JP7107491B2 - 電池用非水電解液及びリチウム二次電池 - Google Patents

電池用非水電解液及びリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本開示は、電池用非水電解液及びリチウム二次電池に関する。
電池用非水電解液を含む電池(例えばリチウム二次電池)の性能を改善するために、電池用非水電解液に対し、種々の添加剤を含有させることが行われている。
例えば、特許文献1には、非水電解液電池において、水の混入に基づくハロゲン酸の発生を防止して、電池の劣化を防ぐことを目的とし、水との反応によりハロゲン酸を生じ得る支持電解質を含む電池用非水電解液又はこれを用いた非水電解液電池において、水をトラップして安定で無害な錯体を生成する錯体形成化合物を添加することが開示されている。
また、特許文献2には、長期間保存した場合でも自己放電が起こりにくく、保存特性に優れる電池として、正極と、リチウムを活物質とする負極と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートよりなる群から選ばれた少なくとも
一種の高誘電率溶媒を含有する溶媒にトリフルオロメタンスルホン酸リチウム又はヘキサフルオロリン酸リチウムを溶かしてなる非水電解液と、セパレータとを備える非水電解液電池であって、前記非水電解液が、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、アニリン、トリメチルヒドロキシルアミン、1-ジメチルアミノ-2-メトキシエタン、アセトニトリル、アクリロニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタ
ン、ニトロエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N,N' -ジメチルイミダゾリジノン、イソキサゾール、3,5-ジメチルイソキサゾール、3-メチル-2-オキサゾリドン、1,2,3-オキサジアゾール、N-メチルモルホリン、ジメチルスルフィド、エチルメチルスルフィド、2-メチルチオフェン、1-ブタンチオール、ベンゼンチオール、ジメチルサルフェート、ジエチルサルフェート、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、ブタジエンスルホン、3-メチルスルホレン、1,4-チオキサン、フェノキサチイン、1,4-チアジン、チオモルホリン、ピリジン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホネート及びジメチルスルフィナイトよりなる群から選ばれた少なくとも1種の添加剤を1~20体積%含有することを特徴とする非水電解液電池が開示されている。
特開平10-294129号公報 特開平8-321312号公報
本開示の一態様の課題は、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む電解質を含有する非水電解液であって、水が混入した場合におけるフッ化水素の生成が抑制される電池用非水電解液を提供することである。
本開示の別の一態様の課題は、水が混入した場合における容量の低下が抑制されるリチウム二次電池を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む電解質と、
非水溶媒と、
孤立電子対を有する窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤Aと、
を含有する電池用非水電解液。
<2> 前記添加剤Aが、下記式(A1)で表される化合物及び下記式(A2)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である<1>に記載の電池用非水電解液。
Figure 0007107491000001
式(A1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。
式(A2)中、R21~R23は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。
<3> 前記式(A1)中、R11及びR12が、それぞれ独立に、イソプロピル基又はシクロヘキシル基であり、
前記式(A2)中、R21~R23が、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基である<2>に記載の電池用非水電解液。
<4> 前記添加剤Aが、前記式(A1)で表される化合物を含み、かつ、前記式(A1)で表される化合物の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.15質量%であるか、又は、
前記添加剤Aが、前記式(A2)で表される化合物を含み、かつ、前記式(A2)で表される化合物の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.30質量%である<2>又は<3>に記載の電池用非水電解液。
<5> 前記添加剤Aの含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.30質量%である<1>~<4>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
<6> 更に、下記式(B)で表される化合物である添加剤Bを含有する<1>~<5>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液。
Figure 0007107491000002
式(B)中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。
<7> 前記添加剤Bの含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である<6>に記載の電池用非水電解液。
<8> 正極と、
金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
<1>~<7>のいずれか1つに記載の電池用非水電解液と、
を備えるリチウム二次電池。
