおよび負極シートを二枚のセパレータと積層し、この積層シートを巻回して巻回型電極体を作製した。この電極体を電解液とともに容器に収容して、直径18mm、高さ650mm(18650型)の円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、電解液としては従来のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液等を特に限定なく用いることができる。ここではエチレンカーボネート(EC)とDECとの3:7(体積比)混合溶媒に1mol/リットルのLiPFを溶解させたものを用いた。
【0063】
[過充電試験]
実施例2,4および比較例1,2のセパレータを使用して作製した電池を満充電状態(SOC=100%)まで充電し、60℃の恒温槽に導入した。電池温度が60℃に到達した後、2Cの電流(ここでは、1CmA=約1A)でさらに2時間充電を行う過充電試験を行った。このときの充電継続時間に対する電圧の変化を測定した。その結果を図2に示す。比較例1のセパレータを用いた電池では、セパレータの一部領域(長手方向の中央部分)にしか導電経路が形成されていないため過充電電流を十分に逃すことができず、電圧の上昇を抑える効果が少なかった。これに対して、実施例2および実施例4のセパレータを用いた電池では、所定の過充電電圧を超えると導電経路が安定して形成されるので、電圧上昇を4.5V以下に抑えることができた。実施例1のセパレータを用いた電池は実施例2と、実施例5,6のセパレータは実施例4とほぼ同等の挙動を示した。
【0064】
また、比較例2のセパレータを用いた電池では、実施例2の電池と同程度に電圧上昇が抑制されることもあったが、図2に示すように電圧上昇が十分に抑制されないこともあり、セパレータ性能の安定性(過充電に対する電池挙動の再現性)が低かった。その様子は、以下の過充電防止率の評価結果にも表れている。
【0065】
[過充電防止率の評価]
実施例1〜5および比較例2のセパレータを用いてそれぞれ20個の電池を作製し、同様に過充電試験を行った(n=20)。試験終了後、電池の外観に変化(容器の変形等)がみられなかったものの割合を過充電防止率とした。その結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 2004022295
【0067】
表1から判るように、実施例1〜5のセパレータを用いた電池は、比較例2セパレータを用いた電池に比べていずれも過充電防止率が高く、過充電防止機能の安定性(再現性)に優れていた。
【0068】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】セパレータの厚さ方向に対する導電性高分子の付着量を模式的に示す特性図である。
【図2】過充電試験において、充電継続時間に対する電圧の変化を示す特性図である。
【図3】比較例1のセパレータの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1;セパレータ
10;不織布(多孔質基材)
20;非多孔質ポリチオフェンフィルム

Claims (9)

  1. 多孔質基材に導電性高分子が保持されたセパレータを製造する方法であって、
    絶縁性高分子材料を主体とする多孔質基材であって前記導電性高分子との親和性を向上させる表面処理が施された多孔質基材を用意する工程と、
    前記多孔質基材に前記導電性高分子を含む溶液を含浸させる工程と、
    その含浸された溶液から溶媒を除去する工程とを備えるセパレータの製造方法。
  2. 前記多孔質基材の表面は、前記絶縁性高分子材料よりも高極性の樹脂材料によって被覆されている請求項1に記載のセパレータの製造方法。
  3. 前記導電性高分子の溶液を構成する溶媒は、前記多孔質基材を膨潤させる性質を有する有機溶媒である請求項2に記載のセパレータの製造方法。
  4. 多孔質基材に導電性高分子が保持されたセパレータを製造する方法であって、
    絶縁性高分子材料を主体とする多孔質基材を用意する工程と、
    その多孔質基材に前記導電性高分子を含む溶液を含浸させる工程と、
    その含浸された溶液から溶媒を除去する工程とを備え、
    前記溶液を構成する溶媒は、前記多孔質基材を膨潤させる性質を有する有機溶媒であることを特徴とするセパレータの製造方法。
  5. 少なくとも一種は導電性高分子である二種以上の高分子が溶媒に溶解または分散した混合組成物を用意する工程と、
    その組成物からフィルムを形成する工程と、
    そのフィルムを構成する前記二種以上の高分子のうち導電性高分子以外の少なくとも一種を除去し、そのフィルムに細孔を形成する工程とを備える、該フィルムからなるセパレータの製造方法。
  6. 前記細孔形成工程では、前記フィルムから除去される高分子を溶解させ得る有機溶媒であって前記導電性高分子を溶解させ難い有機溶媒によって、前記フィルムから前記高分子を抽出する請求項5に記載のセパレータの製造方法。
  7. 導電性高分子を第一の溶媒に溶解させた溶液を用意する工程と、
    その溶液に、前記第一の溶媒と均一に混合し得る第二の溶媒であって前記導電性高分子を溶かし難い第二の溶媒を添加することにより、前記導電性高分子を析出させる工程と、
    析出した導電性高分子をシート状に成形して多孔質シートを形成する工程とを備える、該多孔質シートからなるセパレータの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により製造されたセパレータ。
  9. 請求項8に記載のセパレータを用いて構成された蓄電素子。
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