JP3348343B2 - 電池用非水電解液及び非水電解液電池 - Google Patents

電池用非水電解液及び非水電解液電池

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用非水電解液
及び非水電解液電池に関し、更に詳しくは、例えば一定
のハロゲン化合物等を支持電解質とした非水電解液を用
いるリチウム二次電池等において、不可避的に介在し得
る少量の水分に起因してハロゲン酸が発生することへの
対策を講じた電池用非水電解液、及びこれを用いた非水
電解液電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム又はその化合物を電極活物質に
用い、そのことから電解液として支持電解質を含む有機
溶媒を利用する非水電解液電池が、例えば電子部品用小
型電源としての一次電池や、電気自動車のバッテリー用
等に向けられる二次電池あるいはリチウムイオン電池等
としてその有用性を注目されている。
【0003】これらの非水電解液電池において、上記の
支持電解質には、例えばハロゲン化合物である LiPF6
等が良く用いられているが、非水である筈の電解液中に
若干の水分が不可避的に混入していたり、あるいは他の
電池材料からの吸着により生じた水分が存在していたり
すると、次の「化1」に示すような反応が起こり、フッ
化水素HFのごときハロゲン酸を発生させる。
【0004】
【化1】
【0005】フッ化水素は電池構成材料を劣化させ、更
に電池性能を劣化させると言う問題がある。更に、前記
「化1」の反応は高温域で促進されることが知られてい
る。このため、例えば、−30°C〜60°Cの温度域での
安定的動作が要求される電気自動車のバッテリー用二次
電池においては特に問題が顕著となり、 LiPF6 を支持
電解質とする非水電解液電池は適用が困難であるとされ
ている。
【0006】そしてこの問題を解決するため、従来、次
のような提案がされている。例えば特開平4−2843
72号公報に記載された非水電解液二次電池の発明にお
いては、 LiPF6 を支持電解質とする非水電解液に対
し、Al2 O3 ,MgO ,BaO から選ばれる酸化物を添加す
ることにより、これらの酸化物が電解液に生じたフッ化
水素を吸着し、反応系外へ除去する、としている。
【0007】又、特開平7−122297号公報に記載
された非水電解液電池の発明においては、 LiPF6 を支
持電解質とする非水電解液に対し、酸無水物(例えば、
無水酢酸)を添加することにより、これらの酸無水物が
電解液中の水を予め捕捉して、前記「化1」の反応を抑
制する、としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平4
−284372号公報に記載の発明については、本件発
明者の追試によれば、電池として現実的に許容し得る添
加量の酸化物によっては、フッ化水素の除去は極めてゆ
っくりと進行するため、フッ化水素の発生速度に追いつ
かない。従って、フッ化水素による電池の劣化等を有効
に防止するに至らない、と言う問題がある。
【0009】一方、前記特開平7−122297号公報
に記載の発明については、酸無水物による脱水効果は高
いが、その結果、酸無水物に起因する酸が発生すること
になり、いわば、ハロゲン酸を他の酸に置換するだけの
ことである。そしてハロゲン酸に対して例えば酢酸等は
相対的に弱酸であるとは言え、やはり電解液や電池缶材
料の劣化をもたらすことに変わりはなく、本質的な解決
になっていない。
【0010】そこで本発明では、水と反応してハロゲン
酸を生じ得る支持電解質を含む電池用の非水電解液、又
はこれを用いた非水電解液電池において、ハロゲン酸に
よる弊害を有効に防止し、しかも上記従来技術のような
二次的な問題も生じさせないことを、その解決すべき技
術的課題とする。
【0011】
【着眼点】本件発明者は、ハロゲン酸の発生原因となる
水分を、無害でかつ反応速度の大きい錯体形成反応によ
って封じ込めることが、上記課題の解決に有効であるこ
とに着眼した。
【0012】
【課題を解決するための手段】
【0013】(第1発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、
水と反応してハロゲン酸を生じ得る支持電解質を含む非
水電解液に、前記水及び支持電解質と相互作用して不活
性な錯体を形成することによりハロゲン酸を生じさせな
い錯体形成化合物を添加した電池用非水電解液である。