<9> 前記正極が、正極集電体と、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、
前記正極活物質が、式(P1)で表される化合物を含む<8>に記載のリチウム二次電池。
LiNiMnCo … (P1)
〔式(P1)中、x、y及びzは、それぞれ独立に、0超1.00未満であり、かつ、x、y及びzの合計は、0.99~1.00である。〕
<10> 前記正極活物質層の全固形分に占める前記式(P1)で表される化合物の割合が、70質量%以上である<9>に記載のリチウム二次電池。
<11> <8>~<10>のいずれか1つに記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
本開示の一態様によれば、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む電解質を含有する非水電解液であって、水が混入した場合におけるフッ化水素の生成が抑制される電池用非水電解液が提供される。
本開示の別の一態様によれば、水が混入した場合における容量の低下が抑制されるリチウム二次電池が提供される。
本開示のリチウム二次電池の一例である、ラミネート型電池の一例を示す概略斜視図である。 図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の、厚さ方向の概略断面図である。 本開示のリチウム二次電池の別の一例である、コイン型電池の一例を示す概略断面図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔電池用非水電解液〕
本開示の電池用非水電解液(以下、単に「非水電解液」ともいう)は、ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む電解質と、非水溶媒と、孤立電子対を有する窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤Aと、を含有する。
本開示の非水電解液によれば、水が混入した場合におけるフッ化水素の生成が抑制されるという効果が奏される。かかる効果が奏される理由は、以下のように推測される。
一般的に、非水電解液は、非水系の液体であり、水が混入しないように管理されている。しかし、場合によっては、非水電解液に水が混入する場合がある。
電解質であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含有する非水電解液に水が混入した場合には、水との反応によってLiPFが分解され、フッ化水素(HF)が生成される場合がある。この場合のHFの生成反応は、以下の反応式に従って進行すると考えられる。
LiPF+HO→LiF・HF+HF+POF
上述した問題に対し、本開示の非水電解液には、孤立電子対を有する窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤Aが含有されている。
本開示の非水電解液を用いた場合には、非水電解液に混入した水が、添加剤Aにおける孤立電子対によってトラップされることにより、上記HFの生成反応が抑制されると考えられる。
また、非水電解液への水の混入によりフッ化水素が生成された場合、この非水電解液を用いた電池において、フッ化水素が電池の電極と反応し、その結果、電池の容量が低下する場合がある。
本開示の非水電解液では、フッ化水素の生成が抑制されるので、電池の容量の低下も抑制される。
以下、本開示の非水電解液に含有され得る各成分について説明する。
<電解質>
本開示の非水電解液は、電解質を含有する。
電解質は、LiPFを含む。
電解質中に占めるLiPFの比率は、好ましくは1質量%~100質量%、より好ましくは10質量%~100質量%、さらに好ましくは50質量%~100質量%である。
本開示の非水電解液における電解質の濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
また、本開示の非水電解液におけるLiPFの濃度は、0.1mol/L~3mol/Lが好ましく、0.5mol/L~2mol/Lがより好ましい。
電解質は、LiPF以外の化合物を含んでいてもよい。
LiPF以外の化合物としては;
(CNPF、(CNBF、(CNClO、(CNAsF、(CSiF、(CNOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、(CNPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)などのテトラアルキルアンモニウム塩;
LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO(2k+1)(k=1~8の整数)、LiPF[C(2k+1)(6-n)(n=1~5、k=1~8の整数)、LiC(SO)(SO)(SO)、LiN(SOOR10)(SOOR11)、LiN(SO12)(SO13)(ここでR~R13は互いに同一でも異なっていてもよく、フッ素原子又は炭素数1~8のパーフルオロアルキル基である)等のリチウム塩(即ち、LiPF以外のリチウム塩);
等が挙げられる。
<非水溶媒>
本開示の非水電解液は、非水溶媒を含有する。
非水電解液に含有される非水溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
非水溶媒としては、種々公知のものを適宜選択することができる。
非水溶媒としては、例えば、特開2017-45723号公報の段落0069~0087に記載の非水溶媒を用いることができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物を含むことが好ましい。
この場合、非水溶媒に含まれる環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物は、それぞれ、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
環状カーボネート化合物としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、2,3-ペンチレンカーボネート等が挙げられる。
