JP3501113B2 - 非水系二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
するもので、さらに詳しくは充放電サイクル特性および
保存特性に優れた非水系二次電池およびその製造方法に
関するものである。
末は、小型、軽量、薄型化の傾向が年々強くなってお
り、その電源である電池においても小型、軽量、薄型化
の要望が強まっている。こうした時流の中で、特にリチ
ウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池、ニッケルカド
ミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池等の水溶液系二次電
池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため注目
されている。
体上に活物質層を塗着、乾燥、圧延、所定寸法に切断し
た後、渦巻き状に捲回または積層したりする組立工程に
おいて、活物質の集電体からの剥離や脱落に伴う集電性
能の低下が課題となっている。この課題に対し、例えば
特開昭63−121265号には、集電体上に導電性フ
ィラーと結着材からなる導電層を形成することが、特開
平4−14756号公報、特開平11−329448号
公報には、集電体表面を粗面化することが開示されてい
る。
持するセパレータ材料にポリマーを用いたリチウムポリ
マー二次電池が、特表平8−507407号公報に開示
されており、ポリマーとしてフッ化ビニリデン(VD
F)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体
P(VDF−HFP)を用い、ポリマーと正極、負極を
熱融着により積層一体化させることを特徴としている。
電池は正極および負極に放電容量に寄与しない多量のポ
リマーを含有しているため、リチウムイオン二次電池と
比較して放電容量が低い。このためリチウムポリマー二
次電池の容量を高めるには、積層化が可能な範囲で極板
中のポリマー量を低減する必要があるが、ポリマー量を
低減すると活物質層と集電体との結着性が低下し接触抵
抗が増大するという課題が生じる。
えば、USP5554459号公報に、集電体表面の絶
縁化物を除去し、付着性の導電性ポリマー組成で結着し
た金属集電体を用いる方法や、ポリマーであるP(VD
F−HFP)に導電性物質を加えたものを集電体表面の
絶縁化物を除去した後、被覆する方法が開示されている
が、充放電サイクルや高温下での保存によって内部抵抗
が上昇し、放電容量が低下するという課題がある。
性質のあるHFPを含有するP(VDF−HFP)を結
着材として用い、アセトンやアルコール等の溶媒に分散
させたペーストを集電体表面に塗布した後、溶媒を除去
できる程度の温度で乾燥し形成するのが一般的であり、
前記乾燥温度は結着材の結晶化温度より低い。その結果
として、形成された導電層中の結着材の結晶化度は低い
ままであり、時間を経るにつれてP(VDF−HFP)
が電解液に膨潤し、活物質と集電体との電子伝導性が低
下する為であり、高温下で加速されるため、高温下での
保存特性の低下を招く。
の結着材の結晶化度を高め、電解液に対する膨潤度を低
くし、充放電サイクル特性および保存特性を向上させる
ことが可能な非水系二次電池およびその製造方法を提供
することを主たる目的とする。
めの本発明の非水系二次電池は正極、負極、非水電解液
からなる非水系二次電池において、前記正極および/ま
たは負極の集電体表面が導電材と結着材からなる導電層
で被覆、熱処理されて、前記導電層中の結着材の結晶化
が高められ、非水電解液に対する膨潤度が30%以下で
あることを特徴とする非水系二次電池。
ことがより好ましく、結着材としてはポリフッ化ビニリ
デンまたはポリフッ化ビニリデンと6フッ化ビニリデン
との共重合体が好ましい。
下、より好ましくは30%以下にすることにより、活物
質層と集電体との電子伝導性を確保し、内部抵抗の上昇
を押さえることにより、充放電サイクル特性や保存特性
に優れた電池を得ることができる。
は、正極、負極、非水電解液からなる非水系二次電池の
製造方法において、前記正極および/または負極の集電
体表面が導電材と結着材からなる導電層で被覆、熱処理
されており、この熱処理温度T(℃)は、結着材の結晶
化温度をTc(℃)、融点をTm(℃)としたとき、T
c−20<T<Tmの範囲であることを特徴とする製造
方法である。
る導電層を処理することにより、結着材の結晶化度を高