【0014】(第2発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、
少なくとも正/負極のいずれかの活物質としてリチウム
又はその化合物を含み、かつ、請求項1に記載の電池用
非水電解液を用いる非水電解液電池である。
【0015】
【発明の作用・効果】第1発明、第2発明において、非
水電解液中に若干の水分が混入していたり、あるいは他
の電池材料からの吸着により生じた水分が存在していた
りしても、これらの水分が錯体形成化合物により不活性
な錯体中に封じ込められる。
【0016】平衡反応であるハロゲン酸の生成とは異な
り、一般に錯体形成反応は不可逆性が強いため、前記
「化1」の反応よりも錯体形成反応が優先して起こる。
このため、ハロゲン酸の生成が有効に阻止される。
【0017】そして、錯体形成反応の一般的特徴として
反応速度が速いため、特開平4−284372号公報に
記載の発明のような反応速度の不足による不具合がな
く、又、本発明においては特開平7−122297号公
報に記載の発明のように二次的に他の有害物質を生ずる
と言う不具合もない。
【0018】以上のことから、本発明に係る電池用非水
電解液あるいは非水電解液電池においては、水と反応し
てハロゲン酸を生じ得る支持電解質を用いているにも関
わらず、非水電解液に水が混入しても、電池構成材料の
劣化や電池性能の劣化が阻止される。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、第1発明、第2発明の実施
の形態について説明する。
【0020】〔1.本発明の対象〕原則として、水と反
応してハロゲン酸を生じ得る支持電解質を含む電池用非
水電解液及びこれを用いた非水電解液電池は、全て本発
明の対象となり得る。現在のところ、非水電解液電池
は、少なくとも正/負極のいずれかの電極活物質として
リチウム又はその化合物を用いる、いわゆる「リチウム
電池」が殆どを占めている。
【0021】本発明の対象であるこのようなリチウム電
池の2,3の例として、負極にリチウムを用いると共に
正極には二酸化マンガン,フッ化亜鉛,酸化銅あるいは
塩化チオニル等を用いるリチウム乾電池(一次電池)、
負極にリチウム又はその合金を含むと共に正極には活性
炭,二硫化チタンあるいは二硫化モリブデン等を用いる
リチウム蓄電池(二次電池)、負極にリチウムイオンを
吸蔵・放出できる炭素材料を用いると共に正極にリチウ
ム遷移金属化合物を用いるリチウムイオン電池、等を挙
げることができる。
【0022】なお、上記のようなリチウム電池でなくて
も、前記本発明の課題が生じ得る限りにおいて、本発明
の対象たる電池用非水電解液、非水電解液電池である。
【0023】〔2.支持電解質〕支持電解質とは、電池
用非水電解液において、電解液の導電率を高めて電池の
充電と放電を効率的に行うと言う目的で添加された物質
を言う。良く知られた支持電解質に LiPF6 や LiBF4
あるが、本発明ではこれらに限定されず、他にも、例え
ば LiAsF6のように、水と僅かに反応してフッ化水素の
ようなハロゲン酸を生じ得る支持電解質一般が含まれ
る。
【0024】〔3.電池用非水電解液における有機溶
媒〕支持電解質との特段のミスマッチングがない限りに
おいて、有機溶媒の種類には限定がない。その2,3の
例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカ
ーボネート(PC)、ジエチルカーボネート( DEC)、ジ
メチルカーボネート、ジメトキシエタン、γブチロラク
トン等や、これらの二種以上の混合溶媒を使用できる。
【0025】〔4.錯体形成化合物〕本発明の錯体形成
化合物は、水及び前記支持電解質と反応して不活性な錯
体を形成するものを言う。その代表的なものは、次の
「化2」に示すカルボジイミド化合物である。
【0026】
【化2】
【0027】上記の「化2」において、R1 ,R2 は、
それぞれ、水素原子又は炭化水素基を示し、R1 とR2
が同一であっても良く、互いに異なっていても良い。こ
こに「炭化水素基」とは、飽和又は不飽和の、鎖状,分
岐状あるいは環状(芳香族を含む)の炭化水素基を含
む。
【0028】本発明の錯体形成化合物が「化2」に示す
カルボジイミド化合物である場合には、その錯体形成メ
カニズムは、次のようなものである、と推測される。
【0029】即ち、カルボジイミド化合物がない場合に
は、 LiPF6 のイオン解離により生じたPF6負イオンが