これらのうち、誘電率が高い、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好適である。黒鉛を含む負極活物質を使用した電池の場合は、非水溶媒は、エチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
鎖状カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、メチルペンチルカーボネート、エチルペンチルカーボネート、ジペンチルカーボネート、メチルヘプチルカーボネート、エチルヘプチルカーボネート、ジヘプチルカーボネート、メチルヘキシルカーボネート、エチルヘキシルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、メチルオクチルカーボネート、エチルオクチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、等が挙げられる。
環状カーボネートと鎖状カーボネートの組み合わせとして、具体的には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートなどが挙げられる。
環状カーボネート化合物と鎖状カーボネート化合物の混合割合は、質量比で表して、環状カーボネート化合物:鎖状カーボネート化合物が、例えば5:95~80:20、好ましくは10:90~70:30、更に好ましくは15:85~55:45である。このような比率にすることによって、非水電解液の粘度上昇を抑制し、電解質の解離度を高めることができるため、電池の充放電特性に関わる非水電解液の伝導度を高めることができる。また、電解質の溶解度をさらに高めることができる。よって、常温または低温での電気伝導性に優れた非水電解液とすることができるため、常温から低温での電池の負荷特性を改善することができる。
非水溶媒は、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物以外のその他の化合物を含んでいてもよい。
この場合、非水溶媒に含まれるその他の化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の化合物としては、環状カルボン酸エステル化合物(例えばγブチロラクトン)、環状スルホン化合物、環状エーテル化合物、鎖状カルボン酸エステル化合物、鎖状エーテル化合物、鎖状リン酸エステル化合物、アミド化合物、鎖状カーバメート化合物、環状アミド化合物、環状ウレア化合物、ホウ素化合物、ポリエチレングリコール誘導体、等が挙げられる。
これらの化合物については、特開2017-45723号公報の段落0069~0087の記載を適宜参照できる。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。
非水溶媒中に占める、環状カーボネート化合物及び鎖状カーボネート化合物の割合は、100質量%であってもよい。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。
非水電解液中に占める非水溶媒の割合の上限は、他の成分(添加剤A、電解質、等)の含有量にもよるが、上限は、例えば99質量%であり、好ましくは97質量%であり、更に好ましくは90質量%である。
<添加剤A>
本開示の非水電解液は、添加剤Aを含有する。
添加剤Aは、孤立電子対を有する窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
添加剤Aの含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%~0.30質量%である。
添加剤Aは、下記式(A1)で表される化合物及び下記式(A2)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これにより、本開示の非水電解液による効果(即ち、非水電解液に水分が混入した場合において、LiPFの分解及び酸分の生成を抑制する効果)がより効果的に奏される。
-式(A1)で表される化合物-
Figure 0007107491000003
式(A1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。
式(A1)中、R11又はR12で表される炭素数1~12のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐構造及び環状構造の少なくとも一方を有するアルキル基であってもよいが、分岐構造及び環状構造の少なくとも一方を有するアルキル基であることが好ましい。
式(A1)中、R11又はR12で表される炭素数1~12のアルキル基の炭素数は、好ましくは2~10であり、より好ましくは3~8である。
式(A1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、又はジメチルシクロヘキシル基であることが好ましく、イソプロピル基又はシクロヘキシル基であることがより好ましい。
式(A1)で表される化合物としては、
N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC;R11及びR12がいずれもイソプロピル基である化合物)、又は、
N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;R11及びR12がいずれもシクロヘキシル基である化合物)
が特に好ましい。
添加剤Aが、式(A1)で表される化合物を含む場合、式(A1)で表される化合物の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%~0.15質量%であり、より好ましくは0.05質量%~0.15質量%である。
-式(A2)で表される化合物-
Figure 0007107491000004
式(A2)中、R21~R23は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。
式(A2)中、R21~R23で表される炭素数1~12のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐構造及び環状構造の少なくとも一方を有するアルキル基であってもよい。