め、電解液に対する膨潤度を低くすることができる。
て、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の非水
系二次電池の一例としてリチウムポリマー電池を取り上
げるが、リチウムポリマー電池以外の非水系二次電池に
も適用可能である。
系二次電池に用いられる正極の断面図、負極の断面図、
群構成断面図である。正極1は、正極活物質層4と正極
集電体5から構成される。負極2も同様に負極活物質層
7と負極集電体8から構成される。セパレータ3は正極
板と負極板との間に配設され、熱融着法により正極、負
極と積層され、図3に示すような群構成断面図になる。
チングメタルおよびエキスパンドメタルからなり、表面
には導電材と結着材の混合物からなる正極導電層6が被
覆されている。
箔、パンチングメタルおよびエキスパンドメタルからな
り、表面には導電材と結着材の混合物からなる負極導電
層9が被覆されている。
表されるカーボンブラックまたはグラファイト等の炭素
系導電材等を用いることができる。
デン、マレイン酸などで酸変性したポリフッ化ビニリデ
ン、ポリフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共
重合体等の正極、負極中の結着材と同種のものが接着性
の観点から好ましい。
成する方法としては、導電材と結着材を、有機溶媒中に
分散させたものを集電体上に塗布し、有機溶媒乾燥除去
した後、熱処理することにより、結着材の結晶化度を高
め、電解液に対する膨潤度を低くすることができる。こ
の熱処理温度T(℃)は、結着材の結晶化温度をTc
(℃)、融点をTm(℃)としたとき、Tc−20<T
<Tmの範囲であることが好ましい。熱処理温度がTc
−20以下の場合には結着材の結晶化度が高くならない
ので好ましくなく、Tm以上の場合には結着材が溶融し
てしまうので好ましくない。
から5.0μmの範囲が集電体表面の被覆性及び接着
性、電池の内部抵抗等の観点から好ましい。
はないが、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホ
ルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチル
ケトン等を単独、或いは二種類以上の混合物として用い
ることができる。
ではないが、例えば、二酸化マンガン、五酸化バナジウ
ム、酸化モリブデン等の酸化物、或いはコバルト酸リチ
ウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等のリ
チウムと遷移金属との複合酸化物、硫化チタン、硫化モ
リブデン、硫化鉄等の硫化物、或いはリチウムと遷移金
属との複合硫化物等を用いることができる。
ではないが、例えば、有機高分子化合物(フェノール樹
脂、ポリアクリロニトリル、セルロース等)を焼成する
ことにより得られる炭素材料、コークスやピッチを焼成
することにより得られる炭素材料、或いは人造グラファ
イト、天然グラファイト等を用いることができる。
溶剤中にポリマー、可塑剤を混合してなるペーストを、
例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム上
に塗工した後、溶剤を乾燥除去して、ポリマー電解質か
らなるセパレータを作製するか、ポリエチレン樹脂、ポ
リプロピレン樹脂などの微多孔性ポリオレフイン系樹脂
を用いることができる。
は、必要に応じて導電材、可塑剤を添加することができ
る。
ないが、例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラ
ック、グラファイト等を単独、或いは二種類以上の混合
物として用いることができる。
フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸
ジプロピル、フタル酸ジヘキシルなどのフタル酸エステ
ルが好ましい。
レータからなる電極群を電池ケースに挿入した後、非水
電解液を注入し、非水系二次電池を作製する。
ニウム箔等の金属箔を用いて、その両側にポリオレフィ
ン樹脂をラミネートしたラミネートケースや、アルミニ
ウム合金からなる金属ケースを用いることができる。
溶解することにより、調整される。前記非水溶媒として
は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
ネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、1,