水と反応して前記「化1」のようにHFを遊離するが、カ
ルボジイミド化合物が存在すると、ジイミド結合部−N
=C=N−の二重結合部が水分子と弱く水素結合し、そ
れらにPF6負イオンが電気的に結合した錯体が形成さ
れ、このためにHFを生じさせない、と考えられる。
【0030】以上の錯体形成メカニズムにおいて、R1
,R2 は錯体形成に直接には関与しないが、カルボジ
イミド化合物の非水電解液への溶解性を確保することに
よって錯体の形成を容易にする、と言う働きを持つ。こ
の理由から、炭素数が3〜8のアルキル基あるいはシク
ロアルキル基であることが、より好ましい。その具体例
として、例えば以下のものがある。
【0031】それぞれ直鎖状のプロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、及
びこれらに対するiso-,sec-,tert- 等の関係にある全
ての構造異性体の基。
【0032】シクロヘキシル基、(シクロヘキシル)メ
チル基、メチル側鎖が任意の置換位置にあるメチルシク
ロヘキシル基、メチル側鎖が任意の置換位置にあるジメ
チルシクロヘキシル基あるいは((メチル)シクロヘキ
シル)メチル基、エチル側鎖が任意の置換位置にあるエ
チルシクロヘキシル基。
【0033】又、R1 ,R2 は不飽和のフェニル基、ナ
フチル基、ビニル基等であっても良く、炭素数3〜8以
外のアルキル基あるいはシクロアルキル基であっても良
い。更にR1 ,R2 の一方が炭素数3〜8のアルキル基
あるいはシクロアルキル基であって他方が不飽和のフェ
ニル基、ナフチル基、ビニル基等や炭素数3〜8以外の
アルキル基あるいはシクロアルキル基もしくは水素原子
であっても良い。
【0034】これらの錯体形成化合物は、単一種類のも
のを用いても、二種類以上のものを併用しても良い。カ
ルボジイミド化合物は、非水電解液中の水分量が通常は
約30 ppmであると言う理由から、非水電解液重量に対し
て30 ppm以上を添加することが好ましい。逆に、電解液
自体の導電率を下げると言う理由から、10,000ppm を超
える添加は無意味、あるいは好ましくない。
【0035】以上のような本発明の錯体形成化合物を添
加する方法には限定がなく、例えば電池組付け前に非水
電解液に添加しても、電池組付け後の封缶前に電池容器
内に直接添加しても良い。非水電解液に添加した錯体形
成化合物の分散状態には別段の限定がない。
【0036】〔5.非水電解液電池の正極〕正極の構成
は、本発明の構成の主要部ではないから、本発明の構成
の主要部と矛盾しない限りにおいて、何ら限定なく公知
のあるいは任意の構成を採用することができる。
【0037】例えば非水電解液電池がリチウムイオン電
池である場合には、正極の活物質としてLiCoO2 ,LiNiO
2 ,LiMn2 O4 等の少なくとも一種と、導電助剤及びバ
インダとを混合溶剤にてペースト状にした合剤を、正極
集電体であるアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、
ロールプレス機にて圧縮成形すると言う手法を用いるこ
ともできる。
【0038】〔6.非水電解液電池の負極〕負極の構成
は、本発明の構成の主要部ではないから、本発明の構成
の主要部と矛盾しない限りにおいて、何ら限定なく公知
のあるいは任意の構成を採用することができる。
【0039】例えば非水電解液電池がリチウムイオン電
池である場合には、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放
出できる易黒鉛化炭素,難黒鉛化炭素,黒鉛化材料等の
任意の炭素材料を使用できる。そしてこれらの負極活物
質の少なくとも一種とバインダとを混合溶剤にてペース
ト状にした合剤を、負極集電体である銅箔の両面に塗布
し、乾燥後、ロールプレス機にて圧縮成形すると言う手
法を用いることもできる。
【0040】上記の、非水電解液電池がリチウムイオン
電池である場合における正極、負極のそれぞれの構成
は、そのいずれか一方を、金属リチウムに置き換えるこ
ともできる。
【0041】〔7.非水電解液電池の構成〕電池の全体
的構成は、本発明の構成の主要部ではないから、本発明
の構成の主要部と矛盾しない限りにおいて、何ら限定な
く公知のあるいは任意の構成を採用することができる。
【0042】例えば電池形状については、円筒型、角型
等にすることができる。円筒型電池にする場合には、正
極と負極とをセパレータを介して対向させ、円筒状に巻