式(A2)中、R21~R23で表される炭素数1~12のアルキル基の炭素数は、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3であり、更に好ましくは1又は2である。
式(A2)で表される化合物としては、トリメチルアミン(TMA;R21~R23がいずれもメチル基である化合物)又はトリエチルアミン(TEA;R21~R23がいずれもエチル基である化合物)が特に好ましい。
添加剤Aが、式(A2)で表される化合物を含む場合、式(A2)で表される化合物の含有量は、非水電解液の全量に対し、好ましくは0.01質量%~0.30質量%であり、より好ましくは0.10質量%~0.30質量%であり、更に好ましくは0.15質量%~0.25質量%である。
<添加剤B>
本開示の非水電解液は、更に、下記式(B)で表される化合物である添加剤Bを含有することが好ましい。
これにより、本開示の非水電解液による上述した効果がより効果的に奏される。
Figure 0007107491000005
式(B)中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。
式(B)で表される化合物としては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、ブロピルビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、ジプロピルビニレンカーボネートなどが例示される。
これらのうちでビニレンカーボネート(式(B)中、Rb1及びRb2がいずれも水素原子である化合物)が特に好ましい。
本開示の非水電解液が添加剤Bを含有する場合、添加剤Bの含有量は、非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.001質量%~5質量%がより好ましく、0.001質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.01質量%~3質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~2質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~1質量%であることが更に好ましく、0.1質量%~0.5質量%であることが更に好ましい。
〔リチウム二次電池〕
本開示のリチウム二次電池は、正極と、負極と、本開示の非水電解液と、を備える。
本開示のリチウム二次電池によれば、リチウム二次電池内の非水電解液に水が混入した場合においても、容量の低下が抑制されるという効果が奏される。
(負極)
負極は、負極集電体と、負極活物質を含む負極活物質層と、を備えることが好ましい。
負極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
負極集電体の材質の具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工しやすさの点から特に銅が好ましい。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属もしくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれた少なくとも1種(単独で用いてもよいし、これらの2種以上を含む混合物を用いてもよい)を用いることができる。
リチウム(又はリチウムイオン)との合金化が可能な金属もしくは合金としては、シリコン、シリコン合金、スズ、スズ合金などを挙げることができる。
また、負極活物質としては、チタン酸リチウムも挙げられる。
これらの中でもリチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素材料が好ましい。このような炭素材料としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、非晶質炭素材料、等が挙げられる。上記炭素材料の形態は、繊維状、球状、ポテト状、フレーク状いずれの形態であってもよい。
上記非晶質炭素材料として具体的には、ハードカーボン、コークス、1500℃以下に焼成したメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが例示される。
上記黒鉛材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。人造黒鉛としては、黒鉛化MCMB、黒鉛化MCFなどが用いられる。また、黒鉛材料としては、ホウ素を含有するものなども用いることができる。また、黒鉛材料としては、金、白金、銀、銅、スズなどの金属で被覆したもの、非晶質炭素で被覆したもの、非晶質炭素と黒鉛を混合したものも使用することができる。
これらの炭素材料は、1種類で使用してもよく、2種類以上混合して使用してもよい。
上記炭素材料としては、特にX線解析で測定した(002)面の面間隔d(002)が0.340nm以下の炭素材料が好ましい。また、炭素材料としては、真密度が1.70g/cm以上である黒鉛又はそれに近い性質を有する高結晶性炭素材料も好ましい。以上のような炭素材料を使用すると、電池のエネルギー密度をより高くすることができる。
負極活物質は、黒鉛材料を含むことが特に好ましい。
これにより、本開示の非水電解液による効果がより効果的に奏される。
負極活物質層は、負極活物質以外の成分を含んでいてもよい。
負極活物質以外の成分としては、バインダーが挙げられる。
バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース、SBRラテックス等が挙げられる。
負極活物質層は、負極活物質と溶媒とを含む負極合剤スラリーを、負極集電体上に塗布し、乾燥させることによって形成され得る。
負極合剤スラリーは、負極活物質以外の成分(例えばバインダー)を含んでいてもよい。
負極合剤スラリーにおける溶媒としては、例えば、水が挙げられる。
負極活物質層の全固形分に占める負極活物質の割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
負極活物質層の全固形分に占める負極活物質の割合は、100質量%であってもよい。
ここで、負極活物質層の全固形分とは、負極活物質層に溶媒が残存している場合には、負極活物質層から溶媒を除いた全量を意味し、負極活物質層に溶媒が残存していない場合には、負極活物質層の全量を意味する。