3−ジメトキシプロパン、4−メチル−2−ペンタノ
ン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニ
トリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニト
リル、スルホラン、3−メチル−スルホラン、テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等を用い
ることができる。これらの非水溶媒は、単独或いは二種
類以上の混合溶媒として、使用することができる。
ム、6フッ化リン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、6
フッ化砒素リチウム、トリフルオロメタスルホン酸リチ
ウム、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウ
ム等のリチウム塩を用いることができる。
の正極、負極、セパレータ、非水電解液を適宜組み合わ
せて構成されるもので、電池自体の形状は、シート状、
円筒型、角型、コイン型、ボタン型等任意の形状に適用
できる。
説明する。
DF)のN−メチルピロリドン(NMP)溶液(固形分
量13%)540gにアセチレンブラックからなる炭素
系導電材30gを加え、プラネタリーミキサーで混練
し、さらにNMPを220g加えて希釈し導電性ペース
トを調製した。このペーストをドクターブレードでガラ
ス板上に塗布し、100℃で溶媒を乾燥除去し導電層を
作製した。次いで、導電層を180℃の恒温槽に入れ、
1時間熱処理を行った。なお、このPVDFの結晶化温
度Tcは137℃、融点Tmは173℃であった。
熱処理した以外は、実施例1と同様にして導電層を作製
した。
熱処理した以外は、実施例1と同様にして導電層を作製
した。
熱処理した以外は、実施例1と同様にして導電層を作製
した。
ーストをダイコーターでアルミニウム製エキスパンドメ
タルからなる正極集電体5および銅製のエキスパンドメ
タルからなる負極集電体8の両面に均一に塗布し、10
0℃で溶媒を乾燥除去して導電層を被覆し、さらに恒温
槽で160℃1時間の熱処理にて結晶化処理を行い、厚
さ5.0μmの導電層を得た。
レンの共重合体(P(VDF−HFP))710gをア
セトン11300gに溶解した溶液と、コバルト酸リチ
ウム10000g、アセチレンブラック530g、フタ
ル酸ジ−n−ブチル(DBP)1100gを混合して正
極用ペーストを調製し、前記導電層を形成したアルミニ
ウム集電体の両面にダイコーターで塗工、乾燥した後、
ロールプレスで圧延し正極板を作製した。
セトン3210gに溶解した溶液と、球状黒鉛2450
g、炭素繊維200g、DBP540gを混練分散して
負極用ペーストを調製し、前記導電層を形成後、結晶化
処理を行った銅集電体の両面にダイコーターで塗工乾燥
した後、ロールプレスで圧延して負極板を作製した。
セトン1440gに溶解し、DBP280を添加した混
合溶液を調製し、これをポリエチレンテレフタレート樹
脂製フイルム上にダイコーターで塗工しポリマー電解質
シートからなるセパレータを作製した。これらの正極、
負極、セパレータを図3に示すように積層し、加熱ロー
ラーを通して積層化し電極群を作製した。
に浸漬し、DBPを抽出除去し、アルミ箔を中間の一層
に用いその両側にポリオレフィン樹脂をラミネートした
ラミネートケースに挿入した後、電解液を注液し、公称
容量500mAhの本発明の電池を得た。ここで、電解
液はLiPF6をエチレンカーボネートとエチルメチル
カーボネートの混合溶液に溶解したものを用いた。
熱処理した以外は、実施例1と同様にして導電層を作製
した。
乾燥した後、恒温槽で熱処理を行わなかった以外は、実
施例1と同様にして導電層を作製した。
ーストをダイコーターでアルミニウム製エキスパンドメ
タルからなる正極集電体5および銅製のエキスパンドメ
タルからなる負極集電体8の両面に均一に塗布し、10
0℃で溶媒を乾燥除去して導電層を被覆し、その後の熱
処理は行わない集電体を作製した以外は、実施例5と同
様にして、比較例3の電池を作製した。
4および比較例1、比較例2で作製した導電層の膨潤度
評価を次のような方法にて評価した。各導電層を直径3
0mmの大きさに打抜き、質量を測定(W1(g))
後、LiPF6をエチレンカーボネートとエチルメチル
カーボネートの混合溶液に溶解させて調製した電解液に