回し、これを電池缶に入れ電解液を注入すると言う一般
的な方法を採用することもできる。
【0043】
【実施例】次に、第1発明及び第2発明の実施例につい
て説明する。
【0044】〔実施例1〕三菱化学製の電解液(1mol/
L のLiPF6 /EC+PC+DEC(3:1:2))50mlに対して、500pp
mのイオン交換蒸留水と、その 1.4倍モルの N,N'-ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(和光純薬工業製。以下、
「 DCC」と言う)を加えて、サンプルびんに密封した。
その試料3例を、それぞれ室温下に30分、1日、7日間
放置した後、試料電解液中の酸量を 0.1mol/L のNaOH水
溶液(和光純薬工業製)で中和滴定法により定量した。
【0045】一方、比較のために、上記電解液に500ppm
のイオン交換蒸留水を加えたが DCCは添加しなかった例
についても、同様にして定量を行った。
【0046】これらの結果を表1に示す。なお、表1中
の数値の単位は、ミリモル/Lである。本実施例におい
ては、表1より明らかなように、 DCCの添加によりフッ
酸の発生を抑制することができ、しかも放置時間の長短
による相対評価においてフッ酸の経時的増量が見られな
かった。
【0047】
【表1】
【0048】〔実施例2〕実施例1における DCCの添加
量を、500ppmのイオン交換蒸留水に対する 0.3倍モルに
変えた点以外は全て実施例1と同じ条件で行った。表1
に示すその結果より、やはり DCCの添加によりフッ酸の
発生を抑制することができ、しかも放置時間の長短によ
る相対評価においてフッ酸の経時的増量が見られなかっ
た。
【0049】〔実施例3〕実施例1における DCCに代え
て、 N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(和光純薬工
業製。以下、「 DIC」と言う)を DCCと等モル量添加し
た点以外は全て実施例1と同じ条件で行った。表1に示
すその結果より、 DICの添加によりフッ酸の発生を抑制
することができ、しかも放置時間の長短による相対評価
においてフッ酸の経時的増量が見られなかった。
【0050】〔比較例1〕特開平4−284372号公
報に記載の発明における金属酸化物のフッ酸抑制効果を
追試した。即ち、実施例1における DCCに代えて、電解
液の 0.5重量%のBaO(和光純薬工業製)を懸濁させ、
その他の点は全て実施例1と同じ条件で行った。表1に
示すその結果より、 BaOの添加によりフッ酸の発生を抑
制することができず、効果が認められなかった。
【0051】〔比較例2〕特開平7−122297号公
報に記載の発明における酸無水物の酸抑制効果を追試し
た。即ち、実施例1における DCCに代えて、これと等モ
ル量の無水酢酸(和光純薬工業製)を添加し、その他の
点は全て実施例1と同じ条件で行った。表1に示すその
結果より、無水酢酸の添加により酸の発生を抑制するこ
とができず、効果が認められなかった。この結果は、フ
ッ酸の発生は抑制されたかも知れないが、代わりに酢酸
が発生したためであると考えられる。
【0052】〔実施例4〕LiMn2 O4 (三井金属工業
製)18.5重量部、アセチレンブラック(東海カーボン
製) 1.5重量部、ポリフッ化ビニリデン粉末(クレハ化
学製) 8重量部、N-メチルピロリドン(和光純薬工業
製)72重量部を十分混合することにより、スラリーを得
た。
【0053】このスラリーを、アプリケータを用いて厚
さ20μm のアルミ箔(正極集電体)上に塗布し、乾燥プ
レスして、両面に LiMn2 O4 を塗布した厚さ 160μm の
正極材料を得た。
【0054】一方、黒鉛(大阪ガス製のMCMB) 100重量
部に対して、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN-メ
チルピロリドン 100重量部に溶解した溶液 100重量部を
十分混合することにより、スラリーを得た。このスラリ
ーを、アプリケータを用いて厚さ10μm の銅箔(負極集
電体)上に塗布し、乾燥プレスして、両面に炭素材料を
塗布した厚さ 100μm の負極材料を得た。
【0055】そして、上記正極材料を直径15mmの円盤状
に打ち抜いたものを正極に、上記負極材料を直径17mmの
円盤状に打ち抜いたものを負極に、更にポリエチレンセ
パレータ(東燃化学製)を直径19.5mmの円盤状に打ち抜