負極活物質層の全固形分に占める黒鉛材料の割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
負極活物質層の全固形分に占める黒鉛材料の割合は、100質量%であってもよい。
(正極)
正極は、正極集電体と、正極活物質を含む負極活物質層と、を備えることが好ましい。
正極集電体の材質には特に制限はなく、公知のものを任意に用いることができる。
正極集電体の材質の具体例としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、タンタルなどの金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパーなどの炭素材料;等が挙げられる。
正極活物質としては、
MoS、TiS、MnO、Vなどの遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物;
LiCoO、LiMnO、LiMn、LiNiO、LiNiCo(1-X)〔0<X<1〕、α-NaFeO型結晶構造を有するLi1+αMe1-α(Meは、Mn、Ni及びCoを含む遷移金属元素、1.0≦(1+α)/(1-α)≦1.6)、下記式(P1)で表される化合物、LiFePO、LiMnPOなどの、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物;
ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール、ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料;
等が挙げられる。
正極活物質は、リチウムと遷移金属とからなる複合酸化物を含むことが好ましく、下記式(P1)で表される化合物を含むことがより好ましい。
LiNiMnCo … (P1)
〔式(P1)中、x、y及びzは、それぞれ独立に、0超1.00未満であり、かつ、x、y及びzの合計は、0.99~1.00である。〕
式(P1)中、xは、好ましくは0.10~0.90であり、より好ましくは0.20~0.70であり、更に好ましくは0.30~0.60である。
式(P1)中、yは、好ましくは0.10~0.90であり、より好ましくは0.10~0.50であり、更に好ましくは0.20~0.40である。
式(P1)中、zは、好ましくは0.10~0.90であり、より好ましくは0.10~0.50であり、更に好ましくは0.20~0.40である。
式(P1)で表される化合物としては、LiNi0.33Mn0.33Co0.33、又は、LiNi0.5Mn0.3Co0.2が好ましい。
正極活物質層は、正極活物質以外の成分を含んでいてもよい。
正極活物質以外の成分としては、導電性助剤、バインダー、等が挙げられる。
導電性助剤としては、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、アモルファスウィスカー、グラファイトなどの炭素材料が挙げられる。
バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
正極活物質層は、正極活物質と溶媒とを含む正極合剤スラリーを、正極集電体上に塗布し、乾燥させることによって形成され得る。
正極合剤スラリーは、正極活物質以外の成分(例えば、導電性助剤、バインダー等)を含んでいてもよい。
正極合剤スラリーにおける溶媒としては、例えば、N-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。
正極活物質層の全固形分に占める正極活物質の割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
正極活物質層の全固形分に占める正極活物質の割合は、100質量%であってもよい。
ここで、正極活物質層の全固形分とは、正極活物質層に溶媒が残存している場合には、正極活物質層から溶媒を除いた全量を意味し、正極活物質層に溶媒が残存していない場合には、正極活物質層の全量を意味する。
正極活物質層の全固形分に占める式(P1)で表される化合物の割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
正極活物質層の全固形分に占める式(P1)で表される化合物の割合は、100質量%であってもよいし、100質量%未満であってもよい。
(セパレータ)
本開示のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを含むことが好ましい。
セパレータは、正極と負極とを電気的に絶縁し且つリチウムイオンを透過する膜であって、多孔性膜や高分子電解質が例示される。
多孔性膜としては微多孔性高分子フィルムが好適に使用され、材質としてポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。
特に、多孔性ポリオレフィンが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、又は多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされてもよい。
高分子電解質としては、リチウム塩を溶解した高分子や、電解液で膨潤させた高分子等が挙げられる。
本開示の非水電解液は、高分子を膨潤させて高分子電解質を得る目的で使用してもよい。
(電池の構成)
本開示のリチウム二次電池は、種々公知の形状をとることができ、円筒型、コイン型、角型、ラミネート型、フィルム型その他任意の形状に形成することができる。
なお、電池の基本構造は、形状によらず同じであり、目的に応じて設計変更を施すことができる。
本開示のリチウム二次電池の例として、ラミネート型電池が挙げられる。
図1は、本開示のリチウム二次電池の一例であるラミネート型電池の一例を示す概略斜視図であり、図2は、図1に示すラミネート型電池に収容される積層型電極体の厚さ方向の概略断面図である。
図1に示すラミネート型電池は、内部に非水電解液(図1中では不図示)及び積層型電極体(図1中では不図示)が収納され、且つ、周縁部が封止されることにより内部が密閉されたラミネート外装体1を備える。ラミネート外装体1としては、例えばアルミニウム製のラミネート外装体が用いられる。
ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、図2に示されるように、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介して交互に積層されてなる積層体と、この積層体の周囲を囲むセパレータ8と、を備える。正極板5、負極板6、セパレータ7、及びセパレータ8には、本開示の非水電解液が含浸されている。
上記積層型電極体における複数の正極板5は、いずれも正極タブを介して正極端子2と電気的に接続されており(不図示)、この正極端子2の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において正極端子2が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
同様に、上記積層型電極体における複数の負極板6は、いずれも負極タブを介して負極端子3と電気的に接続されており(不図示)、この負極端子3の一部が上記ラミネート外装体1の周端部から外側に突出している(図1)。ラミネート外装体1の周端部において負極端子3が突出する部分は、絶縁シール4によってシールされている。
なお、上記一例に係るラミネート型電池では、正極板5の数が5枚、負極板6の数が6枚となっており、正極板5と負極板6とがセパレータ7を介し、両側の最外層がいずれも負極板6となる配置で積層されている。
しかし、ラミネート型電池における、正極板の数、負極板の数、及び配置については、この一例には限定されず、種々の変更がなされてもよいことは言うまでもない。例えば、ラミネート外装体1に収容される積層型電極体は、1枚の正極板5と1枚の負極板6とが1枚のセパレータ7を介して積層された積層型電極体であってもよい。
本開示のリチウム二次電池の別の一例として、コイン型電池も挙げられる。
図3は、本開示のリチウム二次電池の別の一例であるコイン型電池の一例を示す概略斜視図である。
図3に示すコイン型電池では、円盤状負極12、非水電解液を注入したセパレータ15、円盤状正極11、必要に応じて、ステンレス、又はアルミニウムなどのスペーサー板17、18が、この順序に積層された状態で、正極缶13(以下、「電池缶」ともいう)と封口板14(以下、「電池缶蓋」ともいう)との間に収納される。正極缶13と封口板14とはガスケット16を介してかしめ密封する。
この一例では、セパレータ15に注入される非水電解液として、本開示の非水電解液を用いることができる。
なお、本開示のリチウム二次電池は、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含むリチウム二次電池(充放電前のリチウム二次電池)を、充放電させて得られたリチウム二次電池であってもよい。
即ち、本開示のリチウム二次電池は、まず、負極と、正極と、上記本開示の非水電解液と、を含む充放電前のリチウム二次電池を作製し、次いで、この充放電前のリチウム二次電池を1回以上充放電させることによって作製されたリチウム二次電池(充放電されたリチウム二次電池)であってもよい。
本開示のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、種々公知の用途に用いることができる。例えば、ノート型パソコン、モバイルパソコン、携帯電話、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、電子手帳、電卓、ラジオ、バックアップ電源用途、モーター、自動車、電気自動車、バイク、電動バイク、自転車、電動自転車、照明器具、ゲーム機、時計、電動工具、カメラ等、小型携帯機器、大型機器を問わず広く利用可能なものである。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
以下の実施例及び比較例において、「wt%」は質量%を意味する。
以下の実施例及び比較例において、「添加量」は、最終的に得られる非水電解液中における含有量(即ち、最終的に得られる非水電解液全量に対する含有量)を意味する。
〔実施例1〕
<非水電解液の調製>
以下の手順にて、非水電解液を調製した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とメチルエチルカーボネート(EMC)とを、EC:DMC:EMC=30:40:30(質量比)の割合で混合し、非水溶媒としての混合溶媒を得た。
得られた混合溶媒中に、電解質であるLiPFを、最終的に得られる非水電解液中における電解質濃度が1モル/リットルとなるように溶解させた。
上記で得られた溶液に対して、添加剤AとしてのDIC及び添加剤BとしてもVCをそれぞれ添加し、非水電解液を得た。
この際、DICの添加量(即ち、最終的な非水電解液の全量に対する含有量。以下同じ。)は、0.15質量%となるように調整し、VCの添加量は、0.20質量%となるように調整した。
ここで、DICは、式(A1)で表される化合物の具体例である、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(式(A1)中、R11及びR12がいずれもイソプロピル基である化合物)である。
また、VCは、式(B)で表される化合物の具体例である、ビニレンカーボネート(式(B)中、Rb1及びRb2がいずれも水素原子である化合物)である。
<水(HO)の添加及び1日保管>
上記で得られた非水電解液に対し、水を添加した。ここで、水の添加量は、水が添加された非水電解液の全量(即ち、添加された水を含む非水電解液の全量)に対する水の割合が0.10質量%となる量とした。
水が添加された非水電解液を、25℃の温度条件で1日保管した。
<フッ化水素(HF)の生成量の測定>
上記25℃で1日保管された非水電解液(即ち、水が添加された非水電解液)中における、フッ化水素の生成量を測定した。
フッ化水素の生成量は、電位差自動的滴定装置(AT-610,京都電子工業株式会社)によって測定した。
結果を表1に示す。
表1では、フッ化水素の生成量を、比較例1におけるフッ化水素の生成量を100とした場合の相対値として示した。
〔比較例1〕
DIC(添加量0.15質量%)を用いなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