85℃で1週間浸漬した。浸漬後の導電層の重量(W2
(g))を測定し、次の式により膨潤度を求めた結果を
図4に示す。
2の膜はほとんど元の形状を保っていないほど膨潤して
おり、測定値に誤差を含んでいると思われるが、膨潤度
は著しく高いことが分かる。また、導電層形成後の熱処
理温度が高いほど、塗膜の膨潤度は低下することがわか
る。本実施例に用いたPVDFの結晶化温度は熱分析に
より137℃であることが分かっており、本結果は導電
層をPVDFの結晶化温度Tc(℃)より20℃低い温
度以上で熱処理することで、導電層の膨潤を最小限に抑
えることができることが分かった。
はないと推測されるが、高温熱処理による金属集電体の
酸化の進行を防ぐため200℃以下が望ましい。また、
連続生産の観点から、導電層を金属集電体のフープ状の
連続体に連続塗布・乾燥形成した後、コイル状に巻き取
った形態で、恒温槽で熱処理しても良い。しかしこのと
き、熱処理温度が結着材の融点を越えると結着材が溶融
し、冷却後に金属集電体同士が結着して活物質層の塗工
時に集電体が巻き出せない問題が生じた。以上のことか
ら、熱処理は結着材の融点以下で行うことが好ましい。
較例3で得られた電池を、20℃、4.2V−CC/C
V(max1CmA(500mA)、0.05CmA
(25mA) cut)の条件で充電し、1CmA(5
00mA)の定電流にて3.0Vの放電終止電圧まで放
電させることを1サイクルとする充放電サイクル特性試
験を行い、図5にその結果を示す。
を用いた比較例3の電池は、充放電サイクルに伴う放電
容量の低下が著しい一方、結晶化処理を行った集電体を
用いた実施例5の電池は放電容量の低下が小さく、充放
電サイクル特性に優れていることが分かる。この結果
は、導電層中の結着材を結晶化処理したため、電解液を
電池内に注入しても導電層が電解液でほとんど膨潤せ
ず、その結果、活物質層と集電体の間の電子伝導性を良
好に保つことができたためである。
られた電池を、20℃、4.2V−CC/CV(max
1CmA(500mA)、0.05CmA(25mA)
cut)の条件で充電し、1CmA(500mA)の
定電流にて3.0Vの放電終止電圧まで放電させて、初
期の放電容量を測定し、その後、さらに前記充電条件で
充電した。本電池を80℃の恒温槽内に1週間保存し、
前記初期の放電容量測定条件で保存後の放電容量を測定
した。また、保存前後の電池の内部抵抗(1KHz交流
抵抗)を測定し、放電容量の測定結果と共に表1に示
す。
を用いた比較例3の電池では、保存後の内部抵抗の増加
および放電容量の低下が著しい一方、結晶化処理を行っ
た集電体を用いた実施例5の電池では、内部抵抗の増加
はほとんど認められず、また放電容量の低下も少なく、
保存特性に優れていることが分かる。この結果は、高温
保存下、すなわち高温の電解液に対して導電層の膨潤を
抑制できたことによるものであり、活物質層と集電体の
間の電子伝導性を良好に保てることがわかる。
次電池およびその製造方法によれば、正極および/また
は負極の集電体表面が導電材と結着材からなる導電層で
被覆、熱処理されているので、導電層が電池内で電解液
に対する膨潤度を低くすることができる。これにより、
充放電サイクル特性および保存特性に優れた高性能な非
水系二次電池を提供することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 正極、負極、非水電解液からなる非水系
二次電池において、前記正極および/または負極の集電
体表面が導電材と結着材からなる導電層で被覆、熱処理
されて、前記導電層中の結着材の結晶化が高められ、非
水電解液に対する膨潤度が30%以下であることを特徴
とする非水系二次電池。 - 【請求項2】 正極、負極、非水電解液からなる非水系
二次電池の製造方法において、前記正極および/または
負極の集電体表面が導電材と結着材からなる導電層で被
覆、熱処理されており、この熱処理温度T(℃)は、結
着材の結晶化温度をTc(℃)、融点をTm(℃)とし
たとき、Tc−20<T<Tmの範囲であることを特徴
とする非水系二次電池の製造方法。 - 【請求項3】 前記結着材は、ポリフッ化ビニリデンま
たはポリフッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共
重合体であることを特徴とする請求項1または請求項2
に記載の非水系二次電池およびその製造方法。
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