いたものをセパレータに用いて、正極と負極をセパレー
タを介して対向させたコイン型電池を作成した。
【0056】上記電池に、電解液として、三菱化学製の
1mol/L のLiPF6 /EC+DEC(1:1)にイオン交換蒸留水500
ppmとその 1.4倍モルの DCCを加えて60°Cで96時間加
熱したものを、注入した。そして封缶して本例の試作電
池とした。
【0057】上記本例及び比較用の試作電池について1
mA/cm2 の定電流定電圧で電池電圧が 4.2Vになるまで
充電し(充電時間は6時間)、続いて 0.5mA/cm2 の定
電流で電池電圧が 3.0Vになるまでの放電を行う、と言
う充・放電過程を1サイクルとして、これを繰り返すこ
とによりサイクル劣化試験を行った。
【0058】その結果は図1に示す通りであり、 DCCの
添加によって電池のサイクル特性が著しく改善されたこ
とが分かる。
【0059】〔実施例5〕実施例4における DCC添加例
と、比較用の DCC非添加例とにつき、電解液に加えるイ
オン交換蒸留水を 1500ppmに増量させた点以外は全て同
じ条件で電池を試作し、サイクル劣化試験を行った。
【0060】その結果は図2に示す通りであり、やはり
DCCの添加によって電池のサイクル特性が著しく改善さ
れている。更に、本例に比べて水の添加量が少ない実施
例4の DCC添加例と比較しても、遜色がないことが分か
る。
【0061】〔実施例6〕直径15mmの円盤状に打ち抜い
た炭素材料正極(実施例4の負極と同じ構成のもの)
と、直径17mmの円盤状に打ち抜いた金属リチウム(林化
成製)の負極を用い、 DCCの添加量を 3.6ミリモル/Lと
して、その他の点は実施例4と同一である電池を試作し
た。これとは別に、 DCCを加えない点以外は同一である
比較用の試作電池も構成した。
【0062】上記本例及び比較用の試作電池について充
放電試験を行った。充電条件を 0.5mA/cm2 の定電流充
電で終止電圧を 1.5Vとし、又、放電条件は 0.5mA/cm2
の定電流放電で終止電圧を0Vとした。その結果は図
3に示す通りであり、 DCCの添加によって電池の容量が
著しく改善されたことが分かる。
【0063】〔実施例7〕実施例4における DCC添加例
と比較用の DCC非添加例とにつき、電解液を富山薬品工
業製の1mol/L のLiBF4 /EC+DEC(1:1)に替えた以外は
全て同じ条件で電池を試作し、サイクル劣化試験を行っ
た。
【0064】その結果は図4に示す通りであり、 DCCの
添加により電池のサイクル特性が効果的に改善されてい
る。このことから、LiBF4を支持電解質に用いた電
解液の場合でも DCCの添加が有効であることが分かっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例及び比較例の充・放電サイクル特性を
示す図である。
【図2】本発明例及び比較例の充・放電サイクル特性を
示す図である。
【図3】本発明例及び比較例の電池容量を示す図であ
る。
【図4】本発明例及び比較例の充・放電サイクル特性を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−335255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/40 H01M 6/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と反応してハロゲン酸を生じ得る支持
    電解質を含む非水電解液に、前記水及び支持電解質と相
    互作用して不活性な錯体を形成することによりハロゲン
    酸を生じさせない錯体形成化合物である下記「化3」に
    示すカルボジイミド化合物を添加したことを特徴とする
    電池用非水電解液。 【化3】 (上記「化3」において、R1 ,R2 はそれぞれ水素原
    子又は炭化水素基を示し、R1 とR2 が同一であっても
    良く、互いに異なっていても良い。ここに「炭化水素
    基」とは、飽和又は不飽和の、鎖状,分岐状あるいは環
    状(芳香族を含む)の炭化水素基を含む。)
  2. 【請求項2】 少なくとも正/負極のいずれかの活物質
    としてリチウム又はその化合物を含み、かつ、請求項1
    に記載の電池用非水電解液を用いることを特徴とする非
    水電解液電池。
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