〔実施例2、3〕
添加剤AとしてのDIC(添加量0.15質量%)を、表1に示す種類及び添加量の添加剤Aに変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示す。
ここで、DCCは、式(A1)で表される化合物の具体例である、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(式(A1)中、R11及びR12がいずれもシクロヘキシル基である化合物)である。
また、TEAは、式(A2)で表される化合物の具体例であるトリエチルアミン(式(A2)中、R21~R23がいずれもエチル基である化合物)である。
Figure 0007107491000006
表1に示すように、添加剤Aを含有する非水電解液を用いた実施例1~3では、添加剤Aを含有しない非水電解液を用いた比較例1と比較して、HFの生成が抑制されていた。
〔実施例101〕
<水が添加されていない非水電解液を用いたリチウム二次電池の評価>
水が添加されていない非水電解液を用い、以下の手順にて、リチウム二次電池であるコイン型電池を作製した。
(負極の作製)
天然黒鉛系黒鉛(100質量部)、カルボキシメチルセルロース(1質量部)及びSBRラテックス(2質量部)を水溶媒で混練してペースト状の負極合剤スラリーを調製した。
次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して負極集電体と負極活物質層とからなるシート状の負極を得た。このときの負極活物質層の塗布密度は12mg/cmであり、充填密度は1.5g/mlであった。
(正極の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2(90質量部)、アセチレンブラック(5質量部)及びポリフッ化ビニリデン(5質量部)を、N-メチルピロリドンを溶媒として混練してペースト状の正極合剤スラリーを調製した。
次に、この正極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔の正極集電体に塗布し乾燥した後に、ロールプレスで圧縮して正極集電体と正極活物質とからなるシート状の正極を得た。このときの正極活物質層の塗布密度は22mg/cmであり、充填密度は2.9g/mlであった。
(コイン型電池の作製)
上述の負極を直径14.5mmで、上述の正極を直径13mmで、それぞれ円盤状に打ち抜いて、コイン状の電極(負極及び正極)を得た。また、厚さ20μmの微多孔性ポリエチレンフィルムを直径16mmの円盤状に打ち抜きセパレータを得た。
得られたコイン状の負極、セパレータ及びコイン状の正極を、この順序でステンレス製の電池缶(2032サイズ)内に積層し、非水電解液40μLを注入してセパレータと正極と負極に含漬させた。
ここで、非水電解液としては、水が添加されていない非水電解液(詳細には、実施例1における、水が添加される前の非水電解液)を用いた。
次いで、正極上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)及びバネを乗せ、ポリプロピレン製のガスケットを介して、電池缶蓋をかしめることにより電池を密封し、直径20mm、高さ3.2mmの図3で示す構成を有するコイン型電池を作製した。
(コイン型電池の評価)
得られたコイン型電池について、ASKA充放電装置(ASKA CHARGE DISCHARGE SYSTEM ACD-M01A, ASKA ElectronicCo.,Ltd.,Japan)と恒温槽(LU-113,ESPEC CORP.,Japan)とを用いて、以下の評価を行った。
結果を表2に示す。
表2では、いずれの評価項目も、比較例101における値を100とした場合の相対値にて示した。
(初期の放電容量)
以下の操作を、25℃の温度条件にて行った。
上記で得られたコイン型電池を、充電レート0.1CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート0.1Cにて、1サイクル目の放電容量(以下、「1st放電容量」又は「1st」ともいう)を測定した。
1st放電容量を測定したコイン型電池を充電レート0.2CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート0.2Cにて、通算で2サイクル目の放電容量(以下、「2nd放電容量」又は「2nd」ともいう)を測定した。
2nd放電容量を測定したコイン型電池を充電レート0.2CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート0.2Cにて放電させた。放電後のコイン型電池を用い、充電レート1CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート1Cにて放電させるサイクルを5サイクル行い、5サイクル目(即ち、通算で8サイクル目)の放電時に放電容量(以下、「8th放電容量」又は「8th」ともいう)を測定した。
(高温サイクル後の放電容量)
以下の操作を、55℃の温度条件(以下、「高温条件」ともいう)にて行った。
初期の放電容量における8th放電容量を測定したコイン型電池を、充電レート0.2CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート0.2Cにて、高温条件での1サイクル目の放電容量(以下、「1st放電容量」又は「1st」ともいう)を測定した。
1st放電容量を測定したコイン型電池を用い、充電レート1CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート1Cにて放電させるサイクルを50サイクル行った。
50サイクル後(即ち、高温条件での通算で51サイクル後)のコイン型電池を充電レート0.2CにてSOC100%まで充電させた後、放電レート0.2Cにて、高温条件での通算で52サイクル目の放電を行い、放電容量(以下、「52nd放電容量」又は「52nd」ともいう)を測定した。
以上の高温条件でのサイクルをもう一度繰り返し、最後の放電レート0.2Cでの放電時(即ち、高温条件での通算で104サイクル目の放電時)に、放電容量(以下、「104th放電容量」又は「104th」ともいう)を測定した。
<水の添加及び1日保管が施された非水電解液を用いたリチウム二次電池の評価>
実施例1における、水が添加される前の非水電解液に代えて、実施例1における、水の添加及び1日保管が施された非水電解液を用いたこと以外は、上記「水が添加されていない非水電解液を用いたリチウム二次電池の評価」と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
〔実施例102〕
実施例1における、水が添加される前の非水電解液、並びに、水の添加及び1日保管が施された非水電解液に代えて、実施例3における、水が添加される前の非水電解液、並びに、水の添加及び1日保管が施された非水電解液をそれぞれ用いたこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
〔比較例101〕
実施例1における、水が添加される前の非水電解液、並びに、水の添加及び1日保管が施された非水電解液に代えて、比較例1における、水が添加される前の非水電解液、並びに、水の添加及び1日保管が施された非水電解液をそれぞれ用いたこと以外は実施例101と同様の操作を行った。
結果を表2に示す。
Figure 0007107491000007
表2中、水が添加されていない非水電解液を使用したコイン型電池の評価結果より、非水電解液への添加剤A(DIC、TEA)の添加は、電池の放電容量に対し、悪影響を及ぼさないことがわかる。
表2中、水の添加及び1日保管が施された非水電解液を使用したコイン型電池の評価結果より、非水電解液が添加剤Aを含有する場合(実施例101及び102)、非水電解液が添加剤Aを含有しない場合と比較して、電池の放電容量(即ち、初期の放電容量及び高温サイクル後の放電容量)が改善されることがわかる。この理由は、非水電解液が添加剤Aを含有する場合には、水の混入に起因するフッ化水素の生成、及び、フッ化水素の生成に起因する電池容量の低下が抑制されるためと考えられる。

Claims (9)

  1. ヘキサフルオロリン酸リチウムを含む電解質と、
    非水溶媒と、
    孤立電子対を有する窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、下記式(A1)で表される化合物及び下記式(A2)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である添加剤Aと、
    下記式(B)で表される化合物である添加剤Bと、
    を含有する電池用非水電解液。
    Figure 0007107491000008

    〔式(A1)中、R 11 及びR 12 は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。
    式(A2)中、R 21 ~R 23 は、それぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基を表す。〕
    Figure 0007107491000009

    〔式(B)中、R b1 及びR b2 は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基を表す。〕
  2. 前記式(A1)中、R11及びR12が、それぞれ独立に、イソプロピル基又はシクロヘキシル基であり、
    前記式(A2)中、R21~R23が、それぞれ独立に、炭素数1~3のアルキル基である請求項に記載の電池用非水電解液。
  3. 前記添加剤Aが、前記式(A1)で表される化合物を含み、かつ、前記式(A1)で表される化合物の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.15質量%であるか、又は、
    前記添加剤Aが、前記式(A2)で表される化合物を含み、かつ、前記式(A2)で表される化合物の含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.30質量%である請求項又は請求項に記載の電池用非水電解液。
  4. 前記添加剤Aの含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.01質量%~0.30質量%である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
  5. 前記添加剤Bの含有量が、電池用非水電解液の全量に対し、0.001質量%~10質量%である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電池用非水電解液。
  6. 正極と、
    金属リチウム、リチウム含有合金、リチウムとの合金化が可能な金属若しくは合金、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な酸化物、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な遷移金属窒素化物、及び、リチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な炭素材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を負極活物質として含む負極と、
    請求項1~請求項のいずれか1項に記載の電池用非水電解液と、
    を備えるリチウム二次電池。
  7. 前記正極が、正極集電体と、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、
    前記正極活物質が、式(P1)で表される化合物を含む請求項に記載のリチウム二次電池。
    LiNiMnCo … (P1)
    〔式(P1)中、x、y及びzは、それぞれ独立に、0超1.00未満であり、かつ、x、y及びzの合計は、0.99~1.00である。〕
  8. 前記正極活物質層の全固形分に占める前記式(P1)で表される化合物の割合が、70質量%以上である請求項に記載のリチウム二次電池。
  9. 請求項~請求項のいずれか1項に記載のリチウム二次電池を充放電させて得られたリチウム二次電池。